JPH0830671A - 配線経路調査装置 - Google Patents

配線経路調査装置

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JPH0830671A
JPH0830671A JP6167825A JP16782594A JPH0830671A JP H0830671 A JPH0830671 A JP H0830671A JP 6167825 A JP6167825 A JP 6167825A JP 16782594 A JP16782594 A JP 16782594A JP H0830671 A JPH0830671 A JP H0830671A
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grid
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Nakaya Hayashi
中也 林
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Mitsubishi Electric Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 適切な経路を見出す可能性を高める。 【構成】 配線経路探索部24は既配線の情報と繋ぐべ
き端子の情報とにもとづいて、コスト関数を最小にする
経路を見出す。この過程で、既配線移動可能性調査部2
5〜28における判断が参照される。既配線移動可能性
調査部25〜28の各1では、新たな経路を引く上でそ
の経路内のグリッド上に存在する既配線をそれぞれ一定
の方向にずらすことによって、そのグリッドを空けるこ
とができるか否かの判断が行われる。しかも、既配線を
ずらす上で障害となる他の既配線の移動可能性をも考慮
した判断が行われる。配線経路探索部24は、既配線移
動可能性調査部25〜28の何れか1つが、そのグリッ
ドを空けることができると判断すれば、コスト関数に小
さい値を付加する。逆に、全てが空けることができない
と判断すれば、コスト関数に大きな値を付加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、半導体装置のレイア
ウト設計などに好適な配線経路調査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体装置のレイアウト設計の過程、す
なわちレイアウト図面を生成する過程では、その半導体
装置内に配設すべき配線のレイアウトが決定される。そ
の際に、所定の配線領域内で所望の端子(配線で接続さ
れるべき部位)の間を配線で如何に繋ぐかという課題、
すなわち配線問題が解かれなければならない。VLSI
(超大規模集積回路)に代表されるような近年の半導体
装置の大規模化にともなって、配線領域内を配線が占め
る割合が著しく増加しており、このため、配線問題がま
すます解決困難なものとなってきている。
【0003】配線問題は、つぎのように一般化、抽象化
された問題として捉えることができる。まず、配線問題
とは1層または複数層の領域内に配置された端子間を線
で繋ぐ問題であると規定される。ただし、ここでは端子
とは領域内の1個以上の点の集合として規定される概念
である。領域の各層は線分により複数の小領域に観念上
区切られる。この小領域は「グリッド」と呼ばれる。各
端子には「ネット名」と称する一種の識別名が与えられ
ており、同一のネット名を持つ端子のみが互いに線で繋
がれなければならず、異なるネット名を持つ端子の間が
線で繋がること(これを「短絡」と呼ぶ)は許されな
い。そして、2つの線が同一グリッドを占めるときは、
これらの線は互いに繋がっているとみなされる。
【0004】各グリッドから、そのグリッドと接するグ
リッド(ただし、一点のみで接するグリッドを除く)に
線を引くことは許される。また、そのグリッドの隣の層
に位置する、真上のグリッド、真下のグリッドに線を引
くことも許されている。しかし、これら以外のグリッド
に、他のグリッドを通ることなく線を引くことは許され
ない。なお、同一ネット名を持つ端子の数に制限はな
い。以下において、端子を繋ぐために線を引くこと、お
よび、引かれた線のいずれをも「配線」と呼ぶことにす
る。また、配線のネット名を、配線と繋がる端子のネッ
ト名で定義する。
【0005】配線領域内を配線が占める割合が増加する
と、それにともなって、配線を行うための適切な経路を
発見することが困難となる。上述したように配線問題が
ますます解決困難となっているのは、このことに由来す
る。このため、適切な経路を高い可能性をもって発見す
る配線経路調査装置は、近年の半導体装置のレイアウト
設計には不可欠な設計ツールの一つとなっている。
【0006】従来の配線経路調査装置の構成を説明する
前に、配線問題の一例に沿ってその動作を説明する。図
10は、配線問題の一例を示す模式図である。なお、以
下において、図10を一例とする模式図に関して、その
右側を「東」、左側を「西」、東から反時計回りに90
度回転した方向を「北」、その反対方向を「南」、図面
と垂直に上の方向(紙面の手前に向かう方向)を
「上」、図面と垂直に下の方向(紙面の奥に向かう方
向)を「下」と呼ぶことにする。
【0007】図10に示す配線問題は1層の配線問題の
例である。図10において、細線で区切られた小さな矩
形領域が一つのグリッドを表し、黒丸は端子、ハッチン
グは障害物をそれぞれ表している。この例では全ての端
子が1点からなる。符号A,B,Cはいずれもネット名
である。上述したように、配線問題は、同一のネット名
を持つ全ての端子を配線で繋ぐことである。
【0008】図11は、ネットBの2端子とネットCの
2端子を先に最短経路で繋いだ状態を表す模式図であ
る。この状態の後には、残りのネットAの2端子を配線
で繋ぐ過程がつづかなければならない。しかしながら、
既に引かれた配線(以後、「既配線」と呼ぶ)が邪魔と
なって、これらの既配線を引き剥がすか移動させること
なしには、ネットAの2端子を繋ぐことはできない。
【0009】この場合、短絡を起こすような経路をまず
見つけて、その経路とグリッドを共有する既配線を移動
させるという処理が行われる。例えば、図12の模式図
における破線pの経路をまず見つけて、ネットCの既配
線を移動させれば、図13の模式図に示すような適切な
配線が実現し、この配線問題が解決される。
【0010】図14は、配線経路を探索するための従来
の配線経路調査装置の構成を示すブロック図である。図
14において、既配線パターン記憶部1はメモリ等の記
憶装置であり、図11に例示した既配線の情報、すなわ
ち既配線がどのグリッドからどのグリッドまでどのグリ
ッドを通って引かれているかに関するデータを記憶して
いる。端子情報記憶部2はもう一つのメモリ等の記憶装
置であり、繋ぐべき端子の情報、すなわち端子の位置お
よびネット名を記憶している。
【0011】入力処理部3は、既配線パターン記憶部1
に記憶されている既配線の情報を、信号線101を介し
て受け取るとともに、繋ぐべき端子の情報を端子情報記
憶部2から信号線102を介して受け取る。入力処理部
3はこれらの情報を信号線103を介して配線経路探索
部4に転送する。
【0012】配線経路探索部4は、これらの情報を受け
取るとともに、端子を繋ぐ経路を、周知の迷路法を用い
て探索する。そうして、コスト関数と呼ばれる所定の関
数を最小とする経路を見出す。この動作について、同一
ネット名の2つの端子の間を繋ぐ経路を探索する処理を
例にとって説明する。この場合、通常において、つぎの
2つのコスト関数の中のどちらかが用いられる。
【0013】コスト関数1=(経路長)+(定数)×
(短絡の数):ここで、経路長は隣接するグリッド間の
間隔を”1”とした経路の長さであり、定数は正の数で
あってしかも”1”よりも相当に大きな数であり、ま
た、短絡の数とは繋ぐべき端子のネット名と異なるネッ
ト名を持つ既配線と経路とが共有するグリッドの数であ
る。このコスト関数1を用いると、図12に示したネッ
トAの2端子を繋ぐ経路として経路qが見いだされる。
このとき、短絡の数は2である。
【0014】コスト関数2=(経路長)+(定数1)×
(接触の数)+(定数2)×(交差の数):ここで、経
路長は上述の経路長と同様であり、定数1は正の数、定
数2は定数1より大きい数であり、また、接触の数とは
繋ぐべき端子のネット名と異なるネット名を持つ既配線
と経路とが接触するグリッドの数、そして、交差の数と
は繋ぐべき端子のネット名と異なるネット名を持つ既配
線と経路とが交差するグリッドの数である。
【0015】このコスト関数2を用いると、図12に示
したネットAの2端子を繋ぐ経路として、経路pまたは
経路rが見いだされる。このとき、どちらの経路におい
ても、接触の数は3、交差の数は0である。他方、経路
qでは接触の数は0、交差の数は2となるので、経路q
は見いだされない。
【0016】配線経路探索部4は見いだした経路の情
報、すなわち、どのグリッドからどのグリッドを通って
どのグリッドへ達するかに関するデータを、信号線10
4を介して出力処理部5へ転送する。出力処理部5は、
経路の情報を受け取るとともに、信号線105を介して
この情報を配線経路探索結果記憶部6へ転送する。配線
経路探索結果記憶部6は、さらに別のメモリ等の記憶装
置であり、転送された経路の情報を記憶する。
【0017】配線経路調査装置において以上の要領で探
索された経路にもとづいて、すべての配線を最終的に確
定するには、既配線の除去等の後処理が必要である。図
15は、配線装置すなわち配線を確定するための装置の
全体構成を示すブロック図である。図15に示すよう
に、配線装置300は、上述した配線経路調査装置30
1を構成要素として備えている。
【0018】配線装置300では、まず配線経路調査装
置301によって経路が見いだされる。つぎに、見いだ
された経路上に位置する既配線が存在すれば、この既配
線が既配線除去装置302によって取り除かれる。そう
して、配線確定装置303では、見いだされた経路に沿
って配線が引かれ、既配線の一つとなる。制御部304
では、取り除かれた既配線があるか否かが判断され、も
しあれば、その取り除かれた配線を新たに引き直すため
に、配線経路調査装置301が再度起動される。逆に、
取り除かれた既配線がなければ、配線が確定する。な
お、制御部304は、配線経路調査装置301、既配線
除去装置302、および配線確定装置303の各装置の
動作を制御する働きをもなしている。
【0019】配線装置300に関する以上の説明からも
明らかなように、配線経路調査装置301は、配線装置
300における一連の処理の中の主要部分を担ってい
る。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の配線
経路調査装置では、図10の模式図に示した配線問題を
例にあげると、上述したように、ネットAの2端子を繋
ぐ経路として、図12に示す経路qが見いだされるか、
または経路pと経路rの双方が見いだされる。しかしな
がら、ネットAの2端子を繋ぐ経路としては経路pが適
切である。なぜなら、ネットCの既配線を東の方向にず
らせば、図13に示すように、経路pでネットAの2端
子を繋ぐことができるのに対し、ネットBの既配線は配
線領域内でずらすことはできないからである。
【0021】ここで、既配線をある方向に「ずらす」と
は、その方向に1本の配線線分を移動させるという操作
を、端子間の繋がりを保ったまま、しかも短絡を起こさ
ずに一回または複数回行うことを意味する。この時、こ
の線分の端点の一方または両方について、その端点が、
移動前後に存在するグリッド間を繋ぐ線分を新たに追加
または削除してもよい。
【0022】以上のように、従来の配線経路調査装置で
は、適切な経路を見出し得ないことがあり、しかも、図
12の模式図を用いた説明からも理解し得るように、配
線領域内を占める配線の割合、すなわち配線の密度が高
くなるほど、既配線と短絡または接触、交差を持つ経路
が多くなり、その結果、適切な経路を見出すことが困難
となるという問題点があった。このことは、近年の大規
模な半導体装置のレイアウト設計を行う際には、配線経
路調査装置を用いてもなお、経路を見出す上で困難を来
すことを意味する。
【0023】この発明は上記の問題点に鑑みてなされた
ものであり、配線の密度が高くても、適切な経路をより
大きな可能性をもって見出すことのできる配線経路調査
装置を提供することを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】この発明にかかる請求項
1に記載の配線経路探索装置は、線分により観念上小領
域に分割された配線領域内で、与えられた複数個の端子
間を、前記小領域を順次辿ることによって繋ぐ配線の経
路を探索する配線経路調査装置において、既配線が存在
する小領域に対し、当該小領域を空けることができるか
否か、すなわち、端子間のつながりを保ったまま、しか
も他の既配線との短絡をおこすことなく、当該小領域に
存在する既配線を当該小領域の外に移動させることがで
きるか否か、を判断する既配線移動可能性調査手段と、
当該既配線移動可能性調査手段による判断の結果にもと
づいて、配線の経路を探索する配線経路探索手段とを備
えたことを特徴とする。
【0025】この発明にかかる請求項2に記載の配線経
路調査装置は、請求項1に記載の装置において、前記既
配線移動可能性調査手段が、前記既配線が存在する小領
域を空けることができるか否かの判断を、当該判断対象
となる小領域に隣接ししかもその隣接境界を通って当該
判断対象となる小領域から配線がでている別の小領域の
間を、前記判断対象となる小領域を通ることなくむすぶ
配線の経路が、存在するか否かに応じて行うことを特徴
とする。
【0026】この発明にかかる請求項3に記載の配線経
路調査装置は、請求項1に記載の装置において、前記既
配線移動可能性調査手段が、前記既配線が存在する小領
域を空けることができるか否かの判断を、当該既配線を
当該小領域の外に移動させる上で障害となる他の既配線
の移動可能性を考慮して行うことを特徴とする。
【0027】この発明にかかる請求項4に記載の配線経
路調査装置は、請求項1に記載の装置において、前記既
配線移動可能性調査手段が、前記既配線が存在する小領
域を空けることができるか否かの判断を、前記既配線を
構成するとともに前記小領域上に存在する一定の線分
を、他の部分との接続を維持したまま当該小領域の外に
平行に移動可能であるか否かに応じて行うとともに、さ
らに、前記線分を前記小領域の外に平行に移動させる上
で障害となる他の既配線の移動可能性を考慮して行うこ
とを特徴とする。
【0028】この発明にかかる請求項5に記載の配線経
路調査装置は、請求項1に記載の装置において、前記既
配線移動可能性調査手段が、前記既配線が存在する小領
域を空けることができるか否かの判断を、当該判断対象
となる小領域に隣接ししかもその隣接境界を通って当該
判断対象となる小領域から配線がでている別の小領域の
間を、前記判断対象となる小領域を通ることなくむすぶ
配線の経路が、存在するか否かに応じて行う第1の移動
可能性調査手段と、前記既配線が存在する小領域を空け
ることができるか否かの判断を、前記既配線を構成する
とともに前記小領域上に存在する一定の線分を、他の部
分との接続を維持したまま当該小領域の外に平行に移動
可能であるか否かに応じて行うとともに、さらに、前記
線分を前記小領域の外に平行に移動させる上で障害とな
る他の既配線の移動可能性を考慮して行う第2の移動可
能性調査手段と、を備え、当該第1および第2の移動可
能性調査手段のいずれかにおいて、前記小領域を空ける
ことができると判断されるときには、当該小領域を空け
ることができると判断することを特徴とする。
【0029】
【作用】請求項1に記載の配線経路調査装置では、既配
線移動可能性調査手段の判断、すなわち既配線が存在す
る小領域を空けることができるか否かの判断を考慮する
ことによって、配線の経路が探索されるので、最適な経
路が高い可能性をもって見いだされる。
【0030】請求項2に記載の配線経路調査装置では、
既配線が存在する小領域を空けることができるか否かの
判断が、この判断対象となる小領域に隣接ししかもその
隣接境界を通って判断対象となる小領域から配線がでて
いる別の小領域の間を判断対象となる小領域を通ること
なくむすぶ配線の経路が、存在するか否かに応じて行わ
れる。すなわち、小領域を空けることができるか否かの
判断が、小領域上に存在する既配線をずらすことができ
るか否か、すなわち既配線を構成する一定の線分を他の
部分との接続を維持したまま平行に移動させることがで
きるか否かの判断に限定されないので、この点において
現実に一層近い判断が行われる。
【0031】請求項3に記載の配線経路調査装置では、
既配線が存在する小領域を空けることができるか否かの
判断が、既配線を小領域の外に移動させる上で障害とな
る他の既配線の移動可能性を考慮して行われる。すなわ
ち、障害となる既配線が存在しても、それが、小領域を
空けることができないという判断には直結しない。障害
となる既配線が存在しても、それが移動可能であれば、
現実には小領域を空けることができる。したがって、こ
の配線経路調査装置では、より現実を反映した判断が行
われる。
【0032】請求項4に記載の配線経路調査装置では、
既配線をずらすことによって既配線が存在する小領域を
空けることができるか否かの判断が行われるので、判断
が容易に行われる。しかも、既配線をずらす上で障害と
なる他の既配線の移動可能性を考慮することによって、
現実をより反映した判断が行われる。
【0033】請求項5に記載の配線経路調査装置では、
第1の移動可能性調査手段において、小領域を空けるこ
とができるか否かの判断が、この判断対象となる小領域
に隣接ししかもその隣接境界を通って判断対象となる小
領域から配線がでている別の小領域の間を判断対象とな
る小領域を通ることなくむすぶ配線の経路が、存在する
か否かに応じて行われる。すなわち、小領域を空けるこ
とができるか否かの判断は、小領域上に存在する既配線
をずらす、すなわち既配線を構成する一定の線分を他の
部分との接続を維持したまま平行に移動させることがで
きるか否かの判断に限定されない。
【0034】また、第2の移動可能性調査手段では、既
配線をずらすことによって既配線が存在する小領域を空
けることができるか否かの判断が行われ、しかも、既配
線をずらす上で障害となる他の既配線の移動可能性を考
慮した判断が行われる。既配線移動可能性調査手段は、
これらの2つの移動可能性調査手段における判断のいわ
ば論理和をもって判断結果としているので、これらの一
方においてのみ、小領域を空けることができるとの判断
が行われる場合でも、正当な判断結果が得られる。
【0035】
【実施例】
<第1実施例>はじめに、第1実施例の配線経路調査装
置について説明する。図1は、この実施例の配線経路調
査装置の構成を示すブロック図である。なお以下の図に
おいて、図14に示した従来装置と同一部分には同一符
号を付して、その詳細な説明を略する。
【0036】図1において、13は入力処理部、14は
配線経路探索部、15は既配線移動可能性調査部、そし
て、113〜116は信号線である。
【0037】既配線パターン記憶部1には既配線の情報
が記憶されており、端子情報記憶部2には繋ぐべき端子
の情報が記憶されている。入力処理部13は、既配線パ
ターン記憶部1に記憶されている既配線の情報を、信号
線101を介して受け取るとともに、端子情報記憶部2
に記憶されている端子の情報を、信号線102を介して
受け取る。入力処理部3はさらに、これらの情報を信号
線113を介して配線経路探索部14に転送するととも
に、既配線の情報を信号線114を介して既配線移動可
能性調査部15に転送する。
【0038】配線経路探索部14は既配線の情報と繋ぐ
べき端子の情報とを受け取り、端子を繋ぐ経路を迷路法
を用いて見いだす。このとき、つぎのコスト関数を最小
とする経路が見いだされる。
【0039】コスト関数3=(経路長)+(定数1)×
(除去可能な短絡の数)+(定数2)×(除去不能な短
絡の数):ここで、経路長は東西南北上下方向のいずれ
かに隣接するグリッド間の間隔を”1”とした経路の長
さであり、定数1はあらかじめ設定される数値であり、
しかも”1”よりも相当に小さい正の数である。また、
定数2は”1”よりもはるかに大きな値に設定される正
の数であり、除去可能な短絡の数とは、繋ぐべき端子の
ネット名と異なるネット名を持つ既配線と経路とが共有
するグリッドの中で、空けることができると既配線移動
可能性調査部15で判断されるグリッドの数であり、さ
らに、除去不能な短絡の数とは、繋ぐべき端子のネット
名と異なるネット名を持つ既配線と経路とが共有するグ
リッドの中で、空けることができないと既配線移動可能
性調査部15で判断されるグリッドの数である。
【0040】ここで、「グリッドを空ける」とは、端子
間の繋がりを保ったままで、しかも短絡を起こすことな
く既配線を移動することによって、そのグリッド上の既
配線を除去することである。また、定数1および定数2
には、例えば、それぞれ0.1〜0.5程度、および1
00〜1000程度の値が付与される。
【0041】上記したコスト関数3を最小とする経路を
見いだすためには、既配線の存在する各グリッドに対し
て、そのグリッドを空けることができるか否かを判断す
る必要がある。既配線移動可能性調査部15は、この判
断を行うために設けられている。配線経路探索部14
は、この判断を必要とするグリッドの座標を、既配線移
動可能性調査部15へと信号線115を介して順次転送
する。
【0042】既配線移動可能性調査部15は、入力処理
部13から転送された既配線の情報を受け取る。既配線
移動可能性調査部15はまた、配線経路探索部14か
ら、既配線の存在するグリッドの座標を受け取ると、そ
のグリッドを空けることができるか否かを調べる。より
詳細に述べると、そのグリッド上の既配線によって繋が
っている端子間を、そのグリッド上と、その既配線とは
異なるネット名を持つ既配線が占めるグリッド上とのい
ずれをも通らない経路で繋ぐことができるか否かが、迷
路法を用いて調べられる。
【0043】繋ぐことができるときには、空けることが
できると判断され、逆に、繋ぐことができなければ、空
けることができないと判断される。空けることができる
と判断されれば、空けることができるという情報が、信
号線116を介して配線経路探索部14に転送され、逆
に、空けることができないと判断されれば、空けること
が出来ないという情報が転送される。
【0044】配線経路探索部14は、既配線移動可能性
調査部15から転送された情報、すなわち、空けること
ができるか否かに関する情報を受け取る。すなわち、配
線経路探索部14は、コスト関数3を最小とする経路を
見いだすために、空けることができるか否かを判断する
必要のあるすべてのグリッドについて、順次、それらの
グリッドの座標を既配線移動可能性調査部15へ転送す
るとともに、判断された結果を既配線移動可能性調査部
15から受け取る。
【0045】配線経路探索部14はさらに、これらの結
果にもとづいて、コスト関数3を最小とする経路を、迷
路法を用いて見いだすとともに、見いだされた経路の情
報、すなわち、どのグリッドからどのグリッドを通って
どのグリッドへ達するかに関するデータを、信号線10
4を介して出力処理部5へと転送する。出力処理部5
は、経路の情報を受け取るとともに、信号線105を介
してこの情報を配線経路探索結果記憶部6へと転送す
る。配線経路探索結果記憶部6は、転送された経路の情
報を記憶する。なお、配線経路調査装置によって以上の
要領で探索された経路にもとづいて、すべての配線を最
終的に確定するには、図15に示したように配線装置が
用いられる。
【0046】図2は、既配線移動可能性調査部15で実
行される処理手順を示すフローチャートである。すなわ
ち、このフローチャートは、配線経路探索部14からグ
リッドの座標を受け取ってから、そのグリッドを空ける
ことができるか否かを判断するまでの処理手順を表して
いる。図2において、「g」は配線経路探索部14から
転送された座標が示すグリッド、すなわち、空けること
ができるか否かを調べる必要のあるグリッドを表してい
る。
【0047】図2に示されるように、処理が開始される
と、まずステップ21において、グリッドgに端子が存
在するか否かが調べられる。存在すると判断される場合
には、グリッドgを空けることができないと判断され、
処理は終了する。逆に、存在しないと判断されると、処
理はステップ22へと移行する。
【0048】ステップ22では、グリッドgに隣接する
グリッド(東西南北上下の方向に1グリッド離れたグリ
ッド)の中で、グリッドgからその隣接境界を通って配
線が出ている方向(東西南北上下のいずれか)にあるグ
リッドの位置が、変数h(0),h(1),・・・,h
(N−1)に設定される。ここで、自然数Nには、これ
らのグリッドの個数が設定される。
【0049】つぎに、ステップ23へ移行する。ステッ
プ23では、制御変数Iが”1”に初期設定される。つ
ぎに、ステップ24へ移行し、制御変数Iと個数Nとの
比較が行われる。比較の結果、制御変数Iが個数Nより
も小さくなければ、グリッドgを空けることができると
判断され、処理を終了する。逆に、制御変数Iが個数N
よりも小さければ、処理はステップ25へと移行する。
【0050】ステップ25では、グリッドgを通らない
で、しかも、短絡を起こすことなく、位置h(0)のグ
リッドと位置h(I)のグリッドとを結ぶ経路が存在す
るか否かが迷路法を用いて調べられる。ここでは、既配
線を動かすことなく、短絡を起こさない経路が存在する
か否かが、迷路法を用いて調べられる。つぎのステップ
26では、ステップ25で調べられた結果が、“存在す
る”か“存在しない”かのいずれであるかが判定され
る。判定結果が、”存在しない”であれば、グリッドg
を空けることができないと判断され、処理は終了する。
判定結果が、逆に”存在する”であれば、処理はステッ
プ27へ移行する。
【0051】ステップ27において、制御変数Iに”
1”が加算された後、処理はステップ24へと戻る。以
下、グリッドgを空けることができるか否かの判断が行
われるまで、制御変数Iを1ずつ加算しつつ、ステップ
24〜ステップ27の処理が反復される。
【0052】図10に示した配線問題を例として、既配
線移動可能性調査部15における処理をさらに説明す
る。図3は、この配線問題に対する処理を説明する模式
図である。図3に示すように、ネットBとネットCの2
端子間には既配線が引かれているものとし、ネットAの
2端子を繋ぐ経路を見出す過程の中での処理について説
明する。
【0053】既配線移動可能性調査部15では、配線経
路探索部14から図3におけるグリッドgの座標を受け
取った場合には、個数N=2と設定され、さらに、図3
に符号h0,h1で示されたグリッドの位置が、位置h
(0),(1)にそれぞれ設定される。そうして、位置
h(0)のグリッドと位置h(1)のグリッドとを結ぶ
破線で示した経路が迷路法によって見いだされ、グリッ
ドgを空けることができると判断される。
【0054】同様に、配線経路探索部14からグリッド
h1,fの座標を受け取った場合にも、これらのグリッ
ドh1,fを空けることができると判断される。また、
グリッドg,h1,f以外の既配線の存在するグリッ
ド、例えばグリッドh0,ネットBの既配線の存在する
グリッドなどの座標を受け取った場合には、空けること
ができないと判断される。
【0055】以上のように、この実施例の配線経路調査
装置を用いて、図3に示すネットAの2端子を繋ぐ経路
を探索すれば、図12に示した最適な経路pを見出すこ
とができる。このとき、除去可能な短絡の数は3であ
り、除去不能な短絡の数は0である。このように、最適
な経路が高い可能性をもって見いだされるのは、経路を
探索する上で、経路を引くべきグリッド上に既配線があ
る場合に、そのグリッドを空けることができるか否かが
考慮されているからに他ならない。
【0056】また、この実施例の配線経路調査装置で
は、ステップ25における判断によって特徴づけられる
ように、グリッドgを空けることができるか否かの判断
が、グリッドg上に存在する既配線を「ずらす」ことが
できるか否かの判断に限定されない。グリッドg上に存
在する既配線を「ずらす」ことができない場合において
も、他の要領でこの既配線を移動させ得る場合がある。
この場合にも、現実にはグリッドgを空けることが可能
である。したがって、この実施例の装置では、この点に
おいても現実に近い判断が行われ、最適な経路が高い可
能性をもって見出されるという利点がある。
【0057】<第2実施例>つぎに、第2実施例の配線
経路調査装置について説明する。図4は、この実施例の
配線経路調査装置の構成を示すブロック図である。図4
において、23は入力処理部、24は配線経路探索部、
25〜28は既配線移動可能性調査部、そして、123
〜128は信号線である。
【0058】既配線パターン記憶部1には既配線の情報
が記憶され、端子情報記憶部2には繋ぐべき端子の情報
が記憶されている。入力処理部23は、既配線パターン
記憶部1に記憶されている既配線の情報を、信号線10
1を介して受け取り、端子情報記憶部2に記憶されてい
る端子の情報を、信号線102を介して受け取る。入力
処理部23はさらに、既配線の情報と繋ぐべき端子の情
報を、信号線123を介して配線経路探索部24へ転送
するとともに、既配線の情報を、信号線124を介して
既配線移動可能性調査部25〜28へと転送する。
【0059】配線経路探索部24は既配線の情報と繋ぐ
べき端子の情報とを受け取り、端子を繋ぐ経路を迷路法
を用いて見いだす。このとき、つぎのコスト関数を最小
とする経路が見いだされる。
【0060】コスト関数4=(経路長)+(定数1)×
(除去可能な短絡の数)+(定数2)×(除去不能な短
絡の数):ここで、経路長は東西南北上下方向のいずれ
かに隣接するグリッド間の間隔を”1”とした経路の長
さであり、定数1はあらかじめ設定される数値であ
り、”1”よりも相当に小さい正の数である。また、定
数2は”1”よりもはるかに大きな値に設定される正の
数であり、除去可能な短絡の数とは、繋ぐべき端子のネ
ット名と異なるネット名を持つ既配線と経路とが共有す
るグリッドの中で、空けることができると既配線移動可
能性調査部25〜28の少なくとも1つで判断されるグ
リッドの数であり、さらに、除去不能な短絡の数とは、
繋ぐべき端子のネット名と異なるネット名を持つ既配線
と経路とが共有するグリッドの中で、空けることができ
ないと既配線移動可能性調査部25〜28の全てで判断
されるグリッドの数である。
【0061】上記したコスト関数4を最小とする経路を
見いだすためには、既配線の存在する各グリッドに対し
て、そのグリッドを空けることができるか否かを判断す
る必要がある。既配線移動可能性調査部25〜28は、
この判断を行うために設けられている。配線経路探索部
14は、この判断を必要とするグリッドの座標を、既配
線移動可能性調査部25〜28へと信号線125〜12
8を介して順次転送する。
【0062】既配線移動可能性調査部25は、入力処理
部23から転送された既配線の情報を受け取る。既配線
移動可能性調査部25はまた、配線経路探索部24か
ら、既配線の存在するグリッドの座標を受け取ると、既
配線を東へずらすことによって、そのグリッドを空ける
ことができるか否かを調べる。空けることができると判
断されれば、空けることができるという情報が、信号線
125を介して配線経路探索部24に転送され、逆に、
空けることができないと判断されれば、空けることがで
きないという情報が転送される。
【0063】既配線移動可能性調査部26,27,28
はそれぞれ、既配線移動可能性調査部25とほぼ同様の
動作をする。ただし、既配線移動可能性調査部26は既
配線を西へずらすことによって、既配線移動可能性調査
部27は既配線を南へずらすことによって、また、既配
線移動可能性調査部28は既配線を北へずらすことによ
って、グリッドを開けることができるかどうかを調べる
点において異なっている。
【0064】配線経路探索部24は、既配線移動可能性
調査部25〜28から転送された情報、すなわち、空け
ることができるか否かに関する情報を受け取る。すなわ
ち、配線経路探索部24は、コスト関数4を最小とする
経路を見いだすために、空けることができるか否かを判
断する必要のあるすべてのグリッドについて、順次、そ
れらのグリッドの座標を既配線移動可能性調査部25〜
28へ転送するとともに、判断された結果を既配線移動
可能性調査部25〜28から受け取る。
【0065】配線経路探索部24はさらに、これらの結
果にもとづいて、コスト関数4を最小とする経路を、迷
路法を用いて見いだすとともに、見いだされた経路の情
報、すなわち、どのグリッドからどのグリッドを通って
どのグリッドへ達するかに関するデータを、信号線10
4を介して出力処理部5へと転送する。出力処理部5
は、経路の情報を受け取るとともに、信号線105を介
してこの情報を配線経路探索結果記憶部6へと転送す
る。配線経路探索結果記憶部6は、転送された経路の情
報を記憶する。なお、配線経路調査装置によって以上の
要領で探索された経路にもとづいて、すべての配線を最
終的に確定するには、第1実施例の配線経路調査装置と
同様に、図15に示したような配線装置が用いられる。
【0066】図5および図6は、図4における既配線移
動可能性調査部25で実行される処理手順を示すフロー
チャートである。すなわち、このフローチャートは、配
線経路探索部24からグリッドの座標を受け取ってか
ら、そのグリッドを空けることができるか否かを判断す
るまでの処理手順を表している。図5および図6におい
て、「g」は配線経路探索部24から転送された座標が
示すグリッド、すなわち、空けることができるか否かを
調べる必要のあるグリッドを表している。
【0067】処理が開始されると、まずステップ31に
おいて、グリッドgに端子が存在するか否かが調べられ
る。存在すると判断される場合には、グリッドgを空け
ることができないと判断され、処理は終了する。逆に、
存在しないと判断されると、処理はステップ32へと移
行する。
【0068】ステップ32では、グリッドgからその隣
接境界を通って西の方向に配線が出ているか否かが調べ
られる。配線が出ていると判断される場合には、グリッ
ドgを空けることができないと判断され、処理は終了す
る。逆に、存在しないと判断されると、処理はステップ
33へと移行する。
【0069】ステップ33では、グリッドgに東とは垂
直な方向に隣接するグリッド(南北上下の方向に1グリ
ッド離れたグリッド)の中で、グリッドgからその隣接
境界を通って配線が出ているグリッドの位置が、変数h
(0),h(1),・・・,h(N−1)に設定される。
ここで、自然数Nには、これらのグリッドの個数が設定
される。つづくステップ34では、グリッドgの位置が
変数h(N)に設定される。
【0070】つぎに、ステップ35へ移行する。ステッ
プ35では、制御変数Iが”0”に初期設定される。つ
ぎに、ステップ36へ移行し、制御変数Iと個数Nとの
比較が行われる。比較の結果、制御変数Iが個数N以下
でなければ、グリッドgを空けることができると判断さ
れ、処理を終了する。逆に、制御変数Iが個数N以下で
あれば、処理はステップ37へと移行する。
【0071】ステップ37では、位置h(I)のグリッ
ドの東隣りのグリッドの位置を変数fに設定する。つづ
くステップ38では、位置fのグリッドに、グリッドg
上の配線と異なるネット名を持つ端子または障害物が存
在するか否かが判定される。存在すれば、グリッドgを
空けることができないと判断され、処理は終了する。逆
に、存在しなければ、処理はステップ39へと移行す
る。
【0072】ステップ39では、位置fのグリッドにグ
リッドg上の配線と異なるネット名を持つ既配線が存在
するか否かが判定される。存在すれば、処理はステップ
40へと移行し、逆に、存在しなければ、ステップ42
へと移行する。
【0073】ステップ40では、既配線を東へずらすこ
とによって、位置fのグリッドを空けることができるか
否かが調べられる。つづくステップ41では、ステップ
40で調べた結果が判定される。位置fのグリッドを空
けることができないと判定されれば、グリッドgは空け
ることができないと判断され、処理は終了する。逆に、
位置fのグリッドを空けることができると判定されれ
ば、処理はステップ42へと移行する。
【0074】ステップ42では、制御変数Iに”1”が
加算される。その後、処理はステップ36へと戻る。以
下、グリッドgを空けることができるか否かの判断が行
われるまで、制御変数Iを1ずつ加算しつつ、ステップ
36〜ステップ42の処理が反復される。
【0075】既配線移動可能性調査部25からは、以上
のようにグリッドg上の既配線を東へずらすことによっ
て、そのグリッドgを空けることができるか否かに関す
る判断が得られる。残りの既配線移動可能性調査部26
〜28では、既配線移動可能性調査部25において東を
基準として行われた各処理が、それぞれ西、南、北を基
準として行われる。例えば、既配線移動可能性調査部2
7の処理におけるステップ33では、グリッドgに南と
は垂直な方向に隣接するグリッド(東西上下の方向に1
グリッド離れたグリッド)の中で、グリッドgからその
隣接境界を通って配線が出ているグリッドの位置が、変
数h(0),h(1),・・・,h(N−1)に設定され
る。その結果、既配線移動可能性調査部26〜28から
は、グリッドg上の既配線を西、南、または北へそれぞ
れずらすことによって、そのグリッドgを空けることが
できるか否かについての判断が得られる。
【0076】図7の模式図に示す配線問題を例として、
既配線移動可能性調査部25における処理をさらに説明
する。図7に示すように、ネットB、C,Dの各2端子
間には既配線が引かれているものとし、ネットAの2端
子を繋ぐ経路を見出す過程の中での処理について説明す
る。
【0077】既配線移動可能性調査部25が、配線経路
探索部24から図7におけるグリッドgの座標を受け取
ったとする。そうすると、図8の模式図に示すように、
グリッドg上の既配線を東にずらすことによってグリッ
ドgを空けることができるので、既配線移動可能性調査
部25は、グリッドgを空けることができると判断す
る。同様に、配線経路探索部24から、図7に示される
グリッドg1〜g7の座標を受け取った場合には、既配
線移動可能性調査部25はこれらのグリッドg1〜g7
を空けることができると判断する。また、既配線移動可
能性調査部25は、これら以外の既配線の存在するグリ
ッドの座標を受け取った場合には、グリッドgを空ける
ことができないと判断する。
【0078】以上のように、この実施例の配線経路調査
装置を用いて、図7に示すネットAの2端子を繋ぐ経路
を探索すれば、図12に示した最適の経路pを見出すこ
とができる。
【0079】この実施例の装置では、判断の対象となっ
ているグリッドg上の既配線を移動させる上で、その障
害となるさらに別の既配線の移動可能性をも考慮して、
グリッドgを空けることができるか否かの判断が行われ
る。すなわち、グリッドg上の既配線の移動の障害とな
る別の既配線があっても、後者の既配線が移動可能であ
ればグリッドgを空けることができるとの判断が得られ
る。したがって、障害となる別の既配線の存在が、必ず
しも判断結果を制約しないという利点がある。
【0080】<第3実施例>つぎに、第3実施例の配線
経路調査装置について説明する。図9は、この実施例の
配線経路調査装置の構成を示すブロック図である。この
実施例の配線経路調査装置は、既配線移動可能性調査部
25〜28と並んで、第1実施例の既配線移動可能性調
査部15が配線経路探索部24に接続されるとともに、
入力処理部23からの既配線の情報が、信号線124を
介して既配線移動可能性調査部15へも転送される点
が、第2実施例の装置とは特徴的に異なっている。
【0081】また、配線経路探索部24では、既配線移
動可能性調査部15、25〜28における判断が参照さ
れる。すなわち、繋ぐべき端子のネット名と異なるネッ
ト名を持つ既配線と経路とが共有するグリッドの中で、
これらの既配線移動可能性調査部15、25〜28の少
なくとも1つによって、そのグリッドを空けることがで
きると判断されたグリッドの数が、除去可能な短絡の数
として扱われ、逆に、いずれの既配線移動可能性調査部
15、25〜28によっても、空けることができないと
判断されたグリッドの数が、除去不能な短絡の数として
扱われる。
【0082】この実施例の装置は、以上のように構成さ
れ、かつ動作するので、第1実施例の装置と第2実施例
の装置の少なくとも一方で、グリッドを空けることがで
きると判断された場合には、必ずグリッドを空けること
ができると判断される。第1実施例の装置では、グリッ
ドを空けることができると判断される一方、第2実施例
の装置では、逆に空けることができないと判断される場
合が希少ながら有り得る。また、その逆も希少ながら有
り得る。しかしながら、少なくとも何れかの装置で空け
ることができると判断されている以上は、現実には空け
ることが可能なのであり、したがって、いわば両者の論
理和に相当する判断が得られるこの第3実施例の装置で
は、より現実に近い判断が得られる。このため、この実
施例の装置では、最適な経路がさらに高い可能性をもっ
て見出されるという利点がある。
【0083】
【発明の効果】請求項1に記載の配線経路調査装置で
は、既配線移動可能性調査手段の判断、すなわち既配線
が存在する小領域を空けることができるか否かの判断を
考慮することによって、配線の経路が探索されるので、
最適な経路が高い可能性をもって見いだされる。
【0084】請求項2に記載の配線経路調査装置では、
既配線が存在する小領域を空けることができるか否かの
判断が、この判断対象となる小領域に隣接ししかもその
隣接境界を通って判断対象となる小領域から配線がでて
いる別の小領域の間を判断対象となる小領域を通ること
なくむすぶ配線の経路が、存在するか否かに応じて行わ
れる。このため、半断が容易に行われるので、既配線移
動可能性調査手段が簡単に構成可能である。しかも、小
領域を空けることができるか否かの判断が、小領域上に
存在する既配線をずらすことができるか否かの判断に限
定されないので、一層現実に近い判断が行われる。その
結果、最適な経路が高い可能性をもって見出される。
【0085】請求項3に記載の配線経路調査装置では、
既配線が存在する小領域を空けることができるか否かの
判断が、既配線を小領域の外に移動させる上で障害とな
る既配線が存在しても、それが、小領域を空けることが
できないという判断には直結せず、障害となる既配線が
移動可能であるか否かが考慮される。このため、より現
実を反映した判断が行われるので、最適な経路がさらに
高い可能性をもって見出される。
【0086】請求項4に記載の配線経路調査装置では、
既配線をずらすことによって既配線が存在する小領域を
空けることができるか否かの判断が行われるので、判断
が容易に行われる。このため、既配線移動可能性調査手
段が簡単に構成可能である。しかも、既配線をずらす上
で障害となる他の既配線の移動可能性を考慮することに
よって、現実を反映した判断が行われるので、最適な経
路が高い可能性をもって見出される。
【0087】請求項5に記載の配線経路調査装置では、
第1の移動可能性調査手段において、既配線が存在する
小領域を空けることができるか否かの判断が、この判断
対象となる小領域に隣接ししかもその隣接境界を通って
判断対象となる小領域から配線がでている別の小領域の
間を判断対象となる小領域を通ることなくむすぶ配線の
経路が、存在するか否かに応じて行われるので、判断が
容易に行われる。小領域を空けることができるか否かの
判断が、小領域上に存在する既配線をずらすことができ
るか否かの判断に限定されない。また、第2の移動可能
性調査手段では、既配線をずらすことによって既配線が
存在する小領域を空けることができるか否かの判断が行
われるので、判断が容易に行われる。しかも、既配線を
ずらす上で障害となる他の既配線の移動可能性を考慮し
た判断が行われる。
【0088】既配線移動可能性調査手段は、これらの2
つの移動可能性調査手段における判断のいわば論理和を
もって判断結果としているので、それぞれの判断上の漏
れを補って、より現実に近い判断が行われる。このた
め、最適な経路が一層高い可能性をもって見出される。
また、いずれの移動可能性調査手段においても判断が容
易に行われるので、既配線移動可能性調査手段が簡単に
構成し得るという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施例の配線経路調査装置のブロック図
である。
【図2】 第1実施例の配線経路調査装置の処理手順の
フローチャートである。
【図3】 第1実施例の配線経路調査装置の動作を説明
する模式図である。
【図4】 第2実施例の配線経路調査装置のブロック図
である。
【図5】 第2実施例の配線経路調査装置の処理手順の
フローチャートである。
【図6】 第2実施例の配線経路調査装置の処理手順の
フローチャートである。
【図7】 第2実施例の配線経路調査装置の動作を説明
する模式図である。
【図8】 第2実施例の配線経路調査装置の動作を説明
する模式図である。
【図9】 第3実施例の配線経路調査装置のブロック図
である。
【図10】 配線問題の一例を示す模式図である。
【図11】 配線問題の一例を示す模式図である。
【図12】 配線問題の解決の一例を示す模式図であ
る。
【図13】 配線問題の解決の一例を示す模式図であ
る。
【図14】 従来の配線経路調査装置のブロック図であ
る。
【図15】 配線装置のブロック図である。
【符号の説明】
14,24 配線経路探索部(配線経路探索手段)、1
5 既配線移動可能性調査部(既配線移動可能性調査手
段,第1の移動可能性調査手段)、25〜28既配線移
動可能性調査部(既配線移動可能性調査手段,第2の移
動可能性調査手段)、301 配線経路調査装置。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 線分により観念上小領域に分割された配
    線領域内で、与えられた複数個の端子間を、前記小領域
    を順次辿ることによって繋ぐ配線の経路を探索する配線
    経路調査装置において、既配線が存在する小領域に対
    し、当該小領域を空けることができるか否か、すなわ
    ち、端子間のつながりを保ったまま、しかも他の既配線
    との短絡をおこすことなく、当該小領域に存在する既配
    線を当該小領域の外に移動させることができるか否か、
    を判断する既配線移動可能性調査手段と、当該既配線移
    動可能性調査手段による判断の結果にもとづいて、配線
    の経路を探索する配線経路探索手段とを備えたことを特
    徴とする配線経路調査装置。
  2. 【請求項2】 前記既配線移動可能性調査手段が、前記
    既配線が存在する小領域を空けることができるか否かの
    判断を、当該判断対象となる小領域に隣接ししかもその
    隣接境界を通って当該判断対象となる小領域から配線が
    でている別の小領域の間を、前記判断対象となる小領域
    を通ることなくむすぶ配線の経路が、存在するか否かに
    応じて行うことを特徴とする請求項1に記載の配線経路
    調査装置。
  3. 【請求項3】 前記既配線移動可能性調査手段が、前記
    既配線が存在する小領域を空けることができるか否かの
    判断を、当該既配線を当該小領域の外に移動させる上で
    障害となる他の既配線の移動可能性を考慮して行うこと
    を特徴とする請求項1に記載の配線経路調査装置。
  4. 【請求項4】 前記既配線移動可能性調査手段が、前記
    既配線が存在する小領域を空けることができるか否かの
    判断を、前記既配線を構成するとともに前記小領域上に
    存在する一定の線分を、他の部分との接続を維持したま
    ま当該小領域の外に平行に移動可能であるか否かに応じ
    て行うとともに、さらに、前記線分を前記小領域の外に
    平行に移動させる上で障害となる他の既配線の移動可能
    性を考慮して行うことを特徴とする請求項1に記載の配
    線経路調査装置。
  5. 【請求項5】 前記既配線移動可能性調査手段が、前記
    既配線が存在する小領域を空けることができるか否かの
    判断を、当該判断対象となる小領域に隣接ししかもその
    隣接境界を通って当該判断対象となる小領域から配線が
    でている別の小領域の間を、前記判断対象となる小領域
    を通ることなくむすぶ配線の経路が、存在するか否かに
    応じて行う第1の移動可能性調査手段と、前記既配線が
    存在する小領域を空けることができるか否かの判断を、
    前記既配線を構成するとともに前記小領域上に存在する
    一定の線分を、他の部分との接続を維持したまま当該小
    領域の外に平行に移動可能であるか否かに応じて行うと
    ともに、さらに、前記線分を前記小領域の外に平行に移
    動させる上で障害となる他の既配線の移動可能性を考慮
    して行う第2の移動可能性調査手段と、を備え、当該第
    1および第2の移動可能性調査手段のいずれかにおい
    て、前記小領域を空けることができると判断されるとき
    には、当該小領域を空けることができると判断すること
    を特徴とする請求項1に記載の配線経路調査装置。
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