JP2999042B2 - 気相法炭素繊維の製造方法及びその製造方法に使用される気相法炭素繊維製造装置 - Google Patents

気相法炭素繊維の製造方法及びその製造方法に使用される気相法炭素繊維製造装置

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JP2999042B2 JP3345734A JP34573491A JP2999042B2 JP 2999042 B2 JP2999042 B2 JP 2999042B2 JP 3345734 A JP3345734 A JP 3345734A JP 34573491 A JP34573491 A JP 34573491A JP 2999042 B2 JP2999042 B2 JP 2999042B2
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稔 原田
文夫 河村
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は気相法炭素繊維の製造
方法及びその製造方法に使用される気相法炭素繊維製造
装置に関し、更に詳しくは、高い収率で炭素繊維を製造
することのできる気相法炭素繊維の製造方法及びこの発
明の製造方法を実施することのできる、構造の簡単な気
相法炭素繊維製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】気相法炭素繊維の製造方法として、二方
法がある。第一の方法は、遷移金属の超微粒子の存在す
る基板を装填するところの、加熱された反応管内に、原
料ガスを流通させ、原料ガスの熱分解により、基板上に
炭素繊維を成長させる方法である。第二の方法は、この
出願人がすでに提案したところの、遷移金属化合物と炭
素化合物とキャリアーガスとを含有する原料ガスをガス
状で反応管内に導入し、加熱された反応管内で、浮遊状
態にある遷移金属をシードとして炭素繊維を成長させる
方法である(特開昭60−54998号公報参照)。
【0003】この出願人の提案に係る気相法炭素繊維の
製造方法は、流動気相法炭素繊維の製造方法とも称さ
れ、炭素繊維を連続的に製造することができるので、大
量生産に好適である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記流動気相法炭素繊
維の製造方法は、生成する炭素繊維の収率([生成した
炭素繊維重量÷供給した炭素重量]×100)は40%
以下であった。この理由は、遷移金属化合物から熱分解
により生じたところの、遷移金属超微粒子が気相法炭素
繊維が生成する温度領域までの反応管内壁との接触等に
より触媒活性が失われることにあると、考えられてい
た。又この発明者の検討により、原料ガスの導入管の内
部温度が触媒になる遷移金属化合物の分解温度以上に達
すると、炭素繊維の生成が悪くなることも判明した。
【0005】この発明は高い収率で炭素繊維を製造する
方法及びその方法に使用される製造装置を提供すること
を目的にする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
のこの発明の気相法炭素繊維の製造方法は、炭素化合物
から気相法により気相法炭素繊維を製造する方法におい
て、遷移金属化合物と炭素化合物とを含有する原料ガス
を、遷移金属化合物における分解温度以下で、前記遷移
金属化合物の凝縮温度以上の温度に保持し、反応炉内に
おける500〜1000℃に調節された温度領域に供給
し、前記反応炉における前記温度領域に導入された前記
原料ガスを、前記反応炉内において前記温度領域よりも
高温に保持されてなる均熱部に導入することを特徴と
し、気相成長炭素繊維製造装置は、炭素化合物から気相
法により気相成長炭素繊維を製造する気相法炭素繊維製
造装置において、前記請求項1に記載の原料ガスを導入
する内管と前記原料ガスを遷移金属化合物の分解温度以
下凝縮温度以上の温度に調節する温度調節媒体を流通さ
せる外套管とを有する原料導入管を備えてなることを特
徴とする。
【0007】以下この発明の方法について詳述する。
【0008】この発明の方法に使用する原料ガスにおけ
る炭素化合物及び遷移金属化合物としては、特開昭60
−54998号、特開昭60−54999号、特開昭6
0−181319号、特開昭60−185818号、特
開昭60−224815号、特開昭60−224816
号、特開昭61−34221号の各公報に記載の化合物
を使用することができる。
【0009】以上の公報に記載されたように、この原料
ガスは、水素、アルゴン等のキャリヤーガスを含めて使
用される。
【0010】この発明の方法では、反応室内に導入する
原料ガスを使用する遷移金属化合物の分解温度以下で、
しかも遷移金属化合物が凝縮しない温度以上に加温す
る。反応室内に導入する原料ガスの温度が遷移金属化合
物の分解温度を越えると、反応室に導入する以前に遷移
金属化合物の分解により生じた遷移金属が原料ガス導入
管の内壁に接触することにより触媒としての遷移金属が
失活することがあり、又、反応室内に導入する原料ガス
の温度が使用する遷移金属化合物が凝縮する温度以下で
あると遷移金属化合物が凝縮し、反応管内に安定に供給
されず好ましくないことがある。
【0011】反応室内に導入する原料ガスを前記範囲の
温度に調整するには、例えば、この発明の製造装置にお
けるように、原料ガスを導入する内管と前記原料ガスを
遷移金属化合物の分解温度以下に、好ましくは遷移金属
化合物の凝縮温度以上に調節する温度調節媒体を流通さ
せる外套管を有する原料導入管を反応室に接続する。
【0012】ここで、原料導入管として、例えば、図1
に示すような二重管を使用することができる。すなわ
ち、図1に示すように、原料導入管1は、原料ガスを導
入する内管2の外周に外套管3を設け、内管2の内部に
は、温度測定手段例えば熱電対4が設けられ、外套管3
の内部には、図2に示すように、水平に配置されること
によって外套管3の内部を例えば上下に仕切り、しかも
仕切り板の先端部が外套管3の先端部手前に位置するこ
とにより上下に仕切られた外套管3の内部空間を連通さ
せる仕切り板5が設けられている。
【0013】このような構造の二重管においては、外套
管3の内部で仕切り板5により仕切られた下部空間6に
おける導入口8から温度調節媒体が外套管3の内部の下
部空間6内に供給され、仕切り板5の先端部における内
部空間を通じて外套管3内の上部空間7内に導かれ、外
套管3内の上部空間7内を通過してから排出口9から温
度調節媒体が排出されるようになっている。
【0014】この二重管は、反応室内に原料ガスを導入
することができるように、原料ガス出口2aが反応室内
に臨むように配置される。なお、内管2には原料ガス入
口2bが設けられている。
【0015】ここで、内管の材質としては、原料ガスと
反応することがなく、原料ガスの出口が反応室内の温度
に耐える物質であれば適宜に選択することができ、例え
ばステンレス等の金属やセラミックスで形成することが
できる。外套管の材質としては、原料ガス及び温度調節
媒体に犯されることがなく、又、反応室内の温度に耐え
るものであれば、公知の材料を適宜に選択することがで
き、内管と同じく、ステンレス等の金属やセラミックス
等で形成することができる。
【0016】また、温度調節媒体としては、シリコンオ
イル、ダウサム等の液体、窒素、アルゴン、空気等の気
体を挙げることができる。
【0017】なお、温度調節媒体を前記外套管内を流通
させる流量は、温度測定手段で測定した内管内の温度に
応じて調節しても良いし、また、内管内の温度変動が無
視できる程度に小さければ実験的に定めた適正に設定さ
れた一定流量であっても良い。
【0018】この方法における反応室としては、所望の
温度に加熱することができる加熱装置と反応を実行する
ことのできる空間内に前記原料導入管を装填することの
できる構造を有する限り特に制限がなく、通常は、例え
ば電気炉内に設けられたところの、耐熱性の部材で形成
された反応管を挙げることができる。
【0019】この反応管内における均熱部温度は1,0
00〜1,300℃であり、原料ガスを供給する温度領
域としては、500〜1,000℃、好ましくは600
〜900℃、更に好ましくは650〜800℃を挙げる
ことができる。加熱温度が500℃よりも低いと、気相
成長炭素繊維の生成が十分でなく、1,000℃を越え
るとススの生成量が増加するという不都合を生じること
がある。
【0020】この発明の方法を実施する一例としての製
造装置は、電気炉内に装填された筒状の反応管の一端
に、図1及び図2に示すと共に前述した原料導入管が挿
入される。原料導入管における内管の原料ガス入口には
保温管を介して気化器が接続され、この気化器には配管
を介して炭素化合物と遷移金属化合物との混合液と他の
配管を介してキャリヤーガスが導入される。原料導入管
における外套管の導入口からは温度調節媒体が導入さ
れ、排出口からは温度調節媒体が排出される。反応管の
他端には、捕集室が接続され、この捕集室内には、フィ
ルターが装着されていて、キャリヤーガスと共に搬送さ
れてきた気相炭素繊維がこのフィルターにより通過阻止
され、捕集室内に気相炭素繊維が集められる。
【0021】このような製造装置を用いてこの発明の方
法を実施すると、高収率で気相炭素繊維を製造すること
ができる。
【0022】
【実施例】
(実施例1)気相法炭素繊維を下記の条件にしたがって
気相法炭素繊維を製造したところ、炭素生成物の収率
は、65%であった。その炭素生成物をSEMにより観
察したところ、炭素生成物中の炭素繊維は99%の割合
で含まれていた。
【0023】<製造条件> 原料ガスの組成;ベンゼン100g、フェロセン0.6
g、チオフェン0.3g 原料ガスの供給量;3ml/分 キャリヤガスの種類及び供給量 水素、5l/分 原料導入管に原料ガスを供給する保温管の管内温度;2
50℃ 原料導入管における内管の材質;SUS 310S 内管における原料ガス入口の温度;390℃ 温度調節媒体の種類及びその流量;窒素、50l/分 原料ガス出口の反応室温度;730℃ 反応管内の温度;1,090℃(この温度で均一に加熱
されている反応管の長さ:400mm) 原料ガスの注入時間;30分 (比較例1)原料導入管に実施例1において使用したよ
うな2重管を使用せず、前記実施例1と同じ製造条件に
て気相法炭素繊維を製造したところ、炭素生成物の収率
は、43%であった。この炭素生成物をSEMにて観察
したところ、気相法炭素繊維の含有割合はほぼ30%で
あった。 (比較例2)原料導入管に実施例1において使用したよ
うな2重管を使用せず、反応管における原料ガス供給部
における温度を300℃にした外は前記実施例1と同様
の製造条件にて気相法炭素繊維を製造したところ、炭素
生成物の収率は34%であった。この炭素生成物をSE
Mにて観察したところ、気相法炭素繊維の含有割合はほ
ぼ97%であった。
【0024】
【効果】この発明によると、高収率で、しかも異物であ
るスス状炭素を殆ど含まない気相法炭素繊維を製造する
ことのできる気相法炭素繊維を製造することができ、
又、そのような炭素繊維を製造することのできる簡単な
製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明の一実施例である製造装置に
おける原料導入管を示す断面図である。
【図2】図2は、図1におけるII−II線断面図である。
【符号の説明】
1 原料導入管 2 内管 2a 原料ガス出口 2b 原料ガス入口 3 外套管 4 熱電対 5 仕切り板 6 下部空間 7 上部空間 8 導入口 9 排出口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D01F 9/127 D01F 9/133

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素化合物から気相法により気相法炭素
    繊維を製造する方法において、遷移金属化合物と炭素化
    合物とを含有する原料ガスを、遷移金属化合物の分解温
    度以下で、前記遷移金属化合物の凝縮温度以上の温度に
    保持し、反応炉内における500〜1000℃に調節さ
    れた温度領域に供給し、前記反応炉における前記温度領
    域に導入された前記原料ガスを、前記反応炉内において
    前記温度領域よりも高温に保持されてなる均熱部に導入
    することを特徴とする気相法炭素繊維の製造方法。
  2. 【請求項2】 炭素化合物から気相法により気相成長炭
    素繊維を製造する気相法炭素繊維製造装置において、前
    記請求項1に記載の原料ガスを導入する内管と前記原料
    ガスを遷移金属化合物の分解温度以下で、前記遷移金属
    化合物の凝縮温度以上の温度に調節する温度調節媒体を
    流通させる外套管とを有する原料導入管を備えてなるこ
    とを特徴とする気相成長炭素繊維製造装置。
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