JPH08306035A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

Info

Publication number
JPH08306035A
JPH08306035A JP7128793A JP12879395A JPH08306035A JP H08306035 A JPH08306035 A JP H08306035A JP 7128793 A JP7128793 A JP 7128793A JP 12879395 A JP12879395 A JP 12879395A JP H08306035 A JPH08306035 A JP H08306035A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic
magnetic layer
recording medium
metal powder
ferromagnetic metal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7128793A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasushi Naoe
康司 直江
Kiyomi Ejiri
清美 江尻
Kazuo Kato
和男 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP7128793A priority Critical patent/JPH08306035A/ja
Publication of JPH08306035A publication Critical patent/JPH08306035A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Paints Or Removers (AREA)
  • Magnetic Record Carriers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】ヘッド汚れが少なく、かつヘッド磨耗の抑制さ
れた磁気記録媒体であって、かつ電磁変換特性と保存性
の優れた磁気記録媒体を提供すること。 【構成】非磁性支持体上の少なくとも一方の面に強磁性
金属粉末と結合剤樹脂を主体とする磁性層を形成した磁
気記録媒体において、磁性層は脂肪酸を含有し、該強磁
性金属粉末中のFe原子に対するアルカリ土類金属の含
有量が0.4原子%以下であり、アルカリ金属の含有量
が0.2原子%以下であって、該脂肪酸の磁性層を含む
塗布層からの抽出量は1〜50mg/cm3 であること
を特徴とする磁気記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁気記録媒体、特に高密
度記録用磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気記録媒体は、録音用テープ、ビデオ
テープ、コンピューターテープ、ディスク等として広く
用いられている。磁気記録媒体は基本的には強磁性粉末
が結合剤に分散された磁性層が非磁性支持体上に設けら
れてなる。基本的に磁気記録媒体は電磁変換特性、走行
性能、走行耐久性等の諸特性において高いレベルにある
ことが要求される。ことに最近の8mmビデオテープレ
コーダー等の普及にともない、ビデオテープはビデオ出
力が高く、そして原画再生能力が優れていることなど、
特に電磁変換特性が優れていることが要求されている。
【0003】磁気記録媒体の電磁変換特性を向上させる
方法としては種々の方法があり、強磁性粉末の特性を改
良する方法が直接的かつ効果的である。従って強磁性粉
末は高密度記録が可能なように次第に微粉末化されてき
た。ところで、DVC等の最近の高密度記録システムに
あっては、従来以上に厳しい環境に対する保存性、走行
耐久性、および高出力が望まれている。そして、出力を
高めるために磁性層表面を平滑にして、磁気ヘッドと磁
性層の間隙を狭めていわゆるスペーシングロスを低下し
たり、非磁性支持体の剛性を調整して磁気テープに対す
る磁気ヘッドの当たりを強めるなどの手段が試みられて
きた。
【0004】この要求は磁気ヘッド汚れが起こり易くな
ったり、磁気ヘッド磨耗にとっても過酷なものが要求さ
れる。そもそも、磁気記録媒体にとってヘッド汚れとヘ
ッド磨耗とは裏腹の関係にあり、一方を良くすると他方
が低下する。そして、ヘッド磨耗が少なく且つヘッド汚
れが少ないことが望まれていたが、従来のものでは双方
がバランス良く満足される点がなかなか見出せないとい
う問題がある。
【0005】本発明はそのような技術動向を背景になさ
れたものであり、その構成要素の一つは、微量金属成分
の含有量が制限された特定の強磁性金属粉末である。一
方、本出願人はこれまで強磁性金属粉末の微量成分を種
々規定した発明を開示してきた。例えば、特公昭42−
24032号公報では、強磁性金属粉末の原料金属化合
物中のアルカリ土類金属量を抑えることにより磁気特性
を向上させる発明を開示し、特開昭52−97711号
公報では、磁性体中のカルシウムイオン量を少なくし
て、高湿度下での付着物の生成を抑え、ドロップアウ
ト、ヘッド目詰まりを抑制する磁気記録媒体を開示して
いる。また、特開昭56−101649号公報は強磁性
金属の水中への溶出量を抑えることにより耐錆性を改良
した強磁性金属粉末を用いた特に高湿度下での経時安定
性に優れた磁気記録媒体を提供するとしている。特開昭
60−150228号公報は磁性層面からの溶出される
水溶性金属イオンの量を低くして耐候性が改良された磁
気記録媒体を開示している。
【0006】しかしながら、これら従来技術を単に組み
合わせただけでは電磁変換特性と保存性を良好に維持し
つつ高密度記録磁気記録媒体の高押しつけ圧力における
ヘッド汚れとヘッド磨耗の最適化は見出せなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明はヘッド汚れが
少なく、かつヘッド磨耗の抑制された磁気記録媒体であ
って、かつ電磁変換特性と保存性の優れた磁気記録媒体
を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、非
磁性支持体上の少なくとも一方の面に強磁性金属粉末と
結合剤樹脂を主体とする磁性層を形成した磁気記録媒体
において、磁性層は脂肪酸を含有し、該強磁性金属粉末
中のFe原子に対するアルカリ土類金属の含有量が0.
4原子%以下であり、アルカリ金属の含有量が0.2原
子%以下であって、該脂肪酸の磁性層を含む塗布層から
の抽出量は1〜50mg/cm3 であることを特徴とす
る磁気記録媒体によって達成できる。
【0009】本発明は強磁性金属粉末のアルカリ土類金
属およびアルカリ金属の含有量を特定値以下に制限し、
かつ磁性層中の脂肪酸量を特定範囲に規定することによ
り、ヘッド汚れが少なく、かつヘッド磨耗の抑制された
磁気記録媒体であって、かつ電磁変換特性と保存性の優
れた磁気記録媒体を提供することができる。本発明にお
いては、アルカリ土類金属およびアルカリ金属と脂肪酸
との塩の生成を抑制することができ、かつ磁性層から抽
出され得る脂肪酸量を低減、すなわちフリーな脂肪酸量
を低減したことにより脂肪酸とアルカリ金属、アルカリ
土類金属との反応による塩生成を抑えることができ、ひ
いてはヘッド汚れを防止し、ヘッド磨耗を低減すること
ができる。
【0010】本発明の磁気記録媒体は、従来のものに比
べヘッド汚れが少ないので、磁性層中に添加する研磨剤
の量を少なくすることができる。そのため、磁性層中の
磁性体の充填度を上げることができるので、出力の向上
を図ることも可能である。本発明において、アルカリ土
類金属およびアルカリ金属の強磁性金属粉末中における
含有量は、水不溶性および水溶性の各成分を包含する量
であるが、水不溶性成分を主体とするものが好ましい。
アルカリ金属としては、特にNaが重要であり、アルカ
リ土類金属としては、特にCaが重要である。
【0011】強磁性金属粉末中のアルカリ土類金属およ
びアルカリ金属の含有量は、以下により測定される。強
磁性金属粉末5gを6NのHClで溶解し、溶液中の金
属を原子吸光法で分析しFeに対する原子%を求める。
また、本発明に使用される強磁性金属粉末は、Siの含
有量が0〜0.5原子%、好ましくは0〜0.05原子
%であると、ヘッド汚れの防止に効果的である。
【0012】本発明の強磁性金属粉末の製造方法として
は、従来公知の製法が適用できるが、アルカリ金属およ
びアルカリ土類金属が上記範囲となるように制御する必
要がある。該制御手段としては、強磁性金属粉末の製造
工程中に洗浄工程を挿入することなどが有効である。即
ち、オキシ水酸化鉄粉、酸化鉄粉または金属粉を水洗す
るのである。特に、オキシ水酸化鉄、酸化鉄、金属と工
程の進行にともなって、微量元素は粒子表面に偏析して
くる傾向があるので、洗浄によりその除去が容易とな
る。洗浄水を加温したり、pHを低下させたりすること
により更に効率よく洗浄を進めることができる。また、
原料中の不純物元素を極力少なくすることが有効である
ことは勿論である。
【0013】本発明において、脂肪酸の塗布層からの抽
出量は、以下の抽出操作により得られる値を指す。即
ち、塗布層をカッター等で50cm2 (塗布層厚×面積
で体積に換算する)だけ削り取り、200ml、60℃
のn−ヘキサンで3時間抽出した後、脂肪酸をガスクロ
マトグラフィーで定量する。ガスクロマトグラフィーの
条件は、ソルベントカットを使用し、カラム温度を15
0℃から毎分8℃の昇温温度で280まで昇温する。
【0014】本発明において、脂肪酸抽出量は、1〜5
0mg/cm3 、好ましくは5〜40mg/cm3 、更
に好ましくは、10〜20mg/cm3 である。該抽出
量が1mg/cm3より少ないと潤滑性能が不足しがち
であり、50mg/cm3より多いと磁性層表面に脂肪
酸が多く存在し、強磁性金属粉末中の金属と反応して結
晶性の塩を形成して析出しやすくなる。
【0015】本発明は塗布層が単層の磁性層でも塗布層
が複層構造、例えば磁性層(上層磁性層)と下層塗布層
(非磁性層)からなる複数層から成っても良い。後者の
場合、脂肪酸を下層塗布層に含有させることができる。
尚、磁性層、非磁性層を各々複層としてもよい。本発明
においては、上記強磁性金属粉末を用いるため結合剤樹
脂、特に極性基含有結合剤樹脂の強磁性金属粉末への吸
着量を特異的に向上させることができ、かつ結合剤樹脂
との結合力を向上させることができるので樹脂量を低く
しても機械的に丈夫な塗膜となりヘッド磨耗に効果的で
ある。
【0016】磁性層に用いられる結合剤(硬化剤も含
む)は強磁性金属粉末に対し、10〜30重量%の範
囲、好ましくは15〜22重量%の範囲で用いられる。
塩化ビニル系樹脂を用いる場合は5〜15重量%、ポリ
ウレタン樹脂を用いる場合は2〜10重量%、ポリイソ
シアネートは2〜10重量%の範囲でこれらを組み合わ
せて用いるのが好ましい。
【0017】本発明において、ポリウレタンを用いる場
合はガラス転移温度が−50〜100℃、破断伸びが1
00〜2,000%、破断応力は0.05〜10Kg/
cm2、降伏点は0.05〜10Kg/cm2が好まし
い。
【0018】本発明に使用される脂肪酸は炭素数8〜2
4の一塩基性脂肪酸が使用でき、炭素数8〜18の一塩
基性脂肪酸が好ましい。これらの具体例としてはラウリ
ン酸、カプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミ
チン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノー
ル酸、リノレン酸、エライジン酸等が挙げられる。本発
明の磁性層に使用する強磁性金属粉末について以下説明
する。強磁性金属粉末としてはα−FeまたはNiまた
はCoを主成分(75%以上)とする強磁性金属粉末が
使用できる。これらの強磁性金属粉末には所定の原子以
外にAl、S、Sc、Ti、V、Cr、Cu、Y、M
o、Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、Te、Ta、W、
Re、Au、Hg、Pb、Bi、La、Ce、Pr、N
d、P、Co、Mn、Zn、Ni、Bなどの原子を含ん
でもかまわない。これら微量元素は強磁性金属粉末のF
eに対してAlは2〜15原子、望ましくは7〜13原
子%、Yは0〜10原子%、望ましくは1.5〜7原子
%、Coは0〜35原子%、望ましくは10〜30原子
%、Niは5原子%以下が望ましい。Coの含有量は、
飽和磁化量を増大させる効果がある。AlやYが含有さ
れていると結合剤樹脂に吸着性を高めることができ、分
散性を向上させることができる。また、特に、Alの含
有は、磁性層の研磨力を高めるのに有効である。
【0019】これらの強磁性金属粉末にはあとで述べる
分散剤、潤滑剤、界面活性剤、帯電防止剤などで分散前
にあらかじめ処理を行ってもかまわない。
【0020】具体的には、特公昭44-14,090号、特公昭4
5-18,372号、特公昭47-22,062号、特公昭47-22,513号、
特公昭46-28,466号、特公昭46-38,755号、特公昭47-4,2
86号、特公昭47-12,422号、特公昭47-17,284号、特公昭
47-18,509号、特公昭47-18,573号、特公昭39-10,307
号、特公昭48-39,639号、米国特許3,026,215号、同3,0
3,1341号、同3,100,194号、同3,242,005号、同3,389,01
4号などに記載されている。
【0021】強磁性金属粉末は少量の水酸化物、または
酸化物を含んでもよい。強磁性金属粉末は公知の製造方
法により得られたものを用いることができ、下記の方法
を挙げることができる。複合有機酸塩(主としてシュ
ウ酸塩)と水素などの還元性気体で還元する方法、酸
化鉄を水素などの還元性気体で還元してFeあるいはF
e−Co粒子などを得る方法、金属カルボニル化合物
を熱分解する方法、強磁性金属の水溶液に水素化ホウ素
ナトリウム、次亜リン酸塩あるいはヒドラジンなどの還
元剤を添加して還元する方法、金属を低圧の不活性気
体中で蒸発させて微粉末を得る方法などである。このよ
うにして得られた強磁性金属粉末は公知の徐酸化処理、
すなわち有機溶剤に浸漬したのち乾燥させる方法、有機
溶剤に浸漬したのち酸素含有ガスを送り込んで表面に酸
化膜を形成したのち乾燥させる方法、有機溶剤を用いず
酸素ガスと不活性ガスの分圧を調整して表面に酸化皮膜
を形成する方法のいずれを施したものでも用いることが
できる。
【0022】本発明の磁性層の強磁性金属粉末の平均長
軸長は、0.04〜0.30μm、好ましくは0.06
〜0.18μmであり、BET法による比表面積で表せ
ば25〜80m2/gであり、好ましくは40〜70m2
/gである。25m2/g以下ではノイズが高くなり、
80m2/g以上では表面性が得にくく好ましくない。
本発明の磁性層の強磁性金属粉末の結晶子サイズは10
0〜450オングストロームであり、好ましくは100
〜350オングストロームである。飽和磁化(σS )は
100〜200emu/gが好ましく、さらに好ましく
は110emu/g〜170emu/gである。抗磁力は1,10
0〜3,000Oeが好ましく、更に好ましくは1,40
0〜2,500Oeである。針状比は4〜18が好まし
く、更に好ましくは5〜12である。含水率は0.01
〜2%とするのが好ましい。結合剤の種類によって含水
率は最適化するのが好ましい。タップ密度は0.2〜
0.8g/mlが好ましく、0.8g/mlより大であると強磁
性金属粉末の圧密過程で酸化が進みやすく、充分なσS
を得ることが困難になる。タップ密度が0.2g/mlより
小では分散が不十分になりやすい。pHは用いる結合剤
との組合せにより最適化することが好ましい。その範囲
は4〜12であるが、好ましくは6〜10である。必要
に応じ、Al、Si、Pまたはこれらの酸化物などで表
面処理を施してもかまわない。その量は強磁性金属粉末
に対し0.1〜15%であり表面処理を施すと脂肪酸な
どの潤滑剤の吸着が100mg/m2以下になり好まし
い。
【0023】また、本発明に用いられる強磁性金属粉末
は空孔が少ないほうが好ましくその値は0〜20容量
%、さらに好ましくは0〜5容量%である。また形状に
ついては先に示した平均粒径についての特性を満足すれ
ば針状、粒状、米粒状、板状いずれでもかまわない。針
状強磁性粉末の場合、針状比は4〜12が好ましい。S
FDは0.1〜0.6が好ましく、Hcの分布を小さく
することが好ましい。そのためには、ゲータイトの粒度
分布をよくする、γ−ヘマタイトの焼結を防止するなど
の方法がある。
【0024】次に、磁性層と非磁性支持体の間に設けら
れる下層塗布層について詳述する。下層塗布層に用いら
れる無機質粉末としては、金属酸化物、金属炭酸塩、金
属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物、等の
無機質化合物から選択することができる。無機質化合物
としては例えばα化率90〜100%のα−アルミナ、
β−アルミナ、γ−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロ
ム、酸化セリウム、α−酸化鉄、コランダム、窒化珪
素、チタンカーバイト、酸化チタン、二酸化珪素、酸化
スズ、酸化マグネシウム、酸化タングステン、酸化ジル
コニウム、窒化ホウ素、酸化亜鉛、硫酸バリウム、二硫
化モリブデンなどが単独または組合せで使用される。特
に好ましいのは二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、硫酸
バリウムであり、更に好ましいのは二酸化チタンであ
る。炭酸カルシウムは水溶性金属イオンの供給源となる
ので好ましくない。
【0025】これら無機質粉末の平均粒径は0.005
〜2μmが好ましいが、必要に応じて平均粒径の異なる
無機質粉末を組み合わせたり、単独の無機質粉末でも粒
径分布を広くして同様の効果をもたせることもできる。
とりわけ好ましいのは無機質粉末の平均粒径は0.01
μm〜0.2μmである。タップ密度は0.05〜2g
/ml、好ましくは0.2〜1.5g/mlである。無
機質粉末の含水率は0.1〜5重量%、好ましくは0.
2〜3重量%である。無機質粉末の比表面積は1〜10
0m2/g、好ましくは5〜50m2/g、更に好ましく
は7〜40m2/gである。無機質粉末の結晶子サイズ
は0.01μm〜2μmが好ましい。DBPを用いた吸油
量は5〜100ml/100g、好ましくは10〜80ml/100
g、更に好ましくは20〜60ml/100gである。比重は1
〜12、好ましくは3〜6である。形状は針状、球状、
多面体状、板状のいずれでも良い。
【0026】強磁性金属粉末の強熱減量は0〜20重量
%であることが好ましい。本発明に用いられる上記無機
粉末のモース硬度は4〜10のものが好ましい。これらの
粉末表面のラフネスファクターは0.8〜1.5が好ま
しく、更に好ましいラフネスファクターは0.9〜1.
2である。無機粉末のSA(ステアリン酸)吸着量は1
〜20μmol/m2、更に好ましくは2〜15μmol/m2
ある。下層塗布層の無機質粉末の25℃での水への湿潤
熱は200erg/cm2〜600erg/cm2の範囲にあることが
好ましい。また、この湿潤熱の範囲にある溶媒を使用す
ることができる。100〜400℃での表面の水分子の
量は1〜10個/100Åが適当である。水中での等電点の
pHは3〜6の間にあることが好ましい。
【0027】これらの無機質粉末の表面にはAl2O3、SiO
2、TiO2、ZrO2,SnO2,Sb2O3,ZnOで表面処理すること
が好ましい。特に分散性に好ましいのはAl2O3、SiO2、T
iO2、ZrO2であるが、更に好ましいのはAl2O3、SiO2、Zr
O2である。これらは組み合わせて使用しても良いし、単
独で用いることもできる。また、目的に応じて共沈させ
た表面処理層を用いても良いし、先ずアルミナで処理し
た後にその表層をシリカで処理する方法、またはその逆
の方法を採ることもできる。また、表面処理層は目的に
応じて多孔質層にしても構わないが、均質で密である方
が一般には好ましい。
【0028】本発明の下層塗布層に用いられる無機質粉
末の具体的な例としては、昭和電工製ナノタイト、住友化学製
HIT-100,ZA-G1、戸田工業社製DPN-250,DPN-250BX、DPN-
245,DPN-270BX、石原産業製TTO-51B、TTO-55A,TTO-55B、
TTO-55C、TTO-55S、TTO-55D、SN-100,E270,E271、チタン工
業製STT-4D、STT-30D、STT-30、STT-65C、テイカ製MT-1
00S、MT-100T、MT-150W、MT-500B、MT-600B、MT-100F、MT-500
HD、堺化学製FINEX-25,BF-1,BF-10,BF-20,ST-M、同和鉱
業製DEFIC-Y,DEFIC-R、日本アエロジル製AS2BM,TiO2P25,
宇部興産製100A,500A、チタン工業製Y-LOP及びそれを焼
成したものが挙げられる。
【0029】下層塗布層にカーボンブラックを混合させ
て公知の効果であるRsを下げることができる。このた
めにはゴム用ファーネス、ゴム用サーマル、カラー用ブ
ラック、アセチレンブラック、等を用いることができ
る。カーボンブラックの比表面積は100〜500m2
/g、好ましくは150〜400m2/g、DBP吸油
量は20〜400ml/100g、好ましくは30〜200ml/
100gである。カーボンブラックの平均粒径は5mμ〜8
0mμ、好ましくは10〜50mμ、さらに好ましくは
10〜40mμである。カーボンブラックのpHは2〜
10、含水率は0.1〜10%、タップ密度は0.1〜
1g/mlが好ましい。
【0030】本発明に用いられるカーボンブラックの具
体的な例としてはキャボット社製、BLACKPEAR
LS 2000、1300、1000、900、80
0、880、700、VULCAN XC−72、三菱
化成工業社製、#3050B、3150B、3250
B、#3750B、#3950B、#950、#650
B、#970B、#850B、MA−600、コロンビ
アカーボン社製、CONDUCTEX SC、RAVE
N 8800,8000,7000,5750,5250,3500,2100,2000,1800,1
500,1255,1250、アクゾー社製ケッチェンブラックECな
どがあげられる。カーボンブラックを分散剤などで表面
処理したり、樹脂でグラフト化して使用しても、表面の
一部をグラファイト化したものを使用してもかまわな
い。また、カーボンブラックを塗料に添加する前にあら
かじめ結合剤で分散してもかまわない。これらのカーボ
ンブラックは上記無機質粉末に対して0〜50重量%の
範囲、下層塗布層総重量の0〜40%の範囲で使用でき
る。これらのカーボンブラックは単独、または組合せで
使用することができる。
【0031】本発明で下層塗布層に使用できるカーボン
ブラックは例えば「カーボンブラック便覧」(カーボン
ブラック協会編)を参考にすることができる。また下層
塗布層には有機質粉末を目的に応じて、添加することも
できる。例えば、アクリルスチレン系樹脂粉末、ベンゾグアナミ
ン樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、フタロシアニン系顔料が挙げら
れるが、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹
脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉
末、ポリフッ化エチレン樹脂も使用することができる。その
製法は 特開昭62-18,564号、特開昭60-255,827号に記
されているようなものが使用できる。
【0032】下層塗布層のバインダー、潤滑剤、分散
剤、添加剤、溶剤、分散方法その他は磁性層のそれが適
用できる。特に、バインダー量、種類、添加剤、分散剤
の添加量、種類に関しては後述する磁性層に関する公知
技術が適用できる。
【0033】次に磁性層に使用する強磁性金属粉末、脂
肪酸以外の内容について詳細な説明をする。本発明に使
用される結合剤としては従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬
化性樹脂、反応型樹脂やこれらの混合物が使用される。
熱可塑性樹脂としては、ガラス転移温度が−100〜1
50℃、数平均分子量が1,000〜200,000、
好ましくは10,000〜100,000、重合度が約
50〜1,000程度のものである。
【0034】このような結合剤の例としては、塩化ビニ
ル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、アク
リル酸、アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、アクリ
ロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、ス
チレン、ブタジエン、エチレン、ビニルブチラール、ビ
ニルアセタール、ビニルエーテル、等を構成単位として
含む重合体または共重合体、ポリウレタン樹脂、各種ゴ
ム系樹脂がある。また、熱硬化性樹脂または反応型樹脂
としてはフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン
硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、
アクリル系反応樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコー
ン樹脂、エポキシ−ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂
とイソシアネートプレポリマーの混合物、ポリエステル
ポリオールとポリイソシアネートの混合物、ポリウレタ
ンとポリイソシアネートの混合物等があげられる。これ
らの樹脂については朝倉書店発行の「プラスチックハン
ドブック」に詳細に記載されている。また、公知の電子
線硬化型樹脂を下層塗布層、または上層磁性層に使用す
ることも可能である。
【0035】これらの結合剤の例とその製造方法につい
ては特開昭62−256,219号に詳細に記載されて
いる。以上の樹脂は単独または組合せて使用できるが、
好ましいものとして塩化ビニル樹脂、塩化ビニル酢酸ビ
ニル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニルビニルアルコール樹
脂、塩化ビニル酢酸ビニル無水マレイン酸共重合体の中
から選ばれる少なくとも1種とポリウレタン樹脂の組合
せ、またはこれらにポリイソシアネートを組み合わせた
ものがあげられる。ポリウレタン樹脂の構造はポリエス
テルポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエ
ーテルポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポ
リウレタン、ポリエステルポリカーボネートポリウレタ
ン、ポリカプロラクトンポリウレタンポリオレフィンポ
リウレタンなど公知のものが使用できる。ここに示した
すべての結合剤について、より優れた分散性と耐久性を
得るためには必要に応じ、−COOM、−SO3M、−
OSO3M、−P=O(OM)2、−O−P=O(OM)
2、(以上につきMは水素原子、またはアルカリ金属イ
オンを示す。)、−OH、−NR2 、−N+3 (Rは
炭素数1〜12の炭化水素基を示す。)、エポキシ基、
−SH、−CN、スルフォベタイン、カルボキシベタイ
ン、ホスホベタイン等、好ましくは−SO3Naを共重
合または付加反応で導入したものを用いることが好まし
い。このような極性基の量は10-8〜10-1モル/gであ
り、好ましくは10-6〜10-2モル/g、更に好ましく
は、3×10-5〜20×10-5モル/gである。
【0036】本発明に用いられるこれらの結合剤の具体
的な例としてはユニオンカーバイト社製 VAGH、V
YHH、VMCH、VAGF、VAGD、VROH、V
YES、VYNC、VMCC、XYHL、XYSG、P
KHH、PKHJ、PKHC、PKFE、日信化学工業
社製、MPR−TA、MPR−TA5、MPR−TA
L、MPR−TSN、MPR−TMF、MPR−TS、
MPR−TM、MPR−TAO、電気化学社製1000
W、DX80、DX81、DX82、DX83、100
FD、日本ゼオン社製のMR−104、MR−105、
MR110、MR100、400X−110A、日本ポ
リウレタン社製ニッポランN2301、N2302、N
2304、大日本インキ社製パンデックスT−510
5、T−R3080、T−5201、バーノックD−4
00、D−210−80、クリスボン6109、720
9、東洋紡社製バイロンUR8200、UR8300、
UR−8600、UR−5500、UR−4300、R
V530、RV280、FB−84、大日精化社製、ダ
イフェラミン4020、5020、5100、530
0、9020、9022、7020、三菱化成社製、M
X5004、三洋化成社製サンプレンSP−150、T
IM−3003、TIM−3005、旭化成社製サラン
F310、F210などがあげられる。この中でMR−
104、MR110、UR8300、UR−8600、
UR−5500、UR−4300、TIM−3005が
好ましい。
【0037】本発明の磁気記録媒体は前述のごとく二層
以上からなる場合がある。従って、結合剤量、結合剤中
に占める塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイ
ソシアネート、あるいはそれ以外の樹脂の量、磁性層を
形成する各樹脂の分子量、極性基量、あるいは先に述べ
た樹脂の物理特性などを必要に応じ下層塗布層と磁性層
とで変えることはもちろん可能であり、多層磁性層に関
する公知技術を適用できる。例えば、上下層でバインダ
ー量を変更する場合、磁性層表面の擦傷を減らすために
は上層磁性層のバインダー量を増量することが有効であ
り、ヘッドに対するヘッドタッチを良好にする為には、
上層磁性層以外の下層塗布層のバインダー量を多くして
柔軟性を持たせることにより達成される。
【0038】本発明に用いるポリイソシアネートとして
は、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニル
メタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネ
ート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,
5−ジイソシアネート、o−トルイジンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタン
トリイソシアネート等のイソシアネート類、また、これ
らのイソシアネート類とポリアルコールとの生成物、ま
た、イソシアネート類の縮合によって生成したポリイソ
シアネート等を使用することができる。これらのイソシ
アネート類の市販されている商品名としては、日本ポリ
ウレタン社製、コロネートL、コロネートHL、コロネ
ート2030、コロネート2031、ミリオネートM
R、ミリオネートMTL、武田薬品社製、タケネートD
−102、タケネートD−110N、タケネートD−2
00、タケネートD−202、住友バイエル社製、デス
モジュールL、デスモジュールIL、デスモジュール
N、デスモジュールHL、等がありこれらを単独または
硬化反応性の差を利用して二つもしくはそれ以上の組合
せで下層塗布層、上層磁性層とも用いることができる。
【0039】本発明に使用されるカーボンブラックは前
述した下層塗布層で例示したものが磁性層にも適用でき
る。また、カーボンブラックを磁性塗料に添加する前に
あらかじめ結合剤で分散してもかまわない。これらのカ
ーボンブラックは単独、または組合せで使用することが
できる。カーボンブラックを使用する場合は強磁性金属
粉末に対する量の0.1〜30%で用いることが好まし
い。カーボンブラックは磁性層の帯電防止、摩擦係数低
減、遮光性付与、膜強度向上などの働きがあり、これら
は用いるカーボンブラックにより異なる。従って本発明
に使用されるこれらのカーボンブラックは上層磁性層、
下層塗布層でその種類、量、組合せを変え、平均粒径、
吸油量、電導度、pHなどの先に示した諸特性をもとに
目的に応じて使い分けることはもちろん可能である。本
発明の磁性層で使用できるカーボンブラックは例えば
「カーボンブラック便覧」(カーボンブラック協会編)
を参考にすることができる。
【0040】本発明に用いられる研磨剤としては前述し
た下層塗布層で例示した無機質粉末が磁性層にも適用で
きる。本発明に用いられる研磨剤は下層塗布層、上層磁
性層で種類、量および組合せを変え、目的に応じて使い
分けることはもちろん可能である。これらの研磨剤はあ
らかじめ結合剤で分散処理したのち磁性塗料中に添加し
てもかまわない。本発明の磁気記録媒体の磁性層表面お
よび磁性層端面に存在する研磨剤は5〜130個/10
0μm2が好ましく、5〜90個/100μm2が特に好
ましい。
【0041】本発明に使用される、添加剤としては潤滑
効果、帯電防止効果、分散効果、可塑効果、などをもつ
ものが使用される。二硫化モリブデン、二硫化タングス
テングラファイト、窒化ホウ素、フッ化黒鉛、シリコー
ンオイル、極性基をもつシリコーン、脂肪酸変性シリコ
ーン、フッ素含有シリコーン、フッ素含有アルコール、
フッ素含有エステル、ポリオレフィン、ポリグリコー
ル、アルキル燐酸エステルおよびそのアルカリ金属
塩、、アルキル硫酸エステルおよびそのアルカリ金属
塩、ポリフェニルエーテル、フッ素含有アルキル硫酸エ
ステルおよびそのアルカリ金属塩、炭素数10〜24の
一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含んでも、また分岐して
いてもかまわない)の金属塩(Li、Na、K、Cuな
ど)または、炭素数12〜22の一価、二価、三価、四
価、五価、六価アルコール、(不飽和結合を含んでも、
また分岐していてもかまわない)、炭素数12〜22の
アルコキシアルコール、炭素数10〜24の一塩基性脂
肪酸(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかま
わない)と炭素数2〜12の一価、二価、三価、四価、
五価、六価アルコールのいずれか一つ(不飽和結合を含
んでも、また分岐していてもかまわない)とからなるモ
ノ脂肪酸エステルまたはジ脂肪酸エステルまたはトリ脂
肪酸エステル、アルキレンオキシド重合物のモノアルキ
ルエーテルの脂肪酸エステル、炭素数8〜22の脂肪酸
アミド、炭素数8〜22の脂肪族アミン、などが使用で
きる。
【0042】これらの具体例としてはステアリン酸ブチ
ル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸アミル、ステ
アリン酸イソオクチル、ミリスチン酸オクチル、ステア
リン酸ブトキシエチル、アンヒドロソルビタンモノステ
アレート、アンヒドロソルビタンジステアレート 、ア
ンヒドロソルビタントリステアレート、オレイルアルコ
ール、ラウリルアルコール、があげられる。また、アル
キレンオキサイド系、グリセリン系、グリシドール系、
アルキルフェノールエチレンオキサイド付加体、等のノ
ニオン界面活性剤、環状アミン、エステルアミド、第四
級アンモニウム塩類、ヒダントイン誘導体、複素環類、
ホスホニウムまたはスルホニウム類、等のカチオン系界
面活性剤、カルボン酸、スルフォン酸、燐酸、硫酸エス
テル基、燐酸エステル基、などの酸性基を含むアニオン
界面活性剤、アミノ酸類、アミノスルホン酸類、アミノ
アルコールの硫酸または燐酸エステル類、アルキルベダ
イン型、等の両性界面活性剤等も使用できる。これらの
界面活性剤については、「界面活性剤便覧」(産業図書
株式会社発行)に詳細に記載されている。これらの潤滑
剤、帯電防止剤等は必ずしも100%純粋ではなく、主
成分以外に異性体、未反応物、副反応物、分解物、酸化
物等の不純分が含まれてもかまわない。これらの不純分
は0〜30%が好ましく、さらに好ましくは0〜10%
である。
【0043】本発明で使用されるこれらの潤滑剤、界面
活性剤は下層塗布層、磁性層でその種類、量を必要に応
じ使い分けることができる。例えば、下層塗布層、磁性
層で融点の異なる脂肪酸を用い表面へのにじみ出しを制
御すること、沸点や極性の異なるエステル類を用い表面
へのにじみ出しを制御すること、界面活性剤量を調節す
ることで塗布の安定性を向上させること、潤滑剤の添加
量を下層塗布層で多くして潤滑効果を向上させることな
ど考えられ、無論ここに示した例のみに限られるもので
はない。
【0044】また本発明で用いられる添加剤のすべてま
たはその一部は、磁性塗料製造のどの工程で添加しても
かまわない、例えば、混練工程前に強磁性金属粉末と混
合する場合、強磁性金属粉末と結合剤と溶剤による混練
工程で添加する場合、分散工程で添加する場合、分散後
に添加する場合、塗布直前に添加する場合などがある。
また、目的に応じて磁性層を塗布した後、同時または逐
次塗布で、添加剤の一部または全部を塗布することによ
り目的が達成される場合がある。また、目的によっては
カレンダーした後、またはスリット終了後、磁性層表面
に潤滑剤を塗布することもできる。
【0045】本発明で用いられる有機溶媒は任意の比率
でアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケ
トン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホ
ロン、テトラヒドロフラン、等のケトン類、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチ
ルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルシクロ
ヘキサノール、などのアルコール類、酢酸メチル、酢酸
ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチ
ル、酢酸グリコール等のエステル類、グリコールジメチ
ルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサ
ン、などのグリコールエーテル系、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼン、などの芳
香族炭化水素類、メチレンクロライド、エチレンクロラ
イド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロルヒド
リン、ジクロルベンゼン、等の塩素化炭化水素類、N,
N−ジメチルホルムアミド、ヘキサン等のものが使用で
きる。これら有機溶媒は必ずしも100%純粋ではな
く、主成分以外に異性体、未反応物、副反応物、分解
物、酸化物、水分等の不純分がふくまれてもかまわな
い。これらの不純分は0〜30%が好ましく、さらに好
ましくは0〜10%である。
【0046】本発明で用いる有機溶媒は磁性層と下層塗
布層でその種類は同じであることが好ましい。その添加
量は変えてもかまわない。下層塗布層に表面張力の高い
溶媒(シクロヘキサン、ジオキサンなど)を用い塗布の
安定性を上げることができる。具体的には上層磁性層溶
剤組成の算術平均値が下層塗布層溶剤組成の算術平均値
を下回らないことが肝要である。分散性を向上させるた
めにはある程度極性が強い方が好ましく、溶剤組成の
内、誘電率が15〜25の溶剤が50〜80%含まれる
ことが好ましい。また、溶解パラメータは8〜11であ
ることが好ましい。
【0047】本発明の磁気記録媒体の厚み構成は非磁性
支持体が1〜20μmであるが、特に、1〜10μmの
薄い非磁性支持体を用いる場合に有効である。単層の磁
性層の厚みまたは上層磁性層磁性層と下層塗布層を合わ
せた厚みは非磁性支持体の厚みの1/100〜2倍の範
囲で用いられる。単層磁性層の場合、その厚みは、通
常、0.7〜4.0μm、好ましくは1.5〜3.5μ
mであり、上層磁性層と下層塗布層の場合は、上層磁性
層の厚みが、通常、0.1〜1.5μm、好ましくは
0.1〜0.5μmであり、下層塗布層の厚みは通常、
0.8〜3.5μm、好ましくは1.2〜3.0μmで
ある。非磁性支持体と下層塗布層の間に密着性向上のた
めの接着層を設ける。 接着層の厚みは0.005〜
0.5μm、好ましくは0.02〜0.3μmである。
また、非磁性支持体の磁性層側と反対側にバックコート
層を設けてもかまわない。この厚みは0.1〜2μm、
好ましくは0.3〜1.0μmである。これらの接着
層、バックコート層は公知のものが使用できる。これら
の接着層、バックコート層の厚みも磁気記録媒体の層厚
みに含める。
【0048】本発明に用いられる非磁性支持体は、二軸
延伸を行ったポリエチレンテレフタレート、ポリエチレ
ンナフタレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミド
イミド、芳香族ポリアミド、ポリベンズオキシダゾール
などの公知のフィルムが使用できる。特に、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アラミ
ド樹脂を用いた非磁性支持体が好ましい。非磁性支持体
のマイクロビッカース硬度は75〜100kg/mm2にする
ことが好ましく、フイルム製膜時の加熱条件、弛緩条
件、延伸条件等を調整する事および素材を選択する事に
より行うことができる。これらの非磁性支持体にはあら
かじめコロナ放電処理、プラズマ処理、易接着処理、熱
処理、除塵処理、などをおこなっても良い。
【0049】本発明の非磁性支持体は中心線平均表面粗
さが0.001〜0.03μm、好ましくは0.001
〜0.02、さらに好ましくは0.001〜0.01μ
mである。また、これらの非磁性支持体は単に中心線平
均表面粗さが小さいだけではなく、1μm以上の粗大突
起がないことが好ましい。また表面の粗さ形状は必要に
応じて非磁性支持体に添加されるフィラーの大きさと量
により自由にコントロールされるものである。これらの
フィラーとしては一例としてはAl、Ca、Si、Ti
などの酸化物や炭酸塩で結晶性、非晶質を問わない他、
アクリル系、メラミン系などの有機微粉末があげられ
る。
【0050】本発明に用いられる非磁性支持体のテープ
走行方向のF−5値は好ましくは10〜50Kg/mm
2、テープ幅方向のF−5値は好ましくは10〜30K
g/mm2であり、テープの長手方向のF−5値がテー
プ幅方向のF−5値より高いのが一般的であるが、特に
幅方向の強度を高くする必要があるときはその限りでな
い。また、非磁性支持体のテープ走行方向および幅方向
の100℃、30分での熱収縮率は好ましくは0〜3
%、さらに好ましくは0〜1.5%、80℃、30分で
の熱収縮率は好ましくは0〜1%、さらに好ましくは0
〜0.5%である。破断強度は両方向とも5〜100K
g/mm2、弾性率は100〜2,000Kg/mm2
好ましい。
【0051】本発明の磁気記録媒体の磁性塗料を製造す
る工程は、少なくとも混練工程、分散工程、およびこれ
らの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程からな
る。個々の工程はそれぞれ2段階以上にわかれていても
かまわない。本発明に使用する強磁性金属粉末、結合
剤、カーボンブラック、研磨剤、帯電防止剤、潤滑剤、
溶剤などすべての原料はどの工程の最初または途中で添
加してもかまわない。また、個々の原料を2つ以上の工
程で分割して添加してもかまわない。例えば、ポリウレ
タンを混練工程、分散工程、分散後の粘度調整のための
混合工程で分割して投入してもよい。本発明の目的を達
成するためには、従来の公知の製造技術のを一部の工程
としてを用いることができることはもちろんであるが、
混練工程では連続ニーダや加圧ニーダなど強い混練力を
もつものを使用することにより磁気記録媒体の高いBr
を得ることが好ましい。連続ニーダまたは加圧ニーダを
用いる場合は強磁性金属粉末と結合剤のすべてまたはそ
の一部(ただし全結合剤の30%以上が好ましい)およ
び強磁性金属粉末100部に対し15〜500部の範囲
で混練処理される。これらの混練処理の詳細については
特開平1−106,338号、特開昭64−79,27
4号に記載されている。また、下層塗布層液を調整する
場合には高比重の分散メディアを用いることが望まし
く、ジルコニアビーズが好適である。
【0052】本発明のような重層構成の磁気記録媒体を
塗布する装置、方法の例として以下のような構成を提案
できる。 1,磁性塗料の塗布で一般的に用いられるグラビア塗
布、ロール塗布、ブレード塗布、エクストルージョン塗
布装置等により、まず下層塗布層を塗布し、下層塗布層
がウェット状態にのうちに特公平1-46,186号や特開昭60
-238,179号、特開平2-265,672号に開示されている支持
体加圧型エクストルージョン塗布装置により上層磁性層
を塗布する。
【0053】2,特開昭63-88,080号、特開平2-17,971
号、特開平2-265,672号に開示されているような塗布液
通液スリットを二つ内蔵する一つの塗布ヘッドにより上
下層をほぼ同時に塗布する。 3,特開平2-174,965号に開示されているバックアップ
ロール付きエクストルージョン塗布装置により上下層を
ほぼ同時に塗布する。
【0054】なお、強磁性金属粉末の凝集による磁気記
録媒体の電磁変換特性等の低下を防止するため、特開昭
62-95,174号や特開平1-236,968号に開示されているよう
な方法により塗布ヘッド内部の塗布液にせん断を付与す
ることが望ましい。さらに、塗布液の粘度については、
特開平3-8,471号に開示されている数値範囲を満足する
ことが好ましい。
【0055】本発明の磁気記録媒体を得るためには強力
な配向を行う必要がある。1,000G以上のソレノイ
ドと2,000G以上のコバルト磁石を同極対向で併用
することが好ましく、さらには乾燥後の配向性が最も高
くなるように配向前に予め適度の乾燥工程を設けること
が好ましい。また、ディスク媒体として本発明を適用す
る場合はむしろ配向をランダマイズするような配向法が
必要である。また、複数の磁性層がある場合、各々の配
向方向を変更、例えば、面内方向のみでなく垂直方向、
幅方向にも配向できる。
【0056】さらに、カレンダ処理ロールとしてエポキ
シ、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等の耐
熱性のあるプラスチックロールを使用する。また、金属
ロール同志で処理することも出来る。処理温度は、好ま
しくは70〜150℃、さらに好ましくは80〜150
℃である。線圧力は好ましくは200〜500Kg/c
m、さらに好ましくは300〜400Kg/cmであ
る。
【0057】本発明の磁気記録媒体の磁性層面およびそ
の反対面のSUS420Jに対する摩擦係数は好ましく
は0.1〜0.5、さらに0.15〜0.3、表面固有
抵抗は好ましくは104〜1012オーム/sq、磁性層
の0.5%伸びでの弾性率は走行方向、幅方向とも好ま
しくは100〜2,000Kg/mm2、破断強度は好
ましくは1〜30Kg/cm2、磁気記録媒体の弾性率
は走行方向、幅方向とも好ましくは100〜1,500
Kg/mm2、残留伸びは好ましくは0〜0.5%、1
00℃以下のあらゆる温度での熱収縮率は好ましくは0
〜1%、さらに好ましくは0〜0.5%、もっとも好ま
しくは0〜0.1%である。磁性層のガラス転移温度(1
10Hzで測定した動的粘弾性測定の損失弾性率の極大点)
は50℃以上120℃以下が好ましく、下層塗布層のそ
れは0℃〜100℃が好ましい。損失弾性率は1×10
8〜8×109dyne/cm2の範囲にあることが好ましく、損
失正接は0〜0.2であることが好ましい。損失正接が
大きすぎると粘着故障がでやすい。
【0058】磁性層中に含まれる残留溶媒は好ましくは
0〜100mg/m2、さらに好ましくは0〜10mg
/m2であり、上層磁性層に含まれる残留溶媒が下層塗
布層に含まれる残留溶媒より少ないほうが好ましい。磁
性層が有する空隙率は下層塗布層、磁性層とも好ましく
は0〜30容量%、さらに好ましくは0〜20容量%で
ある。空隙率は高出力を果たすためには小さい方が好ま
しいが、目的によってはある値を確保した方が良い場合
がある。例えば、繰り返し用途が重視されるデータ記録
用磁気記録媒体では空隙率が大きい方が走行耐久性は好
ましいことが多い。
【0059】本発明の磁気記録媒体の磁気特性は磁場5
KOeで測定した場合、テープ走行方向の角形比は0.
70〜1.00であり、好ましくは0.80〜1.00
であり、さらに好ましくは0.90〜1.00である。
テープ走行方向に直角な二つの方向の角型比は走行方向
の角型比の80%以下となることが好ましい。磁性層の
SFDは0.1〜0.6であることが好ましい。
【0060】磁性層の中心線表面粗さRaは1nm〜1
0nmが好ましいが、その値は目的により適宜設定され
るべきである。電磁変換特性を良好にする為にはRaは
小さいほど好ましいが、走行耐久性を良好にするために
は逆に大きいほど好ましい。AFMによる評価で求めた
RMS表面粗さRRMSは2nm〜15nmの範囲にある
ことが好ましい。
【0061】本発明の磁気記録媒体は下層塗布層と上層
磁性層を有することができるが、目的に応じ下層塗布層
と磁性層でこれらの物理特性を変えることができるのは
容易に推定されることである。例えば、磁性層の弾性率
を高くし走行耐久性を向上させると同時に下層塗布層の
弾性率を磁性層より低くして磁気記録媒体のヘッドへの
当りを良くするなどである。
【0062】
【実施例】次に本発明の実施例、比較例により具体的に
本発明を説明する。実施例中、「部」との表示は「重量
部」を表す。
【0063】実施例1 磁性層 強磁性金属粉末 組成 Fe/Co=90/10 100部 Y含有量2.0原子%/Fe Hc 1800Oe、 BET法による比表面積 58m2/g 結晶子サイズ175Å 表面処理剤Al2O3,SiO2 平均粒径(長軸径) 0.1μm 針状比 7 σs:130emu/g 塩化ビニル系共重合体(塩ビ) 13部 日本ゼオン(株)製「MR110」 SO3Na含有、エポキシ基含有 重合度300 ポリエステルポリウレタン樹脂(ウレタン) 5部 ネオペンチルグリコール/カプロラクトンポリオール/MDI =0.9/2.6/1 -SO3Na基 1×10-4eq/g含有 α−Al23(平均粒径0.3μm) 10部 カーボンブラック(平均粒径0.10μm) 0.5部 ブチルステアレート 1部 ステアリン酸 1部 メチルエチルケトン 150部 シクロヘキサノン 50部
【0064】上記の塗料について、各成分を連続ニーダ
で混練したのち、サンドミルを用いて分散させた。得ら
れた分散液にポリイソシアネート(日本ポリウレタン
(株)製コロネートL)5部を加え、さらに酢酸ブチル
40部を加え、1μmの平均孔径を有するフィルタ-を用い
て濾過し、磁性層形成用の塗布液を調整した。得られた
磁性層塗布液を、磁性層の厚さが2.4μmになるよう
に、厚さ7μmで中心線表面粗さが0.01μmの非磁
性支持体上に塗布をおこない、3000Gの磁力をもつ
コバルト磁石と1500Gの磁力をもつソレノイドによ
り配向させ乾燥後、金属ロールのみから構成される7段
のカレンダで温度90℃にて200m/min.で処理を行
い、8mmの幅にスリットし、8mmビデオテープを製造し
た。
【0065】実施例2、比較例1〜3 前記実施例1の処方をもとに表1に記載の材料に置換し
て各実施例、比較例のサンプルを各々製造した。得られ
た各サンプルを評価し、その結果を表1に示した。 実施例4 下層塗布層(非磁性) 無機質粉末 TiO2 結晶系ルチル 85部 平均一次粒子径 0.035μm BET法による比表面積 40m2/g pH 7.0 TiO2含有量 90%以上 DBP吸油量 27〜38g/100g、 表面処理剤 Al2O3 カーボンブラック 15部 平均一次粒子径 16mμ DBP吸油量 80ml/100g pH 8.0 BET法による比表面積 250m2/g 揮発分 1.5% 塩化ビニル共重合体 14部 日本ゼオン(株)製MR110 SO3Na含有、エポキシ基含有 重合度300 ポリエステルポリウレタン樹脂 5部 ネオペンチルグリコール/カプロラクトンポリオール/MDI =0.9/2.6/1 -SO3Na基 1×10-4eq/g含有 ブチルステアレート 1部 ステアリン酸 1部 メチルエチルケトン 150部 シクロヘキサノン 50部
【0066】 磁性層(上層磁性層) 強磁性金属粉末 組成 Fe/Co=90/10 100部 Y含有量2.0atm%/Fe Hc 1800Oe、 BET法による比表面積 58m2/g 結晶子サイズ175Å 表面処理剤Al2O3,SiO2 平均粒径(長軸径) 0.1μm 針状比 7 σs:130emu/g 塩化ビニル系共重合体(塩ビ) 13部 日本ゼオン(株)製「MR110」 SO3Na含有、エポキシ基含有 重合度300 ポリエステルポリウレタン樹脂(ウレタン) 5部 ネオペンチルグリコール/カプロラクトンポリオール/MDI =0.9/2.6/1 -SO3Na基 1×10-4eq/g含有 α−Al23(平均粒径0.3μm) 10部 カーボンブラック(平均粒径0.10μm) 0.5部 ブチルステアレート 1.0部 ステアリン酸 1.0部 メチルエチルケトン 150部 シクロヘキサノン 50部
【0067】上記の塗料のそれぞれについて、各成分を
連続ニーダで混練したのち、サンドミルを用いて分散さ
せた。得られた分散液にポリイソシアネート(日本ポリ
ウレタン(株)製コロネートL)を下層塗布層の塗布液
には1部、上層磁性層の塗布液には5部を加え、さらに
それぞれに酢酸ブチル40部を加え、1μmの平均孔径
を有するフィルタ-を用いて濾過し、下層塗布層、磁性層形
成用の塗布液をそれぞれ調製した。
【0068】得られた下層塗布層塗布液を、乾燥後の厚
さが2.7μmになるようにさらにその直後にその上に
磁性層の厚さが0.3μmになるように、厚さ7μmで
中心線表面粗さが0.01μmの前述の非磁性支持体上
に同時重層塗布をおこない、両層がまだ湿潤状態にある
うちに3000Gの磁力をもつコバルト磁石と1500
Gの磁力をもつソレノイドにより配向させ乾燥後、金属
ロールのみから構成される7段のカレンダで温度90℃
にて200m/min.で処理を行い、8mmの幅にスリット
し、8mmビデオテープを製造した。
【0069】実施例5〜7、比較例4 前記実施例4の処方をもとに表2に記載の材料に置換し
て各実施例、比較例のサンプルを製造した。 実施例8 実施例4において、研磨剤の使用量を10部から5部に
した以外は実施例4と同一の条件で磁気記録媒体を作成
した。
【0070】実施例9 実施例4において、研磨剤の使用量を10部から3部に
した以外は実施例4と同一の条件で磁気記録媒体を作成
した。 評価方法 <磁性層の厚み測定方法> 単層の場合 磁性層を非磁性支持体から引き剥がしその厚みを測定し
た。
【0071】下層塗布層+上層磁性層の場合 磁気記録媒体の長手方向に渡ってダイアモンドカッター
で約0.1μmの厚みに切り出し、透過型電子顕微鏡で
倍率3万倍で観察し、その写真撮影を行った。写真のプ
リントサイズはA4版である。その後、磁性層、非磁性
層の強磁性金属粉末や無機質粉末の形状差に着目して界
面を目視判断して黒く縁どり、かつ磁性層表面も同様に
黒く縁どった。その後、Zeiss社製画像処理装置I
BAS2にて縁とりした線の間隔を測定した。試料写真
の長さが21cmの範囲に渡り、測定点を点取って測定
した。その際の測定値の単純加算平均値を磁性層の厚み
とした。 <磁気特性Hc、Br、角型比>振動試料型磁束計(東
英工業製)を用い、Hm10kOeで測定した。
【0072】<強磁性金属粉末、無機質粉末の平均粒径
>透過型電子顕微鏡写真を撮影し、その写真から強磁性
金属粉末の短軸径と長軸径とを直接読みとる方法と画像
解析装置カールツァイス社製IBASS1で透過型顕微
鏡写真をトレースして読みとる方法とを適宜併用して平
均粒子径を求めた。
【0073】<強磁性金属粉末結晶子サイズ>X線回折
により(1,1,0)面と(2,2,0)面の回折線の
半値幅の広がり分から求めた。
【0074】<強磁性金属粉末中の金属成分>強磁性金
属粉末サンプル5gを6NのHClで溶解し、溶解中の
金属を原子吸光法で分析しFeに対する原子%を求め
た。 <強磁性金属粉末の水溶性金属イオン量>強磁性金属粉
末5gを蒸留水50mlに浸し、室温(20℃〜25
℃)で1時間攪はんし、抽出した濾液中の金属を原子吸
光法で定量分析した。
【0075】<脂肪酸の抽出量>塗布層をカッター等で
50cm2 だけ削り取り、200mlのn−ヘキサンで
抽出した後、脂肪酸をガスクロマトグラフィーで定量し
た。 <電磁変換特性> <7MHzの再生出力>富士写真フィルム(株)製「FUJIX
8」8mmビデオデッキを用いて7MHz信号を記録し、こ
の信号を再生したときの7MHz信号再生出力をオシロス
コープで測定した。レファレンスは富士写真フィルム製
8ミリテープSAG、P6−120である。保存前のこ
の再生出力は5dB以上が好ましい。
【0076】<10パス後の出力低下(dB)>上記再
生出力の測定において、23℃、相対湿度10%の雰囲
気で、120分長のテープを繰り返し10パス走行させ
た後の出力低下を測定した。 <ガラスに対する磁性層の付着性(付着性テスト)>2
3℃、相対湿度10%または40℃、相対湿度20%の
雰囲気下で、1/4インチのガラス球に30gの荷重を
かけて、磁性層上を20mmの距離で10回往復させ、
磁性層との接触により、磨耗したガラス球面上に占める
磁性層が付着している面積の比を求めた。評価基準は以
下の通りである。
【0077】なし…磁性層付着物 小 …磨耗したガラス球面積に対して、磁性層の付着し
ている面積が1/5以下の状態。 中 …同比率が1/5〜1/2の範囲にある状態。 大 …同比率が1/2以上にある状態。
【0078】<高温保存時の出力低下(dB)>また6
0℃、90%RHで1週間保存後の再生出力は7MHz
の再生出力と同様に測定し、その低下を求めた。 <ヘッド磨耗(μm)>ソニー製EVO−9500のデ
ッキを用い、5℃、相対湿度80%の雰囲気下で、12
0分長のテープで10回繰り返し走行させ、走行前後の
ヘッド突出量変化をユニオン社製Hisomet光学顕
微鏡により測定した。
【0079】<ヘッド汚れ>ソニー製V900のデッキ
を用いて、−5℃の環境条件で120分長テープを連続
して、10巻各1パスづつ走行させて記録再生を行った
後の磁気ヘッドの表面を観察して、汚れの有無を町田製
作所製ボアスコープで観察した。そして、○……汚れ無
し、△……摺動面に汚れは見られなかったが、ショルダ
ー部に付着物が観察された、×……摺動面にも付着物が
あった。
【0080】得られた各サンプルを上記により評価した
結果を表1〜3に示す。また、B/MのBの結合剤樹脂
は、硬化剤を含むものである。
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】
【0083】
【表3】
【0084】本発明の磁気記録媒体は下層塗布層を設け
ない場合も下層塗布層を設けた場合も共に再生出力高
く、繰り返し走行後の出力低下も低く、高温保存での出
力低下が防止され、ガラスに対する付着性がなく、ヘッ
ド磨耗を抑制し、ヘッド汚れを低減させることができる
が、比較例では、本発明に比べ電磁変換特性に劣り、か
つガラスに対する付着性があり、ヘッド磨耗、ヘッド汚
れが改善されないことがわかる。
【0085】
【発明の効果】本発明の磁気記録媒体は下層塗布層を設
けない場合も下層塗布層を設けた場合も共に強磁性金属
粉末としてFe原子に対するアルカリ土類金属の含有量
が0.4原子%以下であり、アルカリ金属の含有量が
0.2原子%以下のものを使用し、脂肪酸の磁性層を含
む塗布層からの抽出量が1〜50mg/cm3 に制御さ
れているために結合剤樹脂の低減が計れ、高域での電磁
変換特性を良好に維持し、高温保存での出力低下が防止
され、かつ走行耐久性を改善し、更にヘッド磨耗を抑制
し、ヘッド汚れを低減させることができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上の少なくとも一方の面に
    強磁性金属粉末と結合剤樹脂を主体とする磁性層を形成
    した磁気記録媒体において、磁性層は脂肪酸を含有し、
    該強磁性金属粉末中のFe原子に対するアルカリ土類金
    属の含有量が0.4原子%以下であり、アルカリ金属の
    含有量が0.2原子%以下であって、該脂肪酸の磁性層
    を含む塗布層からの抽出量は1〜50mg/cm3 であ
    ることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 該強磁性金属粉末中のFe原子に対する
    Ca含有量が0.05原子%以下であることを特徴とす
    る請求項1記載の磁気記録媒体。
JP7128793A 1995-05-01 1995-05-01 磁気記録媒体 Pending JPH08306035A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7128793A JPH08306035A (ja) 1995-05-01 1995-05-01 磁気記録媒体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7128793A JPH08306035A (ja) 1995-05-01 1995-05-01 磁気記録媒体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08306035A true JPH08306035A (ja) 1996-11-22

Family

ID=14993593

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7128793A Pending JPH08306035A (ja) 1995-05-01 1995-05-01 磁気記録媒体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08306035A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012122880A (ja) * 2010-12-09 2012-06-28 Dowa Electronics Materials Co Ltd 銀粉表面のアジピン酸の定量方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012122880A (ja) * 2010-12-09 2012-06-28 Dowa Electronics Materials Co Ltd 銀粉表面のアジピン酸の定量方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7995309B2 (en) Magnetic recording medium, magnetic signal reproduction method and magnetic signal reproduction system
US5718964A (en) Magnetic recording medium
JP2006092691A (ja) クリーニング媒体
EP0732688B2 (en) Magnetic recording medium
US6475598B1 (en) Magnetic recording medium
US6663955B2 (en) Magnetic recording medium
US6790522B2 (en) Magnetic recording medium
US6811855B2 (en) Magnetic recording medium
JP2007048427A (ja) 磁気記録媒体及びその製造方法
JPH09259413A (ja) 磁気記録装置用クリーニング媒体
JP2001325716A (ja) 磁気記録媒体
JP2003132516A (ja) 磁気記録媒体
US6726986B2 (en) Magnetic recording medium
US7108903B2 (en) Magnetic disc medium
JPH08306035A (ja) 磁気記録媒体
JPH10289428A (ja) 磁気記録装置用クリーニング媒体
JPH0927117A (ja) 磁気記録媒体
JP4044624B2 (ja) 磁気記録媒体
US6506470B2 (en) Magnetic recording medium
JP2006099837A (ja) クリーニング媒体
EP0742550A2 (en) Magnetic recording medium
JPH07296360A (ja) 磁気記録媒体
JPH1064039A (ja) 磁気記録媒体
JP3442146B2 (ja) 磁気記録媒体
JP2005228392A (ja) クリーニングテープ

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees