JP6864775B1 - 熱可塑性樹脂発泡シート、熱可塑性樹脂発泡シート成形体及びこれらの製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂発泡シート、熱可塑性樹脂発泡シート成形体及びこれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】従来技術では、加熱した後の容器が軟弱になり、取り扱いにくいという事情を鑑み、耐熱強度に優れる熱可塑性樹脂シートを提供する。【解決手段】シート状の熱可塑性樹脂発泡体の層を有し、前記熱可塑性樹脂発泡体は、熱可塑性樹脂を含み、前記熱可塑性樹脂は、ポリエステル系樹脂とポリイミド系樹脂とを含み、ガラス転移温度が単一であることよりなる。前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度は80〜130℃が好ましく、加熱速度10℃/分における熱流束示差走査熱量測定によって求められる吸熱量と発熱量との差の絶対値が3〜35J/gであることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、熱可塑性樹脂発泡シート、熱可塑性樹脂発泡シート成形体及びこれらの製造方法に関する。
従来、ポリスチレン系樹脂等の熱可塑性樹脂を発泡させた樹脂発泡シート及びその成形体は、軽量で断熱性が高いという特徴から、食品容器等に用いられている。
コンビニエンスストア、スーパーマーケット等の小売店で調理済食品を購入し、これを家庭等で喫食する中食市場が拡大している。中食市場において、電子レンジでの加熱調理に対応できる食品容器が求められている。加熱調理に対応する食品容器には、電子レンジ等での加熱時に変形しにくいこと(加熱寸法安定性に優れる)、加熱した後に軟弱にならず容易に取り扱えること(耐熱強度に優れる)が求められる。
例えば、特許文献1には、低結晶化度の発泡ポリエチレンテレフタレート(PET)シートに予備加熱を施して発泡PETシートを軟化し、次いで結晶化を促進する温度以上の金型で成形する発泡PETシートの成形方法が提案されている。特許文献1の発明によれば、結晶化を促進する温度以上で発泡PETシートを加熱することで、PETを結晶化して、加熱寸法安定性の向上を図っている。しかし、特許文献1の発明は、結晶化を促進するための工程(ヒートセット工程)を要するため、成形時間が長くなる。また、特許文献1の発明は、結晶化を促進するための温度まで加熱できる装置を要するため、新たな設備投資を要する等の問題を有する。
こうした問題に対して、特許文献2には、結晶性ポリエステル系樹脂と、特定のガラス転移温度Tgの非晶性ポリエステル系樹脂とを特定の割合で含有する熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シートが提案されている。特許文献2の発明によれば、ヒートセット工程を要することなく、優れた加熱寸法安定性の容器を得られる。
特開平3−239527号公報 特開2014−028920号公報
しかしながら、特許文献2の発明は、耐熱強度が低い。このため、加熱した後の容器が軟弱になり、取り扱いにくい。
そこで、本発明は、耐熱強度に優れる熱可塑性樹脂発泡体を提供することを目的とする。
本発明者らが鋭意検討した結果、結晶性ポリエステル系樹脂と非晶性ポリエステル系樹脂との混合物は充分に相溶していないため、2種のポリエステル系樹脂の内の低い方のガラス転移温度に達すると、軟化して変形を生じるとの知見を得た。この知見を基に、相溶性の高い2種の樹脂を含ませることで、耐熱強度を高められることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の態様を有する。
<1>
シート状の熱可塑性樹脂発泡体の層を有し、
前記熱可塑性樹脂発泡体は、熱可塑性樹脂を含み、
前記熱可塑性樹脂は、ポリエステル系樹脂とポリイミド系樹脂とを含み、
前記熱可塑性樹脂発泡体のガラス転移温度Tgが単一である、熱可塑性樹脂発泡シート。
<2>
前記ガラス転移温度Tgは、80〜130℃である、<1>に記載の熱可塑性樹脂発泡シート。
<3>
前記熱可塑性樹脂発泡体は、加熱速度10℃/分における熱流束示差走査熱量測定によって求められる吸熱量と発熱量との差の絶対値が3〜35J/gである、<1>又は<2>に記載の熱可塑性樹脂発泡シート。
<4>
前記熱可塑性樹脂の総質量に対する前記ポリエステル系樹脂の含有割合は、40〜95質量%であり、
前記熱可塑性樹脂の総質量に対する前記ポリイミド系樹脂の含有割合は、5〜60質量%である、
<1>〜<3>のいずれかに記載の熱可塑性樹脂発泡シート。
<5>
前記熱可塑性樹脂発泡体は、加熱速度5℃/分、周波数1Hzでの固体粘弾性測定における前記ガラス転移温度Tgと前記ガラス転移温度Tg+20℃との間の貯蔵弾性率E’の指数近似式の傾きが−0.18〜−0.025である、<1>〜<4>のいずれかに記載の熱可塑性樹脂発泡シート。
<6>
前記ポリイミド系樹脂がポリエーテルイミド系樹脂である、<1>〜<5>のいずれかに記載の熱可塑性樹脂発泡シート。
<7>
前記ポリエステル系樹脂が、植物由来のポリエステル系樹脂を含む、<1>〜<6>のいずれかに記載の熱可塑性樹脂発泡シート。
<8>
前記熱可塑性樹脂が、リサイクル原料を含む、<1>〜<7>のいずれかに記載の熱可塑性樹脂発泡シート。
<9>
前記熱可塑性樹脂と発泡剤とを含む熱可塑性樹脂組成物を押し出し、発泡して、前記シート状の熱可塑性樹脂発泡体の層を得る工程を有する、<1>〜<8>のいずれかに記載の熱可塑性樹脂発泡シートの製造方法。
<10>
前記熱可塑性樹脂組成物は、架橋剤をさらに含む、<9>に記載の熱可塑性樹脂発泡シートの製造方法。
<11>
シート状の熱可塑性樹脂発泡体の層を有し、
前記熱可塑性樹脂発泡体は、熱可塑性樹脂を含み、
前記熱可塑性樹脂は、ポリエステル系樹脂とポリイミド系樹脂とを含み、
前記熱可塑性樹脂発泡体のガラス転移温度Tgが単一である、熱可塑性樹脂発泡シート成形体。
<12>
前記ガラス転移温度Tgは、80〜130℃以下である、<11>に記載の熱可塑性樹脂発泡シート成形体。
<13>
前記熱可塑性樹脂発泡体は、加熱速度10℃/分における熱流束示差走査熱量測定によって求められる吸熱量と発熱量との差の絶対値は、3〜35J/gである、<11>又は<12>に記載の熱可塑性樹脂発泡シート成形体。
<14>
前記熱可塑性樹脂の総質量に対する前記ポリエステル系樹脂の含有割合は、40〜95質量%であり、
前記熱可塑性樹脂の総質量に対する前記ポリイミド系樹脂の含有割合は、5〜60質量%である、
<11>〜<13>のいずれかに記載の熱可塑性樹脂発泡シート成形体。
<15>
前記熱可塑性樹脂発泡体は、加熱速度5℃/分、周波数1Hzでの固体粘弾性測定における前記ガラス転移温度Tgと前記ガラス転移温度Tg+20℃との間の貯蔵弾性率E’の指数近似式の傾きが−0.18〜−0.025である、<11>〜<14>のいずれかに記載の熱可塑性樹脂発泡シート成形体。
<16>
前記ポリイミド系樹脂がポリエーテルイミド系樹脂である、<11>〜<15>のいずれかに記載の熱可塑性樹脂発泡シート成形体。
<17>
前記ポリエステル系樹脂が、植物由来のポリエステル系樹脂を含む、<11>〜<16>のいずれかに記載の熱可塑性樹脂発泡シート成形体。
<18>
前記熱可塑性樹脂が、リサイクル原料を含む、<11>〜<17>のいずれかに記載の熱可塑性樹脂発泡シート成形体。
<19>
食品包装容器である、<11>〜<18>のいずれかに記載の熱可塑性樹脂発泡シート成形体。
<20>
電子レンジ加熱対応容器である、<11>〜<19>のいずれかに記載の熱可塑性樹脂発泡シート成形体。
<21>
<1>〜<8>のいずれかに記載の熱可塑性樹脂発泡シートを成形する工程と、前記熱可塑性樹脂発泡シートを成形して熱可塑性樹脂発泡シート成形体を得る工程とを有する、熱可塑性樹脂発泡シート成形体の製造方法。
本発明の熱可塑性樹脂発泡体によれば、耐熱強度の向上を図れる。
第一の実施形態に係る熱可塑性樹脂発泡体の一例を示す断面図である。 植物由来のポリエステル系樹脂の製造工程の一例を示すフロー図である。 植物由来のポリエステル系樹脂の製造工程の一例を示すフロー図である。 植物由来のポリエステル系樹脂の製造工程の一例を示すフロー図である。 第一の実施形態に係る熱可塑性樹脂発泡体の製造装置の一例を示す模式図である。 第一の実施形態に係る熱可塑性樹脂発泡成形体の斜視図である。 熱可塑性樹脂発泡成形体の製造装置の一例を示す模式図である。 実施例12の貯蔵弾性率E’の測定結果を示すグラフである。 比較例1の貯蔵弾性率E’の測定結果を示すグラフである。 実施例12のDSC曲線である。
本稿において、「〜」はその両端の値を下限値及び上限値として含む範囲を表す。
本発明の熱可塑性樹脂発泡体(以下、単に「発泡体」ということがある)は、熱可塑性樹脂と発泡剤とを含む熱可塑性樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」ということがある)を発泡してなる。発泡体の形態は、シート状でもよいし、ロッド状でもよいし、粒子状でもよい。発泡体の表面の一部又は全部には、樹脂の非発泡層が設けられていてもよい。
例えば、シート状の発泡体は、発泡体の発泡層のみからなる単層構造のシートのままでもよいし、その片面又は両面に非発泡層が設けられて熱可塑性樹脂積層発泡シート(以下、単に「積層発泡シート」ということがある)とされてもよい。以下、シート状の発泡体の発泡層のみからなる単層構造のシート、及びこれを含む積層発泡シートを総じて「熱可塑性樹脂発泡シート」(発泡シート)ということがある。なお、発泡層のみからなる単層構造には、1層の発泡層で構成された発泡シート、及び2層以上の発泡層のみで構成された発泡シートが含まれる。
以下、本発明の実施形態を挙げて、本発明を説明する。
(第一の実施形態)
本発明の第一の実施形態に係る発泡体について説明する。本実施形態の発泡体は、シート状の発泡体(発泡シート)である。
図1の発泡シート2は、熱可塑性樹脂発泡成形体(単に、「樹脂発泡成形体」ということがある)の原反、又は平板状の緩衝材等に用いられる。樹脂発泡成形体としては、例えば、熱成形体、圧空成形体、深絞成形体等の容器等が挙げられる。
図1は、本実施形態の発泡シート2の断面図である。発泡シート2は、1層の発泡層22で構成されている。
発泡シート2の厚さTは、用途を勘案して決定できる。例えば、発泡シート2が容器成形用であれば、厚さTは、0.3〜5.0mmが好ましく、0.4〜3.0mmがより好ましく、0.5〜2.5mmがさらに好ましい。厚さTが上記下限値以上であると、容器の耐衝撃性、剛性を高められる。厚さTが上記上限値以下であると、発泡シート2の成形性を高められる。
発泡層22は、熱可塑性樹脂組成物を発泡してなる層である。
熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂と発泡剤とを有する。熱可塑性樹脂組成物を発泡してなる発泡層22は、熱可塑性樹脂で形成されたマトリクス内に、2以上の気泡を有する。
<熱可塑性樹脂>
発泡層22の熱可塑性樹脂は、ポリエステル系樹脂とポリイミド系樹脂とを含む。ポリエステル系樹脂とポリイミド系樹脂との双方を含むことで、本発明の発泡シート2は、耐熱強度を高められる。
≪ポリエステル系樹脂≫
ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)、ポリエチレンフラノエート樹脂(PEF)、ポリブチレンナフタレート樹脂(PBN)、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂(PTT)、テレフタル酸とエチレングリコールとシクロヘキサンジメタノールの共重合体及びこれらの混合物等が挙げられる。ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂が好ましく、結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂(C−PET)がより好ましい。C−PETは、酸成分がテレフタル酸であり、グリコール成分がエチレングリコールであるポリエステル系樹脂である。
ポリエステル系樹脂は、石油化学品由来のポリエステル系樹脂でもよいし、いわゆるバイオPET等の植物由来のポリエステル系樹脂でもよいし、これらの混合物でもよい。
植物由来のポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、植物由来のポリエチレンフラノエート樹脂、植物由来のポリトリメチレンテレフタレート樹脂等が挙げられる。
また、ポリエステル系樹脂は、リサイクル原料でもよい。
これらのポリエステル系樹脂は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
以下、植物由来のポリエステル系樹脂について説明する。
植物由来のポリエステル系樹脂は、サトウキビ、トウモロコシ等の植物原料を由来とするポリマーである。「植物原料を由来とする」とは、植物原料から合成され又は抽出されたポリマーが挙げられる。また、例えば、「植物原料を由来とする」とは、植物原料から合成され又は抽出されたモノマーが重合されたポリマーが挙げられる。「植物原料から合成され又は抽出されたモノマー」には、植物原料から合成され又は抽出された化合物を原料とし合成されたモノマーが含まれる。植物由来のポリエステル系樹脂は、モノマーの一部が「植物原料を由来とする」ものを含む。
植物由来のポリエステル系樹脂について、PET、PEFを例にして説明する。
PETの合成反応を(1)式に示す。nモルのエチレングリコールとnモルのテレフタル酸(Benzen−1,4−dicarboxylic Acid)との脱水反応によって、PETが合成される。この合成反応における化学量論上の質量比は、エチレングリコール:テレフタル酸=30:70(質量比)である。
Figure 0006864775
[(1)式中、nは化学量論係数(重合度)であり、250〜1100の数である。]
エチレングリコールは、エチレンを酸化し、水和することで、工業的に製造される。また、テレフタル酸は、パラキシレンを酸化することで、工業的に製造される。
ここで、図2に示すように、植物由来のエタノール(バイオエタノール)の脱水反応によりエチレンを得、このエチレンから合成されたエチレングリコール(バイオエタノール由来のエチレングリコール)と、石油化学品由来のテレフタル酸からPETを合成する場合、製造されるPETは、植物由来30質量%のPETである。
また、図3に示すように、植物由来のイソブタノール(バイオイソブタノール)の脱水反応によりパラキシレンを得、このパラキシレンから合成したテレフタル酸と、バイオエタノール由来のエチレングリコールとからPETを合成する場合、製造されるPETは、植物由来100質量%のPETである。
PEFの合成反応を(2)式に示す。nモルのエチレングリコールと、nモルのフランジカルボン酸(2,5−Furandicarboxylic Acid)との脱水反応によって、PEFが合成される。
Figure 0006864775
[(2)式中、nは化学量論係数(重合度)であり、250〜1100の数である。]
フランジカルボン酸(FDCA)は、例えば、植物由来のフルクトースやグルコースの脱水反応によってヒドロキシメチルフルフラール(HMF)を得、HMFを酸化して得られる。
図4に示すように、FDCA及びエチレングリコールの双方が植物由来の場合、製造されるPEFは、植物由来100質量%のPEFである。
ポリエステル系樹脂のガラス転移温度Tgは、50〜100℃が好ましく、60〜90℃がより好ましく、70〜85℃がさらに好ましい。Tgが上記下限値以上であれば、耐熱強度、加熱寸法安定性をより高められる。Tgが上記上限値以下であれば、成形サイクルを短くして生産性を高め、成形性を高められる。なお、「成形性」は、例えば、発泡シートを金型に挟んで熱成形した際に、金型のキャビティに発泡シートが追随して、所望の形状に近づけられることであり、所望の形状に近づくほど、成形性は「良好」である。
ポリエステル系樹脂の融点は、230〜270℃が好ましく、240〜260℃がより好ましく、245〜255℃がさらに好ましい。融点が上記下限値以上であれば、耐熱強度、加熱寸法安定性をより高められる。融点が上記上限値以下であれば、成形サイクルを短くして生産性を高め、成形性を高められる。
ポリエステル系樹脂の固有粘度(IV値)は、0.5〜1.5が好ましく、0.6〜1.3がより好ましく、0.7〜1.2がさらに好ましい。IV値が上記下限値以上であれば、発泡時の破泡が抑制され、連続気泡率をより低められる。IV値が上記上限値以下であれば、密度をより低くし、表面をより平滑にして、外観の美麗さを高められる。
IV値は、JIS K7367−5(2000)の方法で測定できる。
ポリエステル系樹脂の数平均分子量Mnは、9,000〜26,000であり、15,000〜26,000が好ましく、20,000〜25,000がより好ましい。
Mnが上記下限値以上であれば、耐寒性(即ち、低温での機械的強度)をさらに高められる。Mnが上記上限値以下であれば、耐熱性をさらに高められる。
ポリエステル系樹脂のZ平均分子量Mzは、100,000〜500,000であり、150,000〜450,00が好ましく、200,000〜400,000がより好ましい。
Mzが上記範囲内であれば、耐寒性(即ち、低温での機械的強度)をさらに高められる。
Mn及びMzは、以下の方法で測定できる。
[ポリエステル系樹脂の分子量]
測定対象から試料5mgを取り、これにヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)0.5mL、クロロホルム0.5mLの順に追加して軽く手動で振とうする。これを浸漬時間24±1.0hrで放置する。試料が完全に溶解したことを確認後に、クロロホルムで10mLに希釈して軽く手動で振とうして、混合する。その後、ジーエルサイエンス(株)製の非水系0.45μmのクロマトディスク、又は(株)島津ジーエルシー製の非水系0.45μmシリンジフィルターにて濾過して、測定試料とする。測定試料を次の測定条件にて、クロマトグラフで測定し、予め作成しておいた標準ポリスチレン検量線から試料の数平均分子量Mn及びZ平均分子量Mzを求める。
〔測定装置〕
・測定装置=東ソー(株)製、「HLC−8320GPC EcoSEC」、ゲル浸透クロマトグラフ(RI検出器・UV検出器内蔵)。
〔GPC測定条件〕
・カラム
〈サンプル側〉
ガードカラム=東ソー(株)製 TSK guardcolumn HXL−H(6.0mm×4.0cm)×1本。
測定カラム=東ソー(株)製 TSKgel GMHXL(7.8mmI.D.×30cm)×2本直列。
〈リファレンス側〉
抵抗管(内径0.1mm×2m)×2本直列。
カラム温度=40℃。
移動相=クロロホルム。
〈動相流量〉
サンプル側ポンプ=1.0mL/分。
リファレンス側ポンプ=0.5mL/分。
検出器=UV検出器(254nm)。
注入量=15μL。
測定時間=26分。
サンプリングピッチ=500m秒。
〔検量線用標準ポリスチレン試料〕
検量線用標準ポリスチレン試料は、昭和電工(株)製の製品名「STANDARD SM−105」及び「STANDARD SH−75」から、質量平均分子量Mwが5,620,000、3,120,000、1,250,000、442,000、131,000、54,000、20,000、7,590、3,450、1,320のものを用いる。
上記検量線用標準ポリスチレンをA(5,620,000、1,250,000、131,000、20,000、3,450)及びB(3,120,000、442,000、54,000、7,590、1,320)にグループ分けする。Aを秤量(2mg、3mg、4mg、4mg、4mg)した後、クロロホルム30mLに溶解する。Bを秤量(3mg、4mg、4mg、4mg、4mg)した後、クロロホルム30mLに溶解する。
標準ポリスチレン検量線は、作成した各A及びB溶解液を50μL注入して測定後に得られた保持時間から較正曲線(三次式)を作成することにより得る。その検量線を用いて数平均分子量Mn及びZ平均分子量Mzを算出する。
発泡シート2に含まれる熱可塑性樹脂の総質量に対するポリエステル系樹脂の含有割合は、40〜95質量%が好ましく、50〜90質量%がより好ましく、60〜80質量%がさらに好ましい。ポリエステル系樹脂の含有割合が上記下限値以上であれば、成形性を高められる。ポリエステル系樹脂の含有割合が上記上限値以下であれば、耐熱強度をより高められる。
≪ポリイミド系樹脂≫
ポリイミド系樹脂としては、特に限定されないが、環状イミド基を繰り返し単位として含有するポリマーであることが好ましく、溶融成形性を有するポリマーであることが好ましい。
ポリイミド系樹脂としては、例えば、米国特許第4141927号明細書、特許第2622678号公報、特許第2606912号公報、特許第2606914号公報、特許第2596565号公報、特許第2596566号公報、特許第2598478号公報などに記載されるポリエーテルイミド、特許第2598536号公報、特許第2599171号公報、特開平9−48852号公報、特許第2565556号公報、特許第2564636号公報、特許第2564637号公報、特許第2563548号公報、特許第2563547号公報、特許第2558341号公報、特許第2558339号公報、特許第2834580号公報に記載のポリマー等が挙げられる。本発明の効果が損なわれない範囲であれば、ポリイミド系樹脂の主鎖に環状イミド以外の構造単位が含まれていてもよい。環状イミド以外の構造単位としては、例えば、芳香族、脂肪族、脂環族、脂環族エステル単位、オキシカルボニル単位等が挙げられる。
また、ポリイミド系樹脂は、リサイクル原料でもよい。
これらのポリイミド系樹脂は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
ポリイミド系樹脂は、例えば、下記(3)式で表される化合物が好ましい。
Figure 0006864775
[(3)式中、Rは、炭素数6〜42の炭素原子の有する芳香族基であり、R’は、炭素数6〜30の2価の芳香族基、炭素数2〜30の脂肪族基及び炭素数4〜30の脂環族基からなる群から選ばれた少なくとも1種の2価の有機基である。pは繰り返し単位を表す数である。]
ポリイミド系樹脂としては、ポリエステル系樹脂との相溶性を高める観点から、エーテル結合を有する構造単位を有するポリエーテルイミド系樹脂が好ましい。
ポリイミド系樹脂は、従来公知の製造方法により調製できる。例えば、(3)式中のRを誘導することができる原料であるテトラカルボン酸並びにその酸無水物のいずれかもしくは双方と、(3)式中のR’を誘導することができる原料である脂肪族一級ジアミン並びに芳香族一級ジアミンよりなる群から選ばれる一種もしくは二種以上の化合物を脱水縮合することにより得られる。ポリイミド系樹脂の製造方法として具体的には、ポリアミド酸を得て、次いで、加熱閉環する方法を例示することができる。または、酸無水物とピリジン、カルボジイミド等の化学閉環剤を用いて化学閉環する方法、上記テトラカルボン酸無水物と上記R’を誘導することのできるジイソシアネートとを加熱して脱炭酸を行って重合する方法等を例示できる。
テトラカルボン酸としては、例えば、ピロメリット酸、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン、1,1’−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エーテル、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)スルホン、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、2,2’−ビス[(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン及びその酸無水物等が挙げられる。
ジアミンとしては、例えば、ベンジジン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエタン、ジアミノジフェニルプロパン、ジアミノジフェニルブタン、ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジフェニルベンゾフェノン、o,m,p−フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシレンジアミン等及びこれらの芳香族一級ジアミンの炭化水素基を構造単位に有する芳香族一級ジアミン、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,8−オクタメチレンジアミン、1,9−ノナメチレンジアミン、1,10−デカメチレンジアミン、1,11−ウンデカメチレンジアミン、1,12−ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジメチルアミン、2−メチル−1,3−シクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン等及びこれらの脂肪族、並びに脂環族一級ジアミンの炭化水素基を構造単位に有する脂肪族及び脂環族一級ジアミン等を例示できる。
ポリイミド系樹脂のガラス転移温度Tgは、190〜240℃が好ましく、200〜230℃がより好ましく、210〜220℃がさらに好ましい。Tgが上記下限値以上であれば、耐熱強度、加熱寸法安定性をより高められる。Tgが上記上限値以下であれば、成形サイクルを短くして生産性を高め、成形性を高められる。
ポリイミド系樹脂のメルトフローレイト(MFR)は、3〜30g/10分が好ましく、5〜25g/10分がより好ましく、7〜20g/10分がさらに好ましい。MFRが上記下限値以上であれば、成形サイクルを短くして生産性を高め、成形性を高められる。MFRが上記上限値以下であれば、耐熱強度、加熱寸法安定性をより高められる。
ポリイミド系樹脂の数平均分子量は、5,000〜50,000が好ましく、6,000〜39,000がより好ましく、7,000〜27,000がさらに好ましい。ポリイミド系樹脂の数平均分子量が上記下限値以上であれば耐衝撃性をより高められる。ポリイミド系樹脂の数平均分子量が上記上限値以下であれば成形性をより高められる。
発泡シート2に含まれる熱可塑性樹脂の総質量に対するポリイミド系樹脂の含有割合は、5〜60質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましく、20〜40質量%がさらに好ましい。ポリイミド系樹脂の含有割合が上記下限値以上であれば、耐熱強度をより高められる。ポリイミド系樹脂の含有割合が上記上限値以下であれば、成形性をより高められる。
発泡シート2に含まれる熱可塑性樹脂は、リサイクル原料を含んでいてもよい。ポリエステル系樹脂とポリイミド系樹脂の何れか一方にリサイクル原料を含んでいてもよく、ポリエステル系樹脂とポリイミド系樹脂の両方にリサイクル原料を含んでいてもよい。ポリエステル系樹脂の一部又は全部がポリエステル系樹脂のリサイクル原料であってもよく、ポリイミド系樹脂の一部又は全部がポリイミド系樹脂のリサイクル原料であってもよい。
リサイクル原料は、例えば、次の原料等が挙げられる。
1)発泡体を粉砕して得られるフレーク状の樹脂を押出機で再溶融させ、ノズル金型よりストランド状に押出し、これを冷却した後ペレタイズした回収ペレット。
2)PETボトルを粉砕して得られるフレーク状の樹脂を押出機で再溶融させ、ノズル金型よりストランド状に押出し、これを冷却した後ペレタイズした再生PET。
≪その他の樹脂≫
発泡シート2は、熱硬化性樹脂を実質的に含まない。「実質的に含まない」とは、全く含まないか、発泡シート2の品質に影響しない程度に含むことをいう。発泡シート2に含まれる熱硬化性樹脂の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、5質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましく、0質量%が最も好ましい。
熱可塑性樹脂は、ポリエステル系樹脂及びポリイミド系樹脂以外の熱可塑性樹脂(他の熱可塑性樹脂)を含んでもよい。他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリフェニルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂等が挙げられる。
熱可塑性樹脂の総質量に対して、ポリエステル系樹脂及びポリイミド系樹脂の合計割合は、90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、98質量%以上がさらに好ましく、100質量%が最も好ましい。ポリエステル系樹脂及びポリイミド系樹脂の合計割合が上記下限値以上であれば、発泡シート2の耐熱強度をより高められる。
≪物性≫
発泡シート2は、単一のガラス転移温度Tgを示す。ポリエステル系樹脂とポリイミド系樹脂とが相溶することで、単一のガラス転移温度Tgとなる。発泡体シート2のガラス転移温度Tgが単一であることで、ポリエステル系樹脂のガラス転移温度Tgよりも高いガラス転移温度Tgとなり、耐熱強度が高まる。
なお、「ガラス転移温度が単一」であるとは、加熱速度10℃/分における熱流束示差走査熱量測定チャート(DSC曲線)において、2回目昇温過程にみられる結晶化ピークよりも低温側におけるガラス転移温度Tgが単一であると認識できることをいう。但し、2回目昇温過程において結晶化ピークが観測されない場合は、2回目昇温過程の温度範囲(30〜300℃)におけるガラス転移温度Tgが単一であると認識できることをいう。
発泡シート2におけるガラス転移温度Tgは、例えば、80〜130℃が好ましく、85〜125℃がより好ましく、90〜120℃がさらに好ましい。Tgが上記下限値以上であれば、耐熱強度、加熱寸法安定性をより高められる。Tgが上記上限値以下であれば、成形サイクルを短くして生産性を高め、成形性を高められる。
発泡シート2におけるガラス転移温度Tgは、加熱速度10℃/分における熱流束示差走査熱量測定で求められる。
なお、発泡シート2におけるガラス転移温度Tgは、発泡シート2を構成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tgと同一視できる。
発泡シート2における吸熱量と発熱量との差の絶対値(吸熱発熱差)は、3〜35J/gが好ましく、5〜30J/gがより好ましく、7〜28J/gがさらに好ましい。吸熱発熱差が上記下限値以上であれば、結晶化度が高まり、耐熱強度及び加熱寸法安定性をより高められる。吸熱発熱差が上記上限値以下であれば、結晶化度が高まりすぎず、成形性を高められる。
吸熱発熱差は、加熱速度10℃/分における熱流束示差走査熱量測定によって求められ吸熱量と発熱量との差である。
なお、発泡シート2における吸熱発熱差は、発泡シート2を構成する熱可塑性樹脂の吸熱発熱差と同一視できる。
発泡シート2において、加熱速度5℃/分、周波数1Hzでの固体粘弾性測定における前記ガラス転移温度Tgとガラス転移温度Tg+20℃との間の貯蔵弾性率E’の指数近似式の傾きr(以下、単に「傾きr」ということがある)は、−0.18〜−0.025が好ましく、−0.15〜−0.030がより好ましく、−0.10〜−0.035がさらに好ましい。傾きrが上記下限値以上であれば、温度上昇に伴う貯蔵弾性率E’の変化が小さくなり、耐熱強度をより高められる。傾きrが上記上限値以下であれば、温度上昇に伴う貯蔵弾性率E’の変化が小さくなりすぎず、成形性をより高められる。
貯蔵弾性率E’の指数近似式の傾きrは、下記(e)式におけるxの係数rである。
y=p×exp(r×x) ・・・(e)
y:貯蔵弾性率E’(Pa)
x:温度(℃)
p:x=0におけるyの値(Pa)
<発泡剤>
発泡剤としては、例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ヘキサン等の飽和脂肪族炭化水素、ジメチルエーテル等のエーテル類、塩化メチル、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1−ジフルオロエタン、モノクロロジフルオロメタン等のフロン、二酸化炭素、窒素等が挙げられ、ジメチルエーテル、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、二酸化炭素、窒素が好ましい。これらの発泡剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
発泡剤の含有量は、特に限定されないが、樹脂100質量部に対して、例えば、0.1〜12質量部が好ましい。
<任意成分>
本実施形態の発泡シート2は、熱可塑性樹脂及び発泡剤以外のその他成分(任意成分)を含有してもよい。
任意成分としては、気泡調整剤、安定剤、紫外線吸収剤、着色剤、酸化防止剤、結晶化促進剤、滑剤、架橋剤、界面活性剤、収縮防止剤、難燃剤、劣化防止剤等が挙げられる。
架橋剤としては、例えば、無水ピロメリット酸等の酸二無水物、多官能エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、オキサジン化合物等が挙げられる。熱可塑性樹脂組成物に架橋剤を配合することで、発泡時の破泡が抑制され、連続気泡率をより低められる。
架橋剤の含有量は、樹脂100質量部に対して、例えば、0.08〜0.8質量部が好ましい。
気泡調整剤は、例えば、タルク、シリカ等の無機粉末等の混合物等である。これらの気泡調整剤は、発泡層22の独立気泡率を高め、発泡層22を形成しやすい。
気泡調整剤の含有量は樹脂100質量部に対して、例えば、0.2〜5質量部が好ましい。
安定剤は、例えば、カルシウム亜鉛系熱安定剤、スズ系熱安定剤、鉛系熱安定剤等である。
安定剤の含有量は、樹脂100質量部に対して、例えば、1質量部以下が好ましい。
紫外線吸収剤は、例えば、酸化セシウム系紫外線吸収剤、酸化チタン系紫外線吸収剤等である。
紫外線吸収剤の含有量は、樹脂100質量部に対して、例えば、1質量部以下が好ましい。
酸化防止剤は、例えば、酸化セリウム、酸化セリウム/ジルコニア固溶体、水酸化セリウム、カーボン、カーボンナノチューブ、酸化チタン、及びフラーレン等である。
酸化防止剤の含有量は、樹脂100質量部に対して、例えば、1質量部以下が好ましい。
着色剤は、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、チタンイエロー、酸化鉄、群青、コバルトブルー、焼成顔料、メタリック顔料、マイカ、パール顔料、酸化亜鉛、沈降性シリカ、カドミウム赤等である。
本実施形態の発泡シート2を食品用の容器に用いる場合には、上記の着色剤の中から衛生協議会登録品を選択することが好ましい。
着色剤の含有量は、樹脂100質量部に対して、例えば、2質量部以下が好ましい。
結晶化促進剤は、例えば、ケイ酸塩、炭素、金属酸化物等である。ケイ酸塩としては、例えば、含水ケイ酸マグネシウムであるタルクが挙げられる。炭素としては、例えば、カーボンブラック、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、活性炭、グラファイト、グラフェン、コークス、メソポーラスカーボン、ガラス状炭素、ハードカーボン、ソフトカーボン等が挙げられ、カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、サーマルブラックが挙げられる。金属酸化物としては、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン等が挙げられる。
結晶化促進剤の含有量は、樹脂100質量部に対して、例えば、3質量部以下が好ましい。
上述の任意成分は、それぞれ1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
発泡層22に含まれる任意成分の総量は、発泡層22の総質量に対して、0.1〜5質量部が好ましく、0.5〜3質量部がより好ましい。
<物性>
発泡層22の連続気泡率は、20%以下が好ましく、18%以下がより好ましく、16%以下がさらに好ましい。発泡層22の連続気泡率が上記上限値以下であると、樹脂発泡成形体の耐衝撃性をより高め、成形性をより高められる。発泡層22の連続気泡率は、JIS K7138:2006「硬質発泡プラスチック−連続気泡率及び独立気泡率の求め方」に記載の方法により求められる。
発泡層22の坪量は、例えば、50〜900g/mが好ましく、100〜700g/mがより好ましく、150〜600g/mがさらに好ましい。発泡層22の坪量が上記下限値以上であると、樹脂発泡成形体の耐衝撃性をより高められる。発泡層22の坪量が上記上限値以下であると、樹脂発泡成形体をより軽量にできる。加えて、発泡層22の坪量が上記上限値以下であると、加熱成形の際の加熱時間が長くなり過ぎず、樹脂発泡成形体の生産性をより高められる。
発泡層22の坪量は、以下の方法で測定することができる。
発泡層22の幅方向の両端20mmを除き、幅方向に等間隔に、10cm×10cmの切片5個以上を切り出し、各切片の質量(g)を0.001g単位まで測定する。各切片の質量(g)の平均値を1m当たりの質量に換算した値を、発泡層22の坪量(g/m)とする。
発泡層22の見掛け密度は、例えば、0.050〜0.666g/cmが好ましく、0.066〜0.500g/cmがより好ましく、0.100〜0.400g/cmがさらに好ましい。発泡層22の見掛け密度が上記下限値以上であると、樹脂発泡成形体の断熱性をより高め、耐衝撃性をより高められる。発泡層22の見掛け密度が上記上限値以下であると、樹脂発泡成形体をより軽量にできる。
発泡層22の発泡倍率は、例えば、2〜30倍が好ましく、3〜20倍がより好ましく、3.5〜15倍がさらに好ましい。発泡層22の発泡倍率が上記下限値以上であると、樹脂発泡成形体の断熱性をより高め、耐衝撃性をより高められる。発泡層22の発泡倍率が上記上限値以下であると、発泡シート2の成形性をより高められる。
発泡層22の平均気泡径は、例えば、80〜1000μmが好ましく、150〜750μmがより好ましく、200〜500μmがさらに好ましい。発泡層22の平均気泡径が上記下限値以上であると、樹脂成形体の耐衝撃性をより高められる。発泡層22の平均気泡径が上記上限値以下であると、樹脂成形体の表面平滑性をより高められる。
発泡層22の平均気泡径は、ASTM D2842−69に記載の方法に準拠して測定できる。
<製造方法>
発泡シート2は、従来公知の製造方法により製造される。
発泡シート2の製造方法としては、例えば、次の方法が挙げられる。
図5の発泡シートの製造装置1は、押出成形により発泡シートを得る装置である。製造装置1は、押出機10と、発泡剤供給源18と、サーキュラーダイ20と、マンドレル30と、2つの巻取機40とを備える。
押出機10は、いわゆるタンデム型押出機である。押出機10は、第一の押出部11と、第一の押出部11に配管16で接続された第二の押出部12とを備える。第一の押出部11はホッパー14を備える。第一の押出部11には、発泡剤供給源18が接続されている。
第二の押出部12には、サーキュラーダイ20が接続されている。サーキュラーダイ20の下流には、カッター32を備えるマンドレル30が設けられている。サーキュラーダイ20とマンドレル30との間には、冷却用送風機(不図示)が設けられている。
なお、製造装置1の押出機10はタンデム型押出機以外の押出機でもよい。例えば、押出機10は、第一の押出部11にサーキュラーダイ20が接続された押出機でもよい。また、製造装置1の押出機10は単軸押出機であってもよいし、二軸押出機等の多軸押出機であってもよい。
発泡層を構成する原料をホッパー14から第一の押出部11に投入する。ホッパー14から投入される原料は、発泡層を構成する樹脂、無機粒子の群、及び必要に応じて配合される任意成分である。
第一の押出部11では、原料を任意の温度に加熱しながら混合して樹脂溶融物とし、発泡剤供給源18から発泡剤を第一の押出部11に供給し、樹脂溶融物に発泡剤を混合して樹脂組成物とする。
加熱温度は、樹脂の種類等を勘案して、樹脂が溶融しかつ任意成分が変性しない範囲で適宜決定される。
熱可塑性樹脂組成物に配合されるポリエステル系樹脂(原料ポリエステル系樹脂)のガラス転移温度Tgは、50〜100℃が好ましく、60〜90℃がより好ましく、70〜85℃がさらに好ましい。Tgが上記下限値以上であれば、耐熱強度、加熱寸法安定性をより高められる。Tgが上記上限値以下であれば、成形サイクルを短くして生産性を高め、成形性を高められる。なお、「成形性」は、例えば、発泡シートを金型に挟んで熱成形した際に、金型のキャビティに発泡シートが追随して、所望の形状に近づけられることであり、所望の形状に近づくほど、成形性は「良好」である。
原料ポリエステル系樹脂の融点は、230〜270℃が好ましく、240〜260℃がより好ましく、245〜255℃がさらに好ましい。融点が上記下限値以上であれば、耐熱強度、加熱寸法安定性をより高められる。融点が上記上限値以下であれば、成形サイクルを短くして生産性を高め、成形性を高められる。
原料ポリエステル系樹脂の固有粘度(IV値)は、0.5〜1.5が好ましく、0.6〜1.3がより好ましく、0.7〜1.2がさらに好ましい。IV値が上記下限値以上であれば、発泡時の破泡が抑制されて連続気泡率をより低められる。IV値が上記上限値以下であれば、密度をより低くし、表面をより平滑にして、外観の美麗さを高められる。
IV値は、JIS K7367−5(2000)の方法で測定できる。
原料ポリエステル系樹脂の数平均分子量Mnは、9,000〜26,000であり、15,000〜26,000が好ましく、20,000〜25,000がより好ましい。
Mnが上記下限値以上であれば、耐寒性(即ち、低温での機械的強度)をさらに高められる。Mnが上記上限値以下であれば、耐熱性をさらに高められる。
原料ポリエステル系樹脂のZ平均分子量Mzは、100,000〜500,000であり、150,000〜450,00が好ましく、200,000〜400,000がより好ましい。
Mzが上記範囲内であれば、耐寒性(即ち、低温での機械的強度)をさらに高められる。
熱可塑性樹脂組成物は、第一の押出部11から配管16を経て第二の押出部12に供給され、さらに混合される。その後、樹脂組成物は、任意の温度に冷却された後、サーキュラーダイ20内の樹脂流路に導かれる。
樹脂流路に導かれた熱可塑性樹脂組成物は、サーキュラーダイ20から押し出され、発泡剤が発泡して円筒状の発泡シート2aとなる。
円筒状の発泡シート2aは、冷却用送風機から送風された冷却用のエアーが吹き付けられつつ、マンドレル30に案内される。円筒状の発泡シート2aは、マンドレル30の外面を通過し、任意の温度に冷却され、カッター32によって2枚に切り裂かれて発泡シート2となる。発泡シート2は、各々ガイドロール42とガイドロール44とに掛け回され、巻取機40に巻き取られて発泡シートロール4となる。
なお、積層発泡シートの製造方法としては、上述の製造方法によって発泡シート2を得、この表面にTダイ法によって非発泡層を形成する方法、共押出法によって非発泡層を形成する方法等が挙げられる。
<熱可塑性樹脂発泡成形体>
本実施形態の樹脂発泡成形体は、発泡シート2を成形してなる。樹脂発泡成形体としては、食品用トレー等の容器、電気製品又は自動車等の工業部材に用いる緩衝材、梱包材、構造部材、断熱材等が挙げられる。
図6の容器100は、平面視形状が真円形の丼形状の容器である。容器100は、円形の底壁110と、底壁110の周縁から立ち上がる側壁120とを有する。容器100には、側壁120の上端で囲まれた開口部130が形成されている。側壁120は上端に向かうに従い、外側に広がっている。側壁120の上端で囲まれた開口部130は、平面視真円形である。底壁110は、開口部130の方向に凸となる平面視真円形の凸部112と、凸部112を囲む円環状の凹部114とから形成されている。
容器100の底壁110及び側壁120の厚さ(以下、「壁厚」ということがある。)は、用途等を勘案して決定され、例えば、20〜1000μmが好ましく、40〜800μmがより好ましく、60〜600μmがさらに好ましい。容器100の壁厚が上記下限値以上であると、容器100の耐衝撃性をより高められる。容器100の壁厚が上記上限値以下であると、容器100をより軽量にできる。
容器100は、食品包装容器として好適であり、電子レンジ加熱対応容器として特に好適である。
なお、本実施形態の容器100は、平面視で真円形であるが、本発明はこれに限定されない。容器の平面視形状は、楕円形でもよいし、四角形等の多角形でもよい。
本実施形態の容器100は、第一の実施形態の発泡シート2を成形して得られる。即ち、容器100は、熱可塑性樹脂中に気泡を有する。
容器100は、単一のガラス転移温度Tgを示す。ポリエステル系樹脂とポリイミド系樹脂とが相溶することで、単一のガラス転移温度Tgとなる。容器100のガラス転移温度Tgが単一であることで、ポリエステル系樹脂のガラス転移温度Tgよりも高いガラス転移温度Tgとなり、耐熱強度が高まる。
容器100のガラス転移温度Tgは、例えば、80〜130℃が好ましく、85〜125℃がより好ましく、90〜120℃がさらに好ましい。Tgが上記下限値以上であれば、耐熱強度、加熱寸法安定性をより高められる。Tgが上記上限値以下であれば、成形性が向上し、外観が美麗な容器が得られる。
容器100の吸熱発熱差は、3〜35J/gが好ましく、5〜30J/gがより好ましく、7〜28J/gがさらに好ましい。吸熱発熱差が上記下限値以上であれば、結晶化度が高まり、加熱寸法安定性を高められる。吸熱発熱差が上記上限値以下であれば、結晶化度が高まりすぎず、成形性を高められる。
吸熱発熱差は、加熱速度10℃/分における熱流束示差走査熱量測定によって求められ吸熱量と発熱量との差である。
容器100において、傾きrは、−0.18〜−0.025が好ましく、−0.15〜−0.030がより好ましく、−0.10〜−0.035がさらに好ましい。傾きrが上記下限値以上であれば、温度上昇に伴う貯蔵弾性率E’の変化が小さくなり、耐熱強度をより高められる。傾きrが上記上限値以下であれば、温度上昇に伴う貯蔵弾性率E’の変化が小さくなりすぎず、成形性をより高められる。
≪樹脂発泡成形体の製造方法≫
容器100の製造方法としては、例えば、発泡シート2を加熱して、これを雌型(キャビティ)と雄型(コア)とで挟み込んで成形する方法(熱成形方法)が挙げられる。
容器100の製造方法に用いられる成形装置の一例を図7に示す。
図7の成形装置200は、シャフト221と、一対の供給ローラ222と、搬送コンベア223と、予熱部203と、加熱金型204と、冷却金型205と、型抜機224とを有する。
予熱部203は、上加熱板231と、上加熱板231に対向する下加熱板232とを有する。予熱部203は、上加熱板231と下加熱板232との組み合わせに代えて、加熱炉でもよい。
加熱金型204は、加熱キャビティ241と、加熱コア242とを有する。加熱金型204としては、真空成形機、圧空成形機等が挙げられる。
冷却金型205は、冷却キャビティ251と、冷却コア252とを有する。
なお、加熱キャビティ241と冷却キャビティ251とは同形状であり、加熱コア242と冷却コア252とは同形状である。
まず、シャフト221に発泡シートロール4を取り付ける。発泡シートロール4から発泡シート2を繰り出し、一対の供給ローラ222でX方向に発泡シート2を間欠的に移送する。予熱部203は、移送された発泡シート2を加熱する(予備加熱工程)。予備加熱工程直後の発泡シート2の表面温度は、例えば、90〜230℃が好ましく、100〜210℃がより好ましく、105〜190℃がさらに好ましい。加熱温度が上記下限値以上であれば、発泡シート4を軟化して、成形性を高められる。加熱温度が上記上限値以下であれば、発泡シート2の過度な結晶化度の上昇を抑制して、成形性を高められる。
予備加熱工程における加熱時間は、5〜90秒が好ましく、10〜60秒がより好ましく、15〜50秒がさらに好ましい。
次いで、加熱金型204は、加熱キャビティ241と加熱コア242とで発泡シート2を挟み込んで、発泡シート2を加熱しつつ成形する(成形工程)。成形工程における加熱金型の温度(加熱温度)は、30〜240℃が好ましく、35〜200℃がより好ましく、40〜180℃がさらに好ましい。加熱温度が上記下限値以上であれば、発泡シート2を軟化し、加熱キャビティ241内に押し付けて、成形性を高められる。加熱温度が上記上限値以下であれば、成形体の離型性をより高められる。成形工程における成形時間は、1〜10秒が好ましく、2〜8秒がより好ましく、3〜7秒がさらに好ましい。成形時間が上記下限値以上であれば、発泡シート2を軟化し、加熱キャビティ241内に押し付けて、成形性を高められる。加熱寸法安定性を高められる。成形時間が上記上限値以下であれば、1サイクル当たりの時間を短縮して、生産性を高められる。
加熱金型204は、成形工程の後、加熱金型204内で発泡シート2をさらに加熱してもよい(ヒートセット工程)。ヒートセット工程を設けることで、発泡シート2の結晶化度を高めて、加熱寸法安定性をより高められる。ヒートセット工程における加熱金型の温度(ヒートセット温度)は、130〜240℃が好ましく、140〜220℃がより好ましく、150〜200℃がさらに好ましい。ヒートセット温度が上記下限値以上であれば、発泡シート2の結晶化度を高めて、加熱寸法安定性を高められる。ヒートセット温度が上記上限値以下であれば、成形体の離型性をより高められる。ヒートセット工程における加熱時間(ヒートセット時間)は、3〜90秒が好ましく、5〜60秒がより好ましく、7〜50秒がさらに好ましい。ヒートセット時間が上記下限値以上であれば、発泡シート2の結晶化度を高めて、加熱寸法安定性を高められる。ヒートセット時間が上記上限値以下であれば、1サイクル当たりの時間を短縮して、生産性を高められる。
なお、本実施形態の発泡シート2は、ヒートセット工程を省略しても、耐熱強度が低下せず、加熱寸法安定性が著しく損なわれることがない。
次いで、加熱金型203を開き、所望の形状に成形された発泡シート2を冷却金型205の位置に移送し、発泡シート2を冷却キャビティ251と冷却コア252とで挟み込む(冷却工程)。
なお、冷却工程は、省略することができる。
次いで、型抜機224で発泡シート2から樹脂発泡成形体である容器100を切り出す。
本実施形態の発泡体(発泡シート)は、ポリエステル系樹脂とポリイミド系樹脂とが相溶しており、熱可塑性樹脂のガラス転移温度が単一であるため、ポリエステル系樹脂のガラス転移温度Tgよりも高いガラス転移温度Tgとなり、耐熱強度を高められる。このため、発泡体を加熱成形して得られる樹脂発泡成形体は、耐熱強度に優れる。
加えて、本実施形態の発泡体は、ヒートセット工程を要することなく、優れた耐熱強度を発揮するため、樹脂発泡成形体の生産性を高められる。本実施形態の樹脂発泡成形体は、結晶化度が20%未満でも、優れた耐熱強度発揮する。
さらに、本実施形態の樹脂発泡成形体は、ヒートセット工程を経て製造されることで、結晶化度が高まり、加熱寸法安定性がより高まる。
(第二の実施形態)
本発明の第二の実施形態に係る発泡体について説明する。本実施形態の発泡体は、ロッド状の発泡体である。ロッド状の発泡体(ロッド状発泡体)は、目地材、弾性シーラントバックアップ材、水産用ロープ、注連縄用芯材、浮力材、包装用緩衝材等として用いられる。
ロッド状発泡体は、熱可塑性樹脂組成物を発泡してなるものである。熱可塑性樹脂組成物は、第一の実施形態における熱可塑性樹脂組成物と同様である。
ロッド状発泡体の形状は、円柱状でもよいし、角柱状でもよい。
ロッド状発泡体の大きさは、用途を勘案して適宜決定され、例えば、円柱状であれば、断面円形の直径が0.1〜10cm、長さが10〜200cmとされる。
ロッド状発泡体の連続気泡率は、第一の実施形態の発泡シートの連続気泡率と同様である。
ロッド状発泡体の見掛け密度は、例えば、0.050〜0.666g/cmが好ましく、0.066〜0.500/cmがより好ましく、0.100〜0.400g/cmがさらに好ましい。見掛け密度が上記下限値以上であれば、緩衝力を高められる。見掛け密度が上記上限値以下であると、機械的強度を高められる。
ロッド状発泡体の発泡倍率は、例えば、2〜30倍が好ましく、3〜20倍がより好ましく、3.5〜15倍がさらに好ましい。発泡倍率が上記下限値以上であれば、緩衝力を高められる。発泡倍率が上記上限値以下であると、機械的強度を高められる。
ロッド状発泡体の平均気泡径は、例えば、80〜1000μmが好ましく、150〜750μmがより好ましく、200〜500μmがさらに好ましい。平均気泡径が上記下限値以上であれば、緩衝力を高められる。平均気泡径が上記上限値以下であると、機械的強度を高められる。
ロッド状発泡体は、従来公知の製造方法により製造される。
ロッド状発泡体の製造方法は、例えば、熱可塑性樹脂と発泡剤とを押出機に供給して溶融混錬し、溶融状態の熱可塑性樹脂組成物を押出機先端に設けたダイの孔から押し出して発泡させ、ロッド状の発泡体を得る方法等が挙げられる。
(第三の実施形態)
本発明の第三の実施形態に係る発泡体について説明する。本実施形態の発泡体は、粒子状の発泡体(発泡粒子)である。発泡粒子は、いわゆる型内発泡成形法の原料に用いられる。
発泡粒子の大きさは、用途に応じて適宜選択され、発泡粒子の群の質量平均粒子径は、例えば、0.5〜5mmとされる。
発泡粒子の連続気泡率は、第一の実施形態の発泡シートの連続気泡率と同様である。
発泡粒子の見掛け密度は、例えば、0.027〜0.675g/cmが好ましく、0.045〜0.45g/cmがより好ましく、0.0675〜0.27g/cmがさらに好ましい。見掛け密度が上記下限値以上であれば、緩衝力を高められる。見掛け密度が上記上限値以下であると、機械的強度を高められる。
発泡粒子の嵩発泡倍率は、例えば、2〜50倍が好ましく、3〜30倍がより好ましく、5〜20倍がさらに好ましい。嵩発泡倍率が上記下限値以上であれば、緩衝力を高められる。嵩発泡倍率が上記上限値以下であると、機械的強度を高められる。
発泡粒子の平均気泡径は、例えば、5〜500μmが好ましく、10〜400μmがより好ましく、20〜300μmがさらに好ましい。平均気泡径が上記下限値以上であれば、緩衝力を高められる。平均気泡径が上記上限値以下であると、機械的強度を高められる。
発泡粒子は、従来公知の製造方法により製造される。
発泡粒子の製造方法は、例えば、次の方法等が挙げられる。
1)熱可塑性樹脂と発泡剤とを押出機に供給して溶融混錬し、溶融状態の熱可塑性樹脂組成物を押出機先端に設けたダイの孔から空中に押し出して発泡させ、押し出して発泡させると同時に切断し、切断された発泡した球状の粒子を水中に投じて冷却して、発泡粒子を得る方法。
2)熱可塑性樹脂と発泡剤とを押出機に供給して溶融混錬し、溶融状態の熱可塑性樹脂組成物を押出機先端に設けたダイの孔から水中に押し出して発泡させて冷却し、押し出して発泡させて冷却すると同時に切断し、切断された発泡した球状の発泡粒子を得る方法。
3)熱可塑性樹脂と発泡剤とを押出機に供給して溶融混錬し、溶融状態の熱可塑性樹脂組成物を押出機先端に設けたダイの孔から水中に押し出して冷却し、押し出して冷却すると同時に切断し、切断された球状の発泡性粒子を得て、発泡性粒子を加熱して発泡粒子を得る方法。
4)熱可塑性樹脂を押出機に供給して溶融混錬し、溶融状態の熱可塑性樹脂を押出機先端に設けたダイの孔から空中に押し出して、押し出すと同時に切断し、切断された球状の樹脂粒子を水中に投じて冷却して樹脂粒子を得て、樹脂粒子に発泡剤を含浸させて発泡性粒子を得て、発泡性粒子を加熱して発泡粒子を得る方法。
5)熱可塑性樹脂を押出機に供給して溶融混錬し、溶融状態の熱可塑性樹脂を押出機先端に設けたダイの孔から水中に押し出して冷却し、押し出して冷却すると同時に切断し、切断された球状の樹脂粒子を得て、樹脂粒子に発泡剤を含浸させて発泡性粒子を得て、発泡性粒子を加熱して発泡粒子を得る方法。
6)熱可塑性樹脂を押出機に供給して溶融混錬し、溶融状態の熱可塑性樹脂を押出機先端に設けたダイの孔からストランド状に押し出し、押し出した後に水中に導き冷却し、冷却した後に所定の長さ毎に切断して柱状の樹脂粒子を得て、樹脂粒子に発泡剤を含浸させて発泡性粒子を得て、発泡性粒子を加熱して発泡粒子を得る方法。
本実施形態の樹脂発泡成形体は、発泡粒子を発泡し融着させたものである。本実施形態の樹脂発泡成形体としては、例えば、魚箱、野菜箱等の食品包装容器、電気製品又は自動車等の工業部材に用いる緩衝材、梱包材、構造部材、断熱材等が挙げられる。
本実施形態の樹脂発泡成形体は、単一のガラス転移温度Tgを示す。ポリエステル系樹脂とポリイミド系樹脂とが相溶することで、単一のガラス転移温度Tgとなる。樹脂発泡成形体のガラス転移温度Tgが単一であることで、ポリエステル系樹脂のガラス転移温度Tgよりも高いガラス転移温度Tgとなり、耐熱強度が高まる。
本実施形態の樹脂発泡成形体のガラス転移温度Tgは、第一の実施形態の容器100のガラス転移温度Tgと同様である。
本実施形態の樹脂発泡成形体における吸熱発熱差は、第一の実施形態の容器100における吸熱発熱差と同様である。
本実施形態の樹脂発泡成形体における傾きrは、第一の実施形態の容器100における傾きrと同様である。
本実施形態の樹脂発泡成形体の連続気泡率は、例えば、20%以下が好ましく、18%以下がより好ましく、16%以下がさらに好ましい。樹脂発泡成形体の連続気泡率が上記上限値以下であると、樹脂発泡成形体の耐衝撃性をより高められる。樹脂発泡成形体の連続気泡率は、JIS K7138:2006「硬質発泡プラスチック−連続気泡率及び独立気泡率の求め方」に記載の方法により求められる。
本実施形態の樹脂発泡成形体の見掛け密度は、例えば、0.027〜0.675g/cmが好ましく、0.045〜0.45g/cmがより好ましく、0.0675〜0.27g/cmがさらに好ましい。樹脂発泡成形体の見掛け密度が上記下限値以上であると、樹脂発泡成形体の耐衝撃性をより高められる。樹脂発泡成形体の見掛け密度が上記上限値以下であると、樹脂発泡成形体をより軽量にできる。
本実施形態の樹脂発泡成形体の発泡倍率は、例えば、2〜50倍が好ましく、3〜30倍がより好ましく、5〜20倍がさらに好ましい。樹脂発泡成形体の発泡倍率が上記下限値以上であると、樹脂発泡成形体の耐衝撃性をより高められる。樹脂発泡成形体の発泡倍率が上記上限値以下であると、樹脂発泡成形体の機械的強度をより高められる。
本実施形態の樹脂発泡成形体の平均気泡径は、例えば、5〜500μmが好ましく、10〜400μmがより好ましく、20〜300μmがさらに好ましい。樹脂発泡成形体の平均気泡径が上記下限値以上であると、樹脂成形体の耐衝撃性をより高められる。樹脂発泡成形体の平均気泡径が上記上限値以下であると、樹脂成形体の表面平滑性をより高められる。
樹脂発泡成形体の平均気泡径は、ASTM D2842−69に記載の方法に準拠して測定できる。
発泡粒子を用いた樹脂発泡成形体は、従来公知の製造方法で製造できる。
樹脂発泡成形体の製造方法としては、例えば、次の方法等が挙げられる。
1)発泡粒子(嵩発泡倍率:2〜50倍)を成形型内に充填し、これを加熱して、発泡粒子を二次発泡させて融着して、型内発泡成形により、樹脂発泡成形体(発泡倍率:2〜50倍)とする(加熱成形工程)方法。
2)発泡粒子を加熱して任意の嵩発泡倍率に発泡させた予備発泡粒子(嵩発泡倍率:2〜50倍)とし(予備発泡工程)、予備発泡粒子を成形型内に充填し、これを加熱して、予備発泡粒子を二次発泡させて融着して、型内発泡成形により樹脂発泡成形体(発泡倍率:2〜50倍)とする(加熱成形工程)方法。
加熱成形工程に次いで、さらに加熱することで、熱可塑性樹脂の結晶化度を高めてもよい(ヒートセット工程)。
本実施形態の発泡体(発泡粒子)によれば、ポリエステル系樹脂とポリイミド系樹脂とが相溶しており、ガラス転移温度が単一であるため、ポリエステル系樹脂のガラス転移温度Tgよりも高いガラス転移温度Tgとなり、耐熱強度を高められる。このため、発泡体から得られる樹脂発泡成形体は、耐熱強度に優れる。
加えて、本実施形態の発泡体は、ヒートセット工程を要することなく、優れた耐熱強度を発揮するため、樹脂発泡成形体の生産性を高められる。本実施形態の樹脂発泡成形体は、結晶化度が20%未満でも、優れた耐熱強度発揮する。
さらに、本実施形態の樹脂発泡成形体は、ヒートセット工程を経て製造されることで、結晶化度が高まり、加熱寸法安定性がより高まる。
以下、本発明について実施例を示して説明するが、本発明はこれらにより限定されることはない。
(使用原料)
<ポリエステル系樹脂>
・PET(A):遠東新世紀社製、商品名「CH−611」、ガラス転移温度Tg:78℃、融点:251℃、IV値:1.02、バイオマス度:0%。
・PET(B):INDRAMA社製、商品名「RAMAPET N1B」、ガラス転移温度Tg:78℃、融点:247℃、IV値:0.80、バイオマス度:30%。
・PET(C):遠東新世紀社製、商品名「CH−653」、ガラス転移温度Tg:79℃、融点:248℃、IV値:1.01、バイオマス度:27〜30%。
・PET(D):遠東石塚グリーンペット社製、商品名「CB−603RJ」、ガラス転移温度Tg:79℃、融点:248℃、IV値:0.80、バイオマス度:0%、PETボトルをリサイクルした再生PET。
<ポリイミド系樹脂>
・PEI(A):ポリエーテルイミド、SABIC Innovative Plastics社製、商品名「Ultem1000」、ガラス転移温度Tg:217℃、MFR:9g/10分。
・PEI(B):ポリエーテルイミド、SABIC Innovative Plastics社製、商品名「Ultem1010」、ガラス転移温度Tg:217℃、MFR:17.8g/10分。
・PEI(C):ポリエーテルイミド、SABIC Innovative Plastics社製、商品名「Ultem MD130」、ガラス転移温度Tg:217℃、MFR:9g/10分。
<非晶性ポリエステル系樹脂>
・PCT(G):イーストマンケミカル製、商品名「Traitan TX−1001」、芳香族ジカルボン酸成分=テレフタル酸、ジオール成分=1,4−シクロヘキサンジメタノール及び2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、ガラス転移温度Tg:107℃、IV値:0.72。
<タルクマスターバッチ>
・タルクMB:PET=72質量%、タルク=28質量%からなるマスターバッチ。
<架橋剤>
・PMDA:無水ピロメリット酸。
(評価方法)
<厚さ>
発泡シートの幅方向(TD方向)の両端20mmを除いた部分を、幅方向に等間隔9点について、ダイヤルシックネスゲージSM−112(テクロック社製)を使用して厚さを測定し、測定値を相加平均した値を厚さとした。
<坪量>
発泡シートの幅方向(TD方向)の両端20mmを除き、幅方向に等間隔に、10cm×10cmの切片6個を切り出し、各切片の質量(g)を0.001g単位まで測定した。各切片の質量(g)の平均値を1m当たりの質量に換算した値を、発泡シートの坪量(g/m)とした。
<密度>
≪発泡シートの場合≫
発泡シートの坪量と厚みから、下記(s1)式にて算出した。
見掛け密度(g/cm)=坪量(g/m)÷厚さ(mm)÷1000・・・(s1)
≪ロッド状発泡体の場合≫
ロッド状発泡体を所定の長さに裁断し、裁断したロッド状発泡体の長さを測定した。長さ方向に等間隔5点以上について、該ロッド状発泡体の直径を測定し、測定値を相加平均した値を直径とした。次いで、裁断した前記ロッド状発泡体の質量を測定した。ロッド状発泡体の長さと直径と質量から、下記(s2)式にて算出した。
見掛け密度(g/cm)=質量(g)÷(長さ(cm)×(直径(cm)/2))×3.14・・・(s2)
≪発泡倍率≫
各例の配合割合から熱可塑性樹脂の密度を求め、熱可塑性樹脂の密度を得られた発泡体の見掛け密度で除した値を発泡倍率とした。なお、各樹脂の密度は以下の値を用いた。
・PET:1.35g/cm
・PEI:1.28g/cm
・PCT:1.18g/cm
≪連続気泡率≫
発泡シートから、縦25mm×横25mmのシート状サンプル2枚以上を切り出し、切り出したサンプルを空間があかないよう重ね合わせて厚み25mmとして試験片を得た。得られた試験片の外寸を、(株)ミツトヨ製「デジマチックキャリパ」ノギスを用いて、1/100mmまで測定し、見掛け上の体積(V1:cm)を求めた。次に、東京サイエンス製(株)「1000型」空気比較式比重計を用いて、1−1/2−1気圧法により試験片の体積(V2:cm)を求めた。下記(s3)式により連続気泡率(%)を計算し、5つの試験片の連続気泡率の平均値を求めた。試験片は予め、JIS K 7100:1999の記号「23/50」(温度23±2℃、相対湿度50±5%)、2級の標準雰囲気下で24時間以上かけて状態調整した後、同じ標準雰囲気下にて測定した。なお、空気比較式比重計は、標準球(大28.96cm、小8.58cm)にて補正を行った。
連続気泡率(%)=(V1−V2)/V1×100・・・(s3)
(V1:ノギスを用いて測定される見掛け上の体積、V2:空気比較式比重計で測定される体積)
≪融点、結晶化温度、ガラス転移温度≫
融点、結晶化温度及びガラス転移温度は、JIS K7121:1987、JIS K7121:2012に記載されている方法で測定した。但し、サンプリング方法及び温度条件に関しては以下の通りとした。
発泡体又は樹脂発泡成形体から切り出した試料をアルミニウム製測定容器の底に、すきまのないように5.5±0.5mg充填後、アルミニウム製の蓋をした。次いで(株)日立ハイテクサイエンス製「DSC7000X、AS−3」示差走査熱量計を用い、示差走査熱量分析を実施した。窒素ガス流量20mL/分のもと、以下のステップ1〜4で試料の加熱と冷却とを施して、DSC曲線を得た。
(ステップ1)30℃で2分間保持。
(ステップ2)10℃/分の速度で30℃から300℃まで昇温し(1回目昇温過程)、10分間保持。
(ステップ3)試料を速やかに取出し、25±10℃の環境下にて放冷。
(ステップ4)10℃/分の速度で30℃から300℃まで昇温(2回目昇温過程)。
なお、基準物質としてアルミナを用いた。装置付属の解析ソフトを用いて、図10に示すように2回目昇温過程にみられる融解ピーク及び結晶化ピークのトップの温度を読みとって融点及び結晶化温度とした。ガラス転移温度Tgは2回目昇温過程にみられるDSC曲線より、装置付属の解析ソフトを用いて、中間点ガラス転移温度を算出した。この中間点ガラス転移温度は該規格(9.3)より求めた。
なお、ガラス転移温度Tgは、加熱速度10℃/分における熱流束示差走査熱量測定チャート(DSC曲線)において、2回目昇温過程にみられる結晶化ピークよりも低温側におけるガラス転移温度Tgを採用した。但し、2回目昇温過程において結晶化ピークが観測されない場合は、2回目昇温過程の温度範囲(30〜300℃)におけるガラス転移温度Tgを採用した。
≪固体粘弾性測定≫
固体粘弾性測定は、エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製「EXSTRAR DMS6100」粘弾性スペクトロメータを用いた。発泡体又は樹脂発泡成形体から、長さ約40mm、幅約10mm、厚み約1mmに試料を切り出した。条件は次の通りとした。
・モード:引張制御モード。
・雰囲気:窒素雰囲気。
・周波数:1Hz。
・昇温速度:5℃/分。
・測定温度:30℃〜300℃。
・チャック間隔:20mm。
・歪振幅:5μm。
・最小張力:100mN。
・張力ゲイン:1.5。
・力振幅初期値:100mN。
解析は装置付属の解析ソフトを用いた。図8、9に示すように、ガラス転移温度Tgとガラス転移点Tg+20℃との間の貯蔵弾性率E’の値を用いて指数近似式から傾きrを算出した。なお、図8は後述する実施例12の測定結果であり、図9は後述する比較例1の測定結果である。また、ガラス転移温度Tgは、DSC曲線から求めた値を用いた。
試験片の寸法測定には、Mitutoyo Corporation製「DIGIMATIC」CD-15タイプを用いた。
≪吸熱量(a)、発熱量(b)、結晶化度≫
吸熱量(a)(融解熱量)及び発熱量(b)(結晶化熱量)はJIS K7121:1987、JIS K7121:2012に記載されている方法で測定した。但し、サンプリング方法及び温度条件に関しては以下の通りとした。
発泡体又は樹脂発泡成形体から切り出した試料をアルミニウム製測定容器の底に、すきまのないように5.5±0.5mg充填後、アルミニウム製の蓋をした。次いで(株)日立ハイテクサイエンス製「DSC7000X、AS−3」示差走査熱量計を用い、示差走査熱量分析を実施した。窒素ガス流量20mL/分のもと、以下のステップ1〜2で試料の加熱及び冷却を施して、DSC曲線を得た。
(ステップ1)30℃で2分間保持。
(ステップ2)速度10℃/minで30℃から300℃まで昇温(1回目昇温過程)。
この時の基準物質にはアルミナを用いた。吸熱量(a)及び発熱量(b)は、装置付属の解析ソフトを用いて算出した。具体的には、図10に示すように、吸熱量(a)は低温側のベースラインからDSC曲線が離れる点と、そのDSC曲線が再び高温側のベースラインへ戻る点とを結ぶ直線と、DSC曲線に囲まれる部分の面積から算出した。発熱量(b)は低温側のベースラインからDSC曲線が離れる点と、そのDSC曲線が再び高温側へ戻る点とを結ぶ直線と、DSC曲線に囲まれる部分の面積から算出した。
結晶化度は、前記吸熱量(a)と前記発熱量(b)を用いて、下記(s4)式により算出した。
結晶化度(%)={(吸熱量(a)の絶対値(J/g)−発熱量(b)の絶対値(J/g))÷完全結晶化熱量(J/g)}×100・・・(s4)
完全結晶化熱量は、100%結晶化した場合の熱量を表す。なお、上記(s4)式における完全結晶化熱量はPETの完全結晶化熱量である140.1J/gを用いた。
(評価方法)
<発泡体の耐熱強度(加熱引張試験)>
加熱引張試験における引張弾性率は、JIS K7127:1999に準拠して測定した。即ち、引張弾性率は(株)島津製作所製「オートグラフAG−Xplus 100kN」万能試験機、(株)島津製作所製「TRAPEZIUM X」万能試験機データ処理を用いて測定した。試験片は、ダンベル形タイプ5とし、その長さ方向が押出方向(MD)となるように切り出した。試験速度200mm/分、つかみ具間隔80mmとした。試験片はJIS K7100:1999の記号「23/50」、2級の標準雰囲気下で24時間以上状態調節した後試験に用いた。
測定は、標準雰囲気下(23℃)及び80℃にて実施した。80℃においては、(株)島津製作所製「TCR2A型」付帯恒温槽内に設置した冶具に試験片を挟み、1分間保持した後に測定した。前記雰囲気温度における試験片の数はそれぞれ5個とし、各試験片における引張弾性率測定値の相加平均を引張弾性率の値とした。引張弾性率は引張比例限度内、即ち、引張応力−ひずみの関係が直線となる部分における傾きの最大値とした。
80℃における引張弾性率(E80)と標準雰囲気下(23℃)における引張弾性率(E23)を用いて、下記(s5)式により保持率を算出した。
保持率(%)=(E80)/(E23)×100・・・(s5)
≪評価基準≫
◎:保持率が50%以上である。
〇:保持率が40%以上50%未満である。
△:保持率が25%以上40%未満である。
×:保持率が25%未満である。
≪発泡体の加熱寸法安定性(加熱変形試験〉≫
各例の発泡シートから一辺が約10cmの平面正方形状の試験片を5個、各辺が前記発泡シートの押出方向(MD方向)又は幅方向(TD方向)に平行な状態となるように切り出した。
次いで、各試験片の発泡シート層上に、互いに対向する辺の中央部同士を結ぶ直線を二本、十字状に描いた。このとき、加熱前の各方向における直線の長さをMD1、TD1とした。次に、各試験片を所定の温度に設定した湿度調整無しのオーブン中の平台に静置して、150秒間加熱した後、オーブンから取り出して室温にて30分間冷却した。その後、加熱前に描いた各方向の直線の長さを測定し、各試験片の測定長の相加平均値を加熱後の長さとした。得られた加熱後の長さMD2、TD2と、加熱前の長さMD1、TD1から、押出方向の加熱前の長さ(MD1)と加熱後の長さ(MD2)の比(MD比=MD2/MD1)、幅方向の加熱前の長さ(TD1)と加熱後の長さ(TD2)の比(TD比=TD2/TD1)を算出した。
≪評価基準≫
◎:140℃設定においてMD比とTD比とで小さい方の値が0.97以上。
〇:140℃設定においてMD比とTD比とで小さい方の値が0.97未満であり、120℃設定においてMD比とTD比とで小さい方の値が0.97以上。
△:140℃設定においてMD比とTD比とで小さい方の値が0.97未満であり、120℃設定においてMD比とTD比とで小さい方の値が0.95以上0.97未満。
×:140℃設定においてMD比とTD比とで小さい方の値が0.97未満であり、120℃設定においてMD比とTD比とで小さい方の値が0.95未満。
<発泡シートの衝撃強度(落錘衝撃試験)>
落錘衝撃試験における全吸収エネルギーは、ASTM D-3763−15に準拠し測定した。即ち、全吸収エネルギーは、CEAST社製「CEAST9350」落錘衝撃試験機、計測ソフト「CEAST VIEW」を用いて、測定した。試験片サイズは、長さ100mm×幅100mmとした。試験片の数は最少5個とし、各試験片の坪量は、実施例及び比較例の表に記載した発泡シートの坪量の値±5%の範囲であった。試験条件は次の通りとした。
≪試験条件≫
・試験速度:1.76m/秒。
・落錘荷重:1.9265kg。
・試験片支持スパン:φ76mm。
・使用タップ:4.5kN計装化タップ(先端φ12.7mm半球状)。
試験温度23℃の試験片はASTM D618−13のProcedureA(23±2℃、相対湿度50±10%)の環境で16時間の状態調節を施し、測定に用いた。試験温度−30℃の試験片は温度−30±2℃の冷凍庫で16時間の状態調節を施し、測定に用いた。測定は状態調節と同温度環境下で行った。各試験片の全吸収エネルギーは、測定で得られたグラフの積分値を該計測ソフトで自動計算して算出した。各試験温度(23℃及び−30℃)における各試験片の全吸収エネルギーの平均値を発泡シートの全吸収エネルギーとした。
≪測定温度23℃における評価基準≫
◎:試験温度23℃における全吸収エネルギーが0.50J以上。
〇:試験温度23℃における全吸収エネルギーが0.20J以上0.50J未満。
△:試験温度23℃における全吸収エネルギーが0.10J以上0.20J未満。
×:試験温度23℃における全吸収エネルギーが0.10J未満。
≪測定温度−30℃における評価基準≫
◎:試験温度−30℃における全吸収エネルギーが0.30J以上。
〇:試験温度−30℃における全吸収エネルギーが0.10J以上0.30J未満。
△:試験温度−30℃における全吸収エネルギーが0.05J以上0.10J未満。
×:試験温度−30℃における全吸収エネルギーが0.05J未満。
≪発泡シートの総合評価≫
◎:全ての項目の評価が「◎」か「〇」であった。
〇:全ての項目の評価で「×」がなく、かついずれかの項目の評価で「△」が1つであった。
△:全ての項目の評価で「×」がなく、かついずれかの項目の評価で「△」が2つ以上であった。
×:いずれかの項目の評価が「×」であった。
<容器の耐熱強度>
各例の樹脂発泡成形体(容器)に100gのサラダ油を入れ、業務用電子レンジ(電子レンジ:パナソニック社製NE1901S型)にて1600Wの出力で60秒間加熱した。その後、直ちにサラダ油が入った状態で成形品を持ち上げ、目視にて成形品の変形の度合を下記評価基準に従って評価した。
≪評価基準≫
◎:変形なく、片手で持ち上げられる。
〇:少し変形するが、片手で持ち上げられる。
△:大きく変形するが、片手で持ち上げられる。
×:著しく大きく変形し、片手で持ち上げることができない。
<成形性>
目視にて樹脂発泡成形体の外観を確認し、下記評価基準に従って評価した。
≪評価基準≫
◎:形状が金型に通りに成形され、微細な凹凸形状に至るまで輪郭がシャープで外観美麗である。
〇:形状が金型に通りに成形されているものの、微細な凹凸形状において輪郭が若干ぼやけている。
△:形状が金型の形状からややずれており、微細な凹凸形状における輪郭もぼやけており、外観が悪い。
×:形状が金型の形状から著しくずれているか、成形体に裂けや穴空きがみられる。
<容器の加熱寸法安定性(加熱変形率)>
樹脂発泡成形体(容器)について、平面視における長手方向、短手方向及び高さ方向の寸法を算出した。加熱前の長手方向の容器寸法は、例えば、平面視における容器の輪郭線上の1点から輪郭形状の中心点を通って反対側の輪郭線に到達するまでの距離が最も長くなる方向における寸法(容器輪郭線間距離)とした。加熱前の短手方向の容器寸法は、例えば、平面視における容器の輪郭線上の1点から輪郭形状の中心点を通って反対側の輪郭線に到達するまでの距離が最も短くなる方向における寸法(容器輪郭線間距離)とした。加熱前の高さ方向の容器寸法は、成形品の底部が上向きとなるように水平台に静置させたときの台面から容器底部までの距離とした。
次いで、容器を湿度調整無しのオーブン中の平台に静置して、140℃で150秒間加熱した後に取出し、標準状態(25℃、1気圧)の場所に1時間放置した。その後、同じ箇所の寸法を加熱後の寸法とし、下記(t1)〜(t3)式によって加熱寸法変化形率を算出した。算出された加熱寸法変化率を下記評価基準に従って評価した。
SL=|(L1−L0)|/L0×100・・・(t1)
[SL:長手方向の加熱寸法変化率(%)、L1:加熱後の長手寸法(mm)、L0:加熱前の長手寸法。]
SS=|(L3−L2)|/L2×100・・・(t2)
[SS:短手方向の加熱寸法変化率(%)、L3:加熱後の短手寸法(mm)、L2:加熱前の短手寸法。]
ST=|(L5−L4)|/L4×100・・・(t3)
[ST:高さ方向の加熱寸法変化率(%)、L5:加熱後の高さ寸法(mm)、L4:加熱前の高さ寸法]
≪評価基準≫
各方向の加熱寸法変形率の合計(SL+SS+ST)を以下の基準で評価した。
◎:加熱変形率の合計が20%未満である。
〇:加熱変形率の合計が20%以上30%未満である。
△:加熱変形率の合計が30%以上50%未満である。
×:加熱変形率の合計が50%以上である。
<容器の総合評価>
◎:全ての項目の評価が「◎」であった。
〇:全ての項目の評価が「◎」か「〇」であり、1つ以上が「〇」であった。
△:全ての項目の評価で「×」がなく、かついずれかの項目の評価で「△」が1つ以上であった。
×:いずれかの項目の評価が「×」であった。
(実施例1〜3)
表1の配合に従い、PET、PEI、タルクMB及び架橋剤をミキサーにて混合して、配合物とした。
口径3mmかつランド長5mmのダイを単軸押出機(口径40mm、L/D=40)の先端にセットした。押出機を所定の温度に設定し、押出機で配合物を混錬して樹脂溶融物とした。押出機バレルの途中から発泡剤(イソブタン:ノルマルブタン=35:65(質量比))を圧入し、樹脂溶融物に加え、さらに混練したて、熱可塑性樹脂組成物とした。押出時の樹脂温度を285℃に設定し、ダイから溶融状態の熱可塑性樹脂組成物を吐出量7kg/hにて押出発泡させ、ロッド状発泡体を得た。得られたロッド状発泡体の物性を表1に示す。
但し、実施例1〜3は、参考例である。
Figure 0006864775
表1に示すように、本発明を適用したロッド状の発泡体が得られた。
(実施例4)
表2の配合に従い、PET、PEI、タルクMB及び架橋剤をミキサーにて混合して、配合物とした。
直径93mmの円環状スリットで、かつ、スリット幅が0.6mmのサーキュラーダイを単軸押出機(口径65mm、L/D=34)の先端にセットし、このサーキュラーダイの押出方向前方に円筒状の冷却用マンドレル(直径206mm、長さ310mm)を配置した。冷却用マンドレル内に冷却水を循環させた。押出機を所定の温度に設定し、押出機で配合物を混練して溶融混合物とした。押出機バレルの途中から発泡剤(イソブタン:ノルマルブタン=35:65(質量比))を圧入して樹脂溶融物に加え、さらに混練して、熱可塑性樹脂組成物とした。
押出時の樹脂温度を300℃に設定し、サーキュラーダイのダイスリットから溶融状態の熱可塑性樹脂組成物を吐出量30kg/hにて押出発泡させ、円筒状の発泡体を形成させた。この円筒状の発泡体を冷却用マンドレルによって拡径し、冷却用マンドレルよりもさらに下流側に配した引取機によって引き取らせた。冷却用マンドレルの外周面を発泡体の内周面に沿わせて発泡体を冷却すると共に、冷却用マンドレルの下流側において円筒状発泡体を押出方向に沿って切断した。そして、円筒状発泡体を平坦な帯状にして引取機によりロール状に巻き取った。得られた発泡シートの物性及び評価を表2に示す。
(実施例5〜9、11〜20、比較例1〜4)
表2〜6の配合に従い、押出時の樹脂温度と引取機の引取速度を調整した以外は、実施例4と同様にして発泡シートを作製した。得られた発泡シートの物性及び評価を表2〜6に示す。
(実施例10)
実施例9で得られた発泡シートを粉砕して得られるフレーク状の樹脂を二軸押出機で再溶融させ、ノズル金型よりストランド状に押出し、これを冷却した後ペレタイズした回収ペレットを作製した。
表3の配合に従った以外は、実施例4と同様にして発泡シートを作製した。得られた発泡シートの物性及び評価を表3に示す。
Figure 0006864775
Figure 0006864775
Figure 0006864775
Figure 0006864775
Figure 0006864775
本発明を適用した実施例4〜20は、総合評価が「△」〜「◎」であった。
PEIを含まない比較例1〜2、ガラス転移温度が単一でない比較例3〜4の総合評価は「×」であった。
(実施例21)
実施例12で得られた発泡シートを一辺250mmの平面正方形状に裁断した。裁断した発泡シートを160℃に加熱された一対の熱板で挟持し、発泡シートの表面温度が160℃となった状態で10分間に亘って保持し、ヒートセットが施された発泡シートを得た。得られた発泡シートの物性及び評価を表7に示す。
(実施例22、比較例5〜8)
表7〜8に示した発泡シートを用いて、表7〜8に示したヒートセット条件とした以外は、実施例21と同様にして、ヒートセットが施された発泡シートを得た。得られた発泡シートの物性及び評価を表7〜8に示す。
Figure 0006864775
Figure 0006864775
本発明を適用した実施例21〜22の総合評価は「△」〜「◎」であり、加熱変形試験において特に優れていた。
(実施例23)
実施例12にて得たヒートセットする前の発泡シートを用意し、この発泡シートを一辺250mmの平面正方形状に裁断した。押出(MD)方向が容器の長手方向になるように発泡シートを固定する枠内にセットし、前記発泡シートを320℃のヒーター槽で20秒間予備加熱して、発泡シート表面温度を170℃にした。その後、マッチモールド成形法によって上部に開口部を有すトレー状の成形品(縦210mm×横180mm×高さ30mm)を得た。成形品が得られるまでにかかった時間(成形サイクル時間)は33秒間であった。得られた成形品の物性及び評価を表9に示す。
得られた成形品の融点、結晶化温度、ガラス転移温度は、表9に示した使用した発泡シートの融点、結晶化温度、ガラス転移温度と同じであった。
(実施例24〜29、比較例9〜11)
表9〜11に示した発泡シートを用いて、成形条件を表9〜12に示した条件としたこと以外は、実施例23と同様にして成形品を得た。得られた成形品の物性及び評価を表9〜11に示す。
得られた成形品の融点、結晶化温度、ガラス転移温度は、表9〜11に示した使用した発泡シートの融点、結晶化温度、ガラス転移温度と同じであった。
(実施例30)
実施例5にて得たヒートセットする前の発泡シートを用意し、この発泡シートから一辺が34cmの平面正方形状の試験片を切り出した。発泡シートの押出(MD)方向が容器の長手方向になるように試験片を固定する枠内にセットし、上記試験片を320℃のヒーター槽で20秒間予備加熱して、発泡シート表面温度を170℃にした。次いで、発泡シートを180℃加熱した金型で真空圧空成形し、10秒間金型内で成形品を保持した。その後金型を開放し、ヒートセットを施した上部に開口部を有すトレー状の成形品(縦210mm×横180mm×高さ30mm)を得た。得られた成形品の物性及び評価を表11に示す。
得られた成形品の融点、結晶化温度、ガラス転移温度は、表11に示した使用した発泡シートの融点、結晶化温度、ガラス転移温度と同じであった。
(実施例31〜32、比較例12〜16)
表11〜12に示した発泡シートを用いて、成形条件を表11〜12に示した条件としたこと以外は、実施例30と同様にして成形品を得た。得られた成形品の物性及び評価を表11〜12に示す。
得られた成形品の融点、結晶化温度、ガラス転移温度は、表11〜12に示した使用した発泡シートの融点、結晶化温度、ガラス転移温度と同じであった。
Figure 0006864775
Figure 0006864775
Figure 0006864775
Figure 0006864775
本発明を適用した実施例23〜32の総合評価は、「△」〜「◎」であった。
以上の結果から、本発明を適用することで、熱可塑性樹脂発泡体の耐熱強度を高められることが、確認された。
なお、比較例11、15、16は、耐熱強度の評価が「△」であったが、発泡体の基本機能である成形性が「×」であるため、本発明の課題を解決していないと判断した。
2 発泡体(発泡シート)
22 発泡層
100 容器

Claims (19)

  1. シート状の熱可塑性樹脂発泡体の層を有し、
    前記熱可塑性樹脂発泡体は、熱可塑性樹脂を含み、
    前記熱可塑性樹脂は、ポリエステル系樹脂とポリエーテルイミド系樹脂とを含み、
    前記熱可塑性樹脂発泡体のガラス転移温度Tgが単一である、熱可塑性樹脂発泡シート。
  2. 前記ガラス転移温度Tgは、80〜130℃である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂発泡シート。
  3. 前記熱可塑性樹脂発泡体は、加熱速度10℃/分における熱流束示差走査熱量測定によって求められる吸熱量と発熱量との差の絶対値が3〜35J/gである、請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂発泡シート。
  4. 前記熱可塑性樹脂の総質量に対する前記ポリエステル系樹脂の含有割合は、40〜95質量%であり、
    前記熱可塑性樹脂の総質量に対する前記ポリエーテルイミド系樹脂の含有割合は、5〜60質量%である、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂発泡シート。
  5. 前記熱可塑性樹脂発泡体は、加熱速度5℃/分、周波数1Hzでの固体粘弾性測定における前記ガラス転移温度Tgと前記ガラス転移温度Tg+20℃との間の貯蔵弾性率E’の指数近似式の傾きが−0.18〜−0.025である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂発泡シート。
  6. 前記ポリエステル系樹脂が、植物由来のポリエステル系樹脂を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂発泡シート。
  7. 前記熱可塑性樹脂が、リサイクル原料を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂発泡シート。
  8. 前記熱可塑性樹脂と発泡剤とを含む熱可塑性樹脂組成物を押し出し、発泡して、前記シート状の熱可塑性樹脂発泡体の層を得る工程を有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂発泡シートの製造方法。
  9. 前記熱可塑性樹脂組成物は、架橋剤をさらに含む、請求項に記載の熱可塑性樹脂発泡シートの製造方法。
  10. シート状の熱可塑性樹脂発泡体の層を有し、
    前記熱可塑性樹脂発泡体は、熱可塑性樹脂を含み、
    前記熱可塑性樹脂は、ポリエステル系樹脂とポリエーテルイミド系樹脂とを含み、
    前記熱可塑性樹脂発泡体のガラス転移温度Tgが単一である、熱可塑性樹脂発泡シート成形体。
  11. 前記ガラス転移温度Tgは、80〜130℃以下である、請求項10に記載の熱可塑性樹脂発泡シート成形体。
  12. 前記熱可塑性樹脂発泡体は、加熱速度10℃/分における熱流束示差走査熱量測定によって求められる吸熱量と発熱量との差の絶対値は、3〜35J/gである、請求項10又は11に記載の熱可塑性樹脂発泡シート成形体。
  13. 前記熱可塑性樹脂の総質量に対する前記ポリエステル系樹脂の含有割合は、40〜95質量%であり、
    前記熱可塑性樹脂の総質量に対する前記ポリエーテルイミド系樹脂の含有割合は、5〜60質量%である、
    請求項1012のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂発泡シート成形体。
  14. 前記熱可塑性樹脂発泡体は、加熱速度5℃/分、周波数1Hzでの固体粘弾性測定における前記ガラス転移温度Tgと前記ガラス転移温度Tg+20℃との間の貯蔵弾性率E’の指数近似式の傾きが−0.18〜−0.025である、請求項1013のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂発泡シート成形体。
  15. 前記ポリエステル系樹脂が、植物由来のポリエステル系樹脂を含む、請求項1014のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂発泡シート成形体。
  16. 前記熱可塑性樹脂が、リサイクル原料を含む、請求項1015のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂発泡シート成形体。
  17. 食品包装容器である、請求項1016のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂発泡シート成形体。
  18. 電子レンジ加熱対応容器である、請求項1017のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂発泡シート成形体。
  19. 請求項1〜のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂発泡シート得る工程と、前記熱可塑性樹脂発泡シートを成形して熱可塑性樹脂発泡シート成形体を得る工程とを有する、熱可塑性樹脂発泡シート成形体の製造方法。
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