JPH083481A - 粉体塗料用反応性流動調整剤および粉体塗料 - Google Patents

粉体塗料用反応性流動調整剤および粉体塗料

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JPH083481A
JPH083481A JP13916894A JP13916894A JPH083481A JP H083481 A JPH083481 A JP H083481A JP 13916894 A JP13916894 A JP 13916894A JP 13916894 A JP13916894 A JP 13916894A JP H083481 A JPH083481 A JP H083481A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 酸硬化型粉体塗料に配合することにより、粉
体塗料の溶融時の流動性を調整するとともに、主体樹脂
と反応し、これにより薄い塗膜厚の場合でも、優れた平
滑性と優れた塗膜性能を有する塗膜を形成できる粉体塗
料用流動調整剤および粉体塗料を得る。 【構成】 アミド結合またはエステル結合を有する一塩
基酸化合物であって、融点が50〜180℃、溶解性パ
ラメータが9.5〜11の範囲にある化合物を粉体塗料
用反応性流動調整剤として用い、これを酸硬化型の粉体
塗料成分に添加して粉体塗料とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸硬化型粉体塗料に添
加して、粉体塗料の流動性を調整するための粉体塗料用
反応性流動調整剤、およびこれを配合した粉体塗料に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】粉体塗料はその塗料配合中に有機溶剤を
全く含まないことから、近年厳しくなる世界各国の有機
溶剤排出規制に対応し得る塗料として、近年その需要が
全世界的に増加している。
【0003】中でもグリシジル基含有アクリル樹脂とポ
リカルボン酸系硬化剤との組合せ(特開昭47−264
39、特開昭49−92128、特開平5−23040
4等)、あるいはグリシジル基含有ポリエステル樹脂と
ポリカルボン酸硬化剤との組合せ(特開昭51−153
3、特開昭51−12823、特開昭51−16338
等)、あるいはグリシジル基含有アクリル樹脂と末端カ
ルボン酸樹脂との組合せ(特開昭48−29838、特
開平5−7014等)などの、いわゆる酸硬化型粉体塗
料は、比較的低温硬化であると同時に粉体塗料の中では
比較的平滑性に優れることから、自動車用粉体塗料等の
高級用途に用いられている。
【0004】しかしながら、同種の粉体塗料と現在工業
的に広く用いられている溶剤型塗料とを、平滑性の面で
比較すると大きな隔たりがある。例えば溶剤型塗料が4
0μmの塗装膜厚で達成する平滑性を、粉体塗料で再現
するためには塗装膜厚で80〜100μm程度を必要と
する。即ち塗料ユーザーの立場からすると、仮に粉体塗
料と溶剤型塗料とが同一価格としても、前者を使用する
場合、後者と同等の平滑性を得るには2〜2.5倍の材
料コストが必要となり、粉体塗料の利用分野を経済性の
面で著しく制限している。
【0005】従って、粉体塗料の利用分野を飛躍的に拡
大するためには粉体塗料に溶剤型塗料並みの平滑性を付
与する必要がある。この問題を解決するには、粉体塗料
に使用する樹脂の溶融時の粘度を低減する方法、粉体塗
料に流動調整剤を添加する方法等がある。樹脂の溶融時
の粘度を低減するには、樹脂のガラス転移温度および樹
脂の分子量を低下させる手法が一般的であるが、いずれ
の手法においても樹脂粉体自体の安定性が悪化し、溶剤
型塗料並みの平滑性を達成するには室温下で安定な粉体
塗料として存在しえない。
【0006】一方、後者の粉体塗料に流動調整剤を添加
する方法については既に種々の手法が提案されている。
例えば、従来の粉体塗料配合には、通常ベンゾインが流
動調整剤として0.5〜2重量%程度添加されている。
このベンゾインの添加は塗膜表面のピンホール発生の防
止を目的としたものであり、ベンゾインの融点(134
℃)から判断すると、硬化過程において同物質が熱的に
融解して内部溶剤作用を発現し、塗膜表面の流動性を改
良しているものと思われる。しかしこの方法では、ベン
ゾイン自体が光により分解しラジカルを発生することか
ら、塗膜が黄変性を有し、あるいは耐候性に劣るととも
に、ベンゾイン自体が非反応性であるため、多量に添加
した場合耐溶剤性等の塗膜性能が低下する。
【0007】また特開昭62−174280号では、粉
体塗料中にシクロヘキサンジオール、シクロヘキサント
リオール、テレフタル酸ジメチル、フルオレン、無水コ
ハク酸、ジメドン等の化合物を添加して、ピンホールの
発生を防止し、平滑性を改良している。しかしこの方法
では、塗膜の黄変性あるいは耐候性は改善できるが、添
加する流動調整剤と粉体塗料中の樹脂との反応が起こら
ないため、多量に添加した場合耐溶剤性等の塗膜性能が
低下する。
【0008】さらに特開平2−155932号には、粉
体塗料表面に流動調整剤として液晶高分子(相転移温
度:60〜230℃)を吸着させる方法が示されてい
る。しかしこの方法では、液晶高分子自体の価格が極め
て高く経済的に成り立たないとともに液晶高分子中のメ
ソゲン基が剛直でありすぎるため、耐衝撃性等の劣化が
予想される。
【0009】このほか、Proceedings of the 20th Wate
r-Borne, Higher-Solids and Powder Coating Symposiu
m 1993、P508によれば、1,6−ヘキサンジメタノール
ジベンゾエート(融点:118℃)を流動調整剤として
粉体塗料に添加する方法が示されている。しかしこの方
法では、同化合物自体に反応性がないことから、単に可
塑剤として作用するだけであり、多量に使用した場合耐
溶剤性等の低下が予想される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】このように従来は、経
済性、平滑性および塗膜性能等の要望に合致した粉体塗
料用流動調整剤は見出されていなかった。
【0011】本発明の目的は、酸硬化型粉体塗料に配合
することにより、粉体塗料の溶融時の流動性を調整する
とともに主体樹脂と反応し、これにより薄い塗膜厚の場
合でも、優れた平滑性および優れた塗膜性能を有する塗
膜を形成できる粉体塗料用反応性流動調整剤を提供する
ことである。本発明の他の目的は、上記流動調整剤を配
合することにより、粉体塗料の溶融時の流動性を調整す
るとともに主体樹脂と反応し、これにより薄い塗膜厚の
場合でも、優れた平滑性および優れた塗膜性能を有する
塗膜を形成でき、各種金属、プラスチック成形物、建築
材料等の表面上の塗膜形成に好適に使用できる酸硬化型
粉体塗料を提供することである。
【0012】本発明者らは、上記問題点を解決するため
に鋭意検討を行った結果、特定の化学結合をその化学構
造中に有する一塩基酸化合物であって、かつ融点および
溶解性パラメータが特定の範囲にある粉体塗料用反応性
流動調整剤を酸硬化型粉体塗料に添加することにより、
硬化時にのみ融解する流動調整剤が粉体塗料の溶融粘度
を著しく低下させて優れた平滑性を達成すると同時に、
粉体塗料中の樹脂と反応して塗膜の内部可塑化を行い、
優れた塗膜性能を達成できることを見出し本発明を完成
するに至った。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は次の粉体塗料用
反応性流動調整剤および粉体塗料である。 (1)アミド結合およびエステル結合から選ばれる1種
類以上の結合をその化学構造中に有する一塩基酸化合物
であって、融点が50〜180℃、溶解性パラメータが
9.5〜11の範囲にある化合物を含有することを特徴
とする粉体塗料用反応性流動調整剤。 (2)一塩基酸化合物が下記一般式〔1〕
【化3】 (式中、R1は炭素数1〜22の炭化水素基、R2は炭素
数1〜16の炭化水素基である。) または一般式〔2〕
【化4】 (式中、R3は炭素数12〜22の炭化水素基、R4は炭
素数2〜16の炭化水素基である。)で示される化合物
である上記(1)記載の粉体塗料用反応性流動調整剤。 (3)酸硬化型粉体塗料成分中に上記(1)または
(2)記載の粉体塗料用反応性流動調整剤を含有するこ
とを特徴とする粉体塗料。
【0014】本発明において、溶解性パラメータ(以
下、SP値という場合がある)とは、Polymer Engineer
ing and Science Vol.14 No.2 p147-154に掲載された下
記式〔A〕で計算した値を意味する。
【数1】
【0015】本発明の粉体塗料用反応性流動調整剤は、
アミド結合およびエステル結合から選ばれる1種類以上
の結合をその化学構造中に有する一塩基酸化合物であっ
て、融点が50〜180℃、SP値が9.5〜11の化
合物を用いる。このような一塩基酸化合物としては、前
記一般式〔1〕または〔2〕で示される化合物が使用で
きる。
【0016】一般式〔1〕、〔2〕において、R1〜R4
で示される炭化水素基としては、アルキル基、アルケニ
ル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリー
ル基、アラルキル基などが挙げられ、これらは置換基を
有し、アミド結合および/またはエステル結合を含んで
いてもよい。R1〜R4の炭素数の好ましい範囲は、R 1
が1〜18、R2が6〜12、R3が14〜18、R4
2〜10である。
【0017】上記の一塩基酸化合物に含まれるアミド結
合、エステル結合は、流動調整剤のSP値を9.5〜1
1に調整するとともに、粉体塗料中の主体樹脂であるア
クリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等と流動
調整剤との相溶性を確保し、硬化後の塗膜を透明にする
必須の化学結合である。アミド結合またはエステル結合
を有しない一塩基酸では、上記範囲のSP値のものが得
られない。例えば融点が50〜180℃であっても、S
P値が9.5未満あるいは11を超える一塩基酸化合物
としては、ステアリン酸(融点:67℃、SP値:9.
1)、ベヘニン酸(融点:80〜82℃、SP値:9.
0)、安息香酸(融点:122〜123℃、SP値:1
1.9)等があるが、このような一塩基酸を粉体塗料に
添加した場合、溶融時の粘度が著しく低下し、優れた平
滑性が得られると同時に内部可塑化も進行するが、粉体
塗料中の樹脂との相溶性が低いため、硬化後は長鎖のア
ルキル基または芳香族環部分が再結晶化し、透明な塗膜
は得られない。
【0018】また上記化合物の一塩基酸構造は、酸硬化
型粉体塗料中の主体樹脂との反応点として、相溶性の持
続および塗膜性能の改良に必須の官能基である。すなわ
ち一塩基酸構造は酸硬化型粉体樹脂中の反応点としての
エポキシ基またはグリシジル基と反応して相溶性を改善
し、塗膜性能を改善する。化学構造中にアミド結合、エ
ステル結合を有する化合物であっても、一塩基酸でない
化合物、例えばアセトアニリド(融点:114〜116
℃)、イプシロンカプロラクタム(融点:69℃)、ジ
メチルテレフタレート(融点:141℃)等を粉体塗料
に添加した場合、溶融時の粘度低下効果は認められるも
のの、粉体塗料中の樹脂との反応点を持たないことか
ら、冷却後に再び再結晶して白濁し、透明な塗膜は得ら
れない。
【0019】さらにアミド結合、エステル結合のうち1
種類以上の結合をその化学構造中に有する一塩基酸化合
物であっても、その融点は50〜180℃、好ましくは
60〜150℃の範囲であることが必要である。融点が
50℃以下の化合物は貯蔵時の耐ブロッキング性に劣
り、融点が180℃以上の化合物は通常の酸硬化型粉体
塗料の硬化温度(140〜170℃)条件下では融解せ
ず、平滑性向上効果は発現しない。またアミド結合、エ
ステル結合のうち1種類以上の結合をその化学構造中に
有する一塩基酸化合物であっても、そのSP値は9.5
〜11.0の範囲であることが必要であり、同範囲以外
のSP値では粉体塗料中の主体樹脂との相溶性に劣る。
【0020】次に上記一塩基酸化合物の製造方法につい
て説明する。アミド結合を有する一塩基酸化合物は、例
えばエステル化合物とアミノアルキルモノカルボン酸化
合物とのアミノリシス反応により容易に製造することが
できる。このときの反応は式〔3〕で示される。
【化5】 (式中、R1、R2は前記と同じものを示し、R5は炭素
数1〜8、好ましくは1〜4の炭化水素基である。)
【0021】上記のエステル化合物の例としては酢酸エ
チルエステル、酢酸プロピルエステル、酢酸ブチルエス
テル、酢酸ヘキシルエステル、酪酸メチルエステル、酪
酸エチルエステル、酪酸ブチルエステル、ラウリン酸メ
チルエステル、ラウリン酸エチルエステル、ステアリン
酸メチルエステル等が挙げられる。エステル化合物の酸
側の炭素数により一塩基酸化合物の融点およびSP値が
制御できる。一方、アミノアルキルモノカルボン酸化合
物の例としては、グリシン、アラニン、アミノカプリル
酸、アミノカプリン酸、アミノカプロン酸、アミノウン
デカン酸、アミノドデカン酸、アミノメチル安息香酸、
2−アミノエチル安息香酸等が挙げられる。炭素数5以
下のアミノアルキルモノカルボン酸化合物は分子内水素
結合子が強く、アミノリシス反応が困難であるため、炭
素数6以上のアルキル基を有するアミノアルキルモノカ
ルボン酸化合物が好ましく、アミノアルキルモノカルボ
ン酸の炭素数により一塩基酸化合物の融点およびSP値
が制御できる。
【0022】エステル結合を有する一塩基酸化合物は長
鎖のモノアルコール化合物と一官能性酸無水物化合物と
の付加反応により容易に製造することができる。このと
きの反応は式〔4〕で示される。
【化6】 (式中、R3、R4は前記と同じものを示す。)
【0023】上記の長鎖のモノアルコール化合物の例と
しては、ラウリルアルコール、ミスチリルアルコール、
セチルアルコール、ステアリルアルコール等が挙げられ
る。炭素数12より下のモノアルコール化合物では、融
点が50℃以下の塩基酸化合物しか得られない。一方、
官能性酸無水物化合物の例としては、無水マレイン酸、
無水イタコン酸、無水コハク酸、無水フタル酸、テトラ
ヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ナジ
ック酸無水物、水添ナジック酸無水物、クロレンド酸無
水物等が挙げられる。黄変性を考慮すると、不飽和炭素
結合あるいは芳香環を持たない酸無水物化合物が好まし
い。
【0024】アミド結合、エステル結合のうち複数の結
合を有する一塩基酸化合物は、上記2種類の化合物合成
方法の併用によって製造することができる。
【0025】本発明の粉体塗料用反応性流動調整剤は上
記一塩基酸化合物を含有するものである。この流動調整
剤を酸型硬化剤によって硬化する粉体塗料に配合するこ
とにより、粉体塗料の溶融時における流動性を調整する
とともに、主体樹脂と反応し、これにより薄い塗膜厚の
場合でも、優れた平滑性および塗膜性能を有する塗膜が
形成される。
【0026】本発明の粉体塗料用反応性流動調整剤の作
用機構は次のようなものであると推測される。 昇温過程において流動調整剤がクリティカルに融解
し、SP値9.5から11.0の溶解性の高い溶剤とし
て作用し、粉体塗料中の主体樹脂を溶解させ、溶融粘度
を著しく低下させる。 次に、流動調整剤中に含まれるカルボキシル基が主体
樹脂中のエポキシ基またはグリシジル基と付加反応し
て、主体樹脂中に取り込まれると同時に、内部可塑化し
てさらに溶融粘度を低下させる。 上記2段階で十分に塗膜が平滑化した後、硬化剤成分
が反応して、十分に架橋した最終塗膜が形成される。 即ち、本発明による反応性流動調整剤は粉体塗料に対し
て溶剤として作用する側面と、反応性可塑剤として作用
する側面とを有する。特に後者の作用は、従来の粉体塗
料がその耐ブロッキング性を維持するため、ガラス転移
温度の高い樹脂しか使用できないという材料面での制限
を改良する手法として極めて有益である。
【0027】本発明の粉体塗料は、酸硬化型粉体塗料成
分中に、上記粉体塗料用反応性流動調整剤を含有する粉
体塗料である。酸硬化型粉体塗料は酸を硬化剤として使
用する粉体塗料であり、酸と反応するエポキシ基、グリ
シジル基等の反応点を有する樹脂を含有するものであ
る。このような粉体塗料としては、例えば主体樹脂とし
てエポキシ基含有アクリル樹脂、エポキシ基含有ポリエ
ステル樹脂あるいはエポキシ樹脂等を使用し、硬化剤と
して2塩基酸化合物あるいは酸無水物化合物を配合した
粉体塗料などが挙げられる。
【0028】このような粉体塗料の塗料成分としては、
上記主体樹脂および硬化剤のほかに、通常の粉体塗料に
補完的に添加されるエポキシ、アクリル、ポリエステ
ル、ポリアミド等の各種樹脂;フタロシアニン系、イン
ダンスロン系、キナクリドン系、ペリレン系などの有機
顔料;二酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラックなどの
無機顔料;あるいは紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止
剤、ワキ防止剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、可
塑剤、他種の流動調整剤、硬化触媒等の塗料用添加物を
必要に応じて1種または2種以上配合したものでもよ
い。
【0029】本発明の粉体塗料用反応性流動調整剤の酸
硬化型粉体塗料に対する添加率は、流動調整剤添加前の
塗料成分固形物に対し、2〜50重量%、好ましくは5
〜30重量%が適当である。添加率が2重量%未満の場
合平滑性の改良が十分でなく、添加率が50重量%以上
を超える場合は塗膜性能が低下する。
【0030】本発明の粉体塗料は、加熱ロール、エクス
トルーダー、ニーダー等の溶融混練機を用いて、前記塗
料成分と流動調整剤を溶融混練し、粉砕することにより
製造することができる。
【0031】本発明の粉体塗料の塗装方法は、静電塗装
法、流動浸せき法等の周知の塗装方法によって被塗物を
塗装し、通常140〜180℃の温度で5分〜2時間焼
き付けることにより十分に硬化した塗膜を得ることがで
きる。こうして得られる塗膜は30〜50μmの薄い塗
膜厚の場合でも、優れた平滑性と塗装物性を有する。
【0032】
【発明の効果】本発明の粉体塗料用反応性流動調整剤
は、アミド結合またはエステル結合を有する特定の一塩
基酸化合物を含有するため、酸硬化型粉体塗料に配合す
ることにより、粉体塗料の溶融時の流動性を調整すると
ともに、主体樹脂と反応させることができ、これにより
薄い塗膜厚の場合でも優れた平滑性と優れた塗膜性能を
有する塗膜を形成することができる。
【0033】本発明の粉体塗料は、上記流動調整剤を含
有するため、薄い塗膜厚の場合でも優れた平滑性と優れ
た塗膜性能を有する塗膜を形成することができ、各種金
属、プラスチック成形物、建築材料等の表面上の塗膜形
成に使用することができる。
【0034】
【実施例】次に、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定される
ものではない。実施例において、塗膜性能試験は、次の
方法によって行った。 (1)相溶性試験 粉体塗料をガラス板上に粉体層(約0.5mm)として
塗布し、160℃で30分間焼き付けて硬化せしめ、目
視により状態を評価した。 (2)塗膜平滑性 東洋精密株式会社製表面粗度計サーフコムを用いて粉体
塗料硬化膜表面の中心線平均粗さ(μm)を測定した。 (3)硬化塗膜の二次転移温度 東洋ボールドウイン株式会社製自動動的粘弾性測定装置
レオバイブロンDDV−II−EAを用いて測定した。 (4)鉛筆硬度 JIS K5400 8.4.1(a)により測定し
た。 (5)付着性 JIS K5400 8.5.2により測定した。
【0035】製造例1 アミド結合を有する粉体塗料用
反応性流動調整剤の製造 冷却管、温度計、攪拌装置、分留装置、減圧装置および
窒素導入口を装備した四つ口フラスコ中に、アミノウン
デカン酸20.5重量部および酢酸ブチルエステル11
6.2重量部を仕込み、攪拌しながら加熱して120℃
を保持した。副生成物であるブチルアルコールを共沸留
去しながら10時間攪拌を行った。内容物が均一となっ
た後、酢酸ブチルエステル58.1重量部を追加してさ
らに120℃で3時間攪拌を行った。その後、過剰の酢
酸ブチルエステルを減圧留去し、融点74〜77℃のア
セトアミドウンデカン酸24.1重量部を製造した。製
造した流動調整剤の溶解性パラメータは10.9であ
る。
【0036】製造例2〜5 表1に記載したアミノアルキルモノカルボン酸とエステ
ル類との組合せで、製造例1と同様な手法により流動調
整剤を製造した。製造した流動調整剤の溶解性パラメー
タは9.7〜10.9の範囲内にある。表1において、
配合量および収量を示す数値の単位は重量部である。
【0037】
【表1】
【0038】製造例6 エステル結合を有する粉体塗料
用反応性流動調整剤の製造 冷却管、温度計、攪拌装置および窒素導入口を装備した
四つ口フラスコ中にセチルアルコール48.8重量部、
無水コハク酸20.0重量部、ピリジン5.0重量部お
よびジオキサン24.5重量部を仕込み、攪拌しながら
加熱し80℃で5時間保持した。その後室温まで放冷し
て水800重量部に注ぎ、白色結晶を回収した。回収物
は水洗したのち五酸化二リン上で減圧乾燥し、融点63
〜65℃のコハク酸モノセチルエステル66.8重量部
を製造した。製造した流動調整剤構造の溶解性パラメー
タは9.5である。
【0039】製造例7〜9 表2に記載したアルコール類と酸無水物との組み合せで
製造例6と同様な手法により流動調整剤を製造した。製
造した流動調整剤の溶解性パラメータは9.5〜10.
0の範囲内にある。表2において配合量および収量を示
す数値の単位は重量部である。
【0040】
【表2】
【0041】実施例1 製造例1で得られた流動調整剤1.22重量部に、エポ
キシ基含有アクリル樹脂であるファインディクA207
S(商品名:大日本インキ化学株式会社製)10.00
重量部、二塩基酸硬化剤であるドデカン二酸2.30重
量部を加え、乳鉢中で十分に混合し粉体混合物を調製し
た。得られた粉体混合物の溶融粘度特性は、溶融粘度測
定装置(ソリキッドメータ−MR300、商品名、レオ
ロジー株式会社製)により測定したところ、最低溶融粘
度は79ポイズであり、良好な流動性を示した。また、
相溶性試験の結果は白濁せず、透明な硬化膜が形成され
た。
【0042】実施例2〜9 製造例2〜5および製造例6〜9で得られた流動調整剤
の粉体混合物を、表3および表4に記載した配合で、実
施例1と同様な手法により調製した。調製した粉体混合
物の溶融粘度特性を実施例1と同様な手法で測定し、表
3および表4に記載の結果を得た。いずれの実施例にお
いても最低溶融粘度は63ポイズ以下と良好な流動特性
を示すことが確認された。さらに、相溶性試験の結果は
いずれの実施例においても白濁せず、透明な硬化膜が形
成された。
【0043】比較例1 流動調整剤を添加しない粉体混合物を、表4に記載した
配合で、実施例1と同様な手法により調製した。調製し
た粉体混合物の溶融粘度特性を、実施例1と同様な手法
により測定したところ、最低溶融粘度は87ポイズであ
り、実施例1〜9に比べ流動性は劣っていた。一方、相
溶性試験は良好であった。
【0044】比較例2 流動調整剤としてステアリン酸を添加した粉体混合物
を、表4に記載した配合で実施例1と同様な手法により
調製した。調製した粉体混合物の溶融粘度特性を、実施
例1と同様な手法により測定したところ、最低溶融粘度
は35ポイズと良好な流動性を示すものの、相溶性試験
では白濁し、透明な硬化膜は得られなかった。表3およ
び表4において樹脂、硬化剤、製造例の配合量を示す数
値の単位は重量部である。
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
【0047】実施例10粉体塗料の製造 製造例2で製造した流動調整剤95.7重量部にエポキ
シ基含有アクリル樹脂であるファインディックA207
S(商品名:大日本インキ化学株式会社製)743.7
重量部、二塩基酸硬化剤であるドデカン二酸136.1
重量部、紫外線吸収剤であるチヌビン900(商品名:
チバガイギー株式会社製)9.8重量部、光安定剤であ
るサノールLS−C10−440(商品名:三共株式会
社製)9.8重量部およびレベリング剤であるレジミッ
クスRL−4(商品名:三井東圧化学株式会社製)4.
9重量部を加え、ヘンシェルミキサーで十分に混合し
た。次に二軸加熱ニーダーを用いて85℃で2パス溶融
混練した後、ローターミルで粉砕し、最後に150メッ
シュのふるいで分級して粉体塗料を得た。
【0048】塗膜性能試験板作成方法 カチオン電着塗料および中塗塗料を塗装した化成処理鋼
板に、メタリックベースコートとしてベルコートNo.
6000BCG2(商品名:日本油脂株式会社製)を約
15μ塗装した後、100℃で5分間フラッシュした。
次に上記により製造した粉体塗料を、粉体塗料用静電ス
プレー塗装機を用いて35μmから98μm塗装し、1
60℃で30分間焼付けて硬化させ塗膜性能試験板を作
製した。作製した硬化膜は表面粗度計(サーフコム、商
品名、東洋精密株式会社製)を用いて測定した中心線表
面粗さ(μm)は膜厚93μmで1.0μm、膜厚39
μmで1.5μmと良好な平滑性を示した。硬化塗膜の
二次転移温度は53℃であり、塗膜改質が成されたこと
を示している。また、鉛筆硬度、付着性試験においても
十分な塗膜性能を示した。
【0049】実施例11〜12 製造例4および製造例9で製造した流動調整剤を添加し
た粉体塗料を、表5に記載した添加剤を所定量配合し
て、実施例10と同様な手法により塗膜性能試験板を作
製した。硬化膜における平滑性を実施例10と同様な手
法により測定した値を表6に記載した。いずれの実施例
においても中心線表面粗さ(μm)は膜厚95μmで
0.9μm以下、膜厚約37μmで1.7μm以下と良
好な平滑性を示した。硬化塗膜の二次転移温度から塗膜
改質が確認された。鉛筆硬度、付着性試験においても十
分な塗膜性能を示した。
【0050】比較例3 流動調整剤を添加しない粉体塗料を、表5に記載した添
加剤を所定量配合し、実施例10と同様な手法により塗
膜性能試験板を作製した。硬化膜における平滑性は実施
例10と同様な手法により測定したところ、膜厚95μ
mで1.4μm、膜厚35μmで2.3μmであり、実
施例10〜12に比べ平滑性は低下した。また、硬化塗
膜の二次転移温度は67℃であった。一方、鉛筆硬度、
付着性試験においては十分な塗膜性能を示した。表5に
おいて樹脂、硬化剤、添加剤の配合量を示す数値の単位
は重量部である。
【0051】
【表5】 表5の注 *1:エポキシ含有アクリル樹脂(大日本インキ化学株
式会社製) *2:紫外線吸収剤(チバガイギー株式会社製) *3:光安定剤(三共株式会社製) *4:レベリング剤(三井東圧化学株式会社製)
【0052】
【表6】
【0053】表6に記載した試験結果より、本発明によ
る粉体塗料用反応性流動調整剤を添加した実施例10〜
12は比較例3に比べて硬化塗膜に優れた平滑性を付与
でき、さらに十分な塗膜硬度、および付着性等の塗膜性
能を同時に達成できた。特に、比較例3に比べて、平滑
性が向上した要因は、表3および表4に記載した相溶性
に優れる流動調整剤による塗膜形成時の溶融粘度低減に
起因するものと考えられる。このように、本発明におけ
る粉体塗料用反応性流動調整剤は、酸硬化型粉体塗料に
配合することにより、優れた平滑性と十分な塗膜性能と
を同時に達成することができ、各種金属、プラスチック
成形物あるいは建築材料表面上の塗膜形成に好適に使用
できることがわかる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アミド結合およびエステル結合から選ば
    れる1種類以上の結合をその化学構造中に有する一塩基
    酸化合物であって、融点が50〜180℃、溶解性パラ
    メータが9.5〜11の範囲にある化合物を含有するこ
    とを特徴とする粉体塗料用反応性流動調整剤。
  2. 【請求項2】 一塩基酸化合物が下記一般式〔1〕 【化1】 (式中、R1は炭素数1〜22の炭化水素基、R2は炭素
    数1〜16の炭化水素基である。) または一般式〔2〕 【化2】 (式中、R3は炭素数12〜22の炭化水素基、R4は炭
    素数2〜16の炭化水素基である。)で示される化合物
    である請求項1記載の粉体塗料用反応性流動調整剤。
  3. 【請求項3】 酸硬化型粉体塗料成分中に請求項1また
    は2記載の粉体塗料用反応性流動調整剤を含有すること
    を特徴とする粉体塗料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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