JPH08316006A - 正特性サーミスタ及びこれを備えた小型モータ - Google Patents

正特性サーミスタ及びこれを備えた小型モータ

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JPH08316006A
JPH08316006A JP7144088A JP14408895A JPH08316006A JP H08316006 A JPH08316006 A JP H08316006A JP 7144088 A JP7144088 A JP 7144088A JP 14408895 A JP14408895 A JP 14408895A JP H08316006 A JPH08316006 A JP H08316006A
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JP
Japan
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temperature coefficient
positive temperature
coefficient thermistor
motor
ptc
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JP7144088A
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English (en)
Inventor
Masaaki Igawa
正章 井川
Hirotsugu Yamazaki
博嗣 山崎
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Mabuchi Motor Co Ltd
Original Assignee
Mabuchi Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 トリップ時間を簡単に延ばすことができる正
特性サーミスタ及びこれを備えた小型モータを提供す
る。 【構成】 ケーシングの内部に取付けられた固定子と前
記ケーシング内部に回転自在に配設された回転子とを有
する小型モータにおいて、前記回転子の電機子巻線に流
れる電流を制御する正特性サーミスタ40を前記ケーシ
ングに内蔵し、この正特性サーミスタの表面に絶縁体6
6を固着している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は正特性サーミスタ及びこ
れを備えた小型モータに係り、特に、ドアロック機構や
パワーウィンド機構などの自動車用電装機器,小型カメ
ラ等の光学精密機器,VTR等の音響・映像機器,複写
機等のOA機器,電動玩具等に使用される正特性サーミ
スタを備えた小型モータに関する。
【0002】
【従来の技術】小型モータは前記各種機器のほかあらゆ
る分野で広く使用されている。正特性サーミスタ(以
下、PTC(positive temperature coefficient)と記
載)を備えた小型モータは、モータ温度を検知して過電
流を制御することによりモータの過熱を防止している
(実開平2−41663号公報参照)。
【0003】PTCは、抵抗体とこの抵抗体をサンドイ
ッチ状に挟む両電極とが層状に配置されており、ある温
度(キュリー温度:例えば+100℃)を越えると急激
に内部抵抗値が増大する特性を有している。したがっ
て、モータに過負荷が持続的に掛かった場合又はモータ
の回転が強制的にロックされた場合には、過電流が流れ
てモータの内部温度が上昇するとともに、PTCの温度
も上昇し内部抵抗値が急増していわゆるトリップする。
このトリップ現象により、モータに供給される電流が急
速に低下してモータの過熱及び焼損を防止している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】モータを常温で使用す
る場合には過電流によりPTCが適切なトリップ時間で
トリップする場合であっても、高温(例えば+80℃)
で使用する場合には、PTC自体も既に温まっているの
でモータに過電流が流れると迅速にトリップしてトリッ
プ時間が短くなり過ぎる傾向がある。このような早すぎ
るトリップ現象(いわゆる早切れ現象)はすべての用途
において望ましいものであるとは言えない。
【0005】例えば、自動車の窓を開閉するパワーウィ
ンド機構の駆動源にモータが使用されて、PTCにより
モータを保護するように設計されている場合に、モータ
が作動するとPTCも加熱する。PTCが充分に加熱し
てトリップする以前に、窓が完全に開くか又は閉じるこ
とが必要であるがPTCが早切れ現象を起こすと窓が途
中で止まってしまう。したがって、PTCのトリップ時
間が短いことは望ましくない場合がある。トリップ時間
を長くするのに、PTCのサイズを大きくすることによ
り放熱面積を広げてPTCの温度上昇を抑える方法があ
るが、大きなサイズのPTCではモータに内蔵できなく
なる。
【0006】抵抗体の発熱量はI2 R(I:電流値,
R:抵抗値)に比例するので、抵抗値Rを小さくすれば
発熱量が下がってトリップ時間が長くなる。したがっ
て、通常はトリップ時間を長くするのにPTCのサイズ
は変更せずに体積固有抵抗率を下げて小さな抵抗値にす
る方法を採っている。ところが、この方法にも限界があ
って、その限界より抵抗値を下げる必要がある場合に従
来は対応できなかった。
【0007】特表平6−501817号公報には、PT
Cの抵抗体の両面にそれぞれ配置された各電極の表面上
に導電性端末を固定してトリップ時間を長くする技術が
開示されている。しかしながら、このPTCは両面に導
電性端末を固定した特殊な構造になる。また、PTCの
厚みがかなり大きくなるので、モータ部品の改造をしな
いとモータへの装着が困難であり、しかもモータが大型
化するおそれがあった。
【0008】さらに、導電性端末は金属製であり熱伝導
率が大きいので、モータを低温(例えば、−30℃)で
使用する場合に、過電流が流れた際に抵抗体の熱が導電
性端末に容易に伝わって放熱し過ぎるので、トリップ時
間が長くなり過ぎてモータを焼損させるおそれがあっ
た。即ち、前記高温の状態でのトリップ時間を長くする
と、前記低温の状態ではPTCがなかなかトリップしな
くなる。トリップ時間が例えば5分以上になると、低温
時におけるPTCによるモータの保護ができずモータが
焼損する可能性がある。
【0009】本発明は、斯かる課題を解決するためにな
されたもので、トリップ時間を簡単に延ばすことができ
る正特性サーミスタ及びこれを備えた小型モータを提供
することを目的とする。また、本発明の他の目的は、高
温・低温いずれの場合もPTCが適切なトリップ時間で
作動してモータを保護することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
め、本発明に係る正特性サーミスタは、流れる電流を制
御する正特性サーミスタにおいて、表面に絶縁体を固着
したものである。また、本発明に係る正特性サーミスタ
を備えた小型モータは、ケーシングの内部に取付けられ
た固定子と、前記ケーシング内部に回転自在に配設され
た回転子とを有するモータにおいて、前記回転子の電機
子巻線に流れる電流を制御する正特性サーミスタを前記
ケーシングに内蔵し、この正特性サーミスタの表面に絶
縁体を固着したものである。
【0011】具体的な態様としては、電流供給用の外部
端子に係脱可能に係合する端子接続部を有する小型モー
タにおいて、内部に固定子が取付けられたハウジング
と、このハウジングに嵌合し、前記端子接続部が設けら
れた絶縁性の蓋部材と、この蓋部材及び前記ハウジング
により囲まれたモータ内部に回転自在に配設された回転
子と、前記蓋部材の内部に設けられ、前記端子接続部に
挿着された前記外部端子によって押圧されることにより
弾性変形する可撓性の導体からなる内部端子と、前記蓋
部材に設けられ、ブラシが取付けられたブラシアームに
接続されたブラシベースと、一方の前記内部端子の弾性
力によりこの一方の内部端子と前記ブラシベースとの間
に保持されて電気的に直列に接続され、前記回転子の電
機子巻線に流れる電流を制御する正特性サーミスタとを
備え、この正特性サーミスタの表面に絶縁体を固着する
ことが好ましい。
【0012】前記絶縁体は、アクリル系接着剤,ゴム系
接着剤,シリコン系接着剤,合成樹脂系接着剤,アクリ
ル樹脂及びゴム材からなる群の中の一つ以上の物質から
なることが好ましいが、低熱伝導率を有するその他の絶
縁性物質からなるものでもよい。前記アクリル系接着剤
は、ブタジエンアクリレートモノマーを主成分としてス
チレンモノマーを配合し、重合反応させた水溶性接着剤
であることが好ましい。また、前記絶縁体を構成する材
料の熱伝導率は、0.12乃至1.40〔W/(m・
K)〕の範囲であることが好ましい。
【0013】なお、その他の好ましい態様を以下に記載
する。前記ハウジングは、軟鋼を素材とした冷間圧延鋼
板のような導体によって有底中空筒状に形成されてい
る。前記蓋部材は前記ハウジングの開口部に嵌合し、樹
脂材料やその他の絶縁材料によって形成されている。前
記ハウジングと前記蓋部材とを有するケーシングには、
例えば、平行面を形成する一対のフラット部が形成され
ている。
【0014】前記固定子は、前記ハウジングの円筒状の
内周面に固着されており、ハードフェライトのような磁
性材料によってアークセグメント状に形成された一対の
永久磁石からなっている。前記小型モータは直流モータ
であり、他方の前記内部端子の中央部は前記ブラシベー
スの平板状部に圧接して電気的に接続されている。
【0015】前記正特性サーミスタの裏面部は、前記蓋
部材の蓋本体に形成された窪み部の内部に、接触又は非
接触の状態で納まっている。前記正特性サーミスタは厚
み寸法が大きく、前記一方の内部端子は他方の内部端子
とは別の形状を有しており、弾性変形量を前記他方の内
部端子とほぼ同じにして、左右の前記外部端子に圧接す
る前記各内部端子の湾曲部の押圧力を略均等にしてい
る。
【0016】前記蓋部材には、前記外部端子を挿入する
ための貫通孔が穿設されており、前記蓋部材の内部に
は、前記外部端子が前記貫通孔に挿入されるときに摺接
して前記外部端子を案内保持する絶縁性の案内部材が形
成されている。この案内部材は、前記蓋部材の裏面壁部
と前記蓋部材の内周壁部とに一体的に且つ左右に一対取
付けられるとともに前方(前記ハウジングの方向)に向
けて突出形成されている。前記内部端子の湾曲部と前記
案内部材との間にはスリット部が形成される。このスリ
ット部に前記外部端子が挿着されると、この外部端子と
前記湾曲部とが接触して電気的に接続される。前記蓋部
材に一体的に形成された絶縁性の保持部は、前記湾曲部
を保持しており、前記内部端子の下端部は、前記蓋部材
に一体的に形成された絶縁性の支持台により支持されて
いる。
【0017】前記蓋部材は略左右対称形であり、前記内
部端子は前記蓋部材の内部の左右に設けられており、例
えば、リン青銅,ベリリウム銅,真鍮及び洋白のいずれ
かの材質からなっている。前記蓋部材は、両側面が円形
状で上部表面及び下部表面がそれぞれ平面状の蓋本体を
備えている。この蓋本体にはハウジング嵌合部が前方に
向けて一体的に突出形成されている。前記ハウジング嵌
合部の外形寸法及び形状は、前記ハウジングの内径寸法
及び形状に対応して形成されている。
【0018】前記ハウジング嵌合部の両側の側部突出部
の外周面は円形状に、下部突出部の外表面は平面状に、
上部突出部の外表面も平面状に、それぞれ形成されてい
る。前記側部突出部の内面は平面状に形成されており、
この内面に前記ブラシベースの平板状部が当接してお
り、前記蓋本体の裏面壁部には、前記内面に連続する縦
長で矩形状の前記窪み部が形成されている。
【0019】
【作用】本発明に係る小型モータにおいては、モータに
過電流が流れると、モータの内部温度が上昇するととも
にPTCの温度も上昇し、PTCの内部抵抗値が増加し
てPTCが熱を発生する。この熱は、PTCの表面に固
着された絶縁体に伝わって吸収されるので、PTCの昇
温速度が低下して抵抗体の内部抵抗値はゆっくりと増加
する。したがって、急激に内部抵抗値が増加するキュリ
ー温度に達する時間即ちトリップ時間が延びて、PTC
の作動時間が遅くなる。
【0020】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図1乃至図7を参
照して説明する。
【0021】(第1実施例)図1乃至図5は本発明の第
1実施例を示す図である。まず最初に、図1乃至図3に
より小型モータの全体の構成を説明する。図1はモータ
の外観図、図2及び図3はそれぞれモータの側面断面図
及び片側断面正面図である。図示するように、小型モー
タとしての小型直流モータ1は、ケーシング3の内部に
取付けられた固定子2と、ケーシング3の内部に配設さ
れた回転子4とを備えている。回転子4の回転軸5は、
ケーシング3に設けられた軸受装置6,7により回転自
在に支持されている。
【0022】ケーシング3は、導電性のハウジング8と
絶縁性の蓋部材10とを備えている。ハウジング8は、
例えば軟鋼を素材とした冷間圧延鋼板のような導体によ
って有底中空筒状に形成されている。蓋部材10は、ハ
ウジング8の開口部9に嵌合し、例えば樹脂材料又はそ
の他の絶縁材料によって形成されている。ケーシング3
には、平行面を形成する一対のフラット部14が形成さ
れている。なお、ケーシングは、前記フラット部14が
形成されていない断面円形の場合であってもよい。
【0023】蓋部材10には、外部直流電源(図示せ
ず)から外部端子12(図4)を介して電流が供給され
る一対の端子接続部11が設けられている。前記電源に
接続された電流供給用の外部端子12は、端子接続部1
1に挿脱可能に挿着される。なお、外部端子12はモー
タ1の構成部品ではなく、モータ1が取付けられる例え
ばアクチュエータ(図示せず)側の部品である。
【0024】固定子2は、ハウジング8の円筒状の内周
面15に固着されており、例えばハードフェライトのよ
うな磁性材料によってアークセグメント状に形成された
一対の永久磁石からなっている。回転子4は、蓋部材1
0及びハウジング8により囲まれたモータ内部13に回
転自在に配設されている。回転子4は、回転中心となる
中心軸の方向に延びる回転軸5と、回転軸5にそれぞれ
取付けられたコア17及び整流子18とを備えている。
コア17には電機子巻線16がコイル状に巻回されてお
り、コア17は、固定子2に対して所定のギャップを介
してその内方に配置されている。整流子18は電機子巻
線16に電気的に接続されている。
【0025】図4は図1に示す蓋部材10を含む内部構
造図であり、全体構造は図示するように略左右対称形に
なっている。なお、説明の便宜上、「上,下,左,右」
等の文言は図4における位置及び方向を例にとってい
る。図5は図4の底面図であり一部を断面で示してい
る。
【0026】図4に示すように、蓋部材10の略中央部
にはカーボン等の導体の材料により形成された複数組
(例えば二組)のブラシ19が、整流子18(図3)に
摺接して電流を流すように設けられている。ブラシ19
は、例えば、リン青銅,ベリリウム銅,真鍮又は洋白な
どの導体からなる複数組(例えば二組)のブラシアーム
20の自由端にそれぞれ取付けられており、ブラシアー
ム20は蓋部材10の内部に取付けられている。ブラシ
アーム20の他端に電気的に接続された一対のブラシベ
ース21が蓋部材10の内部に取付けられており、ブラ
シベース21は平板状部22を有している。
【0027】端子接続部11には、外部端子12を挿入
するための貫通孔23が穿設されている。蓋部材10の
内部には、外部端子12が貫通孔23に挿入される時に
摺接して外部端子12を案内保持する絶縁性の案内部材
24が形成されている。案内部材24は、蓋部材10の
裏面壁部25と内周壁部26とに一体的に取付けられて
いる。案内部材24は左右に一対設けられており、前方
(ハウジング8の方向)に向けて突出形成されている。
【0028】蓋部材10の内部には、端子接続部11に
含まれる内部端子30,31が左右に設けられており、
内部端子30,31は、例えば、リン青銅,ベリリウム
銅,真鍮又は洋白等の可撓性の導体からなっている。左
右の内部端子30,31の上端部には、S字状及び逆S
字状の湾曲部32がそれぞれ形成されている。湾曲部3
2は、蓋部材10に一体的に形成された絶縁性の保持部
33により保持されている。湾曲部32と案内部材24
との間にはスリット部37が形成されている。内部端子
30,31の下端部34,35は、蓋部材10に一体的
に形成された絶縁性の支持台36により支持されてい
る。
【0029】外部端子12が矢印B方向に挿着されて貫
通孔23を通ってスリット部37に侵入すると、外部端
子12と湾曲部32とが接触する。そして、各内部端子
30,31は、外部端子12に押圧されることにより撓
んで弾性変形し、左の外部端子12と左の内部端子3
0,右の外部端子12と右の内部端子31がそれぞれ電
気的に接続される。
【0030】蓋部材10には、回転子4の電機子巻線1
6に流れる電流を制御する正特性サーミスタ(PTC)
40が内蔵されている。PTCは「正温度係数サーミス
タ」とも呼ばれているもので、温度上昇で抵抗値が大き
くなる性質を有している。本実施例のPTCには、カー
ボンブラックなどの導電性フィラー充填の導電性プラス
チックを用いているが、その他のPTCとしては、チタ
ン酸バリウム(BaTiO3 )に微量の希土類元素等を
添加して半導体化したものがある。
【0031】PTC40は、一方の(図中右の)内部端
子31とブラシベース21との間に装着されている。こ
の内部端子31の弾性力によりPTC40の両電極6
4,65を内部端子31及びブラシベース21にそれぞ
れ圧接させることによりPTC40は保持されて電気的
に直列に接続される。PTC40の裏面部67は、蓋部
材10の蓋本体41に形成された窪み部42の内部に、
接触又は非接触の状態で納まっている。
【0032】PTC40は厚み寸法が大きいので、他方
(図中左側)の内部端子30と比べて一方の内部端子3
1を大きく弾性変形させる必要がある。したがって、こ
の一方の内部端子31は他方の内部端子30に対して別
の形状を有するものを用い、弾性変形量を他方の内部端
子30とほぼ同じにして、左右の外部端子12に圧接す
る内部端子30,31の各湾曲部32の押圧力を左右略
均等にするのが好ましい。なお、両内部端子を左右対称
の形状にしてもよい。
【0033】蓋部材10は、両側面50が円形状で上部
表面51及び下部表面52がそれぞれ平面状の蓋本体4
1を備えている。蓋本体41にはハウジング嵌合部54
が前方に向けて一体的に突出形成されている。ハウジン
グ嵌合部54の外側寸法及び形状は、ハウジング8の内
側寸法及び形状に対応して形成されている。ハウジング
嵌合部54の両側の側部突出部55の外周面56は円形
状に、下部突出部57の外表面58は平面状に、上部突
出部59の外表面60も平面状に、それぞれ形成されて
いる。
【0034】側部突出部55の内面61は平面状に形成
されており、この内面61にブラシベース21の平板状
部22が当接している。蓋本体41の裏面壁部25に
は、内面61に連続する縦長で矩形状の窪み部42が形
成されている。保持部33は、裏面壁部25の中央上部
に前方に向けて一体的に突出形成されている。案内部材
24と保持部33との近傍には、内部端子30,31を
支持する梁状のボス62が裏面壁部25から前方に向け
て一体的に突出形成されており、ボス62は蓋本体41
と同じ絶縁材料からなっている。ボス62は案内部材2
4と保持部33との間で且つ下方に位置しており、左右
一対設けられている。
【0035】図4及び図5に示すように、PTC40
は、薄板状で矩形の抵抗体63と、抵抗体63の両面に
それぞれに固着されて抵抗体63をサンドイッチ状に挟
む電極64,65とを有して層状をなしている。PTC
40の表面71,72には絶縁体66が固着されてお
り、絶縁体66が塊状をなしてPTC40の前方側の表
面を覆って塗布されている。絶縁体66に弾性接着剤を
使用すれば、スペースの狭いモータ内で万一他の部品に
接触しても、接着剤が弾性変形するので固着作業が容易
である。
【0036】絶縁体66は、例えば、アクリル系接着
剤,ゴム系接着剤,シリコン系接着剤,合成樹脂系接着
剤,アクリル樹脂及びゴム材のいずれかの物質又は二以
上の物質からなっており、熱伝導率の低い物質が好まし
い。好ましい絶縁体66の材料及びその熱伝導率を表1
に示す。これら材料の熱伝導率としては、0.12乃至
1.40〔W/(m・K)〕の範囲であるのが好まし
い。
【0037】
【表1】
【0038】本実施例の絶縁体66にはゲル状のアクリ
ル系接着剤が使用されている。このアクリル系接着剤と
しては、例えばブタジエンアクリレートモノマーを主成
分としてスチレンモノマーを配合し、重合反応させた水
溶性接着剤(以下、水溶性接着剤と記載)である。この
水溶性接着剤は、粘着力が強力で熱伝導率も低く弾性変
形可能であるので好ましい。絶縁体66のその他の物質
としては、アクリロニトリルブタジエンゴムを用いても
よい。
【0039】また、仮にPTC40に固着された絶縁体
66がブラシベース21と内部端子31の両方に付着し
ても、内部端子31とブラシベース21が短絡すること
はないので、絶縁体66の固着作業は容易である。な
お、絶縁体66をPTC40に塗布した後、このPTC
40を内部端子31とブラシベース21との間に挿着し
てもよいが、塗布前の状態のPTC40を挿着して蓋部
材10を組立てたのち絶縁体66を塗布してもよい。
【0040】次に、動作について説明する。かかる構成
のモータ1をアクチュエータ等に組み込むと、矢印Bの
ように外部端子12が端子接続部11内に挿入される。
外部端子12は案内部材24と湾曲部32との間のスリ
ット部37に侵入して、内部端子30,31にそれぞれ
電気的に接続される。これにより、左の外部端子12,
左の内部端子30,ブラシベース21,ブラシアーム2
0及びブラシ19が接続され、また、右の外部端子1
2,右の内部端子31,PTC40,ブラシベース2
1,ブラシアーム20及びブラシ19が接続された回路
が構成される。
【0041】そして、外部直流電源に接続された外部端
子12から前記回路及び整流子18を介して電機子巻線
16に電流を流す。すると、一対の永久磁石からなる固
定子2によって形成されている磁界中に存在する回転子
4に回転力が付与されて回転子4は回転運動をする。こ
れによりモータ1は、回転する回転軸5の出力部を介し
てドアロック機構(図示せず)のアクチュエータ等を駆
動する。
【0042】モータ運転中に、モータ1に過負荷が持続
的にかかったり又はモータ回転が強制的にロックされた
りしてモータに過電流が流れると、モータの内部温度が
上昇する。PTC40は自己の有する内部抵抗によりI
2 Rに比例する熱を発生して昇温する。PTC40は過
電流に対して発熱し、温度がキュリー温度(例えば+1
00℃)に達するとトリップするが、このPTC40に
絶縁体66が固着されているので、PTC40で発生し
た熱は絶縁体66に伝わって吸収される。これにより、
PTC40の昇温速度は抑えられてPTC自体の温度は
ゆっくりと上昇することとなり、キュリー温度に達する
までの時間が遅くなりトリップ動作が遅れて早切れ現象
を防止している。やがて、キュリー温度にまで昇温して
PTC40の内部抵抗値が急増してトリップすると、モ
ータ1に供給される電流が急速に低下してモータ1の過
熱及び焼損を防止している。
【0043】次に、本発明者の行なった実験データを表
2乃至表6に示す。表2乃至表4は、PTC40のみの
従来のPTC単品のトリップ時間と、前記水溶性接着剤
からなる絶縁体66を固着した本発明におけるPTC単
品のトリップ時間とを比較したデータである。具体的に
は、実験用モータNo.1乃至No.3に挿着する前の
PTC単品の電極64,65(図5)に電流供給用端子
を当て、2アンペア〔A〕の定電流を流してトリップ時
間を測定した。
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
【0047】表2,表3,表4は、PTCの周囲温度が
それぞれ+80℃,+25℃,−30℃の場合を示して
いる。各データから分かるように、絶縁体66をPTC
40に固着すれば、トリップ時間が従来より大幅に延び
る。なお、符号xavは平均トリップ時間を示している。
【0048】表5,表6は、三台の小型モータ(No.
1乃至No.3)にそれぞれPTC40のみを挿着した
従来の場合と、PTC40に前記水溶性接着剤からなる
絶縁体66を固着した本発明の場合についての、モータ
の各トリップ時間のデータを示している。表5は、モー
タ1の周囲の温度が高温(+80℃)の場合のトリップ
時間のデータ(単位は秒)であり、実験条件を下記に示
す。
【0049】・試料(モータ番号):No.1乃至N
o.3 ・絶縁体66:水溶性接着剤 ・電圧:12.0ボルト〔V〕 ・xav:平均トリップ時間〔秒〕 ・モータ周囲温度:+80℃
【0050】
【表5】
【0051】次に、モータ1の周囲温度が低温(−30
℃)の場合のモータのトリップ時間のデータ(単位は
分:秒)を表6に示す。 ・xav:平均トリップ時間〔分:秒〕 ・モータ周囲温度:−30℃ 他の条件は表5と同じ。
【0052】
【表6】
【0053】表5から分かるように、高温(+80℃)
の場合には、PTC40に前記水溶性接着剤を固着する
ことにより、平均トリップ時間xavが従来の7.03秒
(100%とする)から11.8秒(168%)に延び
ている。即ち、トリップ時間の割合が68%延びたこと
になる。したがって、PTCの抵抗体の体積固有抵抗率
を下げなくても、またPTCのサイズを大きくしなくて
も、トリップ時間を延ばすことができる。これにより、
PTCの早切れ現象を防止することができる。この現象
は高温中で特に頻繁に発生するので、この不具合を防止
できるのは実用上極めて有益である。
【0054】ところで、低温(例えば−30℃)の場合
には一般的に早切れ現象は生じ難い。表6に示すよう
に、PTCのみの場合の平均トリップ時間xav(3分2
0秒)に比べて、絶縁体66をPTC40に固着すれ
ば、平均トリップ時間xavが4分19秒となり、トリッ
プ時間の割合が約30%ほど延びている。低温の場合に
は、モータの内部温度の上昇が遅いのでPTC40の昇
温速度も遅く、もともとトリップ時間が長くなっている
が、本実験によれば絶縁体66を固着した場合でもモー
タが焼き付く前にPTCがトリップしてモータを保護す
ることが確認された。
【0055】このように、本発明によれば、PTCのト
リップ時間を簡単に延ばすことができる。また、低温に
おいてもモータの焼損前にPTCがトリップしてモータ
を保護することが確認されている。したがって、高温・
低温のいずれの場合もPTCが適切なトリップ時間で作
動してモータを保護する。
【0056】(第2実施例)図6は本発明の第2実施例
に係る蓋部材を含む内部構造図、図7は図6の底面図で
あり一部を断面で示している。図示するように、PTC
40の一方の表面71に絶縁体としてのゴム片70を固
着している。ゴム片70は、ゴム系接着剤又はゴム材か
らなっており、PTC40の前方縁部73に沿って長い
断面矩形のブロック状をなし、PTC40の一方の表面
71に固定されている。ゴム片70の長手方向の寸法は
PTC40の長さ寸法と略同一になっている。なお、ス
ペースの余裕があれば、PTC40の他方の表面72に
もゴム片を固着することが好ましい。また、他の構成に
ついては第1実施例と同様であり、同様の作用効果を奏
する。本第2実施例によれば、ゴム片70を接着剤等に
より表面71にワンタッチで取付けることができるの
で、取付け作業が容易である。
【0057】本発明によれば、更に以下のような作用効
果を奏する。 ・前述の特表平6−501817号公報に示す技術で
は、導電性端末を有する特殊な構造のPTCを製造する
必要があり、厚みが大きいこのPTCを挟持するために
モータ部品の改造も必要であった。これに対して、本発
明によれば、PTC40に絶縁体66又はゴム片70を
固着するのみでよいので、トリップ時間の延長の対策が
極めて簡単にできる。 ・PTC40自体の厚みは従来と同様であるので、内部
端子31,ブラシベース21及び蓋本体41等モータ部
品を改造する必要がなく、モータも大型化しない。 ・一種類の抵抗値のPTC40を、絶縁体なしのものと
絶縁体固着のものとに使い分ければ、異なったトリップ
時間を得られるので、二種類のPTCを使うのと同様の
効果が得られる。 ・従来はPTCの抵抗値を一ランク下げてトリップ時間
を高温中(+80℃)において例えば50%長くする
と、低温中(−30℃)におけるトリップ時間が例えば
70乃至100%位長くなり、モータを焼損させるおそ
れがあった。これに対して、絶縁体を用いた本発明によ
れば、前記低温中におけるトリップ時間を例えば30%
程度の延長に抑えることが可能であり、モータの焼損を
防止できる。 ・絶縁体66又はゴム片70を用いたので、組立途中や
モータの運転中に絶縁体等の小さなかけらがモータ内に
飛散しても短絡しない。 ・絶縁体は、金属及び合金と比べて比重が軽いので、モ
ータを軽量化することができる。 ・絶縁体66,ゴム片70の質量を増減させたり材質を
変えることにより、PTC40からの熱伝導の特性を変
えることができ、トリップ時間を容易に変更することが
できる。
【0058】ところで、前記各実施例は小型直流モータ
の場合について説明したが、本発明は交流モータやその
他のタイプの小型モータにも適用することができる。ま
た、表面71,72に絶縁体66,70が固着され且つ
流れる電流を制御するPTC40を小型モータ以外の機
器に使用してもよく、トリップ時間を簡単に延ばすこと
ができる。なお、各図中同一符号は同一又は相当部分を
示す。
【0059】
【発明の効果】本発明は上述のように構成したので、正
特性サーミスタのトリップ時間を簡単に延ばすことがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1乃至図5は本発明の第1実施例を示す図で
あり、図1はモータの外観図である。
【図2】図1のモータの側面断面図である。
【図3】図1のモータの片側断面正面図である。
【図4】図1に示す蓋部材を含む内部構造図である。
【図5】図4の底面図であり一部を断面で示している。
【図6】本発明の第2実施例に係る蓋部材を含む内部構
造図である。
【図7】図6の底面図であり一部を断面で示している。
【符号の説明】
1 小型直流モータ(小型モータ) 2 固定子 3 ケーシング 4 回転子 8 ハウジング 10 蓋部材 11 端子接続部 12 外部端子 13 モータ内部 16 電機子巻線 19 ブラシ 20 ブラシアーム 21 ブラシベース 30,31 内部端子 40 正特性サーミスタ 66 絶縁体 70 ゴム片(絶縁体) 71,72 正特性サーミスタの表面

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 流れる電流を制御する正特性サーミスタ
    において、表面(71,72)に絶縁体(66,70)
    を固着したことを特徴とする正特性サーミスタ。
  2. 【請求項2】 ケーシングの内部に取付けられた固定子
    と、前記ケーシング内部に回転自在に配設された回転子
    とを有する小型モータにおいて、 前記回転子(4)の電機子巻線(16)に流れる電流を
    制御する正特性サーミスタ(40)を前記ケーシング
    (3)に内蔵し、この正特性サーミスタの表面(71,
    72)に絶縁体(66,70)を固着したことを特徴と
    する正特性サーミスタを備えた小型モータ。
  3. 【請求項3】 電流供給用の外部端子に係脱可能に係合
    する端子接続部を有する小型モータにおいて、 内部に固定子(2)が取付けられたハウジング(8)
    と、 このハウジングに嵌合し、前記端子接続部(11)が設
    けられた絶縁性の蓋部材(10)と、 この蓋部材及び前記ハウジングにより囲まれたモータ内
    部(13)に回転自在に配設された回転子(4)と、 前記蓋部材の内部に設けられ、前記端子接続部に挿着さ
    れた前記外部端子(12)によって押圧されることによ
    り弾性変形する可撓性の導体からなる内部端子(30,
    31)と、 前記蓋部材に設けられ、ブラシ(19)が取付けられた
    ブラシアーム(20)に接続されたブラシベース(2
    1)と、 一方の前記内部端子(31)の弾性力によりこの一方の
    内部端子と前記ブラシベースとの間に保持されて電気的
    に直列に接続され、前記回転子(4)の電機子巻線(1
    6)に流れる電流を制御する正特性サーミスタ(40)
    とを備え、 この正特性サーミスタの表面(71,72)に絶縁体
    (66,70)を固着したことを特徴とする正特性サー
    ミスタを備えた小型モータ。
  4. 【請求項4】 前記絶縁体は、アクリル系接着剤,ゴム
    系接着剤,シリコン系接着剤,合成樹脂系接着剤,アク
    リル樹脂及びゴム材からなる群の中の一つ以上の物質か
    らなることを特徴とする請求項2又は3に記載の正特性
    サーミスタを備えた小型モータ。
  5. 【請求項5】 前記アクリル系接着剤は、ブタジエンア
    クリレートモノマーを主成分としてスチレンモノマーを
    配合し、重合反応させた水溶性接着剤であることを特徴
    とする請求項4に記載の正特性サーミスタを備えた小型
    モータ。
  6. 【請求項6】 0.12乃至1.40〔W/(m・
    K)〕の範囲の熱伝導率を有する材料により前記絶縁体
    (66,70)を構成したことを特徴とする請求項2,
    3又は4に記載の正特性サーミスタを備えた小型モー
    タ。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013038954A (ja) * 2011-08-09 2013-02-21 Murata Mfg Co Ltd モータ起動用回路
JP2013070591A (ja) * 2011-09-06 2013-04-18 Mitsuba Corp 電動モータ
JP2019187236A (ja) * 2018-04-17 2019-10-24 マブチモーター株式会社 モータの給電部構造
JP2020072522A (ja) * 2018-10-30 2020-05-07 ミネベアミツミ株式会社 モータ

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