JP3762523B2 - 真正さがチェックされる被検出物とこの被検出物の真正さをチェックするための方法および装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、重要書類や紙幣および小切手等の金券,トラベラーズチェック,IDカード,CDカード,クレジットカード等のカード類,パスポート,あるいは美術品,公営競技投票券などの、偽造を防止する必要のある被検出物と、この被検出物の真正さをチェックするための方法と装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
書類やカード等の被検出物の真正さをチェックするために、被検出物の走査領域に多数の磁性素子をランダムに設けたものが知られている。この種の被検出物の真正さをチェックするための装置は、走査領域中の磁性素子を磁気センサによって磁気的に走査することにより、磁性素子の分布状況に応じた固有の波形の検出信号を得るようにしている。
【0003】
そして被検出物を発行する際に、上記検出信号を暗号化するとともにこの暗号データを被検出物のコード記録部に記録しておく。この被検出物の真正さをチェックする際には、上記走査領域を上記磁気センサによって磁気的に走査することにより検出信号を得るとともに、この検出信号を記録部に記録されている暗号データと照合し、両者が対応したときにこの被検出物が真正であると判断するようにしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の装置においては、走査領域を磁気センサによって何回走査しても、基本的に同一の検出信号が再現されるようにしている。つまり、走査領域中の磁性素子の分布状況に応じて、特定の1種類の波形が検出される。
【0005】
従って本発明の目的は、従来よりもさらに多様な検出信号が得られ、偽造防止や不正使用を防止する上でさらに有効な被検出物と、そのチェック方法および装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を果たすために開発された本発明の被検出物は、請求項1に記載したように、基材の走査領域中にランダムに混入されかつ磁気的に軟質でバイアス磁界によって着磁させることの可能な低保磁力の磁性材料からなる多数の繊維状の第1の磁性素子と、上記走査領域中に上記第1の磁性素子と重なり合うようにランダムに混入されかつ磁気的に硬質で上記バイアス磁界よりも強い磁界によって該磁界の磁極に応じた方向に着磁可能な高保磁力の磁性材料からなる多数の繊維状の第2の磁性素子と、上記第2の磁性素子の着磁方向を異ならせて上記走査領域を上記バイアス磁界のもとで磁気的に複数回走査することによって得た検出信号に関するデータを記録するコード表示部とを具備したことを特徴とするものである。
【0007】
第1の磁性素子としては、例えばパーマロイ,センダスト,Co系アモルファス,ソフトフェライトなどのように磁気的に軟質な高透磁率磁性材料からなる繊維状の細線、あるいはこれらの材料からなる粉体を合成樹脂中に混入させた繊維あるいはフレーク状の磁性ポリマー素子などが適している。第1の磁性素子の保磁力は、10〜200エルステッド(Oe )の範囲が望ましく、透磁率は100〜10000の範囲が望ましい。
【0008】
第2の磁性素子として、例えばフェライトやSm−Co合金,Nd合金,Fe−Al−Co合金,Fe−Cr−Co合金等のように磁気的に硬質な高保磁力材料からなる繊維状の細線、あるいはこれらの材料からなる粉体を合成樹脂中に混入させた繊維あるいはフレーク状の磁性ポリマー素子などが適している。第2の磁性素子の保磁力は、500〜3500エルステッドの範囲が望ましい。第1の磁性素子と第2の磁性素子は、いずれも、径あるいは幅が例えば5〜100μm程度であり、その長さは例えば1〜30mm程度である。
【0009】
本発明のチェック方法では、上記被検出物を作成するための作成プロセスと、上記被検出物をチェックするための照合プロセスとを含む。作成プロセスは、上記第1の磁性素子と第2の磁性素子に該第2の磁性素子の保磁力よりも大きな磁界を与えて着磁させたのち上記第1の磁性素子の保磁力よりも小さいバイアス磁界のもとで上記走査領域を磁気的に走査する第1の走査ステップおよび上記磁界の向きを変えて上記第1の磁性素子と第2の磁性素子の着磁方向を異ならせたのち上記バイアス磁界のもとで上記走査領域を磁気的に走査する第2の走査ステップによって検出信号を得る検出ステップと、上記検出信号に関するデータをコード表示部に記録する書込みステップとを含んでいる。照合プロセスは、作成プロセスと同様の検出ステップと、上記コード表示部に記録されているデータを読取るコード読取りステップと、上記データが上記検出信号と対応した時にこの被検出物が真正であると判断する判別ステップとを含んでいる。上記コード表示部は被検出物自体に設けてもよいし、あるいはホストコンピュータ等の記憶領域に設定されてもよい。
【0010】
本発明の装置は、上記第2の磁性素子の保磁力よりも大きな磁界を走査領域の上記第1の磁性素子と第2の磁性素子に与えかつ上記磁界の向きを切替えることの可能な着磁器と、上記第2の磁性素子の保磁力よりも弱くかつ上記第1の磁性素子の保磁力よりも大きいバイアス磁界のもとで上記走査領域を磁気的に走査することにより検出信号を得る磁気センサと、1回目の走査と2回目の走査とで上記着磁器の磁界の向きを切替えて上記走査領域を複数回走査することによって得た検出信号に関するデータを暗号化する手段と、上記暗号化されたデータを被検出物のコード表示部に記録するコード書込み手段と、上記コード表示部に記録されているデータを読取る読取り手段と、上記データと上記検出信号とを照合しかつ両者が互いに対応した時にこの被検出物が真正であると判断する手段とを具備している。
【0011】
上記磁気センサとしては、磁界の強さにほぼ比例して抵抗値が変化する磁気抵抗素子(MR素子)などの磁電変換素子とバイアス磁界発生用マグネットを組合わせたものが適している。ただし、MR素子以外に例えば磁気ダイオードやホール素子などのように、磁界の強さに応じて抵抗値等の電気的特性が変化するものが使用されてもよい。
【0012】
上記第1の磁性素子の保磁力をH1 、上記第2の磁性素子の保磁力をH2 、着磁器の磁界の大きさをB1 、磁気センサのバイアス磁界の大きさをB2 としたとき、H1 <B2 <H2 <B1 とするとよい。
【0013】
本発明装置において被検出物の真正さのチェックを行う場合、着磁器が走査領域に及ぼす着磁磁界の向きや大きさを変えることにより、第2の磁性素子の着磁状態を切替えながら走査領域を少なくとも2回走査する。こうすることにより、磁性素子の分布は同じても、1回目の走査と2回目の走査とで異なる検出信号が得られる。そして複数種類の検出信号を被検出物の真正さのチェックに用いることで、チェックの精度を高めるとともに、より偽造の困難な被検出物を得るようにしている。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1および図2に示すように、カード状の被検出物10の基材11の中に、多数の第1の磁性素子12と、第2の磁性素子13がそれぞれ不特定の方向を向くようにランダムに混入されている。基材11は紙やプラスチックなどの非磁性体からなる。
【0015】
第1の磁性素子12は、例えばパーマロイやセンダスト,ソフトフェライト,Co系アモルファス,Fe−Ni系合金等の低保磁力の磁気的に軟質な高透磁率材料からなる。第2の磁性素子13は、例えばフェライトやSm−Co合金,Nd合金,Fe−Al−Co合金,Fe−Cr−Co合金などのように磁気的に硬質な高保磁力材料かなる。
【0016】
これら磁性素子12,13の断面形状は円形に限らず、例えば多角形や矩形、長円形、その他の形態であってもよい。図示例の磁性素子12,13は繊維状であるが、箔、あるいは粉体であってもよい。また、繊維状のものと箔と粉体が混ざっていてもよい。また、アクリル樹脂等の高分子材料中に、上記磁性材料からなる磁性粉体を混入した繊維状あるいは帯状の磁性ポリマー素子が使われてもよい。これらの磁性素子12,13は、被検出物10を製造する際に、特定の走査領域17に、ある程度の密度で含まれるようにランダムに混入される。
【0017】
被検出物10にコード表示部18が設けられている。コード表示部18には、後述するように走査領域17を磁気的に複数回走査したとき磁性素子12,13の分布状態等に応じて得られる固有の検出信号に関するデータが、図3に例示した処理装置20によって暗号化されて書込まれる。
【0018】
処理装置20は、ハウジング21と移送機構22を備えている。移送機構22は、DCモータ等の正逆回転可能なモータ23によって駆動されるベルトやローラ等の移送用部材24を有している。モータ23はモータ制御回路25によって正転あるいは逆転させられ、被検出物10を所定速度で、図中の矢印F,R方向に往復移動させることができるようになっている。
【0019】
被検出物10の移動経路の途中に着磁器30と磁気センサ31が設けられている。着磁器30の一例は、極性を切替えることの可能な着磁用電源回路32に接続された電磁石33を備えている。着磁用電源回路32は電磁石33に直流電流を供給するものであり、電流の大きさも変化させることができるようになっている。このためこの電磁石33は、走査領域17に及ぼす磁界の向きや大きさ等の着磁条件を変化させることができる。
【0020】
磁気センサ31は、一対の磁電変換素子の一例としての第1のMR素子35と第2のMR素子36を備えている。これらのMR素子35,36は被検出物10の移動方向(走査方向)に並べられている。MR素子35,36の背後に、バイアス磁界発生用のマグネット37が配置されている。マグネット37は永久磁石でもよいし、電磁コイルを用いた電磁石が使われてもよい。
【0021】
MR素子35,36は磁界の強さに応じて電気抵抗値が変化する磁気抵抗素子である。これらのMR素子35,36は互いに電気的に接続されており、しかも各MR素子35,36に、マグネット37による同じ強さの磁界が及ぶようになっている。第1のMR素子35は直流電源回路40に接続されている。第2のMR素子36は、制御・演算手段として機能するコントローラ50に接続されている。
【0022】
MR素子35,36の近傍を磁性素子12,13が通るとき、磁性素子12,13の位置が変化するのに伴って出力電圧が変化する。すなわちMR素子35,36の近傍に磁性素子12,13が存在しない時には、各MR素子35,36にマグネット37の磁界が均等にかかる。その場合、MR素子35,36の抵抗値が互いに等しいので入力電圧に対して出力電圧は約半分となる。そしてMR素子35,36の近傍を磁性素子12,13が通ると、磁性素子12,13の位置に応じて、各MR素子35,36を通る磁束が経時的に変化するとともに、各MR素子35,36の抵抗値に差が出るため、出力電圧が変化するようになる。
【0023】
この出力電圧は、磁性素子12,13の分布密度や磁性素子12,13の径(または厚さ)、長さ、方向などの分布状態に応じて大きさが変化するので、固有の波形の出力電圧が検出される。
【0024】
ここで、第1の磁性素子12の保磁力をH1 、第2の磁性素子13の保磁力をH2 、着磁器30の磁界の大きさ(着磁磁界)をB1 、磁気センサ31のマグネット37が走査領域17に及ぼすバイアス磁界の大きさをB2 としたとき、H1 <B2 <H2 <B1 としている。つまり、走査領域17が着磁器30の近傍を通ったのち磁気センサ31の近傍を通ると、高保磁力の第2の磁性素子13は、着磁磁界B1 によって磁化(着磁)され、この着磁状態を保持するため、磁気センサ31のバイアス磁界B2 にはほとんど影響を受けない。よって、磁気的に硬質な第2の磁性素子13は、着磁磁界B1 による磁化が磁気センサ31によって検出される。
【0025】
上記処理装置20は、マイクロコンピュータ等を用いたコントローラ50と、被検出物10のコード表示部18に下記暗号データを記録するためのコード書込み部51と、コード表示部18に記録された暗号データを読取るためのコード読取り部52などを備えている。コード書込み部51と読取り部52は、読取り/書込み用の回路53に接続されている。コントローラ50は、A/D変換器60や比較器61および暗号コード変換器62などを含んでいる。コントローラ50に表示器65が接続されている。
【0026】
次に、上記処理装置20の作用について説明する。
図6は被検出物10を作成するためのプロセスの概略を示している。製造ステップS1においては、被検出物10の基材11が製造される際に、多数の第1の磁性素子12と多数の第2の磁性素子13が少なくとも走査領域17中にランダムに混入される。
【0027】
検出ステップS2は、第1の走査ステップS3と、第2の走査ステップS4を含んでいる。第1の走査ステップS3では、被検出物10が移送機構22によって所定速度で矢印F方向に移動させられながら、電磁石33が所定の磁極の磁界を発生することにより、高保磁力の第2の磁性素子13が着磁する。第1の磁性素子12は磁気的に軟質な低保磁力の材料からなるため、着磁してもその磁力は弱いものとなる。
【0028】
そして走査領域17が磁気センサ31のところまで移動することにより、2種類の素子12,13にマグネット37によってバイアス磁界が与えられるとともに、MR素子35,36によって、磁性素子12,13の分布状態に応じたアナログ波形の出力が得られる。この1回目の走査において、低保磁力の第1の磁性素子12は、予め着磁器30によって着磁されていても、その保磁力が小さいため、磁気センサ31のバイアス磁界によって再び磁化される。このため、第1の磁性素子12の出力成分は例えば図4(A)に示す波形W1 となる。
【0029】
これに対し、強く着磁している第2の磁性素子13は、バイアス磁界にかかわらず着磁磁界を保持するため、その出力成分は例えば図4(B)に示す波形W2 となる。これら2種類の波形W1 ,W2 が合成された波形は、例えば図5(A)に示す波形W4 となる。
【0030】
上記1回目の走査が終了したのち、第2の走査ステップS4において、モータ23が逆回転することにより、走査領域17が再び着磁器30のところまで戻される。このとき、着磁用電源回路32の極性が切替わることにより、電磁石33の磁極が切替わる。この状態で再びモータ23が正転することにより、走査領域17が所定速度で矢印F方向に移動しつつ、着磁器30によって第2の磁性素子13が第1の走査ステップS3とは逆方向に着磁する。
【0031】
そして走査領域17が磁気センサ31のところまで移動することにより、2種類の素子12,13にマグネット37によってバイアス磁界が与えられるとともに、MR素子35,36によって、磁性素子12,13の分布状態に応じたアナログ波形の出力が得られる。すなわち、低保磁力の第1の磁性素子12は、予め着磁器30によって逆方向に着磁されていても、その保磁力が小さいため、磁気センサ31のバイアス磁界によって再び磁化される。このため第1の磁性素子12の出力成分は1回目と同様となり、図4(A)に例示する波形W1 のままである。
【0032】
これに対し第2の磁性素子13は逆向きに強く着磁しており、バイアス磁界にかかわらず逆向きの着磁磁界を保持するため、その出力成分は例えば図4(C)に示す波形W3 となる。これら2種類の波形W1 ,W3 が合成された波形は、例えば図5(B)に示す波形W5 となる。
【0033】
このように1回目の走査と2回目の走査とで着磁磁界の向きを逆転させることにより、2種類の出力波形W4 ,W5 が検出される。なお、1回目の走査では磁性素子13の着磁を行わずに(磁性素子13を消磁した状態で)走査領域17の走査を行い、2回目は磁性素子13に着磁して走査領域17の走査を行うようにしてもよい。この場合、着磁器30は構成の簡単な永久磁石を用いることができる。すなわちこの明細書でいう着磁条件とは、着磁磁界の向きや大きさ以外に、第2の磁性素子13の着磁の有無も含むものである。また、着磁器30による磁界の強さを変えて、第3あるいは第4の走査ステップを行うことにより、3種類以上の出力波形を得るようにしてもよい。
【0034】
上記波形W4 ,W5 の出力電圧は、微小時間ごとに区切られて複数段階にランク付けされ、ディジタル化される。こうして走査領域17に固有のコード化された検出信号が得られる。
【0035】
上述の検出信号を、暗号化ステップS5において、暗号コード変換器62によって、特定のルールに従って暗号化する。こうして暗号化されたデータが、書込みステップS6において、コード書込み部51の磁気ヘッドによって、コード表示部18に記録される。この実施形態のコード表示部18は磁気帯であるが、例えば印字ヘッドを用いて上記暗号データをコード表示部18にバーコードで記録するようにしてもよい。
【0036】
被検出物10が真正であるか否かのチェックも上記処理装置20を使って行われる。図7は、被検出物10の真正さをチェックするための照合プロセスの概略を示している。検出ステップS11は、前述した作成プロセスと同様の第1の走査ステップS3と第2の走査ステップS4を含んでおり、それぞれ着磁器30による着磁条件を作成プロセスと同様に切替えながら、磁気センサ31によって走査領域17を2回以上走査することにより、磁性素子12,13の分布等に応じた検出信号を得る。
【0037】
コード読取りステップS12においては、コード表示部18に記録されているデータ(暗号データ)がコード読取り部52によって読取られる。この暗号データが、コード再生ステップS13において、暗号コード変換器62によって所定のルールに基いて復号されることにより、照合用コードが再生される。そして判別ステップS14において、上記照合用コードと、検出ステップS11で検出された検出信号とが比較器61によって比較され、両者が対応した時に、この被検出物10が本物であると判断され、その照合結果が表示器65に表示される。
【0038】
なお、この被検出物10のセキュリティ性を高めるために、被検出物10を処理装置20から排出する際に、消磁器(図示せず)によって走査領域17を消磁しておくとよい。その場合、着磁器30の電磁石33に交流電源を接続することにより、消磁器を兼用させてもよいし、あるいは別途に消磁器を設けるようにしてもよい。
【0039】
【発明の効果】
請求項1に記載した発明によれば、走査領域に混入された第1および第2の磁性素子の分布状態とその組合わせに応じて、多様な検出信号が得られ、偽造防止や不正使用を防止する上で有効な被検出物が得られる。つまりこの発明では、各磁性素子の分布状態だけでなく、第1の磁性素子と第2の磁性素子の混合状態も被検出物の特徴を表すものとして、真正さのチェックに利用される。
【0040】
請求項2に記載したチェック方法によれば、第1および第2の磁性素子の分布状態とその組合わせによって多様な検出信号が得られ、偽造防止や不正使用を防止する上で有効である。また、走査領域を3回以上走査するとともに、それぞれの走査で着磁磁界の大きさや磁界の向きを変化させれば、さらに多様な特徴付けを行うことができる。
【0041】
請求項3に記載した処理装置によれば、低保磁力の第1の磁性素子と高保磁力の第2の磁性素子とを走査領域中にランダムに混入した被検出物の真正さをチェックするにあたって、第1の磁性素子と第2の磁性素子の分布状態と混合状態に応じて、被検出物が真正であるか否かのチェックを行うことができる。
【0042】
請求項4に記載した処理装置によれば、MR素子等の磁電変換素子とバイアス磁界発生用のマグネットを組合わせた磁気センサを用いる場合に、低保磁力の第1の磁性素子は着磁磁界で磁化されても磁気センサで保磁力を越える磁界を与えられるため、バイアス磁界による磁化が検出される。高保磁力の第2の磁性素子は、着磁磁界で磁化(着磁)され、これを保持するため、磁気センサのバイアス磁界にはほとんど影響されないため、着磁磁界による磁化が磁気センサによって検出される。こうして、複数回の走査によって多様な検出信号が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態の被検出物を模式的に示す平面図。
【図2】 図1に示された被検出物の一部の拡大図。
【図3】 図1に示された被検出物を処理する装置の概略を一部断面で示す側面図。
【図4】 第1の磁性素子と第2の磁性素子の出力成分を示す波形図。
【図5】 第1の磁性素子と第2の磁性素子の合成出力を示す波形図。
【図6】 被検出物を作成する際の処理のステップを示すフローチャート。
【図7】 被検出物の照合を行う際の処理のステップを示すフローチャート。
【符号の説明】
10…被検出物
11…基材
12…第1の磁性素子
13…第2の磁性素子
17…走査領域
18…コード表示部
20…処理装置
30…着磁器
31…磁気センサ
Claims (4)
- 基材の走査領域中にランダムに混入されかつ磁気的に軟質でバイアス磁界によって着磁させることの可能な低保磁力の磁性材料からなる多数の繊維状の第1の磁性素子と、
上記走査領域中に上記第1の磁性素子と重なり合うようにランダムに混入されかつ磁気的に硬質で上記バイアス磁界よりも強い磁界によって該磁界の磁極に応じた方向に着磁可能な高保磁力の磁性材料からなる多数の繊維状の第2の磁性素子と、
上記第2の磁性素子の着磁方向を異ならせて上記走査領域を上記バイアス磁界のもとで磁気的に複数回走査することによって得た検出信号に関するデータを記録するコード表示部とを具備したことを特徴とする真正さがチェックされる被検出物。 - 磁気的に軟質な低保磁力の第1の磁性素子と磁気的に硬質な高保磁力の第2の磁性素子とを走査領域中にランダムに混入した被検出物、の真正さをチェックするための方法であって、
上記被検出物を作成するための作成プロセスと、上記被検出物をチェックするための照合プロセスとを含み、
上記作成プロセスは、上記第1の磁性素子と第2の磁性素子に該第2の磁性素子の保磁力よりも大きな磁界を与えて着磁させたのち上記第1の磁性素子の保磁力よりも大きくかつ上記第2の磁性素子の保磁力よりも小さいバイアス磁界のもとで上記走査領域を磁気的に走査する第1の走査ステップおよび上記磁界の向きを変えて上記第1の磁性素子と第2の磁性素子の着磁方向を異ならせたのち上記バイアス磁界のもとで上記走査領域を磁気的に走査する第2の走査ステップによって検出信号を得る検出ステップと、上記検出信号に関するデータをコード表示部に記録する書込みステップとを含み、
上記照合プロセスは、上記第1の磁性素子と第2の磁性素子に該第2の磁性素子の保磁力よりも大きな磁界を与えて着磁させたのち上記バイアス磁界のもとで上記走査領域を磁気的に走査する第1の走査ステップおよび上記磁界の向きを変えて上記第1の磁性素子と第2の磁性素子の着磁方向を異ならせたのち上記バイアス磁界のもとで上記走査領域を磁気的に走査する第2の走査ステップによって検出信号を得る検出ステップと、上記コード表示部に記録されているデータを読取るコード読取りステップと、上記データが上記検出信号と対応した時にこの被検出物が真正であると判断する判別ステップとを具備したことを特徴とする被検出物の真正さをチェックする方法。 - 磁気的に軟質な低保磁力の第1の磁性素子と磁気的に硬質な高保磁力の第2の磁性素子とを走査領域中にランダムに混入した被検出物、の真正さをチェックするための装置であって、
上記第2の磁性素子の保磁力よりも大きな磁界を上記走査領域の上記第1の磁性素子と第2の磁性素子に与えかつ上記磁界の向きを切替えることの可能な着磁器と、
上記第1の磁性素子の保磁力よりも大きくかつ上記第2の磁性素子の保磁力よりも小さいバイアス磁界のもとで上記走査領域を磁気的に走査することにより検出信号を得る磁気センサと、
1回目の走査と2回目の走査とで上記着磁器の磁界の向きを切替えて上記走査領域を複数回走査することによって得た検出信号に関するデータを暗号化する手段と、
上記暗号化されたデータを被検出物のコード表示部に記録するコード書込み手段と、
上記コード表示部に記録されている上記データを読取る読取り手段と、
上記データと上記検出信号とを照合しかつ両者が互いに対応した時にこの被検出物が真正であると判断する手段と、
を具備したことを特徴とする被検出物の真正さをチェックするための装置。 - 上記第1の磁性素子の保磁力をH1 、上記第2の磁性素子の保磁力をH2 、着磁器の磁界の大きさをB1 、磁気センサのバイアス磁界の大きさをB2 としたとき、H1 <B2 <H2 <B1 としたことを特徴とする請求項3記載の被検出物の真正さをチェックするための装置。
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1997
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