JPH083694A - 鋳鉄の溶接に有用な溶接材料から作られる溶接デポジット - Google Patents

鋳鉄の溶接に有用な溶接材料から作られる溶接デポジット

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Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】高温用途向けの、鋳鉄を溶接できる溶加材。 【構成】重量％で、ニッケル３０〜５０％、マンガン８
〜２０％、炭素０．６％以下、クロム、ニオブ、タンタ
ル、チタン、およびバナジウムからなる群から選択され
た少なくとも１種の炭化物形成物質１〜８％を含み、残
部が鉄および不可避的不純物である、鋳鉄の溶接に有用
な溶接材料から作られる溶接デポジット。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、溶接により形成される
溶加材の溶着金属（以下、「溶接デポジット」とい
う。）、特に鋳鉄の溶接に有用な溶接材料から作られる
溶接デポジットに関する。
【０００２】
【従来の技術】溶接デポジット中におけるグラファイト
の形成を促進する溶接製品は、現在すべてのタイプの鋳
鉄に使用されている。溶接デポジット中にグラファイト
を形成することにより、（１）凝固により発生する収縮
応力を相殺する体積膨脹を引き起こし、（２）一般的に
“粘性”があるニッケル含有合金デポジットを機械加工
し易くするチップブレーカーを形成し、（３）炭化物を
無くしてグラファイトを形成し、非常に硬く、脆い炭化
物の形成により引き起こされるデポジット中の亀裂傾向
を下げる、という利点が得られる。
【０００３】一般的に、鋳鉄溶接デポジット中の炭化物
の大きさおよび体積画分を増加することにより、溶接デ
ポジットの亀裂傾向が増加する。今日市販されている事
実上すべての鋳鉄溶接製品は、グラファイト相の利点を
与え、亀裂を最少に抑えるために、グラファイト形成技
術を使用している。さらに、耐酸化性を強化するため
に、溶接金属にアルミニウムおよびケイ素を加えること
が多い。アルミニウムおよびケイ素はさらに、鉄の鋳造
におけるグラファイト相安定剤として作用する。
【０００４】ダクタイル鉄を、従来のグラファイト形成
ニッケル−鉄製品で、アルミニウム処理した鋼に溶接す
ると、溶接部の高温特性が悪くなることが分かってい
る。高温では、グラファイトが粒界および溶接部の中央
線に移行し、弱い区域を形成する。約５００〜８００℃
の温度で、鋳鉄製品へのグラファイト含有溶接部が急速
に壊れる。
【０００５】
【発明が解決すべき課題】本発明の目的は、高温で壊れ
ない溶接デポジットを提供することである。本発明の別
の目的は、高温用途向けの、鋳鉄を溶接できるフラック
ス入り溶接ワイヤまたはフラックス被覆した電極を提供
することである。本発明の別の目的は、高温用途向け
の、鋳鉄を溶接できる溶加材を提供することである。本
発明のもう一つの目的は、高温用途向けの、アルミニウ
ム処理した鋼を鋳鉄に溶接できる溶接材料を提供するこ
とである。
【０００６】
【課題を解決するための手段】本発明は、希釈されてい
ない条件で測定して、ニッケル約３０〜５０重量％、マ
ンガン約８〜２０重量％、炭素０．６重量％以下、炭化
クロム、炭化ニオブ、炭化タンタル、炭化チタンまたは
炭化バナジウムからなる群から選択された少なくとも１
種の炭化物約１〜８重量％を含み、残りが鉄および不可
避な不純物である溶接デポジットを形成する、鋳鉄の溶
接に有用な溶接材料を提供する。
【０００７】以下に、本発明を詳細に説明する。炭化物
を形成する元素をニッケル−鉄−マンガン合金に加え、
鋳鉄溶接デポジット中に安定した炭化物相を形成できる
ことが分かった。形成される炭化物は安定しており、５
００〜８００℃の温度で移行しない。炭化物形成物質
は、クロム、ニオブ、タンタル、チタンおよびバナジウ
ムからなる群から選択される。
【０００８】特に、約３０〜５０％のニッケルを含み、
残りが鉄と不可避的不純物であるマトリックスを有する
溶接デポジットを使用してオーステナイト系マトリック
スを製造する。溶接デポジットが約３５〜４５％のニッ
ケルを含むのが最も有利である。さらに、溶接部金属の
融点を鋳鉄の融点近くに下げるために、溶接デポジット
は約８〜２０％のマンガンを含む。最も有利なのは、溶
接デポジットが１０〜１５％のマンガンを含むことであ
る。なお、特に指示が無い限り、本明細書において組成
はすべて重量％で表示し、溶接デポジットの組成範囲は
すべて希釈していない条件で測定したものである。
【０００９】溶接材料は、炭化物を形成するために炭素
０．６％以下を含む。鋳鉄から希釈するだけで、炭化物
形成のための炭素を供給することも可能である。しか
し、少なくとも約０．０５〜０．４％の炭素を溶接デポ
ジットに加え、炭化物形成を促進し、溶接材料の融点を
さらに下げるのが有利である。
【００１０】溶接デポジットは、炭化クロム、炭化ニオ
ブ、炭化タンタル、炭化チタンおよび炭化バナジウムか
らなる群から選択された少なくとも１種の炭化物で形成
された約１〜８重量％の炭化物を含む。炭化物は、炭化
クロムおよび／または炭化ニオブであるのが最も有利で
ある。溶接の際に、元素状の炭化物形成物質が炭素と結
合し、高温で安定した炭化物を形成する。
【００１１】溶接材料は、炭化物形成フラックスを含む
ニッケル／鉄／マンガンシース、またはマンガンを含む
ニッケル／鉄シースおよび炭化物形成フラックスから構
築されているのが有利である。フラックスは、クロム粉
末および／またはニオブ粉末を含むのが有利である。あ
るいは、溶接デポジットは、被覆された溶接電極から形
成することもできる。また、フラックス被覆した溶接電
極を使用する場合、フラックスを通して炭化物形成物質
を加えるのも有利である。
【００１２】溶接デポジットは、溶加材ワイヤから直接
形成することもできる。溶加材は約３５〜４５％のニッ
ケル、約１０〜１５％のマンガン、および約１〜８％
の、クロム、ニオブ、タンタル、チタンおよびバナジウ
ムからなる群から選択された少なくとも１種の元素を含
むのが有利である。この元素はクロムおよび／またはニ
オブであるのが最も有利である。
【００１３】
【実施例】以下に、本発明を実施例によりさらに説明す
る。希釈していない状態で測定して、Ｎｉ２８〜３２
％、Ｍｎ８〜９％、Ｃ０．６〜０．７％、Ｃｒ１．２％
を含み、残りが鉄である溶接デポジットを形成した。こ
の溶接デポジットは、オーステナイトマトリックス中
に、構造的または骨格状のセメンタイトまたは炭化物を
有していた。温度６７９〜７６０℃における数サイクル
の後、その形態はオーステナイトマトリックス中に分散
した比較的小さな炭化物であった。これらの炭化物は、
グラファイト含有溶接デポジットに特徴的な弱い区域を
形成しなかった。
【００１４】本発明の溶接材料は、溶接されている材料
から与えられるグラファイト化元素を圧倒する炭化物形
成物質の供給源を含む。この溶接材料は、鋳鉄およびア
ルミニウム処理した鋼、鋳鉄またはステンレス鋼の間に
溶接デポジットを形成するのに使用される。グラファイ
トの代わりに炭化物が形成されるために、機械加工性が
犠牲になる。しかし、本発明の溶接材料のための高温用
途が良好な機械加工性を必要とすることはない。さら
に、様々な等級のダクタイル鉄では、ダクタイル鉄が優
れた溶接性および耐亀裂性を有するので、体積を増加さ
せて鋳鉄の亀裂を防止するためにグラファイトを排除す
る必要はない。
【００１５】特に、希釈された状態で、ニッケル約４０
％、Ｍｎ１１〜１３％、炭素０．２〜４％、クロム１〜
８％（または他の炭化物形成物質）を含み、残りが鉄で
ある溶接デポジット組成が最も有利である。この溶接デ
ポジット組成により、溶接者はアルミニウム処理した鋼
をダクタイル（またはねずみ）鉄に溶接することができ
る。これにより、破損につながる弱い区域の問題を起こ
すことなく、５００〜８００℃に露出することができ
る。
【００１６】法律の規定により本発明の具体的な実施態
様を例示し、説明した。無論、当業者は、請求項に規定
する本発明の範囲内で変形を行なうことができ、本発明
の特定の特徴を、他の特徴を対応して使用することなく
有利に使用することができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】重量％で、ニッケル３０〜５０％、マンガ
    ン８〜２０％、炭素０．６％以下、クロム、ニオブ、タ
    ンタル、チタン、およびバナジウムからなる群から選択
    された少なくとも１種の炭化物形成物質１〜８％を含
    み、残部が鉄および不可避的不純物であることを特徴と
    する、鋳鉄の溶接に有用な溶接材料から作られる溶接デ
    ポジット。
  2. 【請求項２】溶接デポジットが、重量％で、ニッケル３
    ５〜４５％、マンガン１０〜１５％、および炭素０．０
    ５〜０．４％を含む、請求項１に記載の溶接デポジッ
    ト。
  3. 【請求項３】溶接デポジットが、鋳鉄と、アルミニウム
    処理した鋼、鋳鉄およびステンレス鋼からなる群から選
    択された合金との間に形成される、請求項１に記載の溶
    接デポジット。
  4. 【請求項４】溶接デポジットが、少なくとも０．２重量
    ％の炭素を含む、請求項１に記載の溶接デポジット。
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