JPH083633A - 表面硬化金属ショットの製造方法 - Google Patents
表面硬化金属ショットの製造方法Info
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Abstract
向上することのできる表面硬化金属ショット。 【構成】金属ショット材29の表面に、同材の硬度と同
等以上の硬度を有するショット26を噴射速度80m/
秒以上で噴射し、金属ショット材29の表面付近に高温
となる局部的な温度上昇を生じさせ、鉄系の金属ショッ
ト材29及びショット26はA3変態点以上に、非鉄系
の金属ショット材29及びショット26は再結晶温度以
上に上昇させ、その後急冷して金属ショット材29の表
面から約20μの深さの表面層の金属組織を微細化して
高硬度で靭性に富む組織とし、金属ショット材29及び
ショット26の一部を回収し、この回収した金属ショッ
ト材29及びショット26を再び未回収の金属ショット
材29及びショット26の表面へ噴射し、この工程を繰
り返した金属ショット材29及びショット26から成る
表面の硬度を満遍なく向上させた金属ショット。
Description
の製造方法に関し、特に、鋼、ステンレスあるいはハイ
ス等の鉄系金属もしくはアルミニウム、真鍮、銅合金、
チタン合金等の非鉄系金属などの加工対象である金属シ
ョット材の表面にブラスト装置でショットを衝突させ
て、その衝突時発生する熱エネルギで金属ショット材の
表面温度を上昇させて熱処理を施し金属ショットの表面
を硬化する製造方法に関する。さらには、超硬合金、セ
ラミック合金等の粉末合金で形成される金属ショット材
の表面を硬化した金属ショットの製造方法に関する。
方法は、通常の熱処理方法、つまり、金属ショット材を
熱処理炉中で焼入れ温度に上昇させ、その後急冷して金
属ショット材の表面に焼入れを施していた。例えば、鉄
系の金属ショット材の場合は、焼入れ温度800゜Cで
焼入れし、その後200゜Cで焼もどしをしていた。
方法としては、アトマイズ法があり、このアトマイズ法
では前述のような通常の焼入れ、焼もどしの熱処理を施
されなかった。アトマイズ法とは、高速の液体を用いて
溶融合金金属を飛散微粒化と急冷凝固を瞬時に起こして
微粉末の金属ショットを製造する方法で、例えば、溶融
合金金属をノズルより棒状に流出させ、この棒状の溶融
合金金属の周囲から高速の液体を前記棒状の溶融合金金
属の一点に集中するように溶融合金金属の流出方向斜め
方向に向けて噴射する。すると、高速の液体は溶融合金
金属の一点に集中すると同時に噴霧化し、溶融合金金属
も噴化つまり飛散微粒化し且つ急冷凝固が瞬時に行なわ
れ、微粉末の金属ショットを製造するという方法であ
る。
製造方法として、カットワイヤ・ショットを加工する前
に熱処理を施す方法がある。つまり、金属ワイヤを通常
の表面熱処理方法で焼入れした後、この熱処理した金属
ワイヤを所望の金属ショットの粒径とほぼ同じ長さに切
断して円筒形状にし、この円筒形状の金属を遠心式のブ
ラスト装置のインペラにより炭素工具鋼などの硬度が高
い金属板に噴射して、この衝撃で円筒形状の角を丸くし
てカットワイヤ・ショットを製造していた。しかし前記
円筒形状の金属ワイヤは直径0.4mmまでならば円筒形
の角を丸くできるが、それ以下の小さいものは軽いため
噴射されるスピードが遅くなるので円筒形の角を丸くで
きなかった。
属ショットの方法においては、以下の問題点があった。
あるいはハイス等の鉄系金属である場合、粒径が0.3
mm以下の金属ショット材は、前述した通常の焼入れ、焼
もどしの熱処理を行なうと、金属ショット材同士が溶着
してしまうため使用不可能となり、通常の熱処理では表
面熱処理を施すことが不可能であった。
鍮、銅合金、チタン合金等の非鉄系金属である場合、粒
径が0.2〜0.04mmの金属ショット材は、上記の鉄
系金属ショット材の場合と同様の理由で、通常の熱処理
では表面熱処理を施すことが不可能であった。
3mm以下の小径の鉄系金属ショット材の場合は、金属シ
ョット材同士の溶着を防止するため大径の鉄系金属ショ
ット材と混合して、通常の焼入れ、焼もどしの熱処理を
行なっていた。しかし、このような方法では、例えば、
粒径0.3mmと粒径0.4mmの鉄系金属ショット材を混
合した場合、大径の0.4mmの金属ショット材を基準に
熱処理するため、小径の0.3mmの金属ショット材の硬
度が高くならないという問題点があった。
前に熱処理を施す方法の場合、金属ショット材は直径
0.25mmまでは熱処理可能であるが、それ以下の径で
は不可能であった。しかも小径な金属ワイヤほど細かく
カットしなければならず、また金属ワイヤの硬度が高く
なればなるほど細かくカットしにくくなるためコストが
高くなるという問題点があった。さらに、金属ワイヤを
細かくカットした場合、その後再度焼入れ、焼もどしの
熱処理をする必要があり、上記(2)項と同様の理由で
小径のカットワイヤ・ショットの場合は金属ショット材
同士が溶着してしまうため硬度を高くすることができな
い。
下のカットワイヤ・ショットは使用されていない。
発されたもので、金属ショット材の表面硬度を上昇させ
てショットの耐久性を向上させ、特に、従来の技術では
難しかった粒径が小径の金属ショット材の表面硬度を上
昇させて耐久性を向上させることのできる金属ショット
の製造方法を提供することを目的とする。
に、本発明の表面硬化金属ショットの製造方法において
は、金属ショット材29の表面に、前記金属ショット材
29の硬度と同等以上の硬度を有するショット26を噴
射速度80m/sec以上で噴射し、金属ショット材29の
表面付近の温度を、鉄系の金属ショット材29はA3変
態点以上に、もしくは非鉄系の金属ショット材29は再
結晶温度以上に上昇させ、金属ショット材29の表面の
硬度を向上することを特徴とするものである(請求項1
に該当する)。
の製造方法においては、金属ショット材29の表面に、
前記金属ショット材29の硬度と同等以上の硬度を有す
るショット26を噴射速度80m/sec以上で噴射し、金
属ショット材29の表面付近の温度を、鉄系の金属ショ
ット材29はA3変態点以上に、もしくは非鉄系の金属
ショット材29は再結晶温度以上に上昇させると共に、
前記金属ショット材29及び該金属ショット材29に噴
射した前記ショット26の一部を回収し、この回収した
金属ショット材29及びショット26を再び未回収の金
属ショット材29及びショット26の表面へ噴射し、こ
の工程を繰り返して金属ショット材29の表面の硬度を
向上させた金属ショットを得ることを特徴とするもので
ある(請求項2に該当する)。
造方法において、前記ショット26は前記金属ショット
材29と同材質で異なる粒径の金属成分から成るショッ
トとすることができ、もしくは金属ショット材29と異
なる材質で同一粒径の金属成分から成るショットとする
ことができ、もしくは前記金属ショット材29と異なる
材質で異なる粒径の金属成分から成るショットとするこ
とができるが、表面硬化処理後にショット26と異なる
金属ショット材29をそれぞれ分級する必要がないとい
う点で、ショット26を金属ショット材29と同材質で
同一粒径の金属成分から成るショットとすることは特に
好ましい。
29と同材質で異なる粒径の金属成分から成る場合と、
ショット26が金属ショット材29と異なる材質で同一
粒径の金属成分から成る場合と、ショット26が前記金
属ショット材29と異なる材質で異なる粒径の金属成分
から成る場合は、表面硬化処理後、篩などの分級装置を
用いてショット26と金属ショット材29をそれぞれ分
級することができるが、分級せずにショット26と金属
ショット材29とを混在したものを、被加工物をブラス
ト加工するするときのショットとして用いてもよい(請
求項3、請求項4、請求項5、請求項6に該当する)。
ト26の粒径が0.3mm以下で、ショット26を噴射速
度80m/sec以上で噴射することにより、小径のショッ
ト26及び金属ショット材29の表面付近の温度を、鉄
系の金属ショット材29はA3変態点以上に、もしくは
非鉄系の金属ショット材29は再結晶温度以上に確実に
上昇させることができ、ショット26と金属ショット材
29の表面を硬化させることができる。なお、鉄系金属
成分から成るショット26のとき噴射速度を100m/se
c以上とし、非鉄系金属成分から成るショット26のと
き噴射速度を80m/sec以上とすることは、金属ショッ
ト材の表面の温度上昇を確実に高温にすることができる
という点で、特に好ましい(請求項7に該当する)。
ことは、金属ショット材29の表面を満遍なく硬化させ
ることができるという点で、特に好ましい。例えば、前
記金属ショット材29を開口を有する容器内に投入し、
この容器を回転させて金属ショット材29を撹拌するこ
とができる。特に前記容器の開口を斜め上向きに傾斜さ
せた状態で回転させることは、容器内の金属ショット材
29及び噴射されたショット26が自重により常時容器
の下方へずり落ちて効率よく撹拌されるという点と、金
属ショット材29及び噴射されたショット26が過剰に
なると容器の開口からあふれて下方へ落下するので落下
した金属ショット材29及びショット26を回収しやす
いという点で、特に望ましい(請求項8に該当する)。
の製造方法としては、金属成分から成るショット26を
金属ショット材として、該ショット26の硬度と同等以
上の硬度を有する金属体の表面に噴射速度80m/sec以
上で噴射し、金属ショット材たるショット26の表面付
近の温度を、鉄系のショット26はA3変態点以上に、
もしくは非鉄系のショット26は再結晶温度以上に上昇
させ、金属ショット材たるショット26の表面の硬度を
向上することを特徴とするものである(請求項9に該当
する)。
を、金属ショット材として前記ショット26の硬度と同
等以上の硬度を有する金属体の表面に噴射速度80m/se
c以上で噴射し、ショット26の表面付近の温度を、鉄
系のショット26はA3変態点以上に、もしくは非鉄系
のショット26は再結晶温度以上に上昇させると共に、
前記ショット26を回収し、この回収したショット26
を再び前記金属体の表面へ噴射し、この工程を繰り返し
て金属ショット材たるショット26の表面の硬度を向上
することを特徴とするものである(請求項10に該当す
る)。
具鋼のような表面硬度の高い材質の鋼板材を使用するこ
とができる。
数の各種圧粉体から成る粉末合金で形成し、金属ショッ
ト材29の表面付近の温度を、金属ショット材29の各
種圧粉体のうち結合剤となる圧粉体の再結晶温度以上に
上昇させることができる(請求項11に該当する)。
ト材29の硬度と同等以上の硬度を有するショット26
を噴射速度80m/sec以上で噴射すると、鉄系の金属シ
ョット材29の表面付近の温度はA3変態点以上に、も
しくは非鉄系の金属ショット材29の表面付近の温度は
再結晶温度以上に上昇する。
度の変化は、金属ショット材29及びショット26の硬
度により異なるが、衝突後の速度は低下する。この速度
の変化はエネルギー不変の法則により、その大部分は熱
エネルギーに変換され、ショット26の衝突した変形部
分のみで熱交換が行なわれるので、温度上昇は金属ショ
ット材29の表面付近に局部的に生ずる。
速度に比例するので、ショット26の噴射速度を80m/
sec以上の高速にすると、粒径が0.3mm以下の小さい
ショット26でも金属ショット材29の表面の温度上昇
を均一にまた高温にできる。
ット26の表面も同様に温度上昇し、金属ショット材2
9及びショット26がハイスビーズなどの鉄系の場合
は、金属ショット材29及びショット26の母材のA3
変態点以上に達し、この温度上昇が金属ショット材29
及びショット26の表面層付近に局部的なものであるゆ
え、その後急冷される。また、さらに後続するショット
26によりピーニング加工や、上昇する温度が低いとき
や冷却速度が遅いときは焼き戻し処理の効果が生じ、金
属ショット材の表面から約20μの深さの表面層の金属
組織が微細化され高硬度で靭性に富む組織となる。
材29をどちらも金属成分から成るショットとすること
は、金属ショット材29及びショット26の表面に効率
よく表面硬化処理を施せるという点で、単に金属体の表
面に金属ショット材たるショット26を噴射してショッ
ト26の表面を硬化するより好ましい。
6の一部を回収し、この回収した金属ショット材29及
びショット26を再び未回収の金属ショット材29及び
ショット26の表面へ噴射し、この工程を繰り返すこと
により、金属ショット材29及びショット26はそれぞ
れ、満遍なく表面硬化処理され、効率よく高硬度で靭性
に富む組織を有する金属ショットを得ることができる。
る。
力式のブラスト装置であるが、エア式であれば直圧式で
も、あるいは他のブラスト装置でもよい。
〜750、粒径#300(50μ)の小径のハイスビー
ズ(1.7%C,4.0%Cr,2.0%Mo,15.0%W,5.0%V,8.0%Co成分)の
金属成分から成るショット26(本明細書において、回
収タンク23内およびノズル22から噴射される金属成
分のショットを「金属成分から成るショット」または、
単に「ショット」という)を重量10kgを回収タンク2
3内に投入する。一方、加工対象物として前記ショット
26と同材質で同粒径の金属ショット材29(この実施
例の場合、バレル24内の金属成分から成るショット
を、本明細書において、加工材料という意味で、「金属
ショット材」という)を重量10kgをキャビネット21
内に設けたバレル24内に投入する。バレル24は開口
を有するカゴ状の容器で、前記キャビネット21内に前
記バレル24の開口を斜め上向きにして回転可能に設け
ており、減速モータ27により毎分3回転の速さで回転
する。前記回収タンク23の下端はショット量調整器3
1を経て管28を介してキャビネット21内に設けたノ
ズル径5mmのノズル22に連通している。図示せざる圧
縮空気供給源から圧縮空気を管34を介してノズル22
へ供給すると、回収タンク23内のショット26はショ
ット量調整器31および管28を介してノズル22から
バレル24内の金属ショット材29へ噴射され、ノズル
22から噴射されたショット26は回転するバレル24
内の金属ショット材29に衝突する。バレル24内の金
属ショット材29とノズル22から噴射され衝突したシ
ョット26はそれぞれ、衝突時のエネルギにより表面が
局部的に焼入れ温度まで上昇し且つ急激に冷却されて焼
入れ処理される。
施例1に示すような良好な結果が得られたが、その理由
を以下に詳しく説明する。先ず、金属ショット材29の
表面に前記ショットを噴射したときの温度上昇について
説明する。
は、金属ショット材29及びショットの硬度により異な
るが、衝突後の速度は低下する。この速度の変化はエネ
ルギー不変の法則により、音以外にその大部分は熱エネ
ルギーに変換される。熱エネルギーは衝突時に衝突部が
変形することによる内部摩擦と考えられるが、ショット
の衝突した変形部分のみで熱交換が行なわれるので部分
的には高温になる。
昇する部分の重量は、ショットの衝突前の速度に比例し
て大きくなり、温度上昇は金属ショット材29の表面付
近に局部的に生ずる。
表面硬度が共に高い場合の衝突においては反発係数eは
1に近いが、この場合は変形部分が小さいため局部的に
はより高温になる。
に比例するので、ショットの噴射速度を高速にする必要
があり、粒径が200〜40μと小さい方が80m/sec
以上の高速で噴射でき、しかも金属ショット材29の表
面の温度上昇を均一にできる。ただし、ショットを高速
で噴射できるのであれば粒径はこの限りではない。
29の表面層の温度が上昇して、金属ショット材29が
ハイスビーズなどの鉄系の場合は、金属ショット材29
の母材のA3変態点以上に達し、この温度上昇が金属シ
ョット材29の表面層付近に局部的なものであるゆえ、
その後急冷される。また、さらに後続するショットによ
りピーニング加工や、上昇する温度が低いときや冷却速
度が遅いときは焼き戻し処理の効果が生じ、金属ショッ
ト材29の表面から約20μの深さの表面層の金属組織
が微細化され高硬度で靭性に富む組織となる。
ノズル22から噴射されたショット26はバレル24の
回転により撹拌され、且つバレル24からあふれてキャ
ビネット21の下方へ落下する。ダストコレクタ38の
排風機39の回転により管32及び回収タンク23、導
管33、キャビネット21内が負圧になり、キャビネッ
ト21から導管33、回収タンク23、管32へ流れる
気流が発生する。したがって、前述したようにバレル2
4より落下した金属ショット材29及びショット26、
さらにキャビネット21内の粉塵は、キャビネット21
に連通する導管33内を上昇して前記キャビネット21
の上部の回収タンク23内へ送給され、この回収タンク
23で粉塵とショット26に分級され、ショット26は
回収タンク23内の下方へ回収される。一方、粉塵は回
収タンク23の上部に連結する管32を介してダストコ
レクタ38へ送られ、ダストコレクタ38内の下方へ集
積され清浄な空気が排風機39より外気中へ排出され
る。
び管28を経てノズル22よりバレル24内の金属ショ
ット材29へ噴射し、互いに衝突した金属ショット材2
9及びショット26がそれぞれ表面硬化処理され、以上
の工程が繰り返される。
26がノズル22より噴射され1時間ほどブラスト処理
する。したがって、ブラスト装置内には20kgの金属成
分から成るショットを投入しているので、単純計算する
と、1時間のブラスト処理の間に各ショット26及び金
属ショット材29は前述した一連の工程を15回ほど循
環して行なわれる。したがって、各金属ショット材は表
面全体に熱処理され、その表面硬度はHv1000〜1
100に上昇した。
条件、並びにその結果をまとめると下表のようになる。
(50μ)、硬度600〜700Hvのスチールビーズ
(0.9〜1.1%C,<1.3%Si,<1.0%Mn,成分)に対して、実施例
1と同様の要領で表面硬化処理を施した。以下に、実施
したブラスト加工処理条件、並びにその結果を示す。
(0.2mm)、硬度250〜350Hvのステンレスビ
ーズ(0.2〜0.3%C,<1.3%Si,<1.0%Mn,18〜20%Cr,8〜10.5
%Ni,成分)に対して、実施例1と同様の要領で表面硬化
処理を施した。以下に、実施したブラスト加工処理条
件、並びにその結果を示す。
(50μ)、硬度650〜750Hvのハイスビーズ
(1.3%C,4.0%Cr,5.0%Mo,6.0%W,3.0%V,8.0%Co成分)に対
して、実施例1と同様の要領で表面硬化処理を施した。
以下に、実施したブラスト加工処理条件、並びにその結
果を示す。
ト材についても、実施例5、実施例6に示すように表面
硬化処理を施した。
0.4mm×長さ0.4mm、硬度80〜100Hvのアル
ミ合金カットワイヤ(<0.1%Zn,<0.1%Cr,<0.1%Cu,<0.3%S
i,<0.4%Fs,0.1%Mn,5%Mg,残Al成分)に対して、実施例1
と同様の要領で表面硬化処理を施した。被射体として硬
度700HvのSKD11の鋼板材を用い、この鋼板材
の表面に前記アルミ合金カットワイヤを噴射した。以下
に、実施したブラスト加工処理条件、並びにその結果を
示す。
(50μ)、ショット硬度650〜750Hvの銅合金
(17%Ni,20%Zn,0.4%Mn,0.04%Fe,残Cu)に対して、実施例
1と同様の要領で表面硬化処理を施した。被射体として
硬度700HvのSKD11の鋼板材を用い、この鋼板
材の表面に前記銅合金のショットを噴射した。以下に、
実施したブラスト加工処理条件、並びにその結果を示
す。
×長さ0.4mmのアルミ合金カットワイヤ、いわば大径
のショットに対して表面硬化処理を施したものである
が、ショットの表面硬度は80〜100Hvから150
〜200Hvに向上しており、従来行なっていたような
通常の焼入れ、焼もどしの熱処理は不要であるという良
好な結果を得た。しかも、実施例6では粒径が0.3mm
以下の銅合金のショットであり、いわば小径の非鉄系金
属ショットに対しても充分な表面硬化処理を施すことが
できた。このことから、本発明の表面硬化金属ショット
の製造方法方法は小径及び大径の非鉄系金属ショットに
対しても良好な結果を得た。また、実施例5及び実施例
6では硬度の高い鋼板材を被射体とし、この被射体の表
面に金属成分から成る金属ショット材としてのショット
26を噴射しているが、この場合でもショット26の表
面に充分良好な表面硬化処理を施すことができた。
ット(「本願ショットA」とする)、並びに従来の金属
ショット(本願の表面硬化処理加工前の金属ショット材
と同種の金属ショットであり、これを「従来ショット
A」とする)を用いて種々の金属成品に対してブラスト
加工を実施し、それぞれの結果の比較例を以下に示す。
但し、以下に示す比較例の本願ショットは、前述した実
施例で得たショットとは必ずしも同じものではない。
ショットA」、「従来ショットA」と同じであるが、シ
ョット材質、ショット硬度が異なる本願の金属ショット
(「本願ショットX」とする)も比較した。
工条件のうち共通の条件は表7−1に示し、異なる条件
は表7−2に示す。
「本願ショットA」のときの噴射圧力を「従来ショット
A」の場合より低くしても、金属成品の処理表面応力、
表面組織、表面硬度などの同等の金属成品のブラスト加
工処理状態が得られ、さらに「本願ショットA」の消耗
量が「従来ショットA」の場合に対して1/3であっ
た。なお、ショットの消耗量とは、ノズル1本当りの1
時間の消耗料を表し、単位は(g)である。
金属ショットは耐久性が向上しており、「本願ショット
A」は金属ショットが小径であるにもかかわらず、本願
の製造方法により金属ショット材の表面に安定した表面
硬化処理を施したものであることが明らかである。
トA」および「従来ショットA」とは材質が異なるので
あるが、ショット硬度は「本願ショットA」より高いの
で噴射速度を「本願ショットA」よりさらに低くしても
同等の金属成品のブラスト加工処理状態が得られ、しか
も「本願ショットX」の消耗量は「従来ショットA」の
場合に対して1/4であり、「本願ショットA」の消耗
量より少なかった。
ト硬度が高いほどショットの寿命が伸びており、本願の
表面硬化金属ショットの製造方法は大径のショットに対
しても効率よく表面硬度を高くすることができるが、特
に従来の熱処理方法では難しかった小径のショットに対
しても表面硬度を高くすることができたことの効果は大
きいものである。
本願の金属ショット(「本願ショットB」とする)、並
びに従来の金属ショット(本願の表面硬化処理加工前の
金属ショット材と同種の金属ショットであり、これを
「従来ショットB」とする)を用いて種々の金属成品に
対してブラスト加工を実施し、それぞれの結果の比較例
を以下に示す。
工条件のうち共通の条件は表8−1に示し、異なる条件
は表8−2に示す。
前述の比較例1と同様に、「本願ショットB」のときの
噴射圧力を「従来ショットB」の場合より低くしても、
金属成品の処理表面応力、表面組織、表面硬度などの同
等の金属成品のブラスト加工処理状態が得られ、さらに
「本願ショットB」の消耗量が「従来ショットB」の場
合に対して1/5であった。したがって、本願の表面硬
化処理を施した金属ショットは耐久性が向上しており、
「本願ショットB」は金属ショットが小径であるにもか
かわらず、本願の表面硬化金属ショットの製造方法によ
り金属ショットの表面に安定した表面硬化処理を施した
ものであることが明らかである。
較例2とは異なる本願の金属ショット(「本願ショット
C」とする)、並びに従来の金属ショット(本願の表面
硬化処理加工前の金属ショット材と同種の金属ショット
であり、これを「従来ショットC」とする)を用いて種
々の金属成品に対してブラスト加工を実施し、それぞれ
の結果の比較例を以下に示す。
工条件のうち共通の条件は表9−1に示し、異なる条件
は表9−2に示す。
前述の比較例1と同様に、「本願ショットC」のときの
噴射圧力を「従来ショットC」の場合より低くしても、
金属成品の処理表面応力、表面組織、表面硬度などの同
等の金属成品のブラスト加工処理状態が得られ、さらに
「本願ショットC」の消耗量が「従来ショットC」の場
合に対して1/2であった。したがって、本願の表面硬
化処理を施した金属ショットは耐久性が向上しており、
「本願ショットC」は金属ショットが小径であるにもか
かわらず、本願の表面硬化金属ショットの製造方法によ
り金属ショットの表面に安定した表面硬化処理を施した
ものであることが明らかである。
ているので、以下に記載されるような効果を奏する。
ショット材の硬度と同等以上の硬度を有するショットを
噴射速度80m/sec以上で噴射し、金属ショット材の表
面付近の温度を、鉄系の金属ショット材はA3変態点以
上に、もしくは非鉄系の金属ショット材は再結晶温度以
上に上昇させたので、金属ショットの表面硬度を向上さ
せ、耐久性を向上できた。特に、従来の技術では難しか
った0.3mm以下の小径の金属ショットの表面硬度を効
率よく確実に上昇させることができた。(請求項1に該
当) (2)金属ショット材及びショットを同材質で同一粒径
としたので、表面硬化処理後に金属ショット材とショッ
トを分級する必要がなく生産効率がよい。(請求項3に
該当) (3)金属ショット材及びショットを幾度も回収して、
この回収した金属ショット材及びショットを未回収の金
属ショット材及びショットの表面に幾度も噴射して表面
硬化処理を施したので、金属ショット材の表面全体に満
遍なく熱処理を施すことができ、金属ショットの耐久性
をより一層向上させることができた。(請求項2又は1
0に該当) (4)金属ショット材を撹拌したので、金属ショット材
の表面全体に満遍なく熱処理を施すことができ、金属シ
ョットの耐久性をより一層向上させることができた。
(請求項8に該当) (5)金属成分から成るショットを、金属ショット材と
し、前記ショットの硬度と同等以上の硬度を有する金属
体の表面に噴射速度80m/sec以上で噴射し、ショット
の表面付近の温度を、鉄系のショットはA3変態点以上
に、もしくは非鉄系のショットは再結晶温度以上に上昇
させた場合、硬度の高い鋼板材などのを被射体の表面に
金属成分から成るショット26を金属ショット材とし、
噴射しても、ショット26の表面に充分良好な表面硬化
処理を施すことができた。(請求項9又は10に該当) (6)金属ショット材は複数の各種圧粉体から成る粉末
合金で構成し、金属ショット材の表面付近の温度を、金
属ショット材の各種圧粉体のうち結合剤となる圧粉体の
再結晶温度以上に上昇させたので、粉末合金で成るショ
ット又は金属ショット材に対しても本発明の表面硬化金
属ショットの製造方法を適用できた。
を示すものである。
Claims (11)
- 【請求項1】 金属ショット材の表面に、前記金属ショ
ット材の硬度と同等以上の硬度を有するショットを噴射
速度80m/sec以上で噴射し、金属ショット材の表面付
近の温度を、鉄系の金属ショット材はA3変態点以上
に、もしくは非鉄系の金属ショット材は再結晶温度以上
に上昇させ、金属ショット材の表面の硬度を向上するこ
とを特徴とする表面硬化金属ショットの製造方法。 - 【請求項2】 金属ショット材の表面に、前記金属ショ
ット材の硬度と同等以上の硬度を有するショットを噴射
速度80m/sec以上で噴射し、金属ショット材の表面付
近の温度を、鉄系の金属ショット材はA3変態点以上
に、もしくは非鉄系の金属ショット材は再結晶温度以上
に上昇させると共に、前記金属ショット材及び該金属シ
ョット材に噴射した前記ショットの一部を回収し、この
回収した金属ショット材及びショットを再び未回収の金
属ショット材及びショットの表面へ噴射し、この工程を
繰り返して金属ショット材の表面の硬度を向上すること
を特徴とする表面硬化金属ショットの製造方法。 - 【請求項3】 前記ショットが前記金属ショット材と同
材質で同一粒径から成る請求項1又は2記載の表面硬化
金属ショットの製造方法。 - 【請求項4】 前記ショットが前記金属ショット材と同
材質で異なる粒径から成る請求項1又は2記載の表面硬
化金属ショットの製造方法。 - 【請求項5】 前記ショットが前記金属ショット材と異
なる材質で同一粒径である金属成分から成る請求項1又
は2記載の表面硬化金属ショットの製造方法。 - 【請求項6】 前記ショットが前記金属ショット材と異
なる材質で異なる粒径の金属成分から成る請求項1又は
2記載の表面硬化金属ショットの製造方法。 - 【請求項7】 前記金属ショット材及びショットの粒径
が0.3mm以下で、噴射速度80m/sec以上で噴射する
請求項1〜6いずれか1つに記載の表面硬化金属ショッ
トの製造方法。 - 【請求項8】 金属ショット材を撹拌する請求項1又は
2記載の表面硬化金属ショットの製造方法。 - 【請求項9】 金属ショット材をショットとし、前記シ
ョットの硬度と同等以上の硬度を有する金属体の表面に
噴射速度80m/sec以上で噴射し、ショットの表面付近
の温度を、鉄系のショットはA3変態点以上に、もしく
は非鉄系のショットは再結晶温度以上に上昇させ、ショ
ットの表面の硬度を向上することを特徴とする表面硬化
金属ショットの製造方法。 - 【請求項10】 金属ショット材をショットとし、前記
ショットの硬度と同等以上の硬度を有する金属体の表面
に噴射速度80m/sec以上で噴射し、ショットの表面付
近の温度を、鉄系のショットはA3変態点以上に、もし
くは非鉄系のショットは再結晶温度以上に上昇させると
共に、前記ショットを回収し、この回収したショットを
再び前記金属体の表面へ噴射し、この工程を繰り返して
ショットの表面の硬度を向上することを特徴とする表面
硬化金属ショットの製造方法。 - 【請求項11】 金属ショット材は複数の各種圧粉体か
ら成る粉末合金で構成し、金属ショット材の表面付近の
温度を、金属ショット材の各種圧粉体のうち結合剤とな
る圧粉体の再結晶温度以上に上昇させた請求項1、2、
9又10は記載の表面硬化金属ショットの製造方法。
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