JPH0841083A - フォスファチジルコリンの精製方法 - Google Patents

フォスファチジルコリンの精製方法

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JPH0841083A
JPH0841083A JP20904194A JP20904194A JPH0841083A JP H0841083 A JPH0841083 A JP H0841083A JP 20904194 A JP20904194 A JP 20904194A JP 20904194 A JP20904194 A JP 20904194A JP H0841083 A JPH0841083 A JP H0841083A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 リン脂質含有組成物をシリカゲルカラムに通
液し、溶離液で溶出させてフォスファチジルコリンを分
取するに際し、溶離液として含水アルコールを使用し、
かつ、アルコールの濃度を経時的に変化させて溶出を行
う。低濃度から中濃度に経時的に変化させて溶出を行
う。溶離液は含水エタノールである。低濃度は50〜8
0vol.%の濃度範囲のエタノール水溶液、中濃度は
80〜95vol.%の濃度範囲のエタノール水溶液で
ある。低濃度溶出の前に高濃度アルコールによる溶出を
行う。高濃度アルコールが90〜100vol.%の濃
度範囲のエタノール水溶液である。 【効果】 医薬品、化粧品に好適な純度の高いフォスフ
ァチジルコリンを効率よく精製することができる。シリ
カゲル使用によるフォスファチジルコリンの単離を効率
化することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はフォスファチジルコリン
の精製方法に関するものである。詳細には、本発明は、
医薬品、化粧品に好適な純度の高いフォスファチジルコ
リンの精製方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】フォスファチジルコリン(PC)は医薬
品において安全性の高い乳化剤として静注薬等に用いら
れ、同様に化粧品の分野においても利用されている。し
かし、「製剤と機械(平成元年12月15日号)」でリ
ゾフォスファチジルコリン(LPC)には赤血球の崩壊
といった問題が報告されているように、リゾフォスファ
チジルコリンの混入を避けることは、重要な課題であ
る。
【0003】フォスファチジルコリンの精製方法とし
て、カドミウム塩として結晶精製する方法が古くから知
られているが、極めて毒性の高いカドミウムを医薬、化
粧品等の分野で使用することは不可能である。これに対
して特開昭61−145190号では、シリカゲルカラ
ムによるカラムクロマトグラフィーを用いたフォスファ
チジルコリンの単離方法を開示している。この方法は、
低沸点石油エーテル留分、低級アルカノール及び水の混
合溶媒を溶離液としているが、この場合、実際にはリゾ
フォスファチジルコリンの溶出が極めて遅く、全体の作
業とすればシリカゲルの使い捨てや、リゾフォスファチ
ジルコリンを溶出させてシリカゲルを再生するために多
量の溶媒と時間が必要となる。また、フォスファチジル
コリンの純度としても実施例では86%から97%であ
って、純品とは言いがたいものであった。
【0004】特開昭57−123194号では、珪酸ゲ
ルカラムを用い、炭素数1〜4のアルカノールの含水溶
媒に可溶なフォスファチジルコリン含有組成物と同溶媒
で40〜90℃にて不純物を分離する方法を提供してい
るが、ここの実施例で得られているフォスファチジルコ
リンは純度が86〜93%と充分なものではない。特開
昭56−23997号、特開昭49−93400号で
は、フォスファチジルコリンの溶出にアンモニアを含む
アルコールを用いており、多種溶媒の使用による精留の
煩雑化やアンモニアの留去を完全に行う必要があり、珪
酸の溶出等、扱いにくい作業である。また、カラム中に
リゾフォスファチジルコリンが残りやすく、カラムの損
傷や再生のために溶媒や時間がかかる。
【0005】「食品産業ハイセパレーション・システム
技術研究組合研究成果報告書平成元年度〜3年度」で
は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)でのフォ
スファチジルコリンの単離を報告している。シリカゲル
カラムを用いてリン脂質をヘキサン/エタノール/水の
3成分混合系とエタノール/水の2成分系で精製条件の
検討を行っている。ヘキサンを含む系はリゾフォスファ
チジルコリンの溶出が遅く、溶媒と時間がかかりやす
い。
【0006】エタノール/水の系では、リン脂質の溶液
濃度がおよそ1%よりかなり低い場合、リゾフォスファ
チジルコリンは、フォスファチジルコリンより後に溶出
され、処理時間が長くなり、全体の使用溶媒量が多くな
る。原料リン脂質の溶液濃度がおよそ1%以上の場合で
あっても、カラム負荷量がシリカゲル1リットルあたり
およそ10g以下であると、リゾフォスファチジルコリ
ンはフォスファチジルコリンより後に溶出され、処理時
間が長くなり、使用溶媒量が多くなる。溶液濃度が1%
以上、カラム負荷量がシリカゲル1リットルあたりおよ
そ20g以上であると、フォスファチジルコリンの溶出
時間はあまり変化しないが、リゾフォスファチジルコリ
ンのみ溶出時間が短くなり、フォスファチジルコリンの
ピークの前半と重なるもののピークの後半にフォスファ
チジルコリンの純品が得られる。カラム負荷量がシリカ
ゲル1リットルあたりおよそ10g〜およそ20gでは
フォスファチジルコリンとリゾフォスファチジルコリン
のピークが重なり、純品は得られない。
【0007】また、エタノール/水の系で含水量が多い
とリゾフォスファチジルコリンは溶出が早くなるが、フ
ォスファチジルコリンは溶出が遅くなる。単一溶媒を終
始流しての検討ではフォスファチジルコリンの溶出時間
を短くするために、リゾフォスファチジルコリンがフォ
スファチジルコリンのピークの広い範囲に重なり、得ら
れるフォスファチジルコリンの純度低下、あるいは純品
のフォスファチジルコリンの収率の低下につながる。ま
た、この方法では原料にトリグリセリドのような中性脂
質が多く含まれるとトリグリセリドが素早く溶出されず
にフォスファチジルコリンのピークに重なりフォスファ
チジルコリンの純度低下等の問題を生じてしまう。
【0008】以上の公知文献における精製は、すべて、
カラムによってリン脂質組成物に含まれているエタノー
ルアミン含有リン脂質(フォスファチジルエタノールア
ミン、リゾフォスファチジルエタノールアミン)やスフ
ィンゴミエリン等の極性成分を分離する方法であって、
リゾフォスファチジルコリンの除去を目的とする本発明
の精製とは技術的に異なる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、医薬品、化
粧品に好適な純度の高いフォスファチジルコリンを効率
よく精製することを目的とする。本発明は、シリカゲル
カラム使用によるフォスファチジルコリンの単離・精製
を効率よく行うことを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、リン脂質含有
組成物をシリカゲルカラムに通液させてリン脂質を分取
するにあたり、溶離液であるアルコールの濃度を変化さ
せることによりフォスファチジルコリンを効率よく溶出
することを特徴とするフォスファチジルコリンの精製方
法である。
【0011】原料のリン脂質含有組成物は、卵黄リン脂
質、精製大豆レシチンなどを使用する。卵黄リン脂質に
は、主成分であるフォスファチジルコリン、ホスファチ
ジルエタノールアミンと少量のスフィンゴミエリン、リ
ゾホスファチジルコリン等が含まれている。
【0012】本発明の方法で使用するシリカゲルは、リ
ゾフォスファチジルコリンをフォスファチジルコリンよ
り先に溶出させるために、100ミクロン以下という粒
子径が小さく、粒子径分布幅のせまいHPLC用のシリ
カゲルを均質に充填したものを使用する。
【0013】本発明で使用する溶離液は、メタノール、
エタノール、イソプロパノールなどのアルコールを含水
アルコールとして使用する。たとえばエタノールの場
合、リゾフォスファチジルコリンの溶出の目的には溶離
液であるエタノール/水系の水を増やしリゾフォスファ
チジルコリンを速やかに溶出させることと、フォスファ
チジルコリンの溶出にはエタノール/水系の水を減らし
フォスファチジルコリンの溶出を速やかに行うことを連
続して行うことにより、分離に要する時間の短縮及び純
品としてのフォスファチジルコリンの回収率向上が可能
となる。
【0014】すなわち、本発明は、リン脂質含有組成物
をシリカゲルカラムに通液し、溶離液で溶出させてフォ
スファチジルコリンを分取するに際し、溶離液として含
水アルコールを使用し、かつ、アルコールの濃度を経時
的に変化させて溶出させることを特徴とするフォスファ
チジルコリンの精製方法である。
【0015】リゾフォスファチジルコリンの最短溶出条
件ではフォスファチジルコリンの溶出時間が長くなり、
フォスファチジルコリンの最短溶出条件ではリゾフォス
ファチジルコリンがフォスファチジルコリンのピークと
重なるため、時間は早くても純度または収率が充分では
ないが、はじめに低濃度のアルコール、例えば70vo
l.%のエタノールでリゾフォスファチジルコリンを溶
出させ、リゾフォスファチジルコリンの溶出が終わる少
し前から中濃度のアルコール例えば、85vol.%の
エタノールでフォスファチジルコリンを速やかに溶出さ
せるのである。上記低濃度のエタノールは50〜80v
ol.%、中濃度のエタノールは、80〜95vol.
%のエタノールが使用される。
【0016】一方、その他の不純物、たとえば、リン脂
質組成物に含まれやすいフォスファチジルエタノールア
ミン、リゾフォスファチジルエタノールアミン、スフィ
ンゴミエリン等の極性成分は本発明の条件においてはフ
ォスファチジルコリンの溶出を目的とする操作(中濃度
エタノールによる溶出)で、フォスファチジルコリンよ
りはるかに早く溶出されることから、特別な操作を必要
としない。一方、トリグリセリド、ジグリセリド、モノ
グリセリド等のグリセリン脂肪酸エステル、遊離の脂肪
酸等の低極性成分は、溶出の初期に高濃度のアルコー
ル、たとえば90vol%〜100vol%、さらに好
ましくは95vol%〜100vol%のエタノール水
溶液を用いることにより溶出することができる。
【0017】その後に低濃度のアルコール例えば、70
vol.%程度のエタノールで、リゾフォスファチジル
コリンを溶出する。リゾフォスファチジルコリンの溶出
が終了する少し前から中濃度のアルコール例えば、85
%程度のエタノールでフォスファチジルコリンを溶出す
る。
【0018】すなわち、本発明は、リン脂質含有組成物
をシリカゲルカラムに通液し、溶離液で溶出させてフォ
スファチジルコリンを分取するに際し、溶離液として含
水アルコールを使用すること、まず高濃度アルコールに
よる溶出を行うこと、次いでアルコールの濃度を低濃度
から中濃度に経時的に変化させて溶出を行うことを特徴
とするフォスファチジルコリンの精製方法である。その
場合、高濃度アルコールは90〜100vol.%のエ
タノールが使用される。
【0019】溶離液の流速はおおむね10ml/cm
・min程度で行われる。原料に用いるレシチン中のフ
ォスファチジルコリン純度は比較的低くても良く、リン
脂質以外の成分例えば中性脂質等がフォスファチジルコ
リン以上に含まれていても構わない。カラム被処理物が
リン脂質で構成され中性脂質をほとんど含まない場合は
低濃度アルコール、中濃度アルコールの順に、中性脂質
等の低極性成分を含む場合は、高濃度アルコール、低濃
度アルコール、中濃度アルコールの順に溶出を行う。
【0020】中性脂質を含む場合は、常温を超える温度
の方が中性脂質の分離が良好である。しかし、通常カラ
ム分離で行われる様な溶離液の沸点以下の加温は行った
方が分離時間が短くなるものの、加温によって成分がわ
ずかではあるが加水分解する可能性等を考慮すると、加
温を避ける方が望ましい。また、カラムに不溶性成分が
詰まって安定した使用ができなくならないためには、カ
ラム分離にかける原料は使用するアルコールに可溶の成
分によって構成されていることが望ましい。原料の状態
としては、これにより限定されるものではないが、アル
コール溶液でおよそ1%〜30%程度の固形物含量のも
のがふさわしい。
【0021】
【実施例】本願発明の詳細を実施例で説明する。本願発
明はこれら実施例によって何ら限定されるものではな
い。
【0022】実施例1 卵黄リン脂質(成分:フォスファチジルコリン、リゾフ
ォスファチジルコリン、フォスファチジルエタノールア
ミン、リゾフォスファチジルエタノールアミン、スフィ
ンゴミエリン) 原料である卵黄リン脂質はキューピー(株)製卵黄レシ
チンPL−100H180mg、カラムは(株)ワイエ
ムシイ製A−003(内径4.6mm、カラム長さ25
0mm)、溶離液流速:1.8ml/min、72%エ
タノールで溶離をはじめ、10分後から溶離液を90%
エタノールに変えて溶出を行った。15分以降75分ま
でのピークを集めてフォスファチシルコリン画分とし
た。フォスファチジルコリンの回収率は90.2%で、
2次元展開TLCで単一スポットを示し、純品であるこ
とがわかった。
【0023】実施例2 大豆分画レシチン(成分:フォスファチジルコリン、リ
ゾフォスファチジルコリン、フォスファチジルエタノー
ルアミン、リゾフォスファチジルエタノールアミン、ト
リグリセライド、ジグリセライド、遊離脂肪酸) 大豆のペースト状レシチンを90%エタノールで分別
し、可溶物としてフォスファチジルコリン32%、フォ
スファチジルエタノールアミン17%中性脂質34%の
ペースト状の分別物を得た、この分別物200mgを原
料に実施例1と同じカラムを使いはじめに95%エタノ
ールで中性脂質(トリグリセライド、ジグリセライド、
遊離脂肪酸)を溶出し、分離開始18分で70%エタノ
ールに変え、フォスファチジルエタノールアミンとリゾ
フォスファチジルコリンを溶出した。分離開始30分で
90%エタノールに変えてフォスファチジルコリンを溶
出させた。フォスファチジルコリン画分として分離開始
35分から85分の溶出物を集めた。このときフォスフ
ァチジルコリンの回収率は86%で2次元TLCの結果
単一スポットを示した。
【0024】比較例1 卵黄リン脂質(フォスファチジルコリン、リゾフォスフ
ァチジルコリン、フォスファチジルエタノールアミン、
リゾフォスファチジルエタノールアミン、スフィンゴミ
エリン) 実施例1と同様に卵黄リン脂質を90%エタノール単独
で溶出させたところ、15分から75分の画分はフォス
ファチジルコリンの回収率92%であったがリゾフォス
ファチジルコリンが0.7%含まれていた。純品として
のフォスファチジルコリンを提供できる部分を回収した
場合、フォスファチジルコリンの回収率が48%となっ
た。
【0025】比較例2 大豆分画レシチン(フォスファチジルコリン、リゾフォ
スファチジルコリン、フォスファチジルエタノールアミ
ン、リゾフォスファチジルエタノールアミン、トリグリ
セライド、ジグリセライド、遊離脂肪酸) 実施例2と同様の操作を行い、溶離液を90%エタノー
ルのみとした。分離開始35分から75分までの溶出物
を集めた。75分から85分は微量のフォスファチジル
コリンが含まれていたが収量に影響のない量であった。
得られた画分はフォスファチジルコリンの回収率79%
で、中性脂質12%、リゾフォスファチジルコリン0.
5%を含んでいた。また、純品としてのフォスファチジ
ルコリンを提供できる部分を回収した場合、フォスファ
チジルコリンの回収率は24%であった。
【0026】
【発明の効果】医薬品、化粧品に好適な純度の高いフォ
スファチジルコリンを効率よく精製することができる。
シリカゲル使用によるフォスファチジルコリンの単離を
効率化することができる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リン脂質含有組成物をシリカゲルカラム
    に通液し、溶離液で溶出させてフォスファチジルコリン
    を分取するに際し、溶離液として含水アルコールを使用
    し、かつ、アルコールの濃度を経時的に変化させて溶出
    を行うことを特徴とするフォスファチジルコリンの精製
    方法。
  2. 【請求項2】 低濃度から中濃度に経時的に変化させて
    溶出を行う請求項1記載のフォスファチジルコリンの精
    製方法。
  3. 【請求項3】 溶離液が含水エタノールである請求項1
    または2記載のフォスファチジルコリンの精製方法。
  4. 【請求項4】 低濃度が50〜80vol.%の濃度範
    囲のエタノール水溶液、中濃度が80〜95vol.%
    の濃度範囲のエタノール水溶液である請求項2または3
    記載のフォスファチジルコリンの精製方法。
  5. 【請求項5】 低濃度溶出の前に高濃度アルコールによ
    る溶出を行う請求項2、3または4記載のフォスファチ
    ジルコリンの精製方法。
  6. 【請求項6】 高濃度アルコールが90〜100vo
    l.%の濃度範囲のエタノール水溶液である請求項5記
    載のフォスファチジルコリンの精製方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN104230982A (zh) * 2014-10-09 2014-12-24 陕西源邦生物技术有限公司 一种由大豆粉末磷脂提取高含量磷脂酰胆碱的方法

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CN104230982A (zh) * 2014-10-09 2014-12-24 陕西源邦生物技术有限公司 一种由大豆粉末磷脂提取高含量磷脂酰胆碱的方法

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