JPH08307004A - 半導体レーザおよびその製造方法 - Google Patents

半導体レーザおよびその製造方法

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JPH08307004A
JPH08307004A JP11140795A JP11140795A JPH08307004A JP H08307004 A JPH08307004 A JP H08307004A JP 11140795 A JP11140795 A JP 11140795A JP 11140795 A JP11140795 A JP 11140795A JP H08307004 A JPH08307004 A JP H08307004A
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JP
Japan
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film
face
semiconductor laser
dielectric film
refractive index
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Application number
JP11140795A
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English (en)
Inventor
Tetsuhito Nakajima
徹人 中島
Keisuke Shinozaki
啓助 篠崎
Hiroshi Wada
浩 和田
Hideaki Horikawa
英明 堀川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Oki Electric Industry Co Ltd
Original Assignee
Oki Electric Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高出力動作しかつ従来よりCOD破壊限界が
高いファブリ・ペロ型の半導体レーザを提供する。 【構成】 ファブリ・ペロ型の半導体レーザにおける半
導体材料部分11の一方の端面11xに、第1および第
2の誘電体膜13a,13bで構成された端面膜13で
あって、これら2層の誘電体膜それぞれの膜厚および発
振光に対する屈折率が、半導体レーザの設計上当該半導
体レーザの出射端面17に要請される前記発振光に対す
る反射率を確保でき然も前記半導体材料部分の端面11
xとこれに接する誘電体膜13bとの界面における光電
場強度を最少若しくはその近傍の値にできる膜厚および
屈折率となっている、端面膜13を具える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、半導体レーザ(以
下、「LD」と略記することもある。)およびその製造
方法に関し、特に高出力動作時における半導体材料部分
(後述する。)の端面(LD端面とは区別する意味。)
の破壊(catastrophic optical damage:「COD破
壊」と略記することもある。)を防止するために好適な
構造を有したファブリ・ペロ型のLDおよびその製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】典型的なファブリ・ペロ型のLDは、劈
開により形成される2つの端面を持つ半導体材料部分と
これを駆動する所定電極とを具えた構造となっている。
ここで半導体材料部分は、典型的には、活性層およびこ
れを挟む上下クラッド層で構成される。ただし、この半
導体材料部分における2つの端面は、劈開ではなく好適
なエッチング手段によって形成されることもある。
【0003】このようなファブリ・ペロ型のLDにおい
てその高出力化を図る場合、一般には、半導体材料部分
の2つの端面のうちの少なくとも一方の端面に、この端
面でのレーザ発振光(以下、「発振光」ともいう)に対
する反射率を低くするための端面膜を設けること、が行
なわれる。この端面膜は典型的には1層の誘電体膜で構
成される。この端面膜とこれが形成された半導体材料部
分の端面とで構成される複合共振器ミラーにより、ファ
ブリ・ペロ型のLDの出射端面(以下、「LD端面」若
しくは「LD出射端面」ともいう)が構成される。そし
てこの端面膜の屈折率および膜厚それぞれは、このファ
ブリ・ペロ型のLDの設計上の要請(例えば発振開始し
きい値(以下、「しきい値」ともいう)や駆動電流の大
きさ等)を満足する反射率が上記出射端面において得ら
れるように、決められていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ファブリ・
ペロ型のLDではその高出力化を進める上でいわゆるC
OD破壊の防止が重要となる。COD破壊は半導体材料
部分の端面に存在する非発光中心が発振光を吸収し発熱
することにより生ずる熱破壊が原因で起こるとされてい
る。このため、従来から、非発光中心を極力含まない半
導体材料を得ることができる結晶成長技術に関する研
究、あるいは非発光中心を含む半導体材料から非発光中
心を除去する技術に関する研究がなされてきているが、
現在のところ有効な手だてが確立されていない。そこ
で、この出願に係る発明者はファブリ・ペロ型のLDで
の半導体材料部分の端面と端面膜との界面における光電
場強度を低減することによって、COD破壊の発生を従
来より改善できないかと考えた。しかし、そのために
は、以下に説明するような解決すべき問題があることが
詳細な研究で明らかになった。
【0005】端面膜を1層の誘電体膜で構成した場合の
ファブリ・ペロ型のLDでの、半導体材料部分の端面と
端面膜との界面における光電場強度|EA2 およびこ
のLDの出射端面での反射率RA は、誘電体膜の屈折率
がn1 A、厚さがd1 A、半導体材料部分の屈折率がn2 A
ある場合、次の式で与えられることが知られている(例
えば文献I:オフ゜ティカル フ゜ロハ゜ティス゛ オフ゛ シンソリット゛フィルムス゛(OP
TICAL PROPERTIES OFTHIN SOLID FILMS),(1991),pp.69
〜74の4.8項)。なお、EA やRA などの記号におけ
る上付きのAは、後の実施例で示される式と区別する意
味の添え字にすぎないことは付記しておく(以下、同
様。)。
【0006】
【数3】
【0007】ただし、この式において、λは当該LDの
発振光の波長、r1 Aおよびt1 Aは半導体材料部分と端面
膜との界面での発振光に対する反射率および透過率、r
0 Aおよびt0 Aは端面膜と外部との界面での発振光に対す
る反射率および透過率、E2 + A は半導体材料部分の内部
から端面膜に向かう光電場、E2 -A は半導体材料部分で
端面膜側から内部に向かう光電場、E0 +A は端面膜から
外部に向かう光電場をそれぞれ示す。なお、式中のパラ
メータの説明において半導体材料部分とはレーザ光が主
に伝搬する部分のことであり典型的には活性層である
(以下、同様。)。
【0008】この式の意味を理解し易くするため、発振
波長λを980nmとしかつ端面膜の膜厚d1 Aをλ/4
1 Aとした場合のファブリ・ペロ型のLDの、種々の屈
折率n1 Aに対する光電場強度|EA2 と、反射率RA
とを上記式より計算した結果を、図6(A)および
(B)に示した。ただし、半導体レーザはGaAs系の
材料で構成されたものを仮定している。したがって、半
導体材料部分の屈折率は3.5としている。またこれら
図6(A)、(B)において横軸は、屈折率n1 Aを示
す。また、図6(A)における反射率は%による表示で
はなく絶対値による表示としてある。また、図6(B)
において横軸は任意単位で示してある。
【0009】この図6から、1層の誘電体膜で端面膜が
構成されたLDでの、半導体材料部分の端面と端面膜と
の界面近傍の光電場|EA2 は、端面膜と半導体材料
との屈折率差が小さいほど(すなわちn1 Aが半導体材料
部分の屈折率3.5に近づく程)小さくなり、一方、L
D出射端面での反射率RA は端面膜と半導体材料部分と
の屈折率差がある特定の値の時に最少となることが分か
る。したがって、LDを高出力化しようとして、LDの
出射端面の反射率RA を、LDのしきい値をあまり高く
しない範囲で小さくするように設計すると、半導体材料
部分の端面と端面膜との界面での光電場強度|EA2
は必ずしも極小にはならず結局COD破壊を招く要因を
実質的に除去できないことが分かる。
【0010】また、屈折率n1 Aを図6(A)においてL
D端面の反射率RA が最少となるときの屈折率(ここで
はn1 A=1.8とする)としかつ発振波長λを980n
mとした場合での、端面膜の膜厚d1 Aに対する光電場強
度|EA2 および反射率RA を上記式により計算した
結果を、図7(A)および(B)に示した。
【0011】この図7から、端面膜が発振光の波長の1
/4n1 Aの厚さのときに、LD端面の反射率RA と光電
場強度|EA2 とは極小になることが分かる。しか
し、反射率RA が0ではレーザ共振器が成立しないの
で、反射率は0より大きい所定の値とされるので、この
図7からわかるように、LDの出射端面の反射率を所定
の値にできたとしてもCOD破壊を招く要因である半導
体材料部分と端面膜との界面での光電場強度は極小値か
らずれてしまう。
【0012】上述の説明から理解できるように、端面膜
を1層の誘電体膜で構成したファブリ・ペロ型のLDで
は、LDの設計から要請されるLD出射端面の反射率を
得る為の条件と、COD破壊を回避するために要請され
る半導体材料部分と端面膜との界面での光電場強度を極
小にするための条件とを同時に満足することは一般には
実現できないという問題があった。
【0013】
【課題を解決するための手段】そこで、この出願の第一
発明の半導体レーザによれば、ファブリ・ペロ型の半導
体レーザにおいて、半導体材料部分における2つの端面
のうちの少なくとも一方の端面に、少なくとも2層の誘
電体膜で構成された端面膜であって、該少なくとも2層
の誘電体膜それぞれの膜厚および発振光に対する屈折率
が、半導体レーザの設計上当該半導体レーザの出射端面
に要請される前記発振光に対する反射率を確保でき然も
前記半導体材料部分の端面とこれに接する誘電体膜との
界面における光電場強度を最少若しくはその近傍の値に
できる膜厚および屈折率となっている、端面膜を具えた
ことを特徴とする。
【0014】また、この出願の第二発明の半導体レーザ
の製造方法によれば、2つの端面を有した半導体材料部
分と該2つの端面のうちの少なくとも一方の端面に設け
られた端面膜とを具え、該端面膜とこれが設けられてい
る半導体材料部分の端面とから成る半導体レーザ端面の
反射率が半導体レーザの設計上要請される反射率とされ
ているファブリ・ペロ型の半導体レーザを製造するに当
たり、前記端面膜を少なくとも2層の誘電体膜で構成
し、前記少なくとも2層の誘電体膜おのおのの屈折率お
よび膜厚を、前記要請される反射率を満たし然も前記要
請される反射率において前記半導体材料部分の前記端面
とこれに接する誘電体膜との界面での光電場強度が最少
若しくはその近傍の値となるような屈折率および膜厚と
なるよう調整して、前記端面膜を形成することを特徴と
する。
【0015】なお、これら第一および第二発明におい
て、光電場強度が最少とは、前記要請される反射率が得
られることを前提に理想的には光電場強度が最少(極
小)となることが好ましいという意味である。また、光
電場強度が最少値の近傍とは、LDに予定されている駆
動条件に対しCOD破壊の防止の仕様を満足できる範囲
において光電場強度の最少値の近傍の範囲の値も含むと
いう意味である。
【0016】
【作用】この出願の第一および第二発明によれば、端面
膜の設計に当たり、LD出射端面に要請される反射率と
いうパラメータに加え半導体材料部分の端面での光電場
強度というパラメータも考慮される。また、端面膜を少
なくとも2層の誘電体膜で構成するようにしたので、後
述の図3〜図5を参照して説明する事項からも理解出来
る様に、反射率というパラメータと光電場強度というパ
ラメータとをそれぞれ独立に設定出来る自由度が生じ
る。
【0017】また、この出願の第二発明の半導体レーザ
の製造方法によれば、半導体レーザの設計上で半導体レ
ーザの出射端面に要請される反射率を確保すると共に、
実用上仕様可能な複数のコーティグ材料を用い上記要請
下で、半導体材料部分の端面近傍における光電場強度を
最少若しくはその近傍の値にできる製法が提供できる。
【0018】
【実施例】以下、図面を参照してこの出願の第一および
第二発明の実施例について併せて説明する。ただし、説
明に用いる各図はこの発明を理解出来る程度に概略的に
示してある。また、説明に用いる各図において同様な構
成成分については同一の番号を付し、その重複する説明
を省略することもある。
【0019】図1は実施例のファブリ・ペロ型の半導体
レーザ10の要部の構造を模式的に示した図である。こ
の図1は、ちょうど、半導体レーザ10をレーザ共振器
の長手方向に沿って切った切り口を示した図に相当す
る。なお、図1では、基板や駆動用電極などの図示を省
略してあることは理解されたい。
【0020】この図1において、11は半導体材料部分
を示し、13はこの発明に係る端面膜を示し、15は高
反射膜を示し、17は半導体レーザの出射端面を示す。
【0021】ここで、半導体材料部分11は、この実施
例の場合、活性層11aと、該活性層11aを挟んでい
る下側クラッド層11bおよび上側クラッド層11cと
を具えた構成となっている。さらにこの半導体材料部分
11は対向する2つの端面11x,11yを具えてい
る。これら端面11x,11yは、周知の通り、半導体
レーザの製造に用いた半導体材料を劈開すること或はエ
ッチングすることで形成される。
【0022】また、端面膜13は、半導体レーザ10の
外部側に位置する第1の誘電体膜13aおよび前記半導
体材料部分11の端面に接する第2の誘電体膜13bの
2層の膜で構成してある。すなわち、半導体材料部分1
1の2つの端面のうちの一方の端面(この場合は端面1
1x)に順に設けた第2の誘電体膜13bと第1の誘電
体膜13aとで構成してある。この端面膜13について
の詳細は後述する。
【0023】また、高反射膜15は、半導体材料部分の
2つの端面11x,11yのうちのこの場合は端面11
yに設けてあり、発振光の閉じ込めに好適な反射率を有
した誘電体膜で構成してある。
【0024】また、半導体レーザの出射端面17は、こ
の場合、半導体材料部分の端面11xと端面膜13とか
らなる部分で構成される。
【0025】次に、端面膜13について詳述する。この
端面膜13の一方の構成成分である第1の誘電体膜13
aのレーザ発振光(以下、「発振光」ともいう。)に対
する屈折率をn1 、膜厚をd1 、他方の構成成分である
第2の誘電体膜13bの前記発振光に対する屈折率をn
2 、膜厚をd2 とした場合、これらn1 、d1 、n2
よびd2 は、半導体レーザ10の設計上半導体レーザの
出射端面17に要請される前記発振光に対する反射率R
を確保でき然も前記半導体材料部分11の端面11xと
これに接する誘電体膜すなわち第2の誘電体膜13bと
の界面における光電場強度|E|2 を最少若しくはその
近傍の値にできる膜厚および屈折率となっている。
【0026】そして、このようにn1 、d1 、n2 およ
びd2 を設定することは、例えば、次の方法で行なうこ
とができる。すなわち、下記式で与えられる半導体レー
ザ出射端面での発振光に対する反射率Rを前記要請され
る反射率とでき然も下記式で与えられる前記半導体材料
部分の端面と前記第2の誘電体膜との界面における光電
場強度|E|2 を最少若しくはその近傍の値にできる屈
折率および膜厚となるように、これら第1および第2の
誘電体膜を構成する材料をそれぞれ選択しかつ膜厚をそ
れぞれ制御する。
【0027】
【数4】
【0028】ただし、式中、λは当該半導体レーザにお
ける発振光の波長、n3 は前記半導体材料部分(ここで
は活性層11a)の前記発振光に対する屈折率、n0
空気の前記発振光に対する屈折率、r0 およびt0 は前
記第1の誘電体膜13aと外部との界面での前記発振光
に対する反射率および透過率、r1 およびt1 は前記第
1の誘電体膜13aと前記第2の誘電体膜13bとの界
面での前記発振光に対する反射率および透過率、r2
よびt2 は前記半導体材料部分の端面11xと前記第2
の誘電体膜13bとの界面での前記発振光に対する反射
率および透過率、E3 +は前記半導体材料部分内でその端
面に向かう光電場、E3 -は前記半導体材料部分内でその
端面から内部に向かう光電場、E0 +は前記第1の誘電体
膜13aから外部に向かう光電場をそれぞれ示す。この
式自体は、例えば上記文献I「オフ゜ティカル フ゜ロハ゜ティス゛ オフ゛
シンソリット゛フィルムス゛(OPTICAL PROPERTIES OF THIN SOLID FIL
MS),(1991),pp.69 〜74の4.8項)」に示されてい
る。なお n1 、d1 等の各記号(パラメータ)の意味
を視覚的に明瞭にするために、図1の構造とn1 、d1
等の各記号との関係を図2に示した。
【0029】しかし、n1 、d1 、n2 およびd2 を上
記式を考慮し制御するという上記の説明では漠然として
いるので、先ず、上記反射率Rと上記n1 、d1 、n2
およびd2 との関係、並びに、上記光電場強度|E|2
と上記n1 、d1 、n2 およびd2 との関係についてそ
れぞれ説明する。このため、半導体レーザの設計上要請
される発振波長λが980nmであり、かつ、第1の誘
電体膜13aの構成材料としてTiO2 を用い、第2の
誘電体膜13bの構成材料としてAl23 を用いる場
合を仮定し、第1および第2の誘電体膜13a,13b
の膜厚を種々に変えた場合の反射率Rと光電場強度|E
2 とをそれぞれ上記式に従い計算する。なお、Al2
3 の波長980nmの光に対する屈折率は1.6であ
り、TiO2 の波長980nmの光に対する屈折率は
2.65である。また、半導体材料部分(活性層)の屈
折率は任意に設定した。また、発振波長を980nmと
した理由は、近年、光ファイバ増幅器のポンプ光として
この波長のかつ高出力の光を発する半導体レーザが望ま
れているからである。図3(A)に反射率Rについての
上記計算結果を、また、図3(B)に光電場強度|E|
2 についての上記計算結果をそれぞれ示した。なお、図
3(A)は、第1の誘電体膜13aの膜厚d、第2の
誘電体膜13bの膜厚d および反射率Rを3次元座
標の1つずつの座標に割り当てて示してある。また、図
3(B)は、第1の誘電体膜13aの膜厚d1 、第2の
誘電体膜13bの膜厚d2 および光電場強度|E|2
3次元座標の1つずつの座標に割り当てて示してある。
但し、膜厚d1 についてはλ/n1に対する比の形で、
また、膜厚d2 についてはλ/n2 に対する比の形で、
反射率Rについては%表示でなく絶対値で、光電場強度
|E|2 については任意単位でそれぞれ示してある(図
4、図5の該当するパラメータにおいて同じ。)。
【0030】これら図3(A)および(B)から分かる
様に、屈折率n1 およびn2 を固定した状態で膜厚d1
およびd2 を任意に変化させた場合、半導体レーザの出
射端面17の発振光に対する反射率Rは図3(A)の様
に変化し、一方、半導体材料部分の端面11xと第2の
誘電体膜13bとの界面での光電場強度|E|2 は図3
(B)の様に変化することが理解出来る。
【0031】そこで、今度は、図3(A)および(B)
に示した反射率Rおよび光電場強度|E|2 各々の変化
の様子を、等高線を用いた表示に書き直してみる。その
結果を図4(A)および(B)にそれぞれ示した。な
お、これら等高線表示をした図4(A)および(B)に
おいて、「低」と書いた部分が反射率R若しくは光電場
強度|E|2 が最も低い部分であり、その周囲では等高
線表示に従い反射率若しくは光電場強度が徐々に高くな
っていっていることを示している。
【0032】これら図3および図4(特に図4)から明
らかな様に、光電場強度|E|2 を最も低くできる膜厚
1 および膜厚d2 の領域と、反射率Rを最も低くでき
る膜厚d1 および膜厚d2 の領域とは異なっている。す
なわち、光電場強度|E|2を極小にしてなおかつ反射
率Rを光電場強度とは独立に設定できる余地が残されて
いることが分かる。したがって、半導体レーザの設計か
ら出射端面に要請される反射率Rを要請通りに設定で
き、なおかつ、半導体材料部分の端面と第2の誘電体膜
との界面での光電場強度を最少(極小)若しくはその近
傍の値にできることが分かる。また、このことは、屈折
率n1 およびn2 を上記2.65や1.6以外の値に設
定した場合にもいえるから、第1および第2の誘電体膜
を構成する材料の屈折率からくる制約を、この発明は緩
和出来るといえる。
【0033】次に、半導体レーザの設計から出射端面に
要請される反射率Rを2%に設定しなければならない場
合を想定して、なおかつ、上記光電場強度を極小に出来
る膜厚d1 および膜厚d2 を図4から読み取ってみる。
すると、d1 =0.12λ/n1 、d2 =0.08λ/
2 近傍の値がそれぞれ読み取れる。また、第2の誘電
体膜の膜厚d2 を上記読み取った値0.08λ/n2
設定して、第1の誘電体膜の膜厚d1 を0からλ/4n
1 まで種々に変えたときの上記反射率Rおよび光電場強
度|E|2 を上記式に従い計算する。この計算結果を図
5(A)および(B)に示した。1層の誘電体膜で端面
膜を構成した場合は図7に示した様に、反射率を極小に
する膜厚d1 と光電場強度を極小にする膜厚d1 とが同
じであったのに対し、この発明では両者が相違すること
が分かる。
【0034】この実施例の半導体レーザでは、少なくと
も2層の所定の誘電体膜で構成した端面膜を設けたので
出射端面ではしきい値を低くしすぎない範囲で発振光に
対する反射率を抑えられるから、この出射端面からは高
出力の光が取り出せる。さらに、半導体材料部分の端面
と第2の誘電体膜との界面において発振光の電場の振幅
が節になるので光電場強度を小さくできるから、COD
破壊の防止を従来より図れる。また、この発明の半導体
レーザは、窓構造やLOC(Large Optical Cavity:活
性層での光エネルギー密度を低減するために光を活性層
から積極的にしみ出させる構造)を作りつけてある半導
体レーザに比べ、出射光の波面収差を小さくできるか
ら、光ファイバーと一体化したモジュールに組み込むに
好適でかつCOD破壊の起きにくいLDといえる。ま
た、この出願の各発明は、比較的高出力動作されるGa
As系の半導体レーザに適用して好適であるが、もちろ
ん他の材料系(例えばInP系)の半導体レーザにも適
用出来る。
【0035】上述においてはこの出願の半導体レーザお
よびその製造方法の実施例について説明したが、これら
発明は上述の実施例に限られない。たとえば、上述の各
実施例では典型的なファブリ・ペロ型の半導体レーザに
これら発明を適用したが、他の構造例えば回折格子を有
したファブリ・ペロ型の半導体レーザなどにも適用出来
る。また、上述の実施例では端面膜を2層の誘電体膜で
構成した例を示したが、3層以上の誘電体膜で端面膜を
構成する場合にも適用出来る。
【0036】
【発明の効果】上述した説明から明らかなように、この
出願の第一および第二発明によれば、半導体材料部分に
おける2つの端面のうちの少なくとも一方の端面に、少
なくとも2層の誘電体膜で構成され端面膜であって、各
誘電体膜の膜厚および発振光に対する屈折率が、半導体
レーザの設計上当該半導体レーザの出射端面に要請され
る前記発振光に対する反射率を確保でき然も前記半導体
材料部分の端面とこれに接する誘電体膜との界面におけ
る光電場強度を最少若しくはその近傍の値にできる膜厚
および屈折率となっている端面膜を具えたファブリ・ペ
ロ型の半導体レーザが得られる。このため、高出力動作
出来かつCOD破壊限界が従来より高いファブリ・ペロ
型の半導体レーザの実現が期待出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の半導体レーザの構造を説明する図であ
る。
【図2】実施例の説明図であり、計算に用いたパラメー
タの説明図である。
【図3】実施例の説明図であり、反射率と光電場強度と
の設定の独立性を示す図(その1)である。
【図4】実施例の説明図であり、反射率と光電場強度と
の設定の独立性を示す図(その2)である。
【図5】実施例の説明図であり、反射率と光電場強度と
の設定の独立性を示す図(その3)である。
【図6】従来技術の課題の説明図である。
【図7】従来技術の課題の説明図である。
【符号の説明】
10:実施例の半導体レーザ 11:半導体材料部分 11a.活性層 11b:下側クラッド層 11c:上側クラッド層 11x,11y:半導体材料部分の端面 13:端面膜 13a:第1の誘電体膜 13b:第2の誘電体膜 15:高反射膜 17:半導体レーザの出射端面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 堀川 英明 東京都港区虎ノ門1丁目7番12号 沖電気 工業株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ファブリ・ペロ型の半導体レーザにおい
    て、 半導体材料部分における2つの端面のうちの少なくとも
    一方の端面に、少なくとも2層の誘電体膜で構成された
    端面膜であって、該少なくとも2層の誘電体膜それぞれ
    の膜厚および発振光に対する屈折率が、半導体レーザの
    設計上当該半導体レーザの出射端面に要請される前記発
    振光に対する反射率を確保でき然も前記半導体材料部分
    の端面とこれに接する誘電体膜との界面における光電場
    強度を最少若しくはその近傍の値にできる膜厚および屈
    折率となっている、端面膜を具えたことを特徴とする半
    導体レーザ。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の半導体レーザにおい
    て、 前記端面膜を、半導体レーザの外部側に位置する第1の
    誘電体膜および前記半導体材料部分の端面に接する第2
    の誘電体膜であって、 該第1の誘電体膜の前記発振光に対する屈折率をn1
    膜厚をd1 、該第2の誘電体膜の前記発振光に対する屈
    折率をn2 、膜厚をd2 とそれぞれしたとき、これらn
    1 、d1 、n2 およびd2 が、 下記式で与えられる半導体レーザ出射端面での発振光に
    対する反射率Rを前記要請される反射率とでき然も下記
    式で与えられる前記半導体材料部分の端面と前記第2の
    誘電体膜との界面における光電場強度|E|2 を最少若
    しくはその近傍の値にできる屈折率および膜厚となって
    いる、第1の誘電体膜および第2の誘電体膜で構成して
    あることを特徴とする半導体レーザ。 【数1】 ただし、式中、λは当該半導体レーザにおける発振光の
    波長、n3 は前記半導体材料部分の前記発振光に対する
    屈折率、n0 は空気の前記発振光に対する屈折率、r0
    およびt0 は前記第1の誘電体膜と外部との界面での前
    記発振光に対する反射率および透過率、r1 およびt1
    は前記第1の誘電体膜と前記第2の誘電体膜との界面で
    の前記発振光に対する反射率および透過率、r2 および
    2 は前記半導体材料部分の端面と前記第2の誘電体膜
    との界面での前記発振光に対する反射率および透過率、
    3 +は前記半導体材料部分内でその端面に向かう光電
    場、E3 -は前記半導体材料部分内でその端面から内部に
    向かう光電場、E0 +は前記第1の誘電体膜から外部に向
    かう光電場をそれぞれ示す。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の半導体レーザにおい
    て、 前記要請される反射率を2%とし、前記発振光の波長λ
    を980nmとし、前記第1の誘電体膜の屈折率n1
    2.65とし、前記膜厚d1 を0.12λ/n1 で与え
    られる膜厚とし、前記第2の誘電体膜の屈折率n2
    1.6とし、前記膜厚d2 を0.08λ/n2 で与えら
    れる膜厚としてあることを特徴とする半導体レーザ。
  4. 【請求項4】 2つの端面を有した半導体材料部分と該
    2つの端面のうちの少なくとも一方の端面に設けられた
    端面膜とを具え、該端面膜とこれが設けられている半導
    体材料部分の端面とから成る半導体レーザ端面の反射率
    が半導体レーザの設計上要請される反射率とされている
    ファブリ・ペロ型の半導体レーザを製造するに当たり、 前記端面膜を少なくとも2層の誘電体膜で構成し、 前記少なくとも2層の誘電体膜おのおのの屈折率および
    膜厚を、前記要請される反射率を満たし然も前記要請さ
    れる反射率において前記半導体材料部分の前記端面とこ
    れに接する誘電体膜との界面での光電場強度が最少若し
    くはその近傍の値となるような屈折率および膜厚となる
    よう調整して、前記端面膜を形成することを特徴とする
    半導体レーザの製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の半導体レーザの製造方
    法において、 前記端面膜を、半導体レーザの外部側に位置する第1の
    誘電体膜および前記半導体材料部分の端面に接する第2
    の誘電体膜の2層構成とする場合、 該第1の誘電体膜の前記発振光に対する屈折率をn1
    膜厚をd1 、該第2の誘電体膜の前記発振光に対する屈
    折率をn2 、膜厚をd2 とそれぞれしたとき、これらn
    1 、d1 、n2 およびd2 が、 下記式で与えられる半導体レーザ出射端面での発振光に
    対する反射率Rを前記要請される反射率とでき然も下記
    式で与えられる前記半導体材料部分の端面と前記第2の
    誘電体膜との界面における光電場強度|E|2 を最少若
    しくはその近傍の値にできる屈折率および膜厚となるよ
    うに、 これら第1および第2の誘電体膜を構成する材料をそれ
    ぞれ選択しかつ膜厚をそれぞれ制御することを特徴とす
    る半導体レーザの製造方法。 【数2】 ただし、式中、λは当該半導体レーザにおける発振光の
    波長、n3 は前記半導体材料部分の前記発振光に対する
    屈折率、n0 は空気の前記発振光に対する屈折率、r0
    およびt0 は前記第1の誘電体膜と外部との界面での前
    記発振光に対する反射率および透過率、r1 およびt1
    は前記第1の誘電体膜と前記第2の誘電体膜との界面で
    の前記発振光に対する反射率および透過率、r2 および
    2 は前記半導体材料部分の端面と前記第2の誘電体膜
    との界面での前記発振光に対する反射率および透過率、
    3 +は前記半導体材料部分内でその端面に向かう光電
    場、E3 -は前記半導体材料部分内でその端面から内部に
    向かう光電場、E0 +は前記第1の誘電体膜から外部に向
    かう光電場をそれぞれ示す。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の半導体レーザの製造方
    法において、 前記要請される反射率を2%とし、前記発振光の波長λ
    を980nmとする場合、 前記第1の誘電体膜を構成する材料としてTiO2 を用
    い、 前記第2の誘電体膜を構成する材料としてAl23
    用い、 該TiO2 をその膜厚が0.12λ/n1 となるよう制
    御し、および、 に該Al23 をその膜厚が0.08λ/n2 となるよ
    うに制御することを特徴とする半導体レーザの製造方法
    (ただし、n1 はTiO2 膜の屈折率、n2 はAl2
    3 膜の屈折率である。)。
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