JPH0834751A - シクロアルカノールおよびシクロアルカノンの製造法 - Google Patents

シクロアルカノールおよびシクロアルカノンの製造法

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JPH0834751A
JPH0834751A JP17427994A JP17427994A JPH0834751A JP H0834751 A JPH0834751 A JP H0834751A JP 17427994 A JP17427994 A JP 17427994A JP 17427994 A JP17427994 A JP 17427994A JP H0834751 A JPH0834751 A JP H0834751A
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    • C07C45/53Preparation of compounds having >C = O groups bound only to carbon or hydrogen atoms; Preparation of chelates of such compounds by pyrolysis, rearrangement or decomposition of hydroperoxides

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 シクロアルキルヒドロペルオキシドを、反応
系において高活性の金属触媒を少量存在させて分解し
て、高い分解速度および高い収率でシクロアルカノール
およびシクロアルカノンを製造することが出来る、工業
的に好適な製造法を提供する。 【構成】 シクロアルキルヒドロペルオキシドを、一般
式(I) [MCln(PR123)m
(I) (式中、Mは鉄、コバルト、ニッケル又は銅を示し、R
1、R2、R3はアリール基を示す。nは1もしくは2を、
mは1〜3の整数を示す。)で示される金属錯体の存在
下で分解することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、シクロアルキルヒドロ
ペルオキシドを触媒存在下で分解して、シクロアルカノ
ールおよびシクロアルカノンを高収率で製造する方法に
関する。シクロアルカノールやシクロアルカノンは、ナ
イロンなどのポリアミド系高分子用モノマーの製造原
料、化学薬品の合成中間体、有機溶剤などとして非常に
有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】シクロアルキルヒドロペルオキシドを金
属触媒存在下で分解してシクロアルカノールおよびシク
ロアルカノンを製造する方法としては、工業化学雑誌,
73, 2388(1970)記載のシクロヘキサンもしくはその他の
溶媒中のシクロヘキシルヒドロペルオキシドの分解をコ
バルト、モリブデン、マンガンなどのナフテン酸塩を使
用する方法が知られているが、十分な反応速度を得るた
めに反応温度を高い状態に保つ必要があるため、熱によ
る副反応でシクロヘキサノールおよびシクロヘキサノン
の損失が起こり満足すべき方法ではない。特開平2-1648
36号公報にはコバルト、マンガン、クロム、鉄またはバ
ナジウムから選ばれる金属が担体物質に固定したフタロ
シアニンまたはポルフィリン構造に結合している有機金
属錯体を使用する方法が、また特開昭63-156735号公報
にはコバルト、マンガン、クロムまたは鉄とある種のイ
ソインドリンからなる金属錯体を使用する方法が記載さ
れているが、いずれの場合も触媒を多量に用いなければ
ならず、また配位子が熱的に必ずしも安定でなく、かつ
高価であるという問題がある。特開昭58-219132号公報
にはゼオライトに担持させた酸化コバルトを使用する方
法が記載されているが、この方法では十分な反応速度を
得るために、極めて多量の触媒を必要としている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、シクロアル
キルヒドロペルオキシドを、反応系において高活性の金
属触媒を少量存在させて分解して、高い分解速度および
高い収率でシクロアルカノールおよびシクロアルカノン
を製造することが出来る、工業的に好適なシクロアルカ
ノールおよびシクロアルカノンの製造法を提供すること
を目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、シクロ
アルキルヒドロペルオキシドを、一般式(I) [MCln(PR123)m] (I) (式中、Mは鉄、コバルト、ニッケル又は銅を示し、R
1、R2、R3はアリール基を示す。nは1もしくは2を、
mは1〜3の整数を示す。)で示される金属錯体の存在
下で分解することを特徴とするシクロアルカノールおよ
びシクロアルカノンの製造法によって達成される。
【0005】以下に本発明を詳しく説明する。本発明で
使用されるシクロアルキルヒドロペルオキシドとして
は、例えば、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロ
ヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカ
ン、シクロドデカン、シクロペンタデカン、シクロヘキ
サデカンなどの炭素数5〜20のシクロアルカンのヒド
ロペルオキシドが挙げられる。
【0006】前記シクロアルキルヒドロペルオキシド
は、通常、遷移金属のようなシクロアルキルヒドロペル
オキシドの分解を促進する物質の非存在下、反応温度が
120〜180℃、反応圧が1〜20気圧の条件でシク
ロアルカンを空気などの分子状酸素と液相接触反応させ
て得ることが出来る。本発明では、このようにして得ら
れるシクロアルカンの酸化反応液から蒸留または抽出な
どにより分離されたシクロアルキルヒドロペルオキシド
のみならず、未精製のシクロアルキルヒドロペルオキシ
ド(即ち、上記酸化反応液)をそのまま使用しても、こ
れを効率良く分解してシクロアルカノールおよびシクロ
アルカノンを製造することが出来る。
【0007】シクロアルカンの酸化反応液を使用する場
合は、シクロアルキルヒドロペルオキシドから目的物が
直接生成する以外に、かなりの量で残存している未反応
のシクロアルカンがシクロアルキルヒドロペルオキシド
と反応することによりシクロアルカノンおよびシクロア
ルカノールが生成するために目的物の収率が高くなると
いう利点がある。なお、該酸化反応液を使用する場合
は、シクロアルキルヒドロペルオキシドの分解を行う前
に必要に応じて該酸化反応液の水洗またはアルカリ洗浄
により含有されている酸を除去することが好ましい。こ
のとき、アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウ
ム、炭酸カリウム、炭酸カルシウムなどのアルカリ金属
またはアルカリ土類金属の水酸化物や炭酸塩が用いられ
る。
【0008】本発明で使用される一般式(I)で示され
る錯体触媒の中心金属Mとしては鉄、コバルト、ニッケ
ル又は銅が挙げられるが、好ましくはコバルトである。
配位子中のR1、R2、R3としては種々のアリール基が
挙げられるが、これらは同一のものであっても、異なる
ものであってもよい。nは1または2である。mは1〜
3までの整数である。例えば、[CoCl2(PR1
23)2]、[CoCl(PR123)3]、[FeCl2(PR12
3)2]、[NiCl2(PR123)2]、[CuCl(PR12
3)3]、[CuCl(PR 123)]4等が挙げられる。な
お、これらの錯体は公知のもので、ほとんどが相当する
金属塩化物を出発原料として容易に合成することが出来
る。
【0009】前記アリール基としては、フェニル基、ベ
ンジル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、o-メ
トキシフェニル基、m-メトキシフェニル基、p-メトキシ
フェニル基、メシチル基、o-フルオロフェニル基、m-フ
ルオロフェニル基、p-フルオロフェニル基、o-クロロフ
ェニル基、m-クロロフェニル基、p-クロロフェニル基、
2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル基などの置換もしく
は未置換のアリール基が挙げられる。これら、アリール
基を含むホスフィン配位子としては、トリフェニルホス
フィン、ベンジルジフェニルホスフィン、ジベンジルフ
ェニルホスフィン、トリベンジルホスフィン、トリ(o-
トリル)ホスフィン、トリ(m-トリル)ホスフィン、トリ
(p-トリル)ホスフィン、ジフェニル(o-トリル)ホスフィ
ン、ジフェニル(p-トリル)ホスフィン、トリス(p-メト
キシフェニル)ホスフィン、o-メトキシフェニルジフェ
ニルホスフィン、p-メトキシフェニルジフェニルホスフ
ィン、トリ(メシチル)ホスフィン、メシチルジフェニル
ホスフィン、トリス(o-フルオロフェニル)ホスフィン、
トリス(m-フルオロフェニル)ホスフィン、トリス(p-フ
ルオロフェニル)ホスフィン、m-フルオロフェニルジフェ
ニルホスフィン、p-フルオロフェニルジフェニルホスフ
ィン、トリス(o-クロロフェニル)ホスフィン、トリス(m
-クロロフェニル)ホスフィン、トリス(p-クロロフェニ
ル)ホスフィン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホス
フィン、ビス(ペンタフルオロフェニル)フェニルホスフ
ィン、ペンタフルオロフェニルジフェニルホスフィンが
挙げられる。好ましくは、トリフェニルホスフィンであ
る。
【0010】シクロアルキルヒドロペルオキシドの分解
は、通常、前記金属錯体を反応液中に金属換算0.01
〜250重量ppm、好ましくは0.1〜150重量p
pm存在させて、反応温度が25〜180℃、好ましく
は80〜160℃、反応圧が1〜30気圧の条件で行わ
れる。反応温度が25℃より低くなると反応速度が遅く
なり、180℃より高くなると目的物の収率が低下する
ために好ましくない。また、触媒の濃度は高くしても特
別な効果は見られないので、上記の範囲が好ましい。
【0011】前記分解反応は、反応中に生じる熱を放出
して反応温度を適切にコントロールするために、例え
ば、還流冷却器および攪拌装置を備えた反応器で実施さ
れる。
【0012】以上のようにして、シクロペンタノン、シ
クロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノ
ン、シクロノナノン、シクロデカノン、シクロドデカノ
ン、シクロペンタデカノン、シクロヘキサデカノン、お
よびシクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロ
ヘプタノール、シクロオクタノール、シクロノナノー
ル、シクロデカノール、シクロドデカノール、シクロペ
ンタデカノール、シクロヘキサデカノールなどのシクロ
アルカノンおよびシクロアルカノールを含むシクロアル
キルヒドロペルオキシドの分解反応液が得られるが、シ
クロアルカノンおよびシクロアルカノールは、必要なら
ば分解反応液を水またはアルカリ水で洗浄して酸を除去
した後、蒸留などによって分離精製される。なお、シク
ロアルカンの酸化反応液を用いた場合、未反応のシクロ
アルカンは蒸留分離されて酸化反応に循環使用される。
【0013】
【実施例】次に、実施例および比較例を挙げて本発明を
具体的に説明する。なお、シクロヘキシルヒドロペルオ
キシド(CHP)転化率、シクロヘキサノンおよびシクロ
ヘキサノール(KA)収率は、シクロヘキシルヒドロペル
オキシド(CHP)、シクロヘキサノン(K)およびシクロ
ヘキサノール(A)をガスクロマトグラフィーにより分析
して次式により求めた。
【0014】
【数1】
【0015】
【数2】
【0016】実施例1 (シクロヘキサンの空気酸化)内容積500mlの耐圧ガラス
製オートクレーブに、シクロヘキサン300gを仕込み、攪
拌下(800rpm)、反応温度160℃において空気(圧力10k
g/cm2)で酸化して、反応液1g当たり、シクロヘキシルヒ
ドロペルオキシド(CHP)0.2770mmol、シクロヘキサノ
ール(A)0.1236mmol、シクロヘキサノン(K)0.0901 mmo
lを含むシクロヘキサンの酸化液を得た。
【0017】(シクロヘキシルペルオキシドの分解)還流
冷却器、温度計、攪拌装置および反応液取り出し口を備
えた内容積50mlの耐圧ガラスオートクレーブに、上記の
シクロヘキサン酸化液10gと、ジクロロビス(トリフェニ
ルホスフィン)コバルト[CoCl2(PPh3)2]を金属含量が7.5
重量ppmになるように加えた。ついで、この混合物を攪
拌しながら120℃に加熱して、シクロヘキシルヒドロペ
ルオキシド(CHP)の分解を45分間行った。反応終了
後、反応液をガスクロマトグラフィーにより分析した。
その結果、CHP転化は完全に分解され、KA収率は10
5.9%で、K/A比(モル比)は0.49であった。
【0018】比較例1 実施例1において、触媒をオクチル酸コバルト[Co(C7H
15CO2)2]に変えて金属濃度が7.5重量ppmになるような量
で加え、実施例1と同様にシクロヘキシルヒドロペルオ
キシド(CHP)の分解を45分間行って、反応液の分析を
行った。その結果、CHP転化率は44%、KA収率は99.
8%で、K/A比(モル比)は0.44であった。
【0019】実施例2 実施例1において、触媒をクロロトリス(トリフェニル
ホスフィン)銅[CuCl(PPh3)3]に変えて金属濃度が7.5重
量ppmになるような量で加え、実施例1と同様にシクロ
ヘキシルヒドロペルオキシド(CHP)の分解を90分間行
って、反応液の分析を行った。その結果、CHP転化率
は完全に分解され、KA収率は107.9%で、K/A比(モ
ル比)は0.53であった。
【0020】比較例2 実施例1において、触媒を塩化銅[CuCl]に変えて金属濃
度が7.5重量ppmになるような量で加え、実施例1と同様
にシクロヘキシルヒドロペルオキシド(CHP)の分解を
90分間行って、反応液の分析を行った。その結果、CH
P転化率は48%、KA収率は102.5%で、K/A比(モル
比)は0.87であった。
【0021】実施例3〜6 実施例1において、金属触媒とその濃度、反応時間を変
えたことのほかは、実施例1と同様にシクロヘキシルヒ
ドロペルオキシド(CHP)の分解を行って、反応液の分
析を行った。その結果を表1にまとめて示す。
【0022】
【表1】
【0023】
【発明の効果】本発明により、反応系において高活性の
触媒を少量用いて、シクロアルキルヒドロペルオキシド
から高い分解速度および高い収率でシクロアルカノール
およびシクロアルカノンを製造することが出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 35/20 35/205 45/53 49/385 A 9049−4H 49/395 49/403 A 9049−4H 49/413 // C07B 61/00 300 (72)発明者 島野 哲郎 山口県宇部市大字小串1978番地の5 宇部 興産株式会社宇部研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シクロアルキルヒドロペルオキシドを、
    一般式(I) [MCln(PR123)m] (I) (式中、Mは鉄、コバルト、ニッケル又は銅を示し、R
    1、R2、R3はアリール基を示す。nは1もしくは2を、
    mは1〜3の整数を示す。)で示される金属錯体の存在
    下で分解することを特徴とするシクロアルカノールおよ
    びシクロアルカノンの製造法。
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