JPH0412324Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 本考案は伝熱ヒレを有する水管ボイラーの伝熱
構造の改良に関するものである。

〔考案の技術的背景とその問題点〕 一般にボイラー等の伝熱管表面には熱伝達を促
進する目的でヒレが取付けられている。

水管ボイラーにおいても同様で、伝熱効率の向
上を目的として第６図の如く水管３に燃焼ガスの
流れ方向に対し直角方向にヒレ８を設ける方法が
採用されていた（直角配列式）。しかし、この方
式ではヒレ８の下流側に渦流が発生し、燃焼ガス
の圧力損失が大きいといつた問題がある。そこ
で、近年では伝熱効率の向上を図るとともに燃焼
ガスの圧力損失の低下を目的として例えば、第７
図のイ（平面断面図）、ロ（第７図イの側面図）、
あるいは第８図（縦断面図）、第９図（第８図の
平面断面図）に示す如く平板状ヒレ８を燃焼ガス
の流れ方向Ａに平行に設ける方法がとられるよう
になつた（平行配列式）。この平行配列式は従前
の直角配列式に比べ、伝熱ヒレの面積の増加によ
る伝熱効率の向上の割に燃焼ガスの圧力損失が小
さいという利益がある。しかしながら、前記平行
配列においても、平板状ヒレを燃焼ガス流れ方向
に同一平面に配すると、内側と外側の平板状ヒレ
間あるいは平板状ヒレとボイラー外壁間にシヨー
トパス流路が形成され燃焼ガスと平板状ヒレ基部
（水管に溶接される側のヒレ部分）との接触伝熱
が不十分なため、十分な熱伝達を発揮することが
できない。しかも、平板状ヒレにおいて、温度境
界層発達域における高熱伝達を利用した前縁効果
が形成されるのはヒレ先端部のみであり、燃焼ガ
スの流れ方向のヒレの長さが長くなると温度境界
層が著しく発達し、前記前縁効果を十分利用する
ことができず、伝熱効率の向上に限界がある。し
かも、ヒレと水管との溶接部が長くなるとヒレと
水管との温度差に起因する熱応力が発生し、この
熱応力によりヒレ及び管壁に変形・亀裂を招く危
険がある。

〔考案の目的〕

本考案は上記のような事情に鑑みて成されたも
ので、その目的は、燃焼ガスと伝熱ヒレとの実質
的な接触伝熱面積の向上を図るとともに、ヒレの
前縁効果を高めることにより伝熱効率の向上を図
り、しかも、ヒレと水管の温度差に起因する熱応
力の発生を防ぎ、ヒレ及び管壁の変形・亀裂を防
止したかご型ヒレ付水管ボイラーを提供すること
にある。

〔考案の概要〕

上記目的を達成するために本考案では、上部管
寄せ及び下部管寄せを多数の水管で連結し、これ
ら水管は極めてわずかな隙間を持たせた環状水管
壁として配設し、水管壁の外側に間隙を置いてボ
イラー外壁を設け、水管壁とボイラー外壁との間
に環状の燃焼ガス通路を形成し、ボイラー外壁に
煙道を設けて前記燃焼ガス通路と煙道を連通した
かご型水管ボイラーにおいて、燃焼ガス通路に面
する水管外表面に平板状のヒレを燃焼ガス流れ方
向Ａに平行でかつ水管管軸方向に所要ピツチ間隔
を置いて多段状に設け、前記平板状ヒレに、燃焼
ガス流れ方向Ａに対して所要の角度をもつスリツ
トを設け、前記平板状ヒレの外周面に沿う曲面形
状のカバーを含む伝熱促進体を水管の全長にわた
つて平板状ヒレの外周面に密接して設けることに
より、各上下平板状ヒレの間に強制ガス流路１２
を形成し、かつ前記平板状ヒレの外周中心部にお
ける伝熱促進体に、水管の長さ方向に沿つて開口
部を設けることにより前記強制ガス流路と燃焼ガ
ス通路とを連通せしめたことを特徴とする。

〔考案の実施例〕

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。第１図は本考案におけるかご型ヒレ付水管ボ
イラーの縦断面図、第２図は第１図の−断面
図、第３図は一部拡大側面図、第４図は第３図の
−断面図、第５図のヒレ部の詳細図である。
上記図面において、上部管寄せ１および下部管寄
せ２がともに環状に形成されている。上下管寄せ
１，２は多数の水管３で連結されているのである
が、これら水管３は管軸方向に並列に設けられて
わずかな隙間４を持たせた環状水管壁として配設
され、これら隙間４は燃焼ガスの流路として形成
されている。水管壁の外側にはこれより間隔をお
いてボイラー外壁５が設けられている。かくして
水管壁とボイラー外壁５との間に環状の燃焼ガス
通路６が形成される。上部管寄せ１の内側には燃
焼装置１５が設けられている。環状水管壁内には
燃焼室１６が形成されている。ボイラー外壁５の
一部に煙道７が設けられている。

前記燃焼ガス通路６に面している水管外表面に
は平板状のヒレ８が燃焼ガス流れ方向Ａに平行と
なる向き（即ち、水管の円周方向）であつて、管
軸方向に所要間隔をおいて多段状に取付けられて
いる。該平板状ヒレは水管の周面に略平行な円弧
状外周面とその両端に連なる端面を具えている。
さらに平板状ヒレの円弧状外周面に密接して伝熱
（熱伝達）促進体１１が水管全長にわたつて設け
られている。該伝熱（熱伝達）促進体は前記平板
状ヒレの円弧状外周面に沿う曲面形状のカバー９
と、隣接するカバーを水管間隔間に面する燃焼ガ
ス通路において接続する連結部片１０とからな
り、平板状ヒレの円弧状外周面の中心部において
隣接するカバーの間に水管全長にわたつて開口部
１３が形成される。しかして、伝熱促進体のカバ
ーにより、平板状ヒレ上下間に強制ガス流路１２
が形成され、前記開口部１３と水管間隙間４を通
じてそれぞれ燃焼ガス通路６及び燃焼室１６と連
通している。

前記平板状のヒレには燃焼ガスの流れ方向Ａに
対して所要の角度、例えば実質的直角となる方向
に所要量の幅及び長さのスリツト１４を設けてあ
る。

上記のような構成においてその作用を説明する
と、燃焼室１６で発生した燃焼ガスは、先ず輻射
伝熱により水管と熱交換を行い、水管に対してほ
ぼ直角に流れて隣接水管１，１により形成される
隙間４を対流伝熱によつて水管表面と熱交換しな
がら通過する。そして、隙間４出口で左右に分岐
して強制ガス流路内に流入し、ここでさらに対流
伝熱によつて水管及び平板ヒレと熱交換を行い、
低温となつて開口部１３で前記隙間４と隣合う隙
間から流入した燃焼ガスと合流し、燃焼ガス通路
６を通つて煙道７から系外に排出される。このと
き、強制ガス流路１２において、燃焼ガスの高速
流が達成されることにより、水管表面ならびに平
板状ヒレ溶接基部における燃焼ガスの滞留を防止
し、良好な対流伝熱面が形成され伝熱効率が向上
する。しかも、平板状ヒレに燃焼ガスの流れ方向
に対してほぼ直角になるように所要量の幅及び長
さのスリツトを設けることにより燃焼ガスが平板
状ヒレのスリツト部を通過するごとに平板状ヒレ
には温度境界層発達域における高熱伝達を利用し
た前縁効果が形成され（即ち、熱伝達係数の増加
が図られ）、伝熱効率がさらに向上する。

さらに平板状ヒレと水管との温度差を主たる要因
として両者間に生じる熱膨張の差は平板状ヒレに
設けたスリツト部で吸収・緩和され、ヒレあるい
は水管に亀裂や変形をもたらすような熱応力が溶
接部に発生するのを軽減する。

更に、ヒレは環状の水管壁の外周側にのみ設け
てあるため、水管壁内側の燃焼ガスは、水管表面
に対して効果的に輻射伝熱を行い、輻射伝熱を行
つて温度が低下した燃焼ガスは、水管壁の外周を
通過する時点で、ヒレを設けた側の水管表面と効
果的に対流伝熱を行う。即ち、ヒレを水管壁の内
周側に設けると最も高温の燃焼ガスの熱輻射によ
り前縁部のみが異常に昇温し、燃焼ガスとの温度
差が小さくなつて効果的な伝熱を阻害するが、外
周側に設けると、燃焼ガスによるヒレ前縁部の異
常過熱が防止できるため、効果的な伝熱が行え
る。

〔考案の効果〕 本考案は上記のように構成し強制ガス流路を形
成することにより、ヒレ基部及び水管外表面にお
ける燃焼ガスの滞留を防止することができ、実質
的に接触伝熱面積が向上し伝熱効率が向上する。

さらに平板状ヒレにスリツトを設けたことによ
り一層前縁効果が形成され伝熱効率がさらに向上
する。しかも、平板状ヒレにスリツトを設けたこ
とにより、平板状ヒレと水管間の温度差による熱
応力の発生を防ぎ、ヒレや水管の亀裂を防止する
ことができる。

しかも、平板状ヒレは環状をなす水管壁の外側
に設けてあるため、燃焼室内の最も温度の高い燃
焼ガスによる平板状ヒレの過熱、焼損や、このよ
うなヒレの過熱による燃焼ガスとの温度差の減少
に起因する伝熱効率の低下を防止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案におけるかご型ヒレ付水管ボイ
ラーの縦断面図、第２図は第１図の−断面
図、第３図は一部拡大側面図、第４図は第３図の
−断面図、第５図はヒレ部の詳細図、第６図
は従来実施例の横断面図、第７図イは他の実施例
の一部拡大断面図、第７図ロは第７図イの側面
図、第８図はさらに他の従来の実施例の縦断面
図、第９図は第８図の横断面図である。 １は上部管寄せ、２は下部管寄せ、３は水管、
４は隙間、５はボイラー外壁、６は燃焼ガス通
路、７は煙道、８はヒレ、９はカバー、１０は連
結部片、１１は伝熱促進体、１２は強制ガス流
路、１３は開口部、１４はスリツト、１５は燃焼
装置、１６は燃焼室。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 上部管寄せ１及び下部管寄せ２を多数の水管３
   で連結し、これら水管３は極めてわずかな隙間４
   を持たせた環状水管壁として配設し、水管壁の外
   側に間隙を置いてボイラー外壁５を設け、水管壁
   とボイラー外壁との間に環状の燃焼ガス通路６を
   形成し、ボイラー外壁に煙道７を設けて前記燃焼
   ガス通路６と煙道７を連通したカゴ型水管ボイラ
   ーにおいて、 燃焼ガス通路に面する水管外表面に平板状のヒ
   レ８を燃焼ガス流れ方向Ａに平行でかつ水管管軸
   方向に所要ピツチ間隔を置いて多段状に設け、前
   記平板状ヒレ８に、燃焼ガス流れ方向Ａに対して
   所要の角度をもつスリツト１４を設け、前記平板
   状ヒレ８の外周面に沿う曲面形状のカバー９を含
   む伝熱促進体１１を水管の全長にわたつて平板状
   ヒレ８の外周面に密接して設けることにより、各
   上下平板状ヒレ８の間に強制ガス流路１２を形成
   し、かつ前記平板状ヒレ８の外周中心部における
   伝熱促進体１１に、水管の長さ方向に沿つて開口
   部１３を設けることにより前記強制ガス流路１２
   と燃焼ガス通路６とを連通せしめたことを特徴と
   するかご型ヒレ付水管ボイラー。