JPH07173182A - リン脂質を主成分とする乳由来の極性脂質の抽出方法及び濃縮方法 - Google Patents

リン脂質を主成分とする乳由来の極性脂質の抽出方法及び濃縮方法

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JPH07173182A
JPH07173182A JP31876993A JP31876993A JPH07173182A JP H07173182 A JPH07173182 A JP H07173182A JP 31876993 A JP31876993 A JP 31876993A JP 31876993 A JP31876993 A JP 31876993A JP H07173182 A JPH07173182 A JP H07173182A
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ethanol
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Hideo Otomo
英生 大友
Koji Takano
耕次 高野
Toshihiro Otsu
俊広 大津
Kenichi Kakimoto
建一 垣本
Tamotsu Kuwata
有 桑田
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 乳由来の極性脂質を含む乾燥物にヘキサン−
エタノール−水の混合溶媒を接触させ、リン脂質を主成
分とする極性脂質を抽出することを特徴とする乳由来の
極性脂質の抽出方法、及びトリグリセリド及び極性脂質
を含む乳由来の脂質をヘキサンに溶解又は懸濁させ、ヘ
キサンで平衡化したケイ酸と接触させてトリグリセリド
を吸着除去することを特徴とする乳由来の極性脂質の濃
縮方法。 【効果】 本発明の抽出方法は、安全性が高く、抽出率
が従来法に比し高く、かつ、得られる抽出物のリン脂質
を主成分とする極性脂質の純度が高い。本発明の濃縮方
法によれば、比較的安全性の高い有機溶媒、安価な分離
剤を用いてリン脂質を主成分とする乳由来の極性脂質を
濃縮できる。また、本発明の濃縮方法は、従来法より工
程が単純であり、得られる濃縮物の純度がアセトン処理
で得られるものより高い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、栄養学的に有用で種々
の生理活性を有する乳由来のリン脂質を主成分とする極
性脂質を、効率的に、より安価に、かつ簡便に抽出及び
/又は濃縮する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】リン脂質を主成分とする牛乳由来の極性
脂質は、様々な生理活性を有することが知られており、
特定保健用食品、化粧品、医薬品の原料として期待され
る。特にリン脂質については、溶解性改善、栄養学的見
地から、あるいは天然乳化剤等として広く食品に応用さ
れており、ドラッグデリバリーシステムの基材として
(奈良部均,油化学,41(9), 211(1992))、胃粘膜保護
(A. Kivinenら,Milchwissenschaft, 47(9), 573(199
3); 47(11), 694(1993))、保湿(松浦一郎,Fragrance
J. 1990-4, 211(1990))を目的として医薬品や化粧品
への応用が試みられている。
【0003】奈良部均,油化学,41(9), 211(1992)(総
説)には、卵黄リン脂質の一般的調製法として、卵黄
の乾燥工程を経て、エタノール、2−プロパノール、ジ
メチルエーテル等の有機溶媒を用いて粗脂肪を抽出し、
アセトンを用いて粗リン脂質画分を沈澱として得る方
法、大豆リン脂質の一般的調製法として、大豆フレー
クよりヘキサン等の有機溶媒で粗油を抽出し、脱ガム工
程で生じた油滓を乾燥して粗リン脂質画分を得る方法、
超臨界流体による抽出として、乾燥した原料に、超臨
界状態の二酸化炭素を接触させ種々の脂質を抽出する方
法(ここで、二酸化炭素は常温、常圧では気体となるた
め抽出物への残存の問題はない。)が記載されている。
【0004】岩間昭男は、前記におけるヘキサン抽出
物を限外ろ過処理し、濃縮液にリン脂質を回収している
(油化学,34(10), 852(1985) )。また、牛乳のリン脂
質を主成分とする極性脂質は脂肪球皮膜(以下「MFG
M」という。) に極在し、C. Kannoら(Agric. Biol. Ch
em., 54(11), 2845(1990))は、バターミルクとバターゼ
ラムのpHを4.8 とした後、遠心分離することによりMF
GMを回収しているが、結果的には極性脂質の濃縮とな
る。
【0005】W. W. Christieらは、乳成分中のリン脂質
の高速液体クロマトグラフィーによる定量に当って、ケ
イ酸カラムによる前処理を行っており、溶媒にはヘキサ
ン、ジエチルエーテル、メタノール、クロロホルムを用
いている(J. Soc. Dairy Technol., 40(1), 10(1987))
。生物化学実験法9、脂質分析法入門、藤野安彦、p.6
7、(株) 学会出版センター(1978) には、動物、植物
等の全脂質の分画にクロロホルム、アセトン、ベンゼ
ン、エーテル等を使用することが記載されている。
【0006】Robert J. らは、Celite 545とCaHPO4・2H
2Oの混合物を充填したカラムを用い、ジクロロメタンと
メタノールを使用して牛乳の中性脂質と極性脂質を分離
している(J. Dairy Sci., 69(2), 321(1986)) 。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】奈良部均,油化学,41
(9), 211(1992)(総説)に記載の卵黄リン脂質の一般
的調製法に用いる2−プロパノール、ジメチルエーテル
は残存した際の安全性に問題があり、エタノールは高価
である。また、操作は簡便であるが、得られる極性脂質
の純度は十分とはいえない。
【0008】奈良部均,油化学,41(9), 211(1992)(総
説)に記載の大豆リン脂質の一般的調製法及び岩間の
方法(油化学,34(10), 852(1985) )においては、リン
脂質のような極性脂質はタンパク質と結合した形で存在
する場合が多いため、ヘキサンのような極性の低い溶媒
では抽出されにくく(特に卵黄や乳脂肪の場合) 、また
大豆のように比較的多量の遊離リン脂質を含むもの、粗
油が大量に採取できるものには利用できるが、卵黄や乳
脂肪には不適当である。
【0009】奈良部均,油化学,41(9), 211(1992)(総
説)に記載の超臨界流体による抽出は、装置が非常に
高価であり、処理量も少なく、またリン脂質の抽出効率
が有機溶媒に劣る。また、C. Kannoらの方法(Agric. Bi
ol. Chem., 54(11), 2845(1990))は、回収されたMFG
Mの純度が十分とはいえず、また、MFGMは40%程度
のタンパク質を含んでいるため、満足できる純度の極性
脂質を得るには、得られたMFGM画分を更に分離する
必要がある。
【0010】W. W. Christieらの方法(J. Soc. Dairy T
echnol., 40(1), 10(1987))、生物化学実験法9、脂質
分析法入門、藤野安彦、p.67、(株) 学会出版センター
(1978) に記載の方法及び Robert J.らの方法(J. Dair
y Sci., 69(2), 321(1986))は、分析のための方法であ
り、通常食品等に用いられていないジエチルエーテル、
メタノール、クロロホルム等の安全性に問題の残る溶媒
が使われている。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は以下の発明を包
含する。 (1)乳由来の極性脂質を含む乾燥物にヘキサン−エタ
ノール−水の混合溶媒を接触させ、リン脂質を主成分と
する極性脂質を抽出することを特徴とする乳由来の極性
脂質の抽出方法。 (2)ヘキサン−エタノール−水の混合溶媒におけるヘ
キサン及び水の割合が、それぞれ20〜70容量%及び4〜
12容量%である前記(1)に記載の抽出方法。 (3)トリグリセリド及び極性脂質を含む乳由来の脂質
をヘキサンに溶解又は懸濁させ、ヘキサンで平衡化した
ケイ酸と接触させてトリグリセリドを吸着除去すること
を特徴とする乳由来の極性脂質の濃縮方法。 (4)トリグリセリド及び極性脂質を含む乳由来の脂質
のヘキサン溶液を、ヘキサンで平衡化したケイ酸カラム
に供し、極性脂質をヘキサンで溶出させて回収すること
を特徴とする乳由来の極性脂質の濃縮方法。 (5)トリグリセリド及び極性脂質を含む乳由来の脂質
が前記(1)又は(2)に記載の抽出方法により得られ
た抽出物である前記(3)又は(4)に記載の濃縮方
法。
【0012】本発明の抽出方法においては、使用する有
機溶媒を極力少なくするため、原料としては、乳由来の
極性脂質を含む乾燥物を用いる。該乳由来の極性脂質を
含む乾燥物としては、例えばバターゼラム粉、バターミ
ルク粉、全脂粉乳、ホエイタンパク質濃縮物(WPC)、脂
肪球皮膜の単離物又は濃縮物等が挙げられ、特に制限は
ないが、脂肪含量が高いほど効率はよい。
【0013】また、本発明の抽出方法においては、安全
性の高い溶媒を使用するため、ヘキサン−エタノール−
水の混合溶媒を用い、溶媒のコストを下げるため、ヘキ
サン、水の比を上げ、好ましくは、前記混合溶媒におけ
るヘキサン及び水の割合を、それぞれ20〜70容量%及び
4〜12容量%とする。前記混合溶媒の使用量は、原料乾
燥物1kgに対して、通常3〜10L、好ましくは5〜7L
とし、抽出温度は、通常0〜30℃、好ましくは10〜20℃
であり、抽出時間は、通常1〜5時間、好ましくは約3
時間である。
【0014】本発明の濃縮方法は、乳の主要な構成脂質
である中性脂質、特にトリグリセリドを、安全性の高い
有機溶媒と低価格の分離剤を用いて除き、リン脂質を主
成分とする極性脂質を濃縮するものである。脂質のクラ
ス分けにはケイ酸カラムクロマトグラフィーがよく用い
られるが、この方法は溶出溶媒の極性を段階的に上げて
いき、ケイ酸との親和性の強い極性脂質を分画操作の後
半で回収するものである。
【0015】本発明の濃縮方法は、極性脂質をケイ酸に
吸着させずに、ヘキサンによって最初に溶出させるもの
であり、工程が通常のケイ酸カラムクロマトグラフィー
に比べ少なくなっている。また、吸着したトリグリセリ
ドを主成分とする中性脂質はエタノールのような安全性
の高い溶媒で洗浄でき、カラムは繰り返し使用できる。
【0016】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に具体的に説
明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定される
ものではない。 (実施例1)ベルギーCorman社製バターゼラム粉1kgに
対して、ヘキサン−エタノール−水(30:62:8) 混液
7Lを加え、3時間攪拌した後、吸引ろ過を行い、ろ液
を回収した。
【0017】ろ液は50℃の恒温水槽を付けたロータリー
エバポレーターで減圧濃縮し、溶媒臭が感じられなくな
るまで窒素ガスを吹きつけ、ペースト状の脂質画分230g
を得た。固形分当りのホスファチジルエタノールアミン
(以下「PE」という。)、ホスファチジルコリン(以
下「PC」という。)、スフィンゴミエリン(以下「S
M」という。)、及び3者合計の含量は,それぞれ 2.7
%、 4.1%、 4.1%、10.9%であった。前記ペーストに
対して800ml のアセトンを添加し、3000G 、15分の遠心
分離を行い、ペレットを真空乾燥したところ、107gの固
体脂が得られた。PE、PC、SM含量は、それぞれ
3.2%、 5.9%、10.9%(合計20.0%)であった。
【0018】(実施例2) (1)リン脂質の抽出溶媒の検討 バターミルク粉10g に対して各種溶媒を100ml 加え、マ
グネティックスターラーで攪拌下、3時間抽出した。結
果を表1に示す。溶媒〜は卵黄リン脂質の抽出によ
く用いられるものであり(油化学,41(9), 211(1992))
、〜は生化学実験に用いられるものである(生物
化学実験法9、脂質分析法入門、藤野安彦著、p.39、
(株) 学会出版センター、1978年)。
【0019】
【表1】 食品業界で既に使用実績があり、比較的安全性が高く、
しかも低価格な溶媒としてヘキサンとエタノールを選択
し、リン脂質の抽出を試みたところ、次の知見が得られ
た。 (a) ヘキサンのみではリン脂質はほとんど抽出されな
い。 (b) ヘキサン−エタノール混液では十分にリン脂質は抽
出されない。 (c) ヘキサン−エタノール混液に少量の水が存在するこ
とにより、リン脂質の抽出率は大幅に向上する。
【0020】有機溶媒選択に当ってポイントとなる安全
性や価格を表2に示す。
【0021】
【表2】 (a) メタノール、酢酸エチル、クロロホルムは劇物に指
定されており、残存した際の安全性に問題がある。 (b) ブタノールも半数致死量(LD50)からして好ましいと
はいえない。また、沸点が高く、抽出液の留去にコスト
がかかる。 (c) 2−プロパノールも半数致死量(LD50)からして好ま
しくない。また、リン脂質の抽出率も低い(表1)。 (2)ヘキサン−エタノール−水の混合溶媒によるリン
脂質の抽出 (a) 3者の混合比 ヘキサン、99.5%エタノール、水の最適混合比の検討を
(1)と同様の方法で行った。水の混合割合を4, 8,
12, 16容量%に固定し、ヘキサン、99.5%エタノール比
を変化させたところ、図1〜4に示す結果が得られた。
図1〜4、及び(1)の結果より、 (i) 水の混合割合4〜12容量%で抽出率は上昇した。
前記範囲外では低下する傾向があった。(好ましくは8
〜12容量%) (ii) ヘキサンの混合割合20〜70容量%で抽出率は上昇
した。前記範囲外では低下する傾向があった。(好まし
くは30〜50容量%) 参考としてヘキサンを含まない99.5%エタノール−水系
での実験を行ったところ、図5に示す結果が得られた。
リン脂質の抽出率の高かった混合溶媒をいくつか選択
し、抽出時間3時間におけるリン脂質の抽出率を横断的
に比較したところ、表3に示す結果が得られた。
【0022】
【表3】 (b) 抽出時間 抽出時間とリン脂質の抽出率との関係を図6及び7に示
す。ヘキサン−エタノール−水系溶媒では約1時間で平
衡に達した。 (実施例3) (1)ヘキサン−エタノール系でのケイ酸カラムクロマ
トグラフィー ベルギーCorman社製バターゼラム粉100gに対して、ヘキ
サン−エタノール−水(30:62:8) 混液1L を加え、
攪拌下3時間放置し、粗脂肪の抽出を行った。抽出液を
吸引ろ過し、ろ液を減圧濃縮後、真空乾燥したものを試
料とした。この粗脂肪は約10%のリン脂質(PE 0.946
%、PC 4.715%、SM 3.476%)を含んでいた。
【0023】常法に従って活性化させたケイ酸(和光純
薬社 Wakogel C-200) をヘキサンに懸濁し、その80mlを
直径23mm、長さ30cmのガラスカラムに充填した。このカ
ラムに前記粗脂肪を少量のヘキサンに懸濁させ、負荷し
た。溶出はエタノール混合比を順次上げる段階溶出(流
速70ml/h) とした。溶出液は、それぞれ200ml とし、回
収された溶出液は減圧濃縮した後、真空乾燥した。分画
各画分の収量を表4に示す。
【0024】
【表4】 試料を7.8g負荷した時の薄層クロマトグラム(以下「T
LC」という。)を図8及び9に示す。展開溶媒として
はクロロホルム−メタノール−酢酸−水(25:15:4:
2)を用い、プレートとしては、メルク社製「Kieselge
l 60」を用いた。また、分画各画分のPE、PC、SM
純度を図10に示す。
【0025】以上より次のことがわかる。 (a)リン脂質は、そのほとんどがヘキサンで溶出され、
ケイ酸にはほとんど吸着しない。極性はトリグリセリド
(以下「TG」という。)より大きいので、リン脂質は
TGの後に、即ちカラム処理後半に溶出されると予想さ
れるが、実際はTGより先に溶出される。
【0026】(b)ヘキサン画分のリン脂質含量は約30%
であり、TLCよりその他の成分はリゾリン脂質、多種
類の糖脂質、少量のTG等と考えられる。 (2)クロロホルム−メタノール系でのケイ酸カラムク
ロマトグラフィー (生物化学実験法9、脂質分析法入門を一部改変) クロロホルムに懸濁したケイ酸をカラムに充填し、
(1)と同様の方法でクロマトグラフィーを試みた。溶
出はメタノール混合比を順次上げていく段階溶出とし
た。
【0027】分画各画分のリン脂質回収量と純度を図1
1に示す。この方法ではTGは最初の溶出溶媒であるク
ロロホルム画分に溶出し、リン脂質は極性の低い順に、
即ちPE、PC、SMの順に溶出されることが示され
た。クロロホルム→クロロホルム−メタノール(30:7
0) の2段階溶出を行えば、(1)と同程度の純度のリ
ン脂質画分を得ることができるが、クロロホルムやメタ
ノールは劇物に指定されており、毒性の問題から好まし
くない(表2参照)。 (3)アセトン処理 試料10g に対してアセトン50mlを加え、攪拌後、3000G
、15分間の遠心分離を行った。上清を除去し、ペレッ
トを真空乾燥した。同様の操作を4回繰り返し、それぞ
れのリン脂質含量を測定したところ、表5に示す結果が
得られた。
【0028】
【表5】 アセトン処理は簡便であるが、得られた沈澱画分のリン
脂質含量は20%程度であり、(1)に劣っていた。 (実施例4)ベルギーCorman社製バターゼラム粉100gに
対して、ヘキサン−エタノール−水(30:62:8) 混液
700ml を加え、攪拌下3時間粗脂肪の抽出を行った。抽
出液を吸引ろ過し、ろ液を減圧濃縮後、真空乾燥した。
乾燥物は23.8g であり、PE、PC、SM含量は、それ
ぞれ0.946 %、4.715 %、3.476 %であった。常法に従
って活性化したケイ酸(和光純薬社 Wakogel C-200) を
ヘキサンに懸濁し、その1L を直径12cm、長さ33cmのガ
ラスカラムに充填した。前記乾燥物をヘキサン50mlに懸
濁し、カラムに負荷した後、流速1L/h でヘキサン5L
を通液した。ヘキサン溶出液を減圧濃縮し、真空乾燥し
たところ、PE、PC、SM含量が、それぞれ2.722
%、14.656%、11.633%であるリン脂質濃縮物が6.98g
得られた。TLCパターンは図8及び9と同様であり、
リゾリン脂質、多種類の糖脂質の共存が示唆された。
【0029】
【発明の効果】本発明の抽出方法は、安全性が高く、抽
出率が従来法に比し高く、かつ、得られる抽出物のリン
脂質を主成分とする極性脂質の純度が高い。本発明の濃
縮方法によれば、比較的安全性の高い有機溶媒、安価な
分離剤を用いてリン脂質を主成分とする乳由来の極性脂
質を濃縮できる。また、本発明の濃縮方法は、従来のケ
イ酸カラムクロマトグラフィーより工程が単純であり、
得られる濃縮物の純度がアセトン処理で得られるものよ
り高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】ヘキサン−エタノール−水の混合溶媒(水=4
容量%)によるリン脂質の抽出率を示す図である。
【図2】ヘキサン−エタノール−水の混合溶媒(水=8
容量%)によるリン脂質の抽出率を示す図である。
【図3】ヘキサン−エタノール−水の混合溶媒(水=12
容量%)によるリン脂質の抽出率を示す図である。
【図4】ヘキサン−エタノール−水の混合溶媒(水=16
容量%)によるリン脂質の抽出率を示す図である。
【図5】エタノール−水の混合溶媒によるリン脂質の抽
出率を示す図である。
【図6】ヘキサン−エタノール−水(30:62:8) の混
合溶媒によるリン脂質の抽出率の経時変化を示す図であ
る。
【図7】99.5%エタノールによるリン脂質の抽出率の経
時変化を示す図である。
【図8】ケイ酸カラムクロマトグラフィー溶出液の薄層
クロマトグラムを示す図である。
【図9】ケイ酸カラムクロマトグラフィー溶出液の薄層
クロマトグラム(リン脂質、糖脂質の検出)を示す図で
ある。
【図10】ヘキサン−エタノール系溶媒によるリン脂質
の分離状態を示す図である。
【図11】クロロホルム−メタノール系溶媒によるリン
脂質の分離状態を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 垣本 建一 東京都東村山市栄町1−21−3 明治乳業 株式会社中央研究所内 (72)発明者 桑田 有 東京都東村山市栄町1−21−3 明治乳業 株式会社中央研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 乳由来の極性脂質を含む乾燥物にヘキサ
    ン−エタノール−水の混合溶媒を接触させ、リン脂質を
    主成分とする極性脂質を抽出することを特徴とする乳由
    来の極性脂質の抽出方法。
  2. 【請求項2】 ヘキサン−エタノール−水の混合溶媒に
    おけるヘキサン及び水の割合が、それぞれ20〜70容量%
    及び4〜12容量%である請求項1記載の抽出方法。
  3. 【請求項3】 トリグリセリド及び極性脂質を含む乳由
    来の脂質をヘキサンに溶解又は懸濁させ、ヘキサンで平
    衡化したケイ酸と接触させてトリグリセリドを吸着除去
    することを特徴とする乳由来の極性脂質の濃縮方法。
  4. 【請求項4】 トリグリセリド及び極性脂質を含む乳由
    来の脂質のヘキサン溶液を、ヘキサンで平衡化したケイ
    酸カラムに供し、極性脂質をヘキサンで溶出させて回収
    することを特徴とする乳由来の極性脂質の濃縮方法。
  5. 【請求項5】 トリグリセリド及び極性脂質を含む乳由
    来の脂質が請求項1又は2記載の抽出方法により得られ
    た抽出物である請求項3又は4記載の濃縮方法。
JP31876993A 1993-12-17 1993-12-17 リン脂質を主成分とする乳由来の極性脂質の抽出方法及び濃縮方法 Pending JPH07173182A (ja)

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