JPH08318853A - 横移動トラバーサ方式 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 格納庫までリニア車両等の列車を誘導するこ
とができ、格納庫から任意の列車を取り出すことがで
き、且つ、入れ換え時間が短い方式を提案することを目
的とする。 【構成】 本線３上からリニア車両等の列車５を横移動
台車２へベルトコンベア、ロープ牽引方式又はラックア
ンドピニオン方式により誘導した後、該横移動台車２を
横方向へ移動させ、その後、前記列車５を格納庫４にベ
ルトコンベア、ロープ牽引方式又はラックアンドピニオ
ン方式により誘導することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、横移動トラバーサ方式
に関する。詳しくは、リニア車両等の列車を、横方向に
移動させて格納庫へ誘導する方式に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の地上交通機関は、車輪走行方式を
採用しているため、車輪の転がり摩擦により、高速走行
には一定の限界がある。そこで、将来の大量交通機関と
して、超伝導方式により磁気浮上し、超高速走行が可能
なリニア車両が注目され、各種の方式が提案されてい
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上述したリニア車両に
ついても、一般の列車と同様に、格納庫に保管する必要
がある。そのため、格納庫から任意の列車を取り出すこ
とができ、且つ、入れ換え時間が短い格納システムが要
望されている。しかし、リニア車両には、磁気浮上する
ために可能な限り軽量化すべきとの要請があるため、自
走輪が設けられていない。

【０００４】また、リニア車両は、コイルパネルの設置
されない引込線においては、、磁気浮上して走行するこ
とはできず、補助輪（案内輪）により車輪走行できるに
すぎない。その為、リニア車両を本線から格納庫まで誘
導する方式が必要となり、例えば、誘導車をリニア車両
に連結して搬送させることも考えられるが、連結・切離
の作業が煩雑となる虞がある。一方、本線から格納庫ま
での引込線にコイルパネルを配置することも考えられる
が、多額の建設費用がかかり、経済的に実現困難であ
る。

【０００５】本発明は、上記従来技術に鑑みて成された
ものであり、格納庫までリニア車両等の列車を誘導する
ことができ、格納庫から任意の列車を取り出すことがで
き、且つ、入れ換え時間が短い方式を提案することを目
的とする。更に、他の目的は、リニア車両を能率的に誘
導できる経済的な方式を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】斯かる目的を達成する本
発明の構成は、本線上から列車を横移動台車へ誘導した
後、該横移動台車を横方向へ移動させ、その後、前記列
車を格納庫に誘導することを特徴とする。ここで、前記
列車として、リニア車両を用いることを特徴とし、更に
は、前記横移動台車は、ベルトコンベア、ロープ牽引方
式又はラックアンドピニオン方式により前記列車を誘導
することを特徴とする。

【０００７】

【作用】リニア車両等の列車を横移動台車に乗せて横移
動させることにより、本線から任意の格納庫へ、また、
ある格納庫から本線へ任意の列車を取り出すことができ
る。また、列車を誘導する方式として、ベルトコンベ
ア、ロープ牽引方式又はラックアンドピニオン方式を採
用すると、コイルパネルが不要となり、誘導車を用いな
いため、誘導車との連結・切り離し等の作業が不要とな
る。

【０００８】

【実施例】以下、本発明について、図面に示す実施例を
参照して詳細に説明する。

【０００９】〔実施例１〕本発明の第１の実施例に係る
横移動トラバーサ方式を図１〜図４に示す。図２に示す
ように、複数の横移動台車２が横方向に移動自在に配置
されると共にこの横移動台車２に接続し得る１本の本線
３及び多数の留置線（図示省略）が平行に配設されてい
る。即ち、本線３は横移動台車２と平行であって、横移
動台車２の一端側、図中では右奥側に配設される一方、
留置線は横移動台車２と平行であって、横移動台車２の
他端側、図中では左手前側に複数配設される。

【００１０】横移動台車２は、図１に示すように、長尺
フレーム１０上にベルトコンベア１１を長手方向に沿っ
て配設すると共にこの長尺フレーム１０上の左右に側壁
１２を立設したものである。ベルトコンベア１１の上に
は、リニア車両５が載置されている。

【００１１】ベルトコンベア１１は、リニア車両５を本
線３又は留置線から横移動台車２へ誘導し、あるいは、
その逆に誘導させるものである。ベルトコンベア１１に
代えて、後述するような他の誘導手段を用いても良い。
本線３及び留置線にも、図示していないが、図３に示す
ようなベルトコンベア１１と同等のものが設けられてい
る。長尺フレーム１０は、図１及び図４に示すように、
複数の走行台車１３を介してレール１４に移動自在に載
置されている。長尺フレーム１０の長さは、リニア車両
５の長さが３８０ｍであるため、４００ｍ程度である。

【００１２】レール１４は、横移動台車２と直交する方
向に一定距離毎に直線的に敷設され、また、走行台車１
３は、車輪によりレール１４上にそれぞれ移動自在に載
置されている。更に、レール１４に沿ってラック１５が
平行に配設されると共にこのラック１５と噛み合うピニ
オン１６及びその電動機１７が走行台車１３に備えられ
ている。電動機１７には、減速機が付設している。

【００１３】従って、各電動機１７によりピニオン１６
をラック１５に噛み合わせた状態で駆動回転させること
により、走行台車１３がレール１４に沿って走行し、そ
のため、横移動台車２が横方向に移動する。

【００１４】尚、長尺フレーム１３は、複数の移動台車
１７により一定間隔で支持されるため、連続梁と同様に
安定した支持形態である。

【００１５】上記構成を有する本実施例において、リニ
ア車両５を本線３から留置線へ移動させるには、次のよ
うに行う。先ず、図５に示すように、リニア車両５は自
走で本線３のベルトコンベアに乗りブレーキを掛ける。
次に、図６に示すように、本線３のベルトコンベアと横
移動台車２上のベルトコンベア１１とを同期させ、リニ
ア車両５を横移動台車２上のベルトコンベア１１上に乗
せる。

【００１６】引続き、図７に示すように、リニア車両５
が横移動台車２に完全に乗ったら、ベルトコンベア１１
を停止する。その後、図８に示すように、横移動台車２
を一定距離横移動させ停止する。更に、図９に示すよう
に、留置線４上のベルトコンベアと横移動台車２上のベ
ルトコンベア１１を同期させ、リニア車両５を留置線４
へ移動させ格納する。

【００１７】また、図１０に示すように、リニア車両５
が完全に留置線４内に格納されたら、ベルトコンベアを
停止する。尚、留置線４から本線３へリニア車両５を移
動させるには、上記と逆の手順により行う。

【００１８】このように説明したように本実施例では、
横移動台車２にリニア車両５を乗せて横移動させること
により、本線３から任意の留置線４へ、また、ある留置
線４から本線３へ任意のリニア車両５を取り出すことが
できる。また、リニア車両５を誘導する方式として、ベ
ルトコンベア１１を使用するため、コイルパネルを不要
とし建設費を経済的とすることができる。

【００１９】更に、リニア車両５を誘導する方式とし
て、誘導車を用いないため、誘導車との連結・切り離し
等の作業が不要となり、入れ換え時間を短縮することが
できる。尚、本実施例では、横移動台車２の一端側に、
複数の留置線４によりなる格納庫を設けていたがたが、
これに限るものではなく、その両側に設けても良い。

【００２０】〔実施例２〕本発明の第２の実施例に係る
横移動トラバーサ方式を図１０に示す。本実施例は、誘
導方式として、ベルトコンベア１１に代えてラックアン
ドピニオン方式を採用するものである。その他の構造は
実施例１と同様である。図１１に示すように、長尺フレ
ーム内には、車輪を備えたサブフレーム２２が長手方向
に走行自在に配設されると共にこのサブフレーム２２は
本線、留置線との間で移動可能となっている。

【００２１】サブフレーム２２上にはリニア車両２５が
登載され、その下面には長手方向に沿ってラック２４が
形成されている。一方、長尺フレームには、前記ラック
２４と噛み合うピニオン２１と、このピニオン２１を駆
動回転させる電動機が設けられている。従って、ピニオ
ン２１とラック２４とを噛み合わせた状態で、ピニオン
２１を駆動回転させることにより、リニア車両２５と共
にサブフレーム２２を長尺フレームの長手方向に沿って
移動させることができる。

【００２２】このように説明したように本実施例では、
リニア車両２５の誘導手段としてラックアンドピニオン
方式を採用するため、リニア車両２５をサブフレーム２
２に登載したまま、ピニオン２１とラック２４との噛み
合いにより、リニア車両２５を本線又は留置線から横移
動台車上へ、或いは、その逆に誘導することが可能とな
る。

【００２３】〔実施例３〕本発明の第３の実施例に係る
横移動トラバーサ方式を図１２に示す。本実施例は、誘
導方式として、ロープ牽引方式を採用するものである。
その他の構造は実施例１と同様である。図１２に示すよ
うに、エンドレスワイヤーロープ３１が長尺フレーム
（図示省略）に沿って張り渡されると共にこのエンドレ
スワイヤーロープ３１を牽引する機構（図示省略）が設
けられている。本線、留置線においても同様にエンドレ
スワイヤーロープ３１が張り渡され、牽引される構造と
なっている。

【００２４】エンドレスワイヤーロープ３１には、リニ
ア車両３５を捕捉するためのチャッキング装置３９が固
定されている。このチャッキング装置３９は、エンドレ
スワイヤーロープ３１のある１ヵ所に固定され、二つの
アームを起立・倒伏自在に備えたものである。

【００２５】一方、リニア車両３５の底面には、チャッ
キング装置３９により挟み付けられる係合部３０が下向
きに突設されている。従って、チャッキング装置３９の
アームを起立させて、リニア車両３５の係合部３０と係
合することができ、また、チャッキング装置３９のアー
ムを倒伏させると、リニア車両３５の係合部３０との係
合を解除することができる。また、上記チャッキング装
置３９はエンドレスワイヤーロープ３１と確実に係合す
るため、小径なエンドレスワイヤーロープ３１により重
いリニア車両３５を牽引する場合でも、滑りを起こすこ
となく安定して誘導することが可能となる。

【００２６】このように説明したように本実施例では、
リニア車両３５の誘導手段としてエンドレスワイヤーロ
ープ３１を用いるため、リニア車両３５のチャッキング
装置３９によりエンドレスワイヤーロープ３１と係合し
て、エンドレスワイヤーロープ３１を牽引することによ
り、リニア車両３５を本線又は留置線から横移動台車上
へ、或いは、その逆に誘導することが可能となる。

【００２７】〔実施例４〕本発明の第４の実施例に係る
横移動トラバーサ方式を図１３に示す。本実施例は、チ
ャッキング装置３９に代えて係合装置４９を採用するも
のである。その他の構造は実施例３と同様である。

【００２８】図１３に示すように、エンドレスワイヤー
ロープ４１が長尺フレーム（図示省略）に沿って張り渡
されると共にこのエンドレスワイヤーロープ４１を牽引
させる機構（図示省略）が設けられている。本線、留置
線においても同様にエンドレスワイヤーロープ４１が張
り渡され、牽引される構造となっている。エンドレスワ
イヤーロープ４１には、リニア車両４５を捕捉するため
の係合装置４９が固定されている。この係合装置４９
は、エンドレスワイヤーロープ４１のある１ヵ所に固定
され、前方又は後方に向いた複数のツメを有するもので
ある。一方、リニア車両４５の底面には、この係合装置
４９のツメに引っ掛かるリング部４０が設けられてい
る。従って、リニア車両４５のリング部４０に、エンド
レスワイヤーロープ４１の係合装置４９を引っ掛けて、
エンドレスワイヤーロープ４１を牽引することにより、
リニア車両４５を誘導することができる。

【００２９】このように説明したように本実施例では、
リニア車両４５の誘導手段としてエンドレスワイヤーロ
ープ４１を用いるため、リニア車両４５のリング部４０
をエンドレスワイヤーロープ４１の係合部４９に引っ掛
けて、エンドレスワイヤーロープ４１を牽引することに
より、リニア車両４５を本線又は留置線から横移動台車
上へ、或いは、その逆に誘導することが可能となる。

【００３０】〔実施例５〕本発明の第５の実施例に係る
横移動トラバーサ方式を図１４に示す。本実施例は、チ
ャッキング装置３９に代えてクランプ装置５９を採用す
るものである。その他の構造は実施例３と同様である。

【００３１】図１４に示すように、エンドレスワイヤー
ロープ５１が長尺フレーム（図示省略）に沿って張り渡
されると共にこのエンドレスワイヤーロープ５１を牽引
させる機構（図示省略）が設けられている。一方、リニ
ア車両５５の底面には、エンドレスワイヤーロープ５１
を把持するクランプ装置５９が下向きに突設されてい
る。クランプ装置５９は、エンドレスワイヤーロープ５
１を把持する装置であり、エンドレスワイヤーロープ５
１との接触状態、言い換えると、把持力を任意の大きさ
に調整できる。従って、リニア車両５５のクランプ装置
５９により、エンドレスワイヤーロープ５１を把持した
状態で、エンドレスワイヤーロープ５１を牽引すること
により、リニア車両５５を誘導することができる。ま
た、エンドレスワイヤーロープ５１を一定速度で循環移
動させておき、クランプ装置５９の把持力を調節してス
ムーズな発進及び停止が可能となる。

【００３２】このように説明したように本実施例では、
リニア車両５５の誘導手段としてエンドレスワイヤーロ
ープ５１を用いるため、リニア車両５５のクランプ装置
５９によりエンドレスワイヤーロープ５１を把持して、
エンドレスワイヤーロープ５１を牽引することにより、
リニア車両５５を本線又は留置線から回転台車上へ、或
いは、その逆に誘導することが可能となる。

【００３３】

【発明の効果】以上、実施例に基づいて具体的に説明し
たように、本発明は、横移動台車にリニア車両等の列車
を乗せて横移動させることにより、本線から任意の格納
庫へ、また、ある格納庫から本線へ任意の列車を取り出
すことができる。また、列車を誘導する方式として、ベ
ルトコンベア、ロープ牽引方式又はラックアンドピニオ
ン方式等を採用すると、コイルパネルを不要とし建設費
を経済的とすることができ、更に、誘導車を用いないた
め、誘導車との連結・切り離し等の作業を不要として、
入れ換え時間を短縮することができる利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施例に係る横移動トラバーサ
方式における横移動台車及びその駆動手段を示す斜視図
である。

【図２】本発明の第１の実施例に係る横移動トラバーサ
方式を示す俯瞰図である。

【図３】本発明の第１の実施例に係る円移動トラバーサ
方式における誘導方式（ベルトコンベア）を示す斜視図
である。

【図４】本発明の第１の実施例に係る円移動トラバーサ
方式における横移動台車を示す側面図である。

【図５】本発明の第１の実施例に係る横移動トラバーサ
方式におけるリニア車両の搬送工程を示す説明図であ
る。

【図６】本発明の第１の実施例に係る横移動トラバーサ
方式におけるリニア車両の搬送工程を示す説明図であ
る。

【図７】本発明の第１の実施例に係る横移動トラバーサ
方式におけるリニア車両の搬送工程を示す説明図であ
る。

【図８】本発明の第１の実施例に係る横移動トラバーサ
方式におけるリニア車両の搬送工程を示す説明図であ
る。

【図９】本発明の第１の実施例に係る横移動トラバーサ
方式におけるリニア車両の搬送工程を示す説明図であ
る。

【図１０】本発明の第１の実施例に係る横移動トラバー
サ方式におけるリニア車両の搬送工程を示す説明図であ
る。

【図１１】本発明の第２の実施例に係る横移動トラバー
サ方式における誘導方式（ラックアンドピニオン方式）
を示す斜視図である。

【図１２】本発明の第３の実施例に係る横移動トラバー
サ方式における誘導方式（ロープ牽引方式）を示す斜視
図である。

【図１３】本発明の第４の実施例に係る横移動トラバー
サ方式における誘導方式（ロープ牽引方式）を示す斜視
図である。

【図１４】本発明の第５の実施例に係る横移動トラバー
サ方式における誘導方式（ロープ牽引方式）を示す斜視
図である。

【符号の説明】

２ 横移動台車 ３ 本線 ４ 留置線 ５，２５，３５，４５，５５ リニア車両 １０ 長尺フレーム １１ ベルトコンベア １２ 側壁 １３ 走行台車 １４ レール １５ ラック １６ ピニオン １７ 電動機 ２１ ピニオン ２２ サブフレーム ２４ ラック ３１，４１，５１ エンドレスワイヤーロープ ３９ チャッキング装置 ４９ 係合装置 ５９ クランプ装置

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 緑川 利幸 神奈川県相模原市田名3000番地 エム・エ イチ・アイさがみハイテック株式会社内 (72)発明者 佐川 昇 愛知県名古屋市中村区名駅一丁目１番４号 東海旅客鉄道株式会社内 (72)発明者 片桐 昌利 愛知県名古屋市中村区名駅一丁目１番４号 東海旅客鉄道株式会社内 (72)発明者 田中 雅彦 愛知県名古屋市中村区名駅一丁目１番４号 東海旅客鉄道株式会社内

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 本線上から列車を横移動台車へ誘導した
   後、該横移動台車を横方向へ移動させ、その後、前記列
   車を格納庫に誘導することを特徴とする横移動トラバー
   サ方式。
2. 【請求項２】 前記列車として、リニア車両を用いるこ
   とを特徴とする請求項１記載の横移動トラバーサ方式。
3. 【請求項３】 前記横移動台車は、ベルトコンベアによ
   り前記列車を誘導することを特徴とする請求項１記載の
   横移動トラバーサ方式。
4. 【請求項４】 前記横移動台車は、ロープ牽引方式によ
   り前記列車を誘導することを特徴とする請求項１記載の
   横移動トラバーサ方式。
5. 【請求項５】 前記横移動台車は、ラックアンドピニオ
   ン方式により前記列車を誘導することを特徴とする請求
   項１記載の横移動トラバーサ方式。