JPH08323861A - 回転機械又は往復機械の機械要素 - Google Patents

回転機械又は往復機械の機械要素

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JPH08323861A
JPH08323861A JP7737996A JP7737996A JPH08323861A JP H08323861 A JPH08323861 A JP H08323861A JP 7737996 A JP7737996 A JP 7737996A JP 7737996 A JP7737996 A JP 7737996A JP H08323861 A JPH08323861 A JP H08323861A
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resin
heat
machine
coating
tube
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Kazuo Hirose
和夫 廣瀬
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NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 樹脂材の歩留まりの向上、後加工の簡略化。 【解決手段】 熱収縮性樹脂チューブからなる樹脂袋1
b’を、その内部の空気を減圧ポンプ3で吸引しながら
ヒータ5で加熱処理して熱収縮させると同時に、密封容
器2の内部の圧力を高圧ポンプ4によって高め、その圧
力で樹脂袋1b’を加圧しながら、ロータの母材1aの
外表面に付着させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ルーツ式、スクリ
ュー式過給機等の回転機械におけるロータ、又は、スタ
ーリングエンジン等の往復機械におけるピストンに関す
る。
【0002】
【従来の技術】例えば、内燃機関の吸気系に配置される
ルーツ式過給機においては、一般に、2個のまゆ形のロ
ータがハウジング内に回転自在に収容されている。これ
らロータは、ロータ相互間およびハウジングの内壁との
間に微小なクリアランスを保ちつつ同期回転するが、こ
のロータ相互間のクリアランスを可及的に小さくして、
ポンプ効率を高めるため、また、異物の咬み込み等によ
ってロータ表面に傷等が発生するのを防止するため、ロ
ータの外表面を樹脂被膜でコーティングする手段が知ら
れている(例えば、実開昭59−174389号、特開
昭60−173387号、特公平5−20594号、実
開昭54−92405号等)。
【0003】従来、この樹脂被膜は、静電粉体塗装法、
誘導塗装法、流動浸漬法、スプレー塗装法、ハケ塗り法
等の樹脂被膜形成方法により形成されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のようなロータの
樹脂被膜には、耐熱性、付着性、適度な弾性、回復力
(圧縮強さ)等の特性が求められるため、樹脂材として
高価なフッ素系樹脂、主に、ポリテトラフルオロエチレ
ン樹脂(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサ
フロロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロ
エチレン−パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体
(PFA)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合
体(ETFE)等が用いられている。
【0005】ところが、これらの高価な樹脂を静電粉体
塗装、スプレー塗装等で被膜処理すると、ロータの外表
面に付着しなかった樹脂はすべて処理装置に破棄されて
しまうので、樹脂の歩留まりが悪く、コスト的に不利で
ある。また、被膜処理した樹脂被膜の膜厚を均一かつ所
要値にするための後加工(旋削加工等)が必要であるの
で、製造工程が複雑化する。さらに、大がかりで高価な
処理装置が必要である。これらも、コスト上昇につなが
る。
【0006】上記のような問題点は、例えば、スターリ
ングエンジン、スターリング式冷凍機、スターリング式
ヒートポンプ等の往復機械におけるピストンの樹脂被膜
にも該当する。
【0007】そこで、本発明は、樹脂材の歩留まりが良
く、膜厚を均一かつ所要値にするための後加工が不要
で、比較的簡単な処理装置を用いて行なうことができる
樹脂被膜形成方法、及び、そのような樹脂被膜形成方法
で樹脂被膜を形成した機械要素(ロータ、ピストン)を
提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の回転機械又は往
復機械の機械要素は、熱収縮性樹脂チューブが収縮付着
してなる樹脂被膜を有するものである。
【0009】上記樹脂被膜は、外周面から両端面にかけ
て連続した被膜とすると良く、またその材質はフッ素系
樹脂とすると良い。
【0010】上記樹脂被膜は、機械要素の外表面を熱収
縮性樹脂チューブで覆い、熱収縮性樹脂チューブを熱収
縮させてこの機械要素の外表面に付着させて形成すると
良い。
【0011】また、上記樹脂被膜は、外表面を熱収縮性
樹脂チューブで覆った機械要素を密封容器内に入れ、熱
収縮性樹脂チューブを、その内部の空気を吸引しながら
加熱処理して熱収縮させると共に、これを密封容器内の
圧力によって加圧しながらこの機械要素の外表面に付着
させて形成すると良い。
【0012】
【発明の実施形態】以下、本発明をルーツ式過給機のロ
ータに適用した実施例について説明する。
【0013】図1に示すルーツ式過給機のロータ1は、
アルミ合金等の金属材料からなる断面まゆ形の母材1a
と、母材1aの外表面に形成された樹脂被膜1bとで構
成される。樹脂被膜1bは、母材1aのまゆ形に湾曲し
た外周面1a1から平坦な両端面1a2にかけて連続し
た被膜である。樹脂被膜1bは少なくとも外周面1a1
に形成すれば良いが、この実施例のように、外周面1a
1から両端面1a2にかけて連続した被膜とすることに
より、特に軸方向の剪断力に対して、高い耐剥離性が得
られる。
【0014】ロータ1には、過給機の回転軸に嵌合され
る嵌合穴1a3と、2つのぬすみ穴1a4とが設けられ
る。ぬすみ穴1a4は、主として軽量化も目的としたも
のである。このロータ1は、対になる他のロータと共に
過給機のハウジングに回転自在に収容され、その外周面
1a1は他のロータの外周面と微小なクリアランスをも
ち、両端面1a2はハウジングの内壁面と微小なクリア
ランスをもち、他のロータと同期回転することによっ
て、ハウジングの吸入口から吐出口へ空気を圧送する。
【0015】樹脂被膜1bは、以下の工程を経て形成さ
れたものである。
【0016】まず、樹脂被膜1bの下地となる母材1a
の外表面、すなわち外周面1a1および両端面1a2に
ショットブラスト(ショットピーニング)等の下地処理
を施す。この処理は、下地となる外表面を適度に粗くす
ることにより、樹脂被膜1bの母材1aへの付着性を高
めるために行なう。ショットブラスト等の他、硝酸や硫
酸等の処理液を用いて外表面を化学処理しても良い。
【0017】被覆対象物である母材1の外表面は樹脂被
膜との密着強度を高めるため、表面形状・粗さはRma
x、Ra、Rz等のJISで定義された評価法により、
3.2μm以上、好ましくは8μm以上、さらに好まし
くは25μm以上であれば良い。このような粗面である
と、くさび効果が期待できるので、樹脂被膜の密着強度
が高くなると考えられる。尚、表面形状・粗さの上限値
は、被膜完成体の外表面精度に関する影響を考慮して3
00μm以下、好ましくは100μm以下、さらに50
μm以下程度であれば、良好な密着強度と精度とが両立
できると考えられる。
【0018】つぎに、図2に示すように、外表面に下地
処理を施した母材1aを、熱収縮性樹脂チューブからな
る樹脂袋1b’に収納する。この樹脂袋1b’は、熱収
縮性樹脂チューブを所定の長さに切断し、その一端を加
熱又は接着処理等により閉塞して、袋状にしたものであ
る。
【0019】そして、母材1aを収納した樹脂袋1b’
を、図3に概念的に示す処理装置にセッティングする。
この処理装置は、適当な内容積をもった密封容器(耐圧
容器)2と、減圧手段例えば減圧ポンプ3と、加圧手段
例えば高圧ポンプ4と、加熱手段例えばヒータ5、およ
び、ヒータ5に接続された温調機6とを主要な構成要素
とする。密封容器2には吸引治具6と高圧口7とが装着
され、減圧ポンプ3は吸引治具6に、高圧ポンプ4は高
圧口6にそれぞれ接続される。母材1aを収納した樹脂
袋1b’は吸引治具6に取り付けられ(例えば、樹脂袋
1b’の開口を吸引治具6の下端外周にあてがい、止め
リング8などを嵌めて固定する。)、密封容器2に収容
される。
【0020】減圧ポンプ3を作動させると、吸引治具6
を介して樹脂袋1b’の内部の空気が吸引され、樹脂袋
1b’の内部が減圧状態になる。そのため、樹脂袋1
b’は内部の減圧に引かれて変位し、母材1aの外表面
に隙間なく密着する。吸引時の圧力は1×10-3Tor
r以上、大気圧(7.6×102Torr)未満であれ
ば十分である。
【0021】ヒータ5を作動させると、密封容器2内の
温度が上昇し、樹脂袋1b’が加熱されて熱収縮する。
尚、密封容器2内の温度は、樹脂袋1b’すなわち熱収
縮性樹脂チューブの材質に応じた温度に調節するが、こ
れは、密封容器2内の温度を熱電対9で検出し、その検
出信号に基づき、温調機6でヒータ5に通じる電流を制
御することにより行なう。
【0022】高圧ポンプ4を作動させると、高圧口7を
介して密封容器2に圧縮空気が送り込まれ、密封容器2
の内部が高圧(6kgf/cm2程度)になる。そのた
め、樹脂袋1b’は容器内の圧力によって加圧され、母
材1aの外表面への密着度を一層高める。
【0023】上記のような処理装置を用いて、樹脂袋1
b’を、その内部の空気を減圧ポンプ3で吸引しながら
ヒータ5で加熱処理して熱収縮させると同時に、密封容
器2の内部の圧力を高圧ポンプ4によって高め、その圧
力で樹脂袋1b’を加圧しながら、母材1aの外表面に
付着させる。このようにすることにより、樹脂袋1b’
を母材1aの外表面(外周面1a1および両端面1a
2)に、しわ、隙間などを生じさせることなく、きわめ
て高い密着度で付着させることができる。
【0024】そして、樹脂袋1b’が充分に熱収縮し、
母材1aの外表面に完全に付着した後、ロータ1を密封
容器2から取り出して常温まで自然冷却し、あるいは、
密封容器2内で常温まで自然冷却し(ヒータ5の電源を
切る)、もしくは、密封容器2内で常温まで段階的に徐
冷する(ヒータ5の設定温度を段階的に常温まで下げ
る)。これにより、被膜処理は完了する。
【0025】その後、ロータ1の両端面1a2を後加工
して(樹脂袋1b’の両端の余った部分、嵌合穴1a3
およびぬすみ穴1a4を覆った部分を旋削等により削除
する加工)、図1に示す樹脂被膜1bに仕上げる。熱収
縮性樹脂チューブからなる樹脂袋1b’は一定肉厚を有
するため、これが収縮付着して形成された樹脂被膜1b
は均一かつ一定の膜厚を有し、膜厚調整のための後加工
は一切不要である。
【0026】また、図4に示すように、被膜処理時にお
いて、樹脂被膜形成材としての樹脂袋1b’(熱収縮性
樹脂チューブ)の破棄率は0%であるので、スプレー塗
装、静電塗装等の従来方法を採用する場合に比べ、樹脂
材の歩留まり率がきわめて高い。
【0027】さらに、樹脂被膜1bの膜厚が、使用する
熱収縮性樹脂チューブの肉厚によって決まるので、熱収
縮性樹脂チューブの肉厚を適宜選択するだけで、所要膜
厚の樹脂被膜1bを容易に形成することができる(勿
論、膜厚調整のための後精密加工はほとんど不要とな
る)。しかも、比較的厚い樹脂被膜1bであっても、一
回の樹脂被膜形成処理で容易に形成することができる。
【0028】ところで、ロータ1の外表面に形成される
樹脂被膜1bには耐熱性、付着性、適度な弾性、回復力
(圧縮強さ)、低摩擦係数等の特性が求められるため、
樹脂被膜1bの形成材となる熱収縮性樹脂チューブの材
質は、これらの要求特性を考慮して選択する必要があ
る。これらの要求特性を備えた樹脂としては、例えば、
ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、テトラ
フルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテ
ル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキ
サプロロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフロオ
ロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリクロ
ロトリフロロエチレン樹脂(PCTFE)、ポリビニル
フルオライド樹脂(PVF)等のフッ素樹脂等が挙げら
れる。その中でも、テトラフルオロエチレン系樹脂は、
分子構造中に −(CF2−CF2)− を有し、摺動性、耐熱性に優れており、例えば、ポリテ
トラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、テトラフルオ
ロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重
合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフル
オロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエ
チレン−エチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオ
ロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロ
アルキルビニルエーテル共重合体(EPE)等の樹脂が
挙げられ、その中でも、PTFE、PFA、FEP、E
TFEが望ましく、特に、格骨である炭素の周囲を全
て、あるいは、少量の酸素等を介在させてフッ素で囲ん
だ構造を有するパーフルオロ系のテトラフルオロエチレ
ン樹脂(PTFE、PFA、FEP)が望ましい。PT
FE、FEP、PFA、ETFEの代表的な物性を下記
に示す。
【0029】PTFE 伸び(%):200〜400 圧縮強さ(kgf/mm2):120 曲げ弾性率(103×kgf/mm2):5.6 ショアーかたさ:D50〜65 最高使用温度(°C):260 融点(°C):327 成形収縮(cm/cm):0.02〜0.06 FEP 伸び(%):250〜330 圧縮強さ(kgf/mm2):155 曲げ弾性率(103×kgf/mm2):5.6〜6.7 ショアーかたさ:D55〜65 最高使用温度(°C):200 融点(°C):270〜280 成形収縮(cm/cm):0.03〜0.06 PFA 伸び(%):280〜300 圧縮強さ(kgf/mm2):170 曲げ弾性率(103×kgf/mm2):6.6〜8.4 ショアーかたさ:D60〜64 最高使用温度(°C):260 融点(°C):302〜310 成形収縮(cm/cm):0.04 ETFE 伸び(%):100〜470 圧縮強さ(kgf/mm2):500 曲げ弾性率(103×kgf/mm2):9〜14 ショアーかたさ:D70〜80(平均D75) 最高使用温度(°C):150〜180 融点(°C):260〜270 成形収縮(cm/cm):0.03〜0.04 上記程度の伸び、圧縮強さ、曲げ弾性率、かたさ、温度
収縮特性等の範囲の樹脂被膜であれば、ロータに要求さ
れる適度な樹脂被膜の強度、かたさ、運転温度等に適応
でき、また、耐摩耗性、摺動特性を改善できる。また、
チューブを熱収縮させるため、成形収縮が0.01〜
0.1(cm/cm)、好ましくは0.02〜0.04
(cm/cm)以上のものを選択しても良い。
【0030】上記フッ素樹脂は、被膜回復率や弾性等の
特性を改善するために、2種類以上を適宜混合しても良
い。また、上記樹脂に適度にガラス繊維、カーボン繊
維、グラファイト、ガラスフレーク、アラミド繊維、各
種ウィスカー、銅、青銅、酸化鉄、アルミニウム等の金
属粉末、二硫化モリブデン等を強化材、潤滑剤として充
填しても良い。さらに、樹脂被膜1bの付着性をさらに
向上させるため、バインダー樹脂として、エポキシ樹
脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹
脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアミドイミ
ド樹脂等の熱可塑性樹脂を配合しても良い。上記のよう
な充填材、バインダー樹脂は、例えば、約5〜50重量
部程度、好ましくは、約5〜25重量部程度を、約5〜
15重量部毎の範囲で2種以上を適宜配合しても良い。
尚、上記フッ素樹脂を2種以上混合する場合の混合割合
も、ここに例示した配合割合に準じて決めると良い。
【0031】PTFEチューブ、FEPチューブ、PF
Aチューブとしては、例えばペンニット社製樹脂収縮チ
ューブ等を用いることができ、ETFEチューブとして
は、例えばアフロンCOP(旭ガラス社製)チューブ等
を用いることができる。
【0032】熱収縮性樹脂チューブの肉厚は、形成すべ
き樹脂被膜1bの膜厚に応じて適宜選択すれば良いが、
例えばPTFEチューブの場合は0.4mm、FEPチ
ューブ、PFAチューブの場合は0.5mmの肉厚を選
択するのが、過給機用ロータ1の樹脂被膜形成材として
は望ましく、0.1〜1.5mm、好ましくは0.3〜
0.8mmの肉厚のチューブを選択すれば良い。厚みが
小さすぎると、被膜の初期摩耗、回復性等に期待でき
ず、厚すぎると、材料費等が上がり、コストダウンにつ
ながらない。
【0033】熱収縮性樹脂チューブの加熱処理温度は、
チューブ材質を考慮して適宜決定すれば良いが、例えば
PTFEチューブの場合は約330°C前後、FEPチ
ューブの場合は約120°C前後、PFAチューブの場
合は約140°C前後とするのが良い。また、上記加熱
処理温度に達するまでの昇温過程を段階的なものとし
(数段階に分ける)、各段階ごとに所定温度で所定時間
加熱しながら、徐々に上記加熱処理温度まで昇温させて
ゆくことにより、例えばバインダー樹脂のキュアが徐々
に確実に進行し、均一な密着強度を有する樹脂被膜1b
を形成することもできる。さらに、加熱処理後の冷却
は、上記の昇温過程と逆の段階的な過程を経て行なう
か、あるいは、徐々に時間をかけて連続的に冷却すると
良い。このような徐冷を行なうことにより、樹脂被膜1
bと母材1aとが互いに均一に精度よく収縮し、精度の
高いロータ1を提供することができる。
【0034】熱処理温度は、樹脂材や、また、チューブ
の熱収縮による方法等にもよるが、樹脂材の融点よりも
150〜200°C程度の低い温度(下限値)から、樹
脂材の融点よりも10〜50°C程度、安全をみて融点
よりも3〜30°C程度の高い温度(上限値)までの範
囲内で行なえば良い。熱処理温度が低すぎると、樹脂材
が軟化し難いので、樹脂被膜が被膜対象物の形状のよう
に忠実に付着し難い。一方、樹脂被膜材がほとんど溶融
してしまうほど高い温度では、樹脂材は溶融流動してし
まい、所望の樹脂被膜とはなりにくい。PTFEのよう
に340〜380°Cの溶融粘度が1011〜1012ポイ
ズのような、溶融粘度の高いフッ素系樹脂の場合は、容
易には溶融し難く、チューブは熱に耐える。そのような
場合、上記熱処理温度の下限値を融点と設定して熱処理
すれば良い。
【0035】尚、本発明は、過給機のロータに限らず、
スクリューコンプレッサーの雄雌ロータの他、ポンプ例
えばリショルム型ポンプのロータ等、被膜処理を必要と
する回転機械用ロータ一般に適用することができる。ま
た、スターリングエンジン、スターリング式冷凍機、ス
ターリング式ヒートポンプ等の熱ガス機械(往復機械)
のピストン等、被膜処理を必要とする往復機械用ピスト
ン一般にも同様に適用することができる。
【0036】
【発明の効果】本発明は、以下に挙げる特有の効果を有
する。 (1)熱収縮性樹脂チューブは一定肉厚を有するため、
これが収縮付着して形成された樹脂被膜は均一かつ一定
の膜厚を有し、膜厚調整のための後精密加工はほとんど
不要となる。 (2)樹脂被膜を外周面から両端面にかけて連続した被
膜とすることにより、特に軸方向の剪断力に対して、高
い耐剥離性が得られる。 (3)樹脂被膜の材質をフッ素系樹脂とすることによ
り、耐熱性、付着性、適度な弾性、回復力(圧縮強さ)
等に優れた樹脂被膜を得ることができる。 (4)熱収縮性樹脂チューブを用いた樹脂被膜形成方法
は、被膜処理時における樹脂材の破棄率が0%であるの
で、従来のスプレー塗装、静電塗装等に比べ、樹脂材の
歩留まりがきわめて良い。 (5)樹脂被膜の膜厚は、使用する熱収縮性樹脂チュー
ブの肉厚によって決まるので、熱収縮性樹脂チューブの
肉厚を適宜選択するだけで、所要膜厚の樹脂被膜を容易
に形成することができる。しかも、比較的厚い樹脂被膜
であっても、一回の被膜処理で容易に形成することがで
きる。 (6)熱収縮性樹脂チューブに減圧・加圧処理と加熱処
理とを併用することによって、熱収縮性樹脂チューブを
機械要素(ロータ、ピストン)の外表面に、しわ、隙間
などをほとんど生じさせることなく、きわめて高い密着
度で付着させることができる。 (7)従来のスプレー塗装、静電塗装等に比べ、比較的
簡単でかつ安価な処理装置を用いて被膜処理を行なうこ
とができる。 (8)以上の効果により、本発明はロータの品質向上、
製造工程の簡略化、コスト低減に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係わるルーツ式過給機のロー
タを示す横断面図(図a:図cにおけるa−a断面)、
縦断面図(図b:図cにおけるb−b断面)、斜視図
(図c)である。
【図2】ロータの母材と樹脂袋(熱収縮性樹脂チュー
ブ)を示す斜視図(図a)、ロータの母材を樹脂袋に収
納した状態を示す斜視図(図b)である。
【図3】実施例に係わる処理装置を示す断面図である。
【図4】実施例と従来の樹脂被膜形成方法における樹脂
材の破棄率と歩留まり率を示す図である。
【符号の説明】
1 ルーツ式過給機のロータ 1a 母材 1b 樹脂被膜 1b’樹脂袋(熱収縮性樹脂チューブ) 2 密封容器 3 減圧ポンプ 4 高圧ポンプ 5 ヒータ
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // B29K 27:12 105:02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外表面に熱収縮性樹脂チューブが収縮付
    着してなる樹脂被膜を有することを特徴とする回転機械
    又は往復機械の機械要素。
  2. 【請求項2】 樹脂被膜が外周面から両端面にかけて連
    続した被膜であることを特徴とする請求項1の回転機械
    又は往復機械の機械要素。
  3. 【請求項3】 樹脂被膜がフッ素系樹脂からなることを
    特徴とする請求項1又は2の回転機械又は往復機械の機
    械要素。
  4. 【請求項4】 機械要素の外表面を熱収縮性樹脂チュー
    ブで覆い、熱収縮性樹脂チューブを熱収縮させて上記機
    械要素の外表面に付着させることを特徴とする回転機械
    又は往復機械の機械要素の樹脂被膜形成方法。
  5. 【請求項5】 外表面を熱収縮性樹脂チューブで覆った
    機械要素を密封容器内に入れ、熱収縮性樹脂チューブ
    を、その内部の空気を吸引しながら加熱処理して熱収縮
    させると共に、これを密封容器内の圧力によって加圧し
    ながら上記機械要素の外表面に付着させることを特徴と
    する回転機械又は往復機械の機械要素の樹脂被膜形成方
    法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2006035680A1 (ja) * 2004-09-28 2006-04-06 Daikin Industries, Ltd. 摺動部材及び流体機械
JP2012057550A (ja) * 2010-09-09 2012-03-22 Kobe Steel Ltd スクリュロータ及びこのスクリュロータを備えた圧縮機
WO2017208778A1 (ja) * 2016-06-02 2017-12-07 株式会社デンソー 流体バルブおよびその製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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