JP3608252B2 - シクロアルカノール及びシクロアルカノンの製造方 法 - Google Patents

シクロアルカノール及びシクロアルカノンの製造方 法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、シクロアルキルヒドロペルオキシドを触媒存在下で分解してシクロアルカノール及びシクロアルカノンを高収率で製造する方法に関する。シクロアルカノールやシクロアルカノンは、ナイロン等のポリアミド系高分子用モノマーの製造原料、化学薬品の合成中間体、有機溶剤などとして非常に有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】
シクロアルキルヒドロペルオキシドをルテニウム触媒存在下で分解してシクロアルカノール及びシクロアルカノンを製造する方法としては、特開昭61−167631号公報記載の、反応系で触媒として可溶性のクロム及びルテニウム化合物を用いる方法や、特開昭63−156735号公報記載の、反応系で触媒として可溶性のルテニウム化合物をイソインドリン誘導体と共に用いる方法が知られている。
【0003】
しかしながら、前者の方法においては、アセチルアセトナトやカルボン酸塩等の可溶性のルテニウム化合物を単独で用いた場合は、反応中に触媒が劣化して活性の低い沈殿物となって特に連続反応においては反応速度が著しく低下してくるために、有毒でかつ取扱いや廃液の処理が煩雑になるクロム化合物をルテニウム化合物と共に用いて触媒を可溶性の状態に保つ必要がある。一方、後者の方法においては、前記のような可溶性のルテニウム化合物に高価なイソインドリン誘導体を配位子として添加しなければならないという問題がある。そして、これらの方法では、高価なルテニウム触媒を比較的高濃度で使用しているという問題も存在している。
【0004】
また、これらの方法はいずれも可溶性のルテニウム触媒を用いるものであるため、工業的なプロセスが反応液を抜き出して原料及び生成物の一部を蒸留分離した後に該反応液に含まれる触媒を循環使用するという複雑なものになるだけでなく、更に反応液の蒸留及び循環の際に触媒成分の劣化又は沈殿によるロスを避けることができないという問題も生じてくる。特に前者の方法においては、このような触媒成分の劣化又は沈殿によるロスが著しくなって触媒を可溶性の活性な状態で循環使用して連続反応を行うことがより困難になってくる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、反応系に、不溶性でかつ高活性のルテニウム触媒を少量存在させてシクロアルキルヒドロペルオキシドから高い反応速度でしかも高い收率及び高い選択率でシクロアルカノール及びシクロアルカノンを製造することができる、工業的に好適なシクロアルカノール及びシクロアルカノンの製造方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、シクロアルキルヒドロペルオキシドを、一般式(I)
〔RuCl (I)
(式中、Lはルテニウム原子に配位できる中性の配位子を示し、nは1〜4の整数を、mは1以上の整数を示す。)
で示されるルテニウム錯体の存在下で分解することを特徴とするシクロアルカノール及びシクロアルカノンの製造方法によって達成される。
【0007】
以下に本発明を詳しく説明する。
シクロアルキルヒドロペルオキシドとしては、例えばシクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン、シクロドデカン、シクロペンタデカン、シクロヘキサデカン等の炭素数5〜20のシクロアルカンのヒドロペルオキシドが挙げられる。
【0008】
前記シクロアルキルヒドロペルオキシドは、通常、遷移金属のようなシクロアルキルヒドロペルオキシドの分解を促進する物質の非存在下、反応温度が120〜180℃、反応圧が1〜20気圧の条件でシクロアルカンを空気等の分子状酸素と液相接触反応させて得ることができる。
本発明では、このようにして得られるシクロアルカンの酸化反応液から蒸留又は抽出により分離されたシクロアルキルヒドロペルオキシドを原料のシクロアルカン又はベンゼン、トルエン等の溶媒で希釈又は溶解して用いてもよいが、未精製のシクロアルキルヒドロペルオキシド(即ち、上記酸化反応液)をそのまま又は濃縮して使用しても、混合液中のシクロアルキルヒドロペルオキシドを効率よく分解してシクロアルカノール及びシクロアルカノンを製造することができる。なお、混合液中に含有されるシクロアルキルヒドロペルオキシドは通常0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%である。
【0009】
シクロアルカンの酸化反応液を使用する場合は、シクロアルキルヒドロペルオキシドから目的物が直接生成する以外に、かなりの量で残存しているシクロアルカンがシクロアルキルヒドロペルオキシドと反応してシクロアルカノン及びシクロアルカノールが生成することにより目的物の收率が高くなるという利点がある。なお、該酸化反応液を使用する場合は、シクロアルキルヒドロペルオキシドの分解を行う前に必要に応じて該酸化反応液の水洗又はアルカリ洗浄により含有されている酸を除去することが好ましい。このとき、アルカリとしては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物や炭酸塩が用いられる。
【0010】
一般式(I)で示される化合物は、反応系、例えば前記のシクロアルカンの酸化反応液やシクロアルキルヒドロペルオキシドを溶媒で希釈した溶液の中で不溶性のルテニウム錯体である。
Lとしては、3級アリールホスフィン類、アレーン類、ジエン類、ニトリル類、ピリジン類、2,2’−ビピリジン類、1,10−フェナントロリン類、ジメチルスルホキシド等のルテニウム原子に配位できる中性の配位子が挙げられる。なお、ここで中性の配位子とは配位することによって中心金属の形式的な原子価を変化させないものを言う。nが1より大きい場合、Lはルテニウム原子に配位して上記ルテニウム錯体を形成できる配位子であれば、同一の化合物であっても異なる化合物であってもよい。mは1以上の整数で通常1又は2である。なお、これらの錯体は公知のものであり、殆どが三塩化ルテニウムを出発原料として容易に合成される。
【0011】
前記3級アリールホスフィン類としては、例えばトリフェニルホスフィン、トリス(4−メチルフェニル)ホスフィン、トリス(4−クロロフェニル)ホスフィン、トリス(4−フルオロフェニル)ホスフィン、トリス(4−メトキシフェニル)ホスフィン等の置換もしくは非置換の3級アリールホスフィン類が挙げられる。
3級アリールホスフィン類を配位子Lとする前記ルテニウム錯体としては、例えばジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジクロロトリス(トリス(4−メチルフェニル)ホスフィン)ルテニウム、ジクロロトリス(トリス(4−クロロフェニル)ホスフィン)ルテニウム、ジクロロトリス(トリス(4−フルオロフェニル)ホスフィン)ルテニウム、ジクロロトリス(トリス(4−メトキシフェニル)ホスフィン)ルテニウム等が挙げられるが、中でもジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムが好ましい。
【0012】
前記アレーン類としては、例えばベンゼン、トルエン、p−キシレン、メシチレン、p−シメン、アニソール、シクロヘプタトリエン等の置換もしくは非置換のアレーン類が挙げられる。
アレーン類を配位子Lとする前記ルテニウム錯体としては、例えばテトラクロロビス(η−ベンゼン)二ルテニウム、テトラクロロビス(η−トルエン)二ルテニウム、テトラクロロビス(η−キシレン)二ルテニウム、テトラクロロビス(η−メシチレン)二ルテニウム、テトラクロロビス(η−p−シメン)二ルテニウム、テトラクロロビス(η−アニソール)二ルテニウム、テトラクロロビス(η−シクロヘプタトリエン)二ルテニウム等が挙げられるが、中でもテトラクロロビス(η−ベンゼン)二ルテニウム、テトラクロロビス(η−p−シメン)二ルテニウムが好ましい。
【0013】
前記ジエン類としては、シクロオクタジエン、ノルボルナジエン等のルテニウム原子に二座配位子として配位できるジエン類が挙げられる。
ジエン類を配位子Lとする前記ルテニウム錯体としては、例えばジクロロ(シクロオクタジエン)ルテニウムの会合体、テトラクロロビス(ノルボルナジエン)二ルテニウム等が挙げられるが、中でもジクロロ(シクロオクタジエン)ルテニウムの会合体が好ましい。なお、シクロオクタジエンを配位子とする場合、ルテニウム錯体はmが3以上の会合体を形成する。
【0014】
前記ニトリル類としては、例えばアセトニトリル、プロピオニトロル、ブチロニトリル等のアルキルニトリル類やベンゾニトリル等のアリールニトリル類が挙げられる。
ニトリル類を配位子Lとする前記ルテニウム錯体としては、例えばジクロロテトラキス(アセトニトリル)ルテニウム、ジクロロテトラキス(プロピオニトリル)ルテニウム、ジクロロテトラキス(ブチロニトリル)ルテニウム、ジクロロテトラキス(ベンゾニトリル)ルテニウム等が挙げられるが、中でもジクロロテトラキス(アセトニトリル)ルテニウム、ジクロロテトラキス(ベンゾニトリル)ルテニウムが好ましい。
【0015】
前記ピリジン類、2,2’−ビピリジン類、1,10−フェナントロリン類等の配位子は非置換の化合物であっても、例えば4−メチルピリジン、4,4’−ジメチル−2,2’−ビピリジン、5−メチル−1,10−フェナントロリン等のように、配位子Lのルテニウム原子への配位を妨げないように、炭素原子がアルキル基、アリール基、ハロゲン原子等を置換基として有していても差し支えない。
ピリジン類、2,2’−ビピリジン類、1,10−フェナントロリン類等を配位子Lとする前記ルテニウム錯体としては、例えばジクロロテトラ(ピリジン)ルテニウム、ジクロロトリス(2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジクロロトリス(4,4’−ジメチル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジクロロトリス(1,10−フェナントロリン)ルテニウム等が挙げられるが、中でもジクロロテトラ(ピリジン)ルテニウム、ジクロロトリス(2,2’−ビピリジン)ルテニウムが好ましい。
【0016】
また、異なった化合物を配位子Lとする前記ルテニウム錯体としては、例えばジクロロビス(アセトニトリル)ビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム等が挙げられ、ジメチルスルホキシドを配位子Lとする前記ルテニウム錯体としては、例えばジクロロテトラキス(ジメチルスルホキシド)ルテニウム等が挙げられる。
【0017】
シクロアルキルヒドロペルオキシドの分解は、通常、シクロアルキルヒドロペルオキシドを含有する前記混合液中に触媒として不溶性の前記ルテニウム錯体を反応液中にルテニウム金属換算で0.01〜250重量ppm、好ましくは0.1〜150重量ppm存在(懸濁)させて、反応温度が25〜180℃、好ましくは80〜160℃、反応圧が1〜30気圧の条件で行われる。反応温度が25℃より低くなると反応速度が遅くなり、180℃より高くなると目的物の收率が低下するために好ましくない。また、触媒の濃度は高くしても特別な効果は見られないので、上記の範囲が好ましい。
【0018】
前記分解反応は、反応中に生じる反応熱を放出して反応温度を適切にコントロールするために、例えば還流冷却器及び攪拌装置を備えた反応器で実施される。このとき、ルテニウム錯体はシクロアルカン及びシクロアルカンの酸化反応液に不溶性であるため、反応系において種々の方法で用いることができ、例えば懸濁床や充填床で使用することができる。
【0019】
以上のようにして、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、シクロノナノン、シクロデカノン、シクロドデカノン、シクロペンタデカノン、シクロヘキサデカノン等のシクロアルカノン、及びシクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロヘプタノール、シクロオクタノール、シクロノナノール、シクロデカノール、シクロドデカノール、シクロペンタデカノール、シクロヘキサデカノール等のシクロアルカノールを含むシクロアルキルヒドロペルオキシドの分解反応液が得られるが、シクロアルカノン及びシクロアルカノールは、分解反応液から濾過等によって触媒を分離して必要ならば分解反応液を水又はアルカリ水で洗浄して酸を除去した後、蒸留等によって分離精製される。なお、シクロアルカンの酸化反応液を反応に用いた場合、未反応のシクロアルカンは蒸留分離されて酸化反応に循環使用される。
【0020】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。
なお、シクロヘキシルヒドロペルオキシド(CHP)転化率、シクロヘキサノン及びシクロヘキサノールの合計(KA)收率は、シクロヘキシルヒドロペルオキシド(CHP)、シクロヘキサノン(K)及びシクロヘキサノール(A)をガスクロマトグラフィーにより分析して次式により求めた。
【0021】
【数1】
Figure 0003608252
【0022】
【数2】
Figure 0003608252
【0023】
実施例1
〔シクロヘキサンの空気酸化〕
還流冷却器、温度計、水分離器、ガス導入管、攪拌装置及び反応液取出し口を備えた内容積500mlの耐圧ガラス製オートクレーブにシクロヘキサン300gを仕込み、攪拌下(800rpm)、圧力10kg/cm、流量40l/hrで窒素ガスを通気しながら昇温した。温度が150℃に達した後、窒素ガスを空気(圧力10kg/cm、流量40l/hr)に切り換えて反応を開始した。260分間反応を行った後、反応液を冷却して、反応液1g当たり、シクロヘキシルヒドロペルオキシド(CHP)0.1390mmol、シクロヘキサノール(A)0.0844mmol、シクロヘキサノン(K)0.1340mmolを含むシクロヘキサンの酸化反応液を得た。
【0024】
〔シクロヘキシルヒドロペルオキシドの分解〕
還流冷却器、温度計、攪拌装置及び反応液取出し口を備えた内容積50mlの耐圧ガラス製オートクレーブに、上記のシクロヘキサンの酸化反応液10gと触媒としてジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム〔RuCl(PPh〕をルテニウム金属濃度が0.5重量ppmになるように加えた。次いで、この不溶性のルテニウム錯体を懸濁させた混合物を攪拌しながら120℃に加熱して、シクロヘキシルヒドロペルオキシド(CHP)の分解を30分間行った。反応終了後、触媒を濾過して回収し、反応液をガスクロマトグラフィーにより分析した。
その結果、CHPは完全に分解されていて、シクロヘキサノン及びシクロヘキサノールの合計(KA)收率は109.1%、K/A比(モル比)は0.49であった。
【0025】
実施例2
実施例1において濾過して回収した触媒をそのまま再使用したことのほかは、実施例1と同様にシクロヘキサンの空気酸化とシクロヘキシルヒドロペルオキシド(CHP)の分解を行って、触媒の回収及び反応液の分析を行った。
その結果、CHPは完全に分解されていて、シクロヘキサノン及びシクロヘキサノールの合計(KA)收率は109.5%で、K/A比(モル比)は0.49であった。
【0026】
実施例3
実施例1において、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムをルテニウム金属濃度が0.1重量ppmになるように加えて、反応時間を60分に変えたことのほかは、実施例1と同様にシクロヘキサンの空気酸化とシクロヘキシルヒドロペルオキシド(CHP)の分解を行って、触媒の回収及び反応液の分析を行った。
その結果、CHP転化率は99.0%、シクロヘキサノン及びシクロヘキサノールの合計(KA)收率は107.1%で、K/A比(モル比)は0.42であった。なお、このときのルテニウムのターンオーバー数は130000であった。
【0027】
比較例1
実施例1において、触媒を可溶性のトリス(アセチルアセトナト)ルテニウム〔Ru(acac)〕に変えてルテニウム金属濃度が0.5重量ppmになるように加えたことのほかは、実施例1と同様にシクロヘキサンの空気酸化とシクロヘキシルヒドロペルオキシド(CHP)の分解を行って、反応液を分析した。その結果、CHP転化率は62.9%、シクロヘキサノン及びシクロヘキサノールの合計(KA)收率は98.5%で、K/A比(モル比)は0.55であった。なお、反応後、反応器にルテニウム化合物の沈殿が見出された。
【0028】
比較例2
実施例1において、触媒を可溶性の三塩化ルテニウム〔RuCl〕に変えてルテニウム金属濃度が0.5重量ppmになるように加えたことのほかは、実施例1と同様にシクロヘキサンの空気酸化とシクロヘキシルヒドロペルオキシド(CHP)の分解を行って、反応液を分析した。
その結果、CHP転化率は40.6%、シクロヘキサノン及びシクロヘキサノールの合計(KA)收率は97.7%で、K/A比(モル比)は0.52であった。なお、触媒は一部が反応液に溶解しており、大部分のものは不溶化(失活)して反応器の内壁にスケーリングしていたために回収できなかった。
実施例1〜3及び比較例1、2の結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
Figure 0003608252
【0030】
実施例4〜12
実施例1において、触媒とその濃度を表1記載のように変えたことのほかは、実施例1と同様にシクロヘキサンの空気酸化とシクロヘキシルヒドロペルオキシド(CHP)の分解を行って、触媒の回収及び反応液の分析を行った。その結果を表2にまとめて示す。
【0031】
【表2】
Figure 0003608252
【0032】
実施例13
〔シクロドデカンの空気酸化〕
実施例1と同様の内容積500mlの耐圧ガラス製オートクレーブにシクロドデカン170gを仕込み、攪拌下(800rpm)、圧力10kg/cm、流量50l/hrで窒素ガスを通気しながら昇温した。温度が160℃に達した後、窒素ガスを空気(圧力10kg/cm、流量50l/hr)に切り換えて反応を開始した。46分間反応を行った後、反応液を冷却して、反応液1g当たり、シクロドデシルヒドロペルオキシド(CDHP)0.2534mmol、シクロドデカノール0.1338mmol、シクロドデカノン0.1388mmolを含むシクロドデカンの酸化反応液を得た。
【0033】
〔シクロドデシルヒドロペルオキシドの分解〕
実施例1と同様の内容積100mlの耐圧ガラス製オートクレーブに、上記のシクロドデカンの酸化反応液10gと触媒としてジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム〔RuCl(PPh〕をルテニウム金属濃度が0.5重量ppmになるように加えた。次いで、この不溶性のルテニウム錯体を懸濁させた混合物を攪拌しながら140℃に加熱して、シクロドデシルヒドロペルオキシド(CDHP)の分解を60分間行った。反応終了後、触媒を濾過して回収し、反応液をガスクロマトグラフィーにより分析した。
その結果、CDHPは完全に分解されていて、シクロドデカノールとシクロドデカノンの合計收率は116.1%、シクロドデカノン/シクロドデカノール比(モル比)は0.75であった。なお、收率はシクロヘキシルヒドロペルオキシドの分解の場合と同様の算出方法で求めた。
【0034】
実施例14
〔シクロヘキサンの空気酸化〕
実施例1と同様の内容積500mlの耐圧ガラス製オートクレーブにシクロヘキサン300gと反応開始剤としてt−ブチルヒドロペルオキシド1.4gを仕込み、攪拌下(800rpm)、圧力10kg/cm、流量40l/hrで窒素ガスを通気しながら昇温した。温度が160℃に達した後、窒素ガスを空気(圧力10kg/cm、流量40l/hr)に切り換えて反応を開始した。60分間反応を行った後、反応液を冷却して、反応液1g当たり、シクロヘキシルヒドロペルオキシド(CHP)0.307mmol、シクロヘキサノール(A)0.072mmol、シクロヘキサノン(K)0.042mmolを含むシクロヘキサンの酸化反応液を得た。
【0035】
〔シクロヘキシルヒドロペルオキシドの分解〕
実施例1と同様の内容積500mlの耐圧ガラス製オートクレーブに、上記のシクロヘキサンの酸化反応液85gと触媒としてジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム〔RuCl(PPh〕をルテニウム金属濃度が0.5重量ppmになるように加えた。次いで、この不溶性のルテニウム錯体を懸濁させた混合物を攪拌しながら120℃に加熱して、シクロヘキシルヒドロペルオキシド(CHP)の分解を30分間行った。反応終了後、触媒を濾過して回収し、反応液をガスクロマトグラフィーにより分析した。
その結果、CHPは完全に分解されていて、シクロヘキサノン及びシクロヘキサノールの合計(KA)收率は109.1%、K/A比(モル比)は0.49であった。また、シクロヘキサンの酸化工程及びCHPの分解工程の両方を経由してのシクロヘキサンの転化率は4.2%であり、シクロヘキサノン及びシクロヘキサノールの合計(KA)選択率は89モル%であった。
【0036】
比較例3
実施例14において、触媒を可溶性のオクチル酸コバルトに変えてコバルト金属濃度が1.0重量ppmになるように加え、CHPの分解温度を160℃に、分解時間を60分に変えたほかは、実施例14と同様にシクロヘキサンの空気酸化とシクロヘキシルヒドロペルオキシド(CHP)の分解を行って、反応液を分析した。
その結果、CHPは完全に分解されていたが、シクロヘキサノン及びシクロヘキサノールの合計(KA)收率は101.2%、K/A比(モル比)は0.35であった。また、シクロヘキサンの酸化工程及びCHPの分解工程の両方を経由してのシクロヘキサンの転化率は4.4%であったが、シクロヘキサノン及びシクロヘキサノールの合計(KA)選択率は79モル%であった。なお、反応後、反応器にはコバルト化合物の沈殿が見出された。
【0037】
【発明の効果】
本発明により、反応系において不溶性でしかも高活性の触媒を少量用いて、シクロアルキルヒドロペルオキシドから高い反応速度でしかも高いターンオーバー数、高い收率、高い選択率でシクロアルカノール及びシクロアルカノンを製造することができる。また、反応系で不溶性の触媒を用いているために触媒と生成物の分離が容易になって蒸留や反応液の循環に伴う触媒の劣化又はロスがなくなり、工業的に好適な、特に連続反応に好適なシクロアルカノール及びシクロアルカノンの製造方法を提供できるようになる。なお、触媒は分離して再使用することが容易であるだけでなく、クロム等の有毒成分を含まない上にその合成も容易であるので工業的に非常に好適である。

Claims (1)

  1. シクロアルキルヒドロペルオキシドを、一般式(I)
    〔RuCl (I)
    (式中、Lはルテニウム原子に配位できる中性の配位子を示し、nは1〜4の整数を、mは1以上の整数を示す。)
    で示されるルテニウム錯体の存在下で分解することを特徴とするシクロアルカノール及びシクロアルカノンの製造方法。
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