JPH064653B2 - ホスフアチジルコリンの単離方法 - Google Patents

ホスフアチジルコリンの単離方法

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JPH064653B2
JPH064653B2 JP60281251A JP28125185A JPH064653B2 JP H064653 B2 JPH064653 B2 JP H064653B2 JP 60281251 A JP60281251 A JP 60281251A JP 28125185 A JP28125185 A JP 28125185A JP H064653 B2 JPH064653 B2 JP H064653B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、卵粉抽出液をシリカゲル上のクロマトグラフ
ィを行なうことによって、リゾリン脂質(lysophospholi
pid)を含まない純粋な1,2−ジアシル−グリセロ−3
−ホスフォコリン(ホスファチジルコリン)を単離する
新規の方法に関する。
リン脂質は、とりわけ食品工業、動物用栄養物、化粧
品、製薬業において使用されている。製薬業いおいて純
粋なホスファチジルコリンは、活性薬剤として、また非
経口投与用の脂肪乳懸液の調製およびリポゾームの生成
のために用いられる乳化剤のような助剤として使用され
ている。特に、非経口投与用として、溶血的に作用する
(heamolytically acting)リゾリン脂質を含まない卵ホ
スファチジルコリンは広く使用されている。
卵リン脂質の調製および回収のための出発材料として、
概ね下記の成分を有する生の卵黄が使用されている。
水 50% 卵脂質 31% 蛋白質 16% 灰 3% 卵脂質部分は、中性脂質(トリグリセリド、コレステリ
ン等)およびりん脂質よりなる。卵脂質部分の単離は、
例えばジメチルエーテルを用いる卵黄の直接抽出法(西
独国特許第第2,833,371号明細書に開示)により、また
は乾燥卵黄(卵黄の粉末)の抽出法によって実施されて
いる。
乾燥卵黄は、リン脂質の回収に好適に用いられる。それ
は下記のような成分を有する。
蛋白質 32% トリグリセリド/コレステリン 50% リン脂質 18% リン脂質は、好適には、石油エーテル、エーテル、クロ
ロホルム、メタノールまたはエタノールによる抽出法お
よびアセトンによる沈殿法によって回収される。これら
の方法は、米国特許第2,013,804号、西独国特許第260,8
86号、同第261,212号、同第272,057号、同第487,335
号、特開昭54-61200明細書に開示されている。リン脂質
部分は、ケー・オルシンガー(K.Orsinger)による「Seife
n-le-Fette-Wachse」109、495〜499(1983)によると、 ホスファチジルコリン(PC) 73% リゾホスファチジルコリン(LPC) 5〜6% ホスファチジルエタノールアミン(PE) 15% リゾホスファチジルエタノールアミン(LPE) 2〜3% ホスファチジルイノシトール(PI) 1% スフィンゴミエリン(SHA) 2〜3% プラスマローゲン(PLA) 1% の成分よりなる。
このリン脂質混合物は、ピー・エイチ・リスト(P.H.Lis
t)らによる「Pharmazeutische Verfahrenstechnik heut
e」1(7)1〜8(1980)に記載されているように「純粋な卵レ
シチン」とも称されている。またこの卵レシチンは食品
工業および製薬業において使用されている。
このリン脂質混合物を単一のリン脂質に分離する方法は
極めて複雑であるので大規模には実施されていないが、
リゾリン脂質を含有しない純粋なホスファチジルコリン
は、特に製薬業における使用が望まれている。純粋なホ
スファチジルコリン回収のための複雑な実験室方法が数
多く知られている。例えばエム.マーシュ(M.Marsh)等
による「Clinica Chimica Acta」43、87〜90(1973)によれ
ば、複雑な二重カラムクロマトグラフィによってリゾホ
スファチジルコリンを含まないホスファチジルコリンが
得られるが、この方法は勾配溶出を行うものであり製薬
業においては毒物学的に問題となり得るクロロホルム/
メタノールのような溶剤混合物が使用される。さらに溶
剤(共沸混合物)の回収が不可能である。
エヌ・エス・ラディン(N.S.Radin)は、「J.Lipid Res.〕
13、922〜924に記載したように卵レシチンを出発材料と
した。卵レシチンをエタノール中に溶解させ、アルミニ
ウムクロマトグラフィ用カラムに注入し、エタノールと
ともに溶離してホスファチジルエタノールアミンを分離
した。ホスファチジルコリン、リゾホスファチジルコリ
ン、スフィンゴミエリンおよび中性脂質を含む蒸発後の
流出液をヘキサン、イソプロパノールおよび水よりなる
溶質混合物中に溶解させ、SiO2−カラムに注入し同じ溶
剤混合物によって溶離する方法であるが収率は40乃至
43%である。リゾホスファチジルコリンおよびスフィ
ンゴミエリンの不純物を少量含有するホスファチジルコ
リンが得られるが、本方法は、複雑な4段階よりなる操
作を行ない各々4つの異なる溶剤および溶剤混合物を使
用することによってのみ実施可能である。さらに、この
方法によるとホスファチジルコリンの効率は卵粉に対し
てわずか44%である。
本発明の目的は、リゾホスファチジルコリンを含まない
高純度のホスファチジルコリンを卵粉から直接単離する
ための簡単な方法を提供することにある。
驚くべきことであるが石油エーテル、プロパノール−2
および水よりなる溶剤混合物によって卵粉を抽出した後
に、同じ溶剤混合物を使用してその抽出物をシリカゲル
上のカラムクロマトグラフィを行なうことによって、リ
ゾホスファチジルコリンを含まない高純度のホスファチ
ジルコリンが得られることが発見されたのである。
本発明の方法の特徴は、低沸点の石油エーテル留分(40
℃乃至80℃)、C1〜C4の低級アルカノールおよび水より
なる溶剤混合物、好適には1容積部の石油エーテル(65
℃乃至73℃)、1容積部の2−プロパノールおよび0.17
5容積部の水よりなる混合物で、卵粉を抽出する点にあ
る。即ち、卵粉を上記溶剤混合物で処理(例えば攪拌)
し、溶解されなかった物質を溶液相より分離し、その溶
液相を20℃乃至50℃の範囲内の温度においてシリカ
ゲルを充填したカラムに注入し、同じ溶剤混合物によっ
て同じ温度において溶離を行ない、主流出液を採集し、
それよりリゾホスファチジルコリンを含まないホスファ
チジルコリンを常法によって単離する方法である。初期
流出液においては、トリグリセリド、コレステリンおよ
びホスファチジルエタノールアミンが、主流出液におい
てはホスファチジルコリンが、さらに、終期流出液にお
いてはリゾホスファチジルコリンおよびスフィンゴミエ
リンが採集された。ホスファチジルエタノールアミン
は、周知の方法によれば前流出液より純粋な形態で単離
することができる。
出発材料として、予め精製した卵リン脂質、例えば脱油
した卵リン脂質を用いることもできる。
クロマトグラフィには、様々な粒子寸法を有するシリカ
ゲル普及品若しくは活性化または非活性化され得る圧縮
型のシリカゲルを用いることもできる。中性のシリカゲ
ル製品を用いることが望ましい。
本発明の方法は常圧または大気圧より高い圧力下におい
て、その圧力に対して許容できる温度、好適には20℃
乃至25℃において実施される。
本発明による方法の第1の利点は、クロマトグラフィを
行なった後に常にシリカゲルを再利用できる点にある。
全ての不純物が初期流出液および、終期流出液内に含ま
れている。終期流出液の採集は省略することもできる。
それは、カラムが再充填された場合は、その中に含まれ
る不純物がその後に続く初期流出液とともに溶離される
からである。
第2の利点は、カラムクロマトグラフィによる抽出およ
び分離に用いられるのは、1種類の容易に蒸留されうる
溶剤混合物である点にある。
周知の方法と比較して、本発明による新規な方法の特徴
は、実質的に操作が容易である点にある。
ホスファチジルコリンは、卵粉に対して92%の効率で
回収される。カラムクロマトグラフィによる分離におい
ては、卵脂質90gをシリカゲル200g上で分離する際に
必要な容出液はわずか4.2である。即ち本発明によ
る方法は、カラムクロマトグラフィでの一般的な精製よ
りもむしろ過の性質を有するものである。
本発明を以下の実施例によって詳しく説明するが、これ
に限定されるものではない。
分析 リン脂質を薄膜クロマトグラフィによって分析した。油
含有量は透析可能な物質い等しいとした。
カラムクロマトグラフィ、溶剤混合物 内径4.5cmおよび高さ37cmのクロマトグラフィカラ
ムを使用した。熱交換器をカラムの前に設けた。カラム
に、石油エーテル(65℃乃至73℃)/プロパノール−2
/水(容積比1:1:0.175)よりなる溶剤混合物中シ
リカゲル(Merck社製)200gのスラリーを充填した。同じ
溶剤混合物を卵粉の抽出および溶離に用いた。なおクロ
マトグラフィの終了後にシリカゲルを再利用することが
できる。
出発材料 下記の成分よりなる卵粉を用いた。
ホスファチジルコリン 11% スフィンゴミエリン 4% ホスファチジルエタノールアミン 3% リゾホスファチジルコリン 1.5% 他のリン脂質 0.5% 中性脂質/コレステリン 48% 蛋白質 32% 実施例1 第1段階 卵粉150gを10分間の間40℃において溶剤混合物300
mとともに攪拌した。蛋白質を吸引し、少量の溶質混
合物で洗浄した。卵黄90gを含む液300mが得ら
れた。
第2段階 液をシリカゲル(200g)を充填したクロマトグラフィの
カラムへ注入し、室温において同一の溶剤混合物によっ
て溶離した。全溶出液(5)を3つのフラクションに
分けた。フラクションを蒸発させ、残留物を分析した。
第1フラクション0乃至1.6残留物:69g (コレステリンを含有する)中性脂質、PE、LPE、PIな
らいに痕跡量のPCおよび痕跡量のSPHを含有した。
第2フラクション1.6乃至4.2残留物:16.1g PC含有量 94% SPH含有量 <2% LPC含有量: 0.3% 油分含有量: 0.5% 残り: 脂質、水その他 PC効率: 卵粉に対して理論値の92% 第3フラクション4.2乃至5.0残留物:4g SPH、LPCおよび痕跡量のPCを含有していた。
第2フラクションを採集した後に、卵脂質を再充填し
た。それによって第3フラクション中の生成物を第1フ
ラクション中の生成物とともに溶離することができる。
実施例2(比較例) 第1段階 特開昭54-61200号明細書に記載の方法によって実施し
た。
卵粉155gを室温において95%エタノール1350mとと
もに攪拌した。不溶性成分を過し95%エタノールで
洗浄した後に採集したエタノール液を蒸発させ、分析
した。
固体収量:卵脂質36g ホスファチジルコリン含有量: 42% スフィンゴミエリン含有量: 3% リゾホスファチジルコリン含有量: 2% ホスファチジルエタノールアミン含有量: 8% 残り:トリグリセリド、コレステリン等 第2段階 DE-OS3,047,048号明細書に記載の方法に従って実施し
た。
65℃の温度においてエタノールを溶離剤としてカラム
クロマトグラフィ(シリカゲル100g)を行なった。
カラム充填物:95%エタノール500ml中卵脂質36g 溶離剤:1)第1溶離剤として95%エタノール1.7 2)第2溶離剤として80%エタノール1.2 1.7の第1流出液を採集した後に、第2の流出液1.2
を採集した。第2の流出液を蒸発させ分析した。結果
は以下のとおりであった。
固体収量:10.4g ホスファチジルコリン含有量: 85% スフィンゴミエリン含有量: 6% リゾホスファチジルコリン含有量: 5% 油含有量:0.5% 残り:水、エタノール等 ホスファチジルコリン効率:卵粉に対する理論値の54% 第3段階 再使用する前に、95%エタノールを用いてカラムを再
び平衡に達せさせなければならない。
実施例3(比較例) エヌ・エス・ラディン(N.S.Radin)による「J.Lipid Re
s.〕19、922〜924(1978)に記載の方法に従って実施し
た。
第1段階 卵粉150gを室温において95%エタノール1.35によ
り抽出し、抽出物を過し蒸発させた。下記の成分を有
する生の卵レシチン36gが得られた。
ホスファチジルコリン 42% ホスファチジルエタノールアミン 8% リゾホスファチジルコリン 2% スフィンゴミエリン 3% 残り:トリグリセリド、コレステリン等 第2段階 卵レシチン10gを無水エタノール中に溶解し、A2O
3100g上のカラムクロマトグラフィを行なった。溶離剤
として無水エタノールを使用した。流出液を蒸発させ
て、下記の成分を有するリン脂質混合物(5g)が得られ
た。
ホスファチジルコリン 51% リゾホスファチジルコリン 3% スフィンゴミエリン 5% 残り:中性脂質、コレステリン等 第3段階 第2段階で得られたリン脂質混合物2.5gをヘキサン/
イソプロパノール/水(体積比1:1.3:0.2)の混合物
2.5m中に溶解し、シリカゲル100gを充填したカラム
中に注入した。同一の溶剤混合物をさらに100m注入
した後に、ヘキサン/イソプロパノール/水(体積比
1:1.3:0.25)の混合物1.4で溶離した。初期流出
液(トリグリセリド/コレステリン)が流出した後主流
出液を採集し蒸発させた。結果は下記のとおりであっ
た。
収 量:1.1g 成 分 ホスファチジルコリン含有量 91% スフィンゴミエリン含有量 2% リゾホスファチジルコリン 1% 水、残留溶剤、トリグリセリド 6% PC効率:卵粉に対して 44% 第4段階 再使用する前に、ヘキサン/イソプロパノール/水(体
積比1:1.3:0.2)の溶剤混合物とともにカラムを再び
平衡に達せさせた。以上の実施例を要約すると下記のよ
うになる。
出発材料:卵粉 実施例を比較すると明らかであるように、本発明によれ
ば、溶剤混合物を1種類だけ使用しかつ2段階よりなる
簡単な方法によって、高純度のホスファチジルコリンが
高収率で得られる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】卵粉を、低沸点(40℃乃至80℃)の石油エ
    ーテル留分とC1〜C4の低級アルカノールと水とからなる
    溶剤混合物で処理し、不溶性物質を溶液相より分離し、
    溶液相を、20℃乃至50℃の範囲内の温度においてシ
    リカゲルを充填したカラムに注入し、溶離をその温度に
    おいて同じ溶剤によって行ない、主な流出液を採集し、
    そして溶解しているホスファチジルコリンをそれより常
    法により単離することを特徴とするリゾリン脂質を含有
    しないホスファチジルコリンを卵粉から単離する方法。
  2. 【請求項2】軽質ペトロール(65乃至73℃)とプロ
    パノールと水とよりなる溶剤混合物を使用することを特
    徴とする特許請求の範囲第1項に記載の方法。
  3. 【請求項3】1容積部の軽質ペトロール(65℃乃至73
    ℃)と1容積部のプロパノール−2と0.175容積部の水
    とからなる溶剤混合物を使用することを特徴とする特許
    請求の範囲第1項または第2項に記載の方法。
  4. 【請求項4】出発材料である卵粉の処理を10分間乃至
    20分間の間20℃乃至50℃において行なうことを特
    徴とする特許請求の範囲第1項乃至第3項のいずれかに
    記載の方法。
  5. 【請求項5】カラムクロマトグラフィを20℃乃至25
    ℃において行なうことを特徴とする特許請求の範囲第1
    項乃至第4項のいずれかに記載の方法。
JP60281251A 1984-12-17 1985-12-16 ホスフアチジルコリンの単離方法 Expired - Lifetime JPH064653B2 (ja)

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