JPH08315355A - 真正さがチェックされる被検出物とこの被検出物の真正さをチェックする方法および装置 - Google Patents

真正さがチェックされる被検出物とこの被検出物の真正さをチェックする方法および装置

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JPH08315355A
JPH08315355A JP7121728A JP12172895A JPH08315355A JP H08315355 A JPH08315355 A JP H08315355A JP 7121728 A JP7121728 A JP 7121728A JP 12172895 A JP12172895 A JP 12172895A JP H08315355 A JPH08315355 A JP H08315355A
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JP7121728A
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English (en)
Inventor
Yoshiki Ono
芳樹 小野
Itsuo Takeuchi
逸雄 竹内
Tatsuya Kurihara
達也 栗原
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NHK Spring Co Ltd
Original Assignee
NHK Spring Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 きわめてランダムな出力パターンを発生でき
る磁性素子を使って、偽造が困難な被検出物を得ること
が主たる目的である。 【構成】 被検出物10の走査領域12に、竹状構造を
有する磁性素子13が設けられている。この磁性素子1
3は長手方向の少なくとも一部に単結晶部13aが粒界
13bを境に竹の節の間状に連なっている。このような
磁性素子13は、各単結晶部13aごとに特定方向に対
する結晶方位および各単結晶部13aの長さがまちまち
で規則性をもたないために、素子13の長手方向にわた
って特定方向に対する透磁率が不連続にかつ不規則に変
化する特性を有している。被検出物10の真正さをチェ
ックするための処理装置では、被検出物10の走査領域
12を磁性素子13の長手方向に走査することによって
透磁率変化を検出し、この検出信号を真正さのチェック
に利用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、重要書類や有価証
券,紙幣および小切手等の金券,トラベラーズチェッ
ク,IDカード,CDカード,クレジットカード等のカ
ード類,パスポート,あるいは美術品等のように、偽造
を防止する必要がありかつ真正さがチェックされる被検
出物と、そのチェック方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】被検出物の真正さをチェックするための
手段として、従来より様々な工夫がなされている。例え
ば合成樹脂や紙などからなる基材に、情報の記録媒体と
しての磁気帯を設け、この磁気帯にデータをある程度暗
号化して磁気的に記録したり、磁気帯の代りにバーコー
ドやホログラムなどのように光学的に読取り可能な記録
媒体を用い、各種のデータを暗号化して記録することも
行われている。
【0003】しかしながら、上記のようにデータを単に
暗号化して磁気的あるいは光学的に記録するだけでは、
暗号化の方法が一旦第三者に知られてしまうと、データ
の改ざんや偽造あるいは不正な大量複製が行われやす
く、セキュリティ性に劣るものである。
【0004】そこで、例えば特開平6−262887号
公報や特開平6−278389号公報などに記載されて
いる被検出物のように、真正さのチェック能力を高める
ために、従来の記録媒体とは別の位置に暗号情報記録部
を設け、上記記録媒体のデータを特定の管理手法によっ
て暗号化するなどの偽造防止策を講じて暗号情報記録部
に記録することも提案されている。
【0005】しかしながらこれらの先行技術は、偽造防
止効果を高めるためには記録すべき情報を人為的に複雑
に処理する必要があり、そのための開発や製造工程に手
数がかかるばかりでなく、被検出物を処理する装置も複
雑なものとなり、コスト的に採算がとれないことがあ
る。しかも偽造防止策自体が人為的なものである以上、
いずれは第三者に偽造防止策の内容が知られてしまう恐
れがある。
【0006】上記のような問題を解決するために、例え
ば特開平6−8679号公報や特開平6−171274
号公報あるいは特開平6−239071号公報などに記
載されているように、合成樹脂や紙あるいは不織布等の
マトリックスに、磁気的,電気的あるいは光学的な特性
を有するフィラーをランダムに分布させ、これらのフィ
ラーを磁気的,電気的あるいは光学的に検出することに
よって得られるランダムな固有信号を、被検出物の真正
さを判断する一要素として用いることも提案されてい
る。
【0007】上記先行技術のように多数のフィラーをマ
トリックス中にランダムに設けるものであれば、フィラ
ーのランダムさによっては、あたかも人の指紋のように
個々の被検出物を特徴付けることができる。しかもその
場合、偽造や変造等を行う目的でフィラーのランダムさ
を人為的に作り出すことを実質的に困難なものにするこ
ともできる。
【0008】従ってこのようなフィラーを備えた被検出
物においては、走査領域を走査した時に得られるランダ
ムな検出信号を暗号化してコード記録部等に記録し、被
検出物の真正さを判断する際に上記走査領域を再度走査
することによって得た検出信号と上記コード記録部等に
記録されている情報とを照合するようにすれば、被検出
物の偽造や複製あるいはデータの改ざんを防ぐ上で有効
な対策となり得る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記先
行技術におけるフィラーの分散状態は、フィラーとマト
リックスの物性によってほぼ支配されるため、互いに異
なる被検出物同志でありながら、似通ったパターンの検
出信号が得られることがある。その場合、真正さを判断
する処理装置の分解能によっては、真正でない被検出物
の検出信号を真正なものと同一パターンとして識別して
しまうようになる、このような事態を防ぐには、フィラ
ーの分散状態を、個々の被検出物の特徴付けに有効とな
るようにしなければならず、フィラーを有効に分散させ
るために手間のかかる処理が必要となる。
【0010】従って本発明の目的は、個々の被検出物を
特徴付けるのにきわめて有効なランダムな出力パターン
を発生でき、しかもこの出力パターンを人為的に作り出
すことが困難な素子を用いることにより、製造にさほど
手間をかけずに偽造や変造・複製等の不正行為を効果的
に防止できるような被検出物とそのチェック方法および
装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を果たすため
に開発された本発明の被検出物は、基材の特定の位置に
設定された走査領域と、上記走査領域に設けられた細長
い磁性素子であってその長手方向の少なくとも一部分に
単結晶部が粒界を境に竹の節の間状に存在しかつ各単結
晶部ごとの長手方向に対する長さと結晶方位がランダム
な竹状構造を有する磁性素子と、上記磁性素子に特定方
向から磁界を与えた状態でこの素子を長手方向に磁気的
に走査した時に得られる透磁率変化に応じた検出信号に
関するデータを記録しかつこの被検出物の真正さを判断
する際には上記磁性素子を再度磁気的に走査することに
よって得た検出信号と照合されるデータ記録部とを具備
している。
【0012】上記竹状構造を有する磁性素子は、例えば
Fe−Si系合金、Fe−Al系合金、Fe−Si−A
l系合金、Cu−Mn−Al系合金を帯状に急冷凝固し
たままのもの、あるいはそれを熱処理したものが挙げら
れる。また、珪素鉄急冷薄帯や、珪素鋼板に熱処理を施
したもの、あるいはその再結晶集合組織や異常粒成長組
織から任意に切り出して竹状構造をもつ薄帯としてもよ
いなど、円形以外の断面であってもよい。さらに前記以
外のFe系、Ni系、Co系、Fe−Ni系、Fe−C
o系、Fe−Cr系、Fe−Cr−Co系、Fe−Co
−V系、希土類金属、希土類合金系、ホイスラー合金系
等を、溶融紡糸法や、その他、伸線や切削後熱処理等を
施して得られる線状体や帯状体などでもよい。
【0013】この明細書で言う「竹状構造」とは、細長
い磁性素子の少なくとも一部分に、単結晶部が粒界を境
に竹の節の間状に長手方向に繋がった中実な金属組織を
意味し、粒界の間(竹の節の間)が中空になっている訳
ではない。線状体、帯状体を竹の幹にたとえた場合、竹
の節の間が一つの中実の結晶粒になる。すなわち、竹の
節の間一つだけを見れば単結晶であり、長手方向に隣り
合った単結晶とは粒界を挟んで結晶方位を異にしたもの
が順次繋ったものである。また、竹の節間の各単結晶
は、互いに他と結晶方位関係が規則的に長手方向に並ん
でいるものではなく、各単結晶の長手方向の長さにも規
則性のない、制作工程上、工学的に制御されずに発生し
たランダムパターンとなっている。
【0014】一般に単結晶には、結晶磁気異方性、すな
わち磁化されやすい方向とされにくい方向があり、これ
が結晶方位と対応している。また、磁化されやすさは形
状にも左右される(形状異方性という)。本発明の場
合、竹の節間の長さ、つまり単結晶長さの違いが形状異
方性に関わってくる。これらの因子を総合して決定され
る磁化されやすい方向が、竹の節間の各単結晶間で異な
り、その異なり方が磁性素子の長手方向に不規則に分布
している。
【0015】言い換えれば、ある特定の方向から見た場
合に、磁化されやすさの難易すなわち透磁率が竹状構造
の節間の各単結晶部同志で異なり、この透磁率の長手方
向の変化の仕方が、この素子を製造する上で人為的に制
御不可能なランダムパターンとなっていることを意味す
る。
【0016】但し、上記竹状構造が必ずしも磁性素子の
長手方向全体に連続している必要はなく、所々に非晶質
が存在したり、あるいは素子の径方向断面内に多結晶組
織が存在してもよい。要するに本発明では、素子の長手
方向(軸線方向)の少なくとも一部に前述の竹状構造が
存在していれば、透磁率変化をパターン列として認識す
ることができる。
【0017】上記のような竹状構造を有する磁性素子
は、例えば溶融紡糸法により製造される。溶融紡糸法と
しては、例えば溶融した磁性金属(例えばFe−Si合
金)をノズル径が200μm以下の噴出ノズルから水等
の冷却液中に高速で連続的に噴出させることによって急
冷し、素子の長手方向の少なくとも一部に前記単結晶部
を晶出させる処理が実施される。この場合、素子の線径
が細いほど、本発明に適した竹状構造の単結晶部を得や
すいが、線径が200μm以下であれば、素子の少なく
とも一部分に竹状構造の単結晶部を晶出させることがで
きる。
【0018】上記竹状構造を有する磁性素子に対し、例
えば非晶質磁性体からなる素子のように内部組織が磁気
的に等方性であるものや、多結晶質磁性体のように各結
晶粒の磁化容易方向が互いに影響し合うために全体とし
て磁気的に等方質となっているものでは、特定な方向、
例えば素子の長手方向に垂直な方向の透磁率は、素子の
長手方向に均一な分布となっているために、この素子を
長手方向に走査することによって得られる検出信号は明
確なコントラストが付かず、本発明における磁性素子の
ようなランダムパターンの検出信号は得られない。
【0019】本発明では、前述の竹状構造を有する磁性
素子を、被検出物の走査領域に設けておく。被検出物と
しては種々の形態があるが、例えば磁気カード等の情報
記録層をもつ物体に貼付けるか、あるいは基材中に埋設
する。この磁性素子は、任意の長さで、1本以上、線状
ものあるいは帯状のもの、あるいは線状と帯状の双方を
組合わせて用いてもよいし、並べ方も任意でよい。ま
た、物性の異なる素材を組合わせれば、それだけ検出信
号のパターンの種類が増えることになる。
【0020】これらの磁性素子は基材中に埋設するなど
して隠してもよいし、透明基材に埋設して明瞭にしても
よい.さらに、基材表面に露出させても差支えない。磁
性素子を基材中に隠せば、偽造防止対策としての磁性素
子の存在を外観から判らないようにすることができる。
一方、磁性素子の所在が明瞭な場合でも、たとえ偽造の
目的で正当な磁性素子と同一の原料から同一の製造方法
を用いて磁性素子を複製しようとしても、得られる竹状
構造の態様(各単結晶部の長さや磁化容易方向の組合わ
せ)が真正な磁性素子と同じになるように人為的に作り
出すことは実質的に不可能であり、同一パターンの検出
信号を再現することはきわめて困難である。
【0021】更には、磁性素子を所定長さに切り出す場
所や複数の磁性素子の組合わせの仕方が個々に異なり、
また、例えば丸断面の磁性素子を基材に固定する際に発
生する素子の多少のねじれや、故意に発生させた多少の
ねじれによって、素子の特定方向に対する透磁率が変わ
るなど、竹状構造を有する素子は、人為的に制御不可能
な不確定要素が多いために、偽造や複製できる確率は極
めて小さく、大量複製も実質的に不可能である。
【0022】上記被検出物の真正さをチェックするため
の本発明装置は、上記竹状構造の磁性素子を有する被検
出物に特定方向から磁界を与えながら上記磁性素子を長
手方向に走査しこの磁性素子の透磁率変化に応じた検出
信号をとらえる走査手段と、上記検出信号に関するデー
タを所定のデータ記録部に記録するデータ書込み手段
と、上記データ記録部に記録されている上記データを読
取る読取り手段と、上記読取り手段によって読取られた
データと上記走査手段によって検出された検出信号とを
照合しかつ両者が互いに対応した時にこの被検出物が真
正であると判断する手段とを具備している。
【0023】
【作用】本発明では、被検出物を作成するための作成プ
ロセスにおいて、被検出物の走査領域に上記竹状構造の
磁性素子を設けておき、この被検出物を所定速度で相対
移動させながら、走査領域中の磁性素子の透磁率変化に
応じた検出信号を走査手段によってとらえる。この検出
信号は、竹状構造を有する磁性素子の単結晶部の長さや
結晶方位などによって走査領域の特定方向に対する透磁
率が長手方向にわたって順次変化するため、固有の出力
パターンをもっている。この検出信号に関するデータ
は、被検出物を発行する際にデータ記録部に記録され
る。
【0024】登録されるデータは、上記走査手段によっ
て得た検出信号のパターンそのものを表すデータでもよ
いし、あるいは特定の規則によって暗号化されたディジ
タルコードであってもよい。データの記録方式は限定さ
れないが、例えば磁気的、電気的、光学的等に代表され
る種々の記録媒体にそれぞれ対応した量に変換して登録
すればよい。
【0025】データ記録部は、この磁性素子を備えた被
検出物の任意場所、例えば磁気カードでは磁気ストライ
プの一部でもよいし、あるいは別の場所に設けたバーコ
ードや有機膜光メモリでもよい。また、例えばセンター
管理方式におけるホストコンピュータのメモリに記録す
るようにしてもよい。
【0026】被検出物が真正なものであるか否かを照合
するプロセスでは、上記走査領域を再び磁気的に走査す
ることにより上記磁性素子の透磁率変化に応じた検出信
号を得るとともに、データ記録部に記録されているデー
タと上記検出信号を照合し、両者が対応した時に、被検
出物が真正なものであると判断する。両者が対応しなけ
れば被検出物が真正でないと判断し、警報を出すとか、
次動作に移れないようにするなどの対策を講じる。
【0027】
【実施例】以下に本発明の一実施例について、図1ない
し図6を参照して説明する。図1に示すカード状の被検
出物10において、被検出物10の基材11の所定位置
に設定された走査領域12に、竹状構造を有する磁性素
子13が埋設されるようになっている。基材11は紙や
プラスチックなどの非磁性体からなる。
【0028】図示例の場合、2枚のシート状の基材要素
11a,11bの間に磁性素子13を挟み込み、基材要
素11a,11bを互いに接着等の適宜の固定手段によ
り一体化させることにより、磁性素子13を外部から見
えないように隠蔽している。磁性素子13の断面形状は
円形に限らず、例えば多角形や矩形、長円形、その他で
あってもよいし、平坦な帯状であってもよい。
【0029】上記磁性素子13は、例えばFe−Si系
合金(Fe−6.5%Si合金)を溶融紡糸後、熱処理
により得た直径200μm以下,長さ5cm程度の線
(ワイヤ)であり、図2(A)(B)(C)に3種類の
磁性素子13を模式的に示すような竹状構造を有してい
る。すなわちこの磁性素子13は、細長い素子13の長
手方向(軸線方向)に、単結晶部13aが粒界13bを
境に竹の節の間状に連なっている。このような竹状構造
を有する磁性素子13は、各単結晶部13aごとの長さ
と結晶方位がランダムとなっており、従って磁化容易方
向もランダムである。このため、素子13の長手方向に
透磁率が不連続に変化する特性を有している。
【0030】上記被検出物10に、データ記録部18が
設けられている。データ記録部18には、上記磁性素子
13の竹状構造に応じた固有の情報が、下記の処理装置
20によって暗号化されて書込まれる。データ記録部1
8は例えば磁気ストライプのように情報を磁気的に書込
み・読取り可能なものでもよいし、あるいはバーコード
やホログラムのように光学的に読取り可能な記録媒体を
用いたものなどが採用される。
【0031】被検出物10は、図3に例示するような処
理装置20によって磁気的に走査される。この処理装置
20は、ハウジング25と移送機構26を備えている。
移送機構26は、ベルトやローラ等を用いた移送用部材
27によって、被検出物10を一定速度で図中の矢印F
方向に移動させるようになっている。
【0032】被検出物10の移動経路の途中に、磁性素
子13を磁気的に読取るための走査手段30として、走
査読取り用の磁気ヘッド31と、この磁気ヘッド31と
所定間隔で対向する位置に微小磁石32が設けられてい
る。磁気ヘッド31は、図示例のほか、薄膜磁気ヘッド
およびこれらをよりマイクロディバイス化したものなど
の磁気検出素子が使われる。磁気ヘッド31の磁心33
には、軟磁性を示す材料、例えばアモルファス合金、F
e−Si系合金、センダスト、パーマロイ、アルパー
ム、ソフトフェライトなどが用いられる。
【0033】また、磁気ヘッド31として、ホール素子
や磁気抵抗効果素子あるいは磁気インダクタンス素子、
磁気インピーダンス素子などが使われてもよい。また、
図示例のような磁気ヘッド31と磁石32を用いる代り
に、一対の励磁コイルと検出コイル、あるいは励磁・検
出兼用コイルを用いて、高周波交番磁界中での前記磁性
素子13の竹状構造の各単結晶部13aの透磁率に応じ
た信号パターンを読取るようにしてもよい。
【0034】処理装置20は、マイクロコンピュータ等
を用いたコントローラ50と、被検出物10のデータ記
録部18に下記暗号コードを記録するためのコード書込
み部51と、データ記録部18に記録された暗号コード
を読取るためのコード読取り部52などを備えている。
コード書込み部51と読取り部52は、読取り/書込み
用の回路53に接続されている。コントローラ50は、
ディジタル変換器(A/D変換器)60や比較器61お
よび暗号コード変換器62などを含んでいる。コントロ
ーラ50に表示器65が接続されている。
【0035】次に、上記実施例装置20の作用について
説明する。図5は被検出物10を作成するためのプロセ
スの概略を示している。素子製造ステップS1では、前
記竹状構造を有する磁性素子13を溶融紡糸法により製
造する。ここで言う溶融紡糸法は、溶融した磁性金属
(例えばFe−Si合金)を口径200μm以下のノズ
ルから水等の冷却液中に高速で連続的に噴出させること
によって急冷し、そののち熱処理を行い、素子の長手方
向の少なくとも一部に前記単結晶部13aを竹の節間状
に晶出させる処理である。
【0036】素子挿入ステップS2において、被検出物
10の基材11を製造する際に、例えば図1のように基
材要素11a,11bの間に磁性素子13を挟み込み、
走査領域12の内側に磁性素子13を配置する。
【0037】走査ステップS3においては、被検出物1
0を移送機構26によって所定速度で矢印F方向に移動
させることにより、磁性素子13に応じた検出信号を得
る。この走査ステップS3では、磁石32によって特定
方向(例えば素子13の長手方向と直角な方向)に磁界
を与える。ここで、磁気ヘッド31と磁石32の間に磁
性素子13が存在していなければ、磁石32によって発
生する磁場は一定なため、磁気ヘッド31と磁石32と
の間に磁束の経時変化は現れず、従って電磁誘導により
コントローラ50に出力される電圧は実質的にゼロであ
る。
【0038】移送機構26によって被検出物10を所定
速度で矢印F方向に移動させることにより、磁気ヘッド
31と磁石32との間に走査領域12を通すと、竹状構
造を有する磁性素子13の竹の節間の各単結晶部13a
の長手方向の分布状態に応じた透磁率分布によって、磁
石32から磁気ヘッド31に到達する磁束の数が変化す
る。その結果、図4に示すような波形変化をもつ出力電
圧が検出される。
【0039】上記出力電圧を微小時間ごとに検出し、各
微小時間ごとの出力電圧を複数段階にランク付けしてデ
ィジタル化することで、走査領域12に固有のコード化
された検出信号が得られる。なお、出力電圧パターンの
種類を増やすために、走査領域12に複数本の竹状構造
を有する磁性素子13を並べて埋設し、複数トラックの
走査領域12としてもよいし、磁性素子13の材質や線
径あるいは薄帯形状の磁性素子などを組合わせることに
よって、より多様な出力パターン(検出信号)が得られ
るようにしてもよい。
【0040】前述の検出信号を、暗号化ステップS4に
おいて、暗号コード変換器62によって、特定の規則に
従って暗号化する。こうして暗号化されたコードが、書
込みステップS5において、コード書込み部51の磁気
ヘッドによって、データ記録部18に記録される。この
実施例のデータ記録部18は磁気帯であるが、例えば印
字ヘッドを用いて上記暗号コードをデータ記録部18に
バーコードで記録するようにしてもよい。また、ホスト
コンピュータのコード記憶領域に上記暗号コードを記憶
させるようにしてもよい。
【0041】被検出物10が真正であるか否かのチェッ
クも上記処理装置20を使って行われる。図6は、被検
出物10の真正さをチェックするための照合プロセスの
概略を示している。走査ステップS11は、前記作成プ
ロセス(図5)における走査ステップS3と同様に、走
査領域12を所定速度で磁気的に走査することによっ
て、磁性素子13の透磁率分布に応じた検出信号を得
る。
【0042】コード読取りステップS12においては、
データ記録部18に記録されている暗号コードがコード
読取り部52によって読取られる。この暗号コードが、
コード再生ステップS13において、暗号コード変換器
62によって所定のルールに基いて解読されることによ
り、照合用コードが再生される。そして判別ステップS
14において、上記照合用コードと、走査ステップS1
1で検出された検出信号とが比較器61によって比較さ
れ、両者が一致した時のみ、この被検出物10が本物で
あると判断され、その照合結果が表示器65に表示され
る。
【0043】なお、前述した被検出物10の作成プロセ
スにおいて、暗号コードをホストコンピュータのコード
記憶領域に登録した場合に、照合プロセスにおいてこの
ホストコンピュータから暗号コードを呼び出し、検出信
号と照合させるようにしてもよい。あるいは、照合プロ
セスにおいて、走査ステップS11で得た検出信号を作
成プロセスの場合と同じルールで暗号化し、この暗号コ
ードを、コード読取りステップS12で読取った暗号コ
ードと照合させるようにしてもよい。
【0044】上記処理装置20の代りに、図7に示す処
理装置70を用いてもよい。この処理装置70の磁気的
走査手段30は、一対の磁電変換素子の一例としての第
1のMR素子40と第2のMR素子41を、被検出物1
0の移動方向に並べるとともに、MR素子40,41の
背後に磁界発生手段の一例としてのマグネット43を配
置したものである。それ以外の構成と作用は前記処理装
置20と実質的に共通であるから、互いに共通の箇所に
同一符号を付して説明は省略する。
【0045】MR素子40,41は磁界の強さに応じて
電気抵抗値が変化する磁気抵抗効果素子であり、各MR
素子40,41にマグネット43による同じ強さの磁界
が及ぶようになっている。また第1のMR素子40はコ
ントローラ50に接続され、第2のMR素子41は直流
電源回路45に接続されている。
【0046】上記処理装置70において、MR素子4
0,41の近傍を磁性素子13が通る時、磁性素子13
の位置が長手方向に変化するのに伴って出力電圧Vout
が変化する。すなわち、MR素子40,41の近傍に磁
性素子13が存在しない時には各MR素子40,41に
マグネット43の磁界が均等にかかり、MR素子40,
41の抵抗値が互いに等しいので、入力電圧Vinに対し
て出力電圧Vout は約半分(Vin/2)となる。そして
矢印F方向に磁性素子13が移動することによって、M
R素子40,41の近傍を磁性素子13が通ると、磁性
素子13の位置に応じて各MR素子40,41を通る磁
束が経時的に変化するとともに、MR素子40,41の
抵抗値に差が出るため、出力電圧Vout がほぼ(Vin
2)を上下するようになる。
【0047】ここで、第1のMR素子40の抵抗をR
1 、第2のMR素子41の抵抗をR2とすると、出力電
圧Vout は Vout =Vin×{R1 /(R1 +R2 )}
で表わされる。この出力電圧Vout は、竹状構造を有
する磁性素子13の各単結晶部13aの長さや結晶方位
(磁化容易方向)などに応じて大きさが変化するので、
図4に示したものと同様に固有の波形をもつ出力電圧パ
ターンが検出される。
【0048】なお本発明は、絵画のキャンバスの裏面に
磁性素子13を埋設しかつデータ記録部に前記暗号コー
ドを記録することにより、この絵画が本物であることの
証しとすることもできる。また本発明は、美術品等の立
体物に磁性素子13を埋設すれば本物とイミテーション
の判別にも役立つ。
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、外見からは全く予測で
きない検出信号パターンが得られる磁性素子を有し、か
つ、各磁性素子は人為的に再現することの不可能な不規
則な不確定要素に基づく目視不可能な固有のランダムパ
ターンの竹状構造を備えているので、偽造や複製、デー
タの改ざん等の不正使用を防止する上できわめて効果的
である。また、磁性素子自体をランダムに分散させる必
要がないため、磁性素子を配置するのに特殊な手段を講
じる必要がなく、基材中に磁性素子を設けることが容易
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す被検出物の分解斜視
図。
【図2】3種類の磁性素子の単結晶部の長さと磁化容易
方向を概念的に示す斜視図。
【図3】本発明の一実施例を示す処理装置を一部断面で
示す側面図。
【図4】図3に示された装置の検出信号の一例を示す
図。
【図5】被検出物を作成する際の処理のステップを示す
フローチャート。
【図6】被検出物の照合を行う際の処理のステップを示
すフローチャート。
【図7】本発明の他の実施例を示す処理装置を一部断面
で示す側面図。
【符号の説明】
10…被検出物 11…基材 12…走査領域 13…竹状構造を有する磁性素子 13a…単結晶部 13b…粒界 18…データ記録部 20…処理装置 30…走査手段 50…コントローラ 51…コード書込み部 52…コード読取り部 70…処理装置

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基材の特定の位置に設定された走査領域
    と、 上記走査領域に設けられた細長い磁性素子であってその
    長手方向の少なくとも一部分に単結晶部が粒界を境に竹
    の節の間状に存在しかつ各単結晶部ごとの長手方向に対
    する長さと結晶方位がランダムな竹状構造を有する磁性
    素子と、 上記磁性素子に特定方向から磁界を与えた状態でこの素
    子を長手方向に磁気的に走査した時に得られる透磁率変
    化に応じた検出信号に関するデータを記録しかつこの被
    検出物の真正さを判断する際には上記磁性素子を再度磁
    気的に走査することによって得た検出信号と照合される
    データ記録部と、 を具備したことを特徴とする真正さがチェックされる被
    検出物。
  2. 【請求項2】上記竹状構造を有する磁性素子がFe−S
    i系合金,Fe−Al系合金,Fe−Si−Al系合
    金,Cu−Mn−Al系合金の中から選択された線径φ
    200μm以下の金属線または金属薄帯であることを特
    徴とする請求項1記載の被検出物。
  3. 【請求項3】上記竹状構造を有する磁性素子を上記走査
    領域に複数本並べて埋設したことを特徴とする請求項1
    記載の被検出物。
  4. 【請求項4】被検出物を作成するための作成プロセス
    と、上記被検出物をチェックするための照合プロセスと
    を含み、 上記作成プロセスは、単結晶部が粒界を境に竹の節の間
    状に長手方向に存在しかつ各単結晶部ごとの長手方向に
    対する長さと結晶方位がランダムな竹状構造を有する磁
    性素子を製造するステップと、上記磁性素子を被検出物
    の走査領域に挿入するステップと、上記磁性素子に特定
    方向から磁界を与えながら上記素子の長手方向に走査し
    てこの磁性素子の透磁率変化に応じた固有の検出信号を
    得るステップと、上記検出信号に関するデータをデータ
    記録部に記録するステップとを含み、 また上記照合プロセスは、上記磁性素子に特定方向から
    磁界を与えながら上記素子の長手方向に走査しこの磁性
    素子の透磁率変化に応じた検出信号を得るステップと、
    上記データ記録部に記録されているデータを読取るステ
    ップと、上記データ記録部のデータと上記検出信号とを
    照合しかつ両者が対応した時にこの被検出物が真正であ
    ると判断するステップとを具備していることを特徴とす
    る被検出物の真正さをチェックするための方法。
  5. 【請求項5】単結晶部が粒界を境に竹の節の間状に長手
    方向に存在しかつ各単結晶部ごとの長手方向に対する長
    さと結晶方位がランダムな竹状構造の磁性素子を有する
    被検出物に特定方向から磁界を与えながら上記磁性素子
    を長手方向に走査しこの磁性素子の透磁率変化に応じた
    検出信号をとらえる磁気的走査手段と、 上記検出信号に関するデータを所定のデータ記録部に記
    録するデータ書込み手段と、 上記データ記録部に記録されている上記データを読取る
    読取り手段と、 上記読取り手段によって読取られたデータと上記走査手
    段によって検出された検出信号とを照合しかつ両者が互
    いに対応した時にこの被検出物が真正であると判断する
    手段と、 を具備したことを特徴とする被検出物の真正さをチェッ
    クするための装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006221361A (ja) * 2005-02-09 2006-08-24 Toshiba Corp 被認証装置および個体認証装置
JP6288894B1 (ja) * 2017-07-27 2018-03-07 株式会社テクレコ 磁気インク検出装置

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