JP4044624B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は磁気記録媒体、特に出力が高く、ヘッド汚れ、ヘッド磨耗及び目詰まりの少ない、繰り返し走行による出力低下が少なく、且つ保存、保管による出力低下の少ない高密度記録用磁気記録媒体に関する。また、カレンダー工程での磁性層の焼き付き付着によるロール汚れの少ない磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気記録媒体は、録音用テープ、ビデオテープ、コンピューターテープ、ディスク等として広く用いられている。磁気記録媒体は基本的には強磁性粉末が結合剤に分散された磁性層が非磁性支持体上に設けられてなる。
基本的に磁気記録媒体は電磁変換特性、走行性能、走行耐久性等の諸特性において高いレベルにあることが要求される。特に高密度記録化に伴い、新規のビデオデッキシステムでは、シリンダの回転速度を上げて、ヘッド/テープの相対速度を上げる傾向がある。
【0003】
又、ヘッド/テープ相対速度が高速で、かつシリンダからのヘッドの突出率が高いと、テープがヘッド当たり不良を起こすため、ヘッドの突出量は低めに設定される傾向がある。なぜなら、磁気記録媒体自体も薄くなっているので、媒体の腰も弱くなってヘッドの突出が大きいとヘッドの突出した部分に倣った当たりにならなくなるからである。
そのため、ヘッド汚れによる出力低下や磁性層削れ物がヘッドに付着した際に生ずる目詰まりなどの評価がより厳しくなる傾向にある。これは、磁性層に対するヘッドの当たりが余り強くないので、磁性層による付着物の自浄作用が弱まるためである。
【0004】
また、ヘッド磨耗量も高速摺動のため大きくなり、かつヘッドの突出量が低いため、ヘッドライフ(ヘッドの寿命)の問題が生じる。
上記トレンドを省みて、磁気記録媒体としては、走行によるヘッド汚れやテープからの削れ物の発生を極力抑える必要がある。又、従来はテープの研磨力を高め、ヘッド汚れやヘッド目詰まり物を除去して抑制していたが、新規のシステムでは、上記のヘッド突出量を大きく取れないのでヘッド磨耗抑制の観点から、テープの研磨力を上げることはできない。つまり、テープの研磨力が低くて、かつヘッド汚れや目詰まりなどが発生しないテープが望まれる。
【0005】
そもそも、磁気記録媒体にとってヘッド汚れとヘッド磨耗とは裏腹の関係にあり、一方を良くすると他方が低下する。
そして、ヘッド磨耗が少なく且つヘッド汚れが少ないことが望まれていたが、従来のものでは双方がバランス良く満足される点がなかなか見出せないという問題がある。
即ち、従来、磁性体の焼き付きによるヘッド汚れの抑制の手段として、磁性層中の結合剤樹脂量を高め、磁性体を結合剤樹脂え覆うことの効果は、確認されているが、磁性層中の磁性体の充填度が下がるため、出力が低下して高密度記録ができない問題があった。
このヘッド焼き付きは、磁性体そのものもしくは磁性体中の不純物も含めた成分の一部が原因となって磁気ヘッドに付着して薄膜を形成し、焼き付きとして観察されるもので、ヘッド焼き付きの主因は磁性体にあるものと考えられる。
【0006】
また、高密度磁気記録媒体では、磁性層中の磁性体の充填度を高めることにより、出力を向上させることが重要であるため、カレンダー処理により磁性層に熱と圧力を掛けて圧縮することが有効である。そのためにカレンダーロールの材料としては、金属ロールが好ましく、金属ロールからなるカレンダーロールで高温をかけながら媒体の磁性層成形処理が施される。その際、磁性層に接する金属ロールに汚れ物が付着して焼き付きを起こすと、ロール表面の表面性が低下して、磁性層の面粗れを生じさせるため、この汚れ物を定期的にカレンダーロール表面から除去(カレンダーロール面訂)する作業が必要で、稼働が落ちて生産性が低下する問題があった。テープ磁性層の研磨力を下げるとカレンダーロール汚れが発生しやすくなり、更に生産稼働を落とし、コストが高くなる問題を引き起こした。
【0007】
最近の8mmビデオテープレコーダー等の普及にともない、ビデオテープはビデオ出力が高く、そして原画再生能力が優れていることなど、特に電磁変換特性が優れていることが要求されている。
磁気記録媒体の電磁変換特性を向上させる方法としては種々の方法があり、強磁性粉末の特性を改良する方法が直接的かつ効果的である。従って強磁性粉末は高密度記録が可能なように次第に微粉末化されてきた。また、磁性層の薄層化で自己減磁を抑えて、出力を上げる手段も提案されている(例えば、特公平4−71244)。高出力磁気記録媒体にとって、繰り返し走行による出力低下や保存・保管における出力低下を抑えることは、出力を挙げることと同様に重要なことである。
従来、繰り返し走行における出力低下対策としては、媒体に粒径の大きい研磨剤や硬度の高い研磨剤を添加したり、研磨剤の量を多くするなどの手段や磁性層中のバインダー量上げて、磁性体のバインダー吸着量を上げて、磁性層焼きつきによるヘッド汚れを抑制する手段が用いられている。
しかしながら、上記対策では、ヘッド磨耗が大きくなったり、磁性層中の磁性体の充填度を下げるため、出力が下がったりする問題が生じてしまう。
【0008】
また、DVC等の最近の高密度記録システムにあっては、従来以上に厳しい環境に対する保存性、走行耐久性、および高出力が望まれている。そして、出力を高めるために磁性層表面を平滑にして、磁気ヘッドと磁性層の間隙を狭めていわゆるスペーシングロスを低下したり、非磁性支持体の剛性を調整して磁気テープに対する磁気ヘッドの当たりを強めるなどの手段が試みられてきた。
この要求は磁気ヘッド汚れが起こり易くなったり、磁気ヘッド磨耗にとっても過酷なものが要求される。
【0009】
本発明はそのような技術動向を背景になされたものであり、その構成要素の一つは、微量金属成分の含有量が制限された特定の強磁性金属粉末である。
一方、本出願人等はこれまで強磁性金属粉末の微量成分を種々規定した発明を開示してきた。例えば、特公昭42−24032号公報では、強磁性金属粉末の原料金属化合物中のアルカリ土類金属量を抑えることにより磁気特性を向上させる発明を開示し、特開昭52−97711号公報では、磁性体中のカルシウムイオン量を少なくして、高湿度下での付着物の生成を抑え、ドロップアウト、ヘッド目詰まりを抑制する磁気記録媒体を開示している。また、特開昭56−101649号公報は強磁性金属の水中への溶出量を抑えることにより耐錆性を改良した強磁性金属粉末を用いた特に高湿度下での経時安定性に優れた磁気記録媒体を提供するとしている。特開昭60−150228号公報は磁性層面からの溶出される水溶性金属イオンの量を低くして耐候性が改良された磁気記録媒体を開示している。特開平7−78331号公報は、磁性体中のNa及びアルカリ土類金属元素の含有量と脂肪酸の炭素数を特定することにより、高湿下での磁気記録媒体の保存安定性を向上するとしている。
【0010】
また、特開昭63−103424号公報には、Al含有強磁性金属粉末に特定の研磨剤を特定量用いた構成の磁気記録媒体を開示し、更に、特公平6−10360号公報には、同じくAl含有強磁性金属粉末に結合剤樹脂として極性基を規定したものを用いる構成の磁気記録媒体を開示し、出力及び走行耐久性が向上できる旨の開示をしている。また、特開平6−215360号公報は、Al、希土類元素、その他元素量を特定することにより、走行耐久性を向上させるとしている。
【0011】
しかしながら、これら従来技術を単に組み合わせただけでは電磁変換特性と保存性を良好に維持しつつ高密度記録磁気記録媒体の高出力、ヘッド目詰まりおよびヘッド汚れの防止とカレンダーロール汚れの防止を共に満足する条件は見出せないでいた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、出力が高く、ヘッド汚れ、ヘッド磨耗及び目詰まりの少なく、且つ繰り返し走行による出力低下及び保存、保管による出力低下が少なく、更にカレンダー工程での磁性層の焼き付き付着によるロール汚れの少ない高密度記録用磁気記録媒体を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記構成により達成される。
(1) 非磁性支持体上に少なくとも1層以上の磁性層を有する磁気記録媒体において、最上層にある磁性層は、長軸長が0.04〜0.08μmであって、針状比が3〜10である針状強磁性金属粉末及び結合剤樹脂を主体とする磁性層であり、該強磁性金属粉末は、Fe原子に対して、Ca原子の含有量が5×10-4〜0.2原子%、アルカリ金属の含有量が5×10-4〜0.2原子%、且つNi原子の含有量が5×10-4〜0.4原子%であることを特徴とする磁気記録媒体。
(2) 前記強磁性金属粉末中のMg原子の含有量がFe原子に対して、0.2〜1.5原子%である上記(1)記載の磁気記録媒体。
(3) 非磁性支持体上に無機質非磁性粉末と結合剤樹脂を主体とする非磁性層があり、その上に強磁性金属粉末と結合剤樹脂とを主体とする少なくとも1層の磁性層を有する磁気記録媒体において、磁性層は、長軸長が0.04〜0.08μmであって、針状比が3〜10である針状強磁性金属粉末及び結合剤樹脂を主体とする磁性層であり、該強磁性金属粉末は、Fe原子に対して、Ca原子の含有量が5×10-4〜0.2原子%、アルカリ金属の含有量が5×10-4〜0.2原子%、Ni原子の含有量が5×10-4〜0.4原子%、且つMg原子の含有量が0.1〜2.0原子%であることを特徴とする磁気記録媒体。
(4) 前記強磁性金属粉末の抗磁力Hcが1700〜3000Oe、飽和磁化量が135〜170emu/mgであることを特徴とする上記(1)に記載の磁気記録媒体。
(5)非磁性支持体に対して磁性層側のいずれかの塗布層に脂肪酸が含まれ、該磁性層側の全塗布層からの脂肪酸抽出量が全塗布層の体積当たり1〜50mg/cm3 である上記(1)に記載の磁気記録媒体。
【0014】
本発明は、強磁性金属粉末に含まれるCa、アルカリ金属およびNiの量を規定し、且つ針状の強磁性金属粉末の長軸長と針状比を特定化することにより、出力が高く、ヘッド磨耗、ヘッド汚れやヘッド目詰まりの少なく、且つ保存、保管による出力低下の少ない磁気記録媒体であって、さらにカレンダー工程での磁性層の焼き付き付着によるカレンダーロール汚れの少ないという優れた特性を全て満足する磁気記録媒体である。
【0015】
本発明においては、針状の強磁性金属粉末の長軸長と針状比と、強磁性粉末の組成とが適正化して、ヘッド磨耗、ヘッド汚れがないばかりでなく、特に著しく出力が高く、電磁変換特性が優れ、繰り返し走行による出力の低下及び保存、保管による出力の低下を防止できるという優れた特性を有する磁気記録媒体を達成したものである。
【0016】
本発明においては、前記強磁性金属粉末の抗磁力Hcが1700〜30000e、飽和磁化量が135〜170emu/mgであることが好ましい。これにより、より一層の高密度記録に適し、高出力の磁気記録媒体が得られる。
【0017】
また、繰り返し走行におけるヘッド焼き付き汚れ(特に低湿環境で顕著)はESCA等の解析結果から、夾雑する微量元素を含むFe原子であり、かつ磁性体の形態をなしていないため磁性体の一部が削れて、付着したと考えられる。また、磁性層に接するカレンダーロールの汚れはEDAX等の解析から、FeやN原子が検出されるため、磁性体の一部が削れたり、磁性層中の結合剤樹脂の硬化剤として使用されるイソシアネート等が付着したものと考えられる。
【0018】
本発明では、強磁性金属粉末中のFe原子に対するNi原子を規定することで、磁性体そのものの強度を高めている。即ち、強磁性金属粉末中のFe原子に対するNi原子の含有量を5×10-4〜0.4原子%、好ましくは5×10-4〜0.2原子%にすることで、強磁性金属粉末中のFe−Ni等の結晶構造を減らし、Fe結晶構造自身の強度を上げ、該粉末表層部の削れを防止できるので、上記ヘッド汚れ、ヘッド目詰まり、およびカレンダーロール汚れを防止できると考えられる。
【0019】
本発明においては、強磁性金属粉末中にMg原子をFe原子に対し0.1〜2.0原子%含むことが好ましく、Mg原子を0.2〜1.5原子%含むことが更に好ましく、特に0.4〜1.5原子%であることが好ましい。
Mgは、磁性体の焼成時の、核生成点の数を増大させる効果があり、その結果得られる強磁性金属粉末を微小化することができる。本発明における強磁性金属粉末では、Mgの添加量により強磁性金属粉末の長軸長を調製することが特に有効であった。さらに強磁性金属粉末表面が酸化されてできる酸化マグネシウムが硬いので対ヘッド磨耗性に優れており、ヘッド汚れの防止をさらに有効なものとすることができる。
【0020】
本発明においては、強磁性金属粉末のCa原子量を5×10-4〜0.2原子%、好ましくは5×10-4〜0.1原子%およびアルカリ金属量を5×10-4〜0.2原子%に規定したことにより、強磁性金属粉末の結合剤樹脂吸着量を高め、結合剤樹脂の磁性体表層における吸着層が厚くなるため、磁性体が直接磁気ヘッドと接触するのを防止して、ヘッドの焼き付き汚れを低減できる。
また、結合剤樹脂の強磁性金属粉末への吸着性アップに伴い磁性層の強度も高まるため、磁性層の削れによる目詰まり等の発生を防止できる。
該Caおよびアルカリ金属、特にNa量を規定することが最も効果があるが、不純物として、磁性体作成時に混入するその他のアルカリ土類金属やアルカリ金属元素を抑えることは必要で、トータル1原子%以下に抑えることが好ましい。
【0021】
本発明においては、磁性層および/または非磁性層に脂肪酸を含有することが好ましい。
強磁性金属粉末のCa量およびアルカリ金属量を規定したことにより、Caおよびアルカリ金属と脂肪酸との塩の生成を抑制することができ、かつフリーな脂肪酸量を低減することができるので、脂肪酸とアルカリ金属、Caとの反応による塩生成を抑えることができ、ひいてはヘッド汚れを防止し、ヘッド磨耗を低減することができると共に出力低下を抑制する。
本発明における脂肪酸使用量は、磁性層に添加する場合は強磁性金属粉末に対し0.2〜5.0重量%が好ましく、特に0.5〜2.0重量%が好ましい。
【0022】
また、本発明に使用する強磁性金属粉末は、Fe原子に対し、次の元素を以下に示す範囲で含有していることが好ましい。Al原子が4〜15原子%、希土類元素が0.1〜10原子%、特に1.0〜3.0原子%、Si原子が5×10-4〜1.5原子%、特に5×10-4〜0.1原子%、Co原子が5〜35原子%、特に10〜35原子%の各範囲である。
上記強磁性金属粉末含有元素は、以下のような機能を有するものであり、それら機能を発揮するために最善の含有量が決定され得る。
【0023】
Al原子、Y原子等の希土類元素は、強磁性金属粉末そのものの強度を高める機能を有し、強磁性金属粉末表層部に存在し、表層から深く入るに従って、該各原子はほぼ同じ比率で減少している。又、Si原子はAl原子より表層に存在する形態をとる。強磁性金属粉末表層のAl原子はO原子と結合してアルミナとなり、硬く、かつ研磨力が高い。
しかし、Al原子は、強磁性金属粉末の内部と表層部分の結晶結合状態が弱ければ、硬い表層部が削れてしまう。
そこで、本発明では該Ni原子の含有量を5×10-4〜0.4原子%とすることにより、強磁性金属粉末中のFe−Ni−Al等の結晶構造をへらし、Fe結晶構造自身の強度やFe−Al等の結晶構造における強度を上げ、強磁性金属粉末表層部の削れを防止できる。
【0024】
また、Co原子が存在すると、結晶構造上の強度が上がり、強磁性金属粉末表層部の削れが更に防止できる。
Si原子やY原子などの希土類元素の添加は、強磁性金属粉末表層部の硬さを調整する機能がある。
即ち、Al原子に対するSi原子や希土類元素の比率を高めることで、研磨力を下げることができ、それらの原子の含有量を調整することで、ヘッド磨耗を抑えつつテープの耐久性を確保するという機能を発揮する。
また、強磁性金属粉末中のSi原子は、Al原子に比べて、強磁性金属粉末の表層部にあり、かつ硬くないので、削れ易く、かつ結合剤樹脂の中のイソシアネートの硬化反応を抑制する機能を有する。
【0025】
従って、Si原子量が増えるとイソシアネートの硬化反応が抑制されるため、磁性層の表層部分が凝集破壊されて削れたり、ヘッド汚れが起きる。特にサーモ処理(磁性層を塗布乾燥後結合剤樹脂の硬化を促進するための加温処理)がない場合に顕著である。
上記対策のため、強磁性金属粉末の焼結防止剤としては、AlやYなどの希土類元素を使用し、かつ強磁性金属粉末の製造工程で混入する微量のSi原子を洗浄工程で、洗浄水を加温したり、pHを調整するなどして除去し、強磁性金属粉末のSi原子含有量を下げることが有効である。
【0026】
本発明では上記組成の強磁性金属粉末を使用することによって結合剤樹脂の強磁性金属粉末への付着率が向上したため磁性層中の結合剤樹脂量を低くしても焼き付き状のヘッド汚れや磁性層強度不足による目詰まりを発生しないかつ磁性層側に接するカレンダーロールの汚れを低減する磁気記録媒体を作製することができる。また、該結合剤樹脂量を低くしたことにより実質的に強磁性金属粉末の充填率が向上し、出力の確保に寄与することができる。本発明においては、磁性層中の結合剤樹脂量が強磁性金属粉末100重量部に対して、好ましくは12〜28重量部、更に好ましくは、15〜23重量部である。ここで、結合剤樹脂は架橋剤をも含む意味である。
【0027】
また、強磁性金属粉末にフェニルホスホン酸のような有機リン化合物を表面吸着させることや特定の極性基を有する結合剤樹脂、例えば塩化ビニル系共重合体やウレタンを使用することで強磁性金属粉末の分散性が高まり、更に上記の効果が顕著となる。
更に、湿式同時塗布の重層構成(上層磁性体:強磁性金属粉末/下層磁性体:γ−酸化鉄、上層磁性体:強磁性金属粉末/下層無機質非磁性粉末など)は、強磁性金属粉末を主体とする単層磁性層より、塗布乾燥条件や液物性の観点から表面結合剤樹脂量が上がる傾向があるため、重層層構成では、本発明の効果がより明確になる。又、強磁性金属粉末の微粒子でも磁性層の表層結合剤樹脂量は上がるため、さらに効果が顕著となる。
但し、磁性層の表層に強磁性金属粉末に吸着していない、フリーの結合剤樹脂が多いと、繰り返し走行における結合剤樹脂の流動変形を引き起こしたり、結合剤樹脂がヘッド等に付着してヘッド汚れが発生するため、結合剤樹脂添加量を上述のように最適化する必要がある。
【0028】
本発明の強磁性金属粉末の製造方法としては、従来公知の製法が適用できるが、アルカリ金属、CaおよびNiが上記範囲となるように制御する必要がある。
アルカリ金属およびCaに関する該制御手段としては、強磁性金属粉末の製造工程中に洗浄工程を挿入することなどが有効である。即ち、オキシ水酸化鉄粉、酸化鉄粉または金属粉を水洗するのである。特に、オキシ水酸化鉄、酸化鉄、金属と工程の進行にともなって、微量元素は粒子表面に偏析してくる傾向があるので、洗浄によりその除去が容易となる。洗浄水を加温したり、洗浄水のpHを調整したり、洗浄水に添加する酸、塩基を選択することにより更に効率よく洗浄を進めることができる。また、原料中の不純物元素を極力少なくすることが有効であることは勿論である。
【0029】
Niの該制御手段としては、強磁性金属粉末原料から強磁性金属粉末への各製造工程においてNiの添加または除去処理を行うことが挙げられ、具体的には強磁性金属粉末の原料において定量的にNiを添加すること等が挙げられる。
また、Mg、Al、希土類元素、Si、Coあるいは後述の他の微量元素などを強磁性金属粉末に含有させる手段としては、強磁性金属粉末原料から強磁性金属粉末への各製造工程においてMg等の除去処理(上述のCaやアルカリ金属の除去処理と同じものを含む)あるいは添加処理を行うことが挙げられ、添加処理としては具体的には強磁性金属粉末の焼結防止処理において定量的にAl、希土類元素等を添加し、強磁性金属粉末に各元素の酸化物を形成することが挙げられる。尚、該微量元素の量は、Feに対し5×10-4〜1原子%である。
該微量元素としては、S、Ti、V、Cr、Cu、Mo、Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、Te、Ta、W、Re、Au、Hg、Pb、Bi、P、Mn、Zn、Bなどが挙げられる。
本発明で使用される強磁性金属粉末にはあとで述べる分散剤、潤滑剤、界面活性剤、帯電防止剤などで分散前にあらかじめ処理を行ってもかまわない。
【0030】
具体的には、特公昭44-14,090号、特公昭45-18,372号、特公昭47-22,062号、特公昭47-22,513号、特公昭46-28,466号、特公昭46-38,755号、特公昭47-4,286号、特公昭47-12,422号、特公昭47-17,284号、特公昭47-18,509号、特公昭47-18,573号、特公昭39-10,307号、特公昭48-39,639号、米国特許3,026,215号、同3,03,1341号、同3,100,194号、同3,242,005号、同3,389,014号などに記載されている。
【0031】
強磁性金属粉末は少量の水酸化物、または酸化物を含んでもよい。強磁性金属粉末は公知の製造方法により得られたものを用いることができ、下記の方法を挙げることができる。▲1▼複合有機酸塩(主としてシュウ酸塩)と水素などの還元性気体で還元する方法、▲2▼酸化鉄を水素などの還元性気体で還元してFeあるいはFe−Co粒子などを得る方法、▲3▼金属カルボニル化合物を熱分解する方法、強磁性金属の水溶液に水素化ホウ素ナトリウム、次亜リン酸塩あるいはヒドラジンなどの還元剤を添加して還元する方法、▲4▼金属を低圧の不活性気体中で蒸発させて微粉末を得る方法などである。このようにして得られた強磁性金属粉末は公知の徐酸化処理、すなわち有機溶剤に浸漬したのち乾燥させる方法、有機溶剤に浸漬したのち酸素含有ガスを送り込んで表面に酸化膜を形成したのち乾燥させる方法、有機溶剤を用いず酸素ガスと不活性ガスの分圧を調整して表面に酸化皮膜を形成する方法のいずれを施したものでも用いることができる。
【0032】
本発明の磁性層の針状強磁性金属粉末の平均長軸長は、0.04〜0.08μmであり、BET法による比表面積で表せば25〜80m2/gであり、好ましくは40〜70m2/gである。25m2/g以下ではノイズが高くなり、80m2/g以上では表面性が得にくく好ましくない。上記本発明に係わる特定の平均長軸長、針状比を有する針状強磁性金属粉末は、Mg、Y等の第3成分元素を微量添加して、その元素種によりその添加量を適切に選択することにより、非磁性前駆体の核の形成を調節して、各種長軸長、針状比を有する強磁性金属粉末を作製する。本発明の磁性層の強磁性金属粉末の結晶子サイズは100〜450オングストロームであり、好ましくは100〜350オングストロームであり、更に好ましくは100〜250オングストロームである。飽和磁化(σS )は100〜200emu/gが好ましく、さらに好ましくは135emu/g〜170emu/gである。抗磁力は1,700〜3,000 Oeが好ましく、更に好ましくは1,700〜2700 Oeである。針状比は3〜10であり、好ましくは4〜10である。含水率は0.01〜2%とするのが好ましい。結合剤の種類によって含水率は最適化するのが好ましい。タップ密度は0.2〜0.8g/mlが好ましく、0.8g/mlより大であると強磁性金属粉末の圧密過程で酸化が進みやすく、充分なσS を得ることが困難になる。タップ密度が0.2g/mlより小では分散が不十分になりやすい。pHは用いる結合剤との組合せにより最適化することが好ましい。その範囲は4〜12であるが、好ましくは6〜10である。
【0033】
また、本発明に用いられる強磁性金属粉末は空孔が少ないほうが好ましくその値は0〜20容量%、さらに好ましくは0〜5容量%である。SFDは0.1〜0.6が好ましく、Hcの分布を小さくすることが好ましい。そのためには、ゲータイトの粒度分布をよくする、γ−ヘマタイトの焼結を防止するなどの方法がある。
本発明における強磁性金属粉末の脂肪酸などの潤滑剤の吸着量は、通常、磁性体単位表面積当たり0.5mg/m2以下、好ましくは0.01〜0.25mg/m2 である。
本発明は塗布層が単層の磁性層でも塗布層が複層構造、例えば磁性層と該磁性層と非磁性支持体との間に設けられる非磁性層(下層ともいう)からなる複数層から成っても良い。後者の場合、脂肪酸を非磁性層に含有させることができる。尚、磁性層、非磁性層を各々複層としてもよい。
また、磁性層を複層構造とした場合、非磁性支持体から最も遠い層を最上層(上層磁性層ともいう)といい、それ以外の層を下層磁性層ともいう。この下層磁性層には、γ−FeOx(x=1.33〜1.5)、Co変性γ−FeOx(x=1.33〜1.5)、強磁性金属粉末等を用いることができる。
本発明においては、上記強磁性金属粉末を用いるため結合剤樹脂、特に極性基含有結合剤樹脂の強磁性金属粉末への吸着量を特異的に向上させることができ、かつ結合剤樹脂との結合力を向上させることができるので樹脂量を低くしても機械的に丈夫な塗膜となりヘッド磨耗に効果的である。
強磁性金属粉末に対し、塩化ビニル系樹脂を用いる場合は5〜15重量%、ポリウレタン樹脂を用いる場合は2〜10重量%、ポリイソシアネートは2〜10重量%の範囲であり、これらを組み合わせて用いるのが好ましい。
本発明において、ポリウレタンを用いる場合はガラス転移温度が−50〜100℃、破断伸びが100〜2,000%、破断応力は0.05〜10Kg/cm2、降伏点は0.05〜10Kg/cm2が好ましい。
【0034】
本発明に使用される脂肪酸は炭素数8〜24の一塩基性脂肪酸が使用でき、炭素数8〜18の一塩基性脂肪酸が好ましい。これらの具体例としてはラウリン酸、カプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エライジン酸等が挙げられる。
次に、磁性層と非磁性支持体の間に設けられる非磁性層について詳述する。 非磁性層に用いられる無機質非磁性粉末としては、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物、等の無機質化合物から選択することができる。無機質化合物としては例えばα化率90〜100%のα−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、コランダム、窒化珪素、チタンカーバイト、酸化チタン、二酸化珪素、酸化スズ、酸化マグネシウム、酸化タングステン、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素、酸化亜鉛、硫酸バリウム、二硫化モリブデンなどが単独または組合せで使用される。特に好ましいのは二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、硫酸バリウムであり、更に好ましいのは二酸化チタンである。炭酸カルシウムは水溶性金属イオンの供給源となるので好ましくない。
【0035】
これら無機質非磁性粉末の平均粒径は0.005〜2μmが好ましいが、必要に応じて平均粒径の異なる無機質非磁性粉末を組み合わせたり、単独の無機質非磁性粉末でも粒径分布を広くして同様の効果をもたせることもできる。とりわけ好ましいのは無機質非磁性粉末の平均粒径は0.01μm〜0.2μmである。タップ密度は0.05〜2g/ml、好ましくは0.2〜1.5g/mlである。無機質非磁性粉末の含水率は0.1〜5重量%、好ましくは0.2〜3重量%である。無機質非磁性粉末の比表面積は1〜100m2/g、好ましくは5〜50m2/g、更に好ましくは7〜40m2/gである。無機質非磁性粉末の結晶子サイズは0.01μm〜2μmが好ましい。DBPを用いた吸油量は5〜100ml/100g、好ましくは10〜80ml/100g、更に好ましくは20〜60ml/100gである。比重は1〜12、好ましくは3〜6である。形状は針状、球状、多面体状、板状のいずれでも良い。
【0036】
無機質非磁性粉末の強熱減量は0〜20重量%であることが好ましい。本発明に用いられる無機質非磁性粉末のモース硬度は4〜10のものが好ましい。これらの粉末表面のラフネスファクターは0.8〜1.5が好ましく、更に好ましいラフネスファクターは0.9〜1.2である。無機質非磁性粉末のSA(ステアリン酸)吸着量は1〜20μmol/m2、更に好ましくは2〜15μmol/m2である。非磁性層の無機質非磁性粉末の25℃での水への湿潤熱は200erg/cm2〜600erg/cm2の範囲にあることが好ましい。また、この湿潤熱の範囲にある溶媒を使用することができる。100〜400℃での表面の水分子の量は1〜10個/100Åが適当である。水中での等電点のpHは3〜6の間にあることが好ましい。
【0037】
これらの無機質非磁性粉末の表面にはAl2O3、SiO2、TiO2、ZrO2,SnO2,Sb2O3,ZnOで表面処理することが好ましい。特に分散性に好ましいのはAl2O3、SiO2、TiO2、ZrO2であるが、更に好ましいのはAl2O3、SiO2、ZrO2である。これらは組み合わせて使用しても良いし、単独で用いることもできる。また、目的に応じて共沈させた表面処理層を用いても良いし、先ずアルミナで処理した後にその表層をシリカで処理する方法、またはその逆の方法を採ることもできる。また、表面処理層は目的に応じて多孔質層にしても構わないが、均質で密である方が一般には好ましい。
【0038】
本発明の非磁性層に用いられる無機質非磁性粉末の具体的な例としては、昭和電工製ナノタイト、住友化学製HIT-100,ZA-G1、戸田工業社製DPN-250,DPN-250BX、DPN-245,DPN-270BX、石原産業製TTO-51B、TTO-55A,TTO-55B、TTO-55C、TTO-55S、TTO-55D、SN-100,E270,E271、チタン工業製STT-4D、STT-30D、STT-30、STT-65C、テイカ製MT-100S、MT-100T、MT-150W、MT-500B、MT-600B、MT-100F、MT-500HD、堺化学製FINEX-25,BF-1,BF-10,BF-20,ST-M、同和鉱業製DEFIC-Y,DEFIC-R、日本アエロジル製AS2BM,TiO2P25,宇部興産製100A,500A、チタン工業製Y-LOP及びそれを焼成したものが挙げられる。
【0039】
非磁性層にカーボンブラックを混合させて公知の効果であるRsを下げることができる。このためにはゴム用ファーネス、ゴム用サーマル、カラー用ブラック、アセチレンブラック、等を用いることができる。カーボンブラックの比表面積は100〜500m2/g、好ましくは150〜400m2/g、DBP吸油量は20〜400ml/100g、好ましくは30〜200ml/100gである。カーボンブラックの平均粒径は5mμ〜80mμ、好ましくは10〜50mμ、さらに好ましくは10〜40mμである。カーボンブラックのpHは2〜10、含水率は0.1〜10%、タップ密度は0.1〜1g/mlが好ましい。
【0040】
本発明に用いられるカーボンブラックの具体的な例としてはキャボット社製、BLACKPEARLS 2000、1300、1000、900、800、880、700、VULCAN XC−72、三菱化成工業社製、#3050B、3150B、3250B、#3750B、#3950B、#950、#650B、#970B、#850B、MA−600、コロンビアカーボン社製、CONDUCTEX SC、RAVEN 8800,8000,7000,5750,5250,3500,2100,2000,1800,1500,1255,1250、アクゾー社製ケッチェンブラックECなどがあげられる。カーボンブラックを分散剤などで表面処理したり、樹脂でグラフト化して使用しても、表面の一部をグラファイト化したものを使用してもかまわない。また、カーボンブラックを塗料に添加する前にあらかじめ結合剤で分散してもかまわない。これらのカーボンブラックは上記無機質非磁性粉末に対して0〜50重量%の範囲、非磁性層総重量の0〜40%の範囲で使用できる。これらのカーボンブラックは単独、または組合せで使用することができる。
【0041】
本発明で非磁性層に使用できるカーボンブラックは例えば「カーボンブラック便覧」(カーボンブラック協会編)を参考にすることができる。
また非磁性層には有機質粉末を目的に応じて、添加することもできる。例えば、アクリルスチレン系樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、フタロシアニン系顔料が挙げられるが、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、ポリフッ化エチレン樹脂も使用することができる。その製法は 特開昭62-18,564号、特開昭60-255,827号に記されているようなものが使用できる。
【0042】
非磁性層のバインダー、潤滑剤、分散剤、添加剤、溶剤、分散方法その他は磁性層のそれが適用できる。特に、バインダー量、種類、添加剤、分散剤の添加量、種類に関しては後述する磁性層に関する公知技術が適用できる。
【0043】
次に磁性層に使用する強磁性金属粉末、脂肪酸以外の内容について詳細な説明をする。
本発明に使用される結合剤としては従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂やこれらの混合物が使用される。熱可塑性樹脂としては、ガラス転移温度が−100〜150℃、数平均分子量が1,000〜200,000、好ましくは10,000〜100,000、重合度が約50〜1,000程度のものである。
【0044】
このような結合剤の例としては、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、スチレン、ブタジエン、エチレン、ビニルブチラール、ビニルアセタール、ビニルエーテル、等を構成単位として含む重合体または共重合体、ポリウレタン樹脂、各種ゴム系樹脂がある。また、熱硬化性樹脂または反応型樹脂としてはフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル系反応樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ−ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂とイソシアネートプレポリマーの混合物、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートの混合物、ポリウレタンとポリイソシアネートの混合物等があげられる。これらの樹脂については朝倉書店発行の「プラスチックハンドブック」に詳細に記載されている。また、公知の電子線硬化型樹脂を非磁性層、または上層磁性層に使用することも可能である。
【0045】
これらの結合剤の例とその製造方法については特開昭62−256,219号に詳細に記載されている。以上の樹脂は単独または組合せて使用できるが、好ましいものとして塩化ビニル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニルビニルアルコール樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル無水マレイン酸共重合体の中から選ばれる少なくとも1種とポリウレタン樹脂の組合せ、またはこれらにポリイソシアネートを組み合わせたものがあげられる。ポリウレタン樹脂の構造はポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエーテルポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン、ポリエステルポリカーボネートポリウレタン、ポリカプロラクトンポリウレタンポリオレフィンポリウレタンなど公知のものが使用できる。ここに示したすべての結合剤について、より優れた分散性と耐久性を得るためには必要に応じ、−COOM、−SO3M、−OSO3M、−P=O(OM′)2、−O−P=O(OM′)2、(以上につきMは水素原子、またはアルカリ金属原子を示す。M′は、水素原子、アルカリ金属原子または低級炭化水素基を示す。)、−OH、−NR2 、−N+3 (Rは炭素数1〜12の炭化水素基を示す。)、エポキシ基、−SH、−CN、スルフォベタイン、カルボキシベタイン、ホスホベタイン等、好ましくは−COOM、−SO3M、−OSO3M、−P=O(OM′)2から選ばれる少なくとも1種を共重合または付加反応で好ましくはポリウレタン樹脂及び塩化ビニル系樹脂の少なくとも一方に導入したものを用いることが好ましい。このような極性基の量は10-8〜10-1モル/gであり、好ましくは10-6〜10-2モル/g、更に好ましくは、3×10-5〜20×10-5モル/gである。
【0046】
本発明に用いられるこれらの結合剤の具体的な例としてはユニオンカーバイト社製 VAGH、VYHH、VMCH、VAGF、VAGD、VROH、VYES、VYNC、VMCC、XYHL、XYSG、PKHH、PKHJ、PKHC、PKFE、日信化学工業社製、MPR−TA、MPR−TA5、MPR−TAL、MPR−TSN、MPR−TMF、MPR−TS、MPR−TM、MPR−TAO、電気化学社製1000W、DX80、DX81、DX82、DX83、100FD、日本ゼオン社製のMR−104、MR−105、MR110、MR100、400X−110A、日本ポリウレタン社製ニッポランN2301、N2302、N2304、大日本インキ社製パンデックスT−5105、T−R3080、T−5201、バーノックD−400、D−210−80、クリスボン6109、7209、東洋紡社製バイロンUR8200、UR8300、UR−8600、UR−5500、UR−4300、RV530、RV280、FB−84、大日精化社製、ダイフェラミン4020、5020、5100、5300、9020、9022、7020、三菱化成社製、MX5004、三洋化成社製サンプレンSP−150、TIM−3003、TIM−3005、旭化成社製サランF310、F210などがあげられる。この中でMR−104、MR110、UR8300、UR−8600、UR−5500、UR−4300、TIM−3005が好ましい。
【0047】
本発明の磁気記録媒体は前述のごとく二層以上からなる場合を含む。従って、結合剤量、結合剤中に占める塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイソシアネート、あるいはそれ以外の樹脂の量、磁性層を形成する各樹脂の分子量、極性基量、あるいは先に述べた樹脂の物理特性などを必要に応じ非磁性層と磁性層とで変えることはもちろん可能であり、多層磁性層に関する公知技術を適用できる。例えば、上下層でバインダー量を変更する場合、磁性層表面の擦傷を減らすためには上層磁性層のバインダー量を増量することが有効であり、ヘッドに対するヘッドタッチを良好にする為には、上層磁性層以外の非磁性層のバインダー量を多くして柔軟性を持たせることにより達成される。
【0048】
本発明に用いるポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、o−トルイジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等のイソシアネート類、また、これらのイソシアネート類とポリアルコールとの生成物、また、イソシアネート類の縮合によって生成したポリイソシアネート等を使用することができる。これらのイソシアネート類の市販されている商品名としては、日本ポリウレタン社製、コロネートL、コロネートHL、コロネート2030、コロネート2031、ミリオネートMR、ミリオネートMTL、武田薬品社製、タケネートD−102、タケネートD−110N、タケネートD−200、タケネートD−202、住友バイエル社製、デスモジュールL、デスモジュールIL、デスモジュールN、デスモジュールHL、等がありこれらを単独または硬化反応性の差を利用して二つもしくはそれ以上の組合せで非磁性層、上層磁性層とも用いることができる。
【0049】
本発明に使用されるカーボンブラックは前述した非磁性層で例示したものが磁性層にも適用できる。また、カーボンブラックを磁性塗料に添加する前にあらかじめ結合剤で分散してもかまわない。これらのカーボンブラックは単独、または組合せで使用することができる。カーボンブラックを使用する場合は強磁性金属粉末に対する量で0.1〜10%で用いることが好ましい。カーボンブラックは磁性層の帯電防止、摩擦係数低減、遮光性付与、膜強度向上などの働きがあり、これらは用いるカーボンブラックにより異なる。膜強度の向上、ヘッド磨耗の軽減という観点からは、カーボンブラックの添加量は強磁性粉末に対して0.2〜3重量%であることが更に好ましい。従って本発明に使用されるこれらのカーボンブラックは上層磁性層、非磁性層でその種類、量、組合せを変え、平均粒径、吸油量、電導度、pHなどの先に示した諸特性をもとに目的に応じて使い分けることはもちろん可能である。本発明の磁性層で使用できるカーボンブラックは例えば「カーボンブラック便覧」(カーボンブラック協会編)を参考にすることができる。
【0050】
本発明の磁性層に用いられる研磨剤の素材としては前述した非磁性層で例示した無機質非磁性粉末が磁性層にも適用できる。本発明に用いられる研磨剤は非磁性層、下層磁性層、上層磁性層で種類、量および組合せを変え、目的に応じて使い分けることはもちろん可能である。これらの研磨剤はあらかじめ結合剤で分散処理したのち磁性塗料中に添加してもかまわない。好ましい研磨剤としては、α−アルミナ、べんがら、酸化クロム、酸化チタン等が例示される。
研磨剤の形状としては、特に制限はなく、球状、針状、板状等が挙げられるが、好ましくは球状、板状である。
本発明の磁気記録媒体の磁性層表面および磁性層端面に存在する研磨剤は5〜130個/100μm2が好ましく、5〜90個/100μm2が特に好ましい。
【0051】
本発明に使用される、添加剤としては潤滑効果、帯電防止効果、分散効果、可塑効果、などをもつものが使用される。二硫化モリブデン、二硫化タングステングラファイト、窒化ホウ素、フッ化黒鉛、シリコーンオイル、極性基をもつシリコーン、脂肪酸変性シリコーン、フッ素含有シリコーン、フッ素含有アルコール、フッ素含有エステル、ポリオレフィン、ポリグリコール、アルキル燐酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、アルキル硫酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、ポリフェニルエーテル、フッ素含有アルキル硫酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、炭素数10〜24の一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)の金属塩(Li、Na、K、Cuなど)または、炭素数12〜22の一価、二価、三価、四価、五価、六価アルコール、(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)、炭素数12〜22のアルコキシアルコール、炭素数10〜24の一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)と炭素数2〜12の一価、二価、三価、四価、五価、六価アルコールのいずれか一つ(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)とからなるモノ脂肪酸エステルまたはジ脂肪酸エステルまたはトリ脂肪酸エステル、アルキレンオキシド重合物のモノアルキルエーテルの脂肪酸エステル、炭素数8〜22の脂肪酸アミド、炭素数8〜22の脂肪族アミン、などが使用できる。
【0052】
これらの具体例としてはステアリン酸ブチル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸アミル、ステアリン酸イソオクチル、ミリスチン酸オクチル、ステアリン酸ブトキシエチル、アンヒドロソルビタンモノステアレート、アンヒドロソルビタンジステアレート、アンヒドロソルビタントリステアレート、オレイルアルコール、ラウリルアルコール、があげられる。また、アルキレンオキサイド系、グリセリン系、グリシドール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加体、等のノニオン界面活性剤、環状アミン、エステルアミド、第四級アンモニウム塩類、ヒダントイン誘導体、複素環類、ホスホニウムまたはスルホニウム類、等のカチオン系界面活性剤、カルボン酸、スルフォン酸、燐酸、硫酸エステル基、燐酸エステル基、などの酸性基を含むアニオン界面活性剤、アミノ酸類、アミノスルホン酸類、アミノアルコールの硫酸または燐酸エステル類、アルキルベダイン型、等の両性界面活性剤等も使用できる。これらの界面活性剤については、「界面活性剤便覧」(産業図書株式会社発行)に詳細に記載されている。これらの潤滑剤、帯電防止剤等は必ずしも100%純粋ではなく、主成分以外に異性体、未反応物、副反応物、分解物、酸化物等の不純分が含まれてもかまわない。これらの不純分は0〜30%が好ましく、さらに好ましくは0〜10%である。
【0053】
本発明で使用されるこれらの潤滑剤、界面活性剤は非磁性層、磁性層でその種類、量を必要に応じ使い分けることができる。例えば、非磁性層、磁性層で融点の異なる脂肪酸を用い表面へのにじみ出しを制御すること、沸点や極性の異なるエステル類を用い表面へのにじみ出しを制御すること、界面活性剤量を調節することで塗布の安定性を向上させること、潤滑剤の添加量を非磁性層で多くして潤滑効果を向上させることなど考えられ、無論ここに示した例のみに限られるものではない。
【0054】
また本発明で用いられる添加剤のすべてまたはその一部は、磁性塗料製造のどの工程で添加してもかまわない、例えば、混練工程前に強磁性金属粉末と混合する場合、強磁性金属粉末と結合剤と溶剤による混練工程で添加する場合、分散工程で添加する場合、分散後に添加する場合、塗布直前に添加する場合などがある。また、目的に応じて磁性層を塗布した後、同時または逐次塗布で、添加剤の一部または全部を塗布することにより目的が達成される場合がある。また、目的によってはカレンダーした後、またはスリット終了後、磁性層表面に潤滑剤を塗布することもできる。
【0055】
本発明で用いられる有機溶媒は任意の比率でアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、テトラヒドロフラン、等のケトン類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルシクロヘキサノール、などのアルコール類、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチル、酢酸グリコール等のエステル類、グリコールジメチルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサン、などのグリコールエーテル系、ベンゼン、トルエン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼン、などの芳香族炭化水素類、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロルヒドリン、ジクロルベンゼン、等の塩素化炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサン等のものが使用できる。これら有機溶媒は必ずしも100%純粋ではなく、主成分以外に異性体、未反応物、副反応物、分解物、酸化物、水分等の不純分がふくまれてもかまわない。これらの不純分は0〜30%が好ましく、さらに好ましくは0〜10%である。
【0056】
本発明で用いる有機溶媒は磁性層と非磁性層でその種類は同じであることが好ましい。その添加量は変えてもかまわない。非磁性層に表面張力の高い溶媒(シクロヘキサン、ジオキサンなど)を用い塗布の安定性を上げることができる。具体的には上層磁性層溶剤組成の算術平均値が非磁性層溶剤組成の算術平均値を下回らないことが肝要である。分散性を向上させるためにはある程度極性が強い方が好ましく、溶剤組成の内、誘電率が15〜25の溶剤が50〜80%含まれることが好ましい。また、溶解パラメータは8〜11であることが好ましい。
【0057】
本発明の磁気記録媒体の厚み構成は非磁性支持体が1〜20μmであるが、特に、1〜10μmの薄い非磁性支持体を用いる場合に有効である。単層の磁性層の厚みまたは上層磁性層と非磁性層を合わせた厚みは非磁性支持体の厚みの1/100〜2倍の範囲で用いられる。単層磁性層の場合、その厚みは、通常、0.7〜4.0μm、好ましくは1.5〜3.5μmであり、上層磁性層と非磁性層の場合は、上層磁性層の厚みが、通常、0.1〜1.5μm、好ましくは0.1〜0.5μmであり、非磁性層の厚みは通常、0.8〜3.5μm、好ましくは1.2〜3.0μmである。非磁性支持体と非磁性層の間に密着性向上のための接着層を設ける。接着層の厚みは0.005〜0.5μm、好ましくは0.02〜0.3μmである。また、非磁性支持体の磁性層側と反対側にバックコート層を設けてもかまわない。この厚みは0.1〜2μm、好ましくは0.3〜1.0μmである。これらの接着層、バックコート層は公知のものが使用できる。これらの接着層、バックコート層の厚みも含めた磁気記録媒体の総厚は、通常、5〜25μm、好ましくは5〜20μmの範囲である。
【0058】
本発明に用いられる非磁性支持体は、二軸延伸を行ったポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、芳香族ポリアミド、ポリベンズオキシダゾールなどの公知のフィルムが使用できる。特に、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アラミド樹脂を用いた非磁性支持体が好ましい。非磁性支持体のマイクロビッカース硬度は75〜100kg/mm2にすることが好ましく、フイルム製膜時の加熱条件、弛緩条件、延伸条件等を調整する事および素材を選択する事により行うことができる。これらの非磁性支持体にはあらかじめコロナ放電処理、プラズマ処理、易接着処理、熱処理、除塵処理、などをおこなっても良い。
【0059】
本発明の非磁性支持体は中心線平均表面粗さが0.001〜0.03μm、好ましくは0.001〜0.02μm、さらに好ましくは0.001〜0.01μmである。また、これらの非磁性支持体は単に中心線平均表面粗さが小さいだけではなく、1μm以上の粗大突起がないことが好ましい。また表面の粗さ形状は必要に応じて非磁性支持体に添加されるフィラーの大きさと量により自由にコントロールされるものである。これらのフィラーとしては一例としてはAl、Ca、Si、Tiなどの酸化物や炭酸塩で結晶性、非晶質を問わない他、アクリル系、メラミン系などの有機微粉末があげられる。
【0060】
本発明に用いられる非磁性支持体のテープ走行方向のF−5値は好ましくは10〜50Kg/mm2、テープ幅方向のF−5値は好ましくは10〜30Kg/mm2であり、テープの長手方向のF−5値がテープ幅方向のF−5値より高いのが一般的であるが、特に幅方向の強度を高くする必要があるときはその限りでない。また、非磁性支持体のテープ走行方向および幅方向の100℃、30分での熱収縮率は好ましくは0〜3%、さらに好ましくは0〜1.5%、80℃、30分での熱収縮率は好ましくは0〜1%、さらに好ましくは0〜0.5%である。破断強度は両方向とも5〜100Kg/mm2、弾性率は100〜2,000Kg/mm2が好ましい。
【0061】
本発明の磁気記録媒体の磁性塗料を製造する工程は、少なくとも混練工程、分散工程、およびこれらの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程からなる。個々の工程はそれぞれ2段階以上にわかれていてもかまわない。本発明に使用する強磁性金属粉末、結合剤、カーボンブラック、研磨剤、帯電防止剤、潤滑剤、溶剤などすべての原料はどの工程の最初または途中で添加してもかまわない。また、個々の原料を2つ以上の工程で分割して添加してもかまわない。例えば、ポリウレタンを混練工程、分散工程、分散後の粘度調整のための混合工程で分割して投入してもよい。本発明の目的を達成するためには、従来の公知の製造技術を一部の工程としてを用いることができることはもちろんであるが、混練工程では連続ニーダや加圧ニーダなど強い混練力をもつものを使用することにより磁気記録媒体の高いBrを得ることが好ましい。連続ニーダまたは加圧ニーダを用いる場合は強磁性金属粉末と結合剤のすべてまたはその一部(ただし全結合剤の30%以上が好ましい)および強磁性金属粉末100部に対し15〜500部の範囲で混練処理される。これらの混練処理の詳細については特開平1−106,338号、特開昭64−79,274号に記載されている。また、非磁性層液を調整する場合には高比重の分散メディアを用いることが望ましく、ジルコニアビーズが好適である。
【0062】
本発明のような重層構成の磁気記録媒体を塗布する装置、方法の例として以下のような構成を提案できる。
1,磁性塗料の塗布で一般的に用いられるグラビア塗布、ロール塗布、ブレード塗布、エクストルージョン塗布装置等により、まず下層を塗布し、下層がウェット状態にのうちに特公平1-46,186号や特開昭60-238,179号、特開平2-265,672号に開示されている支持体加圧型エクストルージョン塗布装置により上層磁性層を塗布する。
2,特開昭63-88,080号、特開平2-17,971号、特開平2-265,672号に開示されているような塗布液通液スリットを二つ内蔵する一つの塗布ヘッドにより上下層をほぼ同時に塗布する。
3,特開平2-174,965号に開示されているバックアップロール付きエクストルージョン塗布装置により上下層をほぼ同時に塗布する。
なお、強磁性金属粉末の凝集による磁気記録媒体の電磁変換特性等の低下を防止するため、特開昭62-95,174号や特開平1-236,968号に開示されているような方法により塗布ヘッド内部の塗布液にせん断を付与することが望ましい。さらに、塗布液の粘度については、特開平3-8,471号に開示されている数値範囲を満足することが好ましい。
【0063】
本発明の磁気記録媒体を得るためには強力な配向を行う必要がある。1,000G以上のソレノイドと2,000G以上のコバルト磁石を同極対向で併用することが好ましく、さらには乾燥後の配向性が最も高くなるように配向前に予め適度の乾燥工程を設けることが好ましい。また、ディスク媒体として本発明を適用する場合はむしろ配向をランダマイズするような配向法が必要である。また、複数の磁性層がある場合、各々の配向方向を変更、例えば、面内方向のみでなく垂直方向、幅方向にも配向できる。
【0064】
さらに、カレンダ処理ロールとして各種金属ロール、エポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等の耐熱性のあるプラスチックロールを使用する。本発明では特に金属ロール同志で処理することが好ましい。処理温度は、好ましくは70〜150℃、さらに好ましくは80〜150℃である。線圧力は好ましくは200〜500Kg/cm、さらに好ましくは300〜400Kg/cmである。
【0065】
本発明の磁気記録媒体の磁性層面およびその反対面のSUS420Jに対する摩擦係数は好ましくは0.1〜0.5、さらに0.15〜0.3、表面固有抵抗は好ましくは104〜1012オーム/sq、磁性層の0.5%伸びでの弾性率は走行方向、幅方向とも好ましくは100〜2,000Kg/mm2、破断強度は好ましくは1〜30Kg/cm2、磁気記録媒体の弾性率は走行方向、幅方向とも好ましくは100〜1,500Kg/mm2、残留伸びは好ましくは0〜0.5%、100℃以下のあらゆる温度での熱収縮率は好ましくは0〜1%、さらに好ましくは0〜0.5%、もっとも好ましくは0〜0.1%である。磁性層のガラス転移温度(110Hzで測定した動的粘弾性測定の損失弾性率の極大点)は50℃以上120℃以下が好ましく、非磁性層のそれは0℃〜100℃が好ましい。損失弾性率は1×108〜8×109dyne/cm2の範囲にあることが好ましく、損失正接は0〜0.2であることが好ましい。損失正接が大きすぎると粘着故障がでやすい。
【0066】
磁性層中に含まれる残留溶媒は好ましくは0〜100mg/m2、さらに好ましくは0〜10mg/m2であり、上層磁性層に含まれる残留溶媒が非磁性層に含まれる残留溶媒より少ないほうが好ましい。磁性層が有する空隙率は非磁性層、磁性層とも好ましくは0〜30容量%、さらに好ましくは0〜20容量%である。空隙率は高出力を果たすためには小さい方が好ましいが、目的によってはある値を確保した方が良い場合がある。例えば、繰り返し用途が重視されるデータ記録用磁気記録媒体では空隙率が大きい方が走行耐久性は好ましいことが多い。
【0067】
本発明の磁気記録媒体の磁気特性は磁場5KOeで測定した場合、テープ走行方向の角形比は0.70〜1.00であり、好ましくは0.80〜1.00であり、さらに好ましくは0.90〜1.00である。テープ走行方向に直角な二つの方向の角型比は走行方向の角型比の80%以下となることが好ましい。磁性層のSFDは0.1〜0.6であることが好ましい。
【0068】
磁性層の中心線表面粗さRaは1nm〜10nmが好ましいが、その値は目的により適宜設定されるべきである。電磁変換特性を良好にする為にはRaは小さいほど好ましいが、走行耐久性を良好にするためには逆に大きいほど好ましい。AFMによる評価で求めたRMS表面粗さRRMSは2nm〜15nmの範囲にあることが好ましい。
【0069】
本発明の磁気記録媒体は非磁性層と上層磁性層を有することができるが、目的に応じ非磁性層と磁性層でこれらの物理特性を変えることができるのは容易に推定されることである。例えば、磁性層の弾性率を高くし走行耐久性を向上させると同時に非磁性層の弾性率を磁性層より低くして磁気記録媒体のヘッドへの当りを良くするなどである。
【0070】
【実施例】
次に本発明の実施例、比較例により具体的に本発明を説明する。実施例中、「部」との表示は「重量部」を表す。
【0071】
実施例1〜4及び比較例1〜8
非磁性層(非磁性)
無機質非磁性粉末 TiO2 結晶系ルチル 85部
平均一次粒子径 0.035μm
BET法による比表面積 40m2/g
pH 7.0
TiO2含有量 90%以上
DBP吸油量 27〜38g/100g、
表面処理剤 Al2O3
カーボンブラック 15部
平均一次粒子径 16mμ
DBP吸油量 80ml/100g
pH 8.0
BET法による比表面積 250m2/g
揮発分 1.5%
塩化ビニル共重合体 14部
日本ゼオン(株)製MR110
SO3Na含有、エポキシ基含有
重合度300
ポリエステルポリウレタン樹脂 5部
ネオペンチルグリコール/カプロラクトンポリオール/MDI
=0.9/2.6/1
-SO3Na 1×10-4eq/g含有
ブチルステアレート 1部
ステアリン酸 1部
メチルエチルケトン 150部
シクロヘキサノン 50部
【0072】
磁性層(上層磁性層)
強磁性金属粉末 組成:表−1記載 100部
塩化ビニル系共重合体 13部
日本ゼオン(株)製「MR110」
SO3Na含有、エポキシ基含有
重合度300
ポリエステルポリウレタン樹脂 5部
ネオペンチルグリコール/カプロラクトンポリオール/MDI
=0.9/2.6/1
-SO3Na基 1×10-4eq/g含有
α−Al2 3 (平均粒径0.23μm) 12.5部
カーボンブラック(平均粒径0.10μm) 0.5部
ブチルステアレート 1.0部
ステアリン酸 0.5部
メチルエチルケトン 150部
シクロヘキサノン 50部
【0073】
上記の塗料のそれぞれについて、各成分を連続ニーダで混練したのち、サンドミルを用いて分散させた。得られた分散液にポリイソシアネート(日本ポリウレタン(株)製コロネートL)を非磁性層の塗布液には5.5部、上層磁性層の塗布液には5部を加え、さらにそれぞれに酢酸ブチル40部を加え、1μmの平均孔径を有するフィルタ-を用いて濾過し、非磁性層、磁性層形成用の塗布液をそれぞれ調製した。
得られた非磁性層塗布液を、乾燥後の厚さが2.7μmになるようにさらにその直後にその上に磁性層の厚さが0.3μmになるように、厚さ7μmで中心線表面粗さが0.01μmの前述の非磁性支持体上に同時重層塗布をおこない、両層がまだ湿潤状態にあるうちに3000Gの磁力をもつコバルト磁石と1500Gの磁力をもつソレノイドにより配向させ乾燥後、金属ロールのみから構成される7段のカレンダで温度90℃、線圧300Kg/cmにて200m/min.で処理を行い、8mmの幅にスリットし、8mmビデオテープを製造した。
【0074】
【表1】
Figure 0004044624
【0075】
【表2】
Figure 0004044624
【0076】
【表3】
Figure 0004044624
【0077】
実施例5〜7及び比較例9〜15
実施例1に記載の上層塗布液において、下記表−2に記載の強磁性金属粉末を使用する以外は実施例1と同様に調製した上層磁性層用塗料のみを厚さ2.4μmの単層に塗布した以外は、実施例1に準じて表−2に従って8mmビデオテープを製造した。
【0078】
【表4】
Figure 0004044624
【0079】
【表5】
Figure 0004044624
【0080】
【表6】
Figure 0004044624
【0081】
上記の得られた8mmビデオテープの各試料(実施例1〜7及び比較例1〜15)を以下により評価した。
評価方法
<磁性層の厚み測定方法>
非磁性層+上層磁性層の場合
磁気記録媒体の長手方向に渡ってダイアモンドカッターで約0.1μmの厚みに切り出し、透過型電子顕微鏡で倍率3万倍で観察し、その写真撮影を行った。写真のプリントサイズはA4版である。その後、磁性層、非磁性層の強磁性金属粉末や無機質非磁性粉末の形状差に着目して界面を目視判断して黒く縁どり、かつ磁性層表面も同様に黒く縁どった。その後、Zeiss社製画像処理装置IBAS2にて縁とりした線の間隔を測定した。試料写真の長さが21cmの範囲に渡り、測定点を点取って測定した。その際の測定値の単純加算平均値を磁性層の厚みとした。
単層の場合
磁性層を非磁性支持体から引き剥がしその厚みを測定した。
【0082】
<磁気特性Hc、Br、角型比>
振動試料型磁束計(東英工業製)を用い、Hm10kOeで測定した。
【0083】
<強磁性金属粉末、無機質非磁性粉末の平均粒径>
透過型電子顕微鏡写真を撮影し、その写真から強磁性金属粉末の短軸径と長軸径とを直接読みとる方法と画像解析装置カールツァイス社製IBASS1で透過型顕微鏡写真をトレースして読みとる方法とを適宜併用して平均粒子径を求めた。
【0084】
<強磁性金属粉末結晶子サイズ>
X線回折により(1,1,0)面と(2,2,0)面の回折線の半値幅の広がり分から求めた。
【0085】
<強磁性金属粉末中の金属成分>
強磁性金属粉末サンプル5gを6NのHClで溶解し、溶解中の金属を原子吸光法で分析しFeに対する原子%を求めた。
【0086】
[ヘッド磨耗(μm)]
ソニー性EVO−9500のデッキを用い、5℃、相対湿度80%の雰囲気下で、120分長のテープで10回繰り返し走行させ、走行前後のヘッド突出量変化をユニオン社製Hisomet光学顕微鏡により測定した。
【0087】
[ヘッド汚れ]
<23℃、相対湿度10%、10パス後の出力低下(dB)>
上記再生出力の測定において、23℃、相対湿度10%の雰囲気で、120分長のテープを繰り返し10パス走行させた後の出力低下を測定した。
【0088】
<ヘッド汚れ▲1▼>
上記<23℃、相対湿度10%、10パス後の出力低下(dB)>の測定時のヘッド汚れを評価した。
磁気ヘッドの表面を観察して、汚れの有無を町田製作所製ボアスコープで観察した。
○……汚れ無し、△……摺動面に汚れは見られなかったが、ショルダー部に付着物が観察された、×……摺動面にも付着物があった。
【0089】
<40℃、相対湿度20%、10パス後の出力低下(dB)>
上記再生出力の測定において、40℃、相対湿度20%の雰囲気で、120分長のテープを繰り返し10パス走行させた後の出力低下を測定した。
<ヘッド汚れ▲2▼>
上記<40℃、相対湿度20%、10パス後の出力低下(dB)>の測定時のヘッド汚れを評価した。評価法は、上記と同じである。
【0090】
<ガラス球汚れ>
23℃、相対湿度10%または40℃、相対湿度20%の雰囲気下で、1/4インチのガラス球に30gの荷重をかけて、磁性層上を20mmの距離で10回往復させ、磁性層との接触により、磨耗したガラス球面上に占める磁性層が付着している面積の比を求めた。評価基準は以下の通りである。
なし…磁性層付着物
小 …磨耗したガラス球面積に対して、磁性層の付着している面積が1/5以下の状態。
中 …同比率が1/5〜1/2の範囲にある状態。
大 …同比率が1/2以上にある状態。
【0091】
[カレンダー汚れ]
ミノルタ社製色彩色度計(GR−200)の明度指数変化(ΔL)を磁気記録媒体1万mのカレンダー処理の後に測定した。
[目詰まり]
SONY、EV−C45、デッキ8台で120長テープを記録後、10パス走行させて、RF出力低下が30秒以内3dB落ちた回数をカウントした。
○:5回以内、△:10回未満、×:10回以上又は30秒以上の出力落ちがあった場合
【0092】
[7MHzの再生出力]
富士写真フィルム(株)製「FUJIX8」8mmビデオデッキを用いて7MHz信号を記録し、この信号を再生したときの7MHz信号再生出力をオシロスコープで測定した。レファレンスは富士写真フィルム製8ミリテープSAG、P6−120である。保存前のこの再生出力は5dB以上が好ましい。
[高温保存性]
<高温保存時の出力低下(dB)>
また60℃、90%RHで1週間保存後の再生出力は7MHzの再生出力と同様に測定し、その低下を求めた。
【0093】
各サンプルを上記により評価した結果を上記表−1及び表−2に示す。
表−1、表−2において、B/M、B/FのBは結合剤樹脂を表し、Mは強磁性金属粉末を表し、Fは無機質非磁性粉末+カーボンブラックを表す。また、B/MのBの結合剤樹脂は、硬化剤を含むものである。
【0094】
上記表−1および表−2に示すように、本発明の磁気記録媒体は再生出力が著しく高く、繰り返し走行後の出力低下も低く、高温保存での出力低下が防止され、ガラスに対する付着性がなく、ヘッド汚れを低減させ、目詰まりを防止し、かつカレンダー汚れを防止することができるが、比較例では、本発明に比べ電磁変換特性に劣り、かつガラスに対する付着性、ヘッド汚れ、目詰まり、カレンダー汚れの少なくとも何れかが改善されないことがわかる。
【0095】
【発明の効果】
本発明の磁気記録媒体により、高出力で、繰り返し走行後の出力低下も低く、高温保存での出力低下が防止され、ガラスに対する付着性がなく、ヘッド磨耗を抑制し、ヘッド汚れを低減させ、目詰まりを防止し、かつカレンダー汚れを防止することができる。

Claims (3)

  1. 非磁性支持体上に少なくとも1層以上の磁性層を有する磁気記録媒体において、最上層にある磁性層は、長軸長が0.04〜0.08μmであって、針状比が3〜10である針状強磁性金属粉末及び結合剤樹脂を主体とする磁性層であり、該強磁性金属粉末は、Fe原子に対して、Ca原子の含有量が5×10-4〜0.2原子%、アルカリ金属の含有量が5×10-4〜0.2原子%、且つNi原子の含有量が5×10-4〜0.4原子%であることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 前記強磁性金属粉末中のMg原子の含有量がFe原子に対して、0.1〜2.0原子%である請求項1記載の磁気記録媒体。
  3. 非磁性支持体上に無機質非磁性粉末と結合剤樹脂を主体とする非磁性層があり、その上に強磁性金属粉末と結合剤樹脂とを主体とする少なくとも1層の磁性層を有する磁気記録媒体において、磁性層は、長軸長が0.04〜0.08μmであって、針状比が3〜10である針状強磁性金属粉末及び結合剤樹脂を主体とする磁性層であり、該強磁性金属粉末は、Fe原子に対して、Ca原子の含有量が5×10-4〜0.2原子%、アルカリ金属の含有量が5×10-4〜0.2原子%、Ni原子の含有量が5×10-4〜0.4原子%、且つMg原子の含有量が0.1〜2.0原子%であることを特徴とする磁気記録媒体。
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