JPH08311722A - ポリアクリロニトリル繊維からなる多次元のシート構造の製造方法及び装置 - Google Patents
ポリアクリロニトリル繊維からなる多次元のシート構造の製造方法及び装置Info
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- JPH08311722A JPH08311722A JP8145194A JP14519496A JPH08311722A JP H08311722 A JPH08311722 A JP H08311722A JP 8145194 A JP8145194 A JP 8145194A JP 14519496 A JP14519496 A JP 14519496A JP H08311722 A JPH08311722 A JP H08311722A
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Abstract
アクリロニトリル繊維からなる織布、積層物、編布、フ
ェルト又はフリースのような二次元又は三次元のシート
構造を不溶性で炭化されない形に1処理工程で直接移行
させる方法を提供する。 【解決手段】 ポリアクリロニトリル又は主としてポリ
アクリロニトリル繊維からなる多次元のシート構造を酸
素を含む又は酸素を供給する物質を含むガスを貫流さ
せ、熱的に安定化しているが炭化されない状態にする。
このガス又はガス混合物はシート繊維構造内の温度を調
整する媒体としてまた酸素キャリア並びにガス状反応生
成物を搬送する作用する。ガス/ガス混合物の温度及び
流速を各々のシート繊維構造の安定化特性に合わせて正
確に調整する。この方法を実施するために使用される装
置は少なくとも1個のチャンバ状区間22を有する炉2
3からなり、この炉23を通してシート繊維構造の織物
巻物18は連続的に搬送される。このシート繊維構造1
8の搬送中酸素を含む又は酸素を供給するガスを制御下
に貫流させる。
Description
として炭素からなるポリアクリロニトリル又は主にポリ
アクリロニトリルを出発物質とする繊維からなる多次元
のシート構造の製造方法及び第2にこの方法を実施する
ための装置及びこの方法により製造されるシート構造に
関する。
成された例えばセルロース、ウール、合成樹脂、ピッチ
又はポリアクリロニトリルのような有機ポリマーを出発
物質とするような例えば織布、編布、積層物、フェルト
又はフリースのような多次元のシート構造は極めて多岐
にわたる分野で使用されている。ごく限られた用途を擧
げても車両用シート又は作業保護手段の難燃性織布とし
て、最高温までの保護ガス下に使用可能の絶縁材料とし
て、耐食性フィルタ材として、品質によっては導電性又
は絶縁性基板として又は複合材料の出発物質として使用
されている。ここに記載されている材料としての最低の
要件は、その出発材料の繊維がある時点に熱処理により
不溶性に移行されていること、またその際生じた変化に
も拘らず繊維構造が維持されることである。この熱処理
は酸化又は安定化を意味する。熱処理は酸化剤の補助下
に行われ、使用された織物構造の繊維は一定の特性を維
持するように制御される。製造を合理的にするためにこ
の安定化工程はあらゆる織物巻物に、しかも連続的操作
で実施されることが望ましい。例えばセルロースからな
る織物材のような若干のタイプのものではこれは今日既
に可能となっている。繊維から作られたポリアクリロニ
トリル(以後PANと記載する)をベースとする多次元
のシート構造の場合、連続的操作での巻物の安定化は今
日まで経済的には行うことはできず、あまり薄くない織
物巻物又は1枚の織物を断続的に安定化する場合でも問
題となる点が多い。従ってポリアクリロニトリルをベー
スとする熱的に安定化された繊維からなる多次元のシー
ト構造は今日までまずPAN繊維をこのような熱的安定
化、即ち不溶性にし、次いで安定化された繊維を種々の
多次元のシートの繊維構造に更に加工するような比較的
経費を要する方法で製造されてきた。更にフェルトの場
合には熱的に安定化された繊維をまずクリンプ(けん
縮)し、その後でこれをステープルファイバに裁断し、
このステープルファイバから最終工程でフェルトに仕上
げなければならない。このような方法は煩雑で経費を要
するものである。それというのもPAN繊維は熱的安定
化の際にその織物特性の一部を失い、種々の織物構造に
加工することが困難になるからである。しかしこの方法
は、熱的安定化の際に繊維に強い発熱反応が生じ、全て
の織物層又は巻物の安定化の際に熱の除去が妨げられて
繊維に断熱過熱が生じ、これが繊維の融解又は燃焼を結
果として生じるので、必要である。これらの反応、即ち
酸化剤、特に酸素の作用下のポリマーの脱水素化、その
ヘテロ芳香族はしごポリマーを形成するための環化並び
に十分な化学的架橋化及び不所望ではあるがしかし完全
に抑制し得ないポリマーの不特定の酸化が並行して生じ
(これに関しては例えばフィッツァ(E.Fitze
r)、ミュラー(D.J.Mueller)による「カ
ーボン(Carbon)13」1975年、第63〜6
9頁参照)、これらの反応は処理技術的措置により極め
て限られた程度にしか抑制できるに過ぎない。しかし繊
維の架橋組織の破壊を阻止することができたとしても繊
維は不適切な温度挙動で損傷される。このような損傷は
例えば過度の激しい脆化又は過大な酸素の受容で、その
後の炭化工程時に高度の酸化損傷及びそれに伴う品質の
低下を来す。
は、ポリアクリロニトリル又は主としてポリアクリロニ
トリルからなり、例えば織布、編布、織編布、層材、フ
ェルト、フリースのような繊維からなる多次元のシート
構造を不溶性で炭化されない形に1処理工程で直接移行
させる方法を提供することにある。本発明の課題は特に
シート構造内の反応温度を時間と関連してより正確に調
整することを可能にする連続加工方法を提供することに
ある。更に別の課題は本発明方法を実施することのでき
る装置又は設備を提供することにある。最後に本発明方
法の使用下に製造される不溶性にされても炭化されない
繊維からなる多次元のシート構造を提供することも本発
明の課題である。
に記載の特徴によって解決される。本発明の他の課題は
従属請求項に記載の特徴により解決される。
れている繊維又は繊維からなる多次元のシート構造の
“不溶性で炭化されない形”とは“熱的に安定化され
た”又は“安定化された”繊維又は繊維からなる多次元
のシート構造を意味し、従って320℃以上の温度で達
成される、“部分的に炭化された”、“炭化された”又
は“黒鉛化された”繊維又はシート構造の熱処理段階と
は明らかに異なるものである。“繊維構造の多次元のシ
ート構造”の表現は以後短縮して“織物巻物”の表現を
使用する。
ント(繊維)に安定化の際に生じる反応が開始される程
度の熱が通される。開始時点から反応エンタルピーの合
計は極めて発熱的なものであり、これらの反応は制御手
段を使用して阻止しなければ織物巻物の融解又は燃焼を
伴って進行することになろう。本発明方法の極めて重要
な特徴は、PAN繊維からなる多次元のシート構造又は
織物巻物に開始時の熱需要及びそれに続く発熱範囲によ
り特徴付けられる全ての熱安定化段階中に相応する適切
な方法で熱処理されたガス又はガス混合物を貫流させる
ことである。そうすることにより初期段階において繊維
に対し安定化反応が起こり始めるような熱量の移行が行
われる。その後発熱反応が所定の温度で進行するように
ガスが繊維を冷却し、繊維内の熱の展開が反応の減衰に
より弱まる最終段階で場合によっては再び熱が通され、
所望の反応を反応温度を維持しかつ安定化を迅速に終わ
らせるようにする。安定化の全段階で貫流するガスは物
質搬送の媒体として作用する。このガスは酸素又は酸素
キャリアを繊維に運び、例えばH2O、CO2、CO又は
HCNのようなガス状反応生成物を繊維から除去する。
繊維への及び繊維からのこれらの物質の移行は拡散を制
御されて行われるので、織物巻物内に比較的大きな流動
速度が働き繊維上に薄い相境界面を得るのに有利であ
る。これはできるだけ良好な熱の移行に対する条件を満
足する。
織物巻物を貫流し織物巻物内の温度を調整するガスの調
整値となる織物巻物内の温度を正確に検出する必要があ
る。断続的操作の場合これは困難ではない。測定及び調
整を行う熱電対を織物巻物内に装着することができる。
しかし連続的操作が好ましい場合には状況は異なる。こ
の場合には織物巻物内の温度の調整及び維持には間接的
方法が次のようにして行われる必要がある。多次元のシ
ート構造の内部の温度を例えば熱電対により正確に測定
することのできる断続的に作動する実験装置内で、パラ
メータ(ガスの組成、温度及び流速)を変えることによ
り熱的に安定化された状態の所望の品質の繊維からなる
多次元のシート構造が得られる温度範囲がまず検出され
る。その後なお必要であれば、予め織物巻物中で測定さ
れた温度範囲内にある基準値となる温度経過を前提とし
て、正確で経済的な反応工程に必要な貫流ガス温度及び
流速及び場合によっては圧力などの依存値を求めること
ができる。上記の実験を行うための装置についてはこの
明細書の別の箇所に記載する。上述の方法により検出さ
れたパラメータは連続的に作動する設備内でも容易に測
定及び制御可能であり、これらを介して織物巻物内の所
望の温度分布の調整及び維持を行うことができ、更に製
造設備に転用される。この設備内における織物巻物の温
度の監視及び微調整は(もし必要であれば)例えば織物
巻物に流れ込むガスと織物巻物から流れ出るガスの温度
差を測定することによって、或は薄い織物巻物の場合に
は織物巻物の表面温度を測定することにより行うことが
できる。安定化に関与する反応の開始後安定化中の温度
経過は等温的に、或は一定の温度水準から降下させて或
はそのような温度水準から上昇させて制御することがで
きる。上述の3つの温度経過を組み合わせることは必要
に応じて可能である。
メータは安定化反応に必要となる時間である。もちろん
この反応をできるだけ短時間に行うことはこれまで常に
試みられて来た。製造される安定化された織物巻物はそ
の後の使用目的によって一定の材料特性値を有していな
ければならず、また後に記載するように安定化条件に極
めて依存するものであることから、多くの場合可能な最
短時間ではなく、即ち可能な最高温度で行われる。品質
に対する要件と温度経過及び安定化反応に必要な時間と
の間には最適な調和が保たれなければならない。
れた多岐にわたる種類の多次元のシート構造を安定化す
ることができる。その際シート構造の厚さ(1/10m
m範囲の厚さの織布又はフリース(不織布)から厚さ1
0cm又はそれ以上のフェルトを安定化できる)の他に
違いは材料組成(純粋なPAN又はコポリマー又は付加
物を含むPAN)、繊維及び糸の製造方法(例えばステ
ープルファイバ又はフィラメントから作られる糸)又は
織布、編布、結節布、織編布、フェルト状布、乱層状布
のような多次元のシート構造の製造方法及びシート構造
内の繊維の密度又は充填率に関するものである。一般的
に見てガスを貫流させることのできる全てのPAN繊維
からなる多次元のシート構造は熱的に安定化可能であ
る。
性を有しており、従ってこれらの品質の各々に対して作
動の仕方は実験により決定されなければならない。この
措置の必要性を次に記載する例により明らかにする。織
物巻物、例えばフェルト(これは繊維が極めて緊密に互
いに配置されている)は安定化中に進行する反応に際し
て高いエネルギー密度を示し、その断熱性が極めて良好
で、これをガスが貫流することは比較的困難である。過
度の高温で速度が速すぎる操作では反応を抑制できなく
なり(反応の暴走)織物巻物に損傷を来すことになる。
しかし一見極めて目が緩く見える織物巻物でも実際には
極めて厚い繊維又は繊維の束から形成された織物巻物
(例えば織布、編布)は、同様に比較的緩慢に高過ぎな
い温度で安定化されなければならない。それというのも
この場合貫流ガスにより良好に熱を供給及び排除できる
にも拘らず繊維又は繊維の束の内部が過熱されることは
回避しなければならず、また安定化反応にはその拡散を
制御された経過の故にある程度の時間が必要となるから
である。それに比べて細い糸の繊維構造の目の緩い薄い
織物巻物は比較的問題が少なく、比較的高温で短時間内
に安定化可能である。上述の実施例に関して有利な操作
の仕方を擧げることは難しい。しかしながら織物巻物を
高装入量率で操作する本発明の主旨から、織物巻物に一
定の品質基準を維持しながら最短時間で熱的安定化を可
能にする方法が常に優先される。
ガス混合物で行う代わりにその組成が安定化反応中に変
化するガス混合物で行うか又は反応の一部に不活性ガス
(例えば窒素又はアルゴン)を、また別の反応部分に酸
化剤を含むガスを使用して行ってもよい。このようにし
て例えば不活性ガス下にまず脱水素化反応及び酸化反応
を行い、それらの繊維内の反応エンタルピーを抑制し、
次の段階でこれらの反応を酸化条件下に回復するように
して安定化に関与する反応の進行を相互に遅延させるこ
とができる。逆の場合には繊維を酸化条件下でまず予備
酸化して酸素を付加し、次いで反応を不活性ガス下に前
述のようにして終わらせてもよい。
〜320℃、有利には220〜260℃であり、その際
これらの温度は織物巻物を貫流する流入側のガスの温度
と規定される。所定のガス温度を使用しまた反応過程が
適正な進行をたどる場合、織物巻物内の個々の繊維の温
度は流入するガスの温度より最高10Kまで高くてもよ
い。織物巻物の繊維構造、寸法並びに織物巻物の繊維の
形状及び材料組成により安定化は0.5〜10時間の範
囲内で、有利には0.5〜6時間内に行われる。もちろ
ん安定化はもっと長時間で行われてもよいが、しかしこ
れは不経済性を増すことになりまたシート構造又はその
繊維は例えば高すぎる酸素受容により品質の損傷を蒙る
ことになりかねない。
Nポリマーの脱水素化反応の進行には酸素が存在してい
る必要がある。ガス又は蒸気の形に変化することのでき
る酸素を発生する全ての物質は酸素ドナーと考えられる
が、しかし特に分子状酸素、オゾン、三酸化硫黄、二酸
化窒素又は四塩化二窒素、一酸化二窒素又は笑気及び一
酸化窒素が重要である。これらの物質は一般に仮にそれ
が可能であるとしても純粋な形ではなく不活性なキャリ
アガスと混合して使用される。その際酸素からなるか又
は酸素を含む物質の分量は100%のガス混合物に関し
て20容量%が有利である。特に有利な混合ガスは空気
である。
付加的な処理工程として部分炭化、炭化及び黒鉛化を安
定化プロセスに後続させてもよい。それには1つの又は
複数の付加的な処理工程を酸化設備に接続されているか
又はこの設備の一部である設備内で行ってもよい。部分
炭化はそれ自体公知の方法で不活性雰囲気下に320〜
800℃の温度範囲、有利には500〜700℃の温度
で行われる。連続的に行うことのできるこの処理工程で
は織物巻物の炭素含有量は水素、酸素及びヘテロ原子、
特に窒素を排除することにより更に高められ、フィラメ
ント中の炭素骨格の架橋が拡大される。それと並行して
難燃性、耐熱性及び耐食性が高まり、その際織物巻物中
の繊維の屈撓性は十分維持されている。部分炭化された
織物巻物は例えば難燃性織物類、絶縁外被、フィラメン
トとして又は複合材料の製造に使用可能である。
れは不活性雰囲気下に800〜1800℃の温度範囲内
で、有利には800〜1400℃で行われる。連続して
行うこともできるこのプロセスの場合多次元のシート構
造を形成する繊維は完全に炭素に移行される。このよう
な多次元のシート構造は保護ガス下に最高温まで使用す
ることができる。これらのシート構造は耐食性に傑出し
ており、比較的高い電気抵抗を有する。従って例えば触
媒又は電気化学用途のフィラメント材として又は基板材
として使用することができる。このように製造されたフ
ェルトは例えばその断熱性の故に高温絶縁材としても非
酸化雰囲気下に使用可能である。しかし炭化された織物
巻物の主な使用分野は複合材料、特に合成樹脂マトリッ
クス又は炭素マトリックスとの複合材料の製造である。
ト構造の最終の熱的精製段階は黒鉛化である。これは不
活性雰囲気下に1800〜約3000℃の温度範囲、有
利には2000℃以上の温度範囲で行われる。この処理
工程も連続的に、例えばドイツ連邦共和国実用新案第7
231623号明細書に基づく設備を使用して実施可能
である。
のシート構造の各々は多岐にわたる種類の複合材料の製
造に適したものである。それぞれ適した織物巻物マトリ
ックスの組合せを選択することにより例えば炭化、黒鉛
化、含浸、被覆、燬焼又は活性化のようなその後の加工
工程及び/又は精製工程と共に多くの用途に合わせて材
料を製造することができる。
に安定化されたPANをベースとする繊維からなる多次
元のシート構造を製造する場合従来必要とされた迂回策
(まずPAN繊維を熱的に安定化し、次いでこの熱的に
安定化された繊維(これは安定化されないPANからな
る繊維に比べて著しく硬く、従って機械的に影響を蒙り
易くかつ織布に加工しにくい)を織物巻物に加工する)
を省略できる。この利点は例えばフェルトの製造の際に
行われるようなこれらから織物巻物を製造する前に更に
繊維を加工してけん縮(クリンプ)又は/及びステープ
ルファイバに加工しなければならない場合に特に有利で
ある。PAN繊維からなる織物巻物は直接熱的に安定化
可能である。この方法の場合PAN繊維からなる多次元
のシート構造の製造は問題となる点がなく、従って多く
の品質においてを商業的に使用可能である。−本方法は
連続的に行うことが可能である。その結果その材料特性
の均質な配分及び質的に一層良好に熱的に安定化された
PANをベースとする織物巻物を経済的に製造すること
ができる。−材料特性の一層均等な配分により更に織物
巻物を加工する際、特に部分炭化、炭化及び黒鉛化の際
に加工上の利点が生じる。この加工段階の後に得られる
織物巻物は同様に一層優れた品質を示す。
るためのパラメータを求めるための装置について、次い
でPAN繊維をベースとする多次元のシート構造の連続
的熱的安定化のための装置について例を挙げて記載す
る。
熱性で熱の変化に対して耐性のある装置用ガラス(デュ
ラン)からなる内径が例えば12cmの流動管が概略的
断面図で示されている。部分管1、1′の各々は流動管
の中央側にフランジ2、2′を有しており、それにより
既知の手段で2つの部分管1、1′は流動管として接合
される。フランジ2、2′間にはパッキンとして黒鉛又
は耐熱性のPTFEパッキン3がはめ込まれている。部
分管1、1′の他端には詳細には示されていない部分管
1側にある管を貫流するガスの供給部4又は部分管1′
側にある排出部5がある。ガス供給部4側には付加的に
送り装置17、ガス流加熱及び調整装置6がごく概略的
に図示されている。流動管の中央にはテストすべき円板
状の織物巻物7がクロム−ニッケル鋼からなる細い針金
でできている比較的目の粗い金網8(目の大きさ3〜5
mm、針金の太さ約0.2mm)と共にフランジ2、
2′間のフランジ領域内に市販の柔軟な黒鉛からなる2
個の環状の座金で挟み込まれている。金網8は織物巻物
7を支え、比較的強い流動圧によるたわみを抑制されて
いる。部分管1の供給部4に入るガスを流動管の横断面
の上方に均一に分配するために部分管1の1/3の箇所
に孔明き板9を取り付ける。温度、流速及びガス圧力の
値を測定するために流動管中に以下に記載する測定箇所
を設ける。部分管1内の流入範囲の流速を測定するため
に管中央部10及び壁面付近10′の2箇所、部分管1
内の流入範囲の流速を測定するために管中央部11及び
壁面付近11′の2箇所、流入範囲12内のガス圧力を
測定するための1箇所、織物巻物内又は直接巻物の温度
を測定するために中央部13及び縁範囲13′の2箇
所、織物の後側の流出範囲14内のガス圧力を測定する
ための1箇所、流出範囲内の温度測定のために管の中央
部15及び壁面付近15′の2箇所、流出範囲16内の
流速を測定するための1箇所。
れていないガス冷却区間の後方に回転数を調整可能なフ
ァン17′があり、これにより流出範囲の織物巻物の貫
流を改善するため流入範囲の圧力に対する圧力差を適切
に調整することができる。
る多次元のシート構造の熱的安定化を行うための設備が
同様に縮尺して概略的に示されている。織物巻物18は
巻解きユニット19上に卷かれた織物20から巻き解か
れ、金網格子21、有利には細い針金で網目の大きい金
網格子上に少なくとも1つの熱的安定化の条件を維持す
るチャンバ状区間22からなる炉23を通して搬送さ
れ、炉23を後にして巻き付け装置24に巻き上げられ
る。有利には金網格子21は織物巻物18と等速で炉2
3を通して移動される。金網格子21は更にエンドレス
ベルトとして駆動ローラ25、25′により回転する。
これに関しては既知の他の方法によ0り行ってもよい。
一定の設定時間内に炉23を通過する際それぞれ所定の
組成及び温度を有する安定化供給に合わせた一定量のガ
スが織物巻物18を貫流する。炉23内の温度と流れを
制御及び調整するために織物巻物18の上方の流入範囲
内及び織物巻物の下方へ流出範囲内に温度(T)、ガス
圧力(P)及び流速(V)の測定箇所が設置されてい
る。適当に接続された調整回路を介してこれらの箇所で
測定される値によって流入範囲のガス温度を調整するた
めの加熱装置26、所望のガス流を形成するための流入
範囲にあるファン27及び流出範囲からのガスを搬出し
織物巻物18の効果的貫流に必要な圧力差を維持するた
めの流出範囲にあるファン28を制御する。炉23の各
々の区間22、22′、22″、22′′′の横断面の
上方に均質なガス流を形成するために金網格子又は孔明
き板32が設けられている。熱的安定化に問題がない場
合、例えば容易に貫流可能の比較的薄い織物巻物の場
合、流出範囲のファン28も省略可能である。流入範囲
と流出範囲のガスの温度の測定は織物巻物内の温度比を
制御する作用をし、正確な反応経過及び織物巻物の品質
の重要な推定を可能にする。一定の組成のガスによる等
温作動では炉23を区間22、22′、22″、2
2′′′に分割することは省略できる。しかし一定の温
度勾配を使用して又は異なる組成のガスで安定化反応を
行わなければならない場合、他の区間22内の炉に関係
なく制御できるように炉23をいくつかの区間22に分
割しなければならない。その場合処理パラメータはそれ
らの別の区間22の各々を抑制することができる。区間
22、22′、22″、22′′′の数はここでは単に
例として4つ記載している。処理技術上必要に応じて装
置の区間22の数は多くしても少なくしても構わない。
織物巻物18は常に一定の速度で炉を通して移動するの
で個々の区間内における織物巻物18の滞留時間は大き
さ、即ち織物巻物18の進行方向の区間22の幅によっ
て調整されなければならない。同じ圧力レベルに調節さ
れた隣接するチャンバ状区間22のガス流が混ざり合う
ことは区間22の隔壁が殆ど織物巻物にまで達して下方
に延びていること以外に、流入区間内の圧力に比べて流
出区間内を若干低圧に維持することにより回避される。
流入区間内のガスの圧力は互いに違い過ぎてはならな
い。場合によっては炉の入口29又は炉の出口30にお
けるガスはそこにあるスルースボックス31、31′に
集められかつ吸引される。
形で記載されている実施例に基づき以下に詳述する。
維からなるドラニット(Dolanit)R10で作ら
れた市販のフェルト又はドラン(Dolan)R25又
はドラニットR12をベースとするPAN繊維から作ら
れた織布を図1による設備内で流動ガスとして空気を使
用して行われた。このようにして得られた熱的に安定化
された多次元のシート構造をその後均質な不活性条件下
に最大温度勾配10K/時間でシャフト炉内で5日間炭
化した。表1、2及び3には最初に出発物質(PANフ
ェルト又はPAN織布)の特徴データが、次に熱的安定
化の行われた温度/時間条件が、更に熱的に安定化され
たシート構造の特徴データが記載されている。また最後
に本方法により熱的に安定化された多次元のシート構造
をその後の処理工程、例えば炭化により更に加工可能で
あることを示す実験例が記載されている。
種の織物巻物が前記の方法による種々の処理条件下に熱
的に安定化可能であることを示している。更にこの実験
結果から熱的安定化の際に処理条件を選択することによ
って製造される織物巻物の特性を決めることができるこ
とが推論できる。これは本発明方法で簡単な予備実験を
行った後熱処理された所定の特性を有するPAN繊維か
らなる多次元のシート構造を目標どうりに製造できるこ
とを証明している。
置ガラスからなる流動管の断面図。
のシート構造の熱的安定化を行うための装置の概略断面
図。
所 14 流出範囲のガス圧力測定箇所 15、15′ 流出範囲の温度測定箇所 16 流出範囲の流速測定箇所 17 流入範囲の回転数可調整ファン 17′流出範囲の回転数可調整ファン 18、20 多次元のシート繊維構造からなる巻物 19 巻き解き装置 21 送り軌道(金網格子) 22、22′、22″、22′′′ 炉のチャンバ状区
間 23 炉 24 巻き解き装置 25、25′ 送り軌道用ローラ 26、26′、26″、26′′′ 炉のガス加熱部 27、27′、27″、27′′′ 流入範囲のファン 28、28′、28″、28′′′ 流出範囲のファン 29 炉の入口 30 炉の出口 31、31′ スルースボックス 32、32′、32″、32′′′ ガス流均等化用格
子
Claims (18)
- 【請求項1】 炭素又は主として炭素からなりポリアク
リロニトリル又は主にポリアクリロニトリルを出発物質
とする繊維からなる多次元のシート構造を製造する方法
において、ポリアクリロニトリル又は主にポリアクリロ
ニトリル繊維からなる多次元のシート構造を不溶性で炭
化されない形に移行させるために、その織物構造を維持
しながら180〜320℃の範囲の温度に加熱されかつ
酸素を発散する物質を含むガスを最低0.5時間〜最高
10時間貫流させ、その際シート構造を貫流するガスの
分量を、一方ではポリアクリロニトリル又は主としてポ
リアクリロニトリルからなる繊維の熱的に安定化する化
学反応に必要な温度をシート構造中に常に維持し、他方
ではこれらの繊維を損傷する過熱がシート構造に生じな
いように調整することを特徴とする多次元のシート構造
の製造方法。 - 【請求項2】 繊維から構成される多次元のシート構造
を貫流するガスとして酸素、オゾン、SO3、NO2、N
2O、NOの群の酸化剤を含むガスを使用することを特
徴とする請求項1記載の方法。 - 【請求項3】 有機ポリマーからなる多次元のシート構
造を不溶性で炭化されない形に移行させるために空気を
酸化剤として使用することを特徴とする請求項1記載の
方法。 - 【請求項4】 有機ポリマーからなる多次元のシート構
造を不溶性で炭化されない形に移行させるために、まず
180℃〜320℃の範囲の温度に加熱させた不活性ガ
スを、次いで酸化剤を含む180〜320℃の範囲の温
度のガスをこのシート構造に貫流させることを特徴とす
る請求項1ないし3の1つに記載の方法。 - 【請求項5】 有機ポリマーからなる多次元のシート構
造を不溶性で炭化されない形に移行させるために、まず
180℃〜320℃の範囲の温度に加熱させた酸化剤を
含むガスを、次いで180〜320℃の範囲の温度を有
する不活性ガスをこのシート構造に貫流させることを特
徴とする請求項1ないし3の1つに記載の方法。 - 【請求項6】 有機ポリマーからなる多次元のシート構
造を不溶性で炭化されない形に移行させるために、少な
くとも220〜260℃の範囲の温度を有するガスをこ
のシート構造に貫流させることを特徴とする請求項1な
いし5の1つに記載の方法。 - 【請求項7】 有機ポリマーからなる多次元のシート構
造を不溶性で炭化されない形に移行させるために、0.
5〜6時間の範囲内で少なくとも180〜320℃の範
囲の温度に加熱させたガスをこのシート構造に貫流させ
ることを特徴とする請求項1ないし7の1つに記載の方
法。 - 【請求項8】 操作を連続的に行うことを特徴とする請
求項1ないし7の1つに記載の方法。 - 【請求項9】 不溶性で炭化されない形に移行された多
次元のシート構造を付加的に非酸化の条件下に320〜
800℃の範囲の温度で部分炭化させることを特徴とす
る請求項1ないし8の1つに記載の方法。 - 【請求項10】 不溶性で炭化されない形に移行された
多次元のシート構造を500〜700℃の範囲の温度で
部分炭化させることを特徴とする請求項9記載の方法。 - 【請求項11】 不溶性で炭化されない形に移行された
多次元のシート構造を320〜800℃の温度範囲を経
過後、付加的に800〜1800℃の温度範囲で炭化さ
せることを特徴とする請求項1ないし10の1つに記載
の方法。 - 【請求項12】 800〜1400℃の温度範囲で炭化
を行うことを特徴とする請求項11記載の方法。 - 【請求項13】 多次元のシート構造として織法、編法
又は織編法により形成された織物巻物を使用することを
特徴とする請求項1ないし12の1つに記載の方法。 - 【請求項14】 多次元のシート構造としてフリース又
はフェルトを使用することを特徴とする請求項1ないし
12の1つに記載の方法。 - 【請求項15】 請求項1ないし13の1つに記載の方
法により製造されることを特徴とする炭素又は主として
炭素からなる繊維から構成される多次元のシート構造。 - 【請求項16】 ポリアクリロニトリル又は主にポリア
クリロニトリルからなる繊維からなる多次元のシート構
造(18)を連続的に熱処理するために、巻き解き装置
(19)及び巻き付け装置(24)、巻き解き装置(1
9)と巻き付け装置(24)との間に配設され繊維から
なる多次元のシート構造(18)にガスを貫流させる送
り軌道(21)、及び繊維からなる多次元のシート構造
(18)用の送り軌道(21)の一部の周りに配設され
た繊維からなる多次元のシート構造(18)を送り軌道
(21)に搬送することのできる炉(23)を有する装
置において、 炉(23)が繊維からなる多次元のシート構造(18)
を搬送することのできる少なくとも1つのチャンバ状区
間(22)を有し、 ガスを少なくとも1つのチャンバ状区間(22)を通し
て運ぶことのできる装置(27)が設けられ、 少なくとも1つのチャンバ状区間(22)を貫流するガ
スを調整下に加熱することのできる装置(26)が設け
られ、 少なくとも1つのチャンバ状区間(22)が、温度調節
されたガスが繊維からなる多次元のシート構造(18)
の方向にできるだけ均一に流れこのシート構造を貫流す
るように形成されており、 ガスの流れる方向から見て繊維からなる多次元のシート
構造(18)の背後に繊維からなる多次元のシート構造
(18)を貫流してきたガスを搬出又は吸引するための
装置(28)が設けられ、またガスの流れる方向から見
て少なくとも繊維からなる多次元のシート構造(18)
の前に少なくとも1つのチャンバ状区間(22)内にガ
スの温度及びガスの流動状態を測定及び調整するための
少なくとも1つのチャンバ状区間(22)を流れるガス
の温度又は/及びガス流を一定の設定値に調整する装置
(T、p、v)が設けられることを特徴とするポリアク
リロニトリル又は主にポリアクリロニトリルからなる繊
維からなる多次元のシート構造(18)を連続的に熱処
理する装置。 - 【請求項17】 ガスの流れる方向から見て繊維からな
る多次元のシート構造(18)の前後に少なくとも1つ
のチャンバ状区間(22)内のガスの温度及びガスの流
動状況を測定及び調整するための装置(T、p、v)が
設けられることを特徴とする請求項16記載の装置。 - 【請求項18】 ガスの流動状況を監視及び調節するた
めにガスの圧力(p)及びガスの流動速度(v)の測定
及び調整装置が設けられることを特徴とする請求項16
又は17記載の装置。
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