JPH0833525B2 - 像形成用回折光学素子の収差を低減する方法とそのための光学系 - Google Patents

像形成用回折光学素子の収差を低減する方法とそのための光学系

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JPH0833525B2
JPH0833525B2 JP1280023A JP28002389A JPH0833525B2 JP H0833525 B2 JPH0833525 B2 JP H0833525B2 JP 1280023 A JP1280023 A JP 1280023A JP 28002389 A JP28002389 A JP 28002389A JP H0833525 B2 JPH0833525 B2 JP H0833525B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、像形成能力を有する回折光学系に関し、更
に詳しくは、収差を補正する回折光学像形成レンズ装置
に関する。
本発明は特に風景用レンズおよび有限共役を有するレ
ンズとして使用するのに適し、単色照明をもって画像形
成を行う。また、本発明はレーザスキャナにおいて有益
なf−θ走査レンズを提供する。回折レンズはプラステ
ィックのような照明に対して透明な媒体に刻印または押
圧された輪帯回折板構造のものが好ましい。また、レン
ズは光学的に記録されたまたはコンピュータによって生
成されたホログラフィー素子であってもよい。
回折光学素子は、光学軸のすぐ近くを除いて許容でき
ないほどの大きな画像収差を発生するので、像形成には
使用されていなかった。回折レンズ、特にホログラムレ
ンズに関する情報は次の特許および刊行物に記載されて
いる。G.P.シンサボックス(Sincerbox)、「ホログラ
フィによる光学素子の形成(Formation of Optical Ele
ments by Holography)、IBM Tec.Disclosure、Bull、1
0、267(1967年);ブルックス等(Brooks et al)、U.
S.3578845、1971年5月11日;タツノ等(Tatsuno et a
l)、U.S.4688880、1987年8月25日;クワヤマ等(Kuwa
yama et al)、U.S.3626679、1986年12月2日;ウィズ
リングトン(Withrington)、U.S.3940204、1976年2月
24日;アストンソン等(Astonson et al)、U.S.373721
2、1973年6月5日;タイエン(Tien)、U.S.4140362、
1978年2月20日;およびビョックランド等(Bjorklund
et al)、U.S.4432597、1984年2月21日。位相エラーに
対して回折光学素子を補正し、これにより補正されたフ
ーリエ変換レンズを提供することが提案されている。J.
ケドミ(Kedmi)およびA.A.フリーゼム(A.A.Friese
m)、「最適ホログラフィフーリエ変換レンズ(Optimal
Holographic Fourier-Transform Lens)」、アプライ
ドオプティクス、23,22,4015-4019(1984年11月15日)
およびJ.N.シーダクイスト(J.N.Ceder quist)および
J.R.ファイナップ(J.R.Fienup)、「最適ホログラフィ
光学素子の分析的設計(Analytic Design of Optimum H
olographic Optical Elements)」、J.Opt.Soc.Am.A、
4,4,699-705(1987年4月)を参照されたい。しかしな
がら、回折光学素子は回折レンズによって画像面に大き
な収差が導入されるので(従来のガラスレンズと対照し
た場合)対象物の像形成用に有益であると考えられてい
なかった。
本発明の主目的は、コマ収差、非点収差、視野の平坦
さ(視野湾曲またはペッツヴァル湾曲)を含む収差を補
正することができるとともに、球面収差を補正でき、こ
れにより同様な複雑さの従来の屈折レンズ光学系よりも
優れた像形成能力を有する回折レンズで像形成を行う改
良された方法および光学系を提供することにある。以下
「素子」と「レンズ」の語は互に互換的に使用される。
本発明の他の目的は、低価格、すなわち同等の優れた
またはこれ以下の性能を有する従来のレンズ装置の価格
よりも低価格で作ることができる対象物の画像を形成す
る改良された回折レンズ系を提供することにある。本発
明のこの目的によれば、回折レンズは、プラスティック
からレンズを形成する輪帯回折板を刻印または押圧する
ことによって形成され、これにより従来のレンズに必要
であった研磨を必要ないものにしている。
本発明の他の目的は、有限共役を有し(対象物および
画像面に対して特定の焦点距離をもって設計される)、
また収差を補正し、平坦な視野像形成を行うように補正
することができる回折レンズを有する改良された像形成
装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、fが焦点距離であり、θが走査
角度であるf−θ状態を満足し、収差を補正し、平坦な
視野像形成を行う改良されたレーザ回折走査レンズを提
供することにある。
簡単に説明すると、本発明は好ましくは対象物が遠く
にある(風景用レンズの場合におけるように)レンズの
前側焦点面に最も長い共役距離(対象物または画像にお
ける焦点までの最も長い距離)を有する方向にレンズか
らの間隔が開いている場所にレンズの光学軸が通過する
開口絞りを位置付けることによって回折光学レンズによ
って形成される対物レンズの画像における収差を低減し
ている。それから、対象物が(実質的に無限の)遠くに
ある近軸の場合には、コマ収差、非点収差、歪および視
野湾曲はゼロに低減する。口径内に位相補正プレート
(非球面補正プレート−−「シュミットカメラ型」)を
設けることによって、球面収差を補正することができ
る。レンズは、平行関係にある回折帯を設けることによ
ってアナモルフィック構造に作ることができる。有限共
役の場合には、レンズ装置は作動絞りを設け、充分な帯
間隔を設けることによって補正される。歪はf−θ操作
レンズを形成するように制御される。
本発明の上述したおよび他の目的、特徴および利点は
その現在の好適実施例とともに、添付図面に関連して次
の説明を閲読することにより一層明らかになるであろ
う。本発明の更に詳細な内容およびそれに関連する数式
的誘導は本願発明者によってアメリカにおける特許出願
後に発表されたD.A.バラリ(D.A.Buralli)およびG.M.
モリス(G.M.Morris)の「広視野回折風景用レンズの設
計(Design of a Wide-Field Diffractive Landscape L
ens)」なる論文(Applied Optics,Vol.28(Sep.1989,
p.3950-3959)を閲読することにより得られる。
第1図を参照すると、DOEと表示されている輪帯回折
板型回折レンズを有するレンズ装置が示されている。半
径r1(第4A図参照)の中央円形帯を有する回折面を有す
る輪帯回折板型レンズおよび半径r1およびr2、r2および
r3...の環状帯が示されているが、DOEの用語は像形成能
力において回折を利用するレンズおよびミラーを含む全
ての光学素子を意味している。第1図において、DOEは
像面に面している。光学軸はDOEの中心を通って伸びて
いる。DOEから対象物の方向に間隔を開けて開口絞りが
設けられている。対象物の方向は(図示のような)伝達
系の場合にはDOEにおいて像面と反対側である。開口絞
りの中央部(口径)は光学軸と交差している。この系は
イメージスペースにおいて遠距離の中心を有する(tele
centric)。近軸主光線、すなわち開口絞りの中心を通
過する光線は、光軸に直角なレンズの経線に沿った距離
の所においてレンズと交差する。
図示のレンズは、無限遠の所にある対象物が像面に焦
点を合わせられた像を有するので、遠距離の中心を有す
る近軸風景用レンズ装置である。このレンズ装置は単色
で動作するように設計され、光が波長λである場合に
像面に像が形成される。λは設計波長と称する。この
レンズ装置は説明が進むにつれて明らかになるように他
の波長で動作することができる。レンズの焦点距離はf
であり、これはレンズからレンズの後側における像面ま
での距離であり、λの光に対してレンズの前側(対象
物の方向)におけるレンズから焦点面までの距離はfで
ある。mが帯の数を示す整数である場合に、帯半径は次
式によって定められ、 開口絞りが利用され、レンズから離れた位置に設けられ
ている場合において、球面収差SI、コマ収差SII、非点
収差SIII、視野の平坦さ(視野のベッツヴァル湾曲)S
IUおよび歪SUが次の式によって表される。
▲S* IV▼=0, (5) これらの式において、項uは次式によって定められ
る。
=t, (7) これらの項は近軸主光線用の適当な量を示すようにバー
が付される。
式(2)−(6)から明らかなように、開口絞りが前
側焦点面に設けられている場合(すなわち、レンズが像
スペースにおいて遠距離の中心を有する)、tがfに等
しいときには、その結果の収差は次の通りである。
▲S* II▼=▲S* III▼=▲S* IV▼=0, (9) ▲S* V▼=y. (10) 従って、コマの視野収差、非点収差および視野湾曲は無
限遠にある対象物に対してゼロである。これは視野を横
切る像品質に僅かな変動かあっても離れた対象物の像形
成を可能にする。このレンズ装置の比較性能が第7A図、
第7B図および第7C図に示され、等価な従来のレンズ装置
が第6A図、第6B図および第6C図に示され、等価なホログ
ラフィレンズ装置が第8A図、第8B図および第8C図に示さ
れ、ここにおいてx−y面の帯の半径(光学軸に垂直
な)は次式によって与えられる。
帯の側面が第4B図に示されている。高さはλ=λ
おいて100%の回折効率を発生するように選択される。
直線のような他の寸法は回折効率において僅かな損失を
もって使用することができる。帯間隔式によって定めら
れる帯境界は現れる波面の形を決定する。高さは次式に
よって定められる。
ここにおいて、 M=m−1(rm-1r<rmにおいて) (14) 以上の説明のおいては、DOEは回折効率が最大になる
ように設計波長λで使用されるものと想定してきた。
u(λ)は設計波長λにおける回折レンズの屈折率
の慣用の記号である。しかしながら、収差は開口絞りか
らレンズまでの距離が次式である場合、どのような波長
λに対しても低減することができる。
開口絞りにおける口径の直径は許容され得る補正され
ない球面収差によって制限される。それにも関わらず、
単一の回折光学像形成装置は多くの素子を有する屈折装
置にほぼ近いイソプラナティズム(isoplanatism)を示
す。これはクックの3枚構成のレンズ用である第6A図の
比較から明らかであり、第7A図は第1図に示す形式の単
一レンズのシステムのものである。球面収差の0.95λが
許容される場合には、システムの全口径(開口絞りにお
ける口径の直径)はストレール(Strehl)の許容限界を
装置が越えない場合には、次の式を満足しなければなら
ない。
球形収差は第3図に示すように開口絞りの口径に位相
補正プレートを使用することによって補正することがで
きる。この位相補正プレートは「シュミットカメラ型」
非球面補正プレートとして知られている。このプレート
は上述した球面収差SIを補正するようにこのようなプレ
ートの設計用の従来の技術を使用して適切に設計され
る。
第2図を参照すると、DOEは第1図に示す場合の像面
に近接しているものよりも対象物に面している回折構造
を有していることが分かる。第2図の構成は全反射に関
する問題を避けるために大きな視野を有するレンズ用途
に好ましいものである。
同じ設計規準は第5図に示すような円筒形の回折レン
ズを使用するアナモルフィックレンズ装置を構成するの
に使用される。このレンズの帯は互いに平行であり、レ
ンズの(第5図に点線で示す)中心からの間隔は次式に
よって定められる。
式(17)において、fpは円柱レンズの焦点距離である。
第6A図、第6B図および第6C図を参照すると、変調伝達
関数(modulation transfer function-MTF)、具体的に
は従来のガラスレンズ、特にF/5.6クックトリプレット
のMTFが示されている。第6A図はゼロの対象物の場合の
ものである(FOB-0)。この曲線は光学軸に沿っている
ものである。第6B図はこの典型的な場合において4.5°
である完全な対象物を示している。第6C図は第6A図およ
び第6B図に示すものよりも中間の高さのものである0.7
のFOBを示している。1のMTFはレンズ装置が完全に対象
物を写していることを示している。これは第6A図に示す
ように従来のレンズ装置に対する光学軸に対する場合の
ものである。
これらの図において、Xで示す曲線は接線方向におけ
るMTFを示し、矢印で示す曲線は矢状方向におけるMTFを
示している。四角で示す曲線はレンズの理想的または回
折限界におけるMTF用のものである。第6B図および第6C
図は接線方向および矢状方向における性能の低下を示
し、より大きな偏差は全対象物の場合にある(FOB=
1)。
第6A図、第6B図および第6C図は本発明によって提供さ
れる回折像形成装置用のものである第7A図、第7B図およ
び第7C図の曲線とそれぞれ比較される。これらの図にお
いては、光学軸に沿った球面収差に対する補正を考えて
いない。従って、第7A図に示すように、光学軸に沿って
いくらかの劣化がある。この劣化は上述したように補正
プレートを使用することによって取り除くことができ
る。第7B図および第7C図を第6B図および第6C図と比較す
ると、本発明によって提供されるレンズの性能は単一素
子のみの場合であるが従来のレンズの性能より優れてい
ることを示している。本発明のレンズの性能は第7B図お
よび第7C図と第8B図および第8C図との比較から明らかな
ように従来のホログラフィレンズの性能より更に優れて
いる。
以上の説明においては、本発明はレンズが風景用レン
ズである場合の近軸帯について説明している。また、本
発明は風景用レンズに対すると同じように有限共役を有
し、収差が低減している回折像形成レンズを提供する。
次式によって定められる回転対称位相関数を有する回
折レンズについて考える。
φ(r)=2π(Ar2+Gr4), (18) ここにおいて、rは回折レンズに対する接平面における
放射状極座標である。Aは位相関数の倍率系列における
r2の係数である。接触状態において開口絞りを有する前
記回折レンズ用のザイデル収差は次式によって与えられ
る。
・球面収差 ・コマ収差 ・非点収差 SIII=H2φ, (18c) ・ベッツヴァル湾曲 SIV=O, (18d) ・歪曲 SV=0. (18e) 式(18)において、yはレンズにおける近軸周辺光線高
さであり、一次回折が使用されると想定した場合(φ=
1/f、ここにおいてfは焦点距離であり、φが設計波
長λにおけるパワーである場合φ(λ)=φλ/
φ)φであることに注意されたい)、φ=−2Aλ
(exp「−iωt」時間従属)であり、λは光の波長で
あり、Hは次式によって光学系における面に対して一般
に定められるラングランジュの不変量である。
H=n(u−Y), (19) ここにおいて、uは近軸周辺光線に対する近軸光線角度
を示し、バーが付けられている値は近軸主光線に対する
対応値を示している。また、Bは次式によって定められ
る湾曲パラメータである。
ここにおいて、C subは回折レンズ基板の湾曲である
(湾曲の中心がレンズの右側(像側)にある場合C sub
は正である)。第11図を参照すると、走査構成が示され
ており、ここでC sub=−1/R・Tは次のように定められ
る共役パラメータである。
ここにおいて、mは近軸横倍率である(m=u/u′)。
絞りシフト式は開口絞りをシフト前にこれらの値に動か
した後の収差の値に関連している。これらの式は次の通
りである。
▲S* I▼=SI, (22a) ▲S* II▼=SII+εSI, (22b) ▲S* III▼=SIII+2εSII+ε2SI, (22c) ▲S* IV▼=SIV, (22d) ▲S* V▼=SV+ε(3SIII+SIV)+3ε2SII+ε3SI
(22e) 式22において、εは次式によって定められる絞りシフ
トパラメータである。
ここにおいて、δは絞りシフトによる主光線高さにお
ける変化である。εは装置において全ての面に対して同
じである。
伸ばされた対称物の像形成に使用する場合には、コマ
収差がなく、平坦な視野上に像形成を行うことが好まし
い。上述の式を使用して、S* II=S* III=0を設定し、
εおよびGの値を求める。その結果は次の通りである。
絞り値および4次位相項の選択によって、回折1重項の
収差は次の通りである。
▲S* II▼=▲S* III▼=▲S* IV▼=0, (25b) 式18を使用し、位相φr=2πmを設定し、ここにお
いてmは整数であり、回折ラインの帯の数であり、平坦
視野有限共役レンズ用の帯の間隔は次式で決定される。
m=1、2、3...また、近軸風景用レンズの場合である
G=0の場合には、式(18)は次のように簡単になるこ
とに注意されたい。
rmは式(1)によって与えられる。式(26)で定められ
る帯の間隔は全波帯を表していることに注意されたい。
他の帯間隔が可能である。例えば、mが整数である場合
φr=πmを設定することによって半波帯間隔を定める
ことができ、またはmが整数である場合にφr=4πm
を設定することによって2波帯を定めることができる。
帯間隔に対するこれらの異なる定義は収差補正に影響は
ないが、回折効果には影響を与える。そして、式(1)
において、mの前の整数はどんな整数でも可能である
が、好ましくは1、2、4、6、8...である。
従って、有限共役を有し、コマ収差および平坦な視野
像形成を有する回折1重項レンズは式(24a)、(24b)
および(26)によって定められるように充分な帯間隔お
よびレンズからの開口絞り変位を与えることによって得
られる。レンズは平面、B=0であってよいが、好まし
くは湾曲しており、湾曲している場合には、湾曲してい
ないものよりも高い解像度を与え、更に開口絞りの位置
にわたって制御することができる。
これらの式を使用した一例として、次に示すパラメー
タを有するレンズを設計することができる。
設計波長:λ=0.6328μm 焦点距離:f=100mm(φ=0.01mm-1) 倍率:m=−0.2(5:1低減) (レンズの左側の対称物までの距離600mm;レンズの右側
の像までの距離120mm) 対称物の大きさ:h=−25mm(像の大きさ=5mm) 基板の湾曲:C sub=1/(6f)=0.0016667mm-1 湾曲のパラメータ:B=1/3) この倍率の場合、共役パラメータはT=2/3であり、
式(24b)は(設計波長λを使用して)Gの値を次の
ように与える。
G=2.7435x10-5mm-4 レンズにおいて7.5mmの周辺光線高さ(y)を選択する
と、H=−0.3125mmのラグランジェ不変量が与えられ
る。式(24a)は絞りシフトパラメータに次のものを与
える。
ε=1.1111111 次に、実際の絞り位置にεを関係付ける方法を見つける
必要がある。まず、絞りシフト前に(レンズと接触状態
にある絞り)=0であるので、式(7)の量δはレ
ンズにおけるの新しい値(絞りシフト後の)に丁度等
しいことに注意されたい。そこで=εy=(1.111111
1)(7.5mm)=8.3333333mmが必要になる。
レンズの対象物空間を示している第10図を参照する
と、相似三角形を使用して、次に示す式を設定すること
ができる。
ここにおいて、tは絞りからレンズまでの距離である。
この式をtに対して解くと、t=150mmが得られる。こ
れは絞りがレンズの左側150mmのところに置かれている
ことを意味している。残りの収差は次のようになる。
S* I=7.91x10-4mm and S* V=0.0011mm. これらの値は0.1563λの最大波面球形収差および−0.
1736%(3次値)の最大部分歪曲に対応する。球形収差
は適切に設計されたゼロパワー非球面を開口絞り面に設
けることによって補正される。
また、本発明は回折レーザ走査レンズを提供してい
る。第11図にはコマ収差をもたずに(S* II=0)平坦像
面(S* III=S* IV=0)上に平面波の焦点を合わせる回
折1重項が示されており、焦点に集められたスポットは
視野(像面)上の形状を偏向しない。開口絞りは回転ミ
ラー(ポリゴン)またはホロゴン(回転するホログラフ
ィ回折格子)である走査装置上に形成され、ミラー上の
ものとして第11図に示されている。更に、歪曲補正レン
ズ用のルールであるY=f tan(θ)よりもむしろルー
ルY=f・θによって像の高さを与えるために充分な歪
曲が必要である。この「f−シータ」状態は線形走査お
よび一定の走査速度を与える。設計式によって与えられ
る開口絞り位置は走査装置の位置を決定する。このf−
θ走査レンズと呼ばれるレンズを設計するために、平行
照明を使用するものと想定する。そして、T=−1(無
限遠の対象物)を有する式(25)および次の式を使用す
る。
式28はf−θ状態用の歪曲の適当な値である。式(10)
はθに比例する像の高さ用の横光線収差の適当な値を考
えて導き出される。即ち、 3次の歪曲用の横光線収差の多項式項は形式εy=σ5h
3を有し、hは正規化された対象物の高さである。式(2
9)は係数σが次式に等しいことを示す。
波面収差および横光線収差の関係を使用し、すなわち ここにおいて、Wは波面収差であり、ρおよびφrは極
瞳孔座標であり(ρは正規化された半径座標である)、
この結果式(28)となる。
湾曲した走査レンズの場合には、T=−1であるの
で、式(24)は次を意味する G scan=0 (32) 式(25c)および(28)は次を必要とする B scan=−1 (33a) または、等価的に、 これは、基板の曲率半径が焦点距離の2倍に等しく、湾
曲の中心が回折レンズの左側にあることを意味してい
る。また、式(24a)は次式を与える。
式(34)を使用することによって、絞りからレンズまで
の距離tが次のように与えらえる。
回折レンズが平面基板上にある平面走査レンズの場合に
は、更に平坦視野(S* III=S* IV=0)およびfシータ
状態が与えられるが、コマ収差に対する制御はない。実
際には、この問題に対して2つの解決法がある。この解
決に対するパラメータは次の通りである。
解決A 解決B 解法Aは小さな値のコマ収差を有するシステムとなる
が、解法Bは走査装置からレンズまでの距離が小さいと
いう点から好ましいものである。
帯間隔は式(26)を使用してGから決定される。
走査レンズの例として、次のパラメータを考える。こ
れらのパラメータは+/−20度の最大走査角度を有する
8.5インチの紙の幅の走査に対応するように選択されて
いる。fナンバーは1インチあたり300スポットに対応
するエアリーの円盤の直径を与えるように選択されてい
る。開口絞りの大きさは焦点を合わせられたビーム(固
定焦点距離を想定)のfナンバーを決定する。スポット
の大きさはfナンバーに比例するので、開口絞りの大き
さは像面における解像できるスポットの数を制御する。
焦点距離:f=310mm 設計波長λ=0.6328μm Fナンバー:F/50 湾曲した走査レンズの場合には、G=0、C sub=−1/6
20mm-1=−1/(2f)、およびt=206.66mm=(2/3)f
である。平面走査レンズの場合には、解法BはG=1.23
73x10-5およびt=131.0214mmである。2乗平均平方根
の幾何学的スポット半径および像の高さ対入力ビーム角
度の曲線が第12A図ないし第14A図および第12B図ないし
第14B図にそれぞれ示されている。開口絞りの面積を増
大することによって、すなわち第12図ないし第14図の説
明で上述したようにFナンバーを減らすことによって、
高い解像度(小さなスポットサイズ)が得られる。これ
らのパラメータに対するエアリーの円盤の半径は約39ミ
クロンであり、湾曲したレンズは事実上この視野にわた
って回折が限られている。湾曲したレンズ用の高い走査
角度におけるスポットサイズの増大は高次の収差による
ものである。平面レンズ用の増大するスポットサイズは
補正されない3次のコマ収差によるものである。像の高
さ曲線の線形の性質は高度のf−θ補正を示している。
第14A図および第14B図は1インチあたり約1000ドットの
解像度用に選ばれた口径サイズを有する湾曲した走査レ
ンズ用のスポットサイズおよび像の高さを示している。
口径の直径が増大すると、fナンバーが低減し、これに
よりエアリーの円盤の直径が低減する。
ブレージングされた回折レンズは高い回折効率を達成
するので好ましいものである。ブレージングは精密機械
加工、モールド成形またはホトリソグラフィおよびエッ
チング技術によって形成される。
走査角度は形成されるレンズの大きさによって制限さ
れる。所与の波長λおよびFナンバーF/♯の場合には、
最も小さな帯幅s minは次式によってほぼ与えられる。
s min=2λF/♯ (38) 口径食(vignettingレンズによる像の周辺部が暗くな
ること)を防止するために、レンズの半口径S.A.は次式
を満足しなければならない。
S.A.≧y+ (39) 前述した300ドット/インチの湾曲した走査レンズの
パラメータの場合にはレンズの最小の半口径は78.3mmで
ある。これはレンズ自信のfナンバーがF/1.98であるこ
とを示している。式(39)はλ=0.6328ミクロンに対し
て2.58ミクロンの最小の帯幅を与える。製造価格を低減
するために、または製造しやすくするために、回折レン
ズの各帯によって2つ(または以上の)フレネル帯をカ
バーさせることができ、これは大きさおよび変調の深さ
を倍(またはそれ以上)にする。後者の技術は単色照明
を利用する装置用のみに有益である。
本発明のレンズは適切な形状の型によって刻印するこ
とによるような従来の輪帯回折板技術で作ることができ
るので、本発明を具体化したレンズ装置の価格は匹敵し
得る従来のガラスまたはホログラフィレンズの価格より
も非常に小さいものになる。
上述した説明から、改良された回折像形成レンズ装置
が本発明により提供されていることが明らかであろう。
本発明の種々の実施例について説明したが、本技術分野
に専門知識を有する者にとっては本発明の範囲内に入る
変形および変更および他の実施例を疑いもなく示唆する
であろう。従って、上述した説明は例示としてとるべき
ものであり、限定の意味に取られるものではない。
【図面の簡単な説明】
第1図は遠距離の中心を有する近軸回折風景用レンズ装
置を構成する本発明を具体化した回折像形成レンズ装置
の構成図である。 第2図はレンズの回折構造が像面に面していない第1図
に類似した図である。 第3図は位相補正プレートが球面収差を補正するように
開口絞りに設けられ、特に装置が低いFナンバーを有す
る場合に有益である第1図に類似した図である。 第4A図は第1図ないし第3図に示す形式の近軸回折レン
ズの正面図である。図を簡単にするために例示的な数の
帯のみが示されているが、実際のレンズ装置においては
例えば1700のような多数の帯が適切には使用されるもの
である。 第4B図は第4A図に示すレンズの回折面の形状(断面)を
示す図である。 第5図は本発明を具体化するアナモルフィックレンズシ
ステムを提供するのに使用される円筒系近軸回折光学素
子の正面図である。 第6A図、第6Bおよび第6C図は第1図および第2図(第7A
図、第7B図および第7C図)に示すような本発明を具体化
したレンズ装置の性能および従来の光学的に記録された
ホログラフィレンズ(第8A図、第8B図および第8C図)を
特徴付ける類似した曲線と比較するために使用される全
てのレンズおよびレンズ装置が同じFナンバーを有する
従来の(ガラス)レンズ、特に、このようなレンズの性
能を特徴付けるクックの3枚構成のF/5.6レンズの変調
伝達関数の曲線である。 第7A図、第7B図および第7C図は第1図および第2図に示
す形式の遠距離の中心を有する近距離回折レンズの性能
を特徴付ける変調伝達関数を示す曲線である。 第8A図、第8B図および第8C図は従来の光学的に記録され
たホログラフィレンズの性能を特徴付ける変調伝達関数
の曲線である。 第9図は本発明による有限共役を有し、遠く離れた開口
絞りを有する単一レンズから成る像形成装置のレイアウ
トを示す図である。この図において、すべての示す値
は、レンズを通過した後の近軸周辺光線の角度をu′を
除いて正である。近軸横倍率mはm=u/u′によって与
えられる。周辺光線は開口絞りの縁部を通過するが、主
光線は開口絞りの中心を通過する。 第10図は第9図に示すレンズ装置の対象物空間の簡略化
されたレイアウトである。 第11図はレーザー走査回折レンズの簡略化されたレイア
ウトである。角度θで入射する平面波照明の場合、像の
高さYはY=fθで与えられ、ここでfは焦点距離であ
る。このf−θ状態は像面を横切る一定の走査速度を与
える。 第12A図および第12B図はそれぞれ本発明による典型的な
湾曲した回折走査レンズ用の2乗平均平方根のスポット
サイズ(幾何学的)および像の高さ対走査角度の曲線で
ある。設計パラメータは焦点距離f=310mm、設計波長
=0.6328ミクロン、fナンバーF/50である。これらのパ
ラメータの場合、エアリーの円盤の半径は約39.1ミクロ
ンであり、これは1インチあたり約300の解像できるス
ポットに対応する。 第13A図および第13B図はそれぞれ本発明による典型的な
平面回折走査レンズ用の2乗平均平方根のスポットサイ
ズ(幾何学的)および像の高さ対走査角度の曲線であ
る。設計パラメータは焦点距離f=310mm、設計波長=
0.6328ミクロン、fナンバーF/50である。これらのパラ
メータの場合、エアリーの円盤の半径は約39.1ミクロン
であり、これは1インチあたり約300の解像できるスポ
ットに対応する。 第14A図および第14B図は本発明による典型的な湾曲回折
走査レンズ用の2乗平均平方根のスポットの直径(幾何
学的)および像の高さ対入力走査角度の曲線である。設
計パラメータは焦点距離f=310mm、設計波長λ=0.6
328μm、f−ナンバーF/15である。これらのパラメー
タの場合、エアリーの円盤の半径は約11.7ミクロンであ
り、これは1インチ当り約1000個の解像できるスポット
に対応する。

Claims (27)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一つの光学軸を有する回折光学素子のコマ
    収差と非点収差を含むザイデル収差を開口絞りを用いて
    低減するための、該開口絞りを光学軸にそって、該回折
    光学素子の対象物側において、該光学素子から該収差を
    低減するに充分な距離に位置させることからなる方法で
    あって、該回折光学素子がレンズのための位相関数を確
    立するための複数の環状輪帯を有する平面レンズであ
    り、該充分の距離が該位相関数に依存することを特徴と
    する方法。
  2. 【請求項2】特許請求の範囲第1項に記載の方法であっ
    て、回折光学素子が波長λの光を焦点合わせする焦点
    距離を有するように設計されて、波長λの光を焦点合
    わせし、前記距離が該素子の焦点距離fと比λ/λ
    (λは対象物から発せられ光学素子を照射する光の波
    長)の積に等しく、λがλに等しい方法。
  3. 【請求項3】特許請求の範囲第1項に記載の方法であっ
    て、前記距離が該光学素子の焦点距離に等しい方法。
  4. 【請求項4】特許請求の範囲第1項に記載の方法であっ
    て、対象物からの光が該開口と該光学素子を通過し、該
    開口を通過する光の位相変異を該像の球面収差を補正す
    るに充分な量だけ補正することによって除去することを
    含む方法。
  5. 【請求項5】特許請求の範囲第1項に記載の方法であっ
    て、該素子が複数の連続的に間隔を置いて形成された輪
    帯からなり該輪帯はおのおのrm+1−rm(rは次の関係
    によって波長λおよび焦点距離fに依存する) (式中、mは整数である)に従った幅を有し、さらに、
    前記帯の幅を該対象物からの波長λの光に対して一定の
    焦点距離を有する該光学素子の前記収差を低減するに充
    分な距離だけ調整することからなる方法。
  6. 【請求項6】特許請求の範囲第1項に記載の方法であっ
    て、位置決め段階が、該光学素子に対する前記開口絞り
    の位置を、該光学素子の焦点距離と該素子の光学軸と該
    素子を通過して該像に入射する光線の間の角θの積に比
    例する、像の高さとして現れる像の歪曲を充分に生じさ
    せ、該素子を通過する光線が像を含む平面を一定速度で
    走査するように、移動させることからなる方法。
  7. 【請求項7】特許請求の範囲第1項に記載の方法であっ
    て、前記収差の少なくとも一つを補正するように充分な
    だけ前記光学素子を湾曲させることを含む方法。
  8. 【請求項8】光学軸と対象物から来て素子を照射する波
    長λの光に対する焦点距離fを有する、対象物の像を
    形成する回折光学素子からなり、対象物側と像側に前側
    焦点面と像面を有し、焦点面と像面は該素子の光学軸に
    対して直角であり、像は該像面に焦点合わせされ、前記
    焦点面と像面の一つに開口絞りが設けられ、対象物また
    は像が該素子からもっとも遠く、該像の収差を低減する
    に充分に該素子から離れた距離に最長共役距離を有する
    回折光学系。
  9. 【請求項9】特許請求の範囲第8項に記載の光学系であ
    って、該開口絞りが開口が該光学軸によって横切られる
    ように、前側焦点面に位置している光学系。
  10. 【請求項10】特許請求の範囲第8項に記載の光学系で
    あって、該開口絞りが該光学素子から式 で示される距離t(式中λは像を形成する光の波長であ
    る)に位置する光学系。
  11. 【請求項11】特許請求の範囲第8項に記載の光学系で
    あって、該光学素子が光学軸から各々式 (式中xは整数である)によって与えられる半径rのm
    個の帯を有し、該開口絞りの位置が式 (式中tは該開口絞りの素子からの距離であり、λは像
    を形成する光の波長である)によって定められる光学
    系。
  12. 【請求項12】特許請求の範囲第8項に記載の光学系で
    あって、さらに、該素子によって形成される球面収差を
    補正するための開口内に位相補正素子を有する光学系。
  13. 【請求項13】特許請求の範囲第11項に記載の光学系で
    あって、該素子がアナモルフィック素子であり、該帯が
    互に平行であり、rが、該素子の中心を通り該素子の光
    学軸に一致する中心線からの距離であり光学系。
  14. 【請求項14】特許請求の範囲第11項に記載の光学系で
    あって、該素子が次式 (式中 rm-1≦r<rmに対してM=m−1 )で定められる高さを有する表面レリーフ構造を有する
    光学系。
  15. 【請求項15】特許請求の範囲第11項に記載の光学系で
    あって、光学素子がレンズであり、該対象物と像が該レ
    ンズの反対側にある光学系。
  16. 【請求項16】特許請求の範囲第8項に記載の光学系で
    あって、該開口が周辺部を有し、前記光学素子がパワー
    φを有し、該素子から有限の距離に該対象物と有限共役
    を有し、該素子が次式 (式中、mは該素子の近軸横倍率である)で定められる
    共役パラメータTを有しており、前記距離は式 (式中、yは、開口の周辺部を通る対象物面における光
    学軸から外れた周辺部の光線の該素子上の光学軸上の高
    さである)で示される値に比例する光学系。
  17. 【請求項17】特許請求の範囲第16項に記載の光学系で
    あって、前記素子が湾曲させられ、光学軸上の点に対し
    て曲率半径を有し、前記距離が式 (式中、Bは でCsubは光学軸上の点に対する素子の曲率半径の逆数で
    ある)で与えられる値に比例するものである光学系。
  18. 【請求項18】特許請求の範囲第16項に記載の光学系で
    あって、該光学素子が設計波長λに対して像面で像を
    形成し、該素子が式 (式中、λは該要素の設計波長)によって決定される
    輪帯幅を有する光学系。
  19. 【請求項19】特許請求の範囲第8項に記載の光学系で
    あって、該レンズが焦点距離fを有し、該距離が約(2/
    3)fであるf−θ走査要素である光学系。
  20. 【請求項20】特許請求の範囲第19項に記載の光学系で
    あって、該レンズがレンズの対象物側において光学軸に
    沿う中心の回りに有限の曲率を有する光学系。
  21. 【請求項21】特許請求の範囲第22項に記載の光学系で
    あって、該曲率半径の逆数が約−1/2fである光学系。
  22. 【請求項22】特許請求の範囲第8項に記載の光学系で
    あって、該設計波長で像形成するように設計された、焦
    点距離f、パワーφ、設計波長λを有し、前記距離が であり、式 に関係する幅を有すフレネル帯を有する光学系。
  23. 【請求項23】特許請求の範囲第8項に記載の光学系で
    あって、該素子が像面を過って走査される光線の行路に
    置かれた走査レンズであり、該光線を偏向させ像面を過
    って走査させる走査手段からなり、該走査手段が該光線
    が偏向させられる面を有し、該走査手段が該面上で開口
    絞りを決定する光学系。
  24. 【請求項24】特許請求の範囲第1項に記載の方法であ
    って、前記位置付け段階を該開口絞りを、該要素の最長
    共役距離を有する側に置くことによって行う方法。
  25. 【請求項25】特許請求の範囲第1項に記載の方法であ
    って、該開口絞りを対象物側に位置付けるために前記位
    置付け段階を行う場合に、該対象物が事実上無限遠にあ
    る方法。
  26. 【請求項26】一つの光学軸と該光学軸の周りの複数の
    環状輪帯とからなる回折光学要素であって、対象物の像
    を形成する対象物からの波長λの光線についての焦点
    距離fと対象物側と像側にそれぞれ前方焦点面と像平面
    を有し、該焦点面と像面は該回折光学要素の光学軸に直
    角であり、像は該像面に焦点合せされ、該回折光学要素
    はコマ収差と非点収差を含むザイデル収差をを誘起する
    前記環状輪帯の間隔によって決定される位相関数を有
    し、一つの開口絞りが、対象仏側と像側のいずれかに位
    置させられ、その場合に、該要素から最遠に位置する対
    象物または像の距離が最長共役距離であり、該開口絞り
    が、像における前記収差を低減するに充分であるように
    該位相関数に従う該要素からの距離にある方法。
  27. 【請求項27】請求項26に記載の方式であって、輪帯間
    隔が発明の詳細な説明に記載した式26によって決定さ
    れ、開口絞りの位置が式24aおよび24bによって決定され
    る方法。
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