JPH0833183B2 - 既設管のライニング工法 - Google Patents

既設管のライニング工法

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JPH0833183B2
JPH0833183B2 JP79990A JP79990A JPH0833183B2 JP H0833183 B2 JPH0833183 B2 JP H0833183B2 JP 79990 A JP79990 A JP 79990A JP 79990 A JP79990 A JP 79990A JP H0833183 B2 JPH0833183 B2 JP H0833183B2
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spiral
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憲一 森川
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、老朽化した既設管を更正する際に実施され
る既設管のライニング工法に関する。さらに詳述すれ
ば、合成樹脂製の帯状体を螺旋状に巻回して製造される
螺旋管を、直接既設管内に挿入し、挿入された螺旋管に
て既設管をライニングする既設管のライニング工法に関
する。
(従来の技術) 上水道や下水道として使用される埋設管には、古くか
ら金属管やヒューム管が採用されている。このような埋
設管は、長期の使用によって老朽化し、割れや腐蝕がが
生じて漏水するおそれがある。このため、最近では、老
朽化した埋設管等の既設管内に合成樹脂製の管を挿入し
てライニングすることが行われている。
既設管のライニング工法の一つに、合成樹脂製の帯状
体を螺旋状に巻回することによって製造される螺旋管を
用いて既設管をライニングする方法がある。この方法
は、例えば特開昭61−48690号公報に開示されている。
該公報に開示された方法は、既設管の端部開口部に、螺
旋管を製造し得る製管機を設置して実施される。該製管
機には、各側縁部同士が相互に係合し得る合成樹脂製の
帯状体が順次供給され、製管機は該帯状体を螺旋状に巻
回するとともに、その巻回によって相互に隣り合った帯
状体の側縁部同士を係合させることにより、順次螺旋管
を製造する。製造される螺旋管は、順位、回転しつつ製
管機から導出される。そして、該製管機から導出される
螺旋管は、直接、既設管内へ導入され、該既設管内を回
転しつつ推進される。既設管の略全域にわたって螺旋管
が挿入されると、該螺旋管と既設管との間にセメントモ
ルタル等の裏込め材が充填されて該螺旋管が既設管内に
固定さる。これにより、既設管が該螺旋管にてライニン
グされる。
該螺旋管とされる帯状体は、通常、一方の側縁部に凸
条が長手方向に連続的に設けられており、他方の側縁部
には、該凸条が係合し得る凹条が長手方向に連続的に設
けられている。そして、該帯状体が螺旋状に巻回された
場合に、相互に隣り合う帯状体の側縁部の凸条内に凹条
が嵌合されて、螺旋管とされる。
(発明が解決しようとする課題) このようなライニング工法では、既設管内に挿入され
た螺旋管は、回転しつつ該既設管内を推進する。このた
め、既設管内径よりわずかに小さい外径を有する螺旋管
を既設管内に挿入すると、螺旋管外周面のほぼ全面が既
設管内周面に接触することになり螺旋管には大きな抵抗
が加わる。螺旋管を製造する製管機には、帯状体が順次
供給されており、該製管機にて製管された螺旋管が該製
管機から順次導出されているため、製造された該螺旋管
に抵抗が加わると、螺旋管は既設管内を推進されず、製
管機にて帯状体が螺旋管として順次送り出されることに
より、螺旋管における帯状体に推進力が加わり、その相
互に嵌合された凸条と凹条とが滑り出して、螺旋管の径
が大きくなる。このようにして、螺旋管の径が大きくな
ると、該螺旋管と既設管との接触抵抗が大きくなり、該
螺旋管は既設管内を推進することができなくなる。
このため、従来のライニング工法では、螺旋管外周面
のほぼ全面が既設管内周面に接触することを防止するた
めに、螺旋管の内径を既設管の内径よりも十分に小さく
して既設管内に推進させることが行われている。従っ
て、従来のライニング工法によりライニングされた既設
管は、流体が通流される部分(螺旋管の内部)が、当初
の流体通流部分(既設管の内部)よりも著しく小さくな
り、ライニング後の流体の通流量が、ライニング前の流
体の通流量よりも著しく低下してしまう。
さらに、既設管と螺旋管との内径差が大きくなると、
螺旋管は既設管に対して傾動し得るため、既設管と螺旋
管との間にセメントモルタル等の裏込め材を充填して、
螺旋管を既設管に固定しなければならない。既設管と螺
旋管との内径差が大きくなると、多量の裏込め材が必要
となるため、裏込め充填作業に非常に手間を要し、しか
も経済性を損なう。
このような問題を解決するために、本願発明者は、帯
状体を螺旋管に巻回する際に、帯状体の係合される側縁
部間に線材を係止させ、係合された帯状体の側縁部間の
抵抗を増加させる方法を開発した。このようにして、螺
旋管を製造すれば、螺旋管を構成する帯状体の側縁部間
の抵抗線材によって増加するため、小径の螺旋管が製造
される。そして、既設管内に、このような小径の螺旋管
を挿通させた後に、螺旋管を製造する場合と同様に帯状
体を供給することにより螺旋管を構成する帯状体に推進
力を付与しつつ、線材を帯状体の側縁部間から離脱させ
れば、線材が離脱された部分から、順次、各帯状体の側
縁部同士が滑動して、螺旋管は、回転しつつ拡径され
る。そして、拡径された螺旋管は、既設管内周面にほぼ
接した状態になる。
このようにして、既設管を挿通された螺旋管を順次拡
径すれば、螺旋管は既設管内周面全体にわたって、ほぼ
接した状態になる。しかし、拡径された螺旋管が既設管
内周面に接した状態になると、該既設管内周面から螺旋
管に摩擦抵抗が加わる。通常、螺旋管は、拡径された部
分と拡径されていない部分との間が円錐台状になってお
り、拡径された部分に既設管内周面から高抵抗を受ける
と、拡径されていない螺旋管部分を推進される帯状体に
より、拡径されていない部分が軸心方向に移動する速度
が速くなるために、その円錐台状部分の軸方向長さが順
次小さくなり、螺旋管は、帯状体に推進力が付与されて
いるにも拘らず、螺旋管を拡径することができなくなる
おそれがある。
本発明は、上記従来の問題を解決するものであり、そ
の目的は、既設管と略同径に既設管内周面をライニング
し得る既設管のライニング工法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、既設管を螺旋管にてライニ
ングする際に、螺旋管が拡径するおそれがなく、該螺旋
管を既設管内に容易に推進させることができる既設管の
ライニング工法を提供することにある。本発明のさらに
他の目的は、既設管内を比較的小径状態で挿通された螺
旋管を、確実に既設管内周面に接する状態に、その全体
にわたって確実に拡径し得る既設管のライニング工法を
提供することにある。
(課題を解決するための手段) 本発明の既設管のライニング工法は、各側縁部が相互
に係合し得る帯状体を螺旋状に巻回する工程と、その巻
回によって相互に隣接する帯状体の側縁部同士を係合さ
せるとともに、その係合された部分の摩擦抵抗を増加さ
せるべくその部分に線材を連続的に係止させ、螺旋管を
製造する工程と、製造された螺旋管を既設管内に順次挿
入して、挿入された螺旋管を既設管内に推進させた後に
該螺旋管の先端を該既設管に固定する工程と、該螺旋管
先端を既設管に固定した状態で、該螺旋管を構成する帯
状体に推進力を付与しつつ、その推進力に関する情報に
基づいて制御される所定の速度で、前記線材を螺旋管か
ら離脱させ、螺旋管の該線材が離脱された部分から帯状
体の相互に係合された側縁部同士を滑動させ、該螺旋管
を拡径する工程と、を包含してなる既設管のライニング
工法であって、前記螺旋管を拡径する工程における帯状
体の推進力に関する情報としては、螺旋管を拡径する工
程における初期の情報を用いてなり、そのことにより上
記目的が達成される。
また、本発明のライニング工法としては、各側縁部が
相互に係合し得る帯状体を螺旋状に巻回し、その巻回に
よって相互に隣接する帯状体の側縁部同士を係合させる
とともに、その係合された部分に線材を連続的に係止さ
せてその部分の摩擦抵抗を増加させつつ、巻回された帯
状体を既設管内にて推進させる推進力を与えて螺旋管を
製造する工程と、螺旋管を既設管内に製造した後に該螺
旋管の先端を該既設管に固定する工程と、該螺旋管先端
を既設管に固定した状態で、該螺旋管を構成する帯状体
に推進力を付与しつつ、その推進力に関する情報に基づ
いて制御される所定の速度で、前記線材を螺旋管から離
脱させ、螺旋管の該線材が離脱された部分から帯状体の
相互に係合された側縁部同士を滑動させて、該螺旋管を
拡径する工程とを包含する既設管のライグ工法であっ
て、前記螺旋管を拡径する工程における帯状体の推進力
に関する情報を、前記螺旋管を製造する工程における帯
状体の推進力に関する情報を用いて補正してなるものも
考えられる。
(実施例) 以下、本発明の実施例について説明する。
本発明の既設管のライニング工法は、例えば、第1図
に示すように、既設管であるコンクリート製の下水管81
を更生する際に実施される。本発明方法おいては、まず
合成樹脂製の帯状体10を、油圧モーター22にて駆動され
る製管機20を用いて螺旋管10′とする。該製管機20は、
下水管81の一端部が接続されたマンホール82内に設置さ
れており、製管された螺旋管10′は、順次、下水管81内
に導入される。このとき、螺旋管10′は、少なくとも底
部以外が下水管81内周面に接触しないように、下水管81
の内径に対して十分に小さい外径とされる。
本発明方法に使用される帯状体10は、第3図に示すよ
うな断面形状をしている。該帯状体10は、ポリ塩化ビニ
ル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネー
ト、ポリエステル、あるいはこれらの樹脂をガラス繊維
で補強した樹脂等の材料により成形される。
該帯状体10は、帯板状の基板12を有する。帯板状の基
板12は、長手方向に延びる一側面12aの近傍に、該基板1
2の長手方向に沿って立設された嵌合突条13を有する。
該基板12における該嵌合突条13配設部近傍の側面12a
は、嵌合突条13が配設された側面とは反対側面になるに
連れて、順次、外方へ突出した傾斜面になっている。該
嵌合突条13は、基板12の厚さより若干長い支柱部13a
と、該支柱部13a先端に配設された断面半円状の挿入部1
3bとを有している。該挿入部13bは、上面が円弧状に突
出しており、その下部における各側部は支柱部13aの各
側方にそれぞれ突出した係止部13cとなっている。
該嵌合突条13が立設された側縁部とは反対側の基板12
の側縁部は、該基板12が螺旋状に巻回された際に、嵌合
突条13側の基板12の一側面12aと該嵌合突条13の基端部
との間の基板12部分が嵌合し得るように、基板12の厚み
分だけ嵌合突条13の突出側に段落ちした段落ち部14にな
っている。該段落ち部14には、上述の嵌合突条13の挿入
部13bが嵌合し得る断面半円状の空間を有する断面半円
環状をした嵌合凹条15が、基板12の長手方向に沿って該
嵌合突条13と同方向へ突出するように設けられている。
該嵌合凹状15の基端部内周面には、嵌合突条13の挿入部
13bにおける各係止部13cが係止し得る一対の係止部15a,
15aが、それぞれ半円状の空間内に突出するように配設
されている。嵌合突条13における挿入部13bは、その円
弧状の周面から該嵌合凹条15内に円滑に挿入され、該嵌
合凹条15の係止部15aに嵌合突条13の係止部13cが係止さ
れることにより、嵌合突条13の挿入部13bが嵌合凹条15
の空間部から抜け止めされる。嵌合凹条15内に挿入され
た嵌合突条13の挿入部13bは、該嵌合凹条15内を滑動し
得る。嵌合凹条15内に嵌合突条13の挿入部13bが挿入さ
れると、該段落ち部14内に嵌合された基板12の側面12a
は、段落ち部14の対向面とは若干の間隙があけられる。
該嵌合凹条15が配設された段落ち部14における外側の
縁部には、外側になるに連れて基板12に対して嵌合凹条
15の突出側に傾斜した押圧部16が連設されている。基板
12における嵌合突条13と嵌合凹条15との間には、断面T
字状をした複数条の補強リブ19が、適当な間隔をあけて
それぞれ基板12の長手方向に沿って立設されている。各
補強リブ19は基板12とは直交状態の支柱部19aと、該支
柱部19aの先端に基板12とは平行状になったフランジ部1
9bとを有し、該支柱部19aの長さが、基板12の厚さより
若干大きくなっている。嵌合突条13に隣接する補強リブ
19は、該嵌合突条13の挿入部13bが嵌合凹条15内に挿入
された際に、該嵌合凹条15に隣接して配設された押圧部
16の先端が、該補強リブ19のフランジ部19bに当接する
ようになっている。
このような帯状体10は、嵌合突条13、補強リブ19、嵌
合凹条15が立設された基板12表面側が外周側になるよう
に、螺旋状に巻回され、嵌合突条13の挿入部13bが嵌合
凹条15内の空間に嵌合されることにより、所定径の螺旋
管とされる。
このような帯状体10は、帯状体ドラムに巻回されて、
マンホール82の近傍の地上に配置されており、該帯状体
ドラムから帯状体10が順次繰り出され、第2図に示すよ
うに、マンホール82内に設置されて油圧モーター22にて
駆動される製管機20により螺旋管10′とされる。該製管
機20は、該製管機20内に導入される帯状体10を、所定の
螺旋角を有して円筒周面上に配設された製管ローラ21に
より強制的に屈曲して、該帯状体10を螺旋状に巻回す
る。そして、第4図に示すように、螺旋状に巻回された
帯状体10の嵌合凹条15内の空間内に、新たに製管機20内
に導入される帯状体10の嵌合突条13の挿入部13bが挿入
される。嵌合突条13の挿入部13bが嵌合凹条15内の空間
内に挿入されると、該挿入部13bの係止部13cが嵌合凹条
15の係止部15aに係止することにより抜け止めされ、相
互に隣り合う帯状体10の側縁部同士が係止される。この
とき、段落ち部14に配設された嵌合凹条15に連設されて
いる押圧部16の先端が、嵌合突条13に隣接する補強リブ
19のフランジ19aと基板12との間に位置される。
本発明のライニング工法では、このように、製管機20
にて螺旋状に巻回された帯状体10の嵌合凹条15の空間内
へ、新たに製管機20内へ導入される帯状体10における嵌
合突条13の挿入部13bが嵌合される際に、嵌合凹条15が
配設された段落ち部14と該段落ち部14内に嵌合された基
板12における嵌合突条13配設側の側縁部との対向面間
に、帯状線材30が介装される。
該帯状線材30は、段落ち部14内の基板12側端面12aと
該段落ち部145との対向面間にその一側部が位置され
る。該帯状線材30は、例えば、帯状体10よりも柔らかい
材質の合成樹脂内に、抗張体として長手方向に延びる多
数のガラス繊維が幅方向に並設されている。該帯状線材
30の幅寸法は、大きいほど好ましいが、通常は、段落ち
部14内に係合した基板12の側面12aと嵌合突条13との距
離(3〜6mm)程度とされている。該帯状線材30の厚さ
は、嵌合突条13における支柱部13a(基板12の厚さより
も若干大きい)と基板12の厚さとの差よりも若干大きく
なるように設定されており、1〜2mm程度になってい
る。
帯状線材30の表面部の柔らかさおよび厚み寸法を、こ
のように設定することにより、帯状体10の表面が雨や下
水等で濡れていても、製管された螺旋管10′は所定の形
状を十分に保持し、既設管81内を支障なく推進させるこ
とができる。
該帯状線材30は、嵌合突条13の挿入部13bを嵌合凹条1
5の空間内に挿入する際に、該嵌合突条13に隣接する基
板12の側縁部および傾斜した側面12aに沿って配設され
る。そして、嵌合突条13の挿入部13bが嵌合凹条15の空
間内に挿入されると、該帯状線材30が段落ち部14と該段
落ち部14内に嵌合された基板12側縁部および側面12aと
の間に挟まれる。帯状線材30は、その一側部が基板12の
傾斜した側面12aと段落ち部14の対向面間に位置されて
いる。該帯状線材30は、段落ち部14と該段落ち部14内に
嵌合された基板12側縁部とを傾斜状態とし、嵌合突条13
の嵌合凹条15内に挿入された挿入部13bにおける基板12
の該側面12a側の係止部13cを、嵌合凹条15の係止部15a
に強く係止させる。これにより、基板12における嵌合突
条13と該嵌合突条13に隣接する補強リブ19との間の部分
が段落ち部14との対向面に強く面圧着され、螺旋状に巻
回された帯状体10の側縁部同士は強固に係止される。こ
のとき、段落ち部14に連設された押圧部16の先端は、嵌
合突条13に隣接する補強リブ19のフランジ19bに係止さ
れ、該段落ち部14が該段落ち部14内に嵌合された基板12
に強く押し付けられ、螺旋管とされた帯状体10の側縁部
同士を一層強固に係止する。嵌合凹条15内に挿入された
嵌合突条13の挿入部13bは、その係止部13cが嵌合凹条15
の係止部15aに係止されることにより、該嵌合凹条15内
から抜け止めされる。その結果、製管機20にて製造され
る螺旋管10′は拡径することなく、所定の径に維持され
て、下水管81内を推進される。
該帯状線材30は、第5図に示すように、製管機20近傍
に配設された帯状線材ドラム32から繰り出される。該帯
状線材ドラム32は、繰り出される帯状線材30に張力を付
与すべく、帯状線材30繰り出し方向とは反対方向に付勢
している。該帯状線材ドラム32から繰り出された帯状線
材30は、一対のテンションローラ33,34にそれぞれ半周
にわたって巻き掛けられた後に、帯状線材ガイド35に案
内されて、帯状体10における基板12の所定の側縁部に沿
わせて引き出される。該帯状線材ガイド35は、帯状線材
30が帯状体10に対して所定の角度となるように該帯状線
材30を案内する。
このようにして、相互に隣り合う帯状体10の側縁部同
士が強固に係止された螺旋管10′が製造されると、該螺
旋管10′は、製管機20から、直接、下水管81内へ挿入さ
れる。そして、該螺旋管10′は、下水管81内を、回転し
つつ軸方向に推進される。このとき、螺旋管10′の外径
は、下水管81の内径よりも十分に小さいために、螺旋管
10′はその底部を除いて下水管81内周面にはほとんど接
触することなく、下水管81内を円滑に推進する。また、
螺旋管10が下水管81内周面に接触しても、その径が小さ
いために、該螺旋管10′が下水管81内周面から受ける抵
抗が小さく、該螺旋管10′は、下水管81内を円滑に推進
する。そして、螺旋管10′の推進方向先端が、下水管81
の端部に到達すると、第2図に示すように、製管機20に
よる螺旋管10′の製造を一旦停止して、該螺旋管10′先
端部の帯状線材30を、所定量だけ離脱させ、該先端部
を、製管時における螺旋管10′の回転方向とは反対方向
に回転させることにより拡径して、該先端部を下水管81
の端部に固定する。
このような状態で、製管機20は再び駆動され、該製管
機20に帯状体10が送給されて、螺旋管10′を構成する帯
状体10に推進力が付与される。このとき、製管機20の駆
動と同時に、螺旋管10′における段落ち部14と、該段落
ち部14内に係合されている基板12の側縁部との間に挟ま
れた帯状線材30を、螺旋管10′が固定された側から、順
次離脱させる。これにより、該螺旋管10′の段落ち部14
と該段落ち部14内の基板12部分とが間隙を有する状態と
なり、段落ち部14と該段落ち部14内の基板12の側縁部と
の間の強固な圧着状態が解除され、嵌合凹条15内に挿入
されている嵌合突条13の挿入部13bは、該嵌合凹条15内
を円滑に滑動し得る状態となる。そして、油圧モーター
22にて製管機20が駆動されると、下水管81内を挿通する
螺旋管10′の帯状体に推進力が付与され、該螺旋管10′
の先端が下水管81に固定されているために、該螺旋管1
0′における帯状体の嵌合凹条15と該嵌合凹条15内に嵌
合された嵌合突条13の挿入部13bとが相互に滑動して、
該螺旋管10′は固定された先端側から順に拡径される。
拡径された螺旋管10′は、下水管81内周面にほぼ密着し
た状態になる。
このように、螺旋管10′を拡径して、下水管81内周面
にほぼ密着させる際に、該螺旋管10′から帯状線材30を
確実に離脱させるために、例えば、第5図に示すよう
に、螺旋管10′内に配設されて該螺旋管10′内周面に転
接し帯状線材30の離脱方向に該帯状線材30を牽引する適
当な帯状線材離脱具40が用いられる。そして、螺旋管1
0′から離脱された帯状線材30は、マンホール82内に配
設されたローラ51を介して、地上に配設された巻取装置
50にて巻き取られる。
螺旋管10′から帯状線材30が離脱されつつ、該螺旋管
10′を構成する帯状体10が推進されると、螺旋管10′の
外径は、下水管81に対して十分に小さい状態から、順
次、拡径した円錐台状になった後に、該下水管81内周面
に接する状態とされる。このとき、第5図に示すよう
に、拡径されていない状態の螺旋管10′の外径をd、下
水管81内周面に接する状態にまで拡径された螺旋管10′
の外径をD、順次拡径されている螺旋管10′における円
錐台状部分の軸方向長さをLとすると、螺旋管10′を構
成する帯状体10の推進速度V1と、螺旋管10′から離脱さ
れる帯状線材30の巻取速度V2とを、次の関係を保つよう
にすればLは一定になり、螺旋管10′の拡径作業が安定
的に行われる。
しかし、通常は、製管機20にて製造される螺旋管10′
は、常に所定の外径dとなるように製管されるわけでは
なく、また、拡径された螺旋管10′も、下水管81の内径
が一定でないために、常に所定の外径Dに拡径されるわ
けではない。このため、順次、拡径している螺旋管10′
の円錐台状部分における軸方向長さLは、一定にはなら
ず、常時、変動する。螺旋管10′における円錐台状部分
の軸方向長さLを一定に保つためには、随時、螺旋管1
0′の拡径される前の外径dおよび拡径された後の外径
Dを測定し、上記(1)式から、帯状線材30の巻取速度
V2を算出し、その値を巻取モーター53へフィードバック
して制御する必要がある。ところが、実際には、螺旋管
10′の外径dおよびDを短時間に測定することは容易で
はないために、本発明では、次のような現象を利用し
て、螺旋管10′の円錐台状部分の軸方向長さLを所定長
さとするように、帯状線材30の巻取速度V2を制御してい
る。側ち、上記(1)式より求められる理論値としての
巻取速度V2に対して若干遅い速度V2′で帯状線材30を巻
き取る場合には、帯状線材30が螺旋管20から離脱される
速度に対して、螺旋管10′における拡径される部分の軸
方向移動速度が速くなり、従って、螺旋管10′における
順次拡径されている円錐台状部分の長さLが、順次、短
くなる傾向になる。このように、円錐台状部分の長さL
が短くなると、螺旋管10′を拡径するために要する帯状
体の推進力が増加し、製管機20に対する負荷も増大す
る。さらに、円錐台状部分の軸方向長さLが短くなる
と、ついには製管機20により帯状体10を螺旋管に製管で
きなくなる。反対に、巻取速度の理論値V2に対して、若
干、速い速度V2″にて帯状線材を巻き取る場合には、螺
旋管10′に於ける円錐台状部分の軸方向長さLが順次長
くなる傾向になり、螺旋管10′を拡径するために要する
帯状体10の推進力が減少し、製管機20に対する負荷も減
少する。さらに、円錐台状部分の軸方向長さLが長くな
っても、推進力はわずかにしか減少せず、製管機20に対
する負荷の変動も少なく、製管作業には何ら支障は生じ
ないが、拡径作業が不安定になるおそれがある。
このため、本発明方法では、前記螺旋管10′を拡径す
る工程における帯状体10の推進力に関する情報として、
螺旋管10′を拡径する工程における初期の情報を用い
て、螺旋管10′における順次拡径されている円錐台状部
分Lの長さが所定の範囲に収まるように巻取装置50によ
る帯状線材30の巻取速度V2を制御する。
該巻取装置50には、帯状線材30の巻取速度を検出する
ための例えばロータリーエンコーダを用いた巻取速度検
出器52が取り付けられており、該巻取速度検出器52の出
力は、制御装置60に入力されるようになっている。また
製管機20の駆動源である油圧モーター22には、該油圧モ
ーター22内の油圧を検出するための圧力センサ23が取り
付けられており、該圧力センサ23によって検出される前
記油圧に関する情報は制御装置60に入力されるようにな
っている。該制御装置60では、前記油圧に関する情報を
経時的に得るとともに、前記螺旋管が拡径される工程の
初期(例えば1分以内の間)における前記油圧の値を平
均し、その平均値(例えば50kg/cm2)を前記油圧の基準
値として得る。そして、これらの情報を有する制御装置
60の出力に基づいて、巻取装置50における駆動源である
巻取モーター53は、所定の回転速度で回転される。
螺旋管10′を拡径させる場合には、該螺旋管10′の先
端側部分から帯状線材30を離脱させた状態で、巻取装置
50を駆動させて、帯状線材30を順次螺旋管10′から離脱
するように巻き取るとともに、製管機20を駆動して、帯
状体10を螺旋管10′に沿って順次推進させる。このと
き、製管機20による帯状体10の推進速度V1に対して、制
御装置60は、巻取装置50による帯状線材30の巻取速度V2
が、前記(1)式において、次式の関係を満足するよう
に、該巻取装置50における巻取モーター53を制御する。
このようにして、順次、螺旋管10′を拡径すると、帯
状線材30が螺旋管10′から離脱させる速度に対して、螺
旋管10′の拡径される部分の軸心方向への移動速度が速
くなり、拡径された状態の螺旋管10′と、拡径されてい
ない状態の螺旋管10′との間の円錐台状部分における軸
心方向長さLが順次短くなり、螺旋管10′を拡径させる
ために必要な力が増加して、該帯状体10に加わる負荷が
増大し、該製管機20の駆動源である油圧モーター22の油
圧が上昇する。そして、該油圧モーター22の油圧が前記
基準値(例えば50kg/cm2)に所定値(例えば10〜15kg/c
m2)を加えた上限値以上になると、制御装置60は、巻取
装置50による帯状線材30の巻取速度が、それまでの巻取
速度V2よりも高速となるように、巻取モーター53を制御
し、該巻取モーター53をその巻取速度の条件にて下記の
下限値になるまで所定時間にわたって駆動する。これに
より、帯状線材30の螺旋管10′からの離脱速度が速くな
り、該螺旋管10′における、順次拡径している円錐台状
部分の軸方向長さLが長くなる。その結果、螺旋管10′
を拡径するために要する力が減少して、製管機20の油圧
モーター22における負荷が減少する。そして、所定時間
にわたる高速運転後、前記油圧が前記基準値そのもの
(例えば50kg/cm2)または該基準値に所定値(例えば0
〜5kg/cm2)を加えた値よりなる下限値(拡径が確実に
なされるためにも、下限値はこの方が望ましい)以下に
なると、制御装置60は、巻取装置50による帯状線材30の
巻取速度が、元の低速の巻取速度V2となるように、巻取
モーター53を制御し、該巻取モーター53をその巻取速度
の条件にて駆動する。以下、同様に、製管機20の油圧モ
ーター22の油圧に応じて巻取モーター53が制御される。
これにより、螺旋管10′は、停止されることなく安定的
に拡径される。
(別実施例) なお、上記実施例では、前記螺旋管10′を拡径する工
程(拡径工程)における前記帯状体10の推進力に関する
情報として、前記拡径工程における初期の情報を用いる
こととしたが、前記拡径工程における帯状体10の推進力
に関する情報を、螺旋管10′を製造する工程(製管工
程)における帯状体10の推進力に関する情報を用いて補
正することが考えられる。
第6図は製管工程における油圧モーター22の油圧の変
化を示すグラフである。該油圧は製管初期のP1から製管
末期のP2へと変化(製管長さmに対して傾斜角θの変化
率で増加変化)しており、その情報を用いて前記拡径工
程における帯状体10の推進力に関する情報を次のように
補正する。
第7図は拡径工程における前記油圧の基準値をいかに
変化させるかを示すグラフである。該基準値としては、
拡径初期の値から前記変化率(製管長さmに対して傾斜
角θで変化する変化率)で順次減少変化させたものを用
い(図中、実線にて示す)、該基準値に対してそれぞれ
所定値(すなわち、上限値としては15kg/cm2以上、下限
値としては4〜6kg/cm2)を加えて、その上限値(図
中、1点鎖線にて示す)および下限値(図中、2点鎖線
にて示す)を得る。
このように補正する場合、前の実施例が製管長さmが
比較的短い場合に適していたのに対し、製管長さmが比
較的長い場合に適している。
(発明の効果) 本発明の既設管のライニング工法は、螺旋管とされる
帯状体の各側縁部同士を係合させて、線材により、係合
された側縁部同士の摩擦抵抗を増加させた状態で螺旋管
を製造しているために、製造された螺旋管を既設管内に
円滑に推進させることができる。既設管内を挿通した螺
旋管から線材を離脱させると、螺旋管が確実に拡径され
て、既設管内周面にほぼ密着させることができる。その
結果、ライニング管である螺旋管の外径を既設管内径に
ほぼ等しくすることができ、その螺旋管内部の流体通流
量をライニング前の流通量とほぼ等しくすることができ
る。螺旋管を拡径するときの、螺旋管からの線材の離脱
速度は、螺旋管を構成する帯状体に加えられる推進力に
関する情報に基づいて制御されるために、拡径作業は、
停止されることなく確実に実施され、作業効率は著しく
向上する。
【図面の簡単な説明】
第1図および第2図は本発明のライニング工法の実施工
程をそれぞれ示す断面図、第3図は帯状体の断面図、第
4図は側縁部同士が係止された帯状体の要部断面図、第
5図は製造された螺旋管の拡径状態を示す模式図、第6
図は製管工程における製管機の油圧モーターの油圧の変
化を示すグラフ、第7図は拡径工程における製管機の油
圧モーターの油圧の基準値およびその上下限値をいかに
すべきかを示すグラフである。 10……帯状体、10′……螺旋管、12……基板、13……嵌
合突条、13b……挿入部、13c……係止部、14……段落ち
部、15……嵌合凹条、15a……係止部、20……製管機、2
2……油圧モーター、23……圧力スイッチ、30……帯状
線材、50……巻取装置、52……巻取検出器 巻取モーター、60……制御装置。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】各側縁部が相互に係合し得る帯状体を螺旋
    状に巻回する工程と、 その巻回によって相互に隣接する帯状体の側縁部同士を
    係合させるとともに、その係合された部分の摩擦抵抗を
    増加させるべくその部分に線材を連続的に係止させ、螺
    旋管を製造する工程と、 製造された螺旋管を既設管内に順次挿入し、挿入された
    螺旋管を該既設管内に推進させた後に該螺旋管の先端を
    該既設管に固定する工程と、 該螺旋管先端を既設管に固定した状態で、該螺旋管を構
    成する帯状体に推進力を付与しつつ、その推進力を与え
    る駆動源のトルクに基づいて制御される所定の速度で、
    前記線材を螺旋管から離脱させ、螺旋管の該線材が離脱
    された部分から帯状体の相互に係合された側縁部同士を
    滑動させ、該螺旋管を拡径する工程と、 を包含する既設管のライニング工法であって、 前記螺旋管を拡径する工程における帯状体に推進力を与
    える駆動源のトルクとしては、既設管を拡径する工程に
    おける拡径開始後一定期間の該トルクを用いる既設管の
    ライニング工法。
  2. 【請求項2】各側縁部が相互に係合し得る帯状体を螺旋
    状に巻回し、その巻回によって相互に隣接する帯状体の
    側縁部同士を係合させるとともに、その係合された部分
    に線材を連続的に係止させてその部分の摩擦抵抗を増加
    させつつ、巻回された帯状体を既設管内にて推進させる
    推進力を与えて螺旋管を製造する工程と、 螺旋管を既設管内にて製造した後に該螺旋管の先端を該
    既設管に固定する工程と、 該螺旋管先端を既設管に固定した状態で、該螺旋管を構
    成する帯状体に推進力を付与しつつ、その推進力を与え
    る駆動源のトルクに基づいて制御される所定の速度で、
    前記線材を螺旋管から離脱させ、螺旋管の該線材が離脱
    された部分から帯状体の相互に係合された側縁部同士を
    滑動させ、該螺旋管を拡径する工程と、 を包含する既設管のライニング工法であって、 前記螺旋管を拡径する工程における帯状体に推進力を与
    える駆動源のトルクを、前記螺旋管を製造する工程にお
    ける帯状体に推進力を与える駆動源のトルクを用いて補
    正する既設管のライニング工法。
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