JPH0833653A - インプラント用磁気式維持装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、外冠がズレを生じないクラウンブ
リッジ用のインプラント用磁気式維持装置を提供するこ
とを目的とする。 【構成】 顎骨に穿孔した形成窩にフィクスチャーをネ
ジ込み、該フィクスチャーの内側に穿孔したメネジに嵌
合するようにオネジを形成した磁性ステンレス合金から
なる頭つきネジ形状であるキーパーネジで、該フィクス
チャーの上部にストレートポストを締め付けて連結し、
該キーパーネジに密着するようにクラウン外冠に埋入さ
れた磁石構造体を載置して、磁石構造体とキーパーネジ
の磁気吸引力でクラウン外冠を固定することを特徴とす
るインプラント用磁気式維持装置。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、クラウンブリッジ用の
インプラントに応用した磁気式維持装置に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】クラウンブリッジ用のインプラントシス
テムとしては、図２に示すようなインプラントシステム
がある。図２において、フィクスチャー２１、アバット
メント２２及びアバットメントスクリュー２３は純チタ
ン製である。またキーパーネジ２４は、磁性ステンレス
合金であり、このネジキーパーでフィクスチャー２１に
ネジ込まれたアバットメントスクリュー２３にネジ込
み、アバットメント２２をフィクスチャー２１に連結す
るシステムになっている。以上が口腔内に装着されるイ
ンプラント構造体Ｂである。図３に図２のインプラント
構造体Ａを装着した例を示す。口腔内に装着されたイン
プラント構造体Ｂに内冠２５を接着し、更に内冠２５に
適合する金属床２３を有する人工歯形状のクラウン外冠
２４を接着固定し、金属床２３に人工歯２６を固定す
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】図３に示すようなクラ
ウンブリッジ用のインプラント用磁気式維持装置におい
て、クラウン外冠と内冠を適合させるのは、非常に精密
な加工を要し、困難である。また、この内冠およびクラ
ウン外冠は、精密に加工し適合させたとしても、クラウ
ン外冠の取り外しを繰り返すうちに、摩擦により内冠と
外冠の擦り合わせ部が緩んでしまい、外冠がズレを生じ
るという問題がある。そこで、本発明は、外冠がズレを
生じないクラウンブリッジ用のインプラント用磁気式維
持装置を提供することを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明インプラント用磁
気式維持装置は、顎骨に穿孔した形成窩にフィクスチャ
ーをネジ込み、該フィクスチャーの内側に穿孔したメネ
ジに嵌合するようにオネジを形成した磁性ステンレス合
金からなる頭つきネジ形状であるキーパーネジで、該フ
ィクスチャーの上部にストレートポストを締め付けて連
結し、該キーパーネジに密着するようにクラウン外冠に
埋入された磁石構造体を載置して、磁石構造体とキーパ
ーネジの磁気吸引力でクラウン外冠を固定することを特
徴とする。また、本発明インプラント用磁気式維持装置
において、磁石構造体は、永久磁石と、永久磁石を収納
する凹部を有する耐食性磁性材料からなるケースと、ケ
ース凹部の開口部から前記永久磁石が露出しないように
覆うための耐食性材料からなるシールプレートとを有
し、該シールプレートは耐食性非磁性材料からなるシー
ル縁部材と該シール縁部材の内周形状に略同じ外周形状
の耐食性軟磁性材料からなるシール板の２種の部品から
構成されており、ケースおよびシールプレートの突合わ
せ部がシーム溶接されているのが望ましい。本発明にお
いて、使用する永久磁石としては小型でできるだけ強い
磁束が得られることが必要であり、このため、ＳｍＣｏ
系磁石またはＮｄＦｅ系磁石などのような希土類磁石が
使用される。また、その形状は、用いられる個所にもよ
るが、通常は円筒状または円柱状のものが使用される。
このため、シール縁部材としてはリング状薄板部材が、
シール板としては円板状薄板部材が使用されることが多
い。また、永久磁石の着磁は、通常、ケースに入れる前
に行うが、磁石体を組み立てた後に着磁しても良い。

【０００５】

【作用】本発明インプラント用磁気式維持装置は、クラ
ウン外冠に磁石構造体を埋入することによりキーパーネ
ジと磁石構造体との磁気吸引力でクラウンブリッジを固
定するため、外冠がズレを生じない。また、フィクスチ
ャーとしては、反応性が低く安定したチタン製フィクス
チャーとするのが望ましい。本発明において、磁石構造
体のケースおよびシールプレートの突き合わせ部は、接
着剤により封止してもよいが、シーム溶接により封止す
るのが望ましい。接着剤によらず金属による封止を採用
することにより、化学安定性、接着強度等についての信
頼性が向上できる。

【０００６】

【実施例】図１は、本発明の一例を示すインプラント用
磁気式維持装置の断面図である。図１に示すインプラン
ト用磁気式維持装置は、口腔内に装着するインプラント
構造体Ａと人工歯の形状を有するクラウン外冠５とから
構成されている。インプラント構造体Ａは、フィクスチ
ャー１、オネジを有するキーパーネジ３、ストレートポ
スト４とから構成されている。フィクスチャー１は京セ
ラ株式会社製で直径４．２ｍｍ、長さ１２ｍｍのチタン
製である。フィクスチャー１の内部には、キーパーネジ
３のオネジと嵌合するメネジ２が形成されている。オネ
ジ３は、Ｆｅ：６８ｗｔ％、Ｃｒ：３０ｗｔ％、Ｍｏ：
２ｗｔ％の磁性ステンレス合金製で、フィクスチャー１
のメネジ部２と勘合するオネジを有する。キーパーネジ
３のオネジとフィクスチャー１のメネジを勘合し、フィ
クスチャー１とストレートポスト４を締結する。なお、
このキーパーネジを構成する合金は、加工後、９００
℃、１時間、水素雰囲気中で、熱処理をして加工歪を取
り除いた。５は、人工歯形状のクラウン外冠であり、内
部に磁石構造体６が接着固定される。クラウン外冠５
は、キーパーネジ３上に載置され、磁石構造体６とキー
パーネジ３との磁気吸引力により保持される。図１に示
すインプラント用磁気式維持装置に用いたメネジ２を有
するフィクスチャー１、ストレートポスト４の部品外観
図を図４に示す。また、キーパーネジ３の断面寸法図を
図６に示す。さらに、磁石構造体７を図５に示す。図５
において、７は希土類永久磁石、８は磁性を有する耐食
性ステンレスからなるケース、９は非磁性の耐食性ステ
ンレスからなるシールリング、１０は磁性耐食性ステン
レスからなるシール円板、１１は接着剤である。図５の
ケース８の外周部とシールリング９の付合わせ部、ある
いはシールリング９とシール円板１０の突合わせ部１
２、１３は、レーザ溶接で密封されているため、希土類
永久磁石は腐食性されない。なお、図５に示す磁石構造
体は、シール円板１０側がキーパーネジ３と接する面と
なるよう配置する。

【０００７】

【発明の効果】本発明によれば、クラウン外冠に接着固
定した磁石構造体とキーパーネジとの相互の磁気的吸引
力によってクラウンブリッジタイプのインプラント義歯
に適用できる磁気式維持装置を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を示すインプラント用磁気式維
持装置の断面図である。

【図２】従来のインプラントシステムを示す断面図であ
る。

【図３】従来のクラウンブリッジ用インプラントシステ
ムの略式概略図である。

【図４】本発明に係るインプラント構造体の部品を示す
概略図である。

【図５】本発明に係る磁石構造体の断面図である。

【図６】本発明に係るキーパーネジの寸法図である。

【符号の説明】

Ａ インプラント構造体、１ フィクスチャー、２ メ
ネジ、３ キーパーネジ、４ ストレートポスト、５
クラウン外冠、６ 磁石構造体、７ 希土類永久磁石、
８ ケース、９ シールリング、１０ シール円板、１
１ 接着剤、１２ シーム溶接部、１３ シーム溶接
部。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 顎骨に穿孔した形成窩にフィクスチャー
   をネジ込み、該フィクスチャーの内側に穿孔したメネジ
   に嵌合するようにオネジを形成した磁性ステンレス合金
   からなる頭つきネジ形状であるキーパーネジで、該フィ
   クスチャーの上部にストレートポストを締め付けて連結
   し、該キーパーネジに密着するようにクラウン外冠に埋
   入された磁石構造体を載置して、磁石構造体とキーパー
   ネジの磁気吸引力でクラウン外冠を固定することを特徴
   とするインプラント用磁気式維持装置。
2. 【請求項２】 磁石構造体は、永久磁石と、永久磁石を
   収納する凹部を有する耐食性磁性材料からなるケース
   と、ケース凹部の開口部から前記永久磁石が露出しない
   ように覆うための耐食性材料からなるシールプレートと
   を有し、該シールプレートは耐食性非磁性材料からなる
   シール縁部材と該シール縁部材の内周形状に略同じ外周
   形状の耐食性軟磁性材料からなるシール板の２種の部品
   から構成されており、ケースおよびシールプレートの突
   合わせ部がシーム溶接されていることを特徴とする請求
   項１記載のインプラント用磁気式維持装置。