JP2004163062A - ボイラ用伝熱管 - Google Patents
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Abstract
【課題】管内面に溝を備えて、付着したスケールを除去する伝熱管を提供すること。
【解決手段】ボイラの火炉内または該火炉近傍に配置されるボイラ用の伝熱管17において、スケールの堆積を阻害する角部19を内周面に設ける構成とし、角部19上にあるスケールに応力集中を生じさせることによって、スケールの層に亀裂及び割れが発生して、その部分からスケールが剥がれ、蒸気と共に流されて伝熱管17内部から除去されるので、スケールによって熱伝達率が損なわれることなく熱交換が行われる。また、伝熱管17内面とスケールとの間に空気の層が形成されることがなくなるので、空気の層が断熱材となって伝熱管17が高温になることがないので、伝熱管17が噴破することなく安全に伝熱管17を使用できる。
【選択図】 図3
【解決手段】ボイラの火炉内または該火炉近傍に配置されるボイラ用の伝熱管17において、スケールの堆積を阻害する角部19を内周面に設ける構成とし、角部19上にあるスケールに応力集中を生じさせることによって、スケールの層に亀裂及び割れが発生して、その部分からスケールが剥がれ、蒸気と共に流されて伝熱管17内部から除去されるので、スケールによって熱伝達率が損なわれることなく熱交換が行われる。また、伝熱管17内面とスケールとの間に空気の層が形成されることがなくなるので、空気の層が断熱材となって伝熱管17が高温になることがないので、伝熱管17が噴破することなく安全に伝熱管17を使用できる。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボイラの火炉内または該火炉近傍に配置されるボイラ用伝熱管に関する。
【0002】
【従来の技術】
ボイラは、燃料を火炉内で燃焼させてその熱を動作流体である水に伝え、所要の温度、圧力の蒸気を発生させる装置である。そのボイラでの熱交換器に用いられる伝熱管は、その内部において水または蒸気を流通させて熱交換に供するものである。
【0003】
伝熱管を通る水または蒸気は、火炉内部の高温ガスとの間で熱交換を行い、熱量を受け取る。伝熱管内部で、液体の状態から水が熱量を受け取っていくと、相変化を行って液体から気体となる。その際、水の成分に含まれる塩類が析出して伝熱管の内壁面に付着する。また、高温の水蒸気に曝された伝熱管等の金属は、酸素が無くても水蒸気と反応して酸化物を形成する水蒸気酸化が起こる。
このような水蒸気酸化や水の成分に含まれる塩類の析出により形成された堆積物をスケールという。
【0004】
伝熱管に付着するスケールに関する従来技術としては、伝熱管の外周に溶射皮膜を形成して過度の熱流束を抑制し、管内壁面におけるスケールの付着を抑える手法(例えば、特許文献1参照。)や、伝熱管の外周にスケールを強制的に付着させて伝熱管を保護するといった、スケールを積極的に活用する手法(例えば、特許文献2参照。)がある。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−237617号公報 (第5−6頁、第2−3図)
【特許文献2】
特開平11−29849号公報 (第2−3頁、第1−3、5図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の伝熱管の断面図を図8に示す。蒸発器や過熱器といったボイラにおける伝熱管100内部で水が蒸気または過熱蒸気となると、水蒸気酸化や水の成分に含まれる塩類の析出により伝熱管100の内壁面にスケール101が付着する。伝熱管100内面に付着したスケール101は伝熱管100と水または蒸気との間の熱伝達を阻害し、熱伝達率が悪くなり、結果的にはボイラの熱効率が悪くなるといった問題があった。
【0007】
また、伝熱管100と付着したスケール101との間の一部に間隙102が存在する場合、間隙102内に形成される空気または蒸気といった気体の層が断熱層として作用し、熱伝達が効率良く行われなくなる。そのため、その周辺の伝熱管壁部が高温となって、伝熱管100が噴破し、内部の水または蒸気が漏洩する恐れがあった。
【0008】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、管内面にスケールが付着することを抑制し、また付着したとしても動作流体の流れによって容易にスケールを除去できる伝熱管を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するための手段として、次のような構成を採用する。
すなわち本発明に係る請求項1記載のボイラ用伝熱管は、ボイラの火炉内または該火炉近傍に配置されるボイラ用伝熱管において、スケールの堆積を阻害する角部が内周面に設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明においては、伝熱管の内面に角部を設けたことにより、管内面で析出した塩類が堆積してスケールが出来たとしても、流れている水または蒸気からスケールが力を受け、角部上のスケールに応力集中を生じさせることによって、スケールの層に亀裂が入り、割れが発生して、その部分からスケールが剥がれることとなる。剥がれたスケールは、水または蒸気と共に流されて伝熱管内部から除去される。
【0011】
請求項2記載のボイラ用伝熱管は、前記角部が、前記内周面の全周にわたって複数設けられていることを特徴とする。
【0012】
本発明においては、角部を内周面の全周にわたって配置したことにより、伝熱管の全周にわたってスケールを除去できる。
【0013】
請求項3記載のボイラ用伝熱管は、前記角部が、前記伝熱管の長手方向にわたって形成されていることを特徴とする。
【0014】
本発明においては、角部を長手方向にわたって配置したことにより、伝熱管のスケール除去を、伝熱管の部分的にではなく全体にわたって行える。
【0015】
請求項4記載のボイラ用伝熱管は、前記角部が、螺旋状に設けられていることを特徴とする。
【0016】
本発明においては、角部を螺旋状に配置したことにより、伝熱管の単位長さ当たりに占める角部の密度が高くなり、より多くのスケールが除去できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明に係る伝熱管をボイラに使用した概略構成を図1ないし図2に示して説明する。ボイラ1は、火炉2と、蒸気ドラム3と、水ドラム4と、空気室5と、を備えている。蒸気ドラム3と水ドラム4との間には、後部蒸気管6が連結されており、火炉2の内部には蒸気ドラム3から連結された蒸気管7が通っている。火炉2と空気室5とは天井部8によって区切られていて、火炉2の上部にある空気室5の内部にはバーナ9が設けられている。
【0018】
バーナ9の噴射口9Aは、火炉2と空気室5との間にある天井部8に設けられて、火炉2と通じている。空気室5には、空気取り入れ口10及び分岐管11が設けられていて、空気取り入れ口10から空気を取り込むようになっている。取り入れられた空気は、分岐管11から流量調整ダンパ12を介して火炉2内に噴射されると共に、バーナ9の燃焼にも用いられる。蒸気ドラム3に対して火炉2の反対側には燃焼ガス排出口13が設けられていて、バーナ9の燃焼によって熱せられた火炉2内の空気である燃焼ガスが、熱交換を行った後に燃焼ガス排出口13から排出される。
【0019】
火炉2と後部蒸気管6との間には前部蒸気管14が設けられていて、前部蒸気管14と後部蒸気管6との間及び後部蒸気管6と燃焼ガス排出口13との間には過熱蒸気管15が設けられている。過熱蒸気管15は、蛇行して立て形に配設されている。後部蒸気管6と、蒸気管7と、前部蒸気管14と、過熱蒸気管15と、は火炉2内または火炉2近傍に配置されたボイラ用伝熱管で、外周付近を通る高温ガスと熱交換を行う。
【0020】
このようなボイラ1においては、燃料用空気を空気室5に取り込んで、分岐管11で分岐し、流量調整ダンパ12で流量調整を行った空気を火炉2内に供給する。それから、バーナ9に液体燃料と燃料用空気とが混合されて供給され、着火し、火炉2の内部に火炎16が形成される。
【0021】
また、動作流体である水は、図示しない給水口から供給される。その後伝熱管内部で熱量を受け取って一部相変化を行いながら予熱される。予熱された水は、気液二相流の状態で蒸気ドラム3内に送られる。
蒸気ドラム3内では、水が液体と気体とに分離される。取り出された気体の蒸気は蒸気管7に送られ、残った液体の水は後部蒸気管6を介して水ドラム4の内部に送り込まれる。蒸気ドラム3と水ドラム4とを接続する後部蒸気管6の内部では水及び蒸気が循環していて、その間熱交換を行い、水または蒸気が熱量を受け取る。蒸気ドラムに戻った水と蒸気とのうち、気体である蒸気が蒸気管7に送られる。
【0022】
蒸気管7に送られた蒸気は、バーナ9の火炎16によって火炉2の空気が熱せられた燃焼ガスとの対流伝熱と、火炎16からの輻射熱と、によって蒸気管7内部の蒸気が加熱される。ここで気化した蒸気は過熱蒸気管15に送られるが、蒸気管7内で気化せずに液体のままの水は前部蒸気管14に送られて、同様に対流伝熱と輻射熱によって加熱されながら蒸気ドラム3に送られ、再び気体と液体とに分離される。気体と液体とに分離された水のうち、気体は蒸気管7に送られて、液体は後部蒸気管6に送られる。蒸気管7によって加熱された蒸気は過熱蒸気管15に送られて、さらに熱交換を行い対流伝熱と輻射熱とによって加熱されて過熱蒸気となる。過熱蒸気管15を通って加熱された過熱蒸気は、例えば図示しないタービンに送られて仕事を行う。
【0023】
このように、火炉2内または火炉2近傍に配置されたボイラ用伝熱管である後部蒸気管6、蒸気管7、前部蒸気管14、及び過熱蒸気管15が、ボイラ1の一部に伝熱管として使用されている。
以下、本発明にかかる伝熱管の第1実施形態について、図3ないし図4を用いて説明する。
【0024】
図3には、伝熱管17の断面が示されており、伝熱管17の内周面には、溝部18が等間隔に4つ形成されている。これら溝部18は、矩形断面を有しており、これにより、伝熱管17内周面には角部19が設けられている。角部19は、後述するように、スケールの堆積を阻害するようになっている。これら溝部18及び角部19は、図4に示すように、それぞれが旋回しながら軸方向へ延びる螺旋状となっている。
【0025】
ボイラを作動させると、蒸発器や過熱器といった伝熱管17内部で動作流体の水が液体から気体となり、その際の水の成分に含まれる塩類の析出や水蒸気酸化によってスケールが伝熱管17の内部で形成される。このとき、スケールが、流れている水または蒸気から力を受ける。伝熱管17の内周面には角部19が形成されているので、角部19上に形成されたスケールに応力集中が生じて、亀裂が走り、割れが起こる。スケールに割れが生じると、伝熱管17からスケールが剥がれて、流通している水または蒸気と共に流され、伝熱管17内周面へのスケールの堆積が阻害される。
【0026】
また、伝熱管17内面に設けられた溝部18及び角部19は、旋回しながら伝熱管17の軸方向に向かって延びる螺旋状に形成されているので、伝熱管の軸方向と平行に延びる角部と比較して、伝熱管の単位長さ当たりに占める角部19の密度が高くなり、より多くの亀裂及び割れを発生させて、スケールが伝熱管から剥がれ易くなる。
【0027】
なお、本実施形態では溝部18を螺旋状としたが、これにかえて図5に示すように、断面形状は同じで、軸方向に対して平行に配置したとしても構わない。
【0028】
次に、本発明に係る伝熱管の第2実施形態を図6に示す。なお、上記実施形態において既に説明した構成要素には同一符号を付してその説明は省略する。
図6には伝熱管17の断面が示されており、伝熱管17の内周面には、中心軸線側に略円弧状に膨出する凸部20が複数形成されている。これら凸部20は、鋭角を有して隣の凸部20と接続されており、当該鋭角部に角部19が形成されている。これら角部19は、スケールの堆積を阻害するものである。すなわち、これら角部19上に形成されたスケールは応力集中を受けて、亀裂が走り、割れが起こる。スケールに割れが生じると、伝熱管17からスケールが剥がれて、流通している水または蒸気と共に流され、伝熱管17へのスケールの堆積が阻害される。
【0029】
次に、本発明に係る伝熱管の第3実施形態を説明する。図7には、伝熱管17の断面が示されており、この伝熱管17の内周面には、略円弧状の溝部18が複数形成されている。各溝部18間には、鋭角をなして中心軸線側に突出する角部19が形成されている。本実施形態においても上記実施形態と同様に、角部19上に形成されたスケールが応力集中を受け、亀裂が走り、割れが起こる。スケールに割れが生じると、伝熱管17からスケールが剥がれて、流通している水または蒸気と共に流され、伝熱管17へのスケールの堆積が阻害される。
第2及び第3の実施形態にかかる角部19は、軸方向に向かって螺旋状に延びていてもよいし、軸方向に平行に配置されていてもよい。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る伝熱管によれば、管の内周面にスケールの堆積を阻害するための角部を設けたことにより、角部上に堆積したスケールに応力集中を生じさせることによって、スケールの層に亀裂及び割れを発生させ、その部分からスケールが剥がれ、蒸気と共に流されて伝熱管内部から除去されるのでスケールの堆積を抑制でき、スケールによって熱伝達率が損なわれることなく熱交換が行われる。
【0031】
また、伝熱管内面とスケールとの間に空気の層が形成されることがないので、空気の層が断熱材となって伝熱管が高温になることがなく、伝熱管が噴破せずに安全に使用できる。また、伝熱管が高温にならないので、伝熱管のクリープ寿命が長くなり、耐久性が向上する。また、伝熱管内面に付着するスケールの量が減少するので、伝熱管の交換、または、伝熱管内面の清掃及びメンテナンスの回数を減らすことができ、それに伴うコストを抑えることができる。
【0032】
また、本発明に係る伝熱管によれば、角部を管内面の全周に設けたことにより、管の周方向全体にわたってスケールに亀裂及び割れを生じさせ、スケールの付着を抑制することができ、局所的にスケールが集中することがない。
【0033】
また、本発明に係る伝熱管によれば、角部を長手方向にわたって形成したことにより、管の全体にわたってスケールに亀裂及び割れを生じさせ、スケールの付着を抑制することができる。
【0034】
また、角部を螺旋状としたことにより、伝熱管の単位長さ当たりに占める角部の密度が高くなり、より多くの亀裂及び割れを生じさせ、スケールが伝熱管から剥がれ易くなるので、スケールの付着をより抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の伝熱管が用いられるボイラの側断面図である。
【図2】本発明の伝熱管が用いられるボイラの平断面図である。
【図3】本発明の一実施形態における伝熱管の平断面図である。
【図4】本発明の一実施形態における伝熱管の側断面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態における伝熱管の側断面図である。
【図6】本発明の第3の実施形態における伝熱管の側断面図である。
【図7】本発明の第4の実施形態における伝熱管の平断面図である。
【図8】従来の伝熱管の平断面図である。
【符号の説明】
17 伝熱管
19 角部
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボイラの火炉内または該火炉近傍に配置されるボイラ用伝熱管に関する。
【0002】
【従来の技術】
ボイラは、燃料を火炉内で燃焼させてその熱を動作流体である水に伝え、所要の温度、圧力の蒸気を発生させる装置である。そのボイラでの熱交換器に用いられる伝熱管は、その内部において水または蒸気を流通させて熱交換に供するものである。
【0003】
伝熱管を通る水または蒸気は、火炉内部の高温ガスとの間で熱交換を行い、熱量を受け取る。伝熱管内部で、液体の状態から水が熱量を受け取っていくと、相変化を行って液体から気体となる。その際、水の成分に含まれる塩類が析出して伝熱管の内壁面に付着する。また、高温の水蒸気に曝された伝熱管等の金属は、酸素が無くても水蒸気と反応して酸化物を形成する水蒸気酸化が起こる。
このような水蒸気酸化や水の成分に含まれる塩類の析出により形成された堆積物をスケールという。
【0004】
伝熱管に付着するスケールに関する従来技術としては、伝熱管の外周に溶射皮膜を形成して過度の熱流束を抑制し、管内壁面におけるスケールの付着を抑える手法(例えば、特許文献1参照。)や、伝熱管の外周にスケールを強制的に付着させて伝熱管を保護するといった、スケールを積極的に活用する手法(例えば、特許文献2参照。)がある。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−237617号公報 (第5−6頁、第2−3図)
【特許文献2】
特開平11−29849号公報 (第2−3頁、第1−3、5図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の伝熱管の断面図を図8に示す。蒸発器や過熱器といったボイラにおける伝熱管100内部で水が蒸気または過熱蒸気となると、水蒸気酸化や水の成分に含まれる塩類の析出により伝熱管100の内壁面にスケール101が付着する。伝熱管100内面に付着したスケール101は伝熱管100と水または蒸気との間の熱伝達を阻害し、熱伝達率が悪くなり、結果的にはボイラの熱効率が悪くなるといった問題があった。
【0007】
また、伝熱管100と付着したスケール101との間の一部に間隙102が存在する場合、間隙102内に形成される空気または蒸気といった気体の層が断熱層として作用し、熱伝達が効率良く行われなくなる。そのため、その周辺の伝熱管壁部が高温となって、伝熱管100が噴破し、内部の水または蒸気が漏洩する恐れがあった。
【0008】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、管内面にスケールが付着することを抑制し、また付着したとしても動作流体の流れによって容易にスケールを除去できる伝熱管を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するための手段として、次のような構成を採用する。
すなわち本発明に係る請求項1記載のボイラ用伝熱管は、ボイラの火炉内または該火炉近傍に配置されるボイラ用伝熱管において、スケールの堆積を阻害する角部が内周面に設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明においては、伝熱管の内面に角部を設けたことにより、管内面で析出した塩類が堆積してスケールが出来たとしても、流れている水または蒸気からスケールが力を受け、角部上のスケールに応力集中を生じさせることによって、スケールの層に亀裂が入り、割れが発生して、その部分からスケールが剥がれることとなる。剥がれたスケールは、水または蒸気と共に流されて伝熱管内部から除去される。
【0011】
請求項2記載のボイラ用伝熱管は、前記角部が、前記内周面の全周にわたって複数設けられていることを特徴とする。
【0012】
本発明においては、角部を内周面の全周にわたって配置したことにより、伝熱管の全周にわたってスケールを除去できる。
【0013】
請求項3記載のボイラ用伝熱管は、前記角部が、前記伝熱管の長手方向にわたって形成されていることを特徴とする。
【0014】
本発明においては、角部を長手方向にわたって配置したことにより、伝熱管のスケール除去を、伝熱管の部分的にではなく全体にわたって行える。
【0015】
請求項4記載のボイラ用伝熱管は、前記角部が、螺旋状に設けられていることを特徴とする。
【0016】
本発明においては、角部を螺旋状に配置したことにより、伝熱管の単位長さ当たりに占める角部の密度が高くなり、より多くのスケールが除去できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明に係る伝熱管をボイラに使用した概略構成を図1ないし図2に示して説明する。ボイラ1は、火炉2と、蒸気ドラム3と、水ドラム4と、空気室5と、を備えている。蒸気ドラム3と水ドラム4との間には、後部蒸気管6が連結されており、火炉2の内部には蒸気ドラム3から連結された蒸気管7が通っている。火炉2と空気室5とは天井部8によって区切られていて、火炉2の上部にある空気室5の内部にはバーナ9が設けられている。
【0018】
バーナ9の噴射口9Aは、火炉2と空気室5との間にある天井部8に設けられて、火炉2と通じている。空気室5には、空気取り入れ口10及び分岐管11が設けられていて、空気取り入れ口10から空気を取り込むようになっている。取り入れられた空気は、分岐管11から流量調整ダンパ12を介して火炉2内に噴射されると共に、バーナ9の燃焼にも用いられる。蒸気ドラム3に対して火炉2の反対側には燃焼ガス排出口13が設けられていて、バーナ9の燃焼によって熱せられた火炉2内の空気である燃焼ガスが、熱交換を行った後に燃焼ガス排出口13から排出される。
【0019】
火炉2と後部蒸気管6との間には前部蒸気管14が設けられていて、前部蒸気管14と後部蒸気管6との間及び後部蒸気管6と燃焼ガス排出口13との間には過熱蒸気管15が設けられている。過熱蒸気管15は、蛇行して立て形に配設されている。後部蒸気管6と、蒸気管7と、前部蒸気管14と、過熱蒸気管15と、は火炉2内または火炉2近傍に配置されたボイラ用伝熱管で、外周付近を通る高温ガスと熱交換を行う。
【0020】
このようなボイラ1においては、燃料用空気を空気室5に取り込んで、分岐管11で分岐し、流量調整ダンパ12で流量調整を行った空気を火炉2内に供給する。それから、バーナ9に液体燃料と燃料用空気とが混合されて供給され、着火し、火炉2の内部に火炎16が形成される。
【0021】
また、動作流体である水は、図示しない給水口から供給される。その後伝熱管内部で熱量を受け取って一部相変化を行いながら予熱される。予熱された水は、気液二相流の状態で蒸気ドラム3内に送られる。
蒸気ドラム3内では、水が液体と気体とに分離される。取り出された気体の蒸気は蒸気管7に送られ、残った液体の水は後部蒸気管6を介して水ドラム4の内部に送り込まれる。蒸気ドラム3と水ドラム4とを接続する後部蒸気管6の内部では水及び蒸気が循環していて、その間熱交換を行い、水または蒸気が熱量を受け取る。蒸気ドラムに戻った水と蒸気とのうち、気体である蒸気が蒸気管7に送られる。
【0022】
蒸気管7に送られた蒸気は、バーナ9の火炎16によって火炉2の空気が熱せられた燃焼ガスとの対流伝熱と、火炎16からの輻射熱と、によって蒸気管7内部の蒸気が加熱される。ここで気化した蒸気は過熱蒸気管15に送られるが、蒸気管7内で気化せずに液体のままの水は前部蒸気管14に送られて、同様に対流伝熱と輻射熱によって加熱されながら蒸気ドラム3に送られ、再び気体と液体とに分離される。気体と液体とに分離された水のうち、気体は蒸気管7に送られて、液体は後部蒸気管6に送られる。蒸気管7によって加熱された蒸気は過熱蒸気管15に送られて、さらに熱交換を行い対流伝熱と輻射熱とによって加熱されて過熱蒸気となる。過熱蒸気管15を通って加熱された過熱蒸気は、例えば図示しないタービンに送られて仕事を行う。
【0023】
このように、火炉2内または火炉2近傍に配置されたボイラ用伝熱管である後部蒸気管6、蒸気管7、前部蒸気管14、及び過熱蒸気管15が、ボイラ1の一部に伝熱管として使用されている。
以下、本発明にかかる伝熱管の第1実施形態について、図3ないし図4を用いて説明する。
【0024】
図3には、伝熱管17の断面が示されており、伝熱管17の内周面には、溝部18が等間隔に4つ形成されている。これら溝部18は、矩形断面を有しており、これにより、伝熱管17内周面には角部19が設けられている。角部19は、後述するように、スケールの堆積を阻害するようになっている。これら溝部18及び角部19は、図4に示すように、それぞれが旋回しながら軸方向へ延びる螺旋状となっている。
【0025】
ボイラを作動させると、蒸発器や過熱器といった伝熱管17内部で動作流体の水が液体から気体となり、その際の水の成分に含まれる塩類の析出や水蒸気酸化によってスケールが伝熱管17の内部で形成される。このとき、スケールが、流れている水または蒸気から力を受ける。伝熱管17の内周面には角部19が形成されているので、角部19上に形成されたスケールに応力集中が生じて、亀裂が走り、割れが起こる。スケールに割れが生じると、伝熱管17からスケールが剥がれて、流通している水または蒸気と共に流され、伝熱管17内周面へのスケールの堆積が阻害される。
【0026】
また、伝熱管17内面に設けられた溝部18及び角部19は、旋回しながら伝熱管17の軸方向に向かって延びる螺旋状に形成されているので、伝熱管の軸方向と平行に延びる角部と比較して、伝熱管の単位長さ当たりに占める角部19の密度が高くなり、より多くの亀裂及び割れを発生させて、スケールが伝熱管から剥がれ易くなる。
【0027】
なお、本実施形態では溝部18を螺旋状としたが、これにかえて図5に示すように、断面形状は同じで、軸方向に対して平行に配置したとしても構わない。
【0028】
次に、本発明に係る伝熱管の第2実施形態を図6に示す。なお、上記実施形態において既に説明した構成要素には同一符号を付してその説明は省略する。
図6には伝熱管17の断面が示されており、伝熱管17の内周面には、中心軸線側に略円弧状に膨出する凸部20が複数形成されている。これら凸部20は、鋭角を有して隣の凸部20と接続されており、当該鋭角部に角部19が形成されている。これら角部19は、スケールの堆積を阻害するものである。すなわち、これら角部19上に形成されたスケールは応力集中を受けて、亀裂が走り、割れが起こる。スケールに割れが生じると、伝熱管17からスケールが剥がれて、流通している水または蒸気と共に流され、伝熱管17へのスケールの堆積が阻害される。
【0029】
次に、本発明に係る伝熱管の第3実施形態を説明する。図7には、伝熱管17の断面が示されており、この伝熱管17の内周面には、略円弧状の溝部18が複数形成されている。各溝部18間には、鋭角をなして中心軸線側に突出する角部19が形成されている。本実施形態においても上記実施形態と同様に、角部19上に形成されたスケールが応力集中を受け、亀裂が走り、割れが起こる。スケールに割れが生じると、伝熱管17からスケールが剥がれて、流通している水または蒸気と共に流され、伝熱管17へのスケールの堆積が阻害される。
第2及び第3の実施形態にかかる角部19は、軸方向に向かって螺旋状に延びていてもよいし、軸方向に平行に配置されていてもよい。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る伝熱管によれば、管の内周面にスケールの堆積を阻害するための角部を設けたことにより、角部上に堆積したスケールに応力集中を生じさせることによって、スケールの層に亀裂及び割れを発生させ、その部分からスケールが剥がれ、蒸気と共に流されて伝熱管内部から除去されるのでスケールの堆積を抑制でき、スケールによって熱伝達率が損なわれることなく熱交換が行われる。
【0031】
また、伝熱管内面とスケールとの間に空気の層が形成されることがないので、空気の層が断熱材となって伝熱管が高温になることがなく、伝熱管が噴破せずに安全に使用できる。また、伝熱管が高温にならないので、伝熱管のクリープ寿命が長くなり、耐久性が向上する。また、伝熱管内面に付着するスケールの量が減少するので、伝熱管の交換、または、伝熱管内面の清掃及びメンテナンスの回数を減らすことができ、それに伴うコストを抑えることができる。
【0032】
また、本発明に係る伝熱管によれば、角部を管内面の全周に設けたことにより、管の周方向全体にわたってスケールに亀裂及び割れを生じさせ、スケールの付着を抑制することができ、局所的にスケールが集中することがない。
【0033】
また、本発明に係る伝熱管によれば、角部を長手方向にわたって形成したことにより、管の全体にわたってスケールに亀裂及び割れを生じさせ、スケールの付着を抑制することができる。
【0034】
また、角部を螺旋状としたことにより、伝熱管の単位長さ当たりに占める角部の密度が高くなり、より多くの亀裂及び割れを生じさせ、スケールが伝熱管から剥がれ易くなるので、スケールの付着をより抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の伝熱管が用いられるボイラの側断面図である。
【図2】本発明の伝熱管が用いられるボイラの平断面図である。
【図3】本発明の一実施形態における伝熱管の平断面図である。
【図4】本発明の一実施形態における伝熱管の側断面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態における伝熱管の側断面図である。
【図6】本発明の第3の実施形態における伝熱管の側断面図である。
【図7】本発明の第4の実施形態における伝熱管の平断面図である。
【図8】従来の伝熱管の平断面図である。
【符号の説明】
17 伝熱管
19 角部
Claims (4)
- ボイラの火炉内または該火炉近傍に配置されるボイラ用伝熱管において、
スケールの堆積を阻害する角部が内周面に設けられていることを特徴とするボイラ用伝熱管。 - 前記角部は、前記内周面の全周にわたって複数設けられていることを特徴とする請求項1記載のボイラ用伝熱管。
- 前記角部は、前記ボイラ用伝熱管の長手方向にわたって形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のボイラ用伝熱管。
- 前記角部は、螺旋状に設けられていることを特徴とする請求項3記載のボイラ用伝熱管。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010133415A (ja) * | 2008-12-08 | 2010-06-17 | General Electric Co <Ge> | 中空通路 |
JP2014018739A (ja) * | 2012-07-18 | 2014-02-03 | Mitsubishi Electric Corp | 水処理装置および給湯装置 |
CN107990302A (zh) * | 2017-12-21 | 2018-05-04 | 华电电力科学研究院 | 一种防止过热器和再热器氧化皮堵塞的装置及方法 |
-
2002
- 2002-11-15 JP JP2002332062A patent/JP2004163062A/ja active Pending
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