JPH08309954A - 感熱孔版製版方法 - Google Patents

感熱孔版製版方法

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JPH08309954A
JPH08309954A JP12471495A JP12471495A JPH08309954A JP H08309954 A JPH08309954 A JP H08309954A JP 12471495 A JP12471495 A JP 12471495A JP 12471495 A JP12471495 A JP 12471495A JP H08309954 A JPH08309954 A JP H08309954A
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JP
Japan
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base paper
heat
film
scanning direction
sensitive stencil
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JP12471495A
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Kazuaki Sakurai
和明 櫻井
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 孔の独立性を確保した穿孔画像を形成するこ
とが可能な感熱孔版製版方法を提供する。 【構成】 ライン型サーマルヘッドの発熱体を発熱させ
一ラインの穿孔を行いつつ副走査方向に所定ピッチで原
紙を移動させることを繰り返し原紙にドットマトリック
ス状穿孔画像を形成させる感熱孔版製版方法で、70℃
における加熱収縮率が15〜55%の高感度フィルム単
体型原紙を用いるに際し、各ライン毎の発熱は主走査方
向には一個おきで、副走査方向には前ラインで発熱させ
なかった発熱体を発熱させ、原紙の移動は原紙移動ピッ
チ(L)と発熱体副走査方向長(b)との比(L/b)
が0.6〜1.3となるように行わせる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ライン型サーマルヘッ
ドを使用して、熱可塑性樹脂フィルム単体型感熱孔版印
刷用原紙にドットマトリックス状穿孔画像を形成させる
感熱孔版製版方法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂フィルム単体からなるフィ
ルム単体型感熱孔版印刷用原紙を、複数個の発熱体を主
走査方向に一列に配列させたライン型サーマルヘッドに
接触させ、且つ該発熱体を選択的に発熱させ一ラインの
穿孔を行いながら副走査方向に所定の原紙移動ピッチで
上記原紙を移動させることを繰り返し、上記原紙にドッ
トマトリックス状穿孔画像を形成して感熱孔版印刷用原
版を作製する感熱孔版製版方法は、例えば特開平6−1
15042号公報、及び特開平4−71847号公報の
記載から公知である。ここでいうフィルム単体型感熱孔
版印刷用原紙は、支持体と熱可塑性樹脂フィルムからな
る感熱孔版印刷用原紙と異なり、熱可塑性樹脂フィルム
単体を感熱孔版印刷用原紙にしようとするもので、フィ
ルムに滑剤等の添加物を含有したものや帯電防止剤等の
塗布層を形成したものがある。
【0003】感熱孔版印刷用原紙にドットマトリックス
状穿孔画像を形成する製版動作は、特開平4−7184
7号公報の記載によると、感熱孔版印刷用原紙は対向接
触させたライン型サーマルヘッドとプラテンローラとの
間に挿通され、プラテンローラの回転により副走査方向
に搬送され得るように構成してる。サーマルヘッドはプ
ラテンローラ対向位置に複数個の発熱体を主走査方向に
一列に配列形成されたもので、原紙の熱可塑性樹脂フィ
ルムとこの発熱体とが直接接触する状態とされており、
原稿読取り装置からの信号に基づき各発熱体を選択的に
通電加熱することでフィルムの対応する部分を加熱しド
ット状に穿孔する。
【0004】ここで、搬送を受け持つプラテンローラは
タイミングベルトを介して連結されたパルスモータによ
り回転駆動される。即ち、原紙の発熱体に対する副走査
方向の移動を微細に見るとその移動は断続的で、ある主
走査方向1ライン分の穿孔が完了する毎に副走査方向に
一定ピッチづつ搬送されることになる。尚、この原紙移
動ピッチは発熱体主走査方向ピッチと等しく設定するの
が一般的であるが、特開平4−71847号公報では、
副走査方向に穿孔を連結させないために、原紙移動ピッ
チを発熱体副走査方向長よりも若干大きく設定してい
る。
【0005】ここでいう主走査方向(F)や副走査方向
(S)の語句は、前者がサーマルヘッドの発熱体配列方
向、後者がそれと直交する方向を示す慣用語で、特に主
走査方向については実際にサーマルヘッドや原紙の移動
は行わないが発熱体配列方向を示す用語として慣用的に
使用されている。図5及び図6はライン型サーマルヘッ
ドの要部を説明する構成図である。図5は特開平4−7
1847号公報に用いられてるものを、図6は特開平6
−115042号公報に提案されてるものを各々示す。
図中の符号6は発熱体を、符号7は個別電極を、符号8
は共通電極を各々示す。図5及び図6によると、複数個
の発熱体6が一列に配列され、各発熱体6の副走査方向
両端には個別電極7及び共通電極8が接続されてなり、
両電極間にパルス通電して発熱体を発熱させるものであ
る。
【0006】一方、支持体を持たないフィルム単体型感
熱孔版印刷用原紙は、印刷機内で搬送時の破れやジャム
等の発生を無くす為に機械的強度や腰の強さが要求さ
れ、原紙の厚みを厚くしなければならない。しかし、原
紙の厚みは厚くなるほど穿孔に要する熱エネルギーが増
大し穿孔され難くなるので、同じ熱エネルギーで穿孔を
確実に行わせる為には原紙の穿孔感度を高めなければな
らない。
【0007】本発明者は、穿孔感度を高める方策として
ガラス転移点が低い樹脂をフィルム基材に使用し、更に
70℃における加熱収縮応力の最大値を500〜100
0g/mm2 とすることにより、高感度のフィルム単体
型原紙を完成し特願平6−214547号で既に出願し
た。この高感度のフィルム単体型原紙は、発熱体の加熱
に対する熱応答が鋭敏で、同じ熱エネルギーで穿孔を行
う時に原紙厚みをより厚くできる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
開平4−71847号公報に記載の製版方法に高感度の
フィルム単体型原紙を使用した場合には、主走査方向に
隣接する孔が干渉しあって孔の独立性が確保できず良好
な製版が行えないという問題点に遭遇した。この原因
は、高感度のフィルム単体型原紙は基材樹脂のガラス転
移点が低いゆえに、形成される孔の径が所望の径より拡
大し過ぎる傾向にある為と考えられる。以下にこの現象
を図3及び図4を用いて説明する。
【0009】図3は、上記特開平4−71847号公報
における実施例の発熱ライン副走査方向ピッチと発熱体
副走査方向長の寸法関係を示す模式図である。図中の符
号1は発熱体サイズに対応する原紙の加熱領域を、符号
aは発熱体主走査方向長を、符号bは発熱体副走査方向
長を、符号pは発熱体主走査方向ピッチを、符号qは発
熱ライン副走査方向ピッチを各々示している。図3で
は、発熱体主走査方向ピッチp=63.5μm、発熱体
副走査方向長b=80μmとした前記図5のライン型サ
ーマルヘッドを使用し、発熱ライン副走査方向ピッチq
=90μm>bとなるよう原紙を移動させることを意味
している。該公報は、感熱紙発色用途の発熱体サイズが
大きいサーマルヘッドを用いた場合の例示である。
【0010】図4は穿孔跡の説明図で、上記図3の製版
方法に高感度のフィルム単体型感熱孔版印刷用原紙を用
いた場合の原紙に形成された穿孔跡を示すの模式図であ
る。図中の符号3は連結孔を、符号4は過拡大孔を、符
号5は未穿孔跡を各々示している。図4によると、連結
孔3、過拡大孔4、未穿孔跡5などの不良穿孔が生じて
各孔は独立性が確保できない。過拡大孔4は、発熱体間
の温度が高感度フィルム単体型原紙の熱収縮温度を上回
り、孔径が発熱体サイズよりも拡大し過ぎるために生じ
たもの、連結孔3は、隣接する過拡大孔4間の樹脂が融
断し、各孔どうしが連結するために生じたもの、未穿孔
跡5は、前列ラインの過拡大孔4によりフィルム表面の
平滑性が損なわれて発熱体と原紙が密着できず、発熱体
による原紙の加熱が不十分になるために生じたものと各
々考察される。
【0011】上記不良穿孔を防ぐ方策として、例えば特
開平6−115042号公報では、発熱体の主走査方向
長と副走査方向長とも発熱体主走査方向ピッチの15〜
75%とする、即ち発熱体サイズを小さくすることを提
案している。これは図6に示すように、発熱体主走査方
向長a=35μm、発熱体副走査方向長b=40μm、
発熱体主走査方向ピッチp=63.5μmのものがあ
り、発熱体間にフィルムの熱収縮が発生しない温度の領
域を形成しようとするものである。
【0012】また、特開平6−297668号公報で
は、発熱体サイズが小さい上記のサーマルヘッドを使用
して、原紙に形成された主走査方向に隣合う孔の間に形
成される未製版連結部の幅寸法を発熱体主走査方向ピッ
チの20%以上に広げることを提案している。しかしな
がら、これら公報に記載の発熱体サイズが小さいサーマ
ルヘッドは、発熱体の温度分布が急峻で局部的ピーク温
度が高くなり、熱ストレスが大きくなり発熱体が劣化し
易くなる。従って、発熱体の寿命が低下したり、発熱体
毎の温度バラツキが大きくて原紙に形成される孔の大き
さもバラツキが大きいものとなる問題点が生じてしま
う。
【0013】この問題点発生の事実は、特開平4−71
847号公報の第3頁左上欄第18行目から同頁右下欄
第5行目にも記載され支持されている。又、上記特開平
6−297668号公報の比較例では、発熱体サイズが
大きいサーマルヘッドにフィルム単体型原紙を適用した
場合は、孔径が拡がり過ぎるので連続印刷に耐える未製
版連結部寸法が得られないことを具体的に示している。
【0014】本発明の目的は、高感度のフィルム単体型
感熱孔版印刷用原紙を製版するにあたり、寿命や温度バ
ラツキの心配がない発熱体サイズが大きいサーマルヘッ
ドを使用しても孔の独立性を確保した穿孔画像を形成す
ることが可能な感熱孔版製版方法を提供することにあ
る。
【0015】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、熱
可塑性樹脂フィルム単体からなるフィルム単体型感熱孔
版印刷用原紙を、複数個の発熱体を主走査方向に一列に
配列させたライン型サーマルヘッドに接触させ、且つ該
発熱体を選択的に発熱させ一ラインの穿孔を行いながら
副走査方向に所定の原紙移動ピッチで上記原紙を移動さ
せることを繰り返し、上記原紙にドットマトリックス状
穿孔画像を形成して感熱孔版印刷用原版を作製する感熱
孔版製版方法において、上記感熱孔版印刷用原紙には7
0℃における加熱収縮率が15〜55%である高感度原
紙を用いるにあたり、上記発熱体の各ライン毎の発熱は
主走査方向(F)には一個おきで、副走査方向(S)に
は前ラインで発熱させなかった発熱体を発熱させ、上記
原紙の移動は原紙移動ピッチ(L)と発熱体副走査方向
長(b)との比(L/b)が0.6〜1.3となるよう
に行わせることを特徴とする感熱孔版製版方法である。
【0016】以下、その内容について詳細に説明する。
本発明が従来技術と相違するところは、感熱孔版印刷用
原紙に形成させるマトリックス式穿孔画像のマトリック
スの組み方を特定することにある。かかる相違点の重要
性は、フィルム単体型原紙には同じ熱エネルギーで製版
する場合には、より厚い原紙でも製版できる高感度のも
のを使用可能にすること、及び上記の高感度フィルム単
体型原紙を製版するにあたり発熱体サイズが大きいサー
マルヘッドでも使用可能にし、原紙に形成される孔の独
立性を確保することができる感熱孔版製版方法の提供を
可能にすることにある。
【0017】図7は、本発明に使用する高感度フィルム
単体型感熱孔版印刷用原紙の特性を示す実験図である。
即ち、横軸にフィルム単体型原紙の70℃における加熱
収縮率(%)、左方縦軸に印刷濃度(OD値)、右方縦
軸に寸法収縮率(%)を各々目盛っている。図中の丸印
(○)は70℃における加熱収縮率(%)と印刷濃度
(OD値)の関係を、角印(□)は70℃における加熱
収縮率(%)と寸法収縮率(%)の関係を各々示してお
り、70℃における加熱収縮率が増大するのに伴う穿孔
感度の高まり、及び経時安定性の悪化を各々意味してい
る。尚、フィルム単体型感熱孔版印刷用原紙には厚みが
8μmのものを使用した。
【0018】ここで印刷濃度(OD値)は、感熱孔版印
刷用原紙に形成させた孔を通過して印刷用紙に転写され
たインキ量によりきまり、原紙が未穿孔など不良穿孔の
発生が少ないものほど、又穿孔径が所望の孔径まで拡大
し得るものほどその値が高くなる。この値が高い印刷物
は濃度不足や濃度ムラが少なく高品質であることを示
し、このような印刷物が得られる原紙を穿孔感度が高
い、又は高感度という。
【0019】一方、本発明者は前記特願平6−2145
47号公報において、フィルムの穿孔過程で穿ち始めの
穿孔核が所望の孔径まで拡大するのは、フィルム製造時
に二軸延伸して付与された配向構造が緩和することによ
り発現する熱収縮量の大きさに支配され、この熱収縮が
低い温度から発現し得る配向構造のフィルムに限って高
感度化が可能になることを見い出した。そこで低温の熱
収縮量示す指標として、70℃における加熱収縮率の値
を用いた。
【0020】上記の観点から図7の結果を考察すると、
70℃における加熱収縮率が高い感熱孔版印刷用原紙は
印刷濃度(OD値)が高く穿孔感度が高いことが判る。
ところが、高感度の原紙は熱に対して過敏な為に、保存
中に原紙が収縮してシワが発生するなど経時寸法安定性
が悪化してしまう。従って、穿孔感度と経時寸法安定性
の兼ね合いから、原紙の70℃における加熱収縮率は1
5〜55%の範囲にあるものが好ましい。更に厳選する
と好ましくは20〜50%の範囲にあるものが良い。
【0021】上述のような高感度のフィルム単体型原紙
を用いるにあたり、前述図3に示すような従来のマトリ
ックスの組み方の製版方法で穿孔割合が高い黒ベタ画像
や副走査方向に延びる線画を製版すると、穿孔径が拡大
し過ぎて前述図4に示す不良穿孔が生じ良好な感熱孔版
印刷用原版を得ることができないのである。本発明の製
版方法を図1及び図2を用いて説明する。図1は、本発
明の原紙移動ピッチと発熱体副走査方向長の寸法関係を
示す模式図である。図中の符号1は発熱体サイズに対応
する原紙の加熱領域を、符号aは発熱体主走査方向長
を、符号bは発熱体副走査方向長を、符号pは発熱体主
走査方向ピッチを、符号Lは原紙移動ピッチを各々示し
ている。図2は穿孔跡の説明図で、上記図1の製版方法
に高感度のフィルム単体型感熱孔版印刷用原紙を用いた
場合の原紙に形成された穿孔跡を示す模式図である。図
中の符号2は独立孔を示している。
【0022】図1によると、本発明の製版方法では、発
熱体の各ライン毎の発熱は主走査方向(F)には一個お
きで、副走査方向(S)には前ラインに発熱させなかっ
た発熱体を発熱させる、即ち各孔の主走査方向(F)及
び副走査方向(S)に隣接する部分は穿孔が行われるこ
とがない。従って、原紙には形成される孔の周囲に熱収
縮が発生しない領域が存在することになり、黒ベタ画像
を製版した場合でも図2に示すように独立孔が得られ、
過拡大孔の発生が少なくなる。又、例え過拡大孔が発生
しても連結孔や前ラインの過拡大孔により穿孔が阻害さ
れる等の問題点は無くなる。
【0023】更に、原紙の移動は原紙移動ピッチ(L)
と発熱体の副走査方向長(b)との比(L/b)を0.
6〜1.3となるように行わせるので、原紙に形成する
ドット状穿孔は適度に近接することが可能になる。即
ち、ドット状穿孔を通過して印刷用紙に転写されたイン
キは印刷用紙上で滲んで重なり合い、黒ベタ画像では濃
度不足や濃度ムラが無く、細字や線画等の画像でもカス
レが発生しない高品質な印刷画像を得ることができる。
図1において主走査方向(F)及び副走査方向(S)に
対し斜めの方向に各加熱領域が近接する部分があるが、
主走査ラインが異なり加熱は時間的なズレがあるので、
この近接部分で穿孔が干渉することはない。
【0024】上記(L/b)値が0.6より小さい場合
は、原紙に形成するドット状穿孔が副走査方向(S)に
近接し過ぎる為に孔が独立性を確保できなくなる。又、
(L/b)値が1.3より大きい場合は、印刷用紙に転
写されたインキが印刷用紙上で滲んでも重なり合うこと
ができず、黒ベタ画像では濃度不足や濃度ムラが発生
し、細字や線画等の画像ではカスレが発生する。従っ
て、原紙移動ピッチ(L)と発熱体の副走査方向長
(b)との比(L/b)は0.6〜1.3の範囲に留め
ることが肝要であり、更に厳選すると好ましくは0.6
〜1.2の範囲から選ぶことになる。
【0025】本発明の製版方法に用いるライン型サーマ
ルヘッドには、例えば図5に示すような発熱体サイズが
大きい感熱紙発色用途ものが望ましい。又、従来の製版
方法では寿命低下の問題があった、例えば図6に示すよ
うな発熱体サイズが小さい感熱孔版製版用途ものでも、
本発明の製版方法には使い得る。何故なら、本発明の製
版方法では発熱体は連続して発熱しないので、熱ストレ
スが掛かり難く発熱体の寿命はより長くできるからであ
る。
【0026】主走査方向(F)の発熱体密度について
は、300dpi(ドット/インチ)の低解像度のもの
を使用しても良いし、一般の感熱孔版製版装置に具備さ
れる高解像度400dpiのもの、或いは更に超高解像
度の600dpiのものを使用しても良い。好ましく
は、高精細、高品質な印刷画像を得る為に400dpi
や600dpiの高解像度のものを選ぶことになる。
【0027】尚、上述した本発明の内容説明では主とし
て黒ベタ画像の製版について述べてきたが、印刷原稿が
写真画像でグレー濃度部分を含む場合は、従来公知のデ
ィザ法等を用いて、前述図1の黒ベタ画像穿孔位置のう
ち適当な間引き率で穿孔数を減らす発熱を行うことにな
る。又、文字原稿や線画を含む場合は、原稿読取り装置
からの信号に基づく選択的な発熱を行うことになる。
【0028】本発明に用いる高感度のフィルム単体型感
熱孔版印刷用原紙は、70℃における加熱収縮率を15
〜55%の範囲に留める為に、フィルム樹脂組成物には
ガラス転移点(JIS K7121に準拠)が15〜8
5℃のものを使用するのが望ましく、好ましくは30〜
60℃のものである。ここで、ガラス転移点が15℃よ
り低い樹脂組成物を用いると原紙の経時寸法安定性が悪
化し、ガラス転移点が85℃を超えると原紙の穿孔感度
が低下する。
【0029】又、原紙に用いるフィルムは、高感度化し
得る配向構造を持たせる為に、できるだけ低温でできる
だけ高倍率に延伸することが好ましい。具体的には、フ
ィルム樹脂組成物のガラス転移点(JIS K7121
に準拠)をTgで表すと、延伸温度が(Tg+15)〜
(Tg+35)℃の温度範囲では、延伸倍率は面積倍率
で15〜35倍に二軸延伸するのが好ましい。
【0030】フィルム樹脂組成物及びフィルム製造方法
の詳細を以下に記す。上記フィルム樹脂組成物として
は、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリアミド
系、塩化ビニル系、二塩化ビニリデン系、ポリオレフィ
ン系、ポリスチレン系等の熱可塑性樹脂が挙げられ、フ
ィルムの製造し易さという観点から、好ましくは熱可塑
性ポリエステル系樹脂が選ばれる。
【0031】該ポリエステル系樹脂の好ましい単量体成
分は、酸成分にはテレフタル酸成分を主成分とし、イソ
フタル酸成分、フタル酸成分等その他の芳香族ジカルボ
ン酸成分、アジピン酸成分等の脂肪族ジカルボン酸成分
を共重合成分として選ぶことができる。アルコール成分
にはエチレングリコール成分、ジエチレングリコール成
分等のエチレングリコール誘導体成分、1,4−ブタン
ジオール成分等のアルキレンジオール成分、1,4−シ
クロヘキサンジメタノール成分等の脂環式ジオール成分
等から主成分及び共重合成分として選ぶことができる。
尚、ここでいう単量体成分とは、樹脂の分子構造中にお
ける繰返し単位の酸成分及びアルコール成分を示す。
又、ここでいう主成分とは、樹脂の分子構造中における
繰返し単位の酸成分及びアルコール成分が80mol%
以上の単量体成分をいう。
【0032】更に好ましいフィルム樹脂組成物として
は、実質的に非晶質の熱可塑性ポリエステル系樹脂
(A)と結晶性の熱可塑性ポリエステル系樹脂(C)と
を溶融混練して得られるものである。ここで樹脂(A)
の実質的に非晶質とは、該樹脂を充分アニーリングした
後のDSC測定(JIS K7121に準拠)において
結晶融解エネルギーが4cal/g以下のことをいう。
【0033】溶融混練する熱可塑性ポリエステル系樹脂
には、例えば樹脂(A)は酸成分にテレフタル酸成分を
主成分とし、アルコール成分にエチレングリコール成分
を60〜80mol%と1,4−シクロヘキサンジメタ
ノール成分を20〜40mol%とからなる共重合体、
樹脂(C)は酸成分にテレフタル酸成分を60〜85m
ol%とイソフタル酸成分を15〜40mol%、アル
コール成分に1,4−ブタンジオール成分を主成分とし
た共重合体が挙げられる。又、樹脂(A)と樹脂(C)
の混合比率は任意で良いが、好ましくは樹脂(A)と樹
脂(C)の比(A/C)は重量分率でA/Cが3/7〜
7/3の場合である。
【0034】尚、上記フィルム樹脂組成物には、穿孔感
度の向上、滑り性付与、帯電防止、耐溶剤性向上、光学
的検出等の目的で無機粒子、架橋樹脂粒子、金属粒子、
及び金属酸化物や金属塩の粒子、顔料、染料、帯電防止
剤、界面活性剤等を添加しても良い。熱可塑性樹脂フィ
ルムの製造方法としては、上記の樹脂組成物を用い、通
常の二軸延伸方法、例えば逐次二軸延伸や同時二軸延伸
(チューブラー法、テンター法)等で行うことができ
る。熱可塑性樹脂フィルムの好ましい二軸延伸方法は、
連続的な延伸を安定した状態で行う為に延伸補強層を設
けて多層状で延伸する場合である。この場合の層構成
は、原紙に用いる熱可塑性樹脂フィルム層をM、延伸補
強層をBで示すと、M/B、M/B/M、B/M/B、
M/B/M/B/M、B/M/B/M/Bが好ましく、
M/B/Mの層構成にするのがより好ましい。該多層延
伸方法において、延伸補強層(B層)は、ビカット軟化
点(ASTMD−1525準拠)が110℃以下の熱可
塑性樹脂を主体とし、隣接する熱可塑性樹脂フィルム層
(M層)との剥離性を良好に保つための剥離剤を含有さ
せるのが好ましい。
【0035】フィルムの経時寸法安定性を保つ為には熱
処理を行うのが好ましく、その方法は熱ロールでプレス
する方法、オーブン中でフィルムを拘束及び弛緩させな
がら熱処理を行う方法等があり、いずれの方法でも良
い。熱処理の温度は60℃以下で行い、弛緩率は縦横両
方向に1〜10%の範囲で弛緩させて熱処理を行うこと
が望ましい。
【0036】原紙に用いる熱可塑性樹脂フィルムの厚み
は5〜15μmが望ましく、好ましくは6〜12μmで
ある。厚みが5μm未満のフィルムは、機械的強度や腰
が弱い為に、印刷機内で搬送時に破れやジャム等が発生
する不都合が生じる一方、厚みが15μmを超えると原
紙の穿孔感度は著しく低下する。上記の方法で得られた
熱可塑性樹脂フィルムは、多層フィルムのまま2次加工
(例えばコーティング、ラミネート、表面処理等)に用
いても良いし、剥離して単層フィルムで2次加工に用い
ても良い。フィルム表面に塗布層を形成する場合は、フ
ィルムのサーマルヘッドと接触する面に、帯電防止剤や
サーマルヘッドとのスティック現象を防止する為のステ
ィック防止剤を薄層状に形成させる。これら塗布層を形
成させる方法はとくに限定されないが、塗布したり、前
述の多層延伸方法において延伸補強層(B層)に上記物
質を練り込んでおき転写させる等の方法がある。
【0037】
【実施例】
(物性測定方法)本発明で用いるフィルム及び樹脂の物
性測定方法を以下に示す。 (1)フィルム厚み フィルム厚みt(μm)の測定方法は、フィルムを幅w
(cm)、長さl(cm)に切り出し、該フィルムサン
プルの重量m(g)、密度ρ(g/cm3 )を測定し、
式(1)で計算する。尚、密度はJIS K7112に
準拠して密度勾配管法により23℃で測定した。
【0038】 t=(m/w・l・ρ)×104 (1) (2)加熱収縮率 一辺を50mmの正方形に切り出したフィルムサンプル
を、70℃に設定した熱風循環恒温槽中に自由に収縮す
る状態で10分間放置した後、サンプル辺長の収縮量を
測り収縮前の寸法で除した値の百分率で表した。尚、測
定値はフィルム縦方向と横方向の平均値で示した。
【0039】(3)DSC(示差走査熱量計)測定 ガラス転移点及び結晶融解エネルギーは、測定装置にP
ERKIN−ELMER社製DSC−7を用を用い、J
IS K7121に準拠して測定した。即ち、サンプル
8mgを所定のアルミパンに詰めてサンプルホルダーに
セットし、0℃で5分間保持した後、昇温速度:10℃
/minで300℃まで昇温し測定を行った。尚、標準
物質にはインジウムを用いた。
【0040】(評価方法及び評価尺度) (1)印刷濃度評価及び黒ベタ画像均質性評価 印刷濃度評価及び黒ベタ画像均質性評価は、東京光電子
工業社製の画像評価装置を用い、一辺20mmの方形黒
ベタ印刷画像の印刷濃度(OD値)を測定点数81点の
測定を行い、測定した81点の印刷濃度(OD値)の
平均値を印刷濃度の指標とし、測定した81点の印刷
濃度(OD値)の標準偏差を黒ベタ画像均質性の指標と
した。尚、印刷濃度(OD値)は、ビーム径2mmのH
e−Neガスレーザ光による反射光受光方式で、方形黒
ベタ印刷画像を測定点ピッチ2mmで格子状に走査し測
定した。以下、その印刷濃度(OD値)測定の詳細な手
順を記す。
【0041】サンプルフィルムと線径40μmのポリエ
ステル繊維を織密度270メッシュで織った厚さ64μ
mのメッシュ状織布とを4辺でのみ貼り合わせて(貼り
合わせが全面でないので製版部分はフィルムとメッシュ
状織布が重なっているだけである)、更にフィルムの該
メッシュ状織布と接していない裏面にアミノ変性シリコ
ーンオイル(信越化学社製KF864)を10mg/m
2 塗布して感熱孔版印刷用原紙を得た。
【0042】この感熱孔版印刷用原紙を、製版装置とし
て大倉電機社製印字装置TH−PDMに東芝社製ライン
型サーマルヘッドTPH256R8D(発熱体密度:4
00dpi、発熱体寸法:53×80μm、感熱紙発色
用途)を装着したものを用いて穿孔製版を行った。こう
して得られた感熱孔版印刷用原版から製版部分だけを切
り取りメッシュ状織布をはがした製版済フィルムを、市
販マスターRCM56Wをくり抜いた部分に4辺のみ貼
り合わせて固定し、これを理想科学社製リソグラフRC
335の印刷ドラムに装着して通常印刷条件で印刷操作
のみを行い30枚印刷した。得られた印刷物のうち25
枚目の印刷物を上記の東京光電子工業社製画像評価装置
で印刷濃度(OD値)を測定した。
【0043】 印刷濃度の評価尺度 印刷濃度(OD値)平均値 判定 備考 1.00以上 ◎ 鮮明で濃い黒ベタ印刷画像 0.85以上1.00未満 ○ 十分な濃さの黒ベタ印刷画像 0.70以上0.85未満 △ 若干薄い黒ベタ印刷画像 0.70未満 × かなり薄い黒ベタ印刷画像 黒ベタ画像均質性の評価尺度 印刷濃度(OD値)の標準偏差 判定 0.080未満 ◎ ムラ無く鮮明な黒ベタ印刷画像 0.080以上0.120未満 ○ ムラがほとんど無い黒ベタ印刷画像 0.120以上0.180未満 △ ムラがある黒ベタ印刷画像 0.180以上 × ムラが著しい黒ベタ印刷画像 (2)経時寸法安定性評価 幅30mm、長さ250mmに切り出したフィルムサン
プルを、40℃に設定した熱風循環恒温槽中に自由に収
縮する状態で5日間放置した後、サンプル長さ方向の収
縮量を測り収縮前の寸法で除した値の百分率で表し、こ
の寸法収縮率を経時寸法安定性の指標とした。尚、各測
定値はフィルム縦方向と横方向の平均値で示した。
【0044】 経時寸法安定性の評価尺度 寸法収縮率 判定 備考 2%未満 ◎ 寸法収縮は問題にならない程小さい 2%以上3%未満 ○ 寸法収縮は若干発生する 3%以上4%未満 △ 寸法収縮は大きい 4%以上 × 寸法収縮は著しく大きい (3)搬送着版性評価 片面にアミノ変性シリコーンオイル(信越化学社製KF
864)を10mg/mm2 塗布した幅320mmのロ
ール状サンプルフィルムを、理想科学社製リソグラフR
C335の感熱孔版印刷用原紙収納部にシリコーンオイ
ル塗布面が製版ユニットのサーマルヘッドに接触する様
にセットし、画像電子学会ファクシミリテストチャート
No.1WPを原稿として通常製版条件の写真モードで
製版操作を行った。この場合のフィルム切れの発生、搬
送経路におけるジャム等の発生、着版時のシワの発生等
を観察評価し搬送着版製の指標とした。
【0045】 搬送着版性の評価尺度 観察評価 判定 全く問題の無いもの ◎ 着版時に若干シワが入るが印刷には問題のないもの ○ 着版時にシワが入り印刷物に影響を与えるもの △ ジャム等の発生により着版もできないもの × (熱可塑性樹脂フイルムの製造)先ず、本発明の実施例
及び比較例に用いる熱可塑性樹脂フィルムについて、そ
の詳細な製造方法を以下に記す。表1には熱可塑性樹脂
フィルムの樹脂組成物の内容、即ち溶融混練した実質的
に非晶質の熱可塑性ポリエステル樹脂(A)と結晶性の
熱可塑性ポリエステル樹脂(C)の組成比を示した。た
だし、組成物No.1及び10は、溶融混練せずに単一
の樹脂使用している。表2には表1に挙げた樹脂、即ち
樹脂記号(イ)、(ロ)、(ハ)を構成する単量体成分
である酸成分、及びアルコール成分の各々の成分割合を
示した。又、フィルム樹脂組成物が複数の樹脂からなる
場合は、それら樹脂をペレット状態でブレンダーを用い
て予備混合したものを成膜の際に押出機中で溶融混練し
てこれに供した。
【0046】一方、熱可塑性樹脂フィルムを成膜する際
に用いる延伸補強層(B層)用樹脂組成物の内容を表3
に示す。延伸補強層(B層)用樹脂組成物は、3種類の
樹脂をペレット状態でブレンダーを用いて予備混合した
ものを、直径5mmの押出口を3個有するストランドダ
イを口径45mm、L/D=44の押出機に供給し溶融
混練しながら、該押出機のミキシング部に液状物質を加
圧注入できる注入ポンプから2種類の油状物質を混合し
た添加剤を添加混練し、ストランドダイより押出し造粒
して成膜に供した。
【0047】フィルム成膜の際に原反を押出成形するの
に用いた装置の概要を以下に記す。即ち、口径40m
m、L/D=38の押出機(I)と口径32mm、L/
D=40の押出機(II)及び押出機(III)の3台
の押出機の先端に、溶融樹脂を3層状態で共押出せしめ
るサーキュラーダイを押出機(II)から最外層、押出
機(I)から中間層、押出機(III)から最内層へ溶
融樹脂が流れるように接続した押出成形装置を用いた。
尚、サーキュラーダイは、押出スリットが径150m
m、開度1.5mmのものを使用した。
【0048】熱可塑性樹脂フィルムの製造方法及び成膜
条件の詳細を以下に記す。即ち、熱可塑性樹脂フィルム
の樹脂組成物として、組成物No.1に平均粒子径3.
5μmの粒状シリカを0.2重量%添加した樹脂組成物
(M層樹脂)を用いて、該樹脂組成物を水分率が50p
pm以下になるまで十分乾燥した後、押出機(II)及
び押出機(III)に供給した。一方、延伸補強層(B
層)用樹脂組成物は、上記の如く造粒して押出機(I)
に供給した。各押出機から各樹脂組成物をサーキュラー
ダイよりM/B/Mの3層状態に共押出しし、水冷後折
り畳みながら引き取って原反を得た。
【0049】得られた原反を延伸機の加熱炉により再び
加熱し、延伸雰囲気温度105℃、面積倍率21.6倍
の延伸条件でチューブラー二軸延伸した後、冷風で冷却
し折り畳んで引き取った。その後、熱ロールを用いてプ
レスしながら熱処理温度70℃、熱処理時間5秒、弛緩
率3%(縦方向と横方向の平均値)の熱処理条件で熱処
理を行った。3層状態の上記二軸延伸フィルムから熱可
塑性樹脂フィルム層(M層)を剥離し厚み8μmの熱可
塑性樹脂フィルムを得た。得られたフィルムをフィルム
No.1とする。
【0050】樹脂組成物及び延伸条件や熱処理条件の成
膜条件を表4に示す通りに変更することの他は上記フィ
ルムNo.1の製造方法と同じくして、フィルムNo.
2〜10のフィルムを得た。表4には、樹脂組成物及び
成膜条件と併せて、フィルム厚みと70℃における加熱
収縮率(縦方向と横方向の平均値)も示した。次に、印
刷濃度評価及び黒ベタ画像均質性評価を行う際に用いる
製版装置について、その製版パターン、つまりマトリッ
クスの組み方を以下に記す。製版装置として使用した大
倉電機社製印字装置TH−PDMは、画素データや製版
エネルギー、原紙紙送り速度等の製版条件が自由に設定
可能で、任意の製版条件にて感熱孔版印刷用原紙を製版
することができる製版テスト装置である。ここで、製版
条件の設定は、式(2)に示すように製版エネルギーE
(μJ/dot)を決定する印加電圧V(V)とパルス
通電時間θ(ms)、式(3)に示すように原紙送り速
度v(μm/ms)を決定するライン密度Q(ライン/
mm)とライン周期T(ms/ライン)の4つのパラメ
ータを入力することによりなされる。
【0051】なお、製版装置に用いたライン型サーマル
ヘッドは、東芝社製TPH256R8Dを装着してお
り、該サーマルヘッドの発熱体平均抵抗値Rは192
5.4Ωのものを用いた。又、画素データの設定は、1
画素が32×32ドットのマトリックスで表されてお
り、このマトリックス範囲で各ドットの発熱可否を自由
に選択することによりなされる。表5には本発明の実施
例及び比較例で行った製版テストの製版条件を示した。
【0052】 E=(V2 ・θ/R)×103 (2) v=(1/Q・T)×103 (3)
【0053】
【実施例1及び比較例1】この実験は、本発明の製版方
法と従来技術との異差を示すための実験である。従っ
て、実験で用いた感熱孔版印刷用原紙は全て同一の製造
方法により得られたものを使用している。フィルム厚み
8μm、70℃における加熱収縮率35%であるフィル
ムNo.5の熱可塑製樹脂フィルムからなる感熱孔版印
刷用原紙を用意し、製版テスト装置に製版条件No.2
の製版条件を設定して前述の印刷濃度評価及び黒ベタ画
像均質性評価を行った。この実験を実験No.1とす
る。
【0054】製版条件を製版条件No.3に変更するこ
との他は上記実験No.1と同じ実験を繰り返し、これ
を実験No.2とする。製版条件を製版条件No.4に
変更することの他は上記実験No.1と同じ実験を繰り
返し、これを実験No.3とする。製版条件を製版条件
No.5に変更することの他は上記実験No.1と同じ
実験を繰り返し、これを実験No.4とする。製版条件
を製版条件No.6に変更することの他は上記実験N
o.1と同じ実験を繰り返し、これを実験No.5とす
る。製版条件を製版条件No.7に変更することの他は
上記実験No.1と同じ実験を繰り返し、これを実験N
o.6とする。製版条件を製版条件No.1に変更する
ことの他は上記実験No.1と同じ実験を繰り返し、こ
れを実験No.7とする。製版条件を製版条件No.8
に変更することの他は上記実験No.1と同じ実験を繰
り返し、これを実験No.8とする。製版条件を製版条
件No.9に変更することの他は上記実験No.1と同
じ実験を繰り返し、これを実験No.9とする。
【0055】これらの実験No.1〜9の評価結果をま
とめて表6に示す。表6の結果によると、画素データを
1/2に設定した場合、即ち、発熱体の各ライン毎の発
熱は主走査方向(F)には一個おきで、副走査方向
(S)には前ラインに発熱させなかった発熱体を発熱さ
せる場合において、ライン毎の原紙移動長(L)と発熱
体の副走査方向長(b)との比(L/b)が0.6〜
1.3の範囲にあるものは、感熱孔版印刷用原紙の加熱
領域1が図1に示す寸法関係になされ、得られる感熱孔
版印刷用原版には図2に示す独立孔2が形成される。
【0056】こうして得られた感熱孔版印刷用原版を印
刷に供すると、印刷物は黒ベタ画像に色ムラが少なくて
印刷濃度の標準偏差が小さい値(0.120未満)を示
し、更に印刷濃度も実用性のあるレベル(OD=0.8
5以上)を示した(実験No.1、2、3、4、5、6
参照)。従って、本発明の製版方法を行えば、発熱体が
大きいライン型サーマルヘッドを具備した製版装置で製
版を行っても、連結孔や未穿孔等に起因する画像欠陥が
無い良好な感熱孔版印刷用原版を得ることができる。
【0057】これに対し、L/bの値が0.6に満たな
いものは、孔の独立性が確保できずに黒ベタ画像均質性
が悪化した(実験No.7参照)。又、L/bの値が
1.3を超えるものは、各ライン毎の間隔が開き過ぎて
印刷濃度が低くなった(実験No.8参照)。一方、従
来技術の製版方法の場合、即ち画像データを1/1で表
し、各ラインとも全発熱体を発熱させる場合は、感熱孔
版印刷用原紙の加熱領域1が図3に示す寸法関係になさ
れ、得られる感熱孔版印刷用原版には穿孔径の拡がり過
ぎが著しくて独立孔が確保できず図4に示す連結孔3や
過拡大孔4、及び未穿孔5が発生し、印刷物は画像欠陥
が多く黒ベタ画像均質性、印刷濃度とも悪化した(実験
No.9参照)。
【0058】
【実施例2及び比較例2】この実験は、感熱孔版印刷用
原紙の穿孔感度、即ち感熱孔版印刷用原紙の熱収縮具合
に着目した実験である。従って、製版テスト装置に設定
する製版条件は、全て製版条件No.4に統一した。フ
ィルムNo.2の熱可塑性樹脂フィルムからなる感熱孔
版印刷用原紙を用いることの他は上記実験No.3と同
じ実験を繰り返し、これを実験No.10とする。フィ
ルムNo.3の熱可塑性樹脂フィルムからなる感熱孔版
印刷用原紙を用いることの他は上記実験No.3と同じ
実験を繰り返し、これを実験No.11とする。フィル
ムNo.4の熱可塑性樹脂フィルムからなる感熱孔版印
刷用原紙を用いることの他は上記実験No.3と同じ実
験を繰り返し、これを実験No.12とする。フィルム
No.6の熱可塑性樹脂フィルムからなる感熱孔版印刷
用原紙を用いることの他は上記実験No.3と同じ実験
を繰り返し、これを実験No.13とする。フィルムN
o.7の熱可塑性樹脂フィルムからなる感熱孔版印刷用
原紙を用いることの他は上記実験No.3と同じ実験を
繰り返し、これを実験No.14とする。フィルムN
o.8の熱可塑性樹脂フィルムからなる感熱孔版印刷用
原紙を用いることの他は上記実験No.3と同じ実験を
繰り返し、これを実験No.15とする。フィルムN
o.9の熱可塑性樹脂フィルムからなる感熱孔版印刷用
原紙を用いることの他は上記実験No.3と同じ実験を
繰り返し、これを実験No.16とする。フィルムN
o.1の熱可塑性樹脂フィルムからなる感熱孔版印刷用
原紙を用いることの他は上記実験No.3と同じ実験を
繰り返し、これを実験No.17とする。フィルムN
o.10の熱可塑性樹脂フィルムからなる感熱孔版印刷
用原紙を用いることの他は上記実験No.3と同じ実験
を繰り返し、これを実験No.18とする。
【0059】実験No.3、10〜18の実験に用いた
感熱孔版印刷用原紙について、前述の経時寸法安定性評
価を併せて行った。これらの実験No.3、10〜18
の評価結果をまとめて表7に示す。尚、図7は表7の測
定結果をグラフに示したものである。表7の結果による
と、70℃における加熱収縮率が15〜55%の範囲に
あるものは、印刷濃度が実用性のあるレベル(OD=
0.85以上)を示し得るほど穿孔感度が高いと同時
に、経時寸法安定性も良好で保存中に収縮したりシワが
発生するという問題を生じない感熱孔版印刷用原紙であ
る(実験No.3、10、11、12、13、14、1
5、16参照)。従って、本発明の製版方法では、実験
No.3、10〜16で用いた様な高感度の感熱孔版印
刷用原紙でも独立孔を確保することが可能であり、画像
欠陥が無く印刷濃度が高い印刷物を得ることができる。
【0060】これに対し、70℃における加熱収縮率が
15%に満たないものは、経時寸法安定性は問題ないが
穿孔感度が低く穿孔径が拡大し難い為に、本発明の製版
方法で製版を行っても印刷濃度が充分濃い印刷物を得る
ことができなかった(実験No.17参照)。又、70
℃における加熱収縮率が55%を超えるものは、穿孔感
度は高いが経時寸法安定性が悪い為に、感熱孔版印刷用
原紙としては供し得ない(実験No.18参照)。
【0061】
【実施例3及び比較例3】この実験は、フィルム単体型
感熱孔版印刷用原紙のフィルム厚みに着目した実験であ
る。従って、各厚みの熱可塑性樹脂フィルムは、全て同
一の製造方法により得られたものを使用しており、70
℃における加熱収縮率は33〜37%の範囲にある。
又、製版テスト装置に設定する製版条件も、全て製版条
件No.4に統一した。
【0062】フィルム厚みが5.0μmである熱可塑性
樹脂フィルムを用いることの他は上記実験No.3と同
じ実験を繰り返し、これを実験No.19とする。フィ
ルム厚みが6.0μmである熱可塑性樹脂フィルムを用
いることの他は上記実験No.3と同じ実験を繰り返
し、これを実験No.20とする。フィルム厚みが1
2.0μmである熱可塑性樹脂フィルムを用いることの
他は上記実験No.3と同じ実験を繰り返し、これを実
験No.21とする。フィルム厚みが15.0μmであ
る熱可塑性樹脂フィルムを用いることの他は上記実験N
o.3と同じ実験を繰り返し、これを実験No.22と
する。フィルム厚みが4.5μmである熱可塑性樹脂フ
ィルムを用いることの他は上記実験No.3と同じ実験
を繰り返し、これを実験No.23とする。フィルム厚
みが15.5μmである熱可塑性樹脂フィルムを用いる
ことの他は上記実験No.3と同じ実験を繰り返し、こ
れを実験No.24とする。
【0063】実験No.3、19〜24の実験に用いた
感熱孔版印刷用原紙について、前述の搬送着版性評価を
併せて行った。これらの実験No.3、19〜24の評
価結果をまとめて表8に示す。表8の結果によると、フ
ィルム厚みが5〜15μmのものは、フィルム単体型原
紙が印刷機内で破れやジャム等を発生せずに確実に搬送
を行え、しかも印刷濃度が充分濃い印刷画像を得ること
ができる(実験No.3、19、20、21、22参
照)。これに対し、フィルム厚みが5μmに満たないも
のは、フィルム単体型原紙は機械的強度及び腰が弱い為
に、印刷機内で搬送不良を生じ搬送着版性が劣る(実験
No.23参照)。又、フィルム厚みが15μmを超え
るものは、フィルム単体型原紙の穿孔感度が著しく低下
し、未穿孔が多く印刷濃度が低い印刷物しか得られない
(実験No.24参照)。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
【表3】
【0067】
【表4】
【0068】
【表5】
【0069】
【表6】
【0070】
【表7】
【0071】
【表8】
【0072】
【発明の効果】本発明によれば、フィルム単体型感熱孔
版印刷用原紙を製版するに際し、同じ熱エネルギーで製
版する場合により厚い原紙でも製版できる高感度のもの
が使用可能で、このような高感度原紙を製版するにあた
り発熱体サイズが大きいサーマルヘッドでも原紙に形成
される孔の独立性を確保できる。又、この製版方法によ
る感熱孔版印刷用原版を用いれば、白抜け、ループ画像
の黒抜け、シワ、画像歪み等の画像欠陥が無い高品質な
印刷物が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の感熱孔版製版方法により感熱孔版印刷
用原紙が加熱される領域を模式的に示す図である(a:
53μm、b:80μm、p:63.5μm、L:48
〜104μm、L/b=0.6〜1.3)。
【図2】本発明の感熱孔版製版方法により感熱孔版印刷
用原紙に形成された穿孔跡を模式的に示す図である。
【図3】従来の感熱孔版製版方法により感熱孔版印刷用
原紙が加熱される領域を模式的に示す図である(a:5
3μm、b:80μm、p:63.5μm、q:90μ
m)。
【図4】従来の感熱孔版製版方法により感熱孔版印刷用
原紙に形成された穿孔跡を模式的に示す図である。
【図5】感熱紙発色用途の発熱体サイズが大きいライン
型サーマルヘッドの一例を示す要部概略図である(a:
53μm、b:80μm、p:63.5μm)。
【図6】感熱孔版製版用途の発熱体サイズが小さいライ
ン型サーマルヘッドの一例を示す要部概略図である
(a:53μm、b:40μm、p:63.5μm)。
【図7】本発明に使用する高感度フィルム単体型感熱孔
版印刷用原紙の特性を示す実験図である。
【符号の説明】
1 加熱領域 2 独立孔 3 連結孔 4 過拡大孔 5 未穿孔跡 6 発熱体 7 個別電極 8 共通電極 a 発熱体主走査方向長 b 発熱体副走査方向長 F 主走査方向 L 各ライン毎の原紙移動ピッチ p 発熱体主走査方向ピッチ q 発熱ライン副走査方向ピッチ S 副走査方向

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂フィルム単体からなるフィ
    ルム単体型感熱孔版印刷用原紙を、複数個の発熱体を主
    走査方向に一列に配列させたライン型サーマルヘッドに
    接触させ、且つ該発熱体を選択的に発熱させ一ラインの
    穿孔を行いながら副走査方向に所定の原紙移動ピッチで
    上記原紙を移動させることを繰り返し、上記原紙にドッ
    トマトリックス状穿孔画像を形成して感熱孔版印刷用原
    版を作製する感熱孔版製版方法において、上記感熱孔版
    印刷用原紙には70℃における加熱収縮率が15〜55
    %である高感度原紙を用いるにあたり、上記発熱体の各
    ライン毎の発熱は主走査方向(F)には一個おきで、副
    走査方向(S)には前ラインで発熱させなかった発熱体
    を発熱させ、上記原紙の移動は原紙移動ピッチ(L)と
    発熱体副走査方向長(b)との比(L/b)が0.6〜
    1.3となるように行わせることを特徴とする感熱孔版
    製版方法。
JP12471495A 1995-05-24 1995-05-24 感熱孔版製版方法 Withdrawn JPH08309954A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6460454B1 (en) 1998-10-06 2002-10-08 Riso Kagaku Corporation System for making heat-sensitive stencil master
JP2008302523A (ja) * 2007-06-05 2008-12-18 Tohoku Ricoh Co Ltd 孔版印刷装置
JP2008307829A (ja) * 2007-06-15 2008-12-25 Tohoku Ricoh Co Ltd 孔版印刷装置

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