JPH0834949A - インキ組成物 - Google Patents

インキ組成物

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JPH0834949A
JPH0834949A JP14242195A JP14242195A JPH0834949A JP H0834949 A JPH0834949 A JP H0834949A JP 14242195 A JP14242195 A JP 14242195A JP 14242195 A JP14242195 A JP 14242195A JP H0834949 A JPH0834949 A JP H0834949A
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蕃 田中
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博紀 仁井
Kosaku Yamada
功作 山田
Hideo Kushida
秀男 串田
Takashi Miya
隆 宮
Shuichi Koshio
秀一 古塩
Tadashi Hayakawa
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 アルカリ水溶液に可溶性のインキ組成物を提
供することをを目的とする。 【構成】 この出願発明は、(A)線状ポリエステルを
骨格とし、分子内に1〜10個の不飽和二重結合を有す
るオリゴマ−及び/又はポリマ− (B)分子内に少なくとも1個の酸性基を有し、かつ、
不飽和二重結合を1〜10個有するカルボン酸の1種以
上及び/又はカルボン酸エステルの1種以上及び/又は
カルボン酸アミドの1種以上 上記(A)〜(B)を含むビヒクルおよび必要に応じて
光重合開始剤、光増感剤、有機及び/又は無機顔料を配
合する放射線硬化型インキ組成物に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この出願発明は、プラスチック製
品、とくにポリエチレンテレフタレ−ト(PET)樹脂
製品、ポリアクリロニトリル(PAN)に、商品名、デ
ザイン、説明書、バ−コ−ドなどを場合により多色を用
いてカラフルに表示、加飾するに際し、製品基材に対
し、直接印刷するだけでなく多層重ね印刷することがで
き、高速ライン下に放射線で速乾燥させ、また、乾燥し
た被膜は、流通段階を経て回収後には、アルカリ水溶液
で容易に脱離し、水洗することにより基材を清浄な状態
で回収することができる放射線硬化型印刷インキに関す
る。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂製品、とくに、ポリエチレ
ンテレフタレートあるいはポリアクリロニトリル製品
は、無毒性であること、ガスバリヤ−性が他の合成樹脂
による成形品より優れていること、外観がガラス状を呈
すること等により多くの用途に使用されている。とく
に、化粧料用容器、液状調味料用容器、ビ−ルやコ−ラ
等の飲料品用容器、医薬品用容器等として利用されてお
り、容器胴部の表面には、商品説明や商品名等が紫外線
硬化性の樹脂をビヒクルとする印刷インキで形成される
ことが多い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】近年環境保護問題に対
し、世界的に深い関心が集まっているが、産業廃棄物、
とくに工業製品の大量排出はもっとも注目され、その削
減が急がれている。工業製品の中には、金属製品、ガラ
ス製品など、完全とはいかないまでも回収が実施されは
じめ、廃製品の放棄はかなり少なくなった。しかしなが
ら、プラスチック製品については、その多くが可燃性で
あることもあって、未だ回収システムは動いていない。
これは多くのプラスチック製品の種類の判別が困難で、
一括して「プラスチック」とし排出されることに起因す
る。もしプラスチックの種類が分別され、それぞれ、個
別に回収されるならば、再生加工して二次製品として利
用することが可能であり、焼却による熱エネルギーの損
失.CO2ガスによる大気環境の汚染を防止することが
でき、地球環境の清浄化に大いに資することができる。
プラスチック、とりわけ、再生加工が可能な熱可塑性プ
ラスチックは、回収メリットの大きい製品である。多く
のプラスチック製品は、目的、用途により様々な添加剤
を含み、同一樹脂として分類されるものでも必ずしも組
成は一定しない。その中で、プラスチック容器関係は、
充填内容物の質的変化を防止するため若干の添加剤など
が入るものの、比較的安定した組成をもち、再生利用へ
のアプローチがしやすい。とくに、ポリエチレンテレフ
タレートあるいはポリアクリロニトリル樹脂容器は、添
加剤の使用も少なく大量に透明な飲料容器に利用され、
ガラス瓶などと同じく飲料販売ルートを逆流する形で回
収が見込める製品として、早期に回収・再生利用の道が
考えられる。回収・再生における一つの難問は、容器が
ラベルもしくは印刷などにより商品イメージを表現する
ためにマーキング、図柄、説明などの加飾が施されてい
ることである。このさまざまな加飾部分を、回収後分別
することなく一括して除去して、元の容器用材料の姿に
戻すことが、当面の大きな課題である。
【0004】
【課題を解決するための手段】この出願発明は、上の課
題を解決するための一手段として、紙ラベルの除去と同
様のアルカリ水溶液による短時間での脱離が可能な放射
線硬化型インキを見いだすことにより、これを解決した
ものである。この出願発明における放射線硬化型インキ
組成物は、一時的な基材表面や機能性部分の保護を目的
とするものではなく、主としてマーキングに使用され、
商品名、商品イメージ向上のためのデザイン図柄、成分
表示、取扱注意事項の説明、製造会社名、バーコードな
どを単色及び/又は多色重ねを自在に駆使してカラフル
に印刷表示し、回収後には所定の方法できわめて容易に
多色重ね印刷部分を含めて一工程で印刷部分が剥離し、
プラスチック素材を汚損させることなく回収利用できる
性能をもつものである。
【0005】この出願発明の放射線硬化型インキ組成物
は、 (A)線状ポリエステルを骨格とし、分子内に1〜10
個の不飽和二重結合を有するオリゴマ−及び/又はポリ
マ− (B)分子内に少なくとも1個の酸性基を有し、かつ、
不飽和二重結合を1〜10個有するカルボン酸の1種以
上及び/又はカルボン酸エステルの1種以上及び/又は
カルボン酸アミドの1種以上 上記(A)〜(B)を含むビヒクルおよび必要に応じて
光重合開始剤、光増感剤、有機及び/又は無機顔料を配
合することを特徴とする放射線硬化型インキ組成物に関
するものであって、好ましくは、(A)成分が、骨格が
重合性不飽和二重結合を含まない線状ポリエステルであ
って、側鎖として、実質的に酸性基を持たず、かつ、重
合性不飽和二重結合を1〜10個有するオリゴマー及び
/またはポリマー(B)成分が、 (C)分子内に少なくとも1個の酸性基を有し、不飽和
二重結合を1個有するカルボン酸及び/又はカルボン酸
エステル及び/又はカルボン酸アミド及び (D)分子内に1〜10個の酸性基を有し、不飽和二重
結合を2個以上有するカルボン酸及び/又はカルボン酸
エステル及び/又はカルボン酸アミド ビヒクル成分として、 (E)不飽和二重結合を2個以上有し酸性基を有さず、
(A)成分と異なるカルボン酸エステル (F)不飽和二重結合を1個有し、酸性基を有しないカ
ルボン酸エステル及び/又はカルボン酸アミド及び/又
はカルボン酸イミド 上記(A)〜(F)を含む混合物をビヒクル成分とし、
このビヒクルの酸価が3以上150以下となる配合を主
成分とすることが特徴である。この出願発明のアルカリ
剥離性放射線硬化型インキは、上記のビヒクル110部
に対し、好ましくは、光重合開始剤0〜20部、光増感
剤0〜20部、有機及び/又は無機顔料0〜100部、
必要に応じレベリング剤、消泡剤、スリップ剤、熱重合
禁止剤、消泡剤などの添加剤を少量添加して、ロールミ
ル、ディゾルバー、ボールミルなどの分散機を用いてよ
く混練し製造される。
【0006】[作用]この出願発明の印刷方法において
は、印刷に先立って熱可塑性樹脂製品の表面を処理する
ことなく印刷できるが、熱可塑性樹脂製品の表面を、フ
レームもしくはコロナ放電、紫外線処理等の公知の表面
処理法による処理、あるいはアンカーコート処理をして
もよい。この出願発明で使用される放射線硬化型インキ
組成物は、主成分となる不飽和二重結合を有するポリエ
ステルオリゴマー及び/又はポリマーの基本構造に基づ
く密着性及び低収縮性による応力剥離防止機能によっ
て、きわめてよく基材に密着する。この出願発明の組成
物の硬化物が無処理でもプラスチック基材、とくに、ポ
リエチレンテレフタレートあるいはポリアクリロニトリ
ル樹脂に密着することは、印刷の作業上、工程短縮など
のメリットが大きい。
【0007】この出願発明の放射線硬化型インキ組成物
は、分子内に少なくとも1個の酸性基を有し、かつ、不
飽和二重結合を1〜10個有するカルボン酸の1種以上
及び/又はカルボン酸エステルの1種以上及び/又はカ
ルボン酸アミドの1種以上、とくに、分子内に少なくと
も1個の酸性基を有し、不飽和二重結合を1個有するカ
ルボン酸及び/又はカルボン酸エステル及び/又はカル
ボン酸アミド、及び、分子内に1〜10個の酸性基を有
し、不飽和二重結合を2個以上有するカルボン酸及び/
又はカルボン酸エステル及び/又はカルボン酸アミドが
配合されている。従って、使用後に回収される印刷物か
らアルカリ水溶液で処理することによりインキの硬化膜
は容易に脱離し、清浄な状態で再生可能なプラスチック
製品基材の樹脂を回収することができる。
【0008】インキ硬化膜の脱離状態を膜状とするか溶
液状とするかは、分子内に少なくとも1個の酸性基を有
し、不飽和二重結合を1個有するカルボン酸及び/又は
カルボン酸エステル及び/又はカルボン酸アミドの量の
増減およびオリゴマー及び/又はポリマー量比の増減、
多官能ポリマー量の増減による架橋密度の制限により容
易に調整できる。
【0009】
【構成】この出願発明の、線状ポリエステルを骨格と
し、分子内に1〜10個の不飽和二重結合を有するオリ
ゴマ−及び/又はポリマ−、とくに、骨格が重合性不飽
和二重結合を含まない線状ポリエステルであって、側鎖
として、実質的に酸性基を持たず、かつ、重合性不飽和
二重結合を1〜10個有するオリゴマー及び/またはポ
リマーは、分子中に1〜10個の放射線重合性不飽和二
重結合を有し、単独でも放射線重合性を示すのみなら
ず、他の放射線重合性化合物との間で共重合が可能なオ
リゴマー及び/又はポリマーである。
【0010】前記オリゴマー及び/又はポリマーの不飽
和二重結合には、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリ
ロイル基、クロトニル基等があるが、放射線による重合
性の高い(メタ)アクリロイル基が好適である。
【0011】また、前記オリゴマー及び/又はポリマー
における(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマ−及
び/又はポリマ−としては、基材との密着性あるいは基
材の膨張収縮に追従しうる構造としてポリウレタンアク
リレ−トが特に使用される。さらに好ましくは、ポリエ
ステルポリオ−ル、更にウレタン結合で鎖伸長した分子
量の大きいポリオールを原料としたポリウレタンアクリ
レ−トが使用される。
【0012】共重合ポリエステルポリオ−ルは、合成例
1に示したように、主にジカルボン酸成分とグリコ−ル
成分から合成される。ジカルボン酸成分は、テレフタル
酸、イソフタル酸、オルトフタル酸などの芳香族ジカル
ボン酸を主体として、少くとも全ジカルボン酸の60m
ol%以上使用し、柔軟性の付与などのために、コハク
酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸な
どの脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テト
ラヒドロフタル酸などの脂環式ジカルボン酸なども40
mol%以下を使用する。グリコ−ル成分には、例えば
エチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、1、3-プ
ロパンジオ−ル、1、4-ブタンジオ−ル、1、6-ヘキサ
ンジオ−ル、ネオペンチルグリコ−ル、ジエチレングリ
コ−ル、ジプロピレングリコ−ル、1、4-シクロヘキサ
ンジメタノ−ル、スピログリコ−ル、1、4-フェニレン
グリコ−ル、ビスフェノ−ルAのエチレンオキサイド付
加物またはプロピレンオキサイド付加物、ポリエチレン
グリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、などがある。
必要によりトリメチロ−ルプロパン、グリセリン、ペン
タエリスリト−ルなどのトリオ−ルやテトラオールを少
量含んでいても差支えない。このようなジカルボン酸成
分と、グリコ−ル成分とにより共重合ポリエステルポリ
オ−ルを得るためには、ジカルボン酸原料に対してグリ
コ−ル成分を過剰に用いて合成する。このときカルボキ
シル基末端が、共重合ポリエステル中に50eq/10
6g未満の実質的に酸性基を含まなくなるように合成す
るのが好適である。50eq/106g以上になると、
更に鎖伸長させてウレタンアクリレート化する際、ジイ
ソシアネ−ト化合物との反応時に不活性末端が多くなり
すぎ、目的とするポリウレタンアクリレ−トが得られな
い。
【0013】このようにして得られた共重合ポリエステ
ルポリオ−ルからウレタンアクリレートを得るには、上
記の共重合ポリエステルポリオール、ポリイソシアネ−
ト化合物及び分子内に(メタ)アクリロイル基と活性水
素基を有する化合物を反応させればよい。ポリイソシア
ネ−ト化合物としては、例えば2、4-トリレンジイソシ
アネ−ト、ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、1、3-
ジイソシアネ−トメチルシクロヘキサン、1、4-ジイソ
シアネ−トメチルシクロヘキサン、4、4´-ジイソシア
ネ−トジシクロヘキサン、4、4´-ジイソシアネ−トジ
シクロヘキシルメタン、イソホロンジイソシアネ−トな
どがあり、その他多くの市販のジイソシアネ−トが使用
できる。また、より多官能のアクリレートを必要とする
ときは、トリイソシアネート以上のポリイソシアネート
を単独もしくは上記ジイソシアネート中に混合して用い
ても良い。
【0014】分子内に(メタ)アクリロイル基と活性水
素基を有する化合物としては、1分子中に不飽和二重結
合とヒドロキシル基とを少くとも各々1個有する化合物
である。この出願発明において適用可能な不飽和二重結
合には、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル
基、クロトニル基などがあるが、放射線に対して高感度
の(メタ)アクリロイル基が好適である。例えば、エチ
レングコールモノ(メタ)アクリレ−ト、プロピレング
リコ−ルモノ(メタ)アクリレ−ト、ブタンジオ−ルモ
ノ(メタ)アクリレ−ト、ジエチレングリコ−ルモノ
(メタ)アクリレ−ト、ジプロピレングリコ−ルモノ
(メタ)アクリレ−トなどの2価アルコ−ルのモノ(メ
タ)アクリレ−ト、トリメチロ−ルエタンモノ(メタ)
アクリレ−ト、トリメチロ−ルエタンジ(メタ)アクリ
レ−ト、トリメチロ−ルプロパン(メタ)アクリレ−
ト、トリメチロ−ルプロパンジ(メタ)アクリレ−ト、
グリセリンモノ(メタ)アクリレ−ト、グリセリンジ
(メタ)アクリレ−トなどの3価アルコ−ルのモノ及び
ジ(メタ)アクリレ−ト、ペンタエリスリト−ルモノ
(メタ)アクリレ−ト、ペンタエリスリト−ルジ(メ
タ)アクリレ−ト、ペンタエリスリト−ルトリ(メタ)
アクリレ−ト、ジペンタエリスリト−ルテトラ(メタ)
アクリレ−トなどの4価以上の多価アルコ−ルのアクリ
レ−トでヒドロキシル基を含有するもの、これらアルコ
−ル類のカプロラクトン付加物を(メタ)アクリレ−ト
化したものでヒドロキシル基を含有するもの、モノグリ
シジルエ−テル類やエチレングリコ−ルジグリシジルエ
−テル、ポリエチレングリコ−ルジグリシジルエ−テ
ル、プロピレングリコ−ルジグリシジルエ−テル、ネオ
ペンチルグリコ−ルジグリシジルエ−テルなどの2価ア
ルコ−ルのジグリシジルエ−テル、トリメチロ−ルプロ
パントリグリシジルエ−テルなどの多価アルコ−ルのグ
リシジルエ−テル、ビスフエノ−ルAのジグリシジルエ
−テルなどのフェノ−ル性ヒドロキシル基を有する化合
物のグリシジルエ−テルなどのエポキシ化合物に(メ
タ)アクリル酸を開環付加させて得られるエポキシアク
リレ−ト類がある。
【0015】これらは、1種類のみを使用してもよい
し、2種類以上を併用してもよい。上記の原料を反応さ
せて得られる不飽和二重結合を有するポリエステルオリ
ゴマ−及び/又はポリマ−は、分子中に少くとも1個の
不飽和二重結合があればよく、1個以上10個までが適
用される。実用的な硬化速度で硬化膜表面タックをなく
し、基材への密着性や柔軟性を維持するためには、不飽
和二重結合は1分子中に2〜6個が好適である。
【0016】分子内に少なくとも1個の酸性基を有し、
かつ、不飽和二重結合を1〜10個有するカルボン酸の
1種以上及び/又はカルボン酸エステルの1種以上及び
/又はカルボン酸アミドの1種以上、とくに、分子内に
少なくとも1個の酸性基を有し、不飽和二重結合を1個
有するカルボン酸及び/又はカルボン酸エステル及び/
又はカルボン酸アミド、及び、分子内に1〜10個の酸
性基を有し、不飽和二重結合を2個以上有するカルボン
酸及び/又はカルボン酸エステル及び/又はカルボン酸
アミドは、一般には「酸性モノマー」、「酸性オリゴマ
ー」として扱われる化合物である。このうち酸性モノマ
ーは、ホモポリマー及びこれを高濃度に含有するコポリ
マーはアルカリにより親水性塩を形成し易水溶性となる
ものである。
【0017】不飽和二重結合としてビニル基、アリル
基、(メタ)アクリロイル基、クロトニル基等がある
が、ここでは放射線重合性の高い(メタ)アクリロイル
基が望ましい。酸性基としては、カルボキシル基、スル
ホニル基、ホスホリル基等の水溶性アルカリ金属塩を形
成しうるものが好ましいが、通常はカルボキシル基の分
子内導入で目的を達することができる。カルボキシル基
の数は、1分子中に1〜2個必要である。
【0018】カルボキシル基含有の酸性モノマーのもっ
とも簡単な構造は(メタ)アクリル酸そのものである
が、臭いが強く、安全の面からもインキ原料としてはあ
まり好ましくない。従って酸性モノマーは、分子内に不
飽和二重結合とヒドロキシル基とを併有する化合物と、
そのヒドロキシル当量に相当する環状の酸無水物とを反
応させて合成される。例えば(メタ)アクリル酸のアル
キレンオキサイド付加体と酸無水物とのカルボキシレー
ト化物、(メタ)アクリル酸のカプロラクトン付加体と
酸無水物とのカルボキシレート化物、(メタ)アクリル
酸のモノグリシジルエーテルの付加体と酸無水物とのカ
ルボキシレート化物、メチロール(メタ)アクリルアミ
ドと酸無水物とのカルボキシレート化物が挙げられる。
酸無水物としては無水コハク酸、無水マレイン酸、無水
イタコン酸、無水ドデシニルコハク酸、無水フタル酸、
無水テトラヒドロフタル酸、無水トリメリット酸等があ
る。また、無水マレイン酸は、それ自体及び開環エステ
ル化後も重合性が低く、(メタ)アクリレートとも共重
合しにくいので、この出願発明の酸性オリゴマー成分と
して使用し得る。
【0019】カルボキシル基は、前述の分子内に不飽和
二重結合とヒドロキシル基とを併有する化合物に、その
ヒドロキシル当量に相当する環状の酸無水物を加え、一
定時間加温することにより得られる。酸無水物としては
無水コハク酸等の脂肪族飽和ジカルボン酸の無水物、無
水マイレン酸、無水イタコン酸等の脂肪族不飽和ジカル
ボン酸の無水物、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ
フタル酸などの脂環式ジカルボン酸の無水物、フタル
酸、ナフテン酸などの芳香族ジカルボン酸の無水物、ト
リメリット酸などのトリカルボン酸の無水物がカルボキ
シル基を導入されるために使用される。また、アクリル
酸モノマ−合成時に副生するアクリル酸ダイマ−、アク
リル酸トリマ−などはそのまま、カルボキシル基含有の
モノマ−として使用可能である。
【0020】カルボキシル基以外の水溶性アルカリ金属
塩を形成しうる酸性基を有し、不飽和二重結合をあわせ
もつカルボン酸エステルとしては、モノ(メタ)アクリ
ロキシエチルホスフェート、(メタ)アクリロキシエチ
ルホスホリルフェニル、ジ(メタ)アクリロキシエチル
ホスフェート等のリン酸モノあるいはジエステル類、
(メタ)アクリロキシエチルスルホネート、ジ(メタ)
アクリロキシエチルサクシニルスルホネート等のスルホ
ン酸エステルがある。上記の酸性基を有する不飽和二重
結合含有カルボン酸及び/又はカルボン酸エステル及び
/又はカルボン酸アミドは、1種類のみ、あるいは2種
類以上を混合使用してもよく、最終的な硬化膜の物性に
よって使用量とともに決定される。
【0021】また酸性オリゴマーは、そのホモポリマ−
及び/又はこれを高濃度に含有するコポリマ−は高架橋
密度であって、アルカリ金属塩は水に膨潤する性質を有
するものである。この場合も上記酸性モノマ−の場合と
同じく、不飽和二重結合は放射線重合性の高い(メタ)
アクリロイル基が望ましい。またアルカリ金属塩を形成
しうる酸性基も同様で、カルボキシル基、スルホニル
基、ホスホリル基等があり、カルボキシル基が一般的で
ある。酸性基の数は、1分子中1〜10個がこの出願発
明においては使用されるが、個数は酸性オリゴマ−の分
子量によって決定せねばならず、原料面から経済的に合
成される酸性オリゴマ−としては2〜6個が実用的であ
る。1分子中の不飽和二重結合の数(官能基数)は2個
以上のいわゆる多官能で、2〜6官能のものを使用する
ことが多い。
【0022】酸性オリゴマ−は、ポリエポキシ化合物と
(メタ)アクリル酸の開環エステル化によって得られる
エポキシアクリレ−トが原料となり、これに環状酸無水
物を反応させてカルボキシル基を導入して合成される。
エポキシ(メタ)アクリレ−トとしては、ネオペンチル
グリコ−ルジグリシジルエ−テルと(メタ)アクリル酸
との反応物、1,6−ヘキサンジオ−ルジグリシジルエ
−テルと(メタ)アクリル酸との反応物、トリメチロ−
ルプロパントリグリシジルエ−テルと(メタ)アクリル
酸との反応物等の脂肪族エポキシアクリレ−ト、ビスフ
ェノ−ルAジグリシジルエ−テルと(メタ)アクリル酸
との反応物、エポキシフェノ−ルノボラックと(メタ)
アクリル酸との反応物、フタル酸グリシジルエステルと
(メタ)アクリル酸との反応物等の芳香族エポキシアク
リレ−トが挙げられる。
【0023】上記のエポキシアクリレ−トにカルボキシ
ル基を導入するための環状酸無水物には、無水コハク
酸、無水マレイン酸、無水ドデシニルコハク酸、無水フ
タル酸、無水トリメリット酸、無水テトラヒドロフタル
酸、無水テトラハライドフタル酸、無水ヘキサヒドロフ
タル酸等があり、これらの反応生成物はエポキシアクリ
レ−トのヒドロキシル基が酸無水物によってハ−フエス
テル化してペンダントされたものである。上記の酸性オ
リゴマーは、1種類あるいは2種類以上を配合して使用
することができる。またその使用量は、最終的な硬化膜
物性の要求性能に基づいて決められるが、アルカリ水溶
液による脱離を容易にするため、前記の酸性モノマ−と
の配合比を加味しつつ適量が検討されねばならない。こ
れを酸価として示すならば、ビヒクル全体の酸価が3以
上150以下、好ましくは20〜80、とくに好ましく
は20〜60の範囲であるように配合比及び配合量が決
定される。
【0024】また、脱離状態を溶解脱離としたいとき
は、酸性モノマーを多量に用いて酸価を上げるのがよ
く、膜状脱離が望ましいときは、酸性オリゴマーの比率
を高め、低酸価に抑えるとよい。特に膜状剥離の場合
は、インキ成分を濾過によってアルカリ液から除去する
ことができるため、廃水中の化学的酸素要求量が低下し
て処理しやすくなり好ましい。ただし、これらの条件
は、脱離に使用するアルカリの濃度、処理温度、処理時
間等によって変わるので、これらの脱離条件を加味して
適切な配合を実験により求めることが望ましい。
【0025】以上この出願発明の必須成分を具体的に例
示したが、これらの他に前記(A)、(B)成分と共重
合し、一般に多官能モノマ−及び多官能オリゴマ−と称
して市販されている化合物を用いることができる。その
中の代表的なものを挙げると、多官能モノマ−として
は、エチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、トリ
エチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、トリプロ
ピレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1,4−ブ
タンジオ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1,6−ヘキサ
ンジオ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ネオペンチルグリ
コ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ヒドロキシピバリン酸
ネオペンチルグリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、EO
変性ビスフェノ−ルAジ(メタ)アクリレ−ト、ジシク
ロペンタニルジ(メタ)アクリレ−ト等の2価アルコ−
ルのジ(メタ)アクリル酸エステル、トリメチロ−ルエ
タントリ(メタ)アクリレ−ト、トリメチロ−ルプロパ
ントリ(メタ)アクリレ−ト、グリセリントリ(メタ)
アクリレ−ト、トリス〔(メタ)アクリロキシエチル〕
イソシアヌレ−ト等の3価アルコールのトリ(メタ)ア
クリル酸エステル、ペンタエリスリト−ルテトラ(メ
タ)アクリレ−ト、ジトリメチロ−ルプロパンテトラ
(メタ)アクリレ−ト、ジペンタエリスリト−ルヘキサ
(メタ)アクリレ−ト等の4価以上のアルコ−ルの(メ
タ)アクリル酸エステルがある。また、3価以上のアル
コ−ルの(メタ)アクリル酸エステル化は、ヒドロキシ
ル基がすべてエステル化されずに一部残存していても差
し支えなく、また、エポキシ基を(メタ)アクリル酸で
開環エステル化するに際して生成するヒドロキシル基が
存在していてもよい。多官能オリゴマ−としては、この
出願発明の線状ポリエステルを骨格とする不飽和二重結
合を有するオリゴマ−及び/又はポリマ−に該当しない
オリゴマ−で、分子構造的にエポキシ(メタ)アクリレ
−ト、ウレタン(メタ)アクリレ−ト、ポリエステル
(メタ)アクリレ−ト、ポリエ−テル(メタ)アクリレ
−ト、ポリブタジエン(メタ)アクリレ−ト等に分けら
れる。
【0026】エポキシアクリレ−トでもっとも一般的な
ものは、式(1)
【化1】
【0027】(式中、nは1〜4であり、RはH又はC
3を示す。)のビスフェノ−ル型であり、ビスフェノ
−ル骨格をビスフェノ−ルA、ビスフェノ−ルF、ビス
フェノ−ルS等にかえたものがある。
【0028】また、式(2)
【化2】
【0029】(式中、nは0〜3であり、RはH又はC
3を示す。)に示すようなフェノ−ルノボラック型の
エポキシ(メタ)アクリレ−トも使用される。
【0030】また、エピクロルヒドリン変性(ポリ)ア
ルキレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、エポキシ
化大豆油(メタ)アクリレ−トなどの脂肪族エポキシ
(メタ)アクリレ−ト及び式(3)
【化3】
【0031】(式中、RはH又はCH3であり、R1はジ
カルボン酸の−COOH基を除いた残基を示す。)に示
したような脂環族エポキシ(メタ)アクリレ−トも、要
求性能に応じて使用される。
【0032】ウレタン(メタ)アクリレ−トとしては、
式(4)
【化4】 (式中、nは1〜4であり、RはH又はCH3であり、
2はジイソシアネートのNCOを除いた残基を示
す。)で示される構造の化合物が使用される。
【0033】式(4)において、イソシアネ−トはトリ
レンジイソシアネ−ト、4,4−ジフェニルメタンジイ
ソシアネ−ト、キシリレンジイソシアネ−ト等の芳香族
ジイソシアネ−ト、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、
トリメチルヘキサメチレンジイソシアネ−ト等の脂肪族
ジイソシアネ−ト、イソホロンジイソシアネ−ト、メチ
レンビス(4−シクロヘキシルイソシアネ−ト)等の脂
環族ジイソシアネ−ト、ポリオ−ルとしてはエチレング
リコ−ル、プロピレングリコ−ル、1,4−ブタンジオ
−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル等のグリコ−ル類、ポ
リグリコ−ルエ−テル類、エトキシ化ビスフェノ−ルA
等のビスフェノ−ルエ−テル類、スピログリコ−ル、カ
プロラクトン変性ジオ−ル、カ−ボネ−トジオ−ル等で
あり、これらジイソシアネ−トとポリオ−ルの組合せで
合成されるウレタンの末端を(メタ)アクリル化した市
販のものの中から要求性能に合致したものを選択使用す
る。
【0034】また、ポリエステル(メタ)アクリレ−ト
は、式(5)
【化5】
【0035】(式中、nは1〜5であり、RはH又はC
3であり、R1はH又はCH2=C(R)COO−であ
り、XはポリオールのOH基を除いた残基であり、Yは
ジカルボン酸のCOOH基を除いた残基を示す。)に示
す一般的な構造のものであり、これも多くのものが市販
に供されており、その中から要求性能に応じて選択使用
する。
【0036】ポリブタジエン(メタ)アクリレ−トは、
ヒドロキシル基末端を1分子中に2個以上有する液状ポ
リブタジエンを直接(メタ)アクリル酸エステル化した
ものの他に、ヒドロキシル基をジイソシアネ−トを介し
てヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル
と結合させた化合物が用いられる。これらは市販のも
の、例えばQuinbeam−101(日本ゼオン)、
TE樹脂(日本曹達)、ミケロンNU−A(早川ゴム)
等がある。多官能モノマ−及び/又はオリゴマ−使用の
目的は、放射線重合に際し3次元架橋を生ぜしめ、膜の
硬度、光沢、耐水性、耐薬品性、耐摩擦性を付与するた
めである。
【0037】上記の多官能モノマ−及び/又はオリゴマ
−は、使用に際して1種のみを使用しても差し支えない
が、多くの場合は2種以上の混合物がビヒクルの成分と
して加えられる。その使用量はビビクルの他の成分を含
めて、溶解性、粘度などの物性のほか、硬化時の架橋密
度が要求を満たすものかどうかによって決定される。ま
た、この出願発明の主題となるアルカリ脱離性を実現す
るための、ビヒクルの酸価を目的と合致させることも、
使用量を決定する際の制約条件となる。通常の場合はビ
ヒクル100部中5〜20部であるが、余り多く用いる
と硬化時の架橋収縮による応力剥離を生じ、基材への密
着性が低下するおそれがある。
【0038】この出願発明の、単官能モノマ−は、主と
して組成物粘度を調整する希釈剤として使用される場合
が多い化合物で、その中から代表的なものを挙げると、
2−エチルヘキシル(メタ)アクリレ−ト、シクロヘキ
シル(メタ)アクリレ−ト、ジシクロペンタニル(メ
タ)アクリレ−ト、ベンジル(メタ)アクリレ−ト、フ
ェノキシエチル(メタ)アクリレ−ト、トルイルオキシ
エチル(メタ)アクリレ−ト、エトキシエチル(メタ)
アクリレ−ト、エチルカルビト−ル(メタ)アクリレ−
ト、イソボルニル(メタ)アクリレ−ト、メトキシプロ
ピレングリコ−ル(メタ)アクリレ−ト、アクリロイル
モルホリン、N−ビニルピロリドン、N,N−ジエチル
アミノエチル(メタ)アクリレ−ト、t−ブチルアミノ
エチル(メタ)アクリレ−ト等がある。また、単官能モ
ノマ−は、分子内にヒドロキシル基、エポキシ基、リン
酸エステル基などの極性基を含む場合、密着性が著しく
向上するが、これらは、この出願発明においても耐水性
を低下させない程度に使用することができる。たとえ
ば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−
ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、3−ブトキ
シ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、カ
プロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリ
レ−ト、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレ−ト、グリシジル(メタ)アクリレ−ト、
エチレンオキサイド変性ブトキシ化リン酸(メタ)アク
リレ−ト等がある。これら単官能モノマ−は単独もしく
は2種以上を混合して使用されるが、インキビヒクル1
00部中、5〜40部が用いられ、粘度調整は通常10
〜30部の範囲で行われる。
【0039】上記のビヒクル成分は、実験によって求め
られた望ましい比率により混合されてインキビヒクルが
製造されるが、この出願発明の主要目的である、多層重
ね印刷における基材との密着性および層間密着性を維持
するためには、請求項1(A)のオリゴマーおよび/又
はポリマーはインキビヒクル100部中15〜60部が
用いられる。オリゴマー及び/又はポリマーは配合量が
多いほど基材及び相間密着性に優れるが、実用的なイン
キ物性を得るには20〜50部が好ましい。この出願発
明のオリゴマー及び/又はポリマーを使用した基材密着
配合は、多層印刷において10層を重ねても層間剥離が
生じない。また、もう一つの主要目的であるアルカリ水
溶液によるインキ硬化物の脱離を実現するためには、そ
の酸価が3以上150以下となるように組成を決定す
る。こうして得られたビヒクルを用いて紫外線硬化型イ
ンキとするには、光重合開始剤、光増感剤、有機及び/
又は無機顔料、その他の添加剤等を加えて目的が達成さ
れるが、EB(電子線)硬化を行う場合は、光重合開始
剤及び光増感剤は必要ではない。
【0040】紫外線重合の場合に用いられる光重合開始
剤としては多くのものが知られるが、公知のものの中か
ら代表的なものを挙げると、ベンゾフェノン、ジエトキ
シアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェ
ニルケトン、2−メチル−(4−メチルチオフェニル)
−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、ベンゾインア
ルキルエ−テル、ベンジル、ベンジルジメチルケタ−
ル、カンファ−キノン、2−エチルアンスラキノン、ベ
ンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノ
ン、3,3´−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノ
ン、チオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソ
ン、メチルフェニルグリオキシレ−ト、ベンゾイルホス
フィンオキサイド、1−トリメチルベンゾイルジフェニ
ルホスフィンオキサイド等がある。同じく、公知の光増
感剤の中から代表的なものを挙げると、トリエタノ−ル
アミン、メチルジエタノ−ルアミン、トリイソプロパノ
−ルアミン、4,4´−ジエチルアミノベンゾフェノ
ン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチル
アミノ安息香酸−n−ブトキシエチル、4−ジメチルア
ミノ安息香酸イソアミル等がある。
【0041】上記の光重合開始剤は単独でも使用できる
が、多くの場合は光増感剤と併用して光重合性を向上さ
せる。光重合開始剤及び光増感剤の種類は、使用するイ
ンキヒビクル成分によって、もっとも適したものが選択
される。その基準は、硬化速度、硬化時に発生する着色
の有無、顔料配合の有無、硬化後の臭いの強弱等、目的
に応じて加味検討される。使用量はインキビヒクルに対
し、光重合開始剤及び光増感剤それぞれ1〜20部が可
能であるが、多量使用の場合は硬化は速いが分子量が大
きくならず、硬化膜の強度は低下し、また臭いも強く好
ましくない。もっとも望ましい使用範囲は、両者併用量
として2〜10部である。その場合、光重合開始剤と光
増感剤の使用比率は、ビヒクル成分の種類と成分比によ
って異なり、また後述の着色用顔料を添加したインキで
は、顔料に特異的な紫外線吸収能により両者の使用比を
変化させる必要があり一律とはならない。顔料は化学組
成的に有機顔料と無機顔料に大別されるが、用途面から
は着色顔料と無着色顔料(体質顔料)にも分けられる。
放射線硬化に関していえば、用途面の分類の方が重用さ
れる。
【0042】この出願発明では顔料を用いないクリヤー
インキとして用いることができるが、多くの場合顔料を
添加した加飾インキとして用いられる。着色顔料のう
ち、無機顔料には鉛白、亜鉛華、硫化亜鉛、二酸化チタ
ン等の白色顔料、群青、紺青、コバルトブル−等の青色
顔料、酸化クロム、ピリジアン、クロムグリ−ン等の緑
色顔料、黄鉛、チタンイエロ−、黄色酸化鉄、モリブデ
−トオレンジ、カドミウム系顔料、弁柄等の黄〜赤色顔
料、鉄黒、チタンブラック、カ−ボンブラック等の黒色
顔料、アルミニウム粉、ブロンズ等の金属顔料、マイカ
等のパ−ル顔料がある。しかし、無機顔料には安全衛生
面から使用を避けなければならないものが多々あり、上
記の中から無害のものが選択使用される。有機顔料で
は、モノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系、インダント
ロン系、インジゴ系、チオインジゴ系、キナクリドン
系、フタロシアニン系、ジオキサジン系、イソインドリ
ノン系、ピロロピロ−ル系等がいずれも使用でき、放射
線照射という硬化方法に即して、とくに退色の少ない耐
光堅牢度の高い顔料を選んで使用するのが望ましい。
【0043】上記着色顔料の使用量は、目的とする色濃
度によって変わり、大体インキ全量中0.5〜50%の
範囲である。顔料特性としての着色力によって制約され
るが、代表的な白色顔料である酸化チタンの場合は15
ないし40%黒色顔料のカ−ボンブラックでは3〜6%
が通常量である。有機着色顔料では、鮮明な色を得るに
は3〜20%で、紫外線による硬化の場合は4〜15%
が望ましい。この出願発明の特許請求の範囲1に記載の
ビヒクルは、カルボキシル基のような極性基を多く含む
ことから、一般に着色顔料の分散性は良い。しかしさら
に良好な発色を得るには、ビヒクルに少量の顔料分散剤
を添加したものに多量の顔料を配合して、その吸油量に
起因する粘度向上を利用して物理的に粉砕圧力のかかり
やすい状態を作り出し、色材工業における一般的な媒体
分散機たとえばボ−ルミルやロ−ルミル等で十分な混練
を行う。こうして得た高濃度の顔料分散体(トナ−)
を、インキ配合の際所定の顔料濃度となるように不足分
のビヒクルで補充調整する方法がとられる。
【0044】この出願発明の放射線硬化型インキ組成物
には、粘度、流動性、チクソ性等の印刷インキの特性維
持、インキ肉盛保持と増量、硬化時の収縮緩衝、表面つ
や消し、スリップ性付与、膜の強度向上等の目的で、種
々の無着色顔料(体質顔料)を使用することができる。
よく使用される体質顔料としては、タルク、カオリン、
シリカ、沈降性硫酸バリウム、沈降性炭酸カルシウム、
アルミナホワイト、ホワイトカ−ボン等無機体質顔料、
ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、多フ
ッ化ポリエチレンワックス等のワックス類、ポリアミド
樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミ
ン樹脂、セルロ−ス、コラ−ゲン等の人工及び/又は天
然高分子の微粉末である。これらは目的に応じて自由に
使用量を決定することができる。この出願発明の性放射
線硬化型インキ組成物には、硬化膜の仕上がり状態を調
整するために、レベリング剤及び/又は消泡剤を加える
ことができる。これらは、市場で一般に販売されている
諸種のレベリング剤、消泡剤の中から、ビヒクル成分に
よく相溶し、表面平滑性の得られるものを試験によって
確認して使用する。種類や使用量は、この出願発明のイ
ンキ組成物の内容を制約するものではなく、適宜定めれ
ばよいが、通常レベリング剤及び/又は消泡剤の合計量
として全インキ量の0.5〜5重量%が使用される。
【0045】その他必要に応じて紫外線吸収剤、濡れ性
改良剤、酸化防止剤等も使用することができる。このよ
うにして製造されたこの出願発明の放射線硬化型インキ
組成物を用いたインキは、主にスクリ−ン印刷に用いら
れるが、有機溶剤を用いてより低粘度に調整した場合
は、フレキソ印刷及びグラビア印刷等、他の印刷方法に
おけるインキとしても十分に使用できる。
【0046】この出願発明による放射線硬化型インキの
ポレエチレンテレフタレートあるいはポリアクリロニト
リル樹脂上の硬化後の印刷物は、これを水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウムなどの強アルカリ水溶液に短時間浸
漬することで容易に脱離除去することができ、このとき
ポリエチレンテレフタレート樹脂を加水分解するなどの
激しい条件を必要としない。脱離は溶解脱離から膜状脱
離までの諸段階があるが、これらは水溶性成分及び/又
は水膨潤性成分の総量もしくはこれらの量比を調整する
ことにより、目的とする性能を得ることが可能である。
いずれにしても脱離性状の選択は除去後の廃水の処理方
法によって定められるが、脱離後のポリエチレンテレフ
タレート樹脂は水洗、乾燥などの簡単な方法で、容易に
再生使用できるだけの清浄な状態で回収できる。
【0047】合成例1 実施例に用いられる側鎖に不飽和二重結合を有する線状
ポリエステルオリゴマ−及び/又はポリマ−は、下記
(1)の共重合ポリエステルポリオ−ルを(2)の組成
でウレタンアクリレ−ト化して得た。 (1)共重合ポリエステルポリオ−ル A B (ジカルボン酸成分) テレフタル酸 30 50 イソフタル酸 30 50 オルソフタル酸 40 − (グリコ−ル成分) エチレングリコ−ル 55 50 ネオペンチルグリコ−ル 45 50 共重合体の分子量 1900 3000 (2)不飽和二重結合を有するオリゴマ−及び/又はポリマ− (共重合ポリエステルポリオ−ル成分) A−1 B−1 A 100 B 100 (ポリイソシアネ−ト成分) イソホロンジイソシアネ−ト 28 27 (ヒドロキシル基含有(メタ) アクリル酸エステル) ぺンタエリスリト−ル 40 トリアクリレ−ト 2−ヒドロキシエチル 13 アクリレ−ト 分子量 2500 3600
【0048】合成例2 カルボキシル基を1〜10個有し、不飽和二重結合を2
個以上有する酸性オリゴマーの合成について以下に3例
を記す。 (a)ビスフェノ−ルAジグリシジルエ−テル190.
0g(エポキシ当量190.0)、アクリル酸75.0
g(1.05mol)、ジメチルベンジルアミン2g、
p−メトキシフェノ−ル0.2gを温度計、攪拌器、還
流冷却器を付したフラスコに加え、均一に溶解後80℃
に加熱し、24時間保持し、酸価10.3のエポキシア
クリレ−トを得た。次いで無水フタル酸140.6g
(0.95mol)を加え、80℃で5時間保持し、酸
価130.7の淡黄色粘稠なビスフェノ−ルAエポキシ
アクリレ−トのフタル酸エステルを合成した。 (b)エポキシノボラック樹脂190.0g(エポキシ
当量190.0)、アクリル酸75.0g(1.05m
ol)、テトラメチルアンモニウムクロライド2.0
g、p-メトキシフェノ−ル0.2gを、上記(a)と
同様の装置に仕込み、均一に溶解した後80℃に加熱
し、24時間保持して酸価10.5のエポキシアクリレ
−トを得た。次いで無水コハク酸95g(0.95mo
l)を加え、80℃で5時間保持し、酸価145.2を有す
る淡黄色粘稠なエポキシノボラックアクリレ−トのコハ
ク酸エステルを得た。 (c)グリセリントリグリシジルエ−テル150g(エ
ポキシ当量150.0)、アクリル酸75.0g(1.
05mol)、テトラブチルフォスフォニウムブロマイ
ド2g、p−メトキシフェノ−ル0.2gを(a)と同
様の装置に仕込み、均一に溶解した後80℃に加熱し、
酸価9.8のエポキシアクリレ−トを得た。次いで無水
ヘキサハイドロフタル酸145g(0.95mol)を
加え、80℃で5時間保持し、酸価141.3を有する
淡黄色粘稠なグリセリンエポキシアクリレ−トのヘキサ
ハイドロフタル酸エステルを得た。
【0049】
【実施例】
実施例1 合成例1 B−1の不飽和二重結合を有するオリゴマ−
25.0g、脂肪族ウレタンヘキサアクリレ−ト5.0
g、脂肪族ウレタンジアクリレート25.9g、モノア
クリロイルオキシエチルフタレ−ト6.5g、合成例2
(a)のビスフェノ−ルAエポキシアクリレ−トのフタ
ル酸エステル5.0g、トリメチロ−ルプロパントリア
クリレ−ト2.0g、フェノキシエチルアクリレ−ト1
4.6g、アクリロイルモルホリン16.0gを混合し
てなる酸価19.3のビヒクル100部に対し、ミスト
ロンベ−パ−タルク15部、ベンジルジメチルケタ−ル
10部、ジメチルアミノ安息香酸ブチルエステル5部、
ポリエチレンワックス粉末3部、レベリング剤(ビック
ケミ−社 BYK−306)1部、熱重合禁止剤フェノ
チアジン0.1部を混合し、これをロ−ルミルで分散粒
子径5ミクロン以下の無着色インキを製造した。このイ
ンキは300メッシュテトロン製スクリ−ン版を用いて
無処理ポリエチレンテレフタレートのシ−ト上にスクリ
−ン印刷し、120W/cmメタルハライドランプによ
り紫外線積算光量200mj/cm2を照射し、硬化膜
を得た。この硬化膜は、セロテ−プによる剥離試験でま
ったく剥離を示さず、完全に密着していた。さらに、こ
の硬化膜の上に同一条件で塗布、硬化を5回、計6回繰
り返したが、1回目の塗布面と6回目の塗布面をはじ
め、すべての重ね刷り部分においてセロテープによる剥
離試験でまったく剥離を生じなかった。上記条件により
6回重ね印刷したポリエチレンテレフタレート基材を2
%水酸化ナトリウム水溶液中に、70℃で20分間放置
したところ、硬化物は大部分膨潤、一部溶解して脱離
し、ポリエチレンテレフタレート基材には印刷の痕跡が
まったく見られなかった。
【0050】実施例2 合成例1 B−1の不飽和二重結合を有するオリゴマ−
177gをフェノキシエチルアクリレ−ト118gに溶
解し、これに顔料分散剤(ICI社製ソルスパ−ス 2
4000/ソルスパ−ス 5000=4/1)1.5g
を混合しておき、これにヘリオゲンブル−L−7080
(BASF社製)52.3gを加えて、顔料分散粒子径
が5ミクロン以下となるまで、ロ−ルミルで十分に混練
した。こうして得られたトナ−のうちの41.6gにB
−1の不飽和二重結合を有するオリゴマー7.6gと多
官能のウレタンアクリレート紫光1700B(日本合成
化学工業)10.0g、ネオペンチルグリコールエチレ
ンオキサイド2モル付加体のジアクリレート4.6g、
モノアクリロイルオキシエチルフタレ−ト10.0g、
合成例2-(c)のグリセリンエポキシアクリレ−トの
ヘキサハイドロフタル酸エステル6.2g、アクリロイ
ルモルホリン20.0gをよく混合し、着色インキビヒ
クルとした。このビヒクルの酸価は30.0であった。
上の着色インキビヒクル100gに対し光重合開始剤ジ
エチルチオキサンソン3.0g、光増感剤ジメチルアミ
ノ安息香酸イソアミルエステル3.0g、沈降性硫酸バ
リウム35g、プロピレンワックス粉末3g、レベリン
グ剤(シャムロック社製バ−サフロ−ベ−ス)2g、熱
重合禁止剤p−メトキシフェノ−ル0.04gを加えて
よく攪拌した後、ロ−ルミルでよく混練して均質な青色
インキを得た。このインキを実施例1と同様に無処理の
ポリエチレンテレフタレートのシート上にスクリ−ン印
刷を行い、同一の露光機により紫外線積算光量300m
j/cm2を照射し硬化膜を得た。この硬化膜は、セロ
テ−プによる剥離テストでまったく剥離を示さず、良好
な密着性を示した。さらに、この硬化膜の上に同一条件
で印刷硬化を4回(計5回)繰り返したが、1回目の印
刷面と5回目の印刷面をはじめ、全ての重ね刷り部分に
おいて、セロテープによる剥離試験で全く剥離を生じな
かった。 上記の同条件で作成した単層および多層重ね
硬化膜を基材とともに2%水酸化ナトリウム水溶液中7
0℃で20分間放置したところ、硬化物はゼラチン状に
膨潤、一部溶解して脱離し、ポリエチレンテレフタレリ
ート基材には印刷した痕跡がまったく見られなかった。
【0051】実施例3 合成例1 B-1の側鎖に不飽和二重結合を有する線状
ポリエステルオリゴマ−16.0g、脂肪族ウレタンヘ
キサアクリレ−ト4.9g、モノアクリロイルオキシエ
チルサクシネ−ト5.5g、合成例2-(b)のエポキ
シノボラックアクリレ−トコハク酸エステル4.0g、
トリメチロ−ルプロパントリエポキシアクリレ−ト3.
9g、トルイルオキシエチルアルクリレート3.9g、
フェノキシエチルアクリレ−ト11.0g、アクリロイ
ルモルホリン9.8gを混合して、酸価50.8のイン
キビヒクルを得た。さらに顔料分散剤Disperby
k−110(ビックケミ−社製)0.5gを添加して均
一に混和し、これに酸化チタン(石原産業製タイペ−ク
CR−90)を30.0g、光重合開始剤アシルホスフ
ィンオキサイド6.0g、フッ化ポリエチレンワックス
粉末2.0g、レベリング剤(バ−サフロ−ベ−ス シ
ャムロック社製)1.5g、消泡剤(アクアレンN 共
栄社油脂化学工業製)1.0g、熱重合禁止剤p-メトキ
シフェノ−ル0.04gを加え、、しばらく攪拌の後、
ロ−ルミルを用いて顔料分散粒子径が5ミクロン以下に
なるまで混練した。このようにして得られた白インキ
は、実施例1と同様の方法で無処理のポリエチレンテレ
フタレートシ−ト上に印刷し、120W/cmメタルハ
ライドランプにより紫外線積算光量300mj/cm2
を照射し、硬化膜を得た。この硬化膜は、セロテ−プに
よる剥離テストでまったく剥離を示さず、良い密着性を
確認した。同条件で作成した硬化物を2%水酸化ナトリ
ウム水溶液中に70℃で30分間放置したところ、硬化
物は白濁液状に脱離して、ポリエチレンテレフタレート
基材には印刷の痕跡がまったく見られなかった。
【0052】実施例4 合成例1 Bー1の側鎖に不飽和二重結合を有する線状
ポリエステルオリゴマー25.0g、フェノキシエチル
アクリレート19.7g、トルイルキシエチルアクリレ
ート6.5g、アクリロイルモルホリン19.3g、ネ
オペンチルグリコールエチレンオキサイド2モル付加体
のジアクリレート3.0g、トリメチロールプロパント
リエポキシアクリレート6.5g、6官能ウレタンアク
リレート(ダイセルユーシービー製エベクリル1290
K)8.0g、モノアクリロイルオキシエチルサクシネ
ート10.0g、合成例2(a)のビスフェノールAエ
ポキシアクリレートのフタル酸エステル2.0gを混合
攪拌し、酸価28.6の均一なビヒクルを得た。次いで
このビヒクル92.0gに顔料分散剤アンチテラーU
(ビックケミー社製)0.2gとpーメトキシフェノー
ル0.05gを予め溶解攪拌しておき、これにラーベン
450(コロンビアカーボン製)1.5g、ラーベン1
350(コロンビアカーボン製)1.5g、及びチタン
ブラック10S(三菱マテリアル製)5.0gを分散
し、ロールミルで分散粒子径が5ミクロン以下となるま
で十分に混練を行い着色ビヒクルを得た。この着色ビヒ
クル96.5gに対しフッ化フッ化ポリエチレンワック
ス2.0g、レベリング剤BYKー306(ビックケミ
ー社製)0.5g、消泡剤アクアレンN(共栄社油脂工
業製)1.0gを加えてディゾルバーを用いて十分なる
攪拌を行い、EB硬化用の黒色インキを製造した。上の
ようにして得られた黒色インキを、330メッシュのス
クリーン版を用いて無処理のポリエチレンテレフタレー
トシート上に印刷し、EB照射装置CB250/15/
180L(岩崎電気社製)を用いて6Mrad(165
KV、3.2mA、10m/min)の電子線量で硬化
し、タックフリーの硬化被膜を得た。このインキ硬化膜
は、セロテープによる剥離テストでも全く剥離せず良好
な密着性を示し、かつ5%水酸化ナトリウム水溶液に8
0℃で5分間浸漬することによって、溶液となって基材
から完全に脱離し、基材表面には印刷の痕跡がまったく
見られず、アルカリ水溶液による浸蝕の形跡も観察され
なかった。
【0053】実施例5 表1に示した配合組成により、4色の着色インキを製造
した。具体的な操作手順を示すと、まず、ビヒクル成分
に予め熱重合禁止剤と顔料分散剤を加えて攪拌溶解して
おき、これに顔料を加えてディゾルバーで予備混合を行
った後、残りの原料を加えて、さらに混合し、ついでロ
ールミルで十分に混練した。混練は顔料の分散粒子径が
5ミクロンに達した時を終点とし、これを目的の着色イ
ンキとして捕集した。得られた4色のインキを300メ
ッシュスクリーン版を用いてポリエチレンテレフタレー
トシート上に印刷した。重ね印刷は各色ごとに印刷、硬
化を行い、したがって、2色目は1色目の硬化膜の上に
重なるが、重ならないで基材に印刷する部分もつくり印
刷、硬化した。同様にして、3色目、4色目を印刷硬化
し、図1に示すようなパターン概念の試験片を作成し
た。各色の硬化条件は全て150mj/cm2の同一紫
外線光量とし、試験片を作成した。これら試験片の図1
のパターンの全ての印刷部分(1色〜4色重ねまで)爪
によるスクラッチ試験を行ったが、全く剥離はみられず
完全に密着していた。同条件で作成した試験片を2%水
酸化ナトリウム水溶液中に70℃で15分間放置したと
ころ、硬化膜は重ね部分を分離せずに一層の膜となって
剥離して液中に浮遊し、ポリエチレンテレフタレート基
材には印刷の痕跡が全くみられなかった。つぎに、4色
のインキを300メッシュスクリーン版を用いてポリエ
チレンテレフタレートシート上に印刷した。重ね印刷は
各色ごとに印刷、硬化を行い、したがって、2色目は1
色目の硬化膜の上に重なるが、重ならないで基材に印刷
する部分もつくり印刷、硬化した。同様にして、硬化条
件を200mj/cm2及び300mj/cm2とし、各
同一光量で印刷試験片を作成した。いずれも密着性に異
常は認められず、2%水酸化ナトリウム水溶液中に70
℃で放置したところ、200mj/cm2の場合は15
分間で、300mj/cm2の場合は20分間で脱離
し、ポリエチレンテレフタレート基材には印刷の痕跡が
全くみられなかった。ポリエチレンテレフタレートシー
トに代わりにポリアクリロニトリルシートを使用し、同
様に印刷、硬化を行ったが、いずれも密着性に異常は認
められず、2%水酸化ナトリウム水溶液中に70℃で放
置したところ、ポリエチレンテレフタレートの場合と同
様に脱離し、ポリアクリロニトリル基材には印刷の痕跡
が全くみられなかった。
【0054】
【表1】
【0055】
【発明の効果】この出願発明による放射線硬化型インキ
で印刷された商品、たとえば、ポリエチレンテレフタレ
ートあるいはポリアクリロニトリル樹脂上の印刷物は、
使用後に水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの強ア
ルカリ水溶液に短時間浸漬することで容易に脱離除去す
ることができる。このときポリエチレンテレフタレート
あるいはポリアクリロニトリル樹脂を加水分解するなど
の激しい条件を必要としない。したがって、回収された
後のポリエチレンテレフタレートあるいはポリアクリロ
ニトリル樹脂は水洗、乾燥などの簡単な方法で、容易に
再生使用することができる、環境保護、省資源の面から
も優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】印刷パターンを示す図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 功作 愛知県名古屋市天白区植田一丁目1306 メ ゾンUEDA 303号 (72)発明者 串田 秀男 東京都江東区大島3丁目2番6号 株式会 社吉野工業所内 (72)発明者 宮 隆 東京都江東区大島3丁目2番6号 株式会 社吉野工業所内 (72)発明者 古塩 秀一 東京都江東区大島3丁目2番6号 株式会 社吉野工業所内 (72)発明者 早川 忠司 東京都江東区大島3丁目2番6号 株式会 社吉野工業所内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)線状ポリエステルを骨格とし、分
    子内に1〜10個の不飽和二重結合を有するオリゴマ−
    及び/又はポリマ− (B)分子内に少なくとも1個の酸性基を有し、かつ、
    不飽和二重結合を1〜10個有するカルボン酸の1種以
    上及び/又はカルボン酸エステルの1種以上及び/又は
    カルボン酸アミドの1種以上 上記(A)〜(B)を含むビヒクルおよび必要に応じて
    光重合開始剤、光増感剤、有機及び/又は無機顔料を配
    合することを特徴とする放射線硬化型インキ組成物。
  2. 【請求項2】 (A)成分が、骨格が重合性不飽和二重
    結合を含まない線状ポリエステルであって、側鎖とし
    て、実質的に酸性基を持たず、かつ、重合性不飽和二重
    結合を1〜10個有するオリゴマー及び/またはポリマ
    ーであることを特徴とする請求項1に記載の放射線硬化
    型インキ組成物。
  3. 【請求項3】 (A)成分が、重合性不飽和二重結合を
    含まない線状ポリエステルポリオールと、ポリイソシア
    ネート化合物と、(メタ)アクリロイル基及び活性水素
    基を含有する化合物とから合成されるオリゴマー及び/
    またはポリマーであることを特徴とする請求項1及び2
    に記載の放射線硬化型インキ組成物。
  4. 【請求項4】 線状ポリエステルポリオールが、芳香族
    ジカルボン酸と脂肪族及び/または脂環式ジカルボン酸
    と、グリコール及び/またはトリオール及び/またはテ
    トラオールから合成されることを特徴とする請求項3に
    記載の放射線硬化型インキ組成物。
  5. 【請求項5】 (B)成分が、 (C)分子内に少なくとも1個の酸性基を有し、不飽和
    二重結合を1個有するカルボン酸及び/又はカルボン酸
    エステル及び/又はカルボン酸アミド及び (D)分子内に1〜10個の酸性基を有し、不飽和二重
    結合を2個以上有するカルボン酸及び/又はカルボン酸
    エステル及び/又はカルボン酸アミドであることを特徴
    とする請求項1〜4に記載の放射線硬化型インキ組成
    物。
  6. 【請求項6】 (C)成分が(D)成分よりも少ないこ
    とを特徴とする請求項5に記載の放射線硬化型インキ組
    成物。
  7. 【請求項7】 ビヒクル成分として、 (E)不飽和二重結合を2個以上有し酸性基を有さず、
    (A)成分と異なるカルボン酸エステル (F)不飽和二重結合を1個有し、酸性基を有しないカ
    ルボン酸エステル及び/又はカルボン酸アミド及び/又
    はカルボン酸イミドを含むことを特徴とする請求項1〜
    6に記載の放射線硬化型インキ組成物。
  8. 【請求項8】 ビヒクルの酸価が3以上150以下とな
    るビヒクル100部に対し、光重合開始剤0〜20部、
    光増感剤0〜20部、有機及び/又は無機顔料0〜10
    0部を含むことを特徴とする請求項1〜7に記載の放射
    線硬化型インキ組成物。
  9. 【請求項9】 放射線硬化型インキ組成物が加飾性であ
    ることを特徴とする請求項1〜8に記載の放射線硬化型
    加飾インキ組成物。
  10. 【請求項10】 繰り返して印刷及び硬化するためのも
    のであることを特徴とする請求項1〜9に記載の放射線
    硬化型インキ組成物。
  11. 【請求項11】 請求項1〜9に記載の組成物を印刷
    後、放射線を照射して硬化することを特徴とする放射線
    硬化型インキ組成物の印刷方法。
  12. 【請求項12】 請求項1〜9に記載の組成物を印刷
    後、放射線を照射して硬化し、さらに印刷と放射線照射
    を1回以上繰り返すことを特徴とする放射線硬化型イン
    キ組成物の印刷方法。
  13. 【請求項13】 請求項1〜9に記載の組成物に放射線
    を照射し、硬化した膜をアルカリ水溶液によって、脱離
    することを特徴とする硬化後の放射線硬化型インキ組成
    物の脱離方法。
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