JPH08311592A - 印刷版用アルミニウム合金板及びその製造方法 - Google Patents

印刷版用アルミニウム合金板及びその製造方法

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JPH08311592A
JPH08311592A JP7114767A JP11476795A JPH08311592A JP H08311592 A JPH08311592 A JP H08311592A JP 7114767 A JP7114767 A JP 7114767A JP 11476795 A JP11476795 A JP 11476795A JP H08311592 A JPH08311592 A JP H08311592A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 途中に中断を含む電解による粗面化処理であ
っても、その表面に均一なピットを形成することがで
き、また電解処理に要する時間を短縮することができる
印刷版用アルミニウム合金板及びその製造方法を提供す
る。 【構成】 印刷版用アルミニウム合金板は、Fe:0.
25乃至0.6重量%、Si:0.03乃至0.1重量
%、Cu:0.05重量%以下、Ti:0.05重量%
以下及びZn:0.01乃至0.10重量%を含有し、
残部がAl及び不可避的不純物からなる組成であって、
Cu、Ti及びZnの含有量の関係が、Zn/2+Ti
−Cu≧0.003重量%を満たすものであり、またこ
のような組成からなるアルミニウム合金の鋳塊に、50
0乃至600℃の温度で均質化処理を施し、その後開始
温度が400乃至450℃で熱間圧延した後、冷間圧延
を施し、更に中間焼鈍した後冷間圧延して製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はオフセット印刷における
印刷版の支持体として使用される印刷版用アルミニウム
合金板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】オフセット印刷においては、一般にアル
ミニウム板が支持体として使用され、感光膜との密着性
及び非画像部における保水性の点から、支持体の表面を
粗面化することが必要である。
【0003】従来、粗面化処理の方法として、ボール研
磨法又はブラシ研磨法等の機械的処理法が使用されてい
たが、最近では塩酸若しくはこれを主成分とする電解
液、又は硝酸を主成分とする電解液を使用して、支持体
であるアルミニウム板の表面を電気化学的に粗面化する
電解粗面化処理法、又は前記機械的処理法と電解粗面化
処理法とを組み合わせた処理方法が主に使用されてい
る。これは、電解粗面化処理法によって得られた粗面板
が製版に適しており、また印刷性能も優れているからで
ある。更に、電解粗面化処理法では、アルミニウム板を
コイル状にして連続処理する場合に適しているからであ
る。
【0004】このような電気化学的粗面化処理に適する
アルミニウム板として、種々のものが開発されており
(特開昭58−28874号、特開昭58−22125
4号)、Fe、Si及びCuを所定量含有させることが
必要であることが知られている。
【0005】また、電解粗面化処理法により粗面化され
たアルミニウム板において、その表面の凹凸を均一とし
たり、熱間圧延条件又は鋳造条件によって影響を受ける
表面の筋模様の組織(ストリーク)を抑制したりするた
めに、アルミニウム鋳塊にFe、Si及びTiを所定量
添加し、鋳造又は熱間圧延を適切な条件の下で行うこと
により、特定の粗大金属間化合物及びフェザー組織又は
熱間ファイバー等の粗大組織が発生することを防止する
技術が開発されている(特開昭62−148295
号)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
電解粗面化処理法によってアルミニウム板を粗面化する
場合には、電解液の管理上、電極又は電解槽を単一とす
ることができず、電極又は電解槽を多段に配設し、アル
ミニウム板を各段に連続的に通過させながら電解粗面化
処理することになる。このため、各段の中間ではアルミ
ニウム板に対する電解粗面化処理が中断してしまう。こ
のように、単一槽、単一電極で連続的に電解処理された
場合と異なり、各段電解処理された場合は未エッチング
部が発生するため、上述の公知技術に開示されたアルミ
ニウム合金の素材を使用しても、アルミニウム板の表面
を均一に粗面化することができない場合がある。
【0007】また、最近ではコストの低減を図るために
電解処理速度を向上させることが要求されているが、上
述の公知技術によるアルミニウム合金の素材を使用して
も、アルミニウム板の表面を均一に粗面化する迄に相当
の時間を要する場合がある。
【0008】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、多段処理のために途中に中断を含む電解に
よる粗面化処理であっても、その表面に均一なピットを
形成することができ、また電解処理に要する時間を短縮
することができる印刷版用アルミニウム合金板及びその
製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係る印刷版用ア
ルミニウム合金板は、Fe:0.25乃至0.6重量
%、Si:0.03乃至0.1重量%、Cu:0.05
重量%以下、Ti:0.05重量%以下及びZn:0.
01乃至0.10重量%を含有し、残部がAl及び不可
避的不純物からなるアルミニウム合金であって、Cu、
Ti及びZnの含有量の関係が、Zn/2+Ti−Cu
≧0.003重量%を満たすことを特徴とする。
【0010】本発明に係る印刷版用アルミニウム合金板
の製造方法は、Fe:0.25乃至0.6重量%、S
i:0.03乃至0.1重量%、Cu:0.05重量%
以下、Ti:0.05重量%以下及びZn:0.01乃
至0.10重量%を含有し、残部がAl及び不可避的不
純物からなる組成であって、Cu、Ti及びZnの含有
量の関係が、Zn/2+Ti−Cu≧0.003重量%
を満たすアルミニウム合金の鋳塊に、500乃至600
℃の温度で均質化処理を施し、その後開始温度が400
乃至450℃で熱間圧延した後、冷間圧延を施し、更に
中間焼鈍した後冷間圧延することを特徴とする。
【0011】
【作用】本願発明者等は、中断を含む電解粗面化処理で
あっても、均一なピットを形成することができ、また電
解処理に要する時間を短縮することができる印刷版用ア
ルミニウム合金板を開発すべく種々の実験研究を行っ
た。その結果、電解による粗面化は、アルミニウム合金
板の組成及びその製作工程並びに電解中に形成される酸
化皮膜(不動態膜)によって大きな影響を受けることを
知見した。
【0012】特に、Fe、Si、Cu及びTiを所定量
含有するアルミニウム合金に、不純物の範囲内で微量の
Znを添加することにより、合金板の表面における不動
態膜の形成を抑制して、電解によるピットを均一に形成
することができると共に、電解処理に要する時間を短縮
することができ、またアルミニウム合金板の製作工程に
おいて、均質化処理及び熱間圧延処理の条件を限定する
ことによっても、ピットを均一に形成することができる
ことを見い出した。
【0013】なお、ピットを均一に形成させるために
は、合金板の表面に形成される不動態膜の重量を0.4
g/m2以下とし、電解時のインピーダンスを10.5
Ω・cm2以下とすることが好ましい。
【0014】以下、アルミニウム合金板の成分添加理由
及び組成限定理由並びにアルミニウム合金板の製造工程
における製造条件について説明する。
【0015】Fe(鉄):0.25乃至0.6重量% Feはアルミニウム合金中において、他の元素と化合し
て、Al−Fe系の共晶化合物を生成する元素である。
Feを添加することにより、再結晶粒を微細化すること
ができると共に、均一な電解粗面を形成することができ
る。しかし、Feの添加量が0.25重量%未満である
と、粗面化するときの反応起点となるピットの形成速度
が遅く、電解により表面を均一に粗面化するためには長
時間を要する。一方、Feを0.6重量%を超えて添加
すると、粗大化合物が形成され、粗面化した表面が不均
一となってしまう。従って、Feの添加量は0.25乃
至0.6重量%とする。
【0016】Si(シリコン):0.03乃至0.1重
量% SiはAl−Fe−Si系の金属間化合物を生成し、こ
の化合物が熱間パス間における再結晶の核として作用
し、熱間圧延時に再結晶粒を微細化させることができ
る。しかし、Siの添加量が0.03重量%未満である
と、再結晶粒を微細化させることができず、またストリ
ークが多量に発生してしまう。一方、Siを0.1重量
%を超えて添加すると、粗大化合物が形成され、粗面化
した表面が不均一となってしまう。従って、Siの添加
量は0.03乃至0.1重量%とする。
【0017】Cu(銅):0.05重量%以下 Cuはアルミニウム合金板中に固溶した状態で存在し、
アルミニウムマトリックス及び金属間化合物の電位を調
整する。Cuを添加することにより、電解の初期におけ
る抵抗を抑制することはできるが、0.05重量%を超
えて添加すると、不動態膜の形成量が多くなるため、電
解の抵抗が増加してしまう。このため、粗大なピットが
形成され、表面が不均一となってしまう。従って、Cu
の添加量は0.05重量%以下とする。
【0018】Ti(チタン):0.05重量%以下 Tiはアルミニウム合金中の結晶粒を微細化させる元素
である。しかし、Tiの添加量が0.05重量%を超え
ると、粗大化合物が形成され、粗面化した表面が不均一
となってしまう。従って、Tiの添加量は0.05重量
%以下とする。なお、この場合の結晶粒の微細化剤とし
てTi−Bの母合金を添加することが好ましい。
【0019】Zn(亜鉛):0.01乃至0.10重量
通常、電解粗面化処理法によりアルミニウム合金板を粗
面化する場合には、不均一な不動態膜が生成したり、電
解の抵抗が増加したりしつつ、合金板の表面にピットが
形成される。しかし、不純物の範囲内で微量のZnを添
加することにより、不動態膜の形成を抑制して、電解に
よるピットを均一に形成することができると共に、電解
の抵抗を抑制することができる。
【0020】このような効果を有するZnの添加量が
0.01重量%未満であると、不動態膜の形成を抑制す
る効果が小さく、またZnを0.10重量%を超えて添
加すると、粗大な金属間化合物が生成し、エッチング時
に粗大なピットが形成され、表面が不均一となってしま
う。従って、Znの添加量は0.01乃至0.10重量
%とする。
【0021】Zn/2+Ti−Cu≧0.003重量% 上述したように、電解粗面化処理法では、不均一な不動
態膜が生成したり、電解の抵抗が増加したりしつつ、合
金板の表面にピットが形成されるが、本願発明者等は不
動態膜の形成を促進するCuと、不動態膜の形成を抑制
するZn及びTiとの添加量の関係がZn/2+Ti−
Cu≧0.003を満たすことが必要であることを見い
出した。Zn/2+Ti−Cuの値が0.003未満で
あると、不動態膜の形成量が多くなり、電解の抵抗が増
加してしまう。このため、エッチング時に粗大なピット
が形成され、表面が不均一となってしまう。従って、Z
n、Ti及びCuの添加量の関係は、Zn/2+Ti−
Cu≧0.003重量%を満たすことが必要である。
【0022】次に、アルミニウム合金板の製造工程にお
ける均質化処理温度及び熱間圧延開始温度の制限理由に
ついて説明する。
【0023】均質化処理温度:500乃至600℃ アルミニウム合金鋳塊からアルミニウム合金板を圧延等
により製造する場合において、圧延の前に所定温度にて
均質化処理を施す必要がある。この温度が500℃未満
であると、十分に均質化することができず、一方、60
0℃の温度を超えて均質化処理を施すと、結晶粒及びマ
クロ組織が粗大化し、ストリークが多量に発生してしま
う。従って、均質化処理温度は500乃至600℃とす
る。
【0024】熱間圧延開始温度:400乃至450℃ また、上述した均質化処理の後、熱間圧延を施す場合に
は、所定温度で圧延を開始する必要がある。この開始温
度が400℃未満であると、マクロ組織が不均一とな
り、粗面化した表面が不均一となる。一方、450℃の
温度を超えて熱間圧延を開始すると、熱間パスにおいて
結晶粒が成長するため、ストリークが多量に発生してし
まう。従って、熱間圧延の開始温度は400乃至450
℃とする。なお、この圧延処理を行う場合には、均質化
処理後に上記熱間圧延開始温度の範囲にまで冷却して圧
延してもよく、また均質化処理の終了後に温度が低下し
たアルミニウム合金板を再度加熱して圧延してもよい。
【0025】
【実施例】以下、本発明の実施例について、本発明の特
許請求の範囲から外れる比較例と比較して説明する。先
ず、下記表1に示す成分組成からなるアルミニウム合金
鋳塊を、面削して470mmの厚さとし、590℃の温
度で4時間の均質化処理を施した。その後、圧延開始の
温度を430℃として熱間圧延処理した後、冷間圧延処
理を施した。そして、中間焼鈍を施した後、更に冷間圧
延して厚さが0.3mmのアルミニウム合金板を製作し
た。なお、下記表1において、本発明の特許請求の範囲
から外れる値には下線を付して示す。
【0026】
【表1】
【0027】次に、上述のようにして製作した各アルミ
ニウム合金板に対し、下記表2に示す処理条件にて脱脂
1、中和洗浄1、交流電解粗面化処理、脱脂2及び中和
洗浄2を順に施した。そして、各アルミニウム合金板を
水洗及び乾燥させた後、一定の大きさを切り取って、こ
れを供試材とした。
【0028】
【表2】
【0029】上述のようにして製作した供試材につい
て、インピーダンス及び皮膜の重量を測定し、また供試
材の表面の未エッチング部及び均一性について評価を行
った。つまり、インピーダンス及び皮膜の重量が所定値
以下であると、電解処理に要する時間を短縮することが
でき、また未エッチング部が少なく、均一性が良好であ
ると、供試材の全面に亘って粗面化が良好に行われたと
判断することができる。
【0030】以下、インピーダンス及び皮膜重量の測定
条件並びにエッチング部及び均一性の評価基準について
説明する。
【0031】インピーダンスの測定条件 インピーダンスの測定では、先ず供試材に対し、下記表
3に示す処理条件にて脱脂及び中和洗浄を順に行った。
【0032】
【表3】
【0033】その後、下記表4に示す条件にて交流電解
を施し、参照電極(SCE)に対する電流及び電位変化
を0.2μ秒の間隔でサイクル毎に分極測定した。そし
て、600サイクル目における電流及び電位変化によっ
て位相差を考慮したインピーダンスを算出した。
【0034】
【表4】
【0035】皮膜重量の測定条件 皮膜重量の測定では、先ず供試材に対し、下記表5に示
す処理条件にて脱脂、中和洗浄1、交流電解粗面化処理
及び中和洗浄2を順に行った。
【0036】
【表5】
【0037】そして、上記表5に示す中和洗浄2を施し
た後、供試材の重量を測定した。なお、このときの測定
値を重量1とする。その後、供試材を温度が90℃であ
る燐酸及びクロム酸の混合液に2分間浸漬し、水洗及び
乾燥させた後、各供試材の重量を測定した。このときの
測定値を重量2とし、皮膜の重量は、重量1から重量2
を引いた値とした。
【0038】未エッチング部の評価基準 粗面化した供試材の表面を走査電子顕微鏡(以下、「S
EM」という)を使用して表面観察し、撮影の総面積が
0.02mm2となるように顕微鏡写真を撮影した。な
お、SEMの倍率は350倍とした。この写真を基にし
て、粗面化されていない部分の面積を求め、下記数1に
より未エッチング率を算出した。
【0039】
【数1】未エッチング率(%)=粗面化されていない部
分の面積/全体の面積×100このようにして算出した
未エッチング率により未エッチング部の評価を行った。
即ち、未エッチング率が10.0%以下の場合は優良、
10%を超えて20%未満の場合は良好、20%を超え
る場合は不良として、下記表6に夫々「○」、「△」及
び「×」で示す。
【0040】均一性の評価基準 また、粗面化した供試材の表面をSEMを使用して表面
観察し、倍率が500倍の顕微鏡写真を撮影した。この
写真上において総計100cmの線を引き、線の下に写
っているピットの大きさを測定した。
【0041】このとき、最小のピットと最大のピットと
の大きさの差が3μm以下の場合には均一性が優良、3
μmより大きく5μm以下の場合には均一性が良好、5
μmより大きい場合には均一性が不良として、下記表6
に夫々「○」、「△」及び「×」で示す。
【0042】上述のインピーダンス及び皮膜重量の測定
条件並びに未エッチング部及び均一性の評価基準に基づ
いて測定した結果及び評価した結果を、下記表6に示
す。
【0043】
【表6】
【0044】上記表6に示すように、実施例No1〜3
については、インピーダンス及び皮膜の重量はいずれも
好ましい値となり、電解処理を短時間で行うことができ
た。また未エッチング部の評価及び均一性の評価に示す
ように、実施例No1〜3については、いずれも全体に
亘って良好な粗面化面を得ることができた。
【0045】一方、比較例No1及び2については、い
ずれも電解処理を短時間で行うことができたが、Siの
添加量が少ない比較例No1は、均一性が良好であるも
のの、未エッチング部の評価が実施例に比べて劣ってい
た。また、Siの添加量が多い比較例No2は、未エッ
チング部の評価が優れているものの、実施例に比べて表
面が極めて不均一となった。
【0046】比較例No3及び4については、いずれも
電解処理を短時間で行うことができたが、Feの添加量
が少ない比較例No3は、均一性が良好であるものの、
未エッチング部の評価が実施例に比べて劣っていた。ま
た、Feの添加量が多い比較例No4は、未エッチング
部の評価が優れているものの、実施例に比べて表面が極
めて不均一となった。
【0047】比較例No5については、Cuの添加量が
多いため、皮膜の重量が大きくなると共に電解の抵抗が
大きくなってしまった。このため電解処理に長時間を要
し、また粗大なピットが形成され、実施例に比べて表面
が極めて不均一となった。
【0048】比較例No6については、Znの添加量が
少ないため、不動態膜の形成を抑制する効果が小さく、
皮膜の重量が大きくなると共に電解の抵抗が大きくなっ
てしまった。また、比較例No7については、Znの添
加量が多いため、電解時に粗大なピットが形成され、実
施例に比べて表面が極めて不均一となった。
【0049】比較例No8については、電解処理を短時
間で行うことができたが、Tiの添加量が多いため、粗
大化合物が形成され、実施例に比べて表面が極めて不均
一となった。
【0050】比較例No9〜11については、Zn、T
i及びCuの添加量が所定の関係を満たしていないた
め、不動態膜の形成量が多くなり、電解の抵抗が増加し
てしまった。また、電解処理による十分なエッチングが
行われず、実施例に比べて表面が不均一となった。
【0051】次に、本発明の第2の実施例として、所定
のアルミニウム合金鋳塊に均質化処理及び圧延処理等を
施して印刷版用アルミニウム合金板を製造する場合につ
いて説明する。先ず、上記表1に示すNo1〜3の成分
組成からなるアルミニウム合金鋳塊を、面削して470
mmの厚さとし、下記表7に示す温度条件で均質化処理
及び熱間圧延を施した。そして、熱間圧延を施した後、
冷間圧延及び中間焼鈍を施して、更に最終冷間圧延を施
して、厚さが0.3mmのアルミニウム合金板を製作し
た。なお、下記表7において、本発明の特許請求の範囲
から外れる値には下線を付して示す。
【0052】
【表7】
【0053】次に、上述のようにして製作した各アルミ
ニウム合金板に対し、上記表2に示す処理条件にて脱脂
1、中和洗浄1、交流電解粗面化処理、脱脂2及び中和
洗浄2を順に施した。そして、各アルミニウム合金板を
水洗及び乾燥させた後、一定の大きさを切り取って、こ
れを供試材とした。なお、交流電解粗面化処理では、2
0秒間電解した後、20秒間の中断を挟んで再度20秒
間の電解を行った。
【0054】このようにして製作した各供試材につい
て、その表面のストリーク、未エッチング部及び均一性
について評価した。以下、ストリークの評価基準につい
て説明する。なお、未エッチング部及び均一性の評価基
準については、上述した第1の実施例における評価基準
と同様である。
【0055】ストリークの評価基準 ストリークの評価では、圧延方向及び圧延方向に垂直の
方向に夫々15cm及び10cmの大きさを有する供試
材を2枚用意した。従って、面積は、15cm×10c
m×2枚=0.03m2である。この供試材の表面を王
水にて化学エッチング(マクロエッチング)を施し、圧
延方向の筋の長さが0.5cm未満である場合を優良、
0.5cm以上1cm未満である場合を良好、1cm以
上である場合を不良として、下記表8に夫々「◎」、
「○」及び「×」で示す。
【0056】
【表8】
【0057】上記表8に示すように、実施例No4〜6
については、いずれもストリークの評価、未エッチング
部の評価及び均一性の評価において、良好な結果となっ
た。
【0058】一方、比較例No12〜15については、
いずれも未エッチング部の評価及び均一性の評価におい
ては良好であるものの、ストリークの評価においてはい
ずれも不良の結果となった。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
アルミニウム合金板を所定の成分組成とし、また所定の
熱処理条件にてアルミニウム合金板を製作することによ
り、電解による粗面化処理を施す場合において、前記ア
ルミニウム合金板の表面に均一なピットを形成すること
ができ、良好な粗面化面を有する印刷版用アルミニウム
合金板を製造することができる。また、前記アルミニウ
ム合金板の表面における不動態膜の形成を抑制すること
ができると共に、電解時のインピーダンスを抑制するこ
とができるため、電解処理に要する時間を短縮すること
ができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Fe:0.25乃至0.6重量%、S
    i:0.03乃至0.1重量%、Cu:0.05重量%
    以下、Ti:0.05重量%以下及びZn:0.01乃
    至0.10重量%を含有し、残部がAl及び不可避的不
    純物からなるアルミニウム合金であって、Cu、Ti及
    びZnの含有量の関係が、Zn/2+Ti−Cu≧0.
    003重量%を満たすことを特徴とする印刷版用アルミ
    ニウム合金板。
  2. 【請求項2】 Fe:0.25乃至0.6重量%、S
    i:0.03乃至0.1重量%、Cu:0.05重量%
    以下、Ti:0.05重量%以下及びZn:0.01乃
    至0.10重量%を含有し、残部がAl及び不可避的不
    純物からなる組成であって、Cu、Ti及びZnの含有
    量の関係が、Zn/2+Ti−Cu≧0.003重量%
    を満たすアルミニウム合金の鋳塊に、500乃至600
    ℃の温度で均質化処理を施し、その後開始温度が400
    乃至450℃で熱間圧延した後、冷間圧延を施し、更に
    中間焼鈍した後冷間圧延することを特徴とする印刷版用
    アルミニウム合金板の製造方法。
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