JP2005050590A - 電界装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】高電圧、高湿度下で作動する場合でも、各沿面放電部位におけるイオンやオゾン生成量の変化を小さくし、長い寿命を有する電界装置を提供することを目的としている。
【解決手段】セラミックスからなる誘電体基板の表面に、一端又は両端が相互に接合された複数の線状電極から成る放電電極を設置し、かつ前記放電電極と対向して前記誘電体基板内に面状誘導電極を埋設した電界装置において、前記放電電極を前記線状電極毎にセラミックコート層で分割して覆うようにする。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、酸素ガス等をオゾンガス化するためのオゾナイザのようなオゾン発生源、複写機の帯電及び除電装置のイオン発生装置、又は静電的輸送装置として利用されている電界装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の電界装置は、誘電体基板の表面に複数の線状電極から成る放電電極、前記誘電体基板の内部又は下部に面状誘導電極をそれぞれ具備し、放電電極の表面をコート層で覆い、前記放電電極と前記面状誘電電極をリード線でつなぎ、前記放電電極と前記面状誘電電極間に直流又は交流電圧を印加できるような電源が設置されたものとなっていた。
【0003】
図2に従来の電界装置の構造を示しており、(a)は平面図、(b)は(a)のC−C線における断面図、(c)はD−D線における断面図であり、放電電極3と面状誘導電極4間に高周波電圧を印加して沿面放電11を発生させ、大気中の酸素のオゾン化や、各種粒子を荷電又は除電するようなものとして用いられていた。また、電界装置1に設けられた放電電極3の表面を覆っているコート層5は、グレーズ(特許文献1又は2参照)又はアルミナ(特許文献3参照)で形成されており、誘電体基板2の表面も連続的に覆ったものとなっていた。
【0004】
従来の電界装置1は以上のように構成され、次のようにして作製される。まず、タングステン等の粉末とバインダー、溶剤を混合し、スラリー状にしてメタライズインクを作製し、アルミナ粉末にマグネシア、カルシア、シリカ等を配合して作製された誘電体基板2を成すグリーンシートに、前記メタライズインクを公知のスクリーン印刷法で前記グリーンシートの片面に印刷することにより、面状誘導電極4を形成し、さらに、前記グリーンシートの他方の面に、前記メタライズインクを公知のスクリーン印刷法で印刷することにより、放電電極3を形成し、面状誘導電極4と放電電極3をそれぞれ具備した前記グリーンシートを貼り合わせ、焼成してできた焼結体の放電電極3の表面を覆うように、アルミナからなるペーストを公知のスクリーン印刷法で印刷した後、これらを同時焼成するか、もしくはアルミナからなるペーストを塗布する前の状態のものを一旦焼成し、その焼結体の放電電極3の表面上にグレーズ用のガラスペーストを塗布し、これを溶融固着させることにより形成していた。これらのアルミナやグレーズは、グレーズやアルミナからなるインクを公知のスクリーン印刷法で印刷し、併せて、誘電体基板2の表面も連続的に覆うようにべた塗りして形成されていた。
【0005】
【特許文献1】
特開昭59−44782号公報
【0006】
【特許文献2】
特開昭59−44797号公報
【0007】
【特許文献3】
特開平1−154482号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
図2に示すような従来の電界装置は、セラミックコート層5が誘電体基板2及び放電電極3の表面を連続的に覆うような構造にすると、セラミックコート層5の外周部位の厚みに比べて中央部位のセラミックコート層の厚みが薄くなるため、イオンやオゾンの生成量は沿面放電部位によって差が発生し、同時に電界装置の耐久性が低下するという問題があった。
【0009】
セラミックスコート層5の厚みが外周部位の厚みに比べて中央部のセラミックコート層の厚みが薄くなる理由は、印刷の技術的要因によるものである。一般に、セラミックスコート層5は製版を用いてスクリーン印刷法により形成される。前記スクリーン印刷法において、連続した広範囲を一度に弾性部材製のスキージを用いてインクを押し出しながら印刷すると、弾性部材製のスキージが製版の中央部位で下に凸型に変形するため、印刷したセラミックコート層5の厚みが、製版の外周辺部では厚くなり中央部では薄くなる。このため、放電電極3と面状誘導電極4間に交流電源10より電界を印加すると、製版の中央部位における放電電極3の周囲に発生する沿面放電11と製版の外周辺部位における放電電極3の周囲に発生する沿面放電11との発生量に差が生じ、セラミックコート層5の厚みが薄くなる製版の中央部位では、オゾンの発生量が増加することによりセラミックコート層5の消耗が他の部位に比べて著しく大きくなり、放電電極3の耐久性が低下し、電界装置1の寿命が短くなるという問題があった。
【0010】
本発明は、高電圧、高湿度下で作動する場合でも、各沿面放電部位におけるイオンやオゾン生成量の変化を小さくし、長い寿命を有する電界装置を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の電界装置は、セラミックスから成る誘電体基板の表面に、一端又は両端が相互に接合された複数の線状電極から成る放電電極を設置し、かつ前記放電電極と対向して前記誘電体基板内に面状誘導電極を埋設した電界装置において、前記放電電極を前記複数の放電電極毎にセラミックコート層で分割して覆ったことを特徴とする電界装置。
【0012】
また、本発明の電界装置は、前記セラミックコート層の厚みが10〜50μmであることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の電界装置は、前記放電電極端部から前記セラミックコート層端部までの距離を30μm以上としたことを特徴とするものである。
【0014】
さらに、本発明の電界装置は、前記セラミックコート層の厚みバラツキが前記セラミックコート層の平均厚みに対して20%以下であることを特徴とする。
【0015】
このような電界装置は、前記放電電極を覆うセラミックコート層を前記複数の線状電極毎に分割して形成しているため、各沿面放電部位におけるイオンやオゾンの生成の変化量を小さくすることを可能にし、高電圧、高湿度下においても長い寿命を有することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
【0017】
図1は本発明の電界装置を示すものであり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線における断面図、(c)はB−B線における断面図である。
【0018】
電界装置は図1に示すように、平板状の誘電体基板2の表面に、一端又は両端が電極で相互に接合された複数の線状電極3aから成る放電電極3を設置し、かつ放電電極3と対向して誘電体基板2内に面状誘導電極4を埋設し、放電電極3は複数の線状電極3a毎にセラミックコート層5で分割して覆い、放電電極3を給電部7を介してリード線9で接続固定し、また、面状誘導電極4は高融点金属を主成分とするインクが充填されたスルーホール6を介して給電部8に接続し、さらに給電部8をリード線9で接続固定して構成されている。
【0019】
本発明の電界装置1は、放電電極3と面状誘導電極4間に交流電源10より電界を印加すると、沿面放電11が生じ、オゾンやイオンを生成することができる。
【0020】
そして、本発明の放電電極3を構成している複数の線状電極3aは、その一端又は両端が相互に接合されている。
【0021】
また、本発明の電界装置1において、セラミックコート層5が隣り合う複数の線状電極3a間に空隙12を有し、線状電極3a毎に分割して覆うように形成しなければならない。これは、セラミックコート層5を放電電極3の表面を連続的に覆うような構造にすると、誘電体基板2の外周部位に形成された線状電極3aを覆うセラミックコート層の厚みと比較すると、誘電体基板2の中央部位に形成された線状電極3aを覆うセラミックコート層5の厚みが薄くなるため、前記外周部位と前記中央部位でイオンやオゾンの生成量に差が生じ、併せて、電界装置1の耐久性が低下する。
【0022】
これに対して、セラミックコート層5が隣り合う複数の線状電極3a間に空隙12を有し、線状電極3a毎に分割して覆うように形成することにより、セラミックコート層5の厚みを全体的に均一にすることが可能となるため、各線状電極3a付近で発生する沿面放電11の発生量が、各沿面放電部位に依存することなく均一になることで、イオンやオゾンの生成量が均一になり、放電電極3の耐久性が向上し、電界装置1の寿命が長くなる。
【0023】
例えばこのような空隙12は、セラミックコート層5をプリント形成するために使用する製版上において、空隙12に相当する部分にセラミックコート層5を形成するペーストを通過させないようなレジストを具備し、線状電極3aの位置と製版の位置を調整した後、線状電極3a上からプリントすることにより形成できる。
【0024】
また、前記レジストは、その厚みが同一になるように形成されているので、前記製版を用いてセラミックコート層5を形成すると、全体に厚みが均一なセラミックコート層5を線状電極3a上に形成することが可能となる。
【0025】
さらに、セラミックコート層5は焼成後の厚みtが10〜50μmとなるように形成することが好ましい。これは、セラミックコート層5の焼成後厚みtが10μm未満では、セラミックコート層5が放電の際に起こるイオン射突により破損しやすく耐久性が低下し、電界装置1の寿命が短くなる。また、セラミックコート層5の焼成後厚みが50μmより厚くなると、放電効率が低下し、イオンやオゾンの生成量が減少し、電界装置1の実用化が困難になるからである。
【0026】
さらに、放電電極3端部からセラミックコート層5端部までの距離dを30μm以上、好ましくは50μm以上とすることが望ましい。これは、距離dが30μmより短くなると、セラミックコート層5を形成する際に、スクリーン印刷の技術的要因によって端部の厚みバラツキが増大し、距離dが短い部位に高電圧を印加すると絶縁破壊を起こす恐れがあるからである。
【0027】
さらに、セラミックコート層5の厚みバラツキがセラミックコート層5の平均厚みに対して20%以下であることが好ましい。これは、各線状電極3a上で発生する沿面放電11の発生量は、セラミックコート層5の厚みに依存するため、セラミックコート層5の厚みバラツキを抑制することにより、各線状電極3a上で発生する沿面放電11発生量の不均一化、及び沿面放電によって生成されるイオンやオゾンの生成量の不均一化を防ぐためである。ここでセラミックコート層5の厚みバラツキとは、セラミックコート層5を誘電体基板2に対して垂直方向に任意の数ヶ所を切断し、その切断断面のセラミックコート層5の厚み最大値と最小値をセラミックコート層5の平均厚みとの差を比較した割合のことである。
【0028】
誘電体基板2、セラミックコート層5を成すセラミックスとしては、アルミナ、ムライト、コージライト、ジルコニア等の様々なものを用いることができるが、これらの中でも特にアルミナ又はムライトが好ましい。また、焼成温度や熱膨張係数を合わせるために、誘電体基板2とセラミックコート層5は、同質のセラミックで形成すれば好適である。
【0029】
アルミナとしては、主成分のアルミナに対して、SiOを2〜8重量%、CaOを1〜4重量%、MgOを1〜4重量%、ZrOを0.2〜2重量%、その他不可避不純物を含有するものを使用することができる。また、ムライトは組成式3Al・2SiOで示される結晶であり、これに0〜4重量%のSiO、MgO、CaO、その他不可避不純物を含有するものを使用することができる。
【0030】
放電電極3、及び面状誘導電極4はタングステン、モリブデン、及びレニウム等の高融点金属を主成分として構成されることが好ましい。
【0031】
次に、本発明の電界装置の製造方法を説明する。
【0032】
本発明の電界装置は、まず、タングステン、モリブデン、及びレニウム等の高融点金属粉末とバインダー、溶剤を混合し、スラリー状にしてメタライズインクを作製する。
【0033】
次に、誘電体基板上部2aのセラミックシートの表面に、前記メタライズインクを用いて、スクリーン印刷法で複数の線状電極3aの一端又は両端が相互に接合されてなる放電電極3と給電部7を形成する。
【0034】
さらに、放電電極3の表面上に、スラリー状にしたセラミックペーストを用いて、スクリーン印刷法でセラミックコート層5が各線状電極3a毎に分割して覆うようにして、セラミックコート層5の厚みが全体的に均一になるように形成する。
【0035】
次に、誘電体基板上部2bのセラミックシートにスルーホール6を形成し、スルーホール6中にタングステン、モリブデン、及びレニウム等の高融点金属を主成分とするインクを充填し、誘電体基板上部2bの表面に前記メタライズインクを用いて、スクリーン印刷法で面状誘電電極4を形成する。
【0036】
さらに、前記セラミックシートの裏面に前記メタライズインクを用いてスクリーン印刷法で給電部8を形成する。これにより、面状誘電電極4はスルーホール6を介して給電部8に接続される。
【0037】
次に、誘電体基板2aと誘電体基板2b間に面状誘導電極4が埋設するように誘電体基板2aと誘電体基板2bを密着させ、任意の寸法に切断し、1500〜1650℃の還元雰囲気中で焼成した後、給電部7、8にメッキを施し、ロー付け、半田等で各給電部7、8をそれぞれリード線9に接続固定することによって、本発明の電界装置が作製される。
【0038】
【実施例】
本発明の電界装置を以下のようにして作製した。
【0039】
まず、タングステン粉末とバインダー、溶剤を混合し、スラリー状にしてメタライズインクを作製した。
【0040】
次に、アルミナ粉末にマグネシアを2重量%、カルシアを2重量%、及びシリカを4重量%配合し、これらを50〜80時間湿式粉砕した後、脱水乾燥し、この粉末にメタクリル酸イソブチルエステルを3重量%、ニトロセルロース1重量%、及びジオクチルフタレート0.5重量%を加え、さらに、溶剤としてトリクロールエチレンとn‐ブタノールを加えて、ボールミルで混合してスラリーとする。前記スラリーを減圧脱泡後、平板状の製版に流し込んで徐熱し、溶剤を発散させて、厚さ0.5mmのアルミナグリーンシートを作製した。
【0041】
次に、前記アルミナグリーンシートから成る誘電体基板下部2bにスルーホール6を形成し、該スルーホール6中にタングステンを主成分とするインクを充填し、スルーホール6に接続するために、その表面に前記メタライズインクを用いて、スクリーン印刷法で厚み20μmの面状誘導電極4を形成し、さらに、スルーホール6の裏面に給電部8を形成した。
【0042】
また、別の前記アルミナセラミックシートから成る誘電体基板上部2aの表面に、前記メタライズインクを用いて、スクリーン印刷法で複数の線状電極3aから成る放電電極3と給電部7を形成し、さらに放電電極3の表面を覆うように、前記アルミナグリーンシートと同じ成分組成であるアルミナペーストを用いて、スクリーン印刷法でセラミックコート層5が各線状電極3a毎に分割して覆い、セラミックコート層5を形成した。
【0043】
そして、誘電体基板2aと誘電体基板2b間に面状誘導電極4が埋設するように誘電体基板2aと誘電体基板2bを密着させ、80mm×80mmの大きさに切断し、1600℃の還元雰囲気中で焼成した後、給電部7、8にメッキを施し、半田で各給電部7.8をそれぞれリード線9に接続固定して本発明の電界装置1を作製した。
【0044】
(実施例1)上記の製法を用いて作製された本発明の電界装置1において、放電電極3表面のセラミックコート層5の構造による電界装置1の耐久性の変化を検証した。
【0045】
また、比較例として、セラミックコート層5が放電電極3を連続的に全面に覆うように形成したサンプルを作製した。
【0046】
上記で作製したサンプルに1.8kVの交流電界を印加して、1000時間連続通電することにより発生した沿面放電11を検証した。沿面放電11の評価は、暗室にて各サンプルの沿面放電11の様子を観察し、ここで、良好なセラミックコート層5が形成された電界装置1では、放電電極3の外周部に均一な光度を有する沿面放電11が発生し、そのため、このような沿面放電発生部位では、オゾンの生成が均一になり、耐久性が向上する。一方、セラミックコート層5の厚みに斑がある場合は、該斑部位に沿面放電11の発生斑が生じ、また、セラミックコート層5に欠陥が生じている場合は、セラミックコート層5の欠陥部位で著しく明るい光度を有する沿面放電(欠陥放電)が発生するため、オゾンの生成が不均一になり、耐久性が低下する。
【0047】
そこで、各サンプルについて、セラミックコート層5の沿面放電11の発生斑と欠陥放電の有無から電界装置1の耐久性を評価した。この際、沿面放電11のオゾン生成に実質的に影響を与えない発生斑の有無と沿面放電11の欠陥放電数を考慮して、電界装置1の耐久性を評価した。結果は表1に示す通りである。
【0048】
【表1】
Figure 2005050590
【0049】
この表1から、比較例である試料番号1〜6では、セラミックコート層5が放電電極3を連続的に全面を覆った構造であったために、セラミックコート層5の外周部位と中央部位で厚みに差が生じるため、沿面放電11に発生斑が生じ、耐久性が低下した。さらに、試料番号5、6では沿面放電11の欠陥放電も発生しているので、電界装置1の耐久性は著しく低下した。
【0050】
これらに対して、本発明の実施例である試料番号7〜12では、セラミックコート層5が線状電極3a毎に分割して覆われた構造であったために、発生斑や欠陥放電が発生しない沿面放電11が得られ、耐久性が向上した。
【0051】
(実施例2)上記の製法を用いて作製された本発明の電界装置1において、セラミックコート層5の厚みtによる電界装置1の耐久性の変化とオゾンの発生量を検証した。
【0052】
セラミックコート層5の厚みtを5〜60μmの範囲で形成したサンプルに、1.8kVの交流電界を印加して、1000時間連続通電することにより発生した沿面放電11とオゾンの発生量を検証した。この際、沿面放電11の検証から導かれた電界装置の耐久性とオゾン発生量から電界装置1を評価した。また、沿面放電11は実施例1と同様の方法で評価した。
【0053】
オゾンの発生量は以下に示すような測定で評価した。
【0054】
本実施例では、3KV(P−P)、25℃−60%RHの環境条件にて発生するオゾン量を測定した。測定方法は、恒温恒湿槽内にて、空気流量20L/min、内径120mmの円筒内で電界装置1に1.8kVの交流電界を印加して放電させ、下流に、オゾン濃度測定器(ダイレックス(株)社製DY−1500型)のサンプリングチューブを設置し、測定を行った。サンプリングチューブの下流にはオゾン吸着ハニカムを置き、恒温恒湿槽内にオゾンが滞留する事を防止した。測定は、電界装置に交流電界を印加後、1分後のオゾン濃度を測定値とした。結果は表2に示す通りである。
【0055】
【表2】
Figure 2005050590
【0056】
この表2から、試料番号1では、セラミックコート層5の厚みtが薄かったために、沿面放電11によってセラミックコート層5に欠陥が生じ、沿面放電11の欠陥放電が発生しやすかった。また、試料番号5では、セラミックコート層5の厚みtが厚かったために、沿面放電11の放電効率が低下し、オゾン発生量が低下することが確認された。
【0057】
これらに対して、試料番号2〜4のセラミックコート層5は、線状電極3a毎に分割して覆われた構造であり、かつセラミックコート層5の厚みtを10〜50μmで形成したことにより、沿面放電11の欠陥放電が発生しなかったため、耐久性が向上し、かつオゾンの発生量を満足することができた。よって、セラミックコート層5の厚みtが10〜50μmで形成されることが望ましい。
【0058】
(実施例3)上記の製法を用いて作製された本発明の電界装置1において、放電電極3の端部からセラミックコート層5の端部までの距離dと電界装置1の耐久性の変化を検証した。
【0059】
放電電極3端部からセラミックコート層5端部までの距離dが20〜120μmの範囲で形成したサンプルに、1.8kVの交流電界を印加して、1000時間連続通電することにより発生した沿面放電11を検証した。この際、沿面放電11の評価は実施例1と同様の方法で評価した。結果は表3に示す通りである。
【0060】
【表3】
Figure 2005050590
【0061】
この表3から、試料番号1では、放電電極3端部からセラミックコート層5端部までの距離dが短かったために、セラミックコート層5に欠陥が生じ、沿面放電11の欠陥放電が発生しやすかった。
【0062】
これに対して、試料番号2〜5のセラミックコート層5は、線状電極3a毎に分割して覆われた構造であり、かつ放電電極3端部からセラミックコート層5端部までの距離dを30μm以上で形成したことにより、沿面放電11の欠陥放電が発生しなかったため、耐久性が向上した。よって、放電電極3端部からセラミックコート層5端部までの距離dが30μm以上で形成されることが望ましい。
【0063】
(実施例4)上記の製法を用いて作製された本発明の電界装置1において、セラミックコート層5の厚みバラツキと電界装置1の耐久性の変化を検証した。
【0064】
セラミックコート層5の厚みバラツキがセラミックコート層5の平均厚みに対して9〜30%の範囲で形成したサンプルに、1.8kVの交流電界を印加して、1000時間連続通電することにより発生した沿面放電11を検証した。この際、沿面放電11の評価は実施例1と同様の方法で評価した。結果は表4に示す通りである。
【0065】
【表4】
Figure 2005050590
【0066】
この表4から、試料番号7〜9では、セラミックコート層5の厚みバラツキがセラミックコート層5の平均厚みに対して20%より大きかったために、沿面放電11に発生斑が生じやすかった。
【0067】
これに対して、試料番号1〜6のセラミックコート層5は、線状電極3a毎に分割して覆われた構造であり、かつセラミックコート層5の厚みバラツキがセラミックコート層5の平均厚みに対して20%以下で形成したことにより、沿面放電11の発生斑が生じなかったため、耐久性が向上した。よって、セラミックコート層5の厚みバラツキがセラミックコート層5の平均厚みに対して20%以下で形成されることが望ましい。
【0068】
【発明の効果】
このように、本発明の電界装置によれば、誘電体基板の表面に設置された複数の線状電極から成る放電電極を、前記線状電極毎にセラミックコート層で分割して覆うことにより、前記セラミックコート層の厚みを全体的に均一に形成することができ、高電圧、高湿度下でも前記各線状電極付近で発生する沿面放電の発生量、及び沿面放電により生成するイオンやオゾンの生成量を均一にすることができるため、耐久性が向上し、長い寿命を有することができる。
【0069】
さらに、前記セラミックコート層の厚みが10〜50μmであれば、沿面放電の放電効率が向上し、イオンやオゾンの発生量を増大することができる。
【0070】
さらに、前記放電電極端部から前記セラミックコート層端部までの距離が30μm以上であれば、高電圧下でも絶縁破壊を抑制することができるため、高い耐久性を有することができる。
【0071】
さらに、前記セラミックコート層の厚みバラツキが前記セラミックコート層の平均厚みに対して20%以下であれば、前記線状電極付近で発生する沿面放電の発生量が各沿面放電部位に依存することなく均一になることにより、イオンやオゾンの生成量が均一になり、放電電極の耐久性が向上し、電界装置の寿命が長くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電界装置を示し、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線における断面図、(c)はB−B線における断面図である。
【図2】従来の電界装置を示し、(a)は平面図、(b)は(a)のC−C線における断面図、(c)はD−D線における断面図である。
【符号の説明】
1・・・電界装置
2・・・誘電体基板
3・・・放電電極
3a・・・線状電極
4・・・面状誘電電極
5・・・コート層
6・・・スルーホール
7・・・給電部
8・・・給電部
9・・・リード線
11・・・沿面放電
12・・・空隙

Claims (4)

  1. セラミックスから成る誘電体基板の表面に、一端又は両端が相互に接合された複数の線状電極から成る放電電極を設置し、かつ前記放電電極と対向して前記誘電体基板内に面状誘導電極を埋設した電界装置において、前記放電電極を前記線状電極毎にセラミックコート層で分割して覆ったことを特徴とする電界装置。
  2. 前記セラミックコート層の厚みが10〜50μmであることを特徴とする請求項1記載の電界装置。
  3. 前記放電電極端部から前記セラミックコート層端部までの距離を30μm以上としたことを特徴とする請求項1記載の電界装置。
  4. 前記セラミックコート層の厚みバラツキが前記セラミックコート層の平均厚みに対して20%以下であることを特徴とする請求項1記載の電界装置。
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