JPH0832925B2 - トピードカー内張耐火物の侵食寿命診断方法 - Google Patents

トピードカー内張耐火物の侵食寿命診断方法

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JPH0832925B2
JPH0832925B2 JP485888A JP485888A JPH0832925B2 JP H0832925 B2 JPH0832925 B2 JP H0832925B2 JP 485888 A JP485888 A JP 485888A JP 485888 A JP485888 A JP 485888A JP H0832925 B2 JPH0832925 B2 JP H0832925B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、製鉄業等における溶銑などの高温溶融物の
輸送に際して使用されるトピードカー(混銑車)におい
て、その炉に内張りされる耐火物の侵食寿命を診断する
方法に関するものである。
[従来の技術] 従来、トピードカー内張耐火物の侵食状態を診断する
手段としては、レーザー光を利用するもの(特開昭58−
37507号公報)やトピードカー表面鉄皮(炉殻)の温度
測定によるものがある。
前者のレーザー光を利用する手段では、第8図に示す
ように、トピードカー1の炉1a内に溶銑を貯湯しない状
態で、まず、ガスレーザー等の光ビーム4aを発生する発
光装置4を、トピードカー1の炉殻1bに設定した基準点
を基準としその光ビーム4aの光軸がトピートカー1の炉
心3と一致するように、首振用バーニア5,垂直ロッド6,
水平フレーム7および支柱8により支持する。
そして、伸縮可能な検測用スケール9を、炉1aの直径
方向(光ビーム4aと直交する方向)に配置し、その両端
を炉1aの内張耐火物2に当接させて支持してから、発光
装置4の光ビーム4aにより炉心3を明示させ、この光ビ
ーム4aが示すスケール9上の目盛を読み取る。その目盛
の読み値と、予め読み取られているトピードカー新炉時
の同一箇所における目盛の読み値との差を求めて侵食量
を計測する。
このようにして計測された内張耐火物2の侵食量に基
づき侵食寿命が診断される。つまり、侵食量が所定値以
上(内張耐火物2の残存厚さが所定値以下)となった場
合に、内張耐火物2が侵食寿命に達し張り換え時期であ
ると診断して、トピードカー1の炉1a内における溶銑の
漏銑事故が発生するのを防止している。
一方、後者のトピードカー表面鉄皮の温度測定を利用
する手段では、熱電対あるいはサーボビュア等によりト
ビードカー表面鉄皮の温度分布を測定し、その測定結果
に基づき、伝熱計算およびデータの蓄積解析によって内
張耐火物の侵食量を演算して求めている。そして、演算
された侵食量から、内張耐火物2の侵食寿命を診断して
いる。
[発明が解決しようとする問題点] しかしながら、前者のレーザー光を利用する従来手段
では、次のような問題点がある。
発光装置4を支持するために水平フレーム7および支
柱8などが必要で装置が大掛かりで高価なものとなる。
トピードカー1の操業中(炉1a内に溶銑等の高温溶融
物を収納して輸送中)には、侵食量の計測は不可能で従
って侵食寿命の診断も行なうことができず、溶銑の漏銑
事故を未然に防止できない場合がある。
侵食寿命診断を行なう際には、操業を中断し炉1a内の
溶銑を排出しなければならず、生産性の低下を招くこと
になる。
計測ごとに装置のセッティングを行なうために、機構
部,センサ部の設定制度が不確定で安定した再現性が得
られず計測精度が悪くなる。
トピードカー1の炉1a内での人手による作業(スケー
ル9の設置等)が必要であるため、非操業中であるとは
言え、内部に残る余熱やスラグ塵等で悪環境で作業する
ことは安全上大きな問題がある。もし、この作業を自動
化しようとすれば、さらに高価な装置となってしまう。
また、後者のトピードカー表面鉄皮の温度測定を利用
する従来手段では、次のような問題点がある。
前者の従来手段と同様に、トピードカーの輸送中に
は、侵食量の計測は不可能で従って侵食寿命の診断も行
なうことができず、溶銑の漏銑事故を未然に防止できな
い場合がある。
トビードカー内部の条件が異なることにより、伝熱計
算の条件を異なることになって計算精度が低下する。
データ蓄積解析を行なうには、かなりの時間を要する
ため、侵食状態を直ちに把握して侵食寿命を診断するこ
とができないほか、解析用装置が極めて高価である。
ところで、トピードカー内張耐火物の侵食位置は、溶
銑を収納した回数(運行回数,チャージ数;このチャー
ジ回数と侵食量とは第9図に示すようにほぼ比例関係に
ある),トピードカーが収納する受銑量,溶銑の温度
(成分),トピードカー移動中に起る溶銑の移動,内張
耐火物の位置などにより異なってくる。また、侵食量に
及ぼす上記の各要因の影響は複雑で、内張耐火物のどの
位置の侵食量が大きいかを理論的に推定することは困難
である。そこで、トピードカーの内張耐火物内に高密度
で侵食量検知センサを層入して侵食量をモニタするとい
う手段も考えられるが、このような手段では、多数の侵
食量検知センサが必要で不経済であるとともに、ランニ
ングコストが高くなってしまう。
本発明は、上述のような問題点を解決しようとするも
ので、安価で簡素な手順により、トピードカーの内張耐
火物の侵食状態を確実に把握し、内張耐火物の侵食寿命
を的確に診断できるようにして、トピードカー表面鉄皮
の赤熱や溶損による溶銑の漏銑事故の発生を確実に防止
しながら、内張耐火物を極限まで使用できるようにし
た、トピードカー内張耐火物の侵食寿命診断方法を提供
することを目的とする。
[問題点を解決するための手段] このため、本発明のトピードカー内張耐火物の侵食寿
命診断方法は、トピードカーの内張耐火物の中間修理ご
とに同内張耐火物の適当な複数点における侵食量を実測
し、所定回数の中間修理終了後に侵食量が第1の所定値
(L1)以上となった測定点を抽出し、抽出された測定
点,各測定点における侵食量および上記トピードカーの
運行回数(チャージ数;溶銑を収納した回数)に基づき
侵食の最も激しい部位を侵食量モニタ位置として演算・
抽出した後、各侵食量モニタ位置に、抵抗線の溶断によ
り上記内張耐火物の侵食量を検知する侵食量検知センサ
を、外壁側から挿入してそなえ、上記の各侵食量モニタ
位置における侵食量を計測し、上記の各侵食量モニタ位
置のうち少なくとも1箇所における侵食量が第2の所定
値(L2>L1)以上となったことが上記侵食量検知センサ
により検出された場合に、上記内張耐火物が侵食寿命に
達したと診断することを特徴としている。
[作用] 上述の本発明のトピードカー内張耐火物の侵食寿命診
断方法では、内張耐火物の張替を行なう大修理までの間
に定期的に行なわれる内張耐火物の中間修理の際に、適
当な複数点について侵食量の実測が行なわれる。
そして、所定回数の中間修理終了後に、侵食量が第1
の所定値(L1)以上となった測定点と、各測定点におけ
る侵食量と、トピードカーの運行回数とに基づいて、侵
食量が大きくなる内張耐火物の位置が学習的に演算・抽
出され、その位置を侵食量モニタ位置として各位値に侵
食量検知センサが配置される。
これにより、内張耐火物の侵食が最も激しい位置とし
て抽出された各侵食量モニタ位置の侵食量が侵食量検知
センサにより集中的に監視され、各侵食量モニタ位置の
うち少なくとも1箇所における侵食量が第2の所定値
(L2>L1)以上になると、上記内張耐火物が侵食寿命に
達したと診断して、上記大修理が施される。
[発明の実施例] 以下、図面により本発明の一実施例としてのトピード
カー内張耐火物の侵食寿命診断方法について説明する
と、第1図はそのフローチャート、第2図は本実施例に
よる方法の概略を説明するためのタイミングチャート、
第3図は本実施例における第1および第2の所定値の設
定例を示す模式的な断面図、第4図は本実施例での侵食
量モニタ位置の演算・抽出手段を説明するためのグラ
フ、第5図は本実施例において用いられる侵食量検知セ
ンサおよび侵食寿命診断装置を示すブロック図、第6図
は第5図に示すセンサおよび装置を実装されたトピード
カーを一部破断して示す側面鵜、第7図は第6図のVII
−VII矢視断面図である。
一般に、トピードカーの運行に際しては、第2図に示
すように、運行スタート後、一定期間ごとに所定回数
(m)の中間修理を行なってから、内張耐火物の侵食に
対して限界使用となる時期まで運行し、内張耐火物の大
修理(張替)を行なうという運行計画をとる。ここで、
中間修理では、トピードカー炉内の溶銑をすべて排出し
てから、作業員が炉内部に入り、目視により内部点検を
行なうが、その際、異常な侵食箇所および所定箇所でボ
ーリングにより耐火物の残存厚さを測定し、侵食状況を
把握するとともに、その侵食が激しい場合には内張耐火
物の修理を行なう。この中間修理は、トピードカーの安
全運行上必ず所定回数実施されるものである。
本実施例の方法は、上述した中間修理を実施するたび
に適当な複数点について侵食量を実測して、侵食の最も
激しい部位を学習的に検知し、検知した部位について大
修理までリアルタイムで侵食量を検知して侵食寿命を診
断するものである。その詳細について、第1図により説
明すると、本実施例の方法では、まず、トピードカー1
(第6,7図参照)の内張耐火物2(第6,7図参照)の中間
修理ごとに、適当な複数点において侵食量を実測する
(ステップA1)。ここで、適当な複数点は、中間修理に
際し作業員の目視検査にて確認された侵食の激しい部
位、もしくは、経験的に侵食が激しいと予測される部位
〔例えば、溶銑11の湯面11a(第6,7図参照)レベル位置
付近〕として選択する。また、侵食量の測定手段は、選
択された部位についてボーリングにて内張耐火物2の残
存厚さを測定して侵食量を求める。
そして、中間処理ごとに実測された結果から、侵食量
が第1の所定値L1以上となる測定点を抽出する(ステッ
プA2)。ここで、第1の所定値L1は、第3図に示すよう
に、内張耐火物2の消耗部2Aの厚さL2よりも小さく設定
されている。また、後述する第2の所定値は、ほぼ内張
耐火物2の永久張り2Bの到達するあたりとして経験的に
設定されるものであるが、本実施例では、消耗部2Aの厚
さL2に等しく設定する。なお、第3図中、1bはトピード
カー1の炉殻(鉄皮)、11は溶銑である。
上述のように侵食量が所定値L1以上となる測定点を抽
出しながら、中間修理の回数が所定回数mに達した場合
(ステップA3)、所定の演算を行なって今後の大修理ま
での間に侵食量をモニタすべき侵食量モニタ位置を抽出
する(ステップA4)。なお、上記所定回数mは、このm
回目の中間修理までの推定運行回数により生じる侵食量
(第9図参照)が永久張り2Bにまで到達しないように余
裕をもって設定される。
侵食量モニタ位置を抽出するに際しての評価基準は次
のように設定される。つまり、中間修理で実測する侵食
量は、それまでに経過したチャージ数(運行回数)に大
きく依存し、チャージ数に対する侵食量の関係は、第9
図に示すように、ほぼ直線的な単調増加(比例関係)と
なる。従って、侵食量が激しい傾向をもつ位置は、侵食
量/チャージ数、即ち、1チャージ当たりの侵食量が大
きくなる位置として評価すべきである。
そこで、本実施例のステップA4においては、m回の中
間修理の間に総合して侵食量が所定値L1以上となった測
定点をx1,x2,…,xLとして抽出しておき(ステップA
2)、各測定点x1,x2,…,xLでの侵食量をln1,ln2,…,lnL
(n=1,2,…,m;lniはn回目の中間修理で実測された測
定点xiにおける侵食量)とした場合に、各測定点x1,x2,
…,xLについて、チャージ数当たりの侵食量の中間修理
回数に対する総和Σ(lni/Nn)(i=1,2,…,L)求め
る。ここで、Nnはn回目の中間修理までのチャージ数で
ある。そして、第4図に示すように、各測定点x1,x2,
…,xLごとに求められた総和Σ(lni/Nn)が、所定値L2
以上となる点を測定点x1,x2,…,xLから抽出し、それら
の位置を侵食量モニタ位置y1,y2,…,ySとして抽出す
る。このような演算により、侵食量が激しくなる傾向を
もつ内張耐火物位置を確実に且つ最小限だけ抽出するこ
とができる。
さて、ステップA4において演算・抽出された各侵食量
モニタ位置y1,y2,…,ySには、第6,7図に示すように、侵
食量検知センサSが、m回目の中間修理の際に内張耐火
物2の外壁側から挿入して設置される(ステップA5)。
本実施例で用いられる侵食量検知センサSおよびこれに
接続される侵食寿命診断装置の詳細構成および動作につ
いては、第5〜7図により後述する。
m回目の中間修理終了後、大修理に至るまでの間は、
各侵食量検知センサSにより、リアルタイムで侵食量モ
ニタ位置y1,y2,…,ySにおける侵食量が検知され、これ
らの侵食量モニタ位置y1,y2,…,ySのうち少なくとも1
箇所における侵食量が第2の所定値L2以上となったか
(第3図に示す永久張り2Bまで達したか)否かが判断さ
れる(ステップA6)。
そして、ステップA6において、侵食量が第2の所定値
L2以上となった位置を1箇所でも検知すると、その時点
でトピードカー1の内張耐火物2が侵食寿命に達したと
診断し(ステップA7)、トピードカー1の運転を中止し
た後(ステップA8)、内張耐火物2の大修理を実施する
(ステップA9)。
次に、本実施例において用いられる侵食量検知センサ
Sおよび侵食寿命診断装置について説明する。これらの
センサSおよび装置は、第1図におけるステップA6およ
びA7を実行するものである。
第5図に示すように、侵食量検知センサSは、電気抵
抗の温度依存性の小さい2本の光融点線材である抵抗線
10,10から成り、その先端を接触させることによって内
張耐火物侵食検知用の先端検知部Pが形成され、この先
端検知部Pの溶断により内張耐火物2の侵食状態が検知
されるようになっている。
上述の構成のセンサSが、第6,7図に示すごとく、各
侵食量モニタ位置y1,y2,…,ySにおいて、内張耐火物2
の外壁側(炉殻1bの外側)から挿入・埋設されて配置さ
れている。ここで、各センサSが配置される位置y1,y2,
…,ySは、前述の通り最も内張耐火物2の侵食が激しい
と推定された位置であり、この位置での侵食状態を検知
すれば、内張耐火物2の侵食寿命を信頼性高く診断でき
る。
各センサSの抵抗線10には、炉殻1bの外面に沿って配
設された炉1a側のセンサケーブル12aおよび台車1c側の
センサケーブル12bが接続され、これらのセンサケーブ
ル12a,12bを介して各センサSは侵食検知回路13に接続
されている。この侵食検知回路13は、各センサSの抵抗
線10の先端検知部Pの溶断状態を溶断に伴う抵抗変化か
ら検出して、各位値y1,y2,…,ySにおける内張耐火物2
の侵食量を検知するものである。
なお、第5図中、各センサSにおいて先端検知部Pが
1個しか示されていないが、各位値y1,y2,…,ySにおい
ては、実際には、1つのセンサSに示し複数の先端検知
部Pを内張耐火物2の厚さ方向に異なる位置に配置して
センサSを構成する。そして、各位置における複数の先
端検知部Pの溶断を各センサSに接続された侵食検知回
路13により検知することで、各位置での内張耐火物2の
侵食進行状況を段階的にリアルタイムで計測できるよう
になっている。
一方、各侵食検知回路13は侵食寿命診断回路15に接続
され、さらに、この侵食寿命診断回路15は警報回路16に
接続されている。
ここで、侵食寿命診断回路15は、各侵食検知回路13か
らの信号に基づき、侵食量モニタ位置y1,y2,…,ySのう
ち少なくとも1箇所における侵食量が第2の所定値L2
上となった場合に侵食寿命診断信号を出力するものであ
り、内張耐火物2の侵食寿命である所定値L2を設定する
ための可変抵抗器15aと、設定された所定値L2と各侵食
検知回路15からの検知侵食量とを比較する比較器15b
と、各比較器15bにおいて比較された結果に基づき侵食
量が所定値L2以上である場合を“1(Highレベル)”と
し所定値L2よりも小さい場合を“0(Lowレベル)”と
して論理和をとって侵食寿命診断信号を出力する論理和
回路15cとを有して構成されている。また、警報回路16
は、警告灯やブザー等を有していて、侵食寿命診断回路
15から侵食寿命診断信号を受けると動作するようになっ
ている。
また、センサケーブル12aと12bとの間において、トピ
ードカー1における炉1a側および台車1c側には、コネク
タレセプタクル14bおよびコネクタプラグ14aがそれぞれ
設置され、これらのコネクタレセプタクル14aおよびコ
ネクタプラグ14bにより相互に脱着可能なコネクタCが
構成されている。
さらに、トピードカー1の台車1c上には、各センサS,
各侵食検知回路13,侵食寿命診断回路15および警報回路1
6に電圧を印加しうる電源として、太陽電池17および充
電式電池18がそなえられている。太陽電池17は、太陽光
等を受けて電力を発生し、その電力を給電ケーブル17a
を介し充電式電池18に蓄電しながら上記諸回路へ電圧を
印加するものであり、充電式電池18は、本装置の作動中
に太陽電池17からの供給電力が不足した場合に太陽電池
17に代わって電力を上記諸回路へ供給するものである。
なお、各侵食検知回路13,侵食寿命診断回路15,警報回
路16および充電式電池18は、トピードカー1の台車1c上
において箱体19内に収納されてそなえられている。
また、炉1aは、その出銑口26から炉1a内の溶銑を排出
する際に、出銑口26を下方に向けるべく、炉心(第8図
の符号3参照)まわりに回転可能に台車1c上に支持され
ており、台車1c上に設置された駆動源20により回転駆動
されるようになっている。
さらに、第6図において、符号21はトピードカー1の
停止時で炉1a内の溶銑を排出する際に炉1bを回転駆動す
る駆動源20へ外部から電力を供給するために図示しない
コネクタプラグと合着するコネクタレセプタクル、22,2
3は制御ケーブルで、制御ケーブル22は、コネクタレセ
プタクル21が図示しないコネクタプラグと合着して駆動
源20への電力供給が開始されるとコネクタCへ分離指令
信号を送る一方、炉1aからの溶銑排出を終了して炉1aが
通常位置(第6,7図に示す位置)に復帰した場合に動作
するリミットスイッチ(図示せず)からの動作停止指令
信号を駆動源20へ送るためのものである。また、制御ケ
ーブル23は、コネクタCの分離が完了した場合に駆動源
20へ動作開始指令信号を送る一方、炉1aからの溶銑排出
を終了して炉1aが上記通常位置に復帰して駆動源20が動
作を停止した場合にコネクタCへ合着指令信号を送るた
めのものである。また、24はトピードカー1の台車1cに
設けられた車輪、25は車輪24と係合しトピードカー1を
走行させるべく敷設されたレールである。
さて、上述のごとく構成された侵食量検知センサSお
よび侵食寿命診断装置の動作について簡単に説明する。
まず、各センサSにおける先端検知部P,抵抗線10を通
じての出力電圧は、内張耐火物2の侵食が各先端検知部
Pまで達していない特にはほぼ設置レベルであるが、先
端検知部Pに達するとこの先端検知部Pが溶線11により
溶断され開状態となり、電源電圧レベル(太陽電池17も
しくは充電式電源18の電圧レベル)まで上昇する。侵食
検知回路13は、このような電圧変化を検出することによ
り各位置y1,y2,…,ySにおける侵食量を検知したその検
知信号を侵食寿命診断回路15へ出力する。
このようにして、侵食量検知センサSおよび侵食検知
回路13により、トピードカー1の炉1a内に溶銑11が貯湯
されている状態でも、常時、各位置y1,y2,…,yS、つま
り、内張耐火物2の侵食が最も激しい位置での内張耐火
物2の侵食量が計測され侵食寿命診断回路15へ出力され
る。
そして、侵食寿命診断回路15においては、各侵食検知
回路13から入力される各位値ごとの内張耐火物2の侵食
量が、比較器15bにより、予め可変抵抗器15aで設定され
た所定値L2と比較される。内張耐火物2の侵食量が上記
所定値よりも小さい場合、比較器15bからはLowレベル信
号(“0")が論理和回路15cへ出力される一方、内張耐
火物2の侵食量が所定値L2以上である場合には、比較器
15bからはHighレベル信号(“1")が論理和回路15cへ出
力される。
この論理和回路15cにより各比較器15bからの出力の論
理和をとることによって、センサSの数に対応してそな
えられる比較器15bのうちのいずれか1つの出力でもHig
hレベル信号(“1")となると、複数のセンサSのうち
少なくとも1つによって計測された内張耐火物2の侵食
量が所定値L2以上となる。従って、いずれかの侵食量モ
ニタ位置y1,y2,…,ySで内張耐火物2が侵食寿命に達し
たと診断され、内張耐火物2の張替を行なう大修理時期
となったと判断し、論理和回路15cから侵食寿命診断信
号(Highレベル信号)が出力される。
侵食寿命診断回路15の論理和回路15cから侵食寿命診
断信号が出力されると、警報回路16が作動し、警告灯の
点灯あるいはブザー,ベルの鳴動等の警報により、内張
耐火物2が侵食寿命に達したことがオペレータ等に告知
される。
また、センサS,各センサSや諸回路への電源である太
陽電池17および充電式電池18,侵食検知回路13,侵食寿命
診断回路15および警報回路16は、いずれもトピードカー
1の炉1a側もしくは台車1c上に設けられているので、ト
ピードカー1が走行移動中であっても、連続的に内張耐
火物2の侵食寿命の診断が行なわれる。
ところで、トピードカー1の炉1aは、通常の溶銑11輸
送時等には、第6,7図に示すように、その出銑口26を上
方へ向けた状態で固定されているが、炉1a内に貯湯され
た溶銑11を出銑口26から排出する際には、炉1aは駆動源
20により炉心(第8図の符号3参照)まわりに回転駆動
され、出銑口26が下方へ向けられる。このとき、回転す
る炉1a側に設けられたセンサSと、固定の台車1c側に設
けられた侵食検知回路13との間の距離は変動する。炉1a
は、溶銑11を完全に排出するため、同一方向に数回回転
する。このため、センサケーブルを長めにしておくなど
の対処は不可能である。
そこで、第5〜7図に示した装置では、各センサSと
侵食検知回路13との間のセンサケーブル12a,12b間にコ
ネクタCを設けている。つまり、このコネクタCを、脱
着操作することにより、センサケーブルの長さを長くす
ることなく、炉1aの回転に用意に対応でき、正常な計測
が可能となる。トピードカー1が溶銑11の輸送状態や溶
銑11を出銑口26から注入される状態にある時には、コネ
クタCは合着状態(コネクタレセプタクル14aとコネク
タプラグ14bとが互いに合着した状態)であり、各セン
サSからの検知信号は、センサケーブル12a,コネクタプ
ラグ14b,コネクタレセプタクル14a,センサケーブル12b
を介して侵食検知回路13へ入力されるため、上述のとお
り、連続的に内張耐火物2の侵食寿命の診断が行なわれ
る。一方、トピードカー1の炉1aから溶銑11を排出する
際には、コネクタレセプタクル14aとコネクタプラグ14b
とを自動的に分離させ、炉1aが回転できるようにし、ま
た、出銑を終了して炉1aが元の通常位置(第6,7図に示
す位置)に戻れば、再びコネクタレセプタクル14aとコ
ネクタプラグ14bとを自動的に合着させて、侵食寿命診
断を続行する。
このように、本実施例によれば、トピードカー1の運
行中、通常必ず行なわれる中間修理に際し、適当な複数
点について内張耐火物2の侵食量の実測を行ない、所定
回数mの中間修理終了後には、実測データから学習的に
演算・抽出された内張耐火物2の侵食の最も激しい位置
(侵食量モニタ位置y1,y2,…,yS)に侵食量検知センサ
Sを配置して侵食寿命を診断するという安価で簡素な手
順により、トピードカー1の内張耐火物2の侵食寿命を
的確に判断できるので、トピードカー1における溶銑11
の漏銑事故や炉殻1bの赤熱事故等の発生を確実に防止し
ながら、トピードカー1の内張耐火物2を極限までに使
用でき、内張耐火物2の原単価を低下できるなどの高価
が得られる。
また、本実施例では、第5〜7図に示すような侵食量
検知センサSや侵食寿命診断装置を用いたので、電源
(太陽電池17や充電式電池18),侵食検知回路13,侵食
寿命新段回路15等がすべてトピードカー1の台車1c上に
設置されているために、溶銑11の輸送中であってもトピ
ードカー1の内張耐火物2の侵食状態を連続的に把握で
きるとともに、内張耐火物2の侵食寿命が、自動的に且
つ性格に信頼性高く診断される。m回目の中間修理以後
は、炉1a内に作業員が入る必要がないほか複雑な解析等
を行なう必要もなくなるので、極めて安全に且つ容易に
内張耐火物2の侵食寿命診断を行なえるとともに、侵食
寿命の診断に際して操業を中断する必要がないので、生
産性の低下を招くこともない。
[発明の効果] 以上詳述したように、本発明のトピードカー内張耐火
物の侵食寿命診断方法によれば、中間修理に際し適当な
複数点について内張耐火物の侵食量の実測を行ない、所
定回数の中間修理終了後には実測データから学習的に演
算・抽出された内張耐火物の侵食の最も激しい位置を侵
食量モニタ位置としてこの位置に侵食量検知センサを配
置して侵食寿命を診断するという安価で簡素な手順によ
り、内張耐火物の侵食寿命を的確に診断できるようにな
るので、トピードカー表面鉄皮の赤熱や溶損による溶銑
の漏銑事故の発生を確実に防止しながら、内張耐火物を
極限まで使用でき、内張耐火物の原単価を低下できる効
果がある。
【図面の簡単な説明】
第1〜7図は本発明の一実施例としてのトピードカー内
張耐火物の侵食寿命診断方法を示すもので、第1図はそ
のフローチャート、第2図は本実施例による方法の概略
を説明するためのタイミングチャート、第3図は本実施
例における第1および第2の所定値の設定例を示す模式
的な断面図、第4図は本実施例での侵食量モニタ位置の
演算・抽出手段を説明するためのグラフ、第5図は本実
施例において用いられる侵食量検知センサおよび侵食寿
命診断装置を示すブロック図、第6図は第5図に示すセ
ンサおよび装置を実装されたトピードカーを一部破断し
て示す側面図、第7図は第6図のVII−VII矢視断面図で
あり、第8図は従来のトピードカー内張耐火物の侵食寿
命診断手段を説明するためのトピードカーの縦断面図、
第9図はチャージ数と侵食量との関係を示すグラフであ
る。 図において、1……トピードカー、1a……炉、1b……炉
殻、1c……台車、2……内張耐火物、10……抵抗線、11
……溶銑、11a……溶銑の湯面、12a,12b……センサケー
ブル、13……侵食検知回路、14a……コネクタレセプタ
クル、14b……コネクタプラグ、15……侵食寿命診断回
路、15a……可変抵抗器、15b……比較器、15c……論理
和回路、16……警報回路、17……電源としての太陽電
池、17a……給電ケーブル、18……電源としての充電式
電池、19……箱体、20……駆動源、21……コネクタレセ
プタクル、22,23……制御ケーブル、24……車輪、25…
…レール、26……出銑口、C……コネクタ、P……先端
検知部、S……侵食量検知センサ。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】トピードカーの内張耐火物の中間修理ごと
    に同内張耐火物の適当な複数点における侵食量を実測
    し、所定回数の中間修理終了後に侵食量が第1の所定値
    以上となった測定点を抽出し、抽出された測定点,各測
    定点における侵食量および上記トピードカーの運行回数
    に基づき侵食の最も激しい部位を侵食量モニタ位置とし
    て演算・抽出した後、抽出された各侵食量モニタ位置
    に、抵抗線が溶断することにより上記内張耐火物の侵食
    量を検知する侵食量検知センサを、外壁側から挿入して
    そなえ、上記の各侵食量モニタ位置における侵食量を計
    測し、上記の各侵食量モニタ位置のうち少なくとも1箇
    所における侵食量が第2の所定値以上となったことが上
    記侵食量検知センサにより検出された場合に、上記内張
    耐火物が侵食寿命に達したと診断することを特徴とす
    る、トピードカー内張耐火物の侵食寿命診断方法。
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