JPH08334207A - ボイラ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ボイラの火炉側壁と火炉出口側壁との間に溶
接したケーシングにおけるクラックの発生を防止する。 【構成】 火炉側壁５と火炉出口側壁８との間に溶接し
たケーシング１７の熱応力が集中する部位に、複数の円
弧を曲線または直線を介して連続せしめた輪郭を有し且
つ最大応力点Ｂが前記円弧の途中に生ずるようにした切
欠部１４を形成し、該切欠部１４を当て板１５によりケ
ーシング１７の外側から被覆すると共に、当て板１５の
外周部複数箇所を溶接部１６としてケーシング１７に対
しスポット溶接する。このようにすれば、ケーシング１
７に作用する熱応力が、切欠部１４の円弧形状に沿って
分散されるので、ケーシング１７にクラックが発生する
ことが防止される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ボイラに関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】図３及び図４は従来のボイラの一例を示
す側面図であって、図示しない建屋から吊り下げ支持さ
れているボイラ１は、火炉２と火炉出口部３と後部伝熱
部４とにより構成されており、火炉２の側面の火炉側壁
５は、複数の伝熱管６の間をフィン７でつないで構成さ
れ、火炉出口部３の側面の火炉出口側壁８は、管寄せ９
から立ち上がっている複数の伝熱管１０の間をフィン１
１でつないで構成されており、更には後部伝熱部４の側
壁も、図示しない複数の伝熱管の間をフィンでつないで
構成されている。

【０００３】ここで、前記火炉出口側壁８を構成する伝
熱管１０のうち、火炉側壁５に隣接する複数本（図４に
図示する例では３本）の伝熱管１０は、管寄せ９の近傍
で一旦外側に張り出されてから火炉２側から離間する方
向に屈曲されて前記管寄せ９に接続されるようになって
おり、このような伝熱管１０の屈曲構造により、前記し
た如き通常の火炉出口側壁８を構成できない部分につい
ては、火炉側壁５と火炉出口側壁８との間にケーシング
１７を溶接して火炉出口側壁８を構成するようにしてあ
る。

【０００４】また、ボイラ１の火炉２で燃料の燃焼によ
り発生した燃焼ガスは、火炉２、火炉出口部３、後部伝
熱部４の順に流されて熱回収された後に排ガスとして排
ガスダクト１２から排出されるようになっており、一
方、火炉側壁５を構成している伝熱管６には水が流さ
れ、この水が前記燃焼ガスの熱を回収して蒸気となり、
この蒸気は後部伝熱部４と火炉出口側壁８を構成してい
る伝熱管１０に導かれて更なる高温化が図られるように
してある。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記し
た如き従来構造では、火炉側壁５を構成している伝熱管
６に水が流れ、火炉出口側壁８を構成している伝熱管１
０には高温の蒸気が流れるようになっている為、火炉側
壁５側と火炉出口側壁８側との温度差による伸び差で前
記ケーシング１７に熱応力が集中することになり、該ケ
ーシング１７にクラックＡが発生し、このクラックＡが
次第に成長して伝熱管１０の破断を招く虞れがあった。

【０００６】本発明は上述の実情に鑑みてなしたもの
で、ボイラの火炉側壁と火炉出口側壁との間に溶接した
ケーシングにおけるクラックの発生を防止することを目
的とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、火炉側壁と火
炉出口側壁との間に溶接したケーシングの熱応力が集中
する部位に、複数の円弧を曲線または直線を介して連続
せしめた輪郭を有し且つ最大応力点が前記円弧の途中に
生ずるようにした切欠部を形成し、該切欠部を当て板に
より前記ケーシングの外側から被覆すると共に、前記当
て板の外周部複数箇所を前記ケーシングに対しスポット
溶接したことを特徴とするボイラ、に係るものである。

【０００８】

【作用】従って本発明では、火炉側壁と火炉出口側壁と
の間に溶接したケーシングに作用する熱応力が、切欠部
の円弧形状に沿って分散されるので、前記ケーシングに
クラックが発生することが防止される。

【０００９】また、前記切欠部は、ケーシングにスポッ
ト溶接された当て板により被覆されているので、火炉出
口部のケーシング内側から外部へ熱気が漏出することは
ない。

【００１０】更に、前記当て板は、その外周部複数箇所
をケーシングに対しスポット溶接して取付けるようにし
てある為、前記当て板自体に熱応力が集中することもな
い。

【００１１】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ説
明する。

【００１２】図１及び図２は本発明の一実施例を示すも
ので、図３及び図４と同一の符号を付した部分は同一物
を表わしている。

【００１３】前述した図３及び図４と略同様に構成した
ボイラ１において、火炉側壁５と火炉出口側壁８との間
に溶接したケーシング１７の熱応力が集中する部位の板
厚を、従来の通常厚み６ｍｍから１２ｍｍに厚くして強
度を強くした上、更に、この強度を強くした部位に、図
示する如く複数の円弧を曲線または直線を介して連続せ
しめた輪郭を有し且つ最大応力点Ｂが前記円弧の途中に
生ずるようにした切欠部１４を形成し、該切欠部１４を
当て板１５（図２参照）により前記ケーシング１７の外
側から被覆すると共に、前記当て板１５の外周部複数箇
所を溶接部１６として前記ケーシング１７に対しスポッ
ト溶接する。

【００１４】尚、前記切欠部１４の円弧の途中に最大応
力点Ｂが生ずるようにする為の設計は、ケーシング１７
に作用する熱応力のベクトルを電算解析することにより
行えば良い。

【００１５】このようにすれば、火炉側壁５と火炉出口
側壁８との間に溶接したケーシング１７に作用する熱応
力が、切欠部１４の円弧形状に沿って分散されるので、
前記ケーシング１７にクラックが発生することが防止さ
れる。

【００１６】また、前記切欠部１４は、ケーシング１７
にスポット溶接された当て板１５により被覆されている
ので、火炉出口部３のケーシング１７内側から外部へ熱
気が漏出することはない。

【００１７】更に、前記当て板１５は、その外周部複数
箇所をケーシング１７に対しスポット溶接して取付ける
ようにしてある為、前記当て板１５自体に熱応力が集中
することもない。

【００１８】従って、上記実施例によれば、火炉側壁５
と火炉出口側壁８との間に溶接したケーシング１７にク
ラックが発生することを防止できるので、発生したクラ
ックの成長による伝熱管１０の破断等の不具合を未然に
防止することができ、ボイラ１を長期間にわたり健全に
運転することができる。

【００１９】また、切欠部１４を形成し且つ該切欠部１
４を被覆するよう当て板１５をスポット溶接した簡単な
構造である為、低コストで実施することができ、しかも
点検補修も容易に行うことができる。

【００２０】尚、本発明のボイラは、上述の実施例にの
み限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない
範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。

【００２１】

【発明の効果】上記した本発明のボイラによれば、下記
の如き種々の優れた効果を奏し得る。

【００２２】（Ｉ）火炉側壁と火炉出口側壁との間に溶
接したケーシングにクラックが発生することを防止でき
るので、発生したクラックの成長による伝熱管の破断等
の不具合を未然に防止することができ、ボイラを長期間
にわたり健全に運転することができる。

【００２３】（ＩＩ）切欠部を形成し且つ該切欠部を被
覆するよう当て板をスポット溶接した簡単な構造である
為、低コストで実施することができ、しかも点検補修も
容易に行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す側面図である。

【図２】図１に仮想線で示した当て板の正面図である。

【図３】従来のボイラの一例を示す側面図である。

【図４】図３のＩＶ部の拡大図である。

【符号の説明】

１ ボイラ ５ 火炉側壁 ８ 火炉出口側壁 １４ 切欠部 １５ 当て板 １７ ケーシング Ｂ 最大応力点

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 火炉側壁と火炉出口側壁との間に溶接し
   たケーシングの熱応力が集中する部位に、複数の円弧を
   曲線または直線を介して連続せしめた輪郭を有し且つ最
   大応力点が前記円弧の途中に生ずるようにした切欠部を
   形成し、該切欠部を当て板により前記ケーシングの外側
   から被覆すると共に、前記当て板の外周部複数箇所を前
   記ケーシングに対しスポット溶接したことを特徴とする
   ボイラ。