JPH083358A - 熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シート - Google Patents

熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シート

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JPH083358A
JPH083358A JP14144494A JP14144494A JPH083358A JP H083358 A JPH083358 A JP H083358A JP 14144494 A JP14144494 A JP 14144494A JP 14144494 A JP14144494 A JP 14144494A JP H083358 A JPH083358 A JP H083358A
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JP
Japan
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sheet
length
pat
thermoplastic polyester
bubbles
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JP14144494A
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English (en)
Inventor
Kiyotaka Matsuoka
清隆 松岡
Nobuyuki Tsujiwaki
伸幸 辻脇
Kiyoshi Yoshioka
清 吉岡
Masayuki Nishiguchi
雅行 西口
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Sekisui Kasei Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Plastics Co Ltd
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Publication date
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  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 総末端基の内、ヒドロキシ末端基の比率が5
5%以上である熱可塑性ポリエステル系樹脂と、多官能
化合物および、前記熱可塑性ポリエステル系樹脂に対す
る気体透過率が0.01cc・mm/cm 2 ・sec・
cm・Hg・10 10 以上である気体を発泡剤として含有
した熱可塑性ポリエステル系樹脂溶融混合物を低圧側に
押出発泡させて得られる気泡の長方向と短方向の長さの
比が4以下であることを特徴とする熱可塑性ポリエステ
ル系樹脂発泡シート。 【効果】 この熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シート
を成形した成形品は、高温下で使用しても変形しないこ
とに加えて、成形型に忠実なシャープな形状のものを得
ることができる。また、一次発泡シートを水蒸気処理等
の2次加熱することなくそのまま成形することができる
ので、工程が煩雑にならない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は熱可塑性ポリエステル
系樹脂発泡シートに関するものであり、更に詳しく述べ
ると、容器ごと高温で調理される食品容器や、高温下で
滅菌される医療用品、高温下で使用される工業部材等に
成形して用いるのに適した熱可塑性ポリエステル系樹脂
発泡シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性ポリエステル系樹脂(以下、こ
れをPATと略す)は、剛性、充分な結晶化処理を施す
ことによる耐熱性など他の樹脂には見られないような優
れた特徴を持つことが知られている。このPATを発泡
させて成形することにより発泡体をつくり軽量化、断熱
性といった機能を付加することが実用化されている。
【 【【0003】従来のPAT発泡体で成形された容器に
食品を入れて容器ごと調理すると200℃程度までは良
好な耐熱性を示し、容器は変形しないが、200℃以上
の温度領域では著く変形するという欠点があった。パ
ン、ケーキ等を焼く際の温度の大半は200℃以上であ
るためこれらにPAT発泡体容器を使用することは適当
ではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】特開平4−70321
号公報には、窒素ガス、炭酸ガス等の無機ガスを用い
て、気泡が均一で微細なPAT発泡シートの製法が開示
されているが、熱成形性については何等認識されていな
い。
【0005】特開平4−64430号公報において、無
機ガスで密度0.342g/cm3または0.41g/
cm3程度に一旦発泡させた後、これを水もしくは水蒸
気に接触させることにより高倍率の2次発泡シートと
し、これをさらに高温に加熱成形することによりレトル
ト処理においても変形しない耐熱性のある容器となされ
ている。ここで、レトルト処理とは、業界で使用される
用語であり水蒸気を接触させて殺菌消毒をすることを意
味している。実際にこの方法を用いてレトルト処理およ
び200℃以上の条件に耐えるかどうか調べたところレ
トルト処理には問題がなかったものの、200℃を超え
る条件下では変形が認められた。また水蒸気処理という
工程が一つ増えるので、工程が煩雑になるのに加えて成
形品のコストアップにつながるという欠点がある。
【0006】この発明の目的は、200℃を超える条件
下で変形しない耐熱性に優れた成形品を得ることができ
る熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シートを提供するも
のである。また、この発明の他の目的は、気泡の形状を
特定して成形性のよい熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡
シートを提供するものである。
【0007】
【問題解決のための手段】本発明は、上記の課題を解決
するためになされたものであって、その要旨は、総末端
基の内、ヒドロキシ末端基の比率が55%以上であるP
ATと、多官能化合物および、前記PATに対する気体
透過率が0.01cc・mm/cm2・sec・cm・
Hg・1010以上である気体を発泡剤として含有したP
AT溶融混合物を低圧側に押出発泡させて得られる気泡
の長方向と短方向の長さの比が4以下であることを特徴
とする熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シートにある。
この発泡シートは成形性がよく、また、適切な条件下で
成形を行うことにより200℃を超える使用に耐える発
泡成形品を得ることができる。以下、本発明を更に詳し
く説明する。
【0008】PATは気体の種類により気体透過率が異
なることは知られている。また、PAT発泡体は押出機
を出た瞬間は気泡中の気体は発泡剤のみで占められ、時
間の経過とともに気泡中に元々存在する発泡剤と外部か
ら侵入する空気とが置換されてゆくのであるが、本発明
者らは、PAT発泡体をつくる際に一般的に用いられる
有機発泡剤の大部分は気体透過率がきわめて小さいた
め、なかなか置換されずに有機発泡剤が気泡中に長期間
残存するということがわかった。
【0009】発泡シートに外部から熱を加えると発泡剤
および侵入空気の体積膨張により発泡シートは膨らもう
とする。このことにより発泡シートは所定の形に成形す
る際により高倍の発泡成形品となる。しかし発泡する力
が残存した場合、膨らもうとする力は大きいため、成形
品はさらなる発泡により変型する。このことを避けるた
めに成形時に発泡を完了させる必要がある。気体透過率
が小さい有機発泡剤を使用し、これが気泡中に残存して
いる場合でも成形時に充分な加熱を行うことにより事に
より発泡を完了させることができるが、長時間の加熱が
必要なため実用的ではない。すなわち、成形時にすみや
かに発泡が完了する工夫が必要となる。従って用いるこ
とができる発泡剤はPATに対する気体透過率が大きな
ものであり、成形時に侵入空気とは別に気泡中に残存し
ないものが望ましい。ここで用いるにふさわしい発泡剤
はPAT樹脂に対する気体透過率は0.01cc・mm
/cm2・sec・cm・Hg・1010以上であると考
えられる。この値以上のものであれば、高温下での使用
時に気泡中に発泡剤が残存せず、変形を起こさない。こ
の値より小さなものは気泡中に発泡剤が残存するため高
温下で気泡が膨張し成形品が変形を起こしてしまう。こ
の発泡剤は溶融混練した樹脂に注入しても良いし熱分解
により気体を発生する物であっても良い。
【0010】一方においてPATは発泡させにくい樹脂
として知られており、押出発泡を行うに当たり樹脂改質
を行い溶融張力を高める必要がある。また上記に示した
気体透過率の大きな発泡剤は概して樹脂との相溶性が悪
く、押出機先端口金部より樹脂が出た際の発泡速度が速
いため気泡膜の破れによる外観の悪化が生じやすく、シ
ート成形時に破断が生じやすいため安定して押出発泡を
行うのが困難であるため密度0.7g/cm3以上のご
く低倍率の発泡体しか得ることができない。従って、樹
脂改質を効果的に行い、さらに溶融張力を高める工夫が
必要である。
【0011】本発明者らは、多官能化合物を混合する方
法により樹脂改質を行う際に、多官能化合物として酸無
水物またはエポキシ化合物を使用し、PAT中に含まれ
る総末端機の内、ヒドロキシ末端基の比率が少なくとも
55%以上のものを使用すれば添加した多官能化合物と
反応した際に上述の相溶性の悪い発泡剤を使用しても充
分な溶融張力改善が認められることもまた見いだした。
用いることのできる多官能化合物の内、酸無水物として
は無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカル
ボン酸無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロト
リメリテート)、等があげることができ、エポキシ化合
物としてはジグリシジルテレフタレート、エチレングリ
コールジグリシジルエーテル、ジシクロペンタジエンジ
エポキシド等があげられる。またヒドロキシ末端基の数
が55%未満のものは上記の多官能化合物と反応しても
実用に耐えうる発泡体を得ることはできない。
【0012】PATに含まれているヒドロキシ末端基の
濃度は以下の方法により求めた。 ヒドロキシ末端濃度(%)=(PATの総末端基数−カ
ルボキシル末端数)/PATの総末端基数 PATの末端基はヒドロキシ末端とカルボキシル末端の
他にメチル末端を含む場合があるが量的に無視できる範
囲であるため、上記の式において、PATの総末端基数
からカルボキシル末端数をひいたものはヒドロキシ末端
数とした。
【0013】PATの総末端基数は以下の式により計算
した。 分子量 Mn=(IV/(3.07×10-4))1/0.77 総末端基数(eq/T)=106/Mn×2 カルボキシル末端数の測定方法は`Determina
tion of Carboxyl End Grou
ps in a Polyester`,Polyet
hylen Terephthalate :Anal
Chem,26,1614;H,A.Pohl(米国
デュポン)の方法によった。
【0014】気体透過率は、JIS K7126のA法
(差圧法)に準じて、測定された値である。
【0015】本発明者らは、さらに検討を重ね、発泡シ
ートの気泡形状の違いにより、熱成形に大きく影響され
ると共に、成形品を加熱した後の寸法変化が異なる事も
また突き止めた。すなわち気泡の長方向と短方向の長さ
の比が異なる場合、加熱された際に長方向は収縮を起こ
し、一方で短方向は膨らみ、結果として気泡は球体に近
づこうとするため成形品の形状が変化するものである。
特に成形品の大半を占める底部は元の発泡シートの気泡
形状の影響が大きく、これが寸法変化を起こすと成形品
全体の形状を変えてしまうため発泡シートの気泡形状は
充分な留意が必要である。前述のように気体透過率が大
きな発泡剤を使用した場合でも気泡の長方向と短方向の
長さの比が4を超えると長方向は収縮する傾向があっ
た。従って気泡の長方向と短方向の長さの比は4以下に
抑える必要がある。気泡径の測定は、PAT発泡シート
の中心部を表面に沿ってスライスし、スライスされた断
面を、ビデオマイクロスコープを用いて撮影することに
よって行った。そして、10mm間に存在する長方向の
気泡を数え、この数で10mmを割ることにより長方向
の気泡の長さを求めた。短方向についても同様にして求
めた。
【0016】さらに発泡体の密度が0.7g/cm3以
上のものは容器をオーブン加熱直後に素手で取り出せる
ような断熱性および発泡体としての緩衝性が認められな
い。また0.1g/cm3以下のものは発泡体中に含ま
れる気体の量が増え、セル膜が薄くなるため加熱された
際に気泡中の気体が膨張しやすくなるため望ましくな
い。
【0017】本発明に用いることができるPATは、芳
香族ジカルボン酸に二価のアルコールを反応させて得ら
れた鎖状エステルであり、特に好ましいものはポリエチ
レンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等であ
る。本発明でこれらの樹脂は単独および相互に混合する
ことが可能である。このほかに結晶核剤、着色剤、帯電
防止剤、難燃剤等を加えることができる。前述のように
PATを発泡させるに当たって樹脂改質を行う必要があ
るが、PATと相溶性の悪い気体を発泡剤として用いて
押出発泡を行うと気泡が破れやすく、外観が悪いものし
かできないため溶融粘度改質を効率良く行う必要があ
る。
【0018】ここでは多官能化合物として酸無水物を2
つ以上持つ化合物あるいはエポキシ化合物および周期律
1、2、3族の金属化合物を混合する方法により樹脂改
質を行うのが良い。この際に酸無水物との反応を容易に
し、安定した押出発泡を行うためには、使用するPAT
中に含まれる総末端基の内ヒドロキシ末端基の比率が少
なくとも55%以上のPATが必要である。これらの樹
脂は乾燥機を用いて充分な除湿乾燥を行った後に押出機
を用いて溶融し、その溶融物に発泡剤を圧入することに
よりPAT中に発泡剤を含ませることができる。
【0019】本発明に用いることができる発泡剤はPA
Tに対する気体透過率が0.01cc・mm/cm2・
sec・cm・Hg・1010以上であるものとして空
気、窒素、炭酸ガスを用いるのが特に好ましい。
【0020】押出機先端に取り付けた口金から樹脂を低
圧側に押出して発泡シートをつくる際において、発泡体
の密度が0.7g/cm3以上のものは発泡体としての
断熱性、緩衝性が認められない。また0.1g/cm3
以下のものは発泡体中に含まれる気体の量が増え、セル
膜が薄くなるため加熱された際に気泡中の気体が膨張し
やすくなるため望ましくない。この密度の調整は注入す
る発泡剤の量により行われる。
【0021】このシートは成形を容易にする目的で口金
から出た後に直ちに急冷し結晶化度を15%以下とす
る。この発泡体を一定期間たった後にガラス転移点以
上、融点以下の温度に加熱し軟化させる。この軟化した
発泡体に140℃以上の成形用型を押し当てしばらく保
持し所定の形に成形する。このことにより発泡体の結晶
化度は上昇しさらに発泡する。この保持する時間を長く
すれば結晶化度および発泡倍率も増大するが、ある点で
それぞれ頭打ちとなる。耐熱性を保つためにはそれぞれ
が頭打ちとなる時間まで保持する必要がある。得られた
PAT発泡成形体は高温下で使用した場合、気泡中の体
積膨張分だけ膨らもうとし、気泡形状は球体に近づこう
とするが、気泡中には侵入空気だけしがないこと、セル
膜が充分な強度を持つこと、さらにはシート成形時にも
ともとの気泡の長方向と短方向の比が4倍以下に調整さ
れていることからもはや変形しないものとなる。
【0022】実施例 以下に実施例および比較例を挙げて本発明の優れている
ところを説明する。耐熱性の評価は、成形容器を240
℃の空気恒温層中で30分間加熱した後、常温まで自然
冷却し、その後の容器形状の長径と短径の比(長径/短
径×100(%))と容器の高さの変化で判定した。断
熱性の評価は、成形容器に20℃のサラダオイル100
ccを入れ電子レンジで3分間加熱後に容器を素手で取
り出せるかどうかで判定した。なお単に部というのは重
量部数の意味である。
【0023】実施例1 PATとしてポリエチレンテレフタレート(固有粘度
0.81、全末端基中のヒドロキシ末端基の比率68
%)を用い乾燥処理を行った後にPAT100重量部に
対して結晶核剤としてタルクを1.0部、溶融張力を高
める樹脂改質剤として無水ピロメリット酸0.3部およ
びこれの反応助剤として炭酸ナトリウムを0.1部を配
合しφ90mmの押出機に入れ溶融混練し、押出機途中
より窒素ガス(PATに対する気体透過率0.05cc
・mm/cm2・sec・cm・Hg・1010)樹脂1
Kgあたり0.6リットル(気体の標準状態に換算)の
割合で圧入し、一時間当たり140Kgの吐出量で押し
出した。押出機先端口金部には円環状のスリットを設
け、スリットの直径をφ135mmに、隙間を0.4m
mとした。 この口金の先端部にはφ410mmの冷却
用マンドレルを装着して冷却する事により円筒状の成形
体とした後、切り開き、一分間当たり6mの速さで引き
取り平坦なシートとした。このシートは微細な気泡、平
滑な外観を持ち、厚みが0.8mm、密度が0.375
g/cm3であり気泡の長方向が0.15mm、短方向
が0.12mm、長方向と短方向の長さの比が1.25
であった。このシートを2週間後にオーブン下で予備加
熱を140℃で20秒間行いシートを軟化させた後に1
80℃に加熱した型に8秒間挟んで成形した。その後同
じ形状の冷却された金型に8秒間挟んで冷却し第1図に
示す成形品を得た。得られた成形品の密度は0.25g
/cm3であった。この成形体は外径が93mm、高さ
が 40mmである。得られた成形品のコーナー部は
シャープな形状であった。このようにして得られた成形
体を240℃の条件下で30分間加熱しその後自然冷却
し寸法変化を調べたところ円形構造を保持したまま外径
91.6mmとなり高さは変わらなかった。従って充分
な耐熱性を持っていると認められた。これらの評価は表
1に示す。
【0024】実施例2 実施例1と同じシートについて押出直後に実施例1と同
じ条件で成形を行った。得られた成形体の密度は0.3
g/cm3であり寸法は実施例1と同じであった。得ら
れた成形品のコーナー部はシャープな形状であった。実
施例1と同じく240℃の条件で30分間加熱しその後
自然冷却して寸法変化を測定したところ円形構造を保持
したまま外径92.0mmとなり高さは変わらなかっ
た。従って充分な耐熱性を保持していると認められた。
これらの評価は、表1に示す。
【0025】実施例3 実施例1と同じ配合処方とし、空気(PATに対する気
体透過率0.1cc・mm/cm2・sec・cm・H
g・1010)を発泡剤として圧入した。得られたシート
は微細な気泡であり平滑な外観を持ち、厚み0.8m
m、密度0.375g/cm3であり、気泡の長方向の
長さが0.18mm、短方向の長さが0.16mm、長
方向と短方向の長さの比が1.13であった。実施例1
同様に押出後2週間経過した後に成形を行った。成形体
の密度は0.246g/cm3 であった。得られた成
形品のコーナー部はシャープな形状であった。実施例1
と同じく240℃の条件で30分間加熱しその後自然冷
却して寸法変化を測定したところ円形構造を保持したま
ま外径91.0mmとなり高さは変わらなかった。従っ
て充分な耐熱性を保持していると認められた。これらの
評価は、表1に示す。
【0026】実施例4 実施例3と全く同じシートについて押出直後に実施例1
と同じ条件で成形を行った。得られた成形体の密度は
0.298g/cm3であり寸法は実施例1と同じであ
った。得られた成形品のコーナー部はシャープな形状で
あった。実施例1と同じく240℃の条件で30分間加
熱しその後自然冷却して寸法変化を測定したところ円形
構造を保持したまま外径91.8mmとなり高さは変わ
らなかった。従って充分な耐熱性を保持していると認め
られた。これらの評価は、表1に示す。
【0027】実施例5 実施例1と同じ配合処方とし、炭酸ガス(PATに対す
る気体透過率1.0cc・mm/cm2・sec・cm
・Hg・1010)を発泡剤として圧入した。得られたシ
ートは微細な気泡であり平滑な外観を持ち、厚み0.8
mm、密度0.375g/cm3であり気泡の長方向の
長さが0.3mm、短方向の長さが0.15mm、長方
向と短方向の長さの比が2.0であった。実施例1同様
に押出後2週間経過した後に成形を行った。成形体の密
度は0.246g/cm3であった。 得られた成形品
のコーナー部はシャープな形状であった。実施例1と同
じく240℃の条件で30分間加熱しその後自然冷却し
て寸法変化を測定したところ円形構造を保持したまま外
径91.0mmとなり高さは変わらなかった。従って充
分な耐熱性を保持していると認められた。これらの評価
は、表1に示す。
【0028】実施例6 PATとしてポリエチレンテレフタレート(固有粘度
0.81、全末端基中のヒドロキシ末端基の比率68
%)を用い乾燥処理を行った後にPAT100重量部に
対して結晶核剤としてタルクを1.0部、樹脂改質剤と
してジグリシジルテレフタレート0.25部およびこれ
の反応助剤として炭酸ナトリウムを0.1部を配合し、
実施例1同様に窒素ガスを発泡剤として押出シート化し
た。得られたシートは微細な気泡であり平滑な外観を持
ち、厚み0.8mm、密度0.375g/cm3であ
り、気泡の長方向の長さが0.2mm、短方向の長さが
0.15mm、長方向と短方向の長さの比が1.33で
あった。実施例1同様に押出後2週間経過した後に成形
を行った。成形体の密度は0.300g/cm3であっ
た。得られた成形品のコーナー部はシャープな形状であ
った。実施例1と同じく240℃の条件で30分間加熱
しその後自然冷却して寸法変化を測定したところ円形構
造を保持したまま外径91.2mmとなり高さは変わら
なかった。従って充分な耐熱性を保持していると認めら
れた。これらの評価は、表1に示す。
【0029】実施例7 PATとしてポリエチレンテレフタレート(固有粘度
0.74、全末端基中のヒドロキシ末端基の比率57
%)を用い乾燥処理を行った後にPAT100重量部に
対して結晶核剤としてタルクを1.0部、樹脂改質剤と
して無水ピロメリット酸0.5部およびこれの反応助剤
として炭酸ナトリウムを0.1部を配合しφ90mmの
押出機に入れ溶融混練し、押出機途中より窒素ガスを樹
脂1Kgあたり0.6リットル(気体の標準状態に換
算)の割合で圧入し、一時間当たり140Kgの吐出量
で押し出した。以後、実施例1と同様に発泡シート化し
た。得られたシートは微細な気泡、平滑な外観を持ち、
厚みが0.8mm、密度が0.375g/cm3、気泡
の長方向の長さが0.22mm、反方向の0.21m
m、長方向と単方向の長さの比1.05であった。次に
実施例1同様に押出後2週間経過した後に成形を行っ
た。成形体の密度は0.280g/cm3であった。得
られた成形品のコーナー部はシャープな形状であった。
実施例1同様に240℃の条件下で30分間加熱して、
その後自然冷却して寸法を測定したところ円形構造を保
持したまま外径91.6mmとなり高さは変わらなかっ
た。従って充分な耐熱性を保持していると認められた。
これらの評価は、表1に示す。
【0030】実施例8 PATとしてポリエチレンテレフタレート(固有粘度
0.81、全末端基中のヒドロキシ末端基の比率68
%)を用い乾燥処理を行った後にPAT100重量部に
対して結晶核剤としてタルクを1.0部、溶融粘度改質
剤として無水ピロメリット酸0.5部およびこれの反応
助剤として炭酸ナトリウムを0.1部を配合しφ90m
mの押出機に入れ溶融混練し、押出機途中より窒素ガス
を樹脂1Kgあたり1.5リットル(気体の標準状態に
換算)の割合で圧入し、一時間当たり140Kgの吐出
量で押し出した。以後、実施例1と同様に発泡シート化
した。得られたシートは微細な気泡、平滑な外観を持
ち、厚みが1.6mm、密度が0.19g/cm3、気
泡の長方向の長さが0.22mm、反方向の0.16m
m、長方向と単方向の長さの比が1.38であった。次
に実施例1同様に押出後2週間経過した後に成形を行っ
た。成形体の密度は0.133g/cm3であった。得
られた成形品のコーナー部はシャープな形状であった。
実施例1同様に240℃の条件下で30分間加熱して、
その後自然冷却して寸法を測定したところ円形構造を保
持したまま外径92.0mmとなり高さは変わらなかっ
た。従って充分な耐熱性を保持していると認められた。
これらの評価は、表1に示す。
【0031】比較例1 発泡剤にブタン(PATに対する気体透過率0.005
cc・mm/cm2・sec・cm・Hg・1010未
満)を使用した以外は、実施例1と同様にしてシートを
得た。得られたシートはやや気泡が粗く厚み1.0m
m、密度0.300g/cm3であり気泡の長方向の長
さが0.5mm、短方向の長さが0.25mm、長方向
と短方向の長さの比が2.0であった。押出後1週間経
過した後に実施例1と同じ方法で成形を行った。成形品
の密度0.180g/cm3であった。得られた成形品
のコーナー部は元の成形型に比較して丸まっていた。実
施例1と同じ条件で寸法変化を測定したところ、容器の
高さは変わらなかったが、容器外径の円形構造は大きく
崩れ外径は長径94.0mm、短径90mmとなった。
容器外径の長径と短径の比は4.4%異なり、耐熱性が
劣ると認められた。これらの評価は、表1に示す。
【0032】比較例2 実施例1で得られたシートについて100℃の水蒸気雰
囲気下にて30秒間2次加熱処理した。この処理により
得られたシートは厚み3.2mm、密度0.094g/
cm3であった。得られた成形品のコーナー部は元の成
形型に比較して丸まっていた。これを実施例1と同じ方
法により成形を行ったところ密度0.085g/cm3
であった。実施例1と同じ条件で寸法変化を測定したと
ころ、容器の高さは変わらなかったが、容器外径の円形
構造はやや崩れ長径92.8mm、短径91.2mmと
なった。容器外径の長径と短径の比は1.7%異なり、
耐熱性が劣ると認められた。これらの評価は、表1に示
す。
【0033】比較例3 実施例1と同じ配合処方として、発泡剤として窒素ガス
を樹脂1Kgあたり0.9リットルの割合で圧入して1
時間当たり210Kgの割合で押し出した。金型先端部
にはφ170mmの円環状口金を取り付け、φ410m
mの冷却用のマンドレルを装着し円筒状に成形して、1
分間当たり9mの速さで引き取り、切り開くことにより
平坦なシートとした。得られたシートは微細気泡、平滑
な外観を持ち厚みが0.8mm密度が0.375g/c
m3でり気泡の長方向の長さが0.39mm、短方向の
長さが0.09mm、長方向と短方向の長さの比が4.
3であった。この長方向と短方向の長さの比が4.3で
あるシートを実施例1と同じ方法で成形を行った。成形
品の密度は0.25g/cm3であった。得られた成形
品のコーナー部はシャープな形状であった。実施例1と
同じ条件で寸法変化を測定したところ、容器は円形構造
が崩れ長径91.8mm、短径86.0mmとなり高さ
は38.0mmとなった。容器外径の長径と短径の比が
6.7%異なり、高さも元の高さと5.3%異なってい
たため耐熱性が劣ると認められた。これらの評価は、表
1に示す。
【0034】比較例4 比較例1と同じシートについて押出後1週間経過した後
に140℃ にて予備加熱を8秒行った後、180℃に
加熱された金型に60秒間押し当てその後同じ形の冷却
型に押し当て成形品を得た。成形品の密度0.163g
/cm3であった。得られた成形品のコーナー部は元の
成形型に比較して丸まっていた。実施例1と同じ条件で
寸法変化を測定したところ、容器外径の円形構造を保持
したまま外径92.0mmとなり高さは変わらなかっ
た。この方法によると充分な耐熱性を保持していること
が認められたが成形時間が長くかかるという欠点があ
る。これらの評価は、表1に示す。
【0035】比較例5 PATとして、(固有粘度0.67、全末端基中のヒド
ロキシ末端基の比率52%)であるポリエチレンテレフ
タレートを使用した以外は実施例1同様にしてシートを
得た。得られたシートの外観は気泡破れが多く表面平滑
性も悪く、厚み0.65mm、密度0.461g/cm
3、気泡の長方向の長さが0.2mm、短方向の長さが
0.15mm、長方向と短方向の長さの比は1.33で
あった。2週間経過した後に実施例1と同じ方法により
成形を行ったところ発泡にムラが生じ良好な成形品を得
ることができなかった。これらの評価は、表1に示す。
【0036】比較例6 樹脂改質剤としての無水ピロメリット酸を使用しなかっ
た以外は、PATとしてポリエチレンテレフタレート
(固有粘度0.81、全末端基中のヒドロキシ末端基の
比率68%)を用い乾燥処理を行った後に、PAT10
0重量部に対して結晶核剤としてタルクを1.0部配合
して実施例1同様に窒素ガスを発泡剤として押出シート
化しようとしたが発泡シート化できなかった。これらの
評価は、表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、PATに対する気体透
過率が0.01cc・mm/cm2・sec・cm・H
g・1010以上である気体を発泡剤として用い、シート
の気泡の長方向と短方向の長さの比が4以下に調整され
ているため、得られた発泡体に余分な発泡剤が一切残留
せず、所定の形に加熱成形した後に高温下で使用した場
合にも気泡が球体に近づこうとする傾向がなく、さらに
充分な厚みを持つセル膜により気泡中の気体が体積膨張
しようとする力を押さえ込むことができるため、この成
形品を高温下で使用しても変形しない。また熱成形性が
良く、成形時の発泡が少ないため成形型に忠実なシャー
プな形状の成形品を得ることができる。また、一次発泡
シートを水蒸気処理等の2次加熱することなくそのまま
成形することができる。このように、本発明は高温下で
使用しても変形を起こさずシャープな形状の成形品を簡
単に得ることができる発泡シートとして他に見られない
優れた性質を持つものである。
【0039】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シー
トを用いて成形した成形品の一実施例を示す斜視図であ
る。
【図2】図1の1部切欠断面図である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年7月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡
シート
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は熱可塑性ポリエステル
系樹脂発泡シートに関するものであり、更に詳しく述べ
ると、容器ごと高温で調理される食品容器や、高温下で
滅菌される医療用品、高温下で使用される工業部材等に
成形して用いるのに適した熱可塑性ポリエステル系樹脂
発泡シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性ポリエステル系樹脂(以下、こ
れをPATと略す)は、剛性、充分な結晶化処理を施す
ことによる耐熱性など他の樹脂には見られないような優
れた特徴を持つことが知られている。このPATを発泡
させて成形することにより発泡体をつくり軽量化、断熱
性といった機能を付加することが実用化されている。
【0003】従来のPAT発泡体で成形された容器に食
品を入れて容器ごと調理すると200℃程度までは良好
な耐熱性を示し、容器は変形しないが、200℃以上の
温度領域では著く変形するという欠点があった。パン、
ケーキ等を焼く際の温度の大半は200℃以上であるた
めこれらにPAT発泡体容器を使用することは適当では
なかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】特開平4−70321
号公報には、窒素ガス、炭酸ガス等の無機ガスを用い
て、気泡が均一で微細なPAT発泡シートの製法が開示
されているが、熱成形性については何等認識されていな
い。
【0005】特開平4−64430号公報において、無
機ガスで密度0.342g/cm 3 または0.41g/
cm 3 程度に一旦発泡させた後、これを水もしくは水蒸
気に接触させることにより高倍率の2次発泡シートと
し、これをさらに高温に加熱成形することによりレトル
ト処理においても変形しない耐熱性のある容器となされ
ている。ここで、レトルト処理とは、業界で使用される
用語であり水蒸気を接触させて殺菌消毒をすることを意
味している。実際にこの方法を用いてレトルト処理およ
び200℃以上の条件に耐えるかどうか調べたところレ
トルト処理には問題がなかったものの、200℃を超え
る条件下では変形が認められた。また水蒸気処理という
工程が一つ増えるので、工程が煩雑になるのに加えて成
形品のコストアップにつながるという欠点がある。
【0006】この発明の目的は、200℃を超える条件
下で変形しない耐熱性に優れた成形品を得ることができ
る熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シートを提供するも
のである。また、この発明の他の目的は、気泡の形状を
特定して成形性のよい熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡
シートを提供するものである。
【0007】
【問題解決のための手段】本発明は、上記の課題を解決
するためになされたものであって、その要旨は、総末端
基の内、ヒドロキシ末端基の比率が55%以上であるP
ATと、多官能化合物および、前記PATに対する気体
透過率が0.01cc・mm/cm 2 ・sec・cm・
Hg・10 10 以上である気体を発泡剤として含有したP
AT溶融混合物を低圧側に押出発泡させて得られる気泡
の長方向と短方向の長さの比が4以下であることを特徴
とする熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シートにある。
この発泡シートは成形性がよく、また、適切な条件下で
成形を行うことにより200℃を超える使用に耐える発
泡成形品を得ることができる。以下、本発明を更に詳し
く説明する。
【0008】PATは気体の種類により気体透過率が異
なることは知られている。また、PAT発泡体は押出機
を出た瞬間は気泡中の気体は発泡剤のみで占められ、時
間の経過とともに気泡中に元々存在する発泡剤と外部か
ら侵入する空気とが置換されてゆくのであるが、本発明
者らは、PAT発泡体をつくる際に一般的に用いられる
有機発泡剤の大部分は気体透過率がきわめて小さいた
め、なかなか置換されずに有機発泡剤が気泡中に長期間
残存するということがわかった。
【0009】発泡シートに外部から熱を加えると発泡剤
および侵入空気の体積膨張により発泡シートは膨らもう
とする。このことにより発泡シートは所定の形に成形す
る際により高倍の発泡成形品となる。しかし発泡する力
が残存した場合、膨らもうとする力は大きいため、成形
品はさらなる発泡により変型する。このことを避けるた
めに成形時に発泡を完了させる必要がある。気体透過率
が小さい有機発泡剤を使用し、これが気泡中に残存して
いる場合でも成形時に充分な加熱を行うことにより事に
より発泡を完了させることができるが、長時間の加熱が
必要なため実用的ではない。すなわち、成形時にすみや
かに発泡が完了する工夫が必要となる。従って用いるこ
とができる発泡剤はPATに対する気体透過率が大きな
ものであり、成形時に侵入空気とは別に気泡中に残存し
ないものが望ましい。ここで用いるにふさわしい発泡剤
はPAT樹脂に対する気体透過率は0.01cc・mm
/cm 2 ・sec・cm・Hg・10 10 以上であると考
えられる。この値以上のものであれば、高温下での使用
時に気泡中に発泡剤が残存せず、変形を起こさない。こ
の値より小さなものは気泡中に発泡剤が残存するため高
温下で気泡が膨張し成形品が変形を起こしてしまう。こ
の発泡剤は溶融混練した樹脂に注入しても良いし熱分解
により気体を発生する物であっても良い。
【0010】一方においてPATは発泡させにくい樹脂
として知られており、押出発泡を行うに当たり樹脂改質
を行い溶融張力を高める必要がある。また上記に示した
気体透過率の大きな発泡剤は概して樹脂との相溶性が悪
く、押出機先端口金部より樹脂が出た際の発泡速度が速
いため気泡膜の破れによる外観の悪化が生じやすく、シ
ート成形時に破断が生じやすいため安定して押出発泡を
行うのが困難であるため密度0.7g/cm 3 以上のご
く低倍率の発泡体しか得ることができない。従って、樹
脂改質を効果的に行い、さらに溶融張力を高める工夫が
必要である。
【0011】本発明者らは、多官能化合物を混合する方
法により樹脂改質を行う際に、多官能化合物として酸無
水物またはエポキシ化合物を使用し、PAT中に含まれ
る総末端機の内、ヒドロキシ末端基の比率が少なくとも
55%以上のものを使用すれば添加した多官能化合物と
反応した際に上述の相溶性の悪い発泡剤を使用しても充
分な溶融張力改善が認められることもまた見いだした。
用いることのできる多官能化合物の内、酸無水物として
は無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカル
ボン酸無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロト
リメリテート)、等があげることができ、エポキシ化合
物としてはジグリシジルテレフタレート、エチレングリ
コールジグリシジルエーテル、ジシクロペンタジエンジ
エポキシド等があげられる。またヒドロキシ末端基の数
が55%未満のものは上記の多官能化合物と反応しても
実用に耐えうる発泡体を得ることはできない。
【0012】PATに含まれているヒドロキシ末端基の
濃度は以下の方法により求めた。 ヒドロキシ末端濃度(%)=(PATの総末端基数−カ
ルボキシル末端数)/PATの総末端基数 PATの末端基はヒドロキシ末端とカルボキシル末端の
他にメチル末端を含む場合があるが量的に無視できる範
囲であるため、上記の式において、PATの総末端基数
からカルボキシル末端数をひいたものはヒドロキシ末端
数とした。
【0013】PATの総末端基数は以下の式により計算
した。 分子量 Mn=(IV/(3.07×10 -4 )) 1/0.77 総末端基数(eq/T)=10 6 /Mn×2 カルボキシル末端数の測定方法は`Determina
tion of Carboxyl End Grou
ps in a Polyester`,Polyet
hylen Terephthalate :Anal
Chem,26,1614;H,A.Pohl(米国
デュポン)の方法によった。
【0014】気体透過率は、JIS K7126のA法
(差圧法)に準じて、測定された値である。
【0015】本発明者らは、さらに検討を重ね、発泡シ
ートの気泡形状の違いにより、熱成形に大きく影響され
ると共に、成形品を加熱した後の寸法変化が異なる事も
また突き止めた。すなわち気泡の長方向と短方向の長さ
の比が異なる場合、加熱された際に長方向は収縮を起こ
し、一方で短方向は膨らみ、結果として気泡は球体に近
づこうとするため成形品の形状が変化するものである。
特に成形品の大半を占める底部は元の発泡シートの気泡
形状の影響が大きく、これが寸法変化を起こすと成形品
全体の形状を変えてしまうため発泡シートの気泡形状は
充分な留意が必要である。前述のように気体透過率が大
きな発泡剤を使用した場合でも気泡の長方向と短方向の
長さの比が4を超えると長方向は収縮する傾向があっ
た。従って気泡の長方向と短方向の長さの比は4以下に
抑える必要がある。気泡径の測定は、PAT発泡シート
の中心部を表面に沿ってスライスし、スライスされた断
面を、ビデオマイクロスコープを用いて撮影することに
よって行った。そして、10mm間に存在する長方向の
気泡を数え、この数で10mmを割ることにより長方向
の気泡の長さを求めた。短方向についても同様にして求
めた。
【0016】さらに発泡体の密度が0.7g/cm 3
上のものは容器をオーブン加熱直後に素手で取り出せる
ような断熱性および発泡体としての緩衝性が認められな
い。また0.1g/cm 3 以下のものは発泡体中に含ま
れる気体の量が増え、セル膜が薄くなるため加熱された
際に気泡中の気体が膨張しやすくなるため望ましくな
い。
【0017】本発明に用いることができるPATは、芳
香族ジカルボン酸に二価のアルコールを反応させて得ら
れた鎖状エステルであり、特に好ましいものはポリエチ
レンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等であ
る。本発明でこれらの樹脂は単独および相互に混合する
ことが可能である。このほかに結晶核剤、着色剤、帯電
防止剤、難燃剤等を加えることができる。前述のように
PATを発泡させるに当たって樹脂改質を行う必要があ
るが、PATと相溶性の悪い気体を発泡剤として用いて
押出発泡を行うと気泡が破れやすく、外観が悪いものし
かできないため溶融粘度改質を効率良く行う必要があ
る。
【0018】ここでは多官能化合物として酸無水物を2
つ以上持つ化合物あるいはエポキシ化合物および周期律
1、2、3族の金属化合物を混合する方法により樹脂改
質を行うのが良い。この際に酸無水物との反応を容易に
し、安定した押出発泡を行うためには、使用するPAT
中に含まれる総末端基の内ヒドロキシ末端基の比率が少
なくとも55%以上のPATが必要である。これらの樹
脂は乾燥機を用いて充分な除湿乾燥を行った後に押出機
を用いて溶融し、その溶融物に発泡剤を圧入することに
よりPAT中に発泡剤を含ませることができる。
【0019】本発明に用いることができる発泡剤はPA
Tに対する気体透過率が0.01cc・mm/cm 2
sec・cm・Hg・10 10 以上であるものとして空
気、窒素、炭酸ガスを用いるのが特に好ましい。
【0020】押出機先端に取り付けた口金から樹脂を低
圧側に押出して発泡シートをつくる際において、発泡体
の密度が0.7g/cm 3 以上のものは発泡体としての
断熱性、緩衝性が認められない。また0.1g/cm 3
以下のものは発泡体中に含まれる気体の量が増え、セル
膜が薄くなるため加熱された際に気泡中の気体が膨張し
やすくなるため望ましくない。この密度の調整は注入す
る発泡剤の量により行われる。
【0021】このシートは成形を容易にする目的で口金
から出た後に直ちに急冷し結晶化度を15%以下とす
る。この発泡体を一定期間たった後にガラス転移点以
上、融点以下の温度に加熱し軟化させる。この軟化した
発泡体に140℃以上の成形用型を押し当てしばらく保
持し所定の形に成形する。このことにより発泡体の結晶
化度は上昇しさらに発泡する。この保持する時間を長く
すれば結晶化度および発泡倍率も増大するが、ある点で
それぞれ頭打ちとなる。耐熱性を保つためにはそれぞれ
が頭打ちとなる時間まで保持する必要がある。得られた
PAT発泡成形体は高温下で使用した場合、気泡中の体
積膨張分だけ膨らもうとし、気泡形状は球体に近づこう
とするが、気泡中には侵入空気だけしがないこと、セル
膜が充分な強度を持つこと、さらにはシート成形時にも
ともとの気泡の長方向と短方向の比が4倍以下に調整さ
れていることからもはや変形しないものとなる。
【0022】実施例 以下に実施例および比較例を挙げて本発明の優れている
ところを説明する。耐熱性の評価は、成形容器を240
℃の空気恒温層中で30分間加熱した後、常温まで自然
冷却し、その後の容器形状の長径と短径の比(長径/短
径×100(%))と容器の高さの変化で判定した。断
熱性の評価は、成形容器に20℃のサラダオイル100
ccを入れ電子レンジで3分間加熱後に容器を素手で取
り出せるかどうかで判定した。なお単に部というのは重
量部数の意味である。
【0023】実施例1 PATとしてポリエチレンテレフタレート(固有粘度
0.81、全末端基中のヒドロキシ末端基の比率68
%)を用い乾燥処理を行った後にPAT100重量部に
対して結晶核剤としてタルクを1.0部、溶融張力を高
める樹脂改質剤として無水ピロメリット酸0.3部およ
びこれの反応助剤として炭酸ナトリウムを0.1部を配
合しφ90mmの押出機に入れ溶融混練し、押出機途中
より窒素ガス(PATに対する気体透過率0.05cc
・mm/cm 2 ・sec・cm・Hg・10 10 )樹脂1
Kgあたり0.6リットル(気体の標準状態に換算)の
割合で圧入し、一時間当たり140Kgの吐出量で押し
出した。押出機先端口金部には円環状のスリットを設
け、スリットの直径をφ135mmに、隙間を0.4m
mとした。 この口金の先端部にはφ410mmの冷却
用マンドレルを装着して冷却する事により円筒状の成形
体とした後、切り開き、一分間当たり6mの速さで引き
取り平坦なシートとした。このシートは微細な気泡、平
滑な外観を持ち、厚みが0.8mm、密度が0.375
g/cm 3 であり気泡の長方向が0.15mm、短方向
が0.12mm、長方向と短方向の長さの比が1.25
であった。このシートを2週間後にオーブン下で予備加
熱を140℃で20秒間行いシートを軟化させた後に1
80℃に加熱した型に8秒間挟んで成形した。その後同
じ形状の冷却された金型に8秒間挟んで冷却し第1図に
示す成形品を得た。得られた成形品の密度は0.25g
/cm 3 であった。この成形体は外径が93mm、高さ
が40mmである。得られた成形品のコーナー部はシャ
ープな形状であった。このようにして得られた成形体を
240℃の条件下で30分間加熱しその後自然冷却し寸
法変化を調べたところ円形構造を保持したまま外径9
1.6mmとなり高さは変わらなかった。従って充分な
耐熱性を持っていると認められた。これらの評価は表1
に示す。
【0024】実施例2 実施例1と同じシートについて押出直後に実施例1と同
じ条件で成形を行った。得られた成形体の密度は0.3
g/cm 3 であり寸法は実施例1と同じであった。得ら
れた成形品のコーナー部はシャープな形状であった。実
施例1と同じく240℃の条件で30分間加熱しその後
自然冷却して寸法変化を測定したところ円形構造を保持
したまま外径92.0mmとなり高さは変わらなかっ
た。従って充分な耐熱性を保持していると認められた。
これらの評価は、表1に示す。
【0025】実施例3 実施例1と同じ配合処方とし、空気(PATに対する気
体透過率0.1cc・mm/cm 2 ・sec・cm・H
g・10 10 )を発泡剤として圧入した。得られたシート
は微細な気泡であり平滑な外観を持ち、厚み0.8m
m、密度0.375g/cm 3 であり、気泡の長方向の
長さが0.18mm、短方向の長さが0.16mm、長
方向と短方向の長さの比が1.13であった。実施例1
同様に押出後2週間経過した後に成形を行った。成形体
の密度は0.246g/cm 3 であった。得られた成形
品のコーナー部はシャープな形状であった。実施例1と
同じく240℃の条件で30分間加熱しその後自然冷却
して寸法変化を測定したところ円形構造を保持したまま
外径91.0mmとなり高さは変わらなかった。従って
充分な耐熱性を保持していると認められた。これらの評
価は、表1に示す。
【0026】実施例4 実施例3と全く同じシートについて押出直後に実施例1
と同じ条件で成形を行った。得られた成形体の密度は
0.298g/cm 3 であり寸法は実施例1と同じであ
った。得られた成形品のコーナー部はシャープな形状で
あった。実施例1と同じく240℃の条件で30分間加
熱しその後自然冷却して寸法変化を測定したところ円形
構造を保持したまま外径91.8mmとなり高さは変わ
らなかった。従って充分な耐熱性を保持していると認め
られた。これらの評価は、表1に示す。
【0027】実施例5 実施例1と同じ配合処方とし、炭酸ガス(PATに対す
る気体透過率1.0cc・mm/cm 2 ・sec・cm
・Hg・10 10 )を発泡剤として圧入した。得られたシ
ートは微細な気泡であり平滑な外観を持ち、厚み0.8
mm、密度0.375g/cm 3 であり気泡の長方向の
長さが0.3mm、短方向の長さが0.15mm、長方
向と短方向の長さの比が2.0であった。実施例1同様
に押出後2週間経過した後に成形を行った。成形体の密
度は0.246g/cm 3 であった。得られた成形品の
コーナー部はシャープな形状であった。実施例1と同じ
く240℃の条件で30分間加熱しその後自然冷却して
寸法変化を測定したところ円形構造を保持したまま外径
91.0mmとなり高さは変わらなかった。従って充分
な耐熱性を保持していると認められた。これらの評価
は、表1に示す。
【0028】実施例6 PATとしてポリエチレンテレフタレート(固有粘度
0.81、全末端基中のヒドロキシ末端基の比率68
%)を用い乾燥処理を行った後にPAT100重量部に
対して結晶核剤としてタルクを1.0部、樹脂改質剤と
してジグリシジルテレフタレート0.25部およびこれ
の反応助剤として炭酸ナトリウムを0.1部を配合し、
実施例1同様に窒素ガスを発泡剤として押出シート化し
た。得られたシートは微細な気泡であり平滑な外観を持
ち、厚み0.8mm、密度0.375g/cm 3 であ
り、気泡の長方向の長さが0.2mm、短方向の長さが
0.15mm、長方向と短方向の長さの比が1.33で
あった。実施例1同様に押出後2週間経過した後に成形
を行った。成形体の密度は0.300g/cm 3 であっ
た。得られた成形品のコーナー部はシャープな形状であ
った。実施例1と同じく240℃の条件で30分間加熱
しその後自然冷却して寸法変化を測定したところ円形構
造を保持したまま外径91.2mmとなり高さは変わら
なかった。従って充分な耐熱性を保持していると認めら
れた。これらの評価は、表1に示す。
【0029】実施例7 PATとしてポリエチレンテレフタレート(固有粘度
0.74、全末端基中のヒドロキシ末端基の比率57
%)を用い乾燥処理を行った後にPAT100重量部に
対して結晶核剤としてタルクを1.0部、樹脂改質剤と
して無水ピロメリット酸0.5部およびこれの反応助剤
として炭酸ナトリウムを0.1部を配合しφ90mmの
押出機に入れ溶融混練し、押出機途中より窒素ガスを樹
脂1Kgあたり0.6リットル(気体の標準状態に換
算)の割合で圧入し、一時間当たり140Kgの吐出量
で押し出した。以後、実施例1と同様に発泡シート化し
た。得られたシートは微細な気泡、平滑な外観を持ち、
厚みが0.8mm、密度が0.375g/cm 3 、気泡
の長方向の長さが0.22mm、反方向の0.21m
m、長方向と単方向の長さの比1.05であった。次に
実施例1同様に押出後2週間経過した後に成形を行っ
た。成形体の密度は0.280g/cm 3 であった。得
られた成形品のコーナー部はシャープな形状であった。
実施例1同様に240℃の条件下で30分間加熱して、
その後自然冷却して寸法を測定したところ円形構造を保
持したまま外径91.6mmとなり高さは変わらなかっ
た。従って充分な耐熱性を保持していると認められた。
これらの評価は、表1に示す。
【0030】実施例8 PATとしてポリエチレンテレフタレート(固有粘度
0.81、全末端基中のヒドロキシ末端基の比率68
%)を用い乾燥処理を行った後にPAT100重量部に
対して結晶核剤としてタルクを1.0部、溶融粘度改質
剤として無水ピロメリット酸0.5部およびこれの反応
助剤として炭酸ナトリウムを0.1部を配合しφ90m
mの押出機に入れ溶融混練し、押出機途中より窒素ガス
を樹脂1Kgあたり1.5リットル(気体の標準状態に
換算)の割合で圧入し、一時間当たり140Kgの吐出
量で押し出した。以後、実施例1と同様に発泡シート化
した。得られたシートは微細な気泡、平滑な外観を持
ち、厚みが1.6mm、密度が0.19g/cm 3 、気
泡の長方向の長さが0.22mm、反方向の0.16m
m、長方向と単方向の長さの比が1.38であった。次
に実施例1同様に押出後2週間経過した後に成形を行っ
た。成形体の密度は0.133g/cm 3 であった。得
られた成形品のコーナー部はシャープな形状であった。
実施例1同様に240℃の条件下で30分間加熱して、
その後自然冷却して寸法を測定したところ円形構造を保
持したまま外径92.0mmとなり高さは変わらなかっ
た。従って充分な耐熱性を保持していると認められた。
これらの評価は、表1に示す。
【0031】比較例1 発泡剤にブタン(PATに対する気体透過率0.005
cc・mm/cm 2 ・sec・cm・Hg・10 10
満)を使用した以外は、実施例1と同様にしてシートを
得た。得られたシートはやや気泡が粗く厚み1.0m
m、密度0.300g/cm 3 であり気泡の長方向の長
さが0.5mm、短方向の長さが0.25mm、長方向
と短方向の長さの比が2.0であった。押出後1週間経
過した後に実施例1と同じ方法で成形を行った。成形品
の密度0.180g/cm 3 であった。得られた成形品
のコーナー部は元の成形型に比較して丸まっていた。実
施例1と同じ条件で寸法変化を測定したところ、容器の
高さは変わらなかったが、容器外径の円形構造は大きく
崩れ外径は長径94.0mm、短径90mmとなった。
容器外径の長径と短径の比は4.4%異なり、耐熱性が
劣ると認められた。これらの評価は、表1に示す。
【0032】比較例2 実施例1で得られたシートについて100℃の水蒸気雰
囲気下にて30秒間2次加熱処理した。この処理により
得られたシートは厚み3.2mm、密度0.094g/
cm 3 であった。得られた成形品のコーナー部は元の成
形型に比較して丸まっていた。これを実施例1と同じ方
法により成形を行ったところ密度0.085g/cm 3
であった。実施例1と同じ条件で寸法変化を測定したと
ころ、容器の高さは変わらなかったが、容器外径の円形
構造はやや崩れ長径92.8mm、短径91.2mmと
なった。容器外径の長径と短径の比は1.7%異なり、
耐熱性が劣ると認められた。これらの評価は、表1に示
す。
【0033】比較例3 実施例1と同じ配合処方として、発泡剤として窒素ガス
を樹脂1Kgあたり0.9リットルの割合で圧入して1
時間当たり210Kgの割合で押し出した。金型先端部
にはφ170mmの円環状口金を取り付け、φ410m
mの冷却用のマンドレルを装着し円筒状に成形して、1
分間当たり9mの速さで引き取り、切り開くことにより
平坦なシートとした。得られたシートは微細気泡、平滑
な外観を持ち厚みが0.8mm密度が0.375g/c
3 でり気泡の長方向の長さが0.39mm、短方向の
長さが0.09mm、長方向と短方向の長さの比が4.
3であった。この長方向と短方向の長さの比が4.3で
あるシートを実施例1と同じ方法で成形を行った。成形
品の密度は0.25g/cm 3 であった。得られた成形
品のコーナー部はシャープな形状であった。実施例1と
同じ条件で寸法変化を測定したところ、容器は円形構造
が崩れ長径91.8mm、短径86.0mmとなり高さ
は38.0mmとなった。容器外径の長径と短径の比が
6.7%異なり、高さも元の高さと5.3%異なってい
たため耐熱性が劣ると認められた。これらの評価は、表
1に示す。
【0034】比較例4 比較例1と同じシートについて押出後1週間経過した後
に140℃ にて予備加熱を8秒行った後、180℃に
加熱された金型に60秒間押し当てその後同じ形の冷却
型に押し当て成形品を得た。成形品の密度0.163g
/cm 3 であった。得られた成形品のコーナー部は元の
成形型に比較して丸まっていた。実施例1と同じ条件で
寸法変化を測定したところ、容器外径の円形構造を保持
したまま外径92.0mmとなり高さは変わらなかっ
た。この方法によると充分な耐熱性を保持していること
が認められたが成形時間が長くかかるという欠点があ
る。これらの評価は、表1に示す。
【0035】比較例5 PATとして、(固有粘度0.67、全末端基中のヒド
ロキシ末端基の比率52%)であるポリエチレンテレフ
タレートを使用した以外は実施例1同様にしてシートを
得た。得られたシートの外観は気泡破れが多く表面平滑
性も悪く、厚み0.65mm、密度0.461g/cm
3 、気泡の長方向の長さが0.2mm、短方向の長さが
0.15mm、長方向と短方向の長さの比は1.33で
あった。2週間経過した後に実施例1と同じ方法により
成形を行ったところ発泡にムラが生じ良好な成形品を得
ることができなかった。これらの評価は、表1に示す。
【0036】比較例6 樹脂改質剤としての無水ピロメリット酸を使用しなかっ
た以外は、PATとしてポリエチレンテレフタレート
(固有粘度0.81、全末端基中のヒドロキシ末端基の
比率68%)を用い乾燥処理を行った後に、PAT10
0重量部に対して結晶核剤としてタルクを1.0部配合
して実施例1同様に窒素ガスを発泡剤として押出シート
化しようとしたが発泡シート化できなかった。これらの
評価は、表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、PATに対する気体透
過率が0.01cc・mm/cm 2 ・sec・cm・H
g・10 10 以上である気体を発泡剤として用い、シート
の気泡の長方向と短方向の長さの比が4以下に調整され
ているため、得られた発泡体に余分な発泡剤が一切残留
せず、所定の形に加熱成形した後に高温下で使用した場
合にも気泡が球体に近づこうとする傾向がなく、さらに
充分な厚みを持つセル膜により気泡中の気体が体積膨張
しようとする力を押さえ込むことができるため、この成
形品を高温下で使用しても変形しない。また熱成形性が
良く、成形時の発泡が少ないため成形型に忠実なシャー
プな形状の成形品を得ることができる。また、一次発泡
シートを水蒸気処理等の2次加熱することなくそのまま
成形することができる。このように、本発明は高温下で
使用しても変形を起こさずシャープな形状の成形品を簡
単に得ることができる発泡シートとして他に見られない
優れた性質を持つものである。
【0039】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シー
トを用いて成形した成形品の一実施例を示す斜視図であ
る。
【図2】図1の1部切欠断面図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】総末端基の内、ヒドロキシ末端基の比率が
    55%以上である熱可塑性ポリエステル系樹脂と、多官
    能化合物および、前記熱可塑性ポリエステル系樹脂に対
    する気体透過率が0.01cc・mm/cm2・sec
    ・cm・Hg・1010以上である気体を発泡剤として含
    有した熱可塑性ポリエステル系樹脂溶融混合物を低圧側
    に押出発泡させて得られる気泡の長方向と短方向の長さ
    の比が1〜4であることを特徴とする熱可塑性ポリエス
    テル系樹脂発泡シート。
  2. 【請求項2】密度が0.1〜0.7g/cm3である請
    求項1記載の熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シート
  3. 【請求項3】多官能化合物が酸無水物またはエポキシ化
    合物である請求項1記載の熱可塑性ポリエステル系樹脂
    発泡シート。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014043528A (ja) * 2012-08-28 2014-03-13 Sekisui Plastics Co Ltd 熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡粒子及びこの製造方法、発泡成形体並びに複合成形体
CN109195882A (zh) * 2016-09-30 2019-01-11 株式会社 Huvis 具有减少的有害物质洗脱的食品容器

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