JPH0841603A - 磁気特性の優れた無方向性電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents
磁気特性の優れた無方向性電磁鋼板およびその製造方法Info
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Abstract
0.7〜2.0 %に制限すると共に、(Si+Al+Mn)を 3.5
%以上に限定し、かつ板厚中心部における結晶組織が、
回折X線強度比:I(200),I(310),I(110),I(211) お
よびI(222) で表して、次式(1), (2) I(200) +I(310) −5・I(110) ≦2 ---(1) 2・I(211) +I(222) ≦5 ---(2) の関係を満足し、しかも圧延方向の鉄損W15/50(L)、圧
延方向に対し直角方向の鉄損W15/50(C)及び(L+C)
方向の鉄損W15/50(L+C)につき、次式(3),(4) 1.35 ≦W15/50(C)/W15/50(L)≦ 2.00 ---
(3) W15/50(L+C)≦ 2.3 (W/kg) ---(4) の関係を満足させる。 【効果】 L方向及びC方向の磁気特性が共に優れ、特
にL方向の磁気特性が良好で、大型回転機用の鉄心材料
に使用した場合に、一方向性電磁鋼板に勝る特性が得ら
れる。
Description
くにタービン発電機用鉄心の素材として好適な無方向性
電磁鋼板に関するものである。
数枚のセグメントから構成される場合が多く、素材の電
磁鋼板としては特に圧延方向(L方向)の磁気特性に優
れることが要求される。従って、この用途には、冷間ま
たは温間圧延によって最終製品板厚としたのち高温焼鈍
により(110) 001 方位を持つ結晶粒を優先的に成長させ
るいわゆる2次再結晶現象を利用して製造される一方向
性電磁鋼板が多用されてきた。
て使用される一方向性電磁鋼板は、最終焼鈍に長時間加
熱の箱焼鈍が必要であることから、コスト高になるとい
う不利があった。また、焼鈍分離剤を鋼板表面に塗布し
て高温の箱焼鈍を行うため、鋼板表面に酸化被膜が形成
され、この酸化被膜の影響により無方向性電磁鋼板に比
べると鋼板の打抜性がかなり劣るという問題があった。
これらの問題の解決策として、高価な箱焼鈍の代わりに
連続焼鈍を利用した一方向性電磁鋼板の製造方法が提案
された。
向性電磁鋼の冷延板を脱炭焼鈍し、1000〜1100℃におけ
る保持時間を5〜10分間という比較的短時間とすること
からなる製造方法を提案している。また特開昭49-95816
号公報には、最終板厚とした冷延板を 500〜1000℃/min
の加熱速度で急速加熱し、 950℃超、1200℃以下の温度
で10分以内の仕上焼鈍を施すことからなる一方向性電磁
鋼板の製造方法が開示されている。さらに特開昭55-583
32号公報には、C含有量を0.01wt%(以下単に%で示
す)以下とし、脱炭焼鈍なしに、急速加熱、短時間均熱
による仕上焼鈍を行う方法が示されている。またさらに
特開平5-70833号公報には、仕上焼鈍前に 0.5〜5%の
冷間圧延を施すことにより、短時間仕上焼鈍を可能にす
る技術が開示されている。しかしながら、上記の技術は
いずれも、インヒビター(AlN, MnSなど)を利用して
2次再結晶粒を発達させる技術であるため、短時間の連
続仕上焼鈍ではどうしても2次再結晶粒の発達が不安定
となり、磁気特性が安定しないという問題を抱えてい
た。
る酸化被膜除去法や酸化被膜を形成しない箱焼鈍方法な
どが提案されているが、いずれの方法もコスト高となる
問題を残していた。
転機用鉄心として一方向性電磁鋼板の代わりにハイグレ
ードの無方向性電磁鋼板が使用されるようになってき
た。この無方向性電磁鋼板は、一方向性電磁鋼板に比べ
て製造コストが安く、また鋼板表面に酸化被膜を有しな
いので打抜性にも優れるという利点がある。しかしなが
ら、一方向性電磁鋼板に比べて圧延方向(L方向)の磁
気特性が劣っていることから、その改善が熱望されてい
る。
しては、SiやAlなどの合金元素の添加量を増やして鋼板
の電気抵抗を高める方法が一般的に知られている。しか
しながら、現在の無方向性電磁鋼板のハイグレード品の
鉄損レベルを一層向上させるためにSi, Alなどの添加量
を増大することは、圧延性の面で問題が残る。
出物個数を低減することにより鉄損を改善する方法があ
る(例えば特開昭59-74258号公報、特開昭59-74256号公
報、特開昭60−152628号公報、特開平3−104844号公
報)。このような鋼中不純物の低減は、鉄損の低減に極
めて有効ではあるが、高純度化は製銑・製鋼技術に依存
するものであり、現在の製銑・製鋼技術では高純度化は
ほぼ限界まで達しているので、これらの技術による一層
の鉄損改善は、製銑・製鋼技術の進歩を待たなければな
らない。
件に工夫を加えて鉄損を改善する方法がある。例えば特
公昭56-22931号公報等にその技術が開示されているが、
これらの集合組織最適化による鉄損改善技術は、磁気異
方性を小さくすること(面内無方向)による磁性改善で
あり、その評価も、圧延方向(L方向)と圧延方向に対
して垂直な方向(C方向)の試料を同数だけ用いたエプ
スタイン測定による特性値いわゆる(L+C)方向磁性
で行われていた。このように、従来は、単に(L+C)
磁性のみが考慮されていただけで、一歩進んだ(L+
C)磁性の良好な状態でのL方向磁性の改善には考慮が
払われておらず、また実際、(L+C)磁性を劣化させ
ずにL方向の磁性を改善することは極めて困難でもあっ
た。
よる無方向性電磁鋼板のハイグレード品の製造方法が開
示されている。しかし、この技術は、中間焼鈍に長時間
の箱焼鈍を必要とするため、生産性が劣るという問題が
あった。また特開平5−209224号公報に、冷延−焼鈍を
2回以上繰り返す無方向性電磁鋼板のハイグレード品の
製造方法が開示されている。しかしながら、この製造方
法は、前述したところと同様、(L+C)磁性の改善の
みを目的としており、L方向磁性の改善については全く
考慮が払われていない。
法として、特開昭58−120733号公報に、仕上焼鈍時の炉
内張力制御によって鉄損を改善する方法が開示されてい
る。しかしながら、張力制御により磁気異方性を大きく
してL方向磁性を高めようとする場合、(L+C)磁性
が劣化するという問題があった。また、特開昭59-74225
号公報には、不純物の低減により磁気異方性を小さくし
て鉄損を改善する製造方法が開示されている。しかし、
この技術を利用して、不純物を増加して磁気異方性を大
きくした場合には、上記と同様、(L+C)磁性が劣化
するという問題があった。
素鋼板の開発は、磁気異方性を小さくすることによる鉄
損改善技術が主であり、無方向性電磁鋼板のハイグレー
ド品のL方向磁性を改善することによる大型回転機の鉄
心に適した無方向性電磁鋼板については検討はほとんど
行われておらず、L方向およびC方向とも磁気特性が良
好で、なおかつ特にL方向の磁気特性に優れた安価な材
料を提供することはできなかった。
状に鑑みて開発されたもので、圧延方向および圧延方向
に対して直角な方向の磁気特性が共に良好で、しかもL
方向の磁性にとりわけ優れた安価な大型回転機鉄心用材
料としての無方向性電磁鋼板を、その有利な製造方法と
共に提案することを目的とする。
要請に応えるべく、良好な磁気特性を有する安価な大型
回転機鉄心用電磁鋼板について鋭意検討を重ねた結果、
所期した目的達成のためには、鋼中Al量および最終冷延
工程が極めて重要であることの知見を得た。この発明
は、上記の知見に立脚するものである。
り、かつ板厚中心部における結晶組織の(200), (310),
(110), (211)および(222) 面からの回折X線の、ランダ
ム組織の対応する面からのそれに対する強度比を、それ
ぞれI(200),I(310),I(110),I(211) およびI(222)
としたとき、これらが次式(1), (2) I(200) +I(310) −5・I(110) ≦2 ---(1) 2・I(211) +I(222) ≦5 ---(2) の関係を満足し、しかも圧延方向の鉄損W15/50(L)、圧
延方向に対し直角方向の鉄損W15/50(C)および(L+
C)方向の鉄損W15/50(L+C)が、それぞれ次式(3),(4) 1.35 ≦W15/50(C)/W15/50(L)≦ 2.00 ---(3) W15/50(L+C)≦ 2.3 (W/kg) ---(4) の関係を満足することからなる磁気特性の優れた無方向
性電磁鋼板である。
含けい素鋼熱延板を、熱延板焼鈍後、中間焼鈍を挟む2
回以上の冷間圧延によって最終板厚としたのち、仕上焼
鈍を施す一連の工程によって無方向性電磁鋼板を製造す
るに当たり、最終冷延前の中間焼鈍を 700〜1000℃の温
度範囲で行うと共に、最終冷延を圧下率:1〜15%、圧
延速度:1000 m/min以下の条件下で行うことからなる磁
気特性の優れた無方向性電磁鋼板の製造方法である。
果について説明する。まず、ターボジェネレーターにお
ける無方向性電磁鋼板の圧延方向(L方向)と圧延方向
に対して垂直方向(C方向)の鉄損比W15/50(C)/W
15/50(L)すなわちC/L比がステーターコアロスに及ぼ
す影響について調査した。実験には、通常タービン発電
機に使用される35P130クラスの一方向性電磁鋼板並びに
C/L比が異なる種々の無方向性電磁鋼板を用いた。C
/L比の異なる無方向性電磁鋼板は、2回冷延法の条件
を変化させることによって作製した。すなわち、転炉で
吹練した溶鋼を脱ガス処理し、ついでSi:3.0 〜3.8
%、Al:0.8 %、Mn:0.2 %を目標にして合金成分を添
加し、調整したその溶鋼を、連続鋳造してスラブとした
のち、熱間圧延により板厚:2.0 mmの熱延板とし、酸洗
後、焼鈍を施してから、1回目の冷間圧延を施した。つ
いで、中間焼鈍を施したのち、圧下率を0%から20%ま
で種々に変化させた2回目の冷間圧延により最終板厚と
した。その後、仕上焼鈍を施して最終製品とした。
し、コアバック磁束密度が 1.5T,50Hzの場合における
ステーターコアロスについて調べた結果を、W15/50(L+
C)をパラメーターとしてC/L比との関係で図1に示
す。なお、L,C方向の磁気特性はそれぞれ25cmエプス
タイン法により調べた。また、W15/50(L+C)とは、L方
向とC方向の試料を同数だけ用いたエプスタイン測定に
よる鉄損すなわち(L+C)方向の鉄損のことである。
板におけるステーターコアロスの最小値は約3.25W/kgで
あるが、無方向性電磁鋼板であっても、(L+C)磁性
(鉄損)が2.3 W/kg以下でしかもC/L比が1.35〜2.00
の範囲を満足するものは、ステーターコアロスが一方向
性電磁鋼板よりも小さくなることが判明した。なお、
(L+C)磁性が2.3 W/kgを超える場合には、C/L比
が1.35以上でもステーターコアロスは一方向性電磁鋼板
より小さくならないことも明らかとなった。
方向の鉄損W15/50(C)および(L+C)方向の鉄損W
15/50(L+C)が、それぞれ次式(3), (4) 1.35 ≦W15/50(C)/W15/50(L)≦ 2.00 ---(3) W15/50(L+C)≦ 2.3 (W/kg) ---(4) の関係を満足するようにすれば、大型回転機用鉄心材料
として、一方向性電磁鋼板よりも優れた無方向性電磁鋼
板が得られるというのが、今回見出した新規知見であ
る。
板における(L+C)磁性およびC/L比に及ぼす合金
元素の影響について調査した。すなわち、転炉で吹練し
た溶鋼を脱ガス処理し、ついでSi:2.0 〜5.0 %、Al:
0〜1.2 %、Mn:0.1 〜1%を目標にして合金成分を添
加し、調整したその溶鋼を、連続鋳造してスラブとした
のち、熱間圧延により板厚:1.8 mmの熱延板とし、つい
で焼鈍後、酸洗を施してから、1回目の冷間圧延を施し
た。ついで、中間焼鈍を施し、酸洗後、0〜15%の2回
目の冷間圧延により0.5 mmの最終板厚とした。その後、
仕上焼鈍を施して最終製品とした。かくして得られた無
方向性電磁鋼板の合金元素量(Si+Al+Mn量)と鉄損W
15 /50(L+C)との関係について調べた結果を、図2に示
す。
量が 3.5%未満では(L+C)方向の鉄損W15/50(L+C)
を 2.3W/kg以下に低減することはできない。この理由
は、鋼中の(Si+Al+Mn)量が 3.5%に満たないと鋼板
の電気抵抗が小さすぎるため、十分な鉄損の低減が図れ
ないことによるものと考えられる。従って、(Si+Al+
Mn)量は 3.5%以上とする必要があることが判明した。
よびC/L比との関係について調べた結果を、図3に示
す。同図から明らかなように、C/L比は 0.7%以上と
いうAlの多量添加によって効果的に増大する。また(L
+C)方向の鉄損も、添加Al量の増加に伴う電気抵抗の
増加によって改善される。ここに、Al量が 0.7%以上に
なるとC/L比が著しく増大する理由についてはまだ明
確に解明されてはないが、鋼中Al量の増加により集合組
織うち(110) 成分が増加し、(200) 成分が減少したため
と考えられる。
以上としかつAlを 0.7%以上とすることによって、おお
むね(L+C)方向の鉄損W15/50(L+C)が 2.3W/kg以下
でC/L比が1.35以上、従ってステーターコアロスを
3.25 W/kg以下にすることができるわけであるが、成分
調整だけでは必ずしも上記の特性を安定して得ることは
難しかった。そこで、この点についてさらに検討を重ね
た結果、磁気特性の安定化のためには最終冷延工程にお
ける圧下率および圧延速度が重要な意味を持つことが判
明した。
圧下率を1〜15%の範囲とした上で、1000 m/min以下の
速度で圧延して初めて、所望の特性が安定して得られる
ことが究明されたのである。なお、図4の実験に用いた
鋼板は、次の条件で作製されたものである。すなわち、
C:0.002 %, Si:3.7 %, Al:0.71%, Mn:0.7 %,
P:0.007%, S:0.0010%, N:0.002 %およびO:
0.0015%を含み、残部は実質的にFeの組成よりなる連鋳
スラブを、冷却することなく1080℃に加熱した後、熱間
圧延により2mm厚の熱延板とし、ついで 950℃, 45 min
の熱延板焼鈍、温間での1次圧延、 850℃, 2 minの中
間焼鈍、冷間での2次圧延および1000, 10sの仕上焼鈍
を施して、板厚:0.35mmの製品板とした。
るには、成分調整のみならず圧延が重要な意味を持つと
いうことは、結局、鋼板に形成される集合組織が重要で
あることを示唆している。そこで発明者らは、次に、本
願発明で所期した磁気特性を得るのに必要な集合組織に
ついて、その解明を進めた。前掲図1に示した各鋼板に
ついて、その板厚中心部の組織と特性との関係について
調査した結果を、図5に示す。なお、集合組織の判定に
は、結晶組織の(200), (310), (110), (211)および(22
2) 面を利用し、これらの面からの回折X線の、ランダ
ム組織の対応する面からのそれに対する強度比I(200),
I(310),I(110),I(211) およびI(222) で評価した。
同図に示したとおり、ステーターコアロスを 3.25 W/kg
以下とするためには、上記の強度比で表して、次式(1),
(2) I(200) +I(310) −5・I(110) ≦2 ---(1) 2・I(211) +I(222) ≦5 ---(2) の関係を満足する組織とする必要があることが判明し
た。
5・I(110) }とAl含有量との関係について示すが、同
図に示したとおり、Al量が 0.7%以上であれば{I(20
0) +I(310) −5・I(110) }が2以下となり、従っ
てコアロスを 3.25 W/kg以下に低減することができる。
組織との関係について調べた結果を図7に示すが、同図
より明らかなように、圧下率が1〜15%の範囲でかつ圧
延速度が1000 m/min以下であれば、前掲式(1), (2)の満
足を満足する集合組織が形成され、ひいては式(3), (4)
で規定される所望特性が得られるのである。
囲に限定した理由は次のとおりである。 C:0.006 %以下 Cが 0.006%を超えて含有されると炭化物の析出による
磁気時効を生じ、鉄損の劣化を招くので、Cは 0.006%
以下に限定した。
用元素であるが、含有量が 2.5%に満たないとその添加
効果に乏しく、一方 5.0%を超えると冷延性が阻害され
るので、 2.5〜5.0 %の範囲に限定した。
り{I(200) +I(310) −5・I(110) }を2以下にす
ることができず、ひいては前掲図3に示したとおり、1.
35以上のC/L比が得られず、その結果、良好なL方向
磁性が要求される大型回転機鉄心用電磁鋼板として適合
しなくなる。一方 2.0%を超えると冷延性が阻害される
ので、この発明ではAl量は 0.7〜2.0 %の範囲に限定し
た。
0.05%に満たないと微細なMnSが生成して磁気特性に悪
影響を与えるので、かような微細MnSが生成しない0.05
%以上を添加するものとした。
だけでは不十分で、これらの合計量も併せて規制する必
要がある。すなわち、(Si+Al+Mn)量が 3.5%に満た
ないと、前掲図2に示したとおり(L+C)方向の鉄損
W15/50(L+C)を 2.3 W/kg 以下まで低減することができ
ないので、(Si+Al+Mn)量は 3.5%以上とする必要が
ある。とはいえ、(Si+Al+Mn)量が 5.5%を超えると
冷延性に問題が生じるので、上限は 5.5%とすることが
好ましい。
他の不可避混入不純物については次のとおりである。 P:0.2 wt%以下 Pが、 0.2%を超えて含有されると冷延性が著しく劣化
するので、0.2 %以下にすることが望ましい。
01%以下に抑制することが望ましい。
し、磁気特性上好ましくないので、0.01%以下に抑制す
ることが望ましい。
るので、 0.005%以下に抑制することが望ましい。
の製造方法について具体的に説明する。鋼の溶製法およ
びスラブ製造法については特に限定されることはなく、
常法に従えば良い。例えば、転炉−脱ガス装置を介して
所定の成分組成に溶製した後、連続鋳造法または造塊−
分塊圧延によってスラブとすれば良い。ついで加熱およ
び熱間圧延工程を経て熱延板とする。ここに、連続鋳造
法で製造したスラブは一旦冷却してから加熱して熱間圧
延を行っても、またスラブを降温することなく熱間圧延
もしくは再加熱−熱間圧延を行っても良い。
回以上の冷間圧延によって最終板厚に仕上げるわけであ
るが、ここに熱延板焼鈍は 770〜1100℃の温度範囲で5
秒〜10時間程度が好適である。というのは、熱延板焼鈍
温度が 770℃に満たないと(L+C)方向の鉄損を2.3
W/kg以下とすることが難しく、一方1100℃を超えると設
備の面および製造コストの面で問題が生じるからであ
る。また、熱延板焼鈍時間が5秒未満では、やはり(L
+C)方向の鉄損を2.3 W/kg以下とすることが難しく、
一方10時間を超えると生産性の低下および製造コストの
上昇を招くからである。
工程が重要であり、特に最終冷延前の中間焼鈍を 700〜
1000℃の温度範囲で行うことと、最終冷延を圧下率:1
〜15%、圧延速度:1000 m/min以下の条件下で行うこと
が肝要である。すなわち、最終冷延前の中間焼鈍温度が
700℃未満では、圧延方向の鉄損が優れた電磁鋼板が得
られない。この理由は、中間焼鈍温度が 700℃未満では
中間焼鈍前の冷延による冷延組織の回復・再結晶が起こ
らず、2回目の圧延による圧延方向鉄損の改善効果が得
られないことによるものと考えられる。また、中間焼鈍
温度が1000℃を超えると(L+C)方向の鉄損はかえっ
て劣化する。この理由は、集合組織のうち (200)成分が
減少しすぎたことによるものと考えられる。従って、最
終冷延前の中間焼鈍温度は 700〜1000℃の範囲に限定し
た。
たないと、板厚方向中心部まで均一に加工歪が入らず、
その結果、前掲図7に示したとおり、所望の集合組織が
得られない。一方、15%を超えると、集合組織のうち
(200)成分の減少に起因して(L+C)方向の鉄損が劣
化する。従って、最終冷延における圧下率は1〜15%と
する必要がある。また、圧延時における圧延速度が1000
m/minを超えると、やはり板厚方向中心まで均一な加工
歪が入らないので、前掲図7に示したとおり、所望の集
合組織が得られず、その結果、前掲図4に示したとお
り、1.35以上のC/L比が得られないので、圧延速度は
1000 m/min以下とする必要がある。この圧延速度の下限
は特に限定されることはないけれども、生産性を考慮す
ると200 m/min 以上が現実的である。なお、圧延は冷間
および温間のどちらで行っても構わない。また、脱スケ
ール処理はどの工程間に行っても良好な特性が得られ
る。
範囲に調整した上で、上述した制御冷延を行うことによ
って、次式(1), (2) I(200) +I(310) −5・I(110) ≦2 ---(1) 2・I(211) +I(222) ≦5 ---(2) の関係を満足する集合組織が得られ、その結果次式(3),
(4) 1.35 ≦W15/50(C)/W15/50(L)≦ 2.00 ---(3) W15/50(L+C)≦ 2.3 (W/kg) ---(4) の関係を満足する優れた磁気特性の無方向性電磁鋼板が
得られるのである。なお、{I(200) +I(310) −5・
I(110) }については、その値があまりに小さいとティ
ース部の鉄損が増大し、それに伴いステーターコアーロ
スも増大するので−7以上とするのが好ましい。また、
同様にC/L比が2.00を超えると、ティース部の鉄損が
増大し、ステーターコアロスが増大するので、C/L比
の上限は2.00に限定した。
%, N:0.002 %およびO:0.0015%を含み、かつSi,
AlおよびMnをそれぞれ表1に示す量だけ含有し、残部は
実質的にFeの組成になるスラブを、熱間圧延によって2
mm厚の熱延板としたのち、表1に示す条件で熱延板焼
鈍、1次冷延、中間焼鈍、2次冷延および仕上焼鈍を施
して板厚:0.5 mmの製品板とした。得られた鋼板の集合
組織および鉄損特性について調べた結果を表2に示す。
得られた無方向性電磁鋼板は、板厚中心部がI(200) +
I(310) −5・I(110) ≦2,2・I(211) +I(222)
≦5を満足する集合組織となっており、その結果、W
15/50(L+C)が 2.3 (W/kg) 以下でかつC/L比が1.35以
上の良好な特性値が得られている。
びC方向の磁気特性が共に優れ、しかもL方向の磁気特
性が特に良好で、大型回転機用の鉄心材料に使用した場
合に、一方向性電磁鋼板に勝る特性を有する無方向性電
磁鋼板を安価に得ることができる。
したグラフである。
関係を示したグラフである。
比との関係を示したグラフである。
フである。
関係を示したグラフである。
}とAl含有量との関係を示したグラフである。
グラフである。
Claims (2)
- 【請求項1】 C:0.006 wt%以下、 Si:2.5 〜5.0 wt%、 Al:0.7 〜2.0 wt%、 Mn:0.05wt%以上を、 Si+Al+Mn:3.5 wt%以上 の範囲において含有し、残部は実質的にFeの組成にな
り、かつ板厚中心部における結晶組織の(200), (310),
(110), (211)および(222) 面からの回折X線の、ランダ
ム組織の対応する面からのそれに対する強度比を、それ
ぞれI(200),I(310),I(110),I(211) およびI(222)
としたとき、これらが次式(1), (2) I(200) +I(310) −5・I(110) ≦2 ---(1) 2・I(211) +I(222) ≦5 ---(2) の関係を満足し、しかも圧延方向の鉄損W15/50(L)、圧
延方向に対し直角方向の鉄損W15/50(C)および(L+
C)方向の鉄損W15/50(L+C)が、それぞれ次式(3),(4) 1.35 ≦W15/50(C)/W15/50(L)≦ 2.00 ---(3) W15/50(L+C)≦ 2.3 (W/kg) ---(4) の関係を満足することを特徴とする磁気特性の優れた無
方向性電磁鋼板。 - 【請求項2】 C:0.006 wt%以下、 Si:2.5 〜5.0 wt%、 Al:0.7 〜2.0 wt%、 Mn:0.05wt%以上を、 Si+Al+Mn:3.5 wt%以上 の範囲において含有し、残部は実質的にFeの組成になる
含けい素鋼熱延板を、熱延板焼鈍後、中間焼鈍を挟む2
回以上の冷間圧延によって最終板厚としたのち、仕上焼
鈍を施す一連の工程によって無方向性電磁鋼板を製造す
るに当たり、最終冷延前の中間焼鈍を 700〜1000℃の温
度範囲で行うと共に、最終冷延を圧下率:1〜15%、圧
延速度:1000 m/min以下の条件下で行うことを特徴とす
る磁気特性の優れた無方向性電磁鋼板の製造方法。
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