JPH0835515A - 内燃機関における回動軸構造 - Google Patents

内燃機関における回動軸構造

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JPH0835515A
JPH0835515A JP11555795A JP11555795A JPH0835515A JP H0835515 A JPH0835515 A JP H0835515A JP 11555795 A JP11555795 A JP 11555795A JP 11555795 A JP11555795 A JP 11555795A JP H0835515 A JPH0835515 A JP H0835515A
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rotating shaft
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internal combustion
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Kaoru Hanawa
薫 塙
Kazuhiro Shimamune
和宏 島宗
Kenji Nishida
健次 西田
Etsuaki Sasaya
悦明 笹谷
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Bando Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 機械的特性・耐久性・耐熱性に優れるととも
に製造コストの低い、内燃機関における回動軸構造を提
供する。 【構成】 回動軸は、閉塞された内燃機関を構成するク
ランクケース1内に設けられた駆動軸と噛合う噛合部
と、外周面をオイルシール12を介してクランクケース
1に回動自在に保持される支持部とを備えている。回動
軸本体2は樹脂にて形成されており、その外周面のオイ
ルシール12との当接部には金属メッキ13を施すか、
または金属カラー14が埋設されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、内燃機関における回動
軸構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】この
種の内燃機関における回動軸構造については、例えば、
実開昭59−54770号公報に、駆動軸に連動して回
動するプランジャのシリンダ内での移動によってポンプ
作用を行わせるとともに、そのプランジャのストローク
を容易に調整できるようにしたプランジャ式潤滑油ポン
プの構造が開示されている。図2を参照しながら同潤滑
油ポンプの構造を説明すると、クランクケース1内の駆
動軸2に連動する歯輪3にプランジャ4を設け、潤滑油
流入口5につながるポンプ室6の吸入口7と潤滑油吐出
口8につながるポンプ室6の排出口9とを開口したシリ
ンダ10内に上記プランジャ4を嵌挿し、歯輪3の回動
により歯輪3に設けたプランジャ4はシリンダ10内で
回動しながら上下動し、そのプランジャ4に形成した凹
溝11はシリンダ10に開口した吸入口7と排出口9と
に交互に連通し、その吸入口7との連通により上動した
時に凹溝11内に潤滑油が流入し、その排出口9との連
通により下動した時に吐出口8に潤滑油が排出される構
成である。この駆動軸2の材質としては、従来は合金鋼
の表面に浸炭を施したものが用いられており、ギヤ部の
歯切り・浸炭・研磨等の製造工程数が多く、製造コスト
が高くついていた。
【0003】そこで、この駆動軸として、機械的性質・
耐熱性・摺動性・耐摩耗性等に優れたエンジニアリング
プラスチックスを射出成形したものを使用することによ
り製造コストの低減を図ろうとする試みが行われている
が、諸特性・コストの両面を満足するような材料は提供
されていない。
【0004】例えば、ポリイミド系樹脂は、要求される
諸特性は満足するが、材料コストが高いので、本来の低
コスト化の目的を達成できない。
【0005】また、ポリフェニレンスルフィド樹脂、液
晶ポリマー、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂等は
耐熱性が充分ではないため、オイルシール12との摺動
摩擦熱によりオイルシール12と接触する駆動軸2の部
分が溶融し、その部分から潤滑油が漏れる不具合が発生
することがある。
【0006】上記樹脂に比べて耐熱性の高い樹脂、例え
ば、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリ
エーテルニトリル等では、ソルベントクラックが発生し
やすく、耐久性に問題がある。
【0007】本発明は従来の技術の有するこのような問
題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、機械
的特性・耐久性・耐熱性に優れるとともに製造コストの
低い、内燃機関における回動軸構造を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明者等は鋭意研究を重ねた結果、回動軸の本体は
機械的特性に優れた樹脂で構成し、オイルシールとの当
接部は耐熱性、摺動性および耐摩耗性に優れた材料で構
成することにより、課題解決を図ったものであり、本発
明の要旨は、閉塞された内燃機関を構成するケース内に
設けられた駆動軸と噛合う噛合部と、外周面をオイルシ
ールを介して該ケースに回動自在に保持される支持部と
を備えると共に、該ケース内の潤滑油雰囲気中で回動す
る内燃機関における回動軸において、前記回動軸本体を
樹脂にて形成すると共に、該回動軸本体の前記オイルシ
ールとの当接部を本体樹脂硬度に比べて高硬度の被膜ま
たは筒状体にて形成したことを特徴とする内燃機関にお
ける回動軸構造にある。
【0009】回動軸本体を形成する樹脂の組成を、ガラ
ス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、チタン酸カリウムウ
ィスカーまたは酸化亜鉛ウィスカーのうち少なくとも1
種を10重量%以上含有し、残部が66ナイロン、MX
D6ナイロン、46ナイロン、ポリフタル酸アミド、ポ
リアセタール、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテ
ルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、フッ素樹脂、
高密度ポリエチレン樹脂またはシリコン樹脂のうち少な
くとも1種からなるもので構成することができる。ま
た、この樹脂組成物に潤滑剤として、二硫化モリブデ
ン、グラファイト、シリコンオイルまたはフッ化カーボ
ンのうち少なくとも1種を1〜10重量%添加すること
が好ましい。
【0010】高硬度の被膜または筒状体を金属またはポ
リイミド樹脂で構成することができる。そして、この金
属としては、金属メッキまたは金属カラーを埋設したも
のを採用することができる。
【0011】また、後記する理由により、高硬度の筒状
体は、両端部の外径が中央部より小さいパイプ状の金属
カラーとし、前記両端部は回動軸本体樹脂内に埋没し、
前記中央部はオイルシールに当接する構造とすることが
好ましい。
【0012】さらに、回動軸は潤滑油ポンプの駆動軸と
し、駆動軸は内燃機関のクランク軸とすることができ
る。
【0013】
【作用】回動軸本体は樹脂製であり、射出成形により製
造することができるので、コスト低減が可能となる。ま
た、回動軸本体のオイルシールに当接する部分を高硬度
の被膜または筒状体とすることで、耐熱性・耐摩耗性が
向上する。さらに、回動軸本体の樹脂に補強繊維を10
重量%以上添加することにより、疲労限界強度・耐衝撃
性・曲げ強度・クリープ特性等の機械的特性ならびに低
線膨張係数・低吸湿性等の寸法安定性が改善され、歯部
が折損することはない。
【0014】そして、潤滑剤を1〜10重量%添加する
ことにより、耐摩耗性がさらに改善される。
【0015】また、高硬度の筒状体を、両端部の外径が
中央部より小さいパイプ状の金属カラーとし、前記両端
部は回動軸本体樹脂内に埋没し、前記中央部はオイルシ
ールに当接する構造とすることで、射出成形工程の冷却
固化中において、金属カラーの両端部の外周を取り巻く
樹脂が成形収縮して金属カラーを締めつけるように作用
するので、樹脂と金属カラー両端部外周面との間にクリ
アランスが生じることはなく、優れたシール性が付与さ
れる。
【0016】
【実施例】以下に本発明の実施例を説明する。次の表1
に示すような配合(重量%)の材料から図2に示すよう
な外観形状の潤滑油ポンプの駆動軸2を射出成形により
作製し、図1に示すように、実施例1〜3のものはオイ
ルシールとの当接部に金属メッキ(Cr)13を施し、
実施例4〜7のものはオイルシールとの当接部に金属カ
ラー(低合金耐熱鋼)14を埋設した。また、比較例
1、2のものには、金属部を設けなかった。そして、こ
れらの駆動軸の耐摩耗性、耐疲労性および騒音性を評価
した。その評価方法としては、「50ccのスクーター
のエンジンに取り付け、スタンドを上げた状態でアクセ
ル開度50%にて連続2時間運転し、耐摩耗性と耐疲労
性は駆動軸ギヤ部の変形、欠け、摩耗の程度およびシャ
フト部の溶融、摩耗の程度についての目視観察に基づく
結果により評価し、騒音性は運転中の聴感にて評価す
る。」という方法に従った。それらの結果を表1に示
す。表1における各記号の意味は以下のとおりである。 ◎=極めて優れている。 ○=優れている。 △=やや劣る。 ×=劣る。
【0017】
【表1】
【0018】表1に明らかなように、本実施例1〜7に
係るものは、耐摩耗性、耐疲労性および騒音性のすべて
において優れているが、比較例1、2は耐摩耗性、耐疲
労性および騒音性のすべてにおいて劣っている。
【0019】なお、駆動軸2がオイルシールと当接する
部位以外にも、ギヤ部15、16、軸受との嵌合部1
7、18(図2参照)など、他の摩耗しやすい箇所にも
上記と同様に金属メッキを施し、または金属カラーを埋
設することができる。
【0020】このように樹脂製駆動軸がオイルシールと
当接する部分に金属メッキを施したり金属カラーを埋設
することにより、耐熱性・耐摩耗性等を向上することが
できるが、樹脂と金属の熱膨張係数は異なるので(樹脂
の熱膨張係数の方が大きいので)、射出成形工程におけ
る冷却固化中の両者の収縮量が相違し、樹脂と金属との
境界面にクリアランスが生じることがある。このような
クリアランスはシール性を低下させることになるので、
以下に説明する図3のような構造を採用することにより
シール性を向上することが可能である。
【0021】図3は、両端部Aの外径dが中央部(オイ
ルシールに当接する部位)Bの外径Dより小さいパイプ
状の金属カラー19を埋設した樹脂製駆動軸20(以下
「本発明駆動軸」という)の部分断面を含む側面図であ
る。図4は本発明駆動軸とのシール性を比較するために
円筒状の金属カラー21を埋設した樹脂製駆動軸22
(以下「比較例駆動軸」という)の部分断面を含む側面
図である。そして、図3、図4に示す駆動軸のオイルシ
ール性およびエアシール性に対する金属カラーの効果を
確認するために以下の実験を行った。
【0022】〔オイルシール性の調査〕これらの駆動軸
を、駆動軸が下部になるように図2と類似構造の潤滑油
ポンプに組み込み、雰囲気温度を−20℃と室温の2水
準とし、6日間静置した。静置後、金属カラーと樹脂と
のクリアランスを観察できるように2分割し、その後金
属カラーを取り外し、樹脂部へのオイルの染みだし状態
を確認した。その結果、比較例駆動軸の場合、金属カラ
ー21内周面と樹脂との間のクリアランスは0.1mm程
度存在しているのが認められた。また、この比較例駆動
軸においては、−20℃で金属カラー端部に接していた
樹脂部にはオイルの染みが認められた。しかし、本発明
駆動軸においては、金属カラー19の両端部(外径dの
部分)を取り巻く樹脂の成形収縮により金属カラー19
が締めつけられるので、樹脂と金属カラー19両端部外
周面との間にクリアランスが生じることはなく、確実に
シールされた状態になっていたので、樹脂部にオイルの
染みは認められなかった。
【0023】なお、D(駆動軸の外径)は10mm、dは
6mm、金属カラー19の外径D部の厚みは3mm、金属カ
ラー19の外径d部の厚みは1mm、金属カラー21の厚
みは1mmである。
【0024】〔エアシール性の調査〕上記駆動軸の一端
から金属カラー部の一端付近までエアホースを挿入し、
これを水に浸漬してエア圧を0.4MPaまで徐々に増
大させ、金属カラー部の他端からエアが漏れるかどうか
を確認した。このような実験をエアホースの挿入方向を
逆にした場合についても行った。水温は、3〜5℃、2
0〜24℃、85〜90℃の3水準とし、温度変化によ
る影響を少なくするために、各水温における測定時間は
30秒以内とした。サンプル数(実験に供した駆動軸の
数)は本発明および比較例の両方とも5とし、同一サン
プルについて、『室温のもの(事前に駆動軸に熱処理を
施さなかったもの)』、『事前に駆動軸を130℃の雰
囲気に30分以上放置したもの』、『事前に駆動軸を−
20℃の雰囲気に30分以上放置したもの』の順で測定
した。その結果、いずれの場合もエア漏れは確認できな
かった。
【0025】
【発明の効果】本発明の内燃機関における回動軸構造は
上記のとおり構成されているので、以下に記載する効果
を奏する。 請求項1、4、5、7または8記載の回動軸構造に
よれば、回動軸本体を樹脂の射出成形により作製するこ
とができるので製造コストが低く、また、オイルシール
との当接部を高硬度の被膜または筒状体とする構成であ
るから、耐熱性・耐摩耗性に優れている。また、大部分
が樹脂製であるから、軽量化を図ることができるととも
に、他の動力伝達部材との噛み合い音を低減することが
できる。 請求項2記載の回動軸構造によれば、回動軸本体の
樹脂に補強繊維を10重量%以上添加するものであるか
ら、機械的特性が改善され、長寿命化を図ることができ
る。 請求項3記載の回動軸構造によれば、回動軸本体の
樹脂に潤滑剤を1〜10重量%添加することで、耐摩耗
性を改善することができる。
【0026】 請求項6記載の回動軸構造によれば、
特徴ある構成の金属カラーを採用することで、シール性
を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の回動軸構造を示す、図2の破線部の拡
大図であって、図1(a) はオイルシールとの当接部に金
属メッキを施した駆動軸の要部断面図、図1(b) はオイ
ルシールとの当接部に金属カラーを埋設した駆動軸の要
部断面図である。
【図2】プランジャ式潤滑油ポンプの縦断面図である。
【図3】本発明の回動軸(駆動軸)の部分断面を含む側
面図である。
【図4】比較例の回動軸(駆動軸)の部分断面を含む側
面図である。
【符号の説明】
1…クランクケース 2、20、22…駆動軸 3…歯輪 4…プランジャ 5…潤滑油流入口 6…ポンプ室 7…吸入口 8…潤滑油吐出口 9…排出口 10…シリンダ 11…凹溝 12…オイルシール 13…金属メッキ 14、19、21…金属カラー 15、16…ギヤ部 17、18…軸受嵌合部
フロントページの続き (72)発明者 西田 健次 兵庫県神戸市兵庫区明和通3丁目2番15号 バンドー化学株式会社内 (72)発明者 笹谷 悦明 兵庫県神戸市兵庫区明和通3丁目2番15号 バンドー化学株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 閉塞された内燃機関を構成するケース内
    に設けられた駆動軸と噛合う噛合部と、外周面をオイル
    シールを介して該ケースに回動自在に保持される支持部
    とを備えると共に、該ケース内の潤滑油雰囲気中で回動
    する内燃機関における回動軸において、 前記回動軸本体を樹脂にて形成すると共に、該回動軸本
    体の前記オイルシールとの当接部を本体樹脂硬度に比べ
    て高硬度の被膜または筒状体にて形成したことを特徴と
    する内燃機関における回動軸構造。
  2. 【請求項2】 回動軸本体を形成する樹脂が、ガラス繊
    維、炭素繊維、アラミド繊維、チタン酸カリウムウィス
    カーまたは酸化亜鉛ウィスカーのうち少なくとも1種を
    10重量%以上含有し、残部が66ナイロン、MXD6
    ナイロン、46ナイロン、ポリフタル酸アミド、ポリア
    セタール、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエ
    ーテルケトン、ポリエーテルケトン、フッ素樹脂、高密
    度ポリエチレン樹脂またはシリコン樹脂のうち少なくと
    も1種からなることを特徴とする請求項1記載の内燃機
    関における回動軸構造。
  3. 【請求項3】 回動軸本体を形成する樹脂が、二硫化モ
    リブデン、グラファイト、シリコンオイルまたはフッ化
    カーボンのうち少なくとも1種を1〜10重量%含有す
    ることを特徴とする請求項2記載の内燃機関における回
    動軸構造。
  4. 【請求項4】 高硬度の被膜または筒状体が金属または
    ポリイミド樹脂からなることを特徴とする請求項1、2
    または3記載の内燃機関における回動軸構造。
  5. 【請求項5】 金属が金属メッキまたは金属カラーを埋
    設したものであることを特徴とする請求項4記載の内燃
    機関における回動軸構造。
  6. 【請求項6】 高硬度の筒状体が、両端部の外径が中央
    部より小さいパイプ状の金属カラーであり、前記両端部
    は回動軸本体樹脂内に埋没し、前記中央部はオイルシー
    ルに当接する構造であることを特徴とする請求項1、2
    または3記載の内燃機関における回動軸構造。
  7. 【請求項7】 回動軸は潤滑油ポンプの駆動軸であるこ
    とを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載
    の内燃機関における回動軸構造。
  8. 【請求項8】 駆動軸は内燃機関のクランク軸であるこ
    とを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6または7
    記載の内燃機関における回動軸構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015532704A (ja) * 2012-09-04 2015-11-12 ハックフォース ゲーエムベーハーHackforth GmbH 耐火性隔壁貫通部を有する、繊維複合材料から作製されたシャフト
JP2019078342A (ja) * 2017-10-25 2019-05-23 住友重機械工業株式会社 減速装置

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