JPH0412323Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 本考案はヒレ付水管の相対配列構造の改良に係
り、特に多管式貫流ボイラーに使用して有効なヒ
レを有する水管の相対配列構造に関するものであ
る。

〔考案の技術的拝啓とその問題点〕

一般にボイラー等の伝熱管表面には熱伝達を促
進する目的でヒレが取付けられている。

多管式貫流ボイラーにおいても同様で、伝熱効
率の向上を目的として第４図の如く伝熱管として
の水管に燃焼ガスの流れ方向に対し直角方向にヒ
レを設ける方法が採用されていた（直角配列式）。
しかし、この方式ではヒレの下流側に過流が発生
し、燃焼ガスの圧力損失が大きいといつた問題が
ある。そこで、近年では伝熱効率の向上をはかる
とともに燃焼ガスの圧力損失の低下を目的として
例えば、第５図のイ（平面断面図）ロ（イの側面
図）に示す如く平板ヒレを燃焼ガスの流れ方向に
平行に設ける方法がとられるようになつた（平行
配列式）。この平行配列式は従前の直角配列式に
比べ、伝熱ヒレの面積の増加による伝熱効率の向
上の割に燃焼ガスの圧力損失が小さいという利益
がある。しかしながら、前記平行配列において
も、平板ヒレを燃焼ガス流れ方向に同列に配する
と、平板ヒレ間にシヨートパス流路が形成され燃
焼ガスの混合が不十分なため充分な熱伝達を発揮
することができず、しかも、従来の平板ヒレの形
状において温度境界層発達域における高熱伝達を
利用した前縁効果が形成されるのは、ヒレ先端部
分のみであり燃焼ガスの流れ方向のヒレの長さが
長くなると温度境界層が著しく発達し、この前縁
効果を十分利用することができず、伝熱効率の向
上に限界があつた。しかも、ヒレと水管との溶接
部が長くなるとヒレと水管との温度差に起因する
熱応力が発生し、この熱応力により管壁に亀裂を
招く危険がある。

〔考案の目的〕

本考案は上記のような事情に鑑みて成されたも
ので、その目的は加熱流体の混合・乱流現象を惹
起するとともに、ヒレの前縁効果を高めることに
より伝熱効率の向上を図り、しかも、ヒレと水管
の温度差に起因する熱応力の発生を防ぎ、管壁の
亀裂を防止したヒレ付水管の相対配列構造を提供
することにある。

〔考案の概要〕

上記目的を達成するため本考案では、互いに平
行をなす複数個の水管を適宜の間隔をおいて並列
に配して環状の水管壁を形成し、この水管壁の外
周囲に燃焼ガス通路を形成する一方、内部に燃焼
室を形成し、上記燃焼ガス通路に面する各水管の
外表面に、平板状のヒレを多数設け、これらのヒ
レが燃焼ガス通路を流れる燃焼ガスの流れ方向Ａ
に平行でかつ千鳥状に配置し、上記平板状ヒレに
は燃焼ガス流路を通過する燃焼ガスの流れ方向に
対して、実質上交叉する方向に適当数のスリツト
を設けたことを特徴とする。

〔考案の実施例〕

以下、本考案を多管式貫流ボイラーに利用した
ときの実施例について図面に基づいて説明する。

第１図は本考案におけるヒレ付水管の相対配列
構造を利用した多管式貫流ボイラーの縦断面図、
第２図は第１図の−断面図、第３図イは一部
拡大側面図、第３図ロは第３図イの−断面拡
大図である。上記図面において、上部管寄せ４お
よび下部管寄せ５がともに環状に形成されてい
る。上下管寄せ４，５は多数の水管１で連結され
るのであるが、これら水管１は管軸方向に並列に
設けられ極めてわずかな隙間６を持たせた環状水
管壁として配設されている。水管壁の外側にはこ
れより間隔をおいてボイラ外壁７が設けられてい
る。

かくして水管壁とボイラ外壁７との間に環状の
燃焼ガス通路８が形成される。上部管寄せ４の内
側には燃焼装置９が設けられている。環状水管壁
内には燃焼室１０が形成されている。ボイラ外壁
７の一部に煙道１１が設けられている。前記水管
１の燃焼ガス通路８に面している部分には平板状
のヒレ２が燃焼ガス流れ方向Ａに平行となる向き
（即ち、水管の円周方向）であつて、管軸方向に
所要間隔をおいて多段状に取付けられている。

しかも、このヒレは隣接する水管相互間におい
ては燃焼ガス流れ方向に対して千鳥配列となるよ
うに管軸方向の位置を半ピツチずつずらして交互
に設けられている。

更に、前記平板状のヒレには燃焼ガスの流れ方
向Ａに対して実質的に直角となる方向に所要量の
幅及び長さのスリツト３を設けてある。

上記のような構成においてその作用を説明する
と、燃焼室１０で発生した燃焼ガスは、先ず輻射
伝熱により水管と熱交換を行い、水管に対してほ
ぼ直角に流れて隣接水管１，１により形成される
隙間６を対流伝熱によつて熱交換しながら通過し
て環状の燃焼ガス通路８へ達し、さらに燃焼ガス
通路８で平板状ヒレ並びに水管と対流による熱交
換を行い、煙道１１から低温となつて系外に排出
される。

このとき、燃焼ガス通路に面して設けられた平
板状のヒレは、燃焼ガス流れ方向に対して千鳥状
態に配されているので、燃焼ガスの流れに対して
乱流現象が惹起され、燃焼ガス流れの主流が熱伝
達に大きく寄与することとなり、しかも、平板状
ヒレに燃焼ガスの流れ方向に対してほぼ直角にな
るように所要量の幅及び長さのスリツトを設ける
ことにより、燃焼ガスが平板状ヒレのスリツト部
を通過するごとに、平板状ヒレには温度境界層発
達域における高熱伝達を利用した前縁効果が形成
され（即ち熱伝達係数の増加が図られ）、伝熱効
率が大幅に向上する。

しかも、燃焼ガス通路に設けた平板状のヒレは
燃焼ガス流れに対して平行に配設された状態とな
るので、燃焼ガスの通過圧力損失はヒレ枚数が多
く伝熱効率が高い割に増加しない。さらに平板状
ヒレと水管との温度差を主たる要因として両者間
に生じる熱膨張の差は平板状ヒレに設けたスリツ
ト部で吸収・緩和され、ヒレあるいは水管に亀裂
や変形をもたすような溶接部における熱応力の発
生を軽減する。

更に、ヒレは環状の水管壁の外周壁にのみ設け
てあるため、水管壁内側の燃焼ガスは、水管表面
に対して効果的に輻射伝熱を行い、輻射伝熱を行
つて温度が低下した燃焼ガスは、水管壁の外周を
通過する時点で、ヒレを設けた側の水管表面と効
果的に対流伝熱を行う。即ち、ヒレを水管壁の内
周側に設けると最も高温の燃焼ガスの熱輻射によ
り前縁部のみが異常に昇温し、燃焼ガスとの温度
差が小さくなつて効果的な伝熱を阻害するが、外
周側に設けると、燃焼ガスによるとヒレ前縁部の
異常過熱が防止できるため、効果的な伝熱が行え
る。

〔考案の効果〕

本考案は上述の如く並列して設けられる水管に
加熱流体の流れ方向に対して千鳥配列となるよう
に多数の平板状ヒレが設けられるので、加熱流体
の主流の攪拌乱流現象を惹起し、熱伝達に大きく
寄与し、さらに平板状ヒレに設けたスリツトによ
る前縁効果により伝熱効率が一層向上する。しか
も、平板状ヒレが加熱流体の流れに対して平行に
設けられているのでヒレ板数を増加し、伝熱効率
の向上が図られる割に通過圧力損失は高くならな
い。さらに平板状ヒレにスリツトを設けることに
より平板状ヒレと水管間の温度差による熱応力の
発生を防ぎ、ヒレや水管の亀裂を防止することが
できる。

更に、平板状ヒレは環状をなす水管壁の外側に
設けてあるため、燃焼室内の最も温度の高い燃焼
ガスによるヒレの過熱、焼損や、このヒレの過熱
による燃焼ガスとの温度差の低下による伝熱効率
の低下を防止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案におけるヒレ付水管の相対配列
構造を利用した多管式貫流ボイラーの縦断面図、
第２図は第１図の−断面図、第３図イは一部
拡大側面図、第３図ロは第３図イの−断面拡
大図、第４図、第５図はそれぞれ従来の実施例の
説明図である。 １……水管、２……ヒレ、３……スリツト、４
……上部管寄せ、５……下部管寄せ、６……隙
間、７……ボイラ外壁、８……燃焼ガス通路、９
……燃焼装置、１０……燃焼室、１１……煙道。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 互いに平行をなす複数個の水管１を適宜の間隔
   をおいて並列に配して環状の水管壁を形成し、 この水管壁の外周囲に燃焼ガス通路８を形成す
   る一方、内部に燃焼室１０を形成し、 上記燃焼ガス通路８に面する各水管１の外表面
   に、平板状のヒレ２を多数設け、これらのヒレ２
   が燃焼ガス通路８を流れる燃焼ガスの流れ方向Ａ
   に平行でかつ千鳥状に配置し、 上記平板状ヒレ２には燃焼ガス流路８を通過す
   る燃焼ガスの流れ方向Ａに対して、実質上交叉す
   る方向に適当数のスリツト３を設けたことを特徴
   とするヒレ付水管の相対配列構造。