JPH08322133A - 情報回線の配線方法及び情報回線用ワイヤハーネス - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ビル内の情報回線の配線作業を容易に行うこ
とができるようにする。 【構成】 各情報機器端末に連なる多対ペアケーブル２
１〜２４を予め束ねてワイヤハーネス２０としてある。
そのワイヤハーネス２０の途中部には４台の分岐箱３１
〜３４がケーブル２１〜２４を貫通させる状態で設けら
れ、この分岐箱３１〜３４に設けたモジュラーコンセン
ト３７に各情報機器端末に連なるツイステッドペア電線
が接続される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、複数台の情報機器端末
からの電線群を端子盤に集約して接続するための配線構
造の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、オフィスビルにおいては、二重床
構造にして床下の配線空間に電力ケーブルや情報回線
（電話回線、データ回線、制御回線等）を予め配線して
おく、いわゆるフリーアクセスフロアの施工例が増えて
きている。この構造で、情報回線の配線構造としては、
図４に示すものが公知である。すなわち、ビル内のオフ
ィス床面に机の設置場所に対応して多数のアップコンセ
ント１を設置し、これらのコンセント１と各階に１台づ
つ設置した端子盤２とを、それぞれツイステッドペア電
線３を介して配線するのである。ところが、この配線構
造ではコンセント１の数だけの電線３が必要であり、端
子盤２の周囲には多数本の電線３が集中して混乱するた
めに電線３を効率よく収容できないという問題がある。
また、保守点検時にも、端子盤２の周囲に多数本の電線
３が錯綜しているため、保守対象の電線３がどれである
かも容易に識別できず、電線３群の識別作業に手間取る
という問題があった。

【０００３】これに対処して、図５に示すように、多対
ケーブル４ａ，４ｂの先端に分岐器５ａ，５ｂを接続し
て構成したワイヤハーネス６ａ，６ｂを利用する配線構
造も考えられている（例えば特開平６−２２３９３０号
公報）。この構造では、オフィスの床下に必要な本数の
ワイヤハーネス６ａ，６ｂを予め端子盤２から配線して
おき、その分岐器５ａ，５ｂと複数個のコンセント７と
をツイステッドペア電線８を介して接続するのである。
このように電線群をワイヤハーネス化すれば、電線の敷
設作業や保守点検作業が簡単になり、また、電線収容効
率も高くなるという利点が得られる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記構
造であると、オフィス床下に一度配線した後に、端末を
増設するには、やはり多対電線４ｃと分岐器５ｃからな
る別のワイヤハーネス６ｃを敷設する必要があり、その
ワイヤハーネス６ｃと端子盤２との接続作業に手間取る
ことになる。この場合、将来の増設に対処するには、予
め余裕を見た台数の分岐器を予備的に設置しておけばよ
いが、上記の配線構造では、分岐器の数だけの本数のワ
イヤハーネス６ａ，６ｂ，６ｃ，…が必要になるため、
その敷設作業に大いに手間取ることになる。

【０００５】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、ワイヤハーネス化によって電線の敷設作業や保守点
検作業が簡単であるとともに電線収容効率も高くでき、
しかも、将来の情報機器端末の増設にも容易に対処でき
るようにすることを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明に係る情報回線の配線方法は、複数台の情報
機器端末からの電線群を端子盤に集約して接続するため
のものであって、複数台の各情報機器端末に連なる多数
の電線群を予め束ねてワイヤハーネス化しておき、その
ワイヤハーネスの途中部には情報機器端末群のうちの一
部を接続するための分岐箱を設け、この分岐箱には他の
情報機器端末のための電線群を貫通させることにより電
線群を束ね状態とするところに特徴を有する（請求項１
の発明）。

【０００７】また、本発明に係る情報回線用ワイヤハー
ネスは、複数台の情報機器端末からの情報回線を端子盤
に集約して接続するためのものにおいて、端子盤と各情
報機器端末との間を接続するための電線群と、この電線
群のうちの一部を貫通状態に束ねるとともに他を分岐さ
せる分岐箱とを備えたところに特徴を有する（請求項２
の発明）。この場合、分岐箱に、一部の情報機器端末か
らの電線を接続するためのモジュラーコンセントを設け
ておくこともできる（請求項３の発明）。

【０００８】さらに、本発明に係る情報回線用分岐器
は、複数台の情報機器端末からの情報回線を端子盤にす
るためのワイヤハーネスに使用されるものであって、端
子盤と各情報機器端末との間を接続するための電線群の
うちの一部を貫通させる電線貫通路を内部に備えた分岐
箱と、電線貫通路に収容された電線群を押さえて分岐箱
に固定する電線押さえ部材と、分岐箱に設けられたモジ
ュラーコンセントとを備え、そのモジュラーコンセント
には端子盤と各情報機器端末との間を接続するための電
線群のうちの一部が接続されているところに特徴を有す
る（請求項４の発明）。

【０００９】

【作用】請求項１の配線方法によれば、各情報機器端末
と端子盤との間はワイヤハーネス化されるから、工場生
産にてワイヤハーネスを製作しておき、施工現場ではワ
イヤハーネスを所要の配線空間に敷設して端子盤に接続
するだけで敷設作業が終了する。そして、このワイヤハ
ーネスの途中部には分岐箱が設けられているから、各情
報機器端末は適当な分岐箱に接続すればよく、また、他
の電線群は分岐箱を貫通し、これにより束ね状態とされ
ている。ワイヤハーネスの敷設後において情報機器端末
を増設するには、ワイヤハーネスに設けられている適当
な分岐箱に接続すればよい。

【００１０】請求項２の情報回線用ワイヤハーネスは上
記配線方法に使用され、特に、請求項３のワイヤハーネ
スによれば、分岐箱にモジュラーコンセントが設けられ
ているから、情報機器端末はこのモジュラーコンセント
に接続する。

【００１１】請求項４の分岐箱では、これを利用して電
線束ね機能と分岐機能とを併せ持つ上記ワイヤハーネス
を構成することができる。

【００１２】

【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、ワ
イヤハーネス化によって電線の敷設作業や保守点検作業
が簡単であるとともに電線収容効率も高くできる。しか
も、ワイヤハーネスの途中部に分岐箱が備えられている
から、将来の情報機器端末の増設にも容易に対処でき、
加えて、その分岐箱が電線群の結束機能も併せ有するか
ら、ワイヤハーネスとして取扱い易くなって敷設作業を
一層能率的にできるという効果が得られる。

【００１３】

【実施例】以下、本発明の一実施例について図１ないし
図３を参照して具体的に説明する。図１は本実施例の配
線構造を適用したオフィスを平面図により示してあり、
フロアをＡ〜Ｃで表す３つの領域に仮想的に区分してあ
る。Ｂ，Ｃの両領域には、図示はしないが、それぞれ作
業机がグループ化されて配置してあり、Ａの領域は作業
机が置かれていない未使用領域となっている。既設の作
業机には、電話器或いはコンピュータ等の情報機器端末
（図示せず）が配置されている。

【００１４】また、フロアの所定箇所には１台の端子盤
１０が設置され、この端子盤１０からオフィスの床下に
形成した配線空間を通して例えば３本のワイヤハーネス
２０が敷設してある。このワイヤハーネス２０は、例え
ば４本の多対ペアケーブル２１〜２４を並列させて電線
群が構成され、途中部の４箇所に第１ないし第４の分岐
箱３１〜３４がこれらのケーブル２１〜２４を束ねるよ
うにして設けられている。４本の各多対ペアケーブル２
１〜２４はそれぞれ長さ寸法が相違して、端子盤１０か
ら各分岐箱２２〜２５の設置位置までの各延長距離に相
当する長さ寸法とされており、最も短いケーブル２１が
第１分岐箱３１までの長さで、他の３本のケーブル２２
〜２４は第１分岐箱３１を貫通している。また、第２分
岐箱３２についても同様で、多対ペアケーブル２２が第
２分岐箱３２までの長さ寸法であって、他のケーブル２
３，２４は、この第２分岐箱３２を貫通し、最長のケー
ブル２４は第３分岐箱３３を貫通して第４分岐箱３４に
まで延びている。

【００１５】さて、各分岐箱３１〜３４は基本的には同
様な構造であるから、第２分岐箱３２を例にとって説明
すると、これは図３に示すようである。すなわち、基板
３５に、下面を開放した箱形の本体ケース３６を嵌合し
て分岐箱３２が構成され、その基板３５には例えば６個
のモジュラーコンセント３７が並べられている。このモ
ジュラーコンセント３７には、図示しない内部端子に連
なる圧接端子３７ａが例えばそれぞれ８本立設されてお
り、結局、８×６＝４８本の端子群が設けられている。
この圧接端子３７ａ群に対しては、多対ペアケーブル２
２の各ツイステッド電線２２ａが圧接接続されるように
なっている。

【００１６】また、基板３５の一側部には、３本のケー
ブル収納凹部３８ａを備えたケーブル受けブロック３８
が取り付けられ、ここに各多対ペアケーブル２２〜２４
を収容してケーブル押さえ部材に相当する押さえ板３９
をネジ４０にて固定して各ケーブル２２〜２４を分岐箱
３２に固定状態としている。そして、上記本体ケース３
６の一側壁部には上記３本のケーブル２２〜２４を挿通
させるための３個のケーブル導入切欠き４１が形成され
るとともに、これと対向する側壁部には第２分岐箱３２
を貫通する２本の多対ペアケーブル２３，２４を挿通す
るための２個のケーブル導出切欠き４２が形成されてお
り、上記ケーブル導入切欠き４１とケーブル導出切欠き
４２との間に電線群を貫通させる電線貫通路が構成され
ている。

【００１７】なお、他の分岐箱３１，３３については、
上記電線貫通路の本数がそれぞれ３本、１本である点で
相違するに過ぎず、また、分岐箱３４は電線貫通路を備
えない点で上記分岐箱３２と相違するに過ぎない。

【００１８】さて、上記構成の配線構造の施工方法は次
のようである。まず、オフィスの面積等に従い分岐箱の
設置位置・個数を決め、その位置と端子盤１０の位置と
に応じてワイヤハーネス２０の必要な長さ・本数が決定
される。これに基づき各ワイヤハーネス２０が予め工場
生産され、それには必要長さ・本数の多対ペアケーブル
２１〜２４を準備し、各ケーブル２１〜２４の端部に分
岐箱３１〜３４を接続するとともに、一部を貫通状態に
固定する。なお、分岐箱３１〜３４の間の距離が長くな
ってケーブル２１〜２４がばらける傾向となる場合に
は、図２に示すように、必要な箇所にケーブルタイ２５
を設けて束ねるようにすればよい。

【００１９】このように製造された各ワイヤハーネス２
０はハーネス工場から施工現場に搬入され、ここで床下
配線空間の所定の位置に敷設し、多対ペアケーブル２１
〜２４の基端側を端子盤１０に接続する。なお、この配
線空間は例えば図２に示すように建物の床スラブ１１上
に立設した支柱１２に床プレート１３を敷き詰めること
で床プレート１３と床スラブ１１との間に構成されてい
る。そして、各ワイヤハーネス２０の各分岐箱３１〜３
４は所定位置に固定されることになるが、作業机を配置
する領域Ｂ，Ｃだけでなく、未使用領域Ａについても分
岐箱３１〜３３を配置しておく（図１参照）。

【００２０】この後、床プレート１３の所要箇所にアッ
プコンセント１４等を設け（図２参照）、これと分岐箱
３１〜３４のモジュラーコンセント３７とをツイステッ
ドペア電線１５にて接続すれば、配線作業が完了する。

【００２１】また、このように情報回線の配線作業が完
了した後、オフィスのレイアウト変更や作業机の追加設
置等のために、未使用領域Ａにおいて情報機器端末を使
用する必要が生じた場合には、その領域Ａの所要箇所に
アップコンセント１４等を設置するとともに、これと分
岐箱３１〜３３のモジュラーコンセント３７とをツイス
テッドペア電線１５にて接続すればよい（図１の破
線）。これにより、新たにワイヤハーネス２０を敷設す
ることなく、情報機器端末の増設が可能になる。

【００２２】上記した本実施例によれば、次のような効
果が得られる。まず、施工現場における配線作業として
は、ワイヤハーネス２０を所定の配線空間に敷設して端
子盤１０に接続するだけでよく、その配線作業を極めて
短時間で能率的に行うことができる。しかも、電線群は
ワイヤハーネス２０として一体化されているから取扱い
易く、また、高度に集積されているからコンパクトにま
とまり、電線群の収容スペースは少なくて済む。従っ
て、多数のツイステッドペア電線を端子盤と各情報機器
端末との間を直接に個別に接続していた従来の配線構造
のように多数本の電線が無秩序に錯綜するようなことが
なくなり、ワイヤハーネス２０として整然と配置される
から、狭い配線空間にも十分な容量の回線を収容できる
ようになり、スペース効率も高くなる。

【００２３】また、ワイヤハーネス２０の途中部に４個
の分岐箱３１〜３４が予め一体に設けられているので、
これが回路分岐機能だけでなくケーブル２１〜２４を束
ねる機能も発揮することになり、ワイヤハーネス２０の
取扱い性が高い。しかも、ワイヤハーネス２０を敷設す
るだけで４個の分岐箱３１〜３４が自ずと設けられるこ
とになるから、そのうちの当面必要なものだけを利用
し、残りは情報機器端末の増設時に利用することがで
き、その増設時の工事が極めて簡単になる。

【００２４】さらに、ワイヤハーネス２０を使用したこ
とから、一部の配線の補修を行う場合には、ワイヤハー
ネス２０単位で配線が属するグループを特定し、そのグ
ループ内で対象となる電線を特定すればよいから、その
配線を容易に見つけ出すことができ、保守・点検作業も
容易になる。

【００２５】また、特に本実施例では、分岐箱３１〜３
４にはモジュラーコンセント３７を設けているから、こ
の分岐箱３１〜３４とアップコンセント１４との接続作
業も容易になる。

【００２６】＜他の実施例＞本発明は上記記述及び図面
によって説明した実施例に限定されるものではなく、例
えば次のような実施態様も本発明の技術的範囲に含ま
れ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種
々変更して実施することができる。

【００２７】（１）上記実施例では、ワイヤハーネス２
０の多対ペアケーブル２１〜２４を分岐箱３１〜３４の
モジュラーコンセント３７に接続するに際し圧接構造を
利用したが、これに限らず、例えば半田付け、ネジ止め
等の他の接続手段を採用してもよい。これらの接続作業
をハーネス工場で行えば、現場施工作業を著しく簡素化
できることは、前記各実施例の場合と同様である。

【００２８】（２）上記実施例では、各分岐箱３１〜３
４における電線貫通路の数をそれぞれ３本〜０本と異な
らせるようにしたが、これに限らず、全ての分岐器３１
〜３４を電線貫通路が最大の３本である構造にして部品
の共通化を図るようにしてもよい。この場合には、設け
られている電線貫通路よりも貫通するケーブルの数が少
なくなって、電線貫通路が余る形態になるが、特に問題
を生ずることはない。 （３）上記実施例では、４本の多対ペアケーブル２１〜
２４を利用した例を示したが、その本数はこれに限られ
ず、また、多対ペアケーブルを利用せずとも、多数本の
ツイステッドペア電線を撚り合わせてワイヤハーネス化
してもよい。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係る配線構造を示す電線敷
設図

【図２】同じくワイヤハーネスの敷設状態を示す斜視図

【図３】分岐箱の分解斜視図

【図４】従来の配線構造を示す電線敷設図

【図５】従来の配線構造の他の例を示す電線敷設図

【符号の説明】 １０…端子盤 ２０…ワイヤハーネス ２１〜２４…多対ペアケーブル ２５…ケーブルタイ ３１〜３４…分岐器 ３７…モジュラーコンセント

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数台の情報機器端末からの電線群を端
   子盤に集約して接続するための配線方法であって、前記
   複数台の各情報機器端末に連なる多数の電線群を予め束
   ねてワイヤハーネス化しておき、そのワイヤハーネスの
   途中部には前記情報機器端末群のうちの一部を接続する
   ための分岐箱を設け、この分岐箱には他の情報機器端末
   のための電線群を貫通させることにより電線群を束ね状
   態とすることを特徴とする情報回線の配線方法。
2. 【請求項２】 複数台の情報機器端末からの情報回線を
   端子盤に集約して接続するためのワイヤハーネスであっ
   て、前記端子盤と各情報機器端末との間を接続するため
   の電線群と、この電線群のうちの一部を貫通状態に束ね
   るとともに他を分岐させる分岐箱とを備えてなる情報回
   線用ワイヤハーネス。
3. 【請求項３】 前記分岐箱には、一部の情報機器端末か
   らの電線を接続するためのモジュラーコンセントが設け
   られていることを特徴とする情報回線用ワイヤハーネ
   ス。
4. 【請求項４】 複数台の情報機器端末からの情報回線を
   端子盤に集約して接続するためのワイヤハーネスに使用
   されるものであって、前記端子盤と各情報機器端末との
   間を接続するための電線群のうちの一部を貫通させる電
   線貫通路を内部に備えた分岐箱と、前記電線貫通路に収
   容された電線群を押さえて分岐箱に固定する電線押さえ
   部材と、前記分岐箱に設けられたモジュラーコンセント
   とを備え、そのモジュラーコンセントには前記端子盤と
   前記各情報機器端末との間を接続するための電線群のう
   ちの一部が接続されていることを特徴とする情報回線用
   分岐器。