JPH0835746A - 冷凍サイクル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】電磁弁の開閉動作時において冷媒液ハンマー音
が発生せず、また膨脹弁の動作不良を生じることのない
冷凍サイクルを提供することにある。 【構成】本発明の冷凍サイクルは、圧縮器Ｐと凝縮器Ｃ
と膨脹弁Ｂ１及び蒸発器Ｅ１をこの順序に接続して構成
された第１の冷凍サイクルＳ１と、この第１の冷凍サイ
クルＳ１に並列接続される電磁弁Ａと膨脹弁Ｂと蒸発器
Ｅ２からなる第２の冷凍サイクルＳ２とを備え、この第
２の冷凍サイクルの電磁弁Ａと膨脹弁Ｂとが、高圧の液
冷媒を減圧するための弁部と、この弁部の開度を制御す
るためのパワーエレメント部からなる温度膨脹弁Ｂの高
圧液冷媒が導入される一次口に、高圧の液冷媒流路を開
閉する電磁弁Ａの冷媒出口を直結させた電磁弁付膨脹弁
ＥＶとして構成されていることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は冷凍サイクル、特に電磁
弁付膨脹弁を用いた冷凍サイクルに関する。

【０００２】

【従来の技術】車両用空調装置に用いられる冷凍サイク
ルとして、圧縮器Ｐと凝縮器Ｃと膨脹弁Ｂ１及びメイン
（例えば運転席空調用）の蒸発器Ｅ１を、この順序に接
続して構成された第１の冷凍サイクルＳ１と、この第１
の冷凍サイクルＳ１に並列接続される電磁弁Ａと膨脹弁
Ｂ２と補助（例えば客席空調用）の蒸発器Ｅ２からなる
第２の冷凍サイクルＳ２とを備え、メインの蒸発器Ｅ１
だけを作動させる場合は第２の冷凍サイクルＳ２に組込
んだ電磁弁Ａを閉弁し、メインの蒸発器Ｅ１と補助の蒸
発器Ｅ２を両方とも作動させる場合には、前記電磁弁Ａ
を開弁させるようにした図８に示す冷凍サイクルが知ら
れている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、図８に示す従
来の冷凍サイクルでは電磁弁Ａと膨脹弁Ｂ２が図示の如
く離間して配置されるため、電磁弁Ａを開いた時に高圧
の液冷媒が電磁弁Ａと膨脹弁Ｂ２の離間管路部Ｘで加速
されて膨脹弁Ｂ２側に急激に流れるようになり、この高
圧液冷媒の膨脹弁Ｂ２に対する急速流入によって大きな
冷媒液ハンマー音（ドンというような液冷媒の衝撃音）
が発生するという問題があった。この液冷媒のハンマー
音は、電磁弁Ａと膨脹弁Ｂ２の離隔距離が長くなるほ
ど、また配管の内容積が大きいほど大きくなる。

【０００４】なお、前記電磁弁Ａと膨脹弁Ｂ２を一体化
した特公平５―８４４２９号公報に開示の電磁弁付膨脹
弁も知られているが、この電磁弁付膨脹弁は均圧通路の
途中に該均圧通路を開閉する電磁弁が組込まれているた
め、この電磁弁を閉めた時に膨脹弁の閉弁による冷媒液
ハンマー音が発生する。

【０００５】なお、前記従来例は電磁弁Ａを膨脹弁Ｂ２
の上流側に配置した場合の冷凍サイクルについて述べた
が、電磁弁Ａを膨脹弁Ｂ２の下流側に配置した冷凍サイ
クルも従来から知られている。

【０００６】図９は、その場合の冷凍サイクルを示して
おり、図８と同一符号は同一または均等部分を示し、膨
脹弁Ｂ２の下流側に電磁弁Ａを配置させている。かかる
冷凍サイクルにおいても、膨脹弁Ｂ２の低圧側圧力導入
口（所謂、均圧孔）が電磁弁Ａの上流に存在するか又は
下流に存在するかにより、次のような欠点が生じる。

【０００７】まず、膨脹弁Ｂ２の均圧孔が電磁弁Ａの下
流側に存在する場合には、電磁弁Ａが閉弁した時、蒸発
器Ｅ１のサイクルには冷媒が流れているので、電磁弁Ａ
の下流側の圧力は低圧となり、膨脹弁Ｂ２を開弁させる
ため、電磁弁Ａと膨脹弁Ｂ２との間の離隔管路部Ｙに液
冷媒が充満することになり、電磁弁Ａを開弁すると充満
した液冷媒が急激に流れるので、前記と同様の液ハンマ
ー音が発生することになる。

【０００８】また、膨脹弁Ｂ２の均圧孔が電磁弁Ａの上
流側にある場合には、電磁弁Ａを閉弁させると、膨脹弁
Ｂ２の均圧孔の圧力をもって膨脹弁Ｂ２は閉弁するが、
この膨脹弁Ｂ２はストップバルブではないため弁漏れを
発生し、膨脹弁Ｂ２と電磁弁Ａとの離隔管路部Ｙに液冷
媒が存在し、閉弁状態が長時間にわたると、前記管路部
Ｙは膨脹弁Ｂ２の上流と同じ高圧圧力となる。このた
め、膨脹弁Ｂ２のダイヤフラム部には均圧孔を介して高
圧圧力が導入されることになり、ダイヤフラム部の変形
や破壊を生じさせたりする場合も生じる。

【０００９】しかも、電磁弁Ａが閉弁し、膨脹弁Ｂ２が
閉じた場合にも、前記管路部Ｙの冷媒は外気温の上昇に
より液膨張することになり、前記ダイヤフラム部の変形
あるいは破壊を生じさせることにもなって、膨脹弁の動
作不良の原因となる恐れが生じる。

【００１０】前記のような従来例（図９）においても、
液ハンマー音が発生した場合には、冷凍サイクルが例え
ばカーエアコン用の冷凍サイクルである場合において
は、振動・騒音が配管部に発生し、車内の静けさを損う
という問題があった。

【００１１】また、前記のような液ハンマー音あるいは
膨脹弁の動作不良を避けるため、冷凍サイクル中に一体
化した電磁弁と膨張弁を採用しても、電磁弁が膨張弁の
下流にある一体化であっては、前述した問題は解決され
ない。

【００１２】本発明は前述した従来の冷凍サイクルで生
じる問題を解消するためになされたもので、その目的は
電磁弁の開閉動作時において冷媒液ハンマー音が発生せ
ず、また膨脹弁の動作不良を生じることのない冷凍サイ
クルを提供することにある。

【００１３】

【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
め、本発明の冷凍サイクルは、圧縮器Ｐと凝縮器Ｃと膨
脹弁Ｂ１及び蒸発器Ｅ１を、この順序に接続して構成さ
れた第１の冷凍サイクルＳ１と、この第１の冷凍サイク
ルＳ１に並列接続される電磁弁Ａと膨脹弁Ｂ２と蒸発器
Ｅ２からなる第２の冷凍サイクルＳ２とを備え、この第
２の冷凍サイクルの電磁弁Ａと膨脹弁Ｂ２とが、高圧の
液冷媒を減圧するための弁部１０と、この弁部の開度を
制御するためのパワーエレメント部１１からなる温度膨
脹弁Ｂの高圧液冷媒が導入される一次口１ａに、高圧の
液冷媒流路を開閉する電磁弁Ａの冷媒出口１７を直結さ
せた電磁弁付膨脹弁ＥＶとして構成されていることを特
徴とする。

【００１４】なお、この冷凍サイクル中に用いる前記膨
脹弁Ｂと電磁弁Ａの直結は、溶接による接続で行っても
良いが、組立てを簡単にするためには、膨脹弁Ｂの一次
口１ａに電磁弁Ａの冷媒出口１７を螺挿し、この冷媒出
口１７及び一次口１ａのネジ接続部をＯリング１９で液
密にシールする接続構造を適用することが望ましい。

【００１５】

【作用】温度膨脹弁Ｂと電磁弁Ａを前記のように直結さ
せた構造にすると、電磁弁Ａと温度膨脹弁Ｂの離隔距離
（冷凍サイクル中の図８に示すような離間管路部Ｘ）及
び配管内容積がなくなり、電磁弁Ａを開いた時の高圧液
冷媒の加速流れを抑制することができるので、従来のよ
うな冷媒液ハンマー音の発生を防止できる冷凍サイクル
になる。

【００１６】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図面により説明す
る。図１乃至図６は、本発明に係わる冷凍サイクル中に
用いる電磁弁付膨張弁ＥＶを示す。図１において、Ｂは
外界と熱交換を行ない、熱を外界から奪うための熱交換
器（図８に示す蒸発器Ｅ２）の能力を略完全に発揮させ
るためのデバイスとしての温度膨脹弁で、高圧の液冷媒
を減圧するための弁部１０と、この弁部の弁開度を制御
するためのパワーエレメント部１１からなる。

【００１７】このパワーエレメント部１１は、上蓋１２
と下支持部１３の外周縁に挾持して溶接したダイヤフラ
ム１４を包含し、前記上蓋１２とダイヤフラム１４との
間に第１の圧力室Ｒ１を、前記ダイヤフラム１４と下支
持部１３との間に第２の圧力室Ｒ２を形成している。

【００１８】前記第１の圧力室Ｒ１は、導管１５を介し
て感温筒（図示せず）の内部と連通している。この感温
筒は蒸発器（図７に示す蒸発器Ｅ２）の出口部分に取付
けられ、蒸発器出口近傍の冷媒温度を感知し、この温度
を圧力に変換して、パワーエレメント圧力室Ｒ１の圧力
とする。この圧力は、それが増加するときダイヤフラム
１４を下方に押して、弁体５の開弁方向の力となる。

【００１９】前記弁部１０は、高圧の液冷媒が導入され
る一次口１ａと、低圧冷媒の出口となる二次口１ｂを有
する弁本体１を外郭とする。この外郭としての弁本体１
には、ダイヤフラム１４の下方への変位を規制する変位
規制部材としてのストッパ２と、ダイヤフラム１４の変
位を下方に伝達する作動棒３と、弁座４に接離する弁体
５（図ではボール弁を示している）と、この弁体５を高
さ調整可能なスプリングピン６を介して支持する可動の
ばね受７（このばね受に作動棒３が当接している）と、
該ばね受７を閉弁方向へ付勢するコイルばね８とが、こ
のばねのバイアス力を調整するための調節ナット９と共
に組込まれている。

【００２０】Ａは高圧の液冷媒流路を開閉する電磁弁
で、高圧液冷媒の入口１６ａを形成する継手１６と、高
圧液冷媒の出口１７及び短管状の弁口１８ａを有する弁
箱体１８と、この弁箱体にシリンダ筒２０を介して連結
された液冷媒の流路孔２１ａを有する吸引子２１と、こ
の吸引子を励磁するコイル２２ａ及び該コイルを内装す
るハウジング２２と、前記シリンダ筒２０内に移動自在
に嵌挿されスプリング２３のばね力によって閉弁方向に
付勢された液冷媒の流路孔２４ａを有するプランジャ２
４と、このプランジャ２４の先端部にカシメ等の固定手
段で保持された前記弁口１８ａに接離可能な弁体３０と
を具備する構成となっている。

【００２１】前記弁体３０はプランジャ２４の流路孔２
４ａに連通しシリンダ筒２０の内室に開口する液冷媒の
流通溝３１を有した図３，図４に示すような形状の弁と
して構成されている。かかる弁は、従来知られているよ
うにゴム材により成形されて作られる。

【００２２】図２（図１の左半分の要部断面図）と図５
及び図６に示す符号２５は、シリンダ筒２０の内周面を
摺動可能な環状のシールパッキンで、前記プランジャ２
４の弁部側小径部に嵌合され、該小径部に円筒状のアウ
ターブッシュ２６を圧入することにより、パッキン外周
縁部がシリンダ筒２４の内面に沿ってブッシュ外囲方向
に折曲され、シリンダ筒２０の内面に接触するように取
付けられている。

【００２３】このシールパッキン２５の外周部には、図
６に示す如く流体流通の絞り作用をなす切欠溝２８又は
小孔２８ａが形成され、前記プランジャ２４と吸引子２
１間の前記パッキン２５とプランジャダンパパッキン２
９（シール併用パッキンである）とで仕切られた空間を
プランジャ動作を緩やかにさせるダンパー室２７として
形成している（図２参照）。

【００２４】なお、前記パッキン２５の切欠溝２８又は
小孔２８ａの数は、プランジャ２４の開閉弁スピードに
応じ１個又は複数個として、プランジャ動作をコントロ
ールすることができる。また、前記シールパッキン２５
はシリンダ筒２４の内周面をできるだけ小さな摺動抵抗
で移動でき、且つシリンダ筒２４とのシール性が良い高
分子材料たとえばテフロン等で構成される。

【００２５】前記のように構成された電磁弁Ａは、弁箱
体１８の冷媒出口１７を温度膨脹弁Ｂの一次口１ａに雌
ネジ部と雄ネジ部の螺合によって図１の如く螺挿し、こ
の冷媒出口１７及び一次口１ａのネジ接続部をＯリング
１９で液密にシールするというネジ接続構造によって、
温度膨脹弁Ｂの一次口１ａに図１の如く直結されている
が、この電磁弁Ａと膨脹弁Ｂの直結は、溶接による接続
で行っても良い。

【００２６】なお、前記電磁弁Ａのハウジング２２は吸
引子螺着ナット２６によって弁箱体１８と吸引子２１の
間に締着固定されている。また、前記電磁弁Ａの冷媒出
口１７の内孔１７ａは冷媒流入側から流出側に向かって
順次に拡径するテーパー孔で形成されている。このよう
なテーパー孔で冷媒出口内孔１７ａを形成すると、この
テーパー孔の拡がりによって開弁時の冷媒流速を遅くす
ることができる。

【００２７】図５は電磁弁Ａを開弁した時の液冷媒の流
れを示す作用説明図であって、コイル２２ａの通電励磁
によりプランジャ２４が吸引子２１側へ移動（この時、
図２に示すプランジャダンパパッキン２９は圧縮され
る）して図５の如く開弁し、高圧の液冷媒が矢印で示す
方向に流れるようになる。

【００２８】なお、膨脹弁Ｂの一次口１ａに電磁弁Ａの
冷媒出口１７を螺挿し、この冷媒出口１７及び一次口１
ａのネジ接続部をＯリング１９で液密にシールする接続
構造を適用した場合には、電磁弁Ａと膨脹弁Ｂの接続組
立を簡単に行うことができ、電磁弁Ａまたは膨脹弁Ｂが
故障した場合の交換作業も容易に行える。

【００２９】図７は図１に示す電磁弁付膨張弁ＥＶを用
いた冷凍サイクルの一実施例を示す説明図である。図７
において、図８及び図９と同一又は均等部分には同一符
号を付しており、ＥＶが図１に示した電磁弁付膨張弁を
示している。この電磁弁付膨張弁ＥＶは、電磁弁Ａが膨
張弁Ｂの上流側に存在して両者が一体化されており、そ
の構造及び動作は図１の場合と同様である。

【００３０】図７においては、圧縮器Ｐと凝縮器Ｃと膨
脹弁Ｂ１及び蒸発器Ｅ１をこの順序に接続して第１の冷
凍サイクルＳ１が構成され、この第１の冷凍サイクルＳ
１に電磁弁付膨脹弁ＥＶと蒸発器Ｅ２を組込んだ第２の
冷凍サイクルＳ２が並列に接続されている。

【００３１】かかる冷凍サイクルの動作は、図８及び図
９に示す従来の冷凍サイクルと同一であり、前述した電
磁弁付膨脹弁ＥＶにより従来の冷凍サイクルの欠点が除
去される。

【００３２】

【発明の効果】本発明の冷凍サイクルに用いる電磁弁付
膨脹弁ＥＶは、高圧の液冷媒を減圧するための弁部１０
と、この弁部の開度を制御するためのパワーエレメント
部１１からなる温度膨脹弁Ｂの高圧液冷媒が導入される
一次口１ａに、高圧の液冷媒流路を開閉する電磁弁Ａの
冷媒出口１７を直結させたものであるから、電磁弁Ａと
温度膨脹弁Ｂの離隔距離がなくなり、電磁弁Ａを開いた
時の高圧液冷媒の加速流れを抑制することができるの
で、従来のような冷媒液ハンマー音の発生を防止するこ
とができる。

【００３３】しかも、前記のような一体型の電磁弁付膨
脹弁ＥＶを冷凍サイクルに用いることにより、図９に示
すような冷凍サイクルでの液ハンマー音の発生または膨
張弁の動作不良の防止を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の冷凍サイクルに用いる電磁弁付膨脹弁
の構造を示した中央縦断面図。

【図２】前記電磁弁付膨脹弁の電磁弁プランジャ部分を
拡大して示した要部断面図。

【図３】前記電磁弁付膨脹弁の電磁弁プランジャに組付
けられる弁体の斜視図。

【図４】図３の弁体構造を平面図（Ａ）、右側面図
（Ｂ）、底面図（Ｃ）、中央縦断面図（Ｄ）として示し
た説明図。

【図５】前記電磁弁を開弁した時の液冷媒の流れを示す
作用説明図。

【図６】前記電磁弁のプランジャの構成とシールパッキ
ンの構成及びその取付方法を説明するための斜視図。

【図７】本発明の一実施例による冷凍サイクルを示した
説明図。

【図８】車両用空調装置に用いられる従来例１の冷凍サ
イクルを示した説明図。

【図９】車両用空調装置に用いられる従来例２の冷凍サ
イクルを示した説明図。

【符号の説明】

Ｐ…圧縮機、Ｃ…凝縮器、Ｂ（Ｂ１，Ｂ２）…温度膨脹
弁、Ｅ１，Ｅ２…蒸発器、Ｓ１…第１の冷凍サイクル、
Ｓ２…第２の冷凍サイクル、ＥＶ…電磁弁付膨張弁、１
…弁本体、１ａ…一次口、１ｂ…二次口、３…作動棒、
４…弁座、５…弁体、１０…弁部、１１…パワーエレメ
ント部、１４…ダイヤフラム、Ａ…電磁弁、１７…冷媒
出口、１８…弁箱体、１８ａ…弁口、１９…Ｏリング、
２１…吸引子、２２ａ…コイル、２４…プランジャ、３
０…弁体。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 圧縮器と凝縮器と膨脹弁及び蒸発器を、
   この順序に接続して構成された第１の冷凍サイクルと、
   この第１の冷凍サイクルに並列接続される電磁弁と膨脹
   弁と蒸発器からなる第２の冷凍サイクルとを備え、この
   第２の冷凍サイクルの電磁弁と膨脹弁とが、高圧の液冷
   媒を減圧するための弁部と、この弁部の開度を制御する
   ためのパワーエレメント部からなる温度膨脹弁の高圧液
   冷媒が導入される一次口に、高圧の液冷媒流路を開閉す
   る電磁弁の冷媒出口を直結させた電磁弁付膨脹弁として
   構成されていることを特徴とする冷凍サイクル。