JPH08332726A - インクジェットヘッドおよびその製造方法 - Google Patents

インクジェットヘッドおよびその製造方法

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JPH08332726A
JPH08332726A JP14040595A JP14040595A JPH08332726A JP H08332726 A JPH08332726 A JP H08332726A JP 14040595 A JP14040595 A JP 14040595A JP 14040595 A JP14040595 A JP 14040595A JP H08332726 A JPH08332726 A JP H08332726A
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頼成 石井
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哲也 乾
Koji Matoba
宏次 的場
Susumu Hirata
進 平田
Masaharu Kimura
正治 木村
Masaru Horinaka
大 堀中
Shingo Abe
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    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/14Structure thereof only for on-demand ink jet heads
    • B41J2002/14346Ejection by pressure produced by thermal deformation of ink chamber, e.g. buckling

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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 インク室31内に圧力を発生させるための圧
力発生部材20を構成する層が熱的応力によって剥離す
るのを防止して、寿命を延ばすことができるインクジェ
ットヘッドを提供する。 【構成】 圧力発生部材20は次の要素を備える。すな
わち、インクに対して耐食性を示す略板状の材料からな
り、周縁部のうち少なくとも一方向に関して両端をなす
部分が基板9に取り付けられ、実質的に熱応力がない無
変位状態と、熱膨張して座屈した座屈状態とを取り得る
第1,第2座屈体1,2を備える。また、第1,第2座
屈体1,2間に第1,第2の絶縁層3,4を備え、第
1,第2絶縁層3,4間にヒータ層7を備える。第1絶
縁層3とヒータ層7とを密着させる第1密着層5と、第
2絶縁層4とヒータ層7とを密着させる第2密着層6を
備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はインクジェットヘッド
およびその製造方法に関する。より詳しくは、インク室
の内部を満たすインクに圧力発生部材を用いて圧力を加
えることにより、インク室内部から外部へインク滴を吐
出させるインクジェットヘッドおよびその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】インクジェットヘッドの形式として、種
々の液滴吐出原理に基づくものが製品化されている。例
えば、圧電素子の機械的な変形によってインク室のノズ
ル穴からインクを吐出させるようにしたもの(圧電素子
方式)、ヒータ加熱によりインクを沸騰させて泡を形成
し、この泡発生による圧力変化でノズルからインクを吐
出させるようにしたもの(バブルジェット方式)があ
る。
【0003】このような状況下で、最近、図16に示す
ように、通電により発熱して変形する圧力発生部材50
1を用いたインクジェットヘッド510が提案された
(特開平2−30543号公報)。このインクジェット
ヘッド510は、ノズル開口511aを有するノズルプ
レート511の両端に絶縁膜513a,513aを介し
て一対の電極513b,513bを設けるとともに、こ
れらの電極513b,513bに板状の圧力発生部材5
01を架け渡して接続し、これらを収容するようにカバ
ー部材515を設けたものである。動作時には、予備イ
ンク室532からインク80が供給されてノズルプレー
ト511と圧力発生部材501との間隙530および圧
力発生部材501の裏側531がインク80で満たされ
る。そして、加熱期間の間、電極513b,513bを
通して圧力発生部材501が通電されて発熱する。この
発熱により、圧力発生部材501は熱膨張係数に起因す
る熱応力を受けて、中央部が板面に垂直な方向に変位
し、インク室に圧力を発生させ、これによりノズル開口
511aからインク80を粒状にして吐出させる。加熱
期間終了後、冷却期間に入ると通電が停止され、圧力発
生部材501は冷却されて元の形状に(位置)に復帰す
る。このような加熱期間と冷却期間とが繰り返されて、
圧力発生部材501の変位と復帰とが繰り返される。
【0004】さらに、上記文献(特開平2−30543
号公報)では、上記圧力発生部材501を、一層の発熱
部材と、その発熱部材の周囲を覆うNiメッキ等の薄膜
層とで構成して、発熱部材のインク80による腐食を防
止する点も併せて提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記圧
力発生部材501を、一層の発熱部材(ヒータ層)と、
その発熱部材の周囲を覆うNiメッキ等の薄膜層とで構
成した場合、動作時に、発熱部材の発熱によって上記発
熱部材と上記薄膜層との間に熱的応力がかかり、使用を
継続すると発熱部材と薄膜層とが剥離して、インクジェ
ットヘッドの寿命を縮めてしまうという問題がある。な
お、圧力発生部材501全体の変位によって上記発熱部
材と上記薄膜層との間に機械的応力がかかるが、この機
械的応力自体が剥離に与える影響は上記熱的応力が与え
る影響に比して極めて少ない。
【0006】そこで、この発明の目的は、圧力発生部材
を構成する層が熱的応力によって剥離するのを防止し
て、寿命を延ばすことができるインクジェットヘッドを
提供することにある。また、そのようなインクジェット
ヘッドを製造するのに適したインクジェットヘッドの製
造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に記載のインクジェットヘッドは、ノズル
開口を有するノズルプレートおよびこのノズルプレート
に対向する基板を周壁の一部に含むインク室と、このイ
ンク室内に設けられ、上記ノズルプレートに対向する圧
力発生部材とを備え、この圧力発生部材の変形により上
記インク室内に圧力を発生させて、上記インク室内のイ
ンク液を上記ノズル開口を通して室外へ吐出させるイン
クジェットヘッドであって、上記圧力発生部材は、上記
インクに対して耐食性を示す略板状の材料からなり、周
縁部のうち少なくとも一方向に関して両端をなす部分が
上記基板に取り付けられ、実質的に熱応力がない無変位
状態と、熱膨張して座屈した座屈状態とを取り得る第1
および第2の座屈体と、上記第1の座屈体と第2の座屈
体との間に、この両座屈体に沿って設けられた第1およ
び第2の絶縁層と、上記第1の絶縁層と第2の絶縁層と
の間に、この両絶縁層に沿って設けられ、通電により発
熱するヒータ層と、上記第1の絶縁層と上記ヒータ層と
の間に設けられ、上記第1の絶縁層と上記ヒータ層とを
密着させる第1の密着層と、上記第2の絶縁層と上記ヒ
ータ層との間に設けられ、上記第2の絶縁層と上記ヒー
タ層とを密着させる第2の密着層とを備えたことを特徴
としている。
【0008】また、請求項2に記載のインクジェットヘ
ッドは、請求項1に記載のインクジェットヘッドにおい
て、上記第1、第2の絶縁層と上記第1、第2の密着層
とはそれぞれ界面で化学反応により結合していることを
特徴としている。
【0009】また、請求項3に記載のインクジェットヘ
ッドは、請求項1または2に記載のインクジェットヘッ
ドにおいて、上記ヒータ層は帯状のパターンに形成さ
れ、上記圧力発生部材のうち上記第1および第2の座屈
体の周縁部よりも内側であって、かつ上記ヒータ層のパ
ターンが存在しない部分に、上記第1の座屈体から第2
の座屈体まで貫通するスリットが設けられていることを
特徴としている。
【0010】また、請求項4に記載のインクジェットヘ
ッドは、請求項1乃至3のいずれか一つに記載のインク
ジェットヘッドにおいて、上記圧力発生部材は、略板状
の可撓性材料からなり、上記ノズルプレートと対向する
側の上記第2の座屈体に沿って、かつ周縁部と中央部が
それぞれ上記第2の座屈体の周縁部と中央部に取り付け
られた状態で設けられたダイヤフラムを備え、上記基板
に、この基板を貫通して、上記圧力発生部材のうち上記
第1の座屈体の周縁部よりも内側に存する部分に面する
冷媒循環用穴が設けられていることを特徴としている。
【0011】請求項5に記載のインクジェットヘッドの
製造方法は、請求項1乃至5のいずれか一つに記載のイ
ンクジェットヘッドを製造するために、基板の表面上
に、上記第1の座屈体となすべき層と、第1の元素の酸
化物からなる上記第1の絶縁層と、上記第1の密着層
と、上記ヒータ層と、上記第2の密着層と、第2の元素
の酸化物からなる上記第2の絶縁層と、上記第2の座屈
体となすべき層を順に積層するインクジェットヘッドの
製造方法において、上記第1の元素の酸化物からなる第
1の絶縁層を形成した後、上記第1の密着層を、上記第
1の絶縁層を構成する第1の元素よりも酸素と化合し易
い性質を持つ金属元素を材料として形成し、上記ヒータ
層を、金属元素を材料として形成し、上記第2の密着層
を、上記第2の絶縁層を構成する第2の元素よりも酸素
と化合し易い性質を持つ金属元素を材料として形成し、
続いて上記第2の元素の酸化物からなる第2の絶縁層を
形成することを特徴としている。
【0012】また、請求項6に記載のインクジェットヘ
ッドの製造方法は、請求項5に記載のインクジェットヘ
ッドの製造方法において、上記第1の密着層、上記ヒー
タ層および上記第2の密着層をスパッタ法によって連続
的に形成することを特徴としている。
【0013】
【作用】請求項1のインクジェットヘッドは、第1の絶
縁層とヒータ層との間にこれらの層を密着させる第1の
密着層が設けられ、第2の絶縁層とヒータ層との間にこ
れらの層を密着させる第2の密着層が設けられているの
で、インクジェットヘッドの動作時に、ヒータ層の発熱
によって上記第1,第2絶縁層とヒータ層との間に熱的
応力がかかったとしても、上記第1,第2絶縁層とヒー
タ層との剥離が効果的に妨げられる。したがって、イン
クジェットヘッドの信頼性が向上し、寿命が延びる。な
お、第1の座屈体と第1の絶縁層との間や、第2の座屈
体と第2の絶縁層との間に加わる熱的応力は、ヒータ層
に直接接しているわけではないので、上記第1,第2絶
縁層とヒータ層との間に加わる熱的応力に比して小さ
い。したがって、第1の座屈体と第1の絶縁層との間
や、第2の座屈体と第2の絶縁層との間の剥離は、実際
上問題とはならない。
【0014】請求項2のインクジェットヘッドでは、上
記第1、第2の絶縁層と上記第1、第2の密着層とがそ
れぞれ界面で化学反応により結合しているので、上記第
1、第2の絶縁層と上記第1、第2の密着層との間で剥
離が生じなくなる。したがって、インクジェットヘッド
の信頼性がさらに向上し、さらに寿命が延びる。
【0015】請求項3のインクジェットヘッドでは、動
作時に圧力発生部材がノズルプレート側へ変位したと
き、インク室内のインクが圧力発生部材を貫通するスリ
ットを通して圧力発生部材の裏側へ回り込む。したがっ
て、圧力発生部材の第1の座屈体の冷却速度が速くな
る。この結果、圧力発生部材の応答特性が良くなり、高
速印字が可能となる。
【0016】請求項4のインクジェットヘッドでは、動
作時に、基板を貫通する冷媒循環用穴を通して、上記圧
力発生部材の第1の座屈体側に冷媒を循環させることが
できるので、第1の座屈体の冷却速度が速くなる。この
結果、圧力発生部材の応答特性が良くなり、高速印字が
可能となる。また、ダイヤフラムのお陰で、ノズルプレ
ートと圧力発生部材(ダイヤフラム)との間隙に存在す
るインクが、動作時に圧力発生部材(ダイヤフラム)の
裏側に回り込むのが防止される。したがって、インクの
吐出力や吐出速度が大きくなる。
【0017】請求項5のインクジェットヘッドの製造方
法では、第1の密着層を、第1の絶縁層を構成する第1
の元素よりも酸素と化合し易い性質を持つ金属元素を材
料として形成するので、上記第1の絶縁層と第1の密着
層とが界面で化学反応により容易に結合する。すなわ
ち、その界面で第1の密着層の材料である金属元素が、
第1の絶縁層の酸素と化合して酸化物となる。したがっ
て、上記第1の絶縁層と上記第1の密着層との間で剥離
が生じなくなる。同様に、第2の密着層を、第2の絶縁
層を構成する第2の元素よりも酸素と化合し易い性質を
持つ金属元素を材料として形成するので、上記第2の絶
縁層と第2の密着層とが界面で第2の密着層の材料であ
る金属元素が、第2の絶縁層の酸素と化合して酸化物と
なる。したがって、上記第2の絶縁層と上記第2の密着
層との間で剥離が生じなくなる。また、上記第1の密着
層、ヒータ層および第2の密着層を、いずれも金属元素
を材料として形成するので、それらの金属元素の種類を
適切に選択することによって、これらの層間の密着性は
良好に保たれる。したがって、この製造方法によれば、
圧力発生部材を構成する層が熱的応力によって剥離する
のが有効に防止され、長寿命のインクジェットヘッドを
作製することができる。
【0018】請求項6のインクジェットヘッドの製造方
法によれば、スパッタリングに伴うイオン衝撃エネルギ
によって、第1の密着層、ヒータ層および第2の密着層
の三層間の各界面で化学反応を起こさせることができ
る。したがって、さらに圧力発生部材を構成する層の間
の密着性が高まり、インクジェットヘッドの寿命を延ば
すことができる。
【0019】
【実施例】以下、この発明のインクジェットヘッドおよ
びその製造方法を実施例により詳細に説明する。
【0020】図1は一実施例のインクジェットヘッド9
0の全体構成を示している。
【0021】インクジェットヘッド90は、表面保護膜
8を含む基板9を備えている。
【0022】この基板9の表面側に、第1座屈体1と、
第1絶縁層3と、第1密着層5と、ヒータ層7と、第2
密着層6と、第2絶縁層4と、第2座屈体2とが順に設
けられている。上記第1座屈体1と、第2座屈体2と、
第1絶縁層3、第2絶縁層4と、第1密着層5と、第2
密着層6と、ヒータ層7とで圧力発生部材20を構成し
ている。基板9の表面側には、ノズルプレート11がス
ペーサ10を介して取り付けられている。圧力発生部材
20の両側には電極パッド13a、13bが設けられて
いる。
【0023】図3は上記インクジェットヘッドを分解状
態で斜めから見たところを示し、図4は図3における圧
力発生部材20をさらに分解した状態を示している。
【0024】図3に示す基板9は、この例では、熱酸化
して形成されたシリコン酸化膜を表面保護膜8として有
する単結晶シリコン(Si)基板からなっている。ま
た、図4に示す第1,第2座屈体1,2は、例えばニッ
ケル等の金属材料からなっている。上記第1,第2絶縁
層3,4は、例えば酸化シリコンあるいは窒化シリコン
等の絶縁材料からなっている。第1,第2絶縁層3,4
により、ヒータ層7を流れる電流が上記第1,第2座屈
体1,2へリークするのを防止している。
【0025】図3と図4に示すように、第1,第2座屈
体1,2、第1,第2絶縁層3,4には、これらの矩形
面を貫通する4つの「く」の字状のスリット40が設け
られている。4つのスリット40はそれぞれ「く」の屈
曲箇所を中央部に向けた状態で互いに離間して配置され
ている。この結果として、第1,第2絶縁層3,4およ
び第1,第2座屈体1,2の中央に十字状の部分1a,
2a,3a,4aが形成されている。特に、第1,第2
座屈体1,2の十字部1a,2aの各辺1b,2bの末
端は、それぞれ第1,第2座屈体1,2の周縁部1c,
2cに支持されており、十字部1a,2aの各辺1b,
2bが加熱を受けたとき実際に座屈する。
【0026】ヒータ層7は、例えばニッケル、タングス
テン等の材料からなっている。このヒータ層7は、第
1,第2絶縁層3,4の周辺に沿って平行に延びる短冊
状の電極部分7cと、第1,第2絶縁層3,4の十字部
3a,4aの中央部分(各辺1b,2bの交差箇所)に
挟まれる円形状の部分7aと、第1,第2絶縁層3,4
の十字部3a,4aの各辺1b,2bに挟まれ、上記電
極部分7c,7cと円形部分7aとをコの字状に蛇行し
てつなぐ帯状抵抗部分7bとを共有している。電極部分
7c上には、後述する第2密着層6を介して、第2座屈
体2と同一層からなる電極パッド13a,13bが接続
されるようになっている。このように、圧力発生部材2
0を構成する第1,第2座屈体1,2とヒータ層7を別
の層にしているので、ヒータ層7は、第1,第2座屈体
1,2の形状とは無関係に、細長いパターンに形成する
ことができる。したがって、必要な発熱量を得るための
通電量を低減でき、消費電力を低減することができる。
また、スリット40をヒータ層7のパターンが存在しな
い部分に形成しているので、インク室がインクで満たさ
れたときにヒータ層7がインクと接触するのを完全に防
止することができる。
【0027】第1,第2密着層5,6はヒータ層7と同
一パターンを有している。第1密着層5は上記第1絶縁
層3とヒータ層7とを密着させる一方、第2密着層6は
第2絶縁層4とヒータ層7とを密着させるための層であ
り、それぞれTa,Ti,Cr,Nb等からなる。
【0028】ここで、本発明者は、第1,第2密着層
5,6の材料を次のような実験に基づいて選定した。す
なわち、次の表1,表2は、ヒータ層7の材料をニッケ
ルとし、第1,第2絶縁層3,4の材料をSiOまた
はSiNとした場合において、それらの間に各種材料か
らなる第1,第2密着層5,6を挿入したときの密着性
(剥離荷重)を、スクラッチテスト(引っ掻き試験)に
よって相対的に評価した結果を示している。
【表1】
【表2】 表1に示すように、SiO2(第1絶縁層3)上に直接
Ni(ヒータ層7)を設けたときの剥離荷重は19.4
gfであるが、それらの間にTa,Tiを挿入したとき
の剥離荷重はそれぞれ72.2gf,73.9gfと増
大する。また、Si34(第1絶縁層3)とNi(ヒー
タ層7)との間にTa,Tiを挿入したときの剥離荷重
もそれぞれ71.3gf,72,3gfと、同様に高い
レベルとなる。また、表2に示すように、Ni(ヒータ
層7)上に直接SiO2(第2絶縁層4)を設けたとき
の剥離荷重は27.8gfであるが、それらの間にT
a,Cr,Nbを挿入したときの剥離荷重はそれぞれ4
9.5gf,54.2gf,35.3gfと増大する。
剥離荷重が大きいほど密着力が強いと考えられるので、
第1,第2密着層5,6の材料としてこれらのTa,T
i,Cr,Nb等を用いることにより、層間の密着性を
有効に高めることができる。
【0029】ここで、表1,表2でテストした第1,第
2密着層5,6の材料は、各種材料の中から闇雲に選ん
だものではなく、第1,第2絶縁層3,4の材料である
SiO2やSi34と化学反応を容易に起こす材料、つ
まり、ある程度の活性化エネルギを与えたとき、第1,
第2絶縁層3,4の材料と接触する界面において化学的
に反応してより強く結合(密着)するものを選んでい
る。例えば第1,第2の絶縁層3,4の材料がSiO
である場合は、SiO2中のSiよりも容易に酸素Oと
反応する(酸化物を形成する)材料を選定する。具体的
には、次の表3(各種材料とその酸化物との自由エネル
ギ差ΔF0を示す)を参照して、酸化物を生成するとき
の生成エネルギΔF0が負で、その絶対値がSiのもの
よりも大きい材料より選定することができる。
【表3】 図3に示したスペーサ10は、例えば所定の膜厚をもつ
ポリイミドあるいはアクリル系の感光性接着剤などの絶
縁膜材料よりなる。このスペーサ10には、第2座屈体
2とノズルプレート11との間にインクを満たすべき間
隙31を形成するために、円形状の貫通穴10aが設け
られている。また、間隙31内にインクを供給するため
に、このスペーサ絶縁膜を所定の幅で厚さ方向に貫通
し、膜端部から貫通穴10a内に通じるインク供給路1
4が形成されている。
【0030】ノズルプレート11は、例えば厚さ0.2
mmのガラスあるいは、プラスチックシート材からな
る。ノズルプレート11の略中央にはノズル開口として
のノズルオリフィス12が形成されている。このノズル
オリフィス12は、ノズルプレート10を貫通する断面
円形状の穴であり、ノズルオリフィス12の内径は、ノ
ズルプレート10の裏側から表側に向かって次第に小さ
くなるように設定されている。
【0031】図1中に示すように、完成状態では、第
1,第2座屈体1,2と、第1,第2絶縁層3,4と、
それらの間に設けられた第1,第2密着層5,6とは、
互いに全面的に密接している。そして、それぞれの周縁
部(図1中には周縁部のうち一方向に関して両端をなす
部分が表されている)のみが基板9側に屈曲して取り付
けられ、基板9によって支持されている。第1,第2座
屈体1,2、第1,第2絶縁層3,4、第1,第2密着
層5,6の上記周縁部よりも内側の部分は、基板9から
離間しており、基板9の表面保護膜8と第1座屈体1の
上記周縁部よりも内側の部分との間に間隙32が形成さ
れている。この間隙32は、図3中に示したスリット4
0を通して、第2座屈体2とノズルプレート11との間
の間隙31に連通している。また、電極パッド13a,
13bはスペーサ10の外側、つまりインク室の外側に
位置している。電極パッド13aは配線51aを介して
スイッチ52に接続されている。このスイッチ52は電
源50とグランドの切り換えを行うようになっている。
電極パッド13bは配線51bを介してグランドに接続
されている。
【0032】このインクジェットヘッド90は次のよう
に駆動される。
【0033】 動作時には、図1に示すように、予め
ノズルプレート11と第2座屈体2との間の間隙31に
インク供給路14を通してインク15を供給する。イン
ク15は、間隙31を満たすだけでなく、図3中に示し
たスリット40を通して、基板9(の表面保護膜8)と
第1座屈体1との間の間隙32をも満たす。これにより
インク室全体がインク15で満たされる。
【0034】 次に、スイッチ52を電源50側に切
り換えて、電極13a,13b間に電圧を印加し、ヒー
タ層7に通電して発熱させる(加熱期間)。第1,第2
座屈体1,2の十字部1a,2aの各辺1b,2bがこ
のヒータ層7の帯状抵抗部分7bの熱を受けて、無変位
状態から熱膨張して長手方向に伸びようとする。しかし
ながら、第1,第2座屈体1,2の長手方向の両端(周
縁部)1c,2cは基板9に固定されているため、両座
屈体はその長手方向に伸びることができない。それゆ
え、第1,第2座屈体1,2の内部にはその反作用とし
て圧縮力P0が発生し、蓄積される。この圧縮力P0が
座屈荷重を超えたとき、図2に示すように、第1,第2
座屈体1,2は座屈し、中央部1a,2aがノズルプレ
ート11側へ変位した座屈状態となる。ノズルプレート
11側へ変位する理由は、主に第1座屈体1から基板9
側への放熱効果により、第1座屈体1側が第2座屈体2
側に比して温度が低くなるからである。第1,第2座屈
体1,2が座屈する結果、圧力発生部材20が全体とし
て変形して、インク室31内に圧力が発生する。この圧
力により、上記インク室31内のインク液15がノズル
プレート11を通してインク滴15aとして室外に噴出
する。このインク滴15aの噴出により、ノズルプレー
ト11に対向して設けられたプリント面への印字が行わ
れる。
【0035】なお、圧力発生部材20がノズルプレート
11側へ変位すると同時に間隙32が広がるため、間隙
31に存在していたインク15の一部が上記スリット4
0を通して、広がった間隙32に流入する。したがっ
て、第1座屈体1の冷却速度が早くなり、高速印字が可
能となる。
【0036】 次に、スイッチ52をグランド側へ戻
して上記ヒータ層7の通電を停止する(冷却期間)。す
ると、上記第1,第2座屈体1,2は冷却されて、ヒー
タ層7とともに元の無変位状態に復帰しようとする。こ
れにより、圧力発生部材20が全体として元の位置に復
帰する(待機状態)。このような加熱期間と冷却期間と
が繰り返されて、圧力発生部材20の変位と復帰とが繰
り返される。
【0037】このようなインクジェットヘッド90の使
用を継続すると、既に述べたように、特にヒータ層7が
高温となるため、その熱的応力によってヒータ層7と第
1,第2絶縁層2,3とが剥離し易くなる傾向がある。
しかし、このインクジェットヘッド90では、第1絶縁
層3とヒータ層7との間に第1密着層5を設け、第2絶
縁層4とヒータ層7との間に第2密着層6を設けている
ので、第1,第2絶縁層3,4とヒータ層7との間の剥
離耐性を高めることができる。この結果、インクジェッ
トヘッドの寿命を長くすることができる。
【0038】次に、上記インクジェットヘッド90の製
造方法について説明する。
【0039】図5〜図8は、上記インクジェットヘッド
90の主要部である圧力発生部材20の作成過程を示し
ている。これらの図における分図(a)〜(l)の左側
(X),右側(Y)は、それぞれ図3におけるX−X線
断面,Y−Y線断面に相当する。なお、見易くするた
め、図3(斜視図)におけるヒータ層7のパターンと、
図6〜図8(工程断面図)におけるヒータ層7のパター
ンとを若干変えて表現している。
【0040】(i)まず、図5(a)に示すように、単結
晶シリコン基板9の表面および裏面に、熱酸化により、
シリコン酸化膜8,8を所定の厚さ(例えば1〜2μ
m)に形成する。さらに、基板表面側の熱酸化膜8上
に、例えばスパッタ法により、犠牲層として例えば厚さ
0.1〜1μmのアルミニウム膜120を成膜する。続
いて、この上にフォトリソグラフィ及びエッチングを行
って、アルミニウム膜120を図1中に示した間隙32
に対応したパターンに加工する。なお、この犠牲層12
0の厚さに応じて、上記間隙32の距離が決まる。
【0041】(ii)次に、図5(b)に示すように、例え
ばスパッタ法により、めっきのシード層としてこの例で
はNi/Ta膜121を成膜する。上記Taは、熱酸化
膜8と次に形成する第1座屈体1とを密着させる最下部
密着層として働く。なお、最下部密着層の材料として
は、Ta以外にSiOとの密着性の良い金属、例えば
Cr,Ti,Fe,Nb等を用いても良い。
【0042】(iii)次に、図5(c)に示すように、第1
座屈体1の十字部1a(図4参照)用のフレームパター
ン122を形成する。すなわち、アルミニウム膜120
上にフォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィを行
って、そのフォトレジストの一部122を一定のパター
ン幅でアルミニウム膜120の表面から上方へ所定の高
さ(次に述べるニッケルめっき膜を超える高さ)だけ突
出した形状とする。続いて、この上に例えば電気めっき
によりニッケルめっき膜を設けて、上記シード層121
とこのニッケルめっき膜とからなり、フレームパターン
122,122の間に十字部1aを有する第1座屈体1
を形成する。なお、簡単のため、以下の各めっき膜形成
後は図においてシード層を省略している。
【0043】(iv)図6(d)に示すように、フォトレジ
スト122を剥離した後、この上に、例えばスパッタ法
により、第1絶縁層としてこの例では酸化シリコン膜3
を成膜する。第1絶縁層3の材料としては、ヒータ層7
の材料との密着性や加工性の観点から、SiO若しく
はSiNが望ましい。
【0044】(v)続いて、この酸化シリコン膜3上
に、例えばスパッタ法により、第1密着層5/ヒータ層
7/第2密着層6からなる三層膜19を連続的に成膜す
る。このように三層膜19を連続的に形成するのが作業
性、クリーン度等の観点から望ましい。スパッタリング
条件は、圧力8×10-3TorrのAr雰囲気で、陽極
と陰極との間に高周波パワー1kWを印加するものとす
る。
【0045】ヒータ層7の材料としては、抵抗率等の観
点からNiやW、若しくはNi−Cr等を用いる。ま
た、第1,第2密着層5,6の材料としてはTi,T
a,Cr等を用いる。表1、表2に示したように、この
第1,第2密着層5,6の存在により、第1,第2絶縁
層3,4とヒータ層7との間の密着性を高めることがで
きる。また、この例では、三層膜19をスパッタ法によ
り形成しているので、スパッタリングに伴うイオン衝撃
エネルギによって、第1密着層5/ヒータ層7/第2密
着層6の三層間の各界面で化学反応を起こさせることが
でき、さらに密着性を高めることができる。
【0046】なお、三層膜19をスパッタ法以外の方法
で成膜した場合は、上記第1密着層5/ヒータ層7/第
2密着層6の三層間の各界面での反応を促進するため、
成膜中若しくは成膜後に所定の熱処理を施すのが望まし
い。熱処理条件は、例えば窒素雰囲気で温度200℃、
20分間とする。
【0047】(vi)続いて、フォトリソグラフィ及びエ
ッチングを行って、この三層膜19を一括してパターン
加工する。これにより、第1絶縁層3上に、コの字状に
蛇行したパターンを持つヒータ層7と、このヒータ層7
と同一パターンを持つ第1,第2密着層5,6を作製す
る。
【0048】(vii)次に、図6(e)に示すように、この
上に、例えばスパッタ法により、第2絶縁層としてこの
例では酸化シリコン膜4を成膜する。第2絶縁層4の材
料としては、第1絶縁層3の材料と同様に、ヒータ層7
の材料との密着性や加工性の観点から、SiO若しく
はSiNが望ましい。続いて、フォトリソグラフィ及び
エッチングを行って、ヒータ層7を覆っている第1,第
2の絶縁層3,4を一括してパターン加工する。この第
1,第2絶縁層3,4のパターンは、ヒータ層7が存在
する領域を完全に覆い、かつ、層断面がスリット40に
露出しないようにスリット40から少し後退したものと
している。また、図6(f)に示すように、フォトリソグ
ラフィ及びエッチングを行って、酸化シリコン膜4に電
極取り出し口160を形成する。
【0049】(viii)次に、図7(g)に示すように、こ
の上に、例えばスパッタ法により、めっきのシード層と
してこの例ではNi/Ta膜123を成膜する。上記T
aは、酸化シリコン膜4と次に形成する第2座屈体2と
を密着させる最上部密着層として働く。なお、この最上
部密着層の材料としては、上記最下部密着層の材料と同
様に、Ta以外にSiOとの密着性の良い金属、例え
ばCr,Ti,Fe,Nb等を用いても良い。このと
き、めっきのシード層123はスリット40内のアルミ
ニウム膜120上にも形成される(その部分を123a
で示す)。この部分123aは不要のものであり、後工
程で邪魔になるため、図7(h)に示すように、フォトリ
ソグラフィおよびエッチングを行って除去する。
【0050】(ix)次に、図7(i)に示すように、第2
座屈体2の十字部2a(図4参照)用のフレームパター
ン124を形成する。すなわち、シード層123上にフ
ォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィを行って、
そのフォトレジストの一部124を、第1座屈体1のス
リット部分を埋め、そのスリット幅よりも広い一定のパ
ターン幅でシード層123の表面から上方へ所定の高さ
(次に述べるニッケルめっき膜を超える高さ)だけ突出
した形状とする。ここで、第2座屈体2用のフレームパ
ターン124の幅を第1座屈体1のスリット幅よりも広
くする理由は、アライメントのずれやフォトレジストの
熱収縮等をカバーして、第1座屈体1のスリット部分と
第2座屈体2のスリット部分とを連通させるためであ
る。続いて、図8(j)に示すように、この上に例えば電
気めっきによりニッケルめっき膜を設けて、上記シード
層123とこのニッケルめっき膜とからなり、フレーム
パターン124,124の間に十字部2aを有する第2
座屈体2を形成する。
【0051】(x)次に、図8(k)に示すように、フォ
トリソグラフィおよびエッチングを行って上記ニッケル
めっき膜2に溝125,125を形成して、ニッケルめ
っき膜2の一部からなる電極13a,13bを形成す
る。この段階で、図8(j)に示したフォトレジスト12
4は除去され、そこにスリット40が露出する。
【0052】(xi)次に、図8(l)に示すように、例え
ばKOH水溶液、強アルカリ現像液等のエッチング液を
用いて、スリット40を通して犠牲層120を除去し
て、基板9の酸化シリコン膜8と第1座屈体1との間の
間隙32を形成する。犠牲層120を利用して間隙32
を形成しているので、基板9の酸化シリコン膜8と第1
座屈体1との間の距離を精度良く設定することができ
る。これにより、インクジェットヘッドの応答速度を良
くし、高速印字を実現することができる。
【0053】(xii)最後に、図1に示したように、こ
の状態の基板9の表面側にスペーサ10を介してノズル
プレート11を取り付ける。これにより、インクジェッ
トヘッド90を完成させる。
【0054】このようにして、この製造方法によれば、
圧力発生部材20を構成する層の密着性を高め、圧力発
生部材20を構成する層が熱的応力によって剥離するの
を防止して、寿命を延ばすことができるインクジェット
ヘッド90を作製することができる。
【0055】図9は上記インクジェットヘッド90の変
形例を、図3に対応して分解状態で斜めから見たところ
を示している。なお、図中の参照数字は対応する図3の
各構成要素の参照数字に200を加えたものである。
【0056】このインクジェットヘッドは、上記インク
ジェットヘッド90に対して、基板209に冷媒循環用
穴216を設け、圧力発生部材220のノズルプレート
2211側にダイヤフラム250を取り付けた点が異な
っている。他の構成要素は図3のものと同一であり、個
々の説明を省略する。
【0057】図9に示す基板209は、この例では、熱
酸化して形成されたシリコン酸化膜を表面保護膜208
として有する単結晶シリコン(Si)基板からなってい
る。基板209の略中央には冷媒循環用穴216が形成
されている。この冷媒循環用穴216は、基板209を
貫通する断面矩形状の穴であり、冷媒循環用穴216の
矩形の各辺の寸法(断面寸法)は、基板209の裏側か
ら表側に向かって次第に小さくなるように設定されてい
る。この理由は、この冷媒循環用穴216が存在しない
場合に比して、圧力発生部材220と基板209表面と
の対向面積をなるべく減少させないためである。このよ
うに、圧力発生部材220と基板209とが広い面積に
わたって対向しているので、動作時に圧力発生部材22
0の熱を、基板209を通して効率良くインク室外へ放
出することが可能となる。
【0058】ダイヤフラム250は、例えばニッケルな
どの弾性材料からなり、略円板状に形成されている。完
成状態では、ダイヤフラム250の中央部は座屈体30
2の中央部202aに取り付けられる。ダイヤフラム2
50の周縁部は、座屈体302の周縁部202cに取り
付けられ、圧力発生部材220の他の構成要素の周縁部
とともに基板209に取り付けられ、基板209によっ
て支持される。ダイヤフラム250の中間部250b
(中央部250aと周縁部250cとの間の部分)は第
2座屈体202から離間しており、第2座屈体202と
ダイヤフラム250の中間部250bとの間には間隙2
33(図15(r)参照)が形成される。この間隙233
は、スリット240を通して上記基板209の表面保護
膜208と第1座屈体201との間の間隙232(図1
5(r)参照)と連通し、さらには冷媒循環用穴216を
通して図示しない冷媒溜と連通される。
【0059】動作時には、圧力発生部材220が図9に
示すノズルプレート211側へ変位したとき、上記ダイ
ヤフラム5のお陰で、ノズルプレート211と圧力発生
部材220との間隙231に存在するインクが圧力発生
部材220の裏側に回り込むのを防止できる。したがっ
て、インクの吐出力や吐出速度を大きくすることができ
る。なお、圧力発生部材220がノズルプレート211
側へ変位すると同時に、上記冷媒溜に存在していた冷媒
(インクでも良い)が冷媒循環用穴216を通して基板
209と圧力発生部材220(第1座屈体201)との
間の間隙32に流入し、さらにはスリット240を通し
て第2座屈体202とダイヤフラム250との間の間隙
233に流入する。したがって、圧力発生部材220全
体の冷却速度が速くなる。この結果、圧力発生部材22
0の応答特性が良くなり、高速印字が可能となる。
【0060】次に、上記インクジェットヘッド290の
製造方法について説明する。
【0061】図10〜図15は、上記インクジェットヘ
ッド290の主要部である圧力発生部材220の作製過
程を示している。これらの図における分図(a),(b),
…,(r)の左側(X),右側(Y)は、それぞれ図9に
おけるX−X線断面,Y−Y線断面に相当する。
【0062】(i)まず、図10(a)に示すように、両方
位(100)のシリコン基板209の表面および裏面
に、熱酸化により、シリコン酸化膜208,208を所
定の厚さ(例えば1μm)に形成する。続いて、基板2
09の裏面側にフォトレジスト(図示しない)を塗布
し、フォトリソグラフィおよびCHF3を用いたドライ
エッチングを行って、裏面側のシリコン酸化膜208に
開口208aを形成する。そして、酸化膜208をマス
クとして水酸化カリウム(KOH)を用いたエッチング
を行って、冷媒循環用穴216を途中まで形成する。な
お、この段階で冷媒循環用穴216を途中まで形成する
理由は、後の工程で冷媒循環用穴216を完成するとき
に、僅かのエッチング量で済ませるためである。
【0063】(ii)次に、図10(b)に示すように、基
板表面側の熱酸化膜208上に、例えばスパッタ法によ
り、第1犠牲層として例えば厚さ0.1〜1μmのアル
ミニウム膜320を成膜する。続いて、この上にフォト
リソグラフィ及びエッチングを行って、アルミニウム膜
320を図15(r)中に示した間隙232に対応したパ
ターンに加工する。なお、この第1犠牲層320の厚さ
に応じて、上記間隙232の距離が決まる。
【0064】(iii)次に、図10(c)に示すように、例
えばスパッタ法により、めっきのシード層としてこの例
ではNi/Ta膜321を成膜する。上記Taは、熱酸
化膜208と次に形成する第1座屈体201とを密着さ
せる最下部密着層として働く。なお、最下部密着層の材
料としては、Ta以外にSiOとの密着性の良い金
属、例えばCr,Ti,Fe,Nb等を用いても良い。
【0065】(iv)次に、図11(d)に示すように、第
1座屈体201の十字部用のフレームパターン322を
形成する。すなわち、アルミニウム膜320上にフォト
レジストを塗布し、フォトリソグラフィを行って、その
フォトレジストの一部322を一定のパターン幅でアル
ミニウム膜320の表面から上方へ所定の高さ(次に述
べるニッケルめっき膜を超える高さ)だけ突出した形状
とする。続いて、この上に例えば電気めっきによりニッ
ケルめっき膜を設けて、上記シード層321とこのニッ
ケルめっき膜とからなり、フレームパターン322,3
22の間に十字部201aを有する第1座屈体201を
形成する。なお、簡単のため、以下の各めっき膜形成後
は図においてシード層を省略している。
【0066】(v)図11(e)に示すように、フォトレ
ジスト322を剥離した後、この上に、例えばスパッタ
法により、第1絶縁層としてこの例では酸化シリコン膜
203を成膜する。第1絶縁層203の材料としては、
ヒータ層207の材料との密着性や加工性の観点から、
SiO若しくはSiNが望ましい。
【0067】(vi)続いて、この酸化シリコン膜203
上に、例えばスパッタ法により、密着層205/ヒータ
層207/密着層206からなる三層膜219を連続的
に成膜する。このように三層膜219を連続的に形成す
るのが作業性、クリーン度等の観点から望ましい。スパ
ッタリング条件は、圧力8×10-3TorrのAr雰囲
気で、陽極と陰極との間に高周波パワー1kWを印加す
るものとする。
【0068】ヒータ層207の材料としては、抵抗率等
の観点からNiやW、若しくはNi−Cr等を用いる。
また、第1,第2密着層205,206の材料としては
Ti,Ta,Cr等を用いる。表1、表2に示したよう
に、この第1,第2密着層205,206の存在によ
り、第1,第2絶縁層203,204とヒータ層207
との間の密着性を高めることができる。また、この例で
は、三層膜219をスパッタ法により形成しているの
で、スパッタリングに伴うイオン衝撃エネルギによっ
て、密着層205/ヒータ層207/密着層206の三
層間の各界面で化学反応を起こさせることができ、さら
に密着性を高めることができる。
【0069】なお、三層膜219をスパッタ法以外の方
法で成膜した場合は、上記密着層205/ヒータ層7/
第2密着層6の三層間の各界面での反応を促進するた
め、成膜中若しくは成膜後に所定の熱処理を施すのが望
ましい。熱処理条件は、例えば窒素雰囲気で温度200
℃、20分間とする。
【0070】(vii)続いて、フォトリソグラフィ及び
エッチングを行って、この三層膜219を一括してパタ
ーン加工する。これにより、第1絶縁層203上に、コ
の字状に蛇行したパターンを持つヒータ層207と、こ
のヒータ層207と同一パターンを持つ第1,第2密着
層205,206を作製する。
【0071】(viii)次に、図11(f)に示すように、
この上に、例えばスパッタ法により、第2絶縁層として
この例では酸化シリコン膜204を成膜する。第2絶縁
層204の材料としては、第1絶縁層203の材料と同
様に、ヒータ層207の材料との密着性や加工性の観点
から、SiO若しくはSiNが望ましい。続いて、フ
ォトリソグラフィ及びエッチングを行って、ヒータ層2
07を覆っている第1,第2の絶縁層203,204を
一括してパターン加工する。この第1,第2絶縁層20
3,204のパターンは、ヒータ層207が存在する領
域を完全に覆い、かつ、層断面がスリット240に露出
しないようにスリット240から少し後退したものとし
ている。また、図12(g)に示すように、フォトリソグ
ラフィ及びエッチングを行って、酸化シリコン膜204
に電極取り出し口360を形成する。
【0072】(ix)次に、図12(h)に示すように、こ
の上に、例えばスパッタ法により、めっきのシード層と
してこの例ではNi/Ta膜323を成膜する。上記T
aは、酸化シリコン膜204と次に形成する第2座屈体
202とを密着させる最上部密着層として働く。なお、
この最上部密着層の材料としては、上記最下部密着層の
材料と同様に、Ta以外にSiOとの密着性の良い金
属、例えばCr,Ti,Fe,Nb等を用いても良い。
このとき、めっきのシード層323はスリット340内
のアルミニウム膜320上にも形成される(その部分を
323aで示す)。この部分323aは不要のものであ
り、後工程で邪魔になるため、図12(i)に示すよう
に、フォトリソグラフィおよびエッチングを行って除去
する。
【0073】(x)次に、図13(j)に示すように、第
2座屈体202の十字部202a(図9参照)用のフレ
ームパターン324を形成する。すなわち、シード層3
23上にフォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィ
を行って、そのフォトレジストの一部324を、第1座
屈体201のスリット部分を埋め、そのスリット幅より
も広い一定のパターン幅でシード層323の表面から上
方へ所定の高さ(次に述べるニッケルめっき膜を超える
高さ)だけ突出した形状とする。ここで、第2座屈体2
02用のフレームパターン324の幅を第1座屈体20
1のスリット幅よりも広くする理由は、アライメントの
ずれやフォトレジストの熱収縮等をカバーして、第1座
屈体201のスリット部分と第2座屈体202のスリッ
ト部分とを連通させるためである。続いて、図13(k)
に示すように、この上に例えば電気めっきによりニッケ
ルめっき膜を設けて、上記シード層323とこのニッケ
ルめっき膜とからなり、フレームパターン324,32
4の間に十字部202aを有する第2座屈体202を形
成する。
【0074】(xi)次に、図13(l)に示すように、こ
の上に、例えばスパッタ法により、第2犠牲層としてこ
の例ではアルミニウム膜325を成膜する。続いて、フ
ォトリソグラフィを行い、エッチング液として水酸化カ
リウム溶液を用いてエッチングを行って、アルミニウム
膜325を図15(r)中に示した間隙233に対応した
パターンに加工する。この第2犠牲層325の厚さに応
じて、上記間隙233の距離が決まる。
【0075】(xii)次に、図14(m)に示すように、こ
の上に、例えばスパッタ法により、めっきのシード層と
してのニッケル膜326を成膜する。続いて、図14
(n)に示すように、電解めっき法によりニッケルめっき
膜325を形成する。上記シード層326とニッケルめ
っき膜325とは、図9に示したダイヤフラム250の
材料となる。
【0076】(xiii)次に、図14(o)に示すように、
この状態の基板209を水酸化カリウム溶液に浸して、
基板表面側のニッケル膜325と基板裏面側の熱酸化膜
208とをマスクとして、シリコン基板209をエッチ
ングする。これにより、基板209の裏面側から表面側
まで貫通する冷媒循環用穴216を完成させる。エッチ
ングは基板209の表面保護膜208で停止する。
【0077】(xiv)次に、図15(p)に示すように、フ
ォトリソグラフィおよびエッチングを行って上記ニッケ
ルめっき膜302および327に溝328,328を形
成して、ニッケルめっき膜302,327の一部からな
る電極213a,213bを形成するとともに、ダイヤ
フラム250をパターン形成する。
【0078】(xv)次に、図15(q)に示すように、エ
ッチングを行って、基板裏面側の熱酸化膜208を除去
して開口329を形成する。続いて、図15(r)に示す
ように、水酸化カリウム溶液やアルカリ現像液等のエッ
チング液を用いて、第1犠牲層としてのアルミニウム膜
320と、レジスト324と、第2犠牲層としてのアル
ミニウム膜325とをエッチングして除去する。これに
より、基板7の表面保護膜6と第1座屈体201との間
に間隙232を形成するとともに、スリット240を通
して、第1座屈体201とダイヤフラム250との間に
間隙233を形成する。
【0079】(xvi)第1,第2犠牲層320,325
を利用して間隙232,233を形成しているので、圧
力発生部材220を精度良く作製することができる。ま
た、基板209の酸化シリコン膜208と第1座屈体2
01との間の距離を精度良く設定することができる。こ
れにより、インクジェットヘッドの応答速度を良くし、
高速印字を実現することができる。
【0080】(xvii)最後に、この状態の基板209の
表面側に、図9に示したスペーサ210を介してノズル
プレート211を取り付ける。これにより、インクジェ
ットヘッド290を完成させる。
【0081】このようにして、この製造方法によれば、
圧力発生部材220を構成する層の密着性を高め、圧力
発生部材220を構成する層が熱的応力によって剥離す
るのを防止して、寿命を延ばすことができるインクジェ
ットヘッド290を作製することができる。
【0082】
【発明の効果】以上より明らかなように、請求項1のイ
ンクジェットヘッドは、第1の絶縁層とヒータ層との間
にこれらの層を密着させる第1の密着層が設けられ、第
2の絶縁層とヒータ層との間にこれらの層を密着させる
第2の密着層が設けられているので、インクジェットヘ
ッドの動作時に、ヒータ層の発熱によって上記第1,第
2絶縁層とヒータ層との間に熱的応力がかかったとして
も、上記第1,第2絶縁層とヒータ層との剥離を効果的
に妨げることができる。したがって、インクジェットヘ
ッドの信頼性を向上させ、寿命を延ばすことができる。
【0083】請求項2のインクジェットヘッドでは、上
記第1、第2の絶縁層と上記第1、第2の密着層とがそ
れぞれ界面で化学反応により結合しているので、上記第
1、第2の絶縁層と上記第1、第2の密着層との間で剥
離が生じなくなる。したがって、インクジェットヘッド
の信頼性をさらに向上させ、さらに寿命を延ばすことが
できる。
【0084】請求項3のインクジェットヘッドでは、動
作時に圧力発生部材がノズルプレート側へ変位したと
き、インク室内のインクが圧力発生部材を貫通するスリ
ットを通して圧力発生部材の裏側へ回り込むので、圧力
発生部材の第1の座屈体の冷却速度が速くなる。この結
果、圧力発生部材の応答特性を良くして、高速印字を実
現することができる。
【0085】請求項4のインクジェットヘッドでは、動
作時に、基板を貫通する冷媒循環用穴を通して、上記圧
力発生部材の第1の座屈体側に冷媒を循環させることが
できるので、第1の座屈体の冷却速度が速くなる。この
結果、圧力発生部材の応答特性を良くして、高速印字を
実現することができる。また、ダイヤフラムのお陰で、
ノズルプレートと圧力発生部材(ダイヤフラム)との間
隙に存在するインクが、動作時に圧力発生部材(ダイヤ
フラム)の裏側に回り込むのが防止されるので、インク
の吐出力や吐出速度を大きくすることができる。
【0086】請求項5のインクジェットヘッドの製造方
法では、第1の密着層を、第1の絶縁層を構成する第1
の元素よりも酸素と化合し易い性質を持つ金属元素を材
料として形成するので、上記第1の絶縁層と第1の密着
層とが界面で化学反応により容易に結合する。すなわ
ち、その界面で第1の密着層の材料である金属元素が、
第1の絶縁層の酸素と化合して酸化物となる。したがっ
て、上記第1の絶縁層と上記第1の密着層との間で剥離
が生じなくなる。同様に、第2の密着層を、第2の絶縁
層を構成する第2の元素よりも酸素と化合し易い性質を
持つ金属元素を材料として形成するので、上記第2の絶
縁層と第2の密着層とが界面で第2の密着層の材料であ
る金属元素が、第2の絶縁層の酸素と化合して酸化物と
なる。したがって、上記第2の絶縁層と上記第2の密着
層との間で剥離が生じなくなる。また、上記第1の密着
層、ヒータ層および第2の密着層を、いずれも金属元素
を材料として形成するので、それらの金属元素の種類を
適切に選択することによって、これらの層間の密着性は
良好に保たれる。したがって、この製造方法によれば、
圧力発生部材を構成する層が熱的応力によって剥離する
のを有効に防止でき、長寿命のインクジェットヘッドを
作製することができる。
【0087】請求項6のインクジェットヘッドの製造方
法によれば、スパッタリングに伴うイオン衝撃エネルギ
によって、第1の密着層、ヒータ層および第2の密着層
の三層間の各界面で化学反応を起こさせることができ
る。したがって、さらに圧力発生部材を構成する層の間
の密着性を高めて、インクジェットヘッドの寿命を延ば
すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施例のインクジェットヘッド
の全体構成を概略的に示す断面図である。
【図2】 上記インクジェットヘッドの動作を説明する
図である。
【図3】 上記インクジェットヘッドを分解状態で示す
斜視図である。
【図4】 図3中の圧力発生部材を構成する層を模式的
に示す斜視図である。
【図5】 上記インクジェットヘッドの工程断面図であ
る。
【図6】 上記インクジェットヘッドの製造方法を説明
する工程図である。
【図7】 上記インクジェットヘッドの製造方法を説明
する工程図である。
【図8】 上記インクジェットヘッドの製造方法を説明
する工程図である。
【図9】 この発明の別の実施例のインクジェットヘッ
ドを分解状態で示す斜視図である。
【図10】 上記インクジェットヘッドの製造方法を説
明する工程図である。
【図11】 上記インクジェットヘッドの製造方法を説
明する工程図である。
【図12】 上記インクジェットヘッドの製造方法を説
明する工程図である。
【図13】 上記インクジェットヘッドの製造方法を説
明する工程図である。
【図14】 上記インクジェットヘッドの製造方法を説
明する工程図である。
【図15】 上記インクジェットヘッドの製造方法を説
明する工程図である。
【図16】 従来のインクジェットヘッドを示す断面図
である。
【符号の説明】
1,201 第1座屈体 2,202 第2座屈体 3,203 第1絶縁層 4,204 第2絶縁層 5,205 第1密着層 6,206 第2密着層 7,207 ヒータ層 9,209 単結晶シリコン基板 10 スペーサ 11 ノズルプレート 250 ダイヤフラム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平田 進 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 木村 正治 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 堀中 大 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 阿部 新吾 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 恩田 裕 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ノズル開口を有するノズルプレートおよ
    びこのノズルプレートに対向する基板を周壁の一部に含
    むインク室と、このインク室内に設けられ、上記ノズル
    プレートに対向する圧力発生部材とを備え、この圧力発
    生部材の変形により上記インク室内に圧力を発生させ
    て、上記インク室内のインク液を上記ノズル開口を通し
    て室外へ吐出させるインクジェットヘッドであって、 上記圧力発生部材は、 上記インクに対して耐食性を示す略板状の材料からな
    り、周縁部のうち少なくとも一方向に関して両端をなす
    部分が上記基板に取り付けられ、実質的に熱応力がない
    無変位状態と、熱膨張して座屈した座屈状態とを取り得
    る第1および第2の座屈体と、 上記第1の座屈体と第2の座屈体との間に、この両座屈
    体に沿って設けられた第1および第2の絶縁層と、 上記第1の絶縁層と第2の絶縁層との間に、この両絶縁
    層に沿って設けられ、通電により発熱するヒータ層と、 上記第1の絶縁層と上記ヒータ層との間に設けられ、上
    記第1の絶縁層と上記ヒータ層とを密着させる第1の密
    着層と、 上記第2の絶縁層と上記ヒータ層との間に設けられ、上
    記第2の絶縁層と上記ヒータ層とを密着させる第2の密
    着層とを備えたことを特徴とするインクジェットヘッ
    ド。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のインクジェットヘッド
    において、 上記第1、第2の絶縁層と上記第1、第2の密着層とは
    それぞれ界面で化学反応により結合していることを特徴
    とするインクジェットヘッド。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載のインクジェッ
    トヘッドにおいて、上記ヒータ層は帯状のパターンに形
    成され、 上記圧力発生部材のうち上記第1および第2の座屈体の
    周縁部よりも内側であって、かつ上記ヒータ層のパター
    ンが存在しない部分に、上記第1の座屈体から第2の座
    屈体まで貫通するスリットが設けられていることを特徴
    とするインクジェットヘッド。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれか一つに記載の
    インクジェットヘッドにおいて、 上記圧力発生部材は、略板状の可撓性材料からなり、上
    記ノズルプレートと対向する側の上記第2の座屈体に沿
    って、かつ周縁部と中央部がそれぞれ上記第2の座屈体
    の周縁部と中央部に取り付けられた状態で設けられたダ
    イヤフラムを備え、 上記基板に、この基板を貫通して、上記圧力発生部材の
    うち上記第1の座屈体の周縁部よりも内側に存する部分
    に面する冷媒循環用穴が設けられていることを特徴とす
    るインクジェットヘッド。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至5のいずれか一つに記載の
    インクジェットヘッドを製造するために、基板の表面上
    に、上記第1の座屈体となすべき層と、第1の元素の酸
    化物からなる上記第1の絶縁層と、上記第1の密着層
    と、上記ヒータ層と、上記第2の密着層と、第2の元素
    の酸化物からなる上記第2の絶縁層と、上記第2の座屈
    体となすべき層を順に積層するインクジェットヘッドの
    製造方法において、 上記第1の元素の酸化物からなる第1の絶縁層を形成し
    た後、 上記第1の密着層を、上記第1の絶縁層を構成する第1
    の元素よりも酸素と化合し易い性質を持つ金属元素を材
    料として形成し、 上記ヒータ層を、金属元素を材料として形成し、 上記第2の密着層を、上記第2の絶縁層を構成する第2
    の元素よりも酸素と化合し易い性質を持つ金属元素を材
    料として形成し、 続いて上記第2の元素の酸化物からなる第2の絶縁層を
    形成することを特徴とするインクジェットヘッドの製造
    方法。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載のインクジェットヘッド
    の製造方法において、 上記第1の密着層、上記ヒータ層および上記第2の密着
    層をスパッタ法によって連続的に形成することを特徴と
    するインクジェットヘッドの製造方法。
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