JPH0831549A - 沿面コロナ放電素子 - Google Patents
沿面コロナ放電素子Info
- Publication number
- JPH0831549A JPH0831549A JP18885994A JP18885994A JPH0831549A JP H0831549 A JPH0831549 A JP H0831549A JP 18885994 A JP18885994 A JP 18885994A JP 18885994 A JP18885994 A JP 18885994A JP H0831549 A JPH0831549 A JP H0831549A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- corona discharge
- discharge element
- creeping corona
- electrode
- glass
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Elimination Of Static Electricity (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 窒素酸化物の生成量が少なく且つ機械的強度
の高い沿面コロナ放電素子を提供する。 【構成】 ムライトセラミックで形成された板状の基板
1の表面に線状放電電極4を設け、その基板1の内部に
面状誘導電極3を埋設して、該線状放電電極4と該面状
誘導電極3とを該基板1を介して対向せしめる。このム
ライトセラミックの成分は、ムライトを主成分とし且つ
10〜40重量%のAl2 O3 −SiO2 −MgO系ガ
ラスを含む絶縁体から成る。
の高い沿面コロナ放電素子を提供する。 【構成】 ムライトセラミックで形成された板状の基板
1の表面に線状放電電極4を設け、その基板1の内部に
面状誘導電極3を埋設して、該線状放電電極4と該面状
誘導電極3とを該基板1を介して対向せしめる。このム
ライトセラミックの成分は、ムライトを主成分とし且つ
10〜40重量%のAl2 O3 −SiO2 −MgO系ガ
ラスを含む絶縁体から成る。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はオゾン発生装置、イオン
発生装置、帯電器、除電器、除臭器等に用いられる沿面
コロナ放電素子に関する。
発生装置、帯電器、除電器、除臭器等に用いられる沿面
コロナ放電素子に関する。
【0002】
【従来の技術】放電素子としては、2枚の電極間に空間
ギャップと誘電体とを介して電圧を印加し、空間ギャッ
プ内に無声放電を発生させるもの(以下無声放電素子と
称する)が広く知られている。また、他の放電素子とし
て、特開昭59−44782号公報、特開昭59−44
797号公報に、誘電体で形成された板状の基板の表面
に線状放電電極を設け、その基板の内部に面状誘導電極
を埋設して、線状放電電極と面状誘導電極とを誘電体層
を介して対向せしめた沿面コロナ放電素子が提案されて
いる。この沿面コロナ放電素子は、誘電体基板をアルミ
ナ磁器で形成し、両電極はタングステン粉末を用いてメ
タライズ技術により形成していた。アルミナ磁器の比誘
電率は9〜10であり、高誘電率の誘電体であった。
ギャップと誘電体とを介して電圧を印加し、空間ギャッ
プ内に無声放電を発生させるもの(以下無声放電素子と
称する)が広く知られている。また、他の放電素子とし
て、特開昭59−44782号公報、特開昭59−44
797号公報に、誘電体で形成された板状の基板の表面
に線状放電電極を設け、その基板の内部に面状誘導電極
を埋設して、線状放電電極と面状誘導電極とを誘電体層
を介して対向せしめた沿面コロナ放電素子が提案されて
いる。この沿面コロナ放電素子は、誘電体基板をアルミ
ナ磁器で形成し、両電極はタングステン粉末を用いてメ
タライズ技術により形成していた。アルミナ磁器の比誘
電率は9〜10であり、高誘電率の誘電体であった。
【0003】このように、高誘電率の誘電体を用いてい
たのは、平行平板電極を用いた無声放電装置では、電極
を被覆する誘電体の誘電率が高い方が電極間のエアギャ
プの電界が強くなり、無声放電が活発になると認識され
ていたからである。このため、電極を誘電率の低い誘電
体で被覆すると、オゾン発生量が減ると考えられてい
た。
たのは、平行平板電極を用いた無声放電装置では、電極
を被覆する誘電体の誘電率が高い方が電極間のエアギャ
プの電界が強くなり、無声放電が活発になると認識され
ていたからである。このため、電極を誘電率の低い誘電
体で被覆すると、オゾン発生量が減ると考えられてい
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の無声放電素
子及び沿面コロナ放電素子は、オゾンを発生する際に、
オゾン量に対して10〜15%の窒素酸化物NOxを生
成するという問題点があった。特に沿面コロナ放電素子
では、無声放電素子よりも窒素酸化物NOxが発生し易
い傾向があった。これは、沿面コロナ放電素子では、コ
ロナ放電発生時に部分的に電流密度が高くなり、温度が
上昇するためと考えられる。このため、無声放電素子或
いは沿面コロナ放電素子で多量のオゾンを発生させる場
合は、人体に悪影響を及ぼす窒素酸化物を除去するため
に窒素酸化物除去用の触媒を使用する等の対策が必要に
なった。
子及び沿面コロナ放電素子は、オゾンを発生する際に、
オゾン量に対して10〜15%の窒素酸化物NOxを生
成するという問題点があった。特に沿面コロナ放電素子
では、無声放電素子よりも窒素酸化物NOxが発生し易
い傾向があった。これは、沿面コロナ放電素子では、コ
ロナ放電発生時に部分的に電流密度が高くなり、温度が
上昇するためと考えられる。このため、無声放電素子或
いは沿面コロナ放電素子で多量のオゾンを発生させる場
合は、人体に悪影響を及ぼす窒素酸化物を除去するため
に窒素酸化物除去用の触媒を使用する等の対策が必要に
なった。
【0005】この問題を解決するために、本発明者は、
特開平4年282587号で誘電体に低誘電率の材料を
用いることによって窒素酸化物の発生を減少せさる技術
を提案した。この技術では、低誘電率の誘電体として、
二酸化ケイ素SiO2 を57〜63重量%、酸化アルミ
ニウムAl2 O3 を20〜28重量%、酸化マグネシウ
ムMgOを10〜18重量%、酸化亜鉛ZnOを2〜6
重量%からなる組成物に、酸化ホウ素B2 O3 及び/又
は五酸化リンP2 O5 を0.1〜6重量%添加して成る
所謂ガラスセラミックを用いた。このようにガラスセラ
ミックを用いるため、機械的強度が弱く、取扱い中にお
いて沿面コロナ放電素子に破損が生ずるという事態が発
生した。
特開平4年282587号で誘電体に低誘電率の材料を
用いることによって窒素酸化物の発生を減少せさる技術
を提案した。この技術では、低誘電率の誘電体として、
二酸化ケイ素SiO2 を57〜63重量%、酸化アルミ
ニウムAl2 O3 を20〜28重量%、酸化マグネシウ
ムMgOを10〜18重量%、酸化亜鉛ZnOを2〜6
重量%からなる組成物に、酸化ホウ素B2 O3 及び/又
は五酸化リンP2 O5 を0.1〜6重量%添加して成る
所謂ガラスセラミックを用いた。このようにガラスセラ
ミックを用いるため、機械的強度が弱く、取扱い中にお
いて沿面コロナ放電素子に破損が生ずるという事態が発
生した。
【0006】本発明は上記の問題点を解決するためなさ
れたものであり、その目的とするところは、窒素酸化物
の生成量が少なく且つ機械的強度の高い沿面コロナ放電
素子を提供することにある。
れたものであり、その目的とするところは、窒素酸化物
の生成量が少なく且つ機械的強度の高い沿面コロナ放電
素子を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明では、誘電体で形成された板状の基板の表面
に線状放電電極を設け、その基板の内部に面状誘導電極
を埋設して、前記線状放電電極と前記面状誘導電極とを
誘電体層を介して対向せしめた沿面コロナ放電素子にお
いて、前記誘電体にムライトセラミックを用いた沿面コ
ロナ放電素子が提供される。また、その沿面コロナ放電
素子は、耐久性向上のため線状放電電極を前記誘電体層
と同じムライトセラミックでコーティングすることが好
ましい。さらに、ムライトセラミックの成分が、ムライ
トを主成分とし且つ10〜40重量%のAl2 O3 −S
iO2 −MgO系ガラスを含む絶縁体を備え、該Al2
O3 −SiO2 −MgO系ガラスの組成が、3成分組成
図の下記の点A,B,C及びDによって囲まれる境界線
上を含む範囲内に属することが望ましい。
め、本発明では、誘電体で形成された板状の基板の表面
に線状放電電極を設け、その基板の内部に面状誘導電極
を埋設して、前記線状放電電極と前記面状誘導電極とを
誘電体層を介して対向せしめた沿面コロナ放電素子にお
いて、前記誘電体にムライトセラミックを用いた沿面コ
ロナ放電素子が提供される。また、その沿面コロナ放電
素子は、耐久性向上のため線状放電電極を前記誘電体層
と同じムライトセラミックでコーティングすることが好
ましい。さらに、ムライトセラミックの成分が、ムライ
トを主成分とし且つ10〜40重量%のAl2 O3 −S
iO2 −MgO系ガラスを含む絶縁体を備え、該Al2
O3 −SiO2 −MgO系ガラスの組成が、3成分組成
図の下記の点A,B,C及びDによって囲まれる境界線
上を含む範囲内に属することが望ましい。
【0008】
【作用】上記のように構成された沿面コロナ放電素子で
は、実験によれば、オゾンの発生量に比べて、窒素酸化
物の生成量が少なくなる。そのメカニズムは必ずしも明
確にはできなかったが、線状放電電極による沿面コロナ
放電発生時の電界は平等電界とは異なるためではないか
と考えられる。また、当業者の常識に反して、比誘電率
の低いムライトセラミックを用いても、オゾン発生量
は、比誘電率の高いアルミナセラミックを用いるもとの
変わらないことが確認された。
は、実験によれば、オゾンの発生量に比べて、窒素酸化
物の生成量が少なくなる。そのメカニズムは必ずしも明
確にはできなかったが、線状放電電極による沿面コロナ
放電発生時の電界は平等電界とは異なるためではないか
と考えられる。また、当業者の常識に反して、比誘電率
の低いムライトセラミックを用いても、オゾン発生量
は、比誘電率の高いアルミナセラミックを用いるもとの
変わらないことが確認された。
【0009】
【実施例】本発明の実施例について図面を参照し説明す
る。図1は沿面コロナ放電素子を示す斜視図であり、一
部を破断して示している。ムライトで形成された平板状
の基板1、2の上面にタングステンで形成された線状放
電電極4が設けられ、その基板1、2の内部にタングス
テンで形成された面状誘導電極3が埋設されている。線
状放電電極4と面状誘導電極3とは誘電体層1を介して
対向することになる。線状放電電極4の上面には薄い
(好ましくは10〜40μm)ムライトからなる放電電
極コーティング材6が被覆され、該線状放電電極4の放
電時の磨耗と酸化とを防ぐことにより耐久性の向上が図
られている。線状放電電極4と面状誘導電極3との間に
は高周波高電圧電源5からの交流電圧が印加され、線状
放電電極4の上の放電電極コーティング材6の上面にコ
ロナ放電が生成される。
る。図1は沿面コロナ放電素子を示す斜視図であり、一
部を破断して示している。ムライトで形成された平板状
の基板1、2の上面にタングステンで形成された線状放
電電極4が設けられ、その基板1、2の内部にタングス
テンで形成された面状誘導電極3が埋設されている。線
状放電電極4と面状誘導電極3とは誘電体層1を介して
対向することになる。線状放電電極4の上面には薄い
(好ましくは10〜40μm)ムライトからなる放電電
極コーティング材6が被覆され、該線状放電電極4の放
電時の磨耗と酸化とを防ぐことにより耐久性の向上が図
られている。線状放電電極4と面状誘導電極3との間に
は高周波高電圧電源5からの交流電圧が印加され、線状
放電電極4の上の放電電極コーティング材6の上面にコ
ロナ放電が生成される。
【0010】上記の沿面コロナ放電素子の製造方法につ
いて説明する。まず、平均粒径1.7μmのアルミナ1
15gと、平均粒径2.4μmのシリカ115gと、平
均粒径0.4μmの炭酸マグネシウム20gとを良く混
合し、1400°Cにて加熱溶融させる。加熱溶融して
得られたガラスフリットを、湿式粉砕してガラス粉を形
成する。次に、平均粒径2.4μmの電融ムライト75
0gと該ガラス粉とを、分解媒体としてトルエンを用い
て24時間ボールミル中で混合し、続いてグリーンシー
ト成型用のバインダーとしてジブチルフタレートとポリ
ビニルブチラールとを加え更に24時間混合する。そし
て、得られた混合物を真空脱泡後、ドクターブレード方
により厚さ0.5mmの基板1、2となるグリーンシー
ト1、2を作成する。
いて説明する。まず、平均粒径1.7μmのアルミナ1
15gと、平均粒径2.4μmのシリカ115gと、平
均粒径0.4μmの炭酸マグネシウム20gとを良く混
合し、1400°Cにて加熱溶融させる。加熱溶融して
得られたガラスフリットを、湿式粉砕してガラス粉を形
成する。次に、平均粒径2.4μmの電融ムライト75
0gと該ガラス粉とを、分解媒体としてトルエンを用い
て24時間ボールミル中で混合し、続いてグリーンシー
ト成型用のバインダーとしてジブチルフタレートとポリ
ビニルブチラールとを加え更に24時間混合する。そし
て、得られた混合物を真空脱泡後、ドクターブレード方
により厚さ0.5mmの基板1、2となるグリーンシー
ト1、2を作成する。
【0011】次に、下側のグリーンシート2の上面に公
知のスクリーン印刷法にて面状誘導電極3及び端子(図
示せず)をタングステンペーストを用いて印刷し、その
上にグリーンシート1を載置する。グリーンシート1の
上面には公知のスクリーン印刷法にて線状放電電極4及
び端子(図示せず)をタングステンペーストを用いて印
刷する。さらに、放電電極コーティング材6を形成する
ため、線状放電電極4の上にグリーンシート1、2と同
組成のペーストを厚さ10〜40μ程度にスクリーン印
刷する。そして、全体を熱圧着し、1400°C〜16
00°Cの非酸化雰囲気中で焼成し、沿面コロナ放電素
子を完成させる。
知のスクリーン印刷法にて面状誘導電極3及び端子(図
示せず)をタングステンペーストを用いて印刷し、その
上にグリーンシート1を載置する。グリーンシート1の
上面には公知のスクリーン印刷法にて線状放電電極4及
び端子(図示せず)をタングステンペーストを用いて印
刷する。さらに、放電電極コーティング材6を形成する
ため、線状放電電極4の上にグリーンシート1、2と同
組成のペーストを厚さ10〜40μ程度にスクリーン印
刷する。そして、全体を熱圧着し、1400°C〜16
00°Cの非酸化雰囲気中で焼成し、沿面コロナ放電素
子を完成させる。
【0012】このようにして製造された沿面コロナ放電
素子の基板1、2及び線状放電電極4上のコーティング
材6のムライトセラミックは、後述する好適な組成範囲
において比誘電率が6.3〜7.0程度の低誘電率とな
る。なお、通常のアルミナAl2 O3 からなるセラミッ
クの比誘電率は9〜10である。
素子の基板1、2及び線状放電電極4上のコーティング
材6のムライトセラミックは、後述する好適な組成範囲
において比誘電率が6.3〜7.0程度の低誘電率とな
る。なお、通常のアルミナAl2 O3 からなるセラミッ
クの比誘電率は9〜10である。
【0013】ここで、本実施例のムライトセラミックの
成分は、ムライトを主成分とし且つ10〜40重量%の
Al2 O3 −SiO2 −MgO系ガラスを含む絶縁体を
備えることが望ましい。ガラス成分を10〜40%にす
る理由は、ガラス成分が40%以上となると焼成温度が
1500°C以下となり、面状誘導電極3及び線状放電
電極4を構成するタングステン或いはモリブデンメタラ
イズとの同時焼成に適さなくなり、また、ガラス成分が
多いと、機械的特性がガラスに支配されることとなり強
度的に弱くなり、機械的強度を高めるという本願の目的
が図り得なくなるからである。反対に、ガラス成分が1
0%以下であると焼成温度が非常に高くなり現実性が低
くなる。
成分は、ムライトを主成分とし且つ10〜40重量%の
Al2 O3 −SiO2 −MgO系ガラスを含む絶縁体を
備えることが望ましい。ガラス成分を10〜40%にす
る理由は、ガラス成分が40%以上となると焼成温度が
1500°C以下となり、面状誘導電極3及び線状放電
電極4を構成するタングステン或いはモリブデンメタラ
イズとの同時焼成に適さなくなり、また、ガラス成分が
多いと、機械的特性がガラスに支配されることとなり強
度的に弱くなり、機械的強度を高めるという本願の目的
が図り得なくなるからである。反対に、ガラス成分が1
0%以下であると焼成温度が非常に高くなり現実性が低
くなる。
【0014】更に、電界装置である沿面コロナ放電素子
を製造する上で重要な要素となる絶縁耐力とガラス成分
の添加量との関係について説明する。先ず、ガラス成分
が40%以上であると、ガラスの絶縁耐力が低いことか
ら絶縁破壊電圧が12KV/mm以下となり実用上問題が
生じる。ここで、ガラス成分が10〜40%で絶縁破壊
電圧は12〜15KV/mmとなり実用的に使用すること
が可能となる。反対に、ガラス成分が10%以下となる
と、焼結性が悪くなるために絶縁破壊電圧が逆に下が
り、12KV/mm以下となって実用に向かなくなる。
を製造する上で重要な要素となる絶縁耐力とガラス成分
の添加量との関係について説明する。先ず、ガラス成分
が40%以上であると、ガラスの絶縁耐力が低いことか
ら絶縁破壊電圧が12KV/mm以下となり実用上問題が
生じる。ここで、ガラス成分が10〜40%で絶縁破壊
電圧は12〜15KV/mmとなり実用的に使用すること
が可能となる。反対に、ガラス成分が10%以下となる
と、焼結性が悪くなるために絶縁破壊電圧が逆に下が
り、12KV/mm以下となって実用に向かなくなる。
【0015】また、本実施例では、焼結補助材(上記ガ
ラス成分)に、Al2 O3 −SiO2 −MgO系ガラス
を用い、この組成を図2に示す3成分組成図の下記の点
A,B,C及びDによって囲まれる範囲内(境界線上を
含む)に属するように選択している。
ラス成分)に、Al2 O3 −SiO2 −MgO系ガラス
を用い、この組成を図2に示す3成分組成図の下記の点
A,B,C及びDによって囲まれる範囲内(境界線上を
含む)に属するように選択している。
【0016】ここで、上記Al2 O3 −SiO2 −Mg
O系ガラスの組成を、3成分組成図の点A,B,C及び
Dによって囲まれる範囲内に選択した理由について説明
する。まず、SiO2 含有量が60%よりも多くなると
ガラスの溶融温度が低下し、また、焼結温度時のガラス
の粘度も低下する。このことは、ムライト粒子及びメタ
ライズ粒子とガラスとの濡れ性に対しては望ましい。し
かし、粘度が必要以上に低くなるため、基板焼成時にお
いてムライトセラミック中からガラス成分が流れ出して
しまい、基板とセッターとの融着が発生したり、また、
基板自体に反りが発生する。
O系ガラスの組成を、3成分組成図の点A,B,C及び
Dによって囲まれる範囲内に選択した理由について説明
する。まず、SiO2 含有量が60%よりも多くなると
ガラスの溶融温度が低下し、また、焼結温度時のガラス
の粘度も低下する。このことは、ムライト粒子及びメタ
ライズ粒子とガラスとの濡れ性に対しては望ましい。し
かし、粘度が必要以上に低くなるため、基板焼成時にお
いてムライトセラミック中からガラス成分が流れ出して
しまい、基板とセッターとの融着が発生したり、また、
基板自体に反りが発生する。
【0017】他方、SiO2 含有量が40%よりも少な
く且つAl2 O3 が60%よりも多いと、ガラスの溶融
温度が高くなり、焼結性が悪くなる。また、Al2 O3
の比誘電率が高いことから、焼結後の基板の比誘電率が
高まり、本発明の目的である窒素酸化物生成の低減が行
い得なくなる。
く且つAl2 O3 が60%よりも多いと、ガラスの溶融
温度が高くなり、焼結性が悪くなる。また、Al2 O3
の比誘電率が高いことから、焼結後の基板の比誘電率が
高まり、本発明の目的である窒素酸化物生成の低減が行
い得なくなる。
【0018】ここでMgOの添加量について述べると、
Al2 O3 −SiO2 の2成分のみではガラスの融点が
高すぎ、また、ガラスの粘度が高くムライト粒子及びメ
タライズ粒子とガラスとの濡れ性が悪くなり好ましくな
い。従って、少量のMgOを添加することが不可欠とな
る。なお、MgOの添加量が2%以下であると、抗折強
度が下がり、またメタライズ強度も弱くなる。一方、M
gO量が17%を越えると、ガラスの粘度が低くなりす
ぎて、焼成時に基板とセッターとの融着が発生し、ま
た、基板表面へガラスの染み出しが起こることになる。
Al2 O3 −SiO2 の2成分のみではガラスの融点が
高すぎ、また、ガラスの粘度が高くムライト粒子及びメ
タライズ粒子とガラスとの濡れ性が悪くなり好ましくな
い。従って、少量のMgOを添加することが不可欠とな
る。なお、MgOの添加量が2%以下であると、抗折強
度が下がり、またメタライズ強度も弱くなる。一方、M
gO量が17%を越えると、ガラスの粘度が低くなりす
ぎて、焼成時に基板とセッターとの融着が発生し、ま
た、基板表面へガラスの染み出しが起こることになる。
【0019】上述した組成に係る沿面コロナ放電素子に
対して、図1に示すように電極間3、4に高周波高電圧
電源5からの交流電圧を印加すると、線状放電電極4の
上方にコロナ放電が発生し、周囲の酸素をオゾン化す
る。図3は放電周波数と窒素酸化物NOxのオゾンO3
に対する発生率の関係を示すグラフ図である。基板誘電
体1、2、6としてアルミナを用いた従来の沿面コロナ
放電素子の特性を白丸で、本実施例に係る上記ムライト
セラミックを用いた沿面コロナ放電素子の特性を黒丸で
示す。低誘電率のムライトセラミックを用いた本実施例
の沿面コロナ放電素子では、従来のものに比べて窒素酸
化物の発生率が30%程度減少していることが分かる。
なお、放電周波数の低い程、窒素酸化物の発生率は低く
なるが、可聴周波数になると放電音が問題となるため、
20KHz程度で使用するのが好ましい。
対して、図1に示すように電極間3、4に高周波高電圧
電源5からの交流電圧を印加すると、線状放電電極4の
上方にコロナ放電が発生し、周囲の酸素をオゾン化す
る。図3は放電周波数と窒素酸化物NOxのオゾンO3
に対する発生率の関係を示すグラフ図である。基板誘電
体1、2、6としてアルミナを用いた従来の沿面コロナ
放電素子の特性を白丸で、本実施例に係る上記ムライト
セラミックを用いた沿面コロナ放電素子の特性を黒丸で
示す。低誘電率のムライトセラミックを用いた本実施例
の沿面コロナ放電素子では、従来のものに比べて窒素酸
化物の発生率が30%程度減少していることが分かる。
なお、放電周波数の低い程、窒素酸化物の発生率は低く
なるが、可聴周波数になると放電音が問題となるため、
20KHz程度で使用するのが好ましい。
【0020】なお、上記測定は、湿度50%、温度20
°Cの空気中で、放電電圧を5KVppにして行った。
オゾン発生量は紫外線吸光法、窒素酸化物発生量は化学
発光法を用いて計測した。本実施例の沿面コロナ放電素
子では、誘電率の低いムライトセラミックを用いたため
に、窒素酸化物NOxの発生量が減少している。さら
に、当業者の常識に反して、オゾンO3 をアルミナを用
いる従来の沿面コロナ放電素子と比べて同程度に発生す
ることができた。この理由については、必ずしも明確に
はできなかったが、コロナ放電部分の電界の不平等性
と、誘電率の低さに起因する誘電体損失の減少が何らか
の作用をしていると考えられる。
°Cの空気中で、放電電圧を5KVppにして行った。
オゾン発生量は紫外線吸光法、窒素酸化物発生量は化学
発光法を用いて計測した。本実施例の沿面コロナ放電素
子では、誘電率の低いムライトセラミックを用いたため
に、窒素酸化物NOxの発生量が減少している。さら
に、当業者の常識に反して、オゾンO3 をアルミナを用
いる従来の沿面コロナ放電素子と比べて同程度に発生す
ることができた。この理由については、必ずしも明確に
はできなかったが、コロナ放電部分の電界の不平等性
と、誘電率の低さに起因する誘電体損失の減少が何らか
の作用をしていると考えられる。
【0021】更に、本実施例の沿面コロナ放電素子の機
械強度について、前述した特開平4年282587号で
提案された組成に係る沿面コロナ放電素子と比較した試
験結果について説明する。ここでは、試験用の沿面コロ
ナ放電素子を、厚さ3mm、幅4mm、長さ20mmにそれぞ
れ形成した。上記特開平4年282587号の沿面コロ
ナ放電素子の抗折強度が160M・Paであったのに対
して、図1を参照して具体的に製造方法を説明した本実
施例の沿面コロナ放電素子は、230M・Paの抗折強
度を有していた。更に、図2を参照した3成分組成図の
点A,B,C及びDによって囲まれる範囲においては、
220〜250M・Paの抗折強度を達成できた。この
ため、本実施例の沿面コロナ放電素子は、ケースに組み
込んでも破損が生じない十分な強度を得ることができ
た。
械強度について、前述した特開平4年282587号で
提案された組成に係る沿面コロナ放電素子と比較した試
験結果について説明する。ここでは、試験用の沿面コロ
ナ放電素子を、厚さ3mm、幅4mm、長さ20mmにそれぞ
れ形成した。上記特開平4年282587号の沿面コロ
ナ放電素子の抗折強度が160M・Paであったのに対
して、図1を参照して具体的に製造方法を説明した本実
施例の沿面コロナ放電素子は、230M・Paの抗折強
度を有していた。更に、図2を参照した3成分組成図の
点A,B,C及びDによって囲まれる範囲においては、
220〜250M・Paの抗折強度を達成できた。この
ため、本実施例の沿面コロナ放電素子は、ケースに組み
込んでも破損が生じない十分な強度を得ることができ
た。
【0022】特開平4年282587号では、機械強度
が低いために基板を1mm程度の厚さに構成したが、本実
施例では、0.5mmの厚みで基板を構成することができ
た。更に、特開平4年282587号では、誘電体の焼
成温度が低いために面状誘導電極及び線状放電電極に高
価な金を用いたが、本実施例は焼成温度が高いために安
価なタングステンを用いることが可能となった。
が低いために基板を1mm程度の厚さに構成したが、本実
施例では、0.5mmの厚みで基板を構成することができ
た。更に、特開平4年282587号では、誘電体の焼
成温度が低いために面状誘導電極及び線状放電電極に高
価な金を用いたが、本実施例は焼成温度が高いために安
価なタングステンを用いることが可能となった。
【0023】なお、前記実施例では一本の線状放電電極
4を有する平板状の沿面コロナ放電素子について説明し
たが、複数本の線状放電電極を有するもの、円筒形のも
のなど、特開昭59−44782号公報、特開昭59−
44797号公報に示された種々の沿面コロナ放電素子
に上記構成を適用できることは明らかであろう。
4を有する平板状の沿面コロナ放電素子について説明し
たが、複数本の線状放電電極を有するもの、円筒形のも
のなど、特開昭59−44782号公報、特開昭59−
44797号公報に示された種々の沿面コロナ放電素子
に上記構成を適用できることは明らかであろう。
【0024】
【発明の効果】本発明は、上記の構成を有し誘電体に比
誘電率が6.3〜7.0程度のムライトセラミックを用
いたことを特徴とするものであるから、オゾンの発生量
に比較して窒素酸化物の発生量の比率が少ないという優
れた効果がある。また、ムライトセラミックを用いるた
め高い機械的強度を得ることができる。
誘電率が6.3〜7.0程度のムライトセラミックを用
いたことを特徴とするものであるから、オゾンの発生量
に比較して窒素酸化物の発生量の比率が少ないという優
れた効果がある。また、ムライトセラミックを用いるた
め高い機械的強度を得ることができる。
【図1】沿面コロナ放電素子を示す斜視図である。
【図2】Al2 O3 −SiO2 −MgO系ガラスの3成
分組成図である。
分組成図である。
【図3】放電周波数と窒素酸化物のオゾンに対する発生
率の関係を示すグラフ図である。
率の関係を示すグラフ図である。
1 基板 2 基板 3 面状誘導電極 4 線状放電電極 6 コーティング材
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年8月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
Claims (3)
- 【請求項1】 誘電体で形成された板状の基板の表面に
線状放電電極を設け、その基板の内部に面状誘導電極を
埋設して、前記線状放電電極と前記面状誘導電極とを誘
電体層を介して対向せしめた沿面コロナ放電素子におい
て、 前記誘電体にムライトセラミックを用いたことを特徴と
する沿面コロナ放電素子。 - 【請求項2】 請求項1記載の沿面コロナ放電素子にお
いて、 前記線状放電電極が、前記誘電体層と同じムライトセラ
ミックでコーティングされていることを特徴とする沿面
コロナ放電素子。 - 【請求項3】 請求項1記載の沿面コロナ放電素子にお
いて、 ムライトセラミックの成分が、ムライトを主成分とし且
つ10〜40重量%のAl2 O3 −SiO2 −MgO系
ガラスを含む絶縁体を備え、該Al2 O3 −SiO2 −
MgO系ガラスの組成が、3成分組成図の下記の点A,
B,C及びDによって囲まれる範囲内に属することを特
徴とする沿面コロナ放電素子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18885994A JPH0831549A (ja) | 1994-07-19 | 1994-07-19 | 沿面コロナ放電素子 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18885994A JPH0831549A (ja) | 1994-07-19 | 1994-07-19 | 沿面コロナ放電素子 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0831549A true JPH0831549A (ja) | 1996-02-02 |
Family
ID=16231113
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP18885994A Pending JPH0831549A (ja) | 1994-07-19 | 1994-07-19 | 沿面コロナ放電素子 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0831549A (ja) |
-
1994
- 1994-07-19 JP JP18885994A patent/JPH0831549A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US4735666A (en) | Method of producing ceramics | |
KR20120062821A (ko) | Esd 보호 디바이스 및 그 제조 방법 | |
JP2007042615A (ja) | セラミックヒータおよびその製造方法、並びにガスセンサ素子 | |
JPH0445953B2 (ja) | ||
JP3340003B2 (ja) | 多層配線基板及び半導体素子収納用パッケージ | |
JPH0831549A (ja) | 沿面コロナ放電素子 | |
JP2822062B2 (ja) | オゾン発生用放電体 | |
JPH11340090A (ja) | 粒界絶縁型積層セラミックコンデンサの製造方法 | |
JP4324439B2 (ja) | セラミックヒータおよびセラミックヒータ構造体 | |
US10292249B2 (en) | ESD protection device | |
JP2002173362A (ja) | 誘電体磁器組成物及びそれを用いた多層基板 | |
JP2005005057A (ja) | セラミックヒータ、並びにセラミックヒータ構造体 | |
JPH09218178A (ja) | ガスセンサとその製造方法 | |
JP3935166B2 (ja) | セラミックヒーター素子の製造方法 | |
JP2004342622A (ja) | セラミックヒータ | |
JPH0387076A (ja) | 圧電アクチュエータ及びその製造方法 | |
JP3935059B2 (ja) | 酸素センサ素子 | |
JP3929882B2 (ja) | 平板状セラミックヒータおよびこれを用いた検出素子 | |
JPH0945581A (ja) | 積層型コンデンサ | |
KR100432639B1 (ko) | 유전층 직접부착형 정전 척의 제조방법 | |
JP2005050590A (ja) | 電界装置 | |
JP2002290037A (ja) | 回路基板の製造方法 | |
KR100413783B1 (ko) | 센서 가열용 세라믹 히터 | |
JP2004296142A (ja) | セラミックヒータおよびそれを用いた検出素子 | |
JP2003327419A (ja) | オゾン発生用放電体 |