JPH08322472A - 酸性リン脂質の濃縮法 - Google Patents

酸性リン脂質の濃縮法

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JPH08322472A
JPH08322472A JP13141395A JP13141395A JPH08322472A JP H08322472 A JPH08322472 A JP H08322472A JP 13141395 A JP13141395 A JP 13141395A JP 13141395 A JP13141395 A JP 13141395A JP H08322472 A JPH08322472 A JP H08322472A
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JP
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lower alcohol
phospholipid
lecithin
acidic
plant
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JP13141395A
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English (en)
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Tomoshige Umeda
智重 梅田
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Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 植物由来レシチンを、水分含有量15重量%
以下の低級アルコールを用いて30℃以上の温度で処理
し、当該低級アルコール画分を除去する酸性リン脂質の
濃縮法。 【効果】 本発明の方法によれば、植物由来レシチンか
ら比較的簡易に酸性リン脂質を高濃度に含有する脂質混
合物を得ることができる。また、当該脂質混合物は、乳
化剤あるいは味覚改質剤として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、食品、経口用医薬、化
粧料用の乳化剤、味覚改質剤等に有用な酸性リン脂質を
植物由来レシチンから高濃度に濃縮する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】植物由来のレシチンには大豆、菜種、と
うもろこし、落花生等の油糧種子由来のものがあげられ
るが、なかでも大豆レシチンが最も一般的である。この
大豆レシチンの中には通常ホスファチジルコリン(P
C)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホス
ファチジルイノシトール(PI)、ホスファチジン酸
(PA)等のリン脂質、糖脂質、中性脂質、水溶性成分
が含まれている。
【0003】これらの混合物の中から酵素反応等の方法
で改質することなくリン脂質を精製する方法として、エ
タノールを用いる方法(特開昭54−61200号公
報、特開昭60−55095号公報、特開平1−277
457号公報、特開平3−15342号公報、特開平3
−58994号公報)、半透膜や限外濾過膜等の膜を用
いたもの(特開昭62−39594号公報、特開昭62
−45592号公報)、2価又は3価の金属塩を用いる
方法(特開昭58−179437号公報)、シリカなど
の吸着剤を用いる方法(特開昭59−152392号公
報、特開昭60−197696号公報、特開昭61−1
45189号公報、特開昭61−176597号公報、
特開昭62−59287号公報、特開平3−22739
9号公報、特開平5−132490号公報)、超臨界状
態の二酸化炭素を用いる方法(特開昭61−74548
号公報)あるいはそれらの組合わせ(特開昭61−19
1689号公報、特開昭62−22556号公報、特開
平3−141288号公報、特開平4−135457号
公報、特開平5−176687号公報)が開示されてい
る。
【0004】これらのリン脂質の精製方法はPCあるい
はPEを濃縮する目的で行われているものの、中性脂質
やコレステロールを除去するもの、風味・色を改善する
もの、あるいは濁りを除去するものがほとんどで酸性リ
ン脂質を濃縮することを目的としたものはない。シリカ
などの吸着剤を用いるものでリン脂質を各成分に分画す
るものもあるが、これらの方法は安価に工業的に行うに
は実用的ではない。また、ホスホリパーゼD等の酵素を
用いてPC、PEをPAあるいはホスファチジルグリセ
ロール(PG)等の酸性リン脂質に変えてしまう方法も
あるが、生成物と酵素との分離など操作が繁雑になるう
え、酵素のコストが高いという問題もある。そこで、簡
便に酸性リン脂質を濃縮する方法が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、植物由来レシチンから溶剤分別によって高濃度に酸
性リン脂質を濃縮する方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】かかる実情において、本
発明者らは、鋭意研究を行った結果、植物由来レシチン
を低級アルコールを用い、特定温度又は特定量で処理す
ることにより、その残渣に酸性リン脂質が高濃度に濃縮
されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明は、植物由来レシチン
を、水分含有量15重量%以下の低級アルコールを用い
て30℃以上の温度で処理し、当該低級アルコール画分
を除去する酸性リン脂質の濃縮法を提供するものであ
る。
【0008】本発明における原料は植物由来レシチンで
あれば、特に制限されないが、大豆、菜種、とうもろこ
し、ひまわり、パーム等の油糧種子より得られるリン脂
質混合物が挙げられ、そのうち、大豆レシチンが好まし
い。また、植物由来レシチンの形態は、ペースト状、粉
末状いずれでもよい。植物由来レシチンの純度も特に制
限されず、予め公知の精製法により不純物を取り除いた
もの、あるいは、既知の手段により酸性リン脂質の濃度
を高めたものを用いてもよいが、好ましくは、純度40
%以上のものがよい。
【0009】植物由来レシチン中には、酸性リン脂質の
他に、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジル
エタノールアミン(PE)又はこれらのリゾ体等の中性
リン脂質;トリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセ
リド等の中性脂質;脂肪酸、ステロール脂質及び糖脂質
等をいかなる割合で含んでいてもよいが、例えば中性リ
ン脂質10〜60重量%、中性脂質0〜60重量%、酸
性リン脂質5〜80重量%、その他5〜50重量%含ま
れているのが好ましい。
【0010】本発明の酸性リン脂質の濃縮法において
は、植物由来レシチンを水分含有量15重量%以下の低
級アルコールを用い、30℃以上の温度で処理すること
が必要である。
【0011】低級アルコールとしては、メタノール、エ
タノール、イソプロピルアルコールが挙げられ、特にエ
タノールが好ましい。また、水分含有量は15重量%以
下、好ましくは10重量%以下のものがよい。水分を実
質的に含まない低級アルコールも用いることができる。
水分含有量が15重量%を超えると充分な濃縮ができな
くなり好ましくない。
【0012】本発明において処理温度は30℃以上、好
ましくは35℃以上80℃以下である。処理温度が30
℃未満での抽出では、PEが残渣中に残存する傾向にな
り、残渣のリン脂質中の酸性リン脂質の濃度を上昇させ
ることができない。また、80℃を超えると得られた酸
性リン脂質濃縮物の風味、色の劣化がおこり好ましくな
い。
【0013】本発明において植物由来レシチンを低級ア
ルコールを用いて処理する方法は、特に制限されない
が、原料の植物由来レシチン中のリン脂質に対して、5
重量倍以上、より好ましくは10重量倍以上、更に好ま
しくは15重量倍以上の前記低級アルコールを用いて処
理するのがよい。5重量倍未満では、十分に高い濃度の
酸性リン脂質を含む残渣物を得ることはできない。ここ
で、リン脂質とはアセトン不溶分量をいう。処理は、1
回でもよいが、複数回が好ましく、特に3〜5回が好ま
しく、1回の操作で使用する前記低級アルコール量とし
ては、原料の植物由来レシチン中のリン脂質に対して1
重量倍以上が好ましい。
【0014】本発明において、植物由来レシチンを低級
アルコールを用いて処理することにより、植物由来レシ
チンに含まれるリン脂質のうち、PCが主に低級アルコ
ール中に抽出され、PA及びPIの酸性リン脂質が残渣
物に残存する。PEは低温条件下では残渣物に残存する
傾向にあるが、30℃以上の温度条件下では残渣側から
急激に減少する。またこの傾向は同温度条件下植物由来
レシチン中のリン脂質に対して5〜15重量倍以上の低
級アルコールを用いることにより、更に強まる。
【0015】本発明の方法により得られる酸性リン脂質
の濃縮物中、酸性リン脂質としては、ホスファチジルイ
ノシトール(PI)、ホスファチジン酸(PA)、ホス
ファチジルセリン(PS)、リゾホスファチジン酸(L
−PA)が挙げられ、これらは、各々如何なる割合で含
まれていても構わないが、特にリン脂質中(中性リン脂
質と酸性リン脂質の合計量)、PAとPIの合計量が5
0重量%以上、好ましくは60重量%以上含まれている
ことが好ましい。
【0016】本発明の方法により得られた酸性リン脂質
を高濃度に含む脂質混合物は、食品の味覚改質剤として
用いる場合、更に、当該脂質混合物中に含まれる中性脂
質や中性リン脂質を公知の方法によって除去することに
より苦味低減化効果を高めることができる。
【0017】本発明の方法により得られた酸性リン脂質
濃縮物は、飲料を含む食品、経口用医薬品又は化粧品に
好ましく用いることができる。
【0018】
【発明の効果】本発明の方法によれば、植物由来レシチ
ンから比較的簡易に酸性リン脂質を高濃度に含有する脂
質混合物を得ることができる。また、当該脂質混合物
は、乳化剤あるいは味覚改質剤として有用である。
【0019】
【実施例】次に本発明を実施例により、更に具体的に説
明するが、これは、単に例示であって本発明を制限する
ものではない。
【0020】実施例1及び比較例1 大豆レシチン(SLPペースト:ツルーレシチン工業社
製;原料1)100gを表1に示す条件下、99.5%
エタノール(水分含有量0.5重量%)でディスパーサ
ー(Janke & Kunkel社製)9500r.p.
m.、10分間の攪拌により抽出操作を行った。次にガラ
スフィルターで濾過し、沈殿を減圧乾燥機で脱溶剤し、
残渣物を得た。それぞれの残渣物中のリン脂質組成分を
油化学、35(12)、P1018〜1024(198
4)記載の方法に準じ、定量した。但し、分子量をPA
704、PC773、PE728及びPI884とし
た。結果を表2及び図1に示した。図1は、抽出回数3
回(1回当り原料のリン脂質に対し5重量倍のエタノー
ル使用)における、抽出温度とリン脂質組成との関係を
示したものである。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】表2及び図1より、抽出温度約30℃、又
は同温度下、エタノール量5〜15重量倍(原料のリン
脂質当り)を用いたところで急に残渣中のPE分が減少
し始め、酸性リン脂質含量が増加し始めることがわか
る。これは、PCが選択的に除去されたのちリン脂質組
成が変化することによるものであり、このような抽出挙
動は、これまでに知られていない。
【0024】実施例2 脱脂大豆レシチン(SLP−W:ツルーレシチン工業社
製;原料2)100gに45℃にした99.5%エタノ
ール(水分含有量0.5重量%)を500ml加え、ディ
スパーサー(Janke & Kunkel社製)で9
500r.p.m.、10分間の攪拌により抽出操作を行っ
た。ガラスフィルターで濾過した。次に沈殿物を都合3
回の抽出操作を行った後、沈殿を減圧乾燥機で脱溶剤
し、酸性リン脂質の濃縮物を得た。
【0025】実施例3 大豆レシチン(SLPペースト:ツルーレシチン工業社
製)及び抽出溶剤を5%含水エタノールを用いたこと以
外は実施例2と同様の操作を行って酸性リン脂質の濃縮
物を得た。
【0026】実施例4 大豆レシチン(SLPペースト:ツルーレシチン工業社
製)及び抽出溶剤を10%含水エタノールを用いたこと
以外は実施例2と同様の操作を行って酸性リン脂質の濃
縮物を得た。
【0027】比較例2 抽出操作を25℃で行ったこと以外は実施例2と同様の
操作を行って酸性リン脂質の濃縮物を得た。
【0028】比較例3 大豆レシチン(SLP−W:ツルーレシチン工業社製)
及び抽出溶剤を20%含水エタノールを用いたこと以外
は実施例2と同様の操作を行って酸性リン脂質の濃縮物
を得た。
【0029】実施例及び比較例で得られた酸性リン脂質
の濃縮物について味覚改質効果を調べた。
【0030】(味覚改質性の評価)レギュラーコーヒー
に実施例及び比較例で得られたサンプルを0.05重量
%添加したときのコーヒーのマイルド感を4段階評価で
行った。結果をリン脂質組成とともに表3に示す。
【0031】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】大豆レシチンのエタノール抽出挙動を示した図
である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 植物由来レシチンを、水分含有量15重
    量%以下の低級アルコールを用いて30℃以上の温度で
    処理し、当該低級アルコール画分を除去することを特徴
    とする酸性リン脂質の濃縮法。
  2. 【請求項2】 植物由来レシチン中のリン脂質量に対し
    て5重量倍以上の低級アルコールを用いることを特徴と
    する請求項1記載の酸性リン脂質の濃縮法。
  3. 【請求項3】 低級アルコール処理を複数回行うもので
    ある請求項2記載の酸性リン脂質の濃縮法。
  4. 【請求項4】 酸性リン脂質がホスファチジルイノシト
    ール及びホスファチジン酸である請求項1〜3のいずれ
    か1項記載の酸性リン脂質の濃縮法。
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