JPH0834944A - 孔版印刷用エマルジョンインク - Google Patents
孔版印刷用エマルジョンインクInfo
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Abstract
ク温度適性を改善し、かつ印刷物の印刷濃度が高く、滲
みおよび裏抜けの少ない孔版印刷用エマルジョンインク
を提供する。 【構成】(1) 油相および水相を有するW/O型エマルジ
ョンインクにおいて、前記水相中に水不溶性着色剤を第
3アミン化合物を用いて分散させたことを特徴とする孔
版印刷用エマルジョンインク、(2) 水不溶性着色剤の平
均粒径が10μm以下であることを特徴とする(1) 記載
の孔版印刷用エマルジョンインク、(3) 水相中にO/W
型樹脂エマルジョンおよび/または水溶性樹脂を含有す
ることを特徴とする(1) または(2) 記載の孔版印刷用エ
マルジョンインク、および(4) 油相中に樹脂成分を含有
していないことを特徴とする(1) 、(2) 、(3) 記載の孔
版印刷用エマルジョンインク。
Description
インクに関し、さらに詳しくはエマルジョンの安定性、
インクの乾燥性およびインクの温度適性に優れ、かつ印
刷物の印刷濃度が高く、滲みおよび裏抜けの少ない孔版
印刷用エマルジョンインクに関する。
版を行い、製版により形成された原紙の穿孔部にインク
を通過させて紙などの被印刷体に印刷を行うものであ
る。この孔版印刷は、版の作製が容易なために幅広い分
野で利用されている。孔版印刷用インクには、一般に油
中水(W/O)型エマルジョンインクが使用されてお
り、その油相成分中に着色剤である顔料成分が含まれて
いる(特開昭61−255967号公報、特開昭64−
14284号公報、特開平4−132777号公報、特
開平5−117565号公報等)。
被印刷体に印刷されると、まずエマルジョンの外相であ
る油相成分が被印刷体に浸透し、次いで内相である水相
成分が紙内部に浸透および/または飛散する。従来のW
/O型エマルジョンインクでは、油相成分中に顔料成分
が含まれているため、インクの浸透速度が遅くなってい
た。さらにこの顔料成分を油相成分中に分散させ、かつ
被印刷体への固着を向上させるための樹脂成分が含まれ
ているが、この樹脂成分は、一般に高分子化合物を使用
するため、インクの浸透速度が遅くなり、かつ、浸透し
てもインクの滲みが発生し易く、また、顔料等のインク
成分が被印刷体内部まで浸透してしまい、裏抜けが発生
し易いという問題があった。また油相中に含まれるこの
樹脂成分が温度に対して粘度変化が大きいため、インク
の温度に対する粘度安定性が確保されにくいという欠点
があった。一方、水相中に顔料などの水不溶性着色剤を
細かく、かつ安定に分散させるためには分散剤を使用す
る必要があるが、この分散剤が水相中に存在するとエマ
ルジョンが崩壊し易く、安定なW/O型エマルジョンイ
ンクが得られないという問題があった。
の従来技術の問題点を解決し、エマルジョン安定性、イ
ンク乾燥性およびインク温度適性を改善し、かつ印刷物
の印刷濃度が高く、滲みおよび裏抜けの少ない孔版印刷
用エマルジョンインクを提供することにある。
明は以下のとおりである。 (1)油相および水相を有するW/O型エマルジョンイ
ンクにおいて、前記水相中に水不溶性着色剤を第3アミ
ン化合物を用いて分散させたことを特徴とする孔版印刷
用エマルジョンインク。 (2)水不溶性着色剤の平均粒径が10μm以下である
ことを特徴とする(1)記載の孔版印刷用エマルジョン
インク。 (3)水相中にO/W型樹脂エマルジョンおよび/また
は水溶性樹脂を含有することを特徴とする(1)または
(2)記載の孔版印刷用エマルジョンインク。 (4)油相中に樹脂成分を含有していないことを特徴と
する(1)、(2)または(3)記載の孔版印刷用エマ
ルジョンインク。
油相成分の浸透性が水相成分よりも大きく、かつ表面張
力が低いため、油相成分が水相成分よりも先に被印刷体
に浸透し、その後に水相成分が浸透および/または飛散
する。本発明のW/O型エマルジョンインクでは水相中
に水不溶性着色剤を含有させるため、油相成分に水不溶
性着色剤のみならず、水不溶性着色剤を分散および固着
させるための樹脂成分を含有させる必要がない。従っ
て、油相成分の被印刷体への浸透が妨害されず、インク
の浸透性が改善され、インクの乾燥性が向上する。また
油相中に樹脂成分を含有させる必要がないため、インク
の温度依存性を少なくすることができ、温度変化に対し
て安定なインクの供給が可能となる。
被印刷体の内部に浸透しにくくなり、被印刷体の表面に
止まってこの表面上で乾燥する。また、インクの滲み
は、被印刷体の毛細管現象によって発生するが、滲みに
関しても先に油相成分が毛細管現象によって浸透するた
め、水相成分が浸透しにくくなる。その結果、印刷物の
濃度が向上し、インクの裏抜けや滲み等が防止される。
また分散剤として第3アミン化合物を使用することによ
り、水不溶性着色剤を水相中に細かく、かつ安定に分散
させることができ、水不溶性着色剤の細かな分散によっ
て画像性(色見)が向上し、かつエマルジョンの安定性
に優れたW/O型エマルジョンインクが得られる。分散
剤として、分子内にカルボキシル基、スルフォン酸基な
どの官能基を有し、顔料表面に吸着する一般的な高分子
化合物を用いた場合にはエマルジョンの崩壊が生じ易い
が、この理由は、油相と水相の界面に上記高分子化合物
が吸着し、エマルジョンの安定性を著しく低下させるた
めと考えられる。
分子内に1個以上の
ないが、一般に第3アミン化合物は、高分子化合物であ
るため、使用量が増えると、増粘効果が顕著となる。こ
のような場合は、水不溶性着色剤を水相中に細かく分散
し、且つ安定に分散させることができる必要最低量で充
分であるため、分散剤によって適宜、その使用量を決定
することが好ましい。
に制限はなく、公知の顔料などが用いられるが、主溶媒
である水との親和性の良好なものが好ましい。例えばモ
ノクロ用としてはファーネスカーボンブラック、ランプ
ブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等
のカーボンブラック類、銅、鉄、酸化チタン、炭酸カル
シウム等の金属類および金属酸化物、アゾ系、シアニン
系、ジオキサジン系、キナクリドン系等の有機顔料など
が挙げられる。水不溶性着色剤の平均粒径は、エマルジ
ョンの崩壊性の点から10μm以下が好ましく、3μm
以下がより好ましい。また水不溶性着色剤の添加量はエ
マルジョンインク総量に対して1〜30重量%が好まし
く、3〜10重量%がより好ましい。
水中油(O/W)型樹脂エマルジョンおよび/または水
溶性樹脂を含有させることが好ましい。これらを水相に
含有させることにより、用紙等の被印刷体への水不溶性
着色剤の固着性を向上させることができる。O/W型樹
脂エマルジョンとしては、ポリ酢酸ビニル、エチレン−
酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル
共重合体、ポリメタクリル酸エステル、ポリスチレン、
スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブ
タジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリル酸エステ
ル共重合体、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル
共重合体、ポリウレタン等の樹脂エマルジョンが用いら
れる。
コール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロー
ス、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリド
ン、ポリエチレン−ポリビニルアルコール共重合体、ポ
リエチレンオキサンド、ポリビニルエーテル、ポリアク
リルアミド、アラビアゴム、澱粉、水溶性ポリウレタン
等が用いられる。これらの樹脂成分の添加量は、エマル
ジョンインクの総量に対して固形分換算で20重量%以
下が好ましく、10重量%以下がより好ましい。樹脂成
分の配合量が20重量%を超えると版作製後に長期放置
した場合、版上の穿孔部分でインクが皮膜を作り、イン
クの通過を阻止することがあり好ましくない。さらに水
相成分には必要に応じて湿潤剤、電界質、防黴剤、酸化
防止剤、水蒸発防止剤などの水溶性添加物を含有させる
ことができる。
溶剤、揮発性溶剤および乳化剤などが含有される。不揮
発性溶剤としては、モータオイル、スピンドル油、マシ
ン油、流動パラフィン等の鉱物油系、オリーブ油、ヒマ
シ油、サラダ油等の植物油が用いられ、また揮発性溶剤
としては公知の鉱物油系溶剤、植物系溶剤が用いられ
る。不揮発性溶剤と揮発性溶剤の使用割合は、油相と水
相の配合比率により異なるが、重量比(不揮発性溶剤/
揮発性溶剤)で50〜95/50〜5の範囲とするのが
好ましい。
るために用いられ、非イオン性界面活性剤が好ましく用
いられる。例えばソルビタンモノラウレート、ソルビタ
ンモノパルミテート、ソルビタンモノスチアレート、ソ
ルビタントリスチアレート、ソルビタンモノオレエー
ト、ソルビタンセスキオレエート等のソルビタン高級脂
肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸ジグリセ
リド、例えば高級アルコール、アルキルフェノール、脂
肪酸等の酸化エチレン付加物など等が挙げられる。本発
明に用いられるW/O型エマルジョンインクは、例えば
10〜70重量%の油相成分に、90〜30重量%の水
相成分を徐々に添加して乳化させることにより製造され
る。
が、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、
例中の部は重量部を意味する。 実施例1 表1に示す配合により次の方法でW/O型エマルジョン
インクを製造した。まずイオン交換水、エチレングリコ
ール、ファーネスカーボンブラックおよび分散剤として
ポリビニルピロリドン(BASF社製商品名、ルビスコ
ールK17)を添加して充分攪拌し、ボールミルで分散
を行った。得られた分散液にエマルジョンタンプのポリ
アクリル酸エステルを添加し、再度攪拌を行って水相を
調製した。次に#40モータオイル、日石5号ソルベン
トおよびソルビタンモノオレエートを充分攪拌して油相
を調製し、この油相中に上記で調製した水相を徐々に添
加しながら攪拌機で乳化を行い、孔版印刷用エマルジョ
ンインクを得た。
イミン(日本触媒社製商品名、エポミンSP−01
2)、アルキロールアミン塩(ビックケミージャパン社
製商品名、Disperbyk−181)、およびポリ
N−アクロイルピロリジンのみ合成したものを用いた以
外は実施例1と同様の方法で孔版エマルジョンインクを
得た。
インクを製造した。まず、アルキッド樹脂、ファーネス
カーボンブラック、#40モータオイル、日石5号ソル
ベントおよびソルビタンモノオレエートを充分攪拌し、
3本ロールで充分混練して油相を調製した。次にこの油
相のイオン交換水とエチレングリコールの混合溶液を徐
々に添加しながら攪拌機で乳化を行い、孔版印刷用エマ
ルジョンインクを得た。
た以外は実施例1と同様の方法でそれぞれ孔版印刷用エ
マルジョンインクを得た。
4で得られた各孔版印刷用エマルジョンインクを用いて
孔版印刷機(リソグラフRC115D(登録商標)理想
科学工業社製)により孔版印刷を行い、エマルジョンイ
ンクのエマルジョン化適性、分散安定性と、得られた印
刷物の印刷濃度、裏抜け性、滲み性および温度適性を下
記の方法により調べた。さらにエマルジョンインクの分
散安定性も下記の方法により調べた。その結果を表2に
示した。
後、印刷機での印刷時に油相と水相が分離しなかったイ
ンクを○、簡単に油相と水相が分離したインクを×で評
価した。 (2) 分散安定性:70℃で1カ月間放置してインクの崩
壊状態を目視で観察し、エマルジョンインクの崩壊が発
生しなかった場合を○、崩壊した場合には×で評価し
た。 (3) 印刷濃度:印刷されたベタ部分の印刷濃度をOD計
(RD920、マクベス社製)で測定した。 (4) 裏抜け性:印刷されたベタ部分の裏面側の濃度をO
D計(同上)で測定した。 (5) 滲み性:顕微鏡(80倍)を用いてインクの付着し
た部分の滲み状態を観察し、滲みがほとんどない場合に
は○、滲みが目立つ場合は×で評価した。 (6) 温度適性:低温(5℃)で印刷し、印刷されたベタ
部分の印刷濃度をOD計(同上)で測定した。
べ印刷濃度が高く、裏抜け性および滲み性に優れ、また
低温で印刷を行っても印刷濃度への影響が少ないことが
わかった。また、比較例2〜4では水不溶性着色剤を水
相に分散させたものであるが分散剤として第3アミン化
合物を使用していないため、印刷時に簡単に油相と水相
に分離したり、または長期放置に耐え得ない不安定なエ
マルジョンインクであることがわかった。
よれば、水相中に水不溶性着色剤を含んでいるため、印
刷濃度が高く、かつインクの裏抜けや滲み等が少なく、
また水不溶性着色剤を第3アミン化合物により水相に分
散させているため、エマルジョン化適性および分散安定
性に優れる。さらに油相に着色剤成分が存在しないこと
から、着色剤成分の分散性および固着性を向上させるた
めの樹脂成分を油相中に含有させる必要がないため、油
相成分の被印刷体への浸透性が改善され、インクの乾燥
性を向上させることができるとともに、温度変化に対し
て粘度変化の少ないインクの供給が可能となる。
Claims (4)
- 【請求項1】 油相および水相を有するW/O型エマル
ジョンインクにおいて、前記水相中に水不溶性着色剤を
第3アミン化合物を用いて分散させたことを特徴とする
孔版印刷用エマルジョンインク。 - 【請求項2】 水不溶性着色剤の平均粒径が10μm以
下であることを特徴とする請求項1記載の孔版印刷用エ
マルジョンインク。 - 【請求項3】 水相中にO/W型樹脂エマルジョンおよ
び/または水溶性樹脂を含有することを特徴とする請求
項1または2記載の孔版印刷用エマルジョンインク。 - 【請求項4】 油相中に樹脂成分を含有していないこと
を特徴とする請求項1、2または3記載の孔版印刷用エ
マルジョンインク。
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