JPH08303467A - 転がり軸受 - Google Patents

転がり軸受

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JPH08303467A
JPH08303467A JP7135603A JP13560395A JPH08303467A JP H08303467 A JPH08303467 A JP H08303467A JP 7135603 A JP7135603 A JP 7135603A JP 13560395 A JP13560395 A JP 13560395A JP H08303467 A JPH08303467 A JP H08303467A
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JP
Japan
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lubricating oil
cage
acid
bearing
specified
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JP7135603A
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English (en)
Inventor
Atsushi Yokouchi
敦 横内
Masao Yamamoto
雅雄 山本
Emiko Shiraishi
恵美子 白石
Michiharu Naka
道治 中
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NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
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Publication date
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C33/00Parts of bearings; Special methods for making bearings or parts thereof
    • F16C33/30Parts of ball or roller bearings
    • F16C33/38Ball cages
    • F16C33/41Ball cages comb-shaped
    • F16C33/412Massive or moulded comb cages, e.g. snap ball cages
    • F16C33/414Massive or moulded comb cages, e.g. snap ball cages formed as one-piece cages, i.e. monoblock comb cages
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C33/00Parts of bearings; Special methods for making bearings or parts thereof
    • F16C33/30Parts of ball or roller bearings
    • F16C33/66Special parts or details in view of lubrication
    • F16C33/6637Special parts or details in view of lubrication with liquid lubricant
    • F16C33/664Retaining the liquid in or near the bearing
    • F16C33/6648Retaining the liquid in or near the bearing in a porous or resinous body, e.g. a cage impregnated with the liquid

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 初期の潤滑性に優れるとともに、高温・高速
化、低発塵化、長寿命化が図られた転がり軸受を提供す
る。 【構成】 内・外輪の間に保持器1を介して複数個の転
動体を保持して構成され、更に少なくとも内・外輪の軌
道面及び転動体の表面に0.03〜20μmの膜厚で潤
滑剤膜を成膜してなる転がり軸受であって、潤滑剤膜を
構成する基油と相溶性のある潤滑油をその全重量の10
重量%以上含有し、かつJIS K2220で規定され
るちょう度No.3より大きいちょう度を有する潤滑油
保持体を、容積比で軸受空間の1〜10%を占め、かつ
内・外輪の軌道面及び転動体表面と接触しないように保
持器1の適所に配置してなることを特徴とする転がり軸
受。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ハードディスクドライ
ブ(HDD)、ビデオテープレコーダ(VTR)、デジ
タルオーディオテープレコーダ(DAT)、レーザビー
ムプリンター(LBP)等の回転支持部分に用いられる
転がり軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】コンピュータ関連産業は、他の産業分野
に比較すると歴史の浅い業種であるにもかかわらず技術
革新のスピードが早い。特にHDDは一つの機種の存在
期間が短い上、新技術を導入した新機種(高精度、コン
パクト化)が次々と生まれている。これらに伴い、HD
D等情報機器に使用される転がり軸受も高温での使用や
外輪の高速回転等使用条件が厳しくなり、しかもその一
方で低トルクや低ジッター、長寿命化等が望まれてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
VTR、HDD、DAT、LBP等に使用される転がり
軸受は、グリースを充填した潤滑方式や、軸受軌道面等
に潤滑油を塗油し更にグリースを封入するという方法が
採られているが、何れも低トルク、低ジッター、長寿命
化等に十分な効果が得られていない状況にある。例え
ば、HDD等情報機器等に使用される転がり軸受にあっ
ては、グリース潤滑が主流となっているが、そのグリー
ス封入形態が一様でないために潤滑の態様が一様でなか
ったり、トルク変動を助長することもある。一般的に、
上記のようなグリース潤滑では、グリースの攪拌抵抗の
ために回転トルクが大きくなり、しかもグリースが転が
り軸受から飛散して、使用環境を汚染するという問題も
抱えている。このようなトルク大や使用環境の汚染は、
VTRやHDD、DAT、LBP等の作動に多大な悪影
響を及ぼす。例えば、HDDにおいては、ヘッドの損傷
や読み取り及び書き込みエラーに結びつくため好ましく
ない。
【0004】そこで、グリース封入量の少量化等で対応
しているが、場合によっては潤滑作用の不足や潤滑耐久
性の低下等の問題が生じる。また、初期の潤滑を封入グ
リースによらず、軸受軌道面等に潤滑油を施すことで潤
滑性を改善することも行われている。しかし、この場合
も、特に高温・高速回転という厳しい環境で使用される
HDD等には十分対応できないという問題点があった。
また、実開平2−85013号や実開平4−56219
号公報では、保持器形状に工夫を凝らしてグリースの軸
受軌道面への付着を防止することを開示しているが、保
持器形状が一般的でなく、汎用性に欠けるために、適用
可能な軸受が限定されるとともに、安価な提供が見込め
ない。更に、このような保持器を用いても、グリース中
の基油が軸受軌道面に供給されるまでの初期潤滑や、継
続的な基油の供給に関して問題を残したままである。
【0005】一方、グリースを全く使用せず、軸受軌道
面等に潤滑油を塗油することで、上記のような問題を解
決することも行われている。例えば、特開平5−149
343号では潤滑油(ポリα−オレフィン油、ポリオー
ルエステル油、ポリフェニルエーテル油、シリコーン
油、フッ素油等)を内・外輪軌道面、転動体および保持
器表面に塗油することにより、冷時における異音が防止
できると提案している。しかし、高温・高速回転下にお
ける音響特性等の知見が得られていない。また、特開昭
64−46011号公報にも、同様に、潤滑油を塗油し
た回転支持装置が記載されているが、潤滑油の量が必ず
しも十分に確保できず、使用状態によっては十分な耐久
性を確保できない場合が考えられる。
【0006】そこで、本発明は上記のような従来のグリ
ース潤滑転がり軸受、更には潤滑油を塗油した転がり軸
受の問題点を解決するためになされたもので、初期の潤
滑性に優れるとともに、高温・高速化、低発塵化、長寿
命化が図られた転がり軸受を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的は、本発明の、
内・外輪の間に保持器を介して複数個の転動体を保持し
て構成され、更に少なくとも前記内・外輪の軌道面及び
転動体の表面に0.03〜20μmの膜厚で潤滑剤膜を
成膜してなる転がり軸受であって、前記潤滑剤膜を構成
する基油と相溶性のある潤滑油をその全重量の10重量
%以上含有し、かつJIS K2220で規定されるち
ょう度No.3より大きいちょう度を有する潤滑油保持
体を、軸受空間の1〜10%を占め、かつ前記内・外輪
の軌道面及び転動体表面と接触しないように前記保持器
の適所に配置してなることを特徴とする転がり軸受によ
って達成される。
【0008】
【作 用】本発明に係る転がり軸受は、グリースに代え
て潤滑剤膜を成膜したためにグリース潤滑に関連するト
ルク変動や多発塵等の問題を解消できるとともに、高温
・高速回転の使用条件においても良好に機能する。更
に、潤滑油保持体を付加したことで、潤滑油保持体から
潤滑油が徐々に滲み出し、従来のように単に潤滑剤を塗
油しただけの軸受に比べて、回転初期の潤滑不良が改善
され、更に潤滑剤膜による潤滑作用との相乗効果により
潤滑性そのものを向上させ、しかも長期に亘り安定した
潤滑作用を維持できる。
【0009】以下、本発明の転がり軸受について詳細に
説明する。本発明の転がり軸受は、その構造において特
に特徴とするところはなく、外輪と内輪との間に保持器
を介して複数個の転動体を保持して構成される。そし
て、少なくとも内・外輪軌道面及び転動体の表面に0.
03〜20μmの膜厚の潤滑剤膜が成膜されている。潤
滑剤膜の膜厚が0.03μm未満の場合には、部分的に
潤滑剤が存在しない部分が生じて耐久性が不足する。反
対に膜厚が20μmを越えた場合には、潤滑剤膜が抵抗
となって回転トルクが増加したり、発塵量も多くなる。
また、特に好ましい膜厚は1〜10μmである。潤滑剤
膜の成膜方法は特に制限されないが、膜厚の制御が可能
な方法を採用する必要がある。例えば、組み立てた転が
り軸受を潤滑剤組成物中に浸漬し、引き上げた後、遠心
脱油を行うことで、遠心脱油における回転速度や時間に
より膜厚を調整しつつ成膜することができる。
【0010】潤滑剤膜を形成する潤滑剤組成物は特に制
限されないが、以下に述べる基油及び各種添加剤から構
成することで、潤滑性とともに、本発明の目的である高
温・高速下での使用に適した潤滑剤膜が得られる。
【0011】基油は、潤滑性や耐熱性を考慮するとエス
テル油を含有することが好ましい。このエステル油は特
に限定されないが、二塩基酸と分枝アルコールの反応か
ら得られるジエステル油、芳香族系三塩基酸と分枝アル
コールとの反応から得られる芳香族エステル油、多価ア
ルコールと一塩基酸との反応から得られるヒンダードエ
ステル油が好適に用いられる。特に、芳香族エステル
油、ヒンダードエステル油の中から選択され、単独また
は混合して用いるのが好ましい。ジエステル油として
は、ジオクチルアジペート(DOA)、ジイソブチルア
ジペート(DIBA)、ジブチルアジペート(DB
A)、ジオクチルアゼレート(DOZ)、ジブチルセバ
ケート(DBS)、ジオクチルセバケート(DOS)、
メチル・アセチルリシノレート(MAR−N)等が挙げ
られる。芳香族エステル油としては、トリオクチルトリ
メリテート(TOTM)、トリデシルトリメリテート、
テトラオクチルピロメリテート等が挙げられる。ヒンダ
ードエステル油としては、以下に示す多価アルコールと
一塩基酸を適宜反応させて得られるものが挙げられる。
多価アルコールに反応させる一塩基酸は単独でもいい
し、複数用いてもよい。さらに、多価アルコールと二塩
基酸・一塩基酸の混合脂肪酸とのオリゴエステルである
コンプレックスエステルとして用いても良い。多価アル
コールとしては、トリメチロールプロパン(TMP)、
ペンタエリスリトール(PE)、ジペンタエリスリトー
ル(DPE)、ネオペンチルグリコール(NPG)、2
−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール
(MPPD)等が挙げられる。一塩基酸としては、主に
4 〜C18の一価脂肪酸が用いられる。具体的には、例
えば酢酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、エナント
酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリ
ン酸、ミスチリン酸、パルミチン酸、牛脂脂肪酸、スレ
アリン酸、カプロレイン酸、ウンデシレン酸、リンデル
酸、ツズ酸、フィゼテリン酸、ミリストレイン酸、パル
ミトレイン酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、エライジ
ン酸、アスクレピン酸、バクセン酸、ソルビン酸、リノ
ール酸、リノレン酸、サビニン酸、リシノール酸などが
ある。以上のエステル油は、基油全量の少なくとも20
重量%以上、更に音響特性を考慮した場合、ペンタエリ
スリトールエステル又はジペンタエリスリトールエステ
ルの単独もしくは混合物がエステル油中に40重量%以
上含まれることが望ましい。エステル油が20重量%未
満では、高温・高速耐久性が十分得られない。また、上
限は特に制限されない。
【0012】更に、上記エステル油以外にも基油成分と
して合成炭化水素油、エーテル油を配合することができ
る。合成炭化水素油としては、ポリ−α−オレフィン
油、α−オレフィンとエチレンとのコオリゴマー合成油
等がある。エーテル油としては、ジフェニル、トリフェ
ニル、テトラフェニルのC12〜C 20の(ジ)アルキル鎖
が誘導された、フェニルエーテル油がある。特に高温・
高速耐久性を考慮すれば、(ジ)アルキルポリフェニル
エーテル油が好ましい。これらの配合割合は、上記エス
テル油量の規定から80重量%以内である。
【0013】基油粘度は特に制限されるものではない
が、成膜性を考慮すると40℃動粘度で10mm2 /s
以上であることが好ましい。尚、基油粘度の上限は特に
規定されないが、取扱性やトルクへの影響、また一般的
な軸受油の粘度グレード等を考慮すると、上限は500
mm2 /sである。
【0014】また、さび止め剤や油性剤、酸化防止剤等
を添加することで、潤滑剤膜の耐久性を向上させること
ができる。さび止め剤としては、有機系スルホン酸金属
塩又はエステル類が好ましい。有機系スルホン酸塩とし
ては、例えばジノニルナフタレンスルホン酸及び重質ア
ルキルベンゼンスルホン酸などが使用され、その金属塩
としてカルシウムスルホネート、バリウムスルホネー
ト、ナトリウムスルホネートなどがある。エステル類と
してソルビタン誘導体では多塩基カルボン酸及び多価ア
ルコールの部分エステルとしてソルビタンモノラウレー
ト、ソルビタントリラウレート、ソルビタンモノステア
レート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノ
オレエート、ソルビタントリオレエートなどがある。ア
ルキル・エステル型ではポリオキシエチレンラウレー
ト、ポリオキシエチレンオレエート、ポリオキシエチレ
ンステアレートなどがある。これらさび止め剤は、有機
系スルホン酸金属塩とエステル類とを単独もしくは混合
物として使用することができる。また、さび止め剤の含
有量は、潤滑剤組成物全量に対して2重量%以上である
ことが好ましい。さび止め剤の含有率が2重量%未満の
場合には、有効な防錆効果が得られない。一方20重量
%以上添加しても、添加量の増大に応じた防錆効果を期
待できずコストアップの要因にもつながる。従って、さ
び止め剤の含有量は、2〜20重量%が好ましい。
【0015】油性剤としては、高級脂肪酸としてオレイ
ン酸、ステアリン酸など、高級アルコールとしては、ラ
ウリルアルコール、オレイルアルコールなど、アミンで
はステアリルアミン、セチルアミンなど、リン酸エステ
ルではリン酸トリクレジルなどが好ましく、これらを単
独もしくは混合して使用することができる。これら油性
剤の含有率は、潤滑剤組成物全量に対して0.5重量%
以上であることが好ましい。この含有率が0.5重量%
未満の場合には、摩耗低減効果を得られない。また、1
0重量%以上添加しても、添加量の増大に応じた効果を
期待できずコストアップの要因にもつながる。音響特
性、コストなどを考慮した場合、油性剤の含有率は0.
5〜10重量%が好ましい。更に、1〜5重量%が好ま
しい。
【0016】酸化防止剤としては、含窒素化合物系酸化
防止剤とフェノール系酸化防止剤との混合物が好まし
い。含窒素化合物系酸化防止剤としては、フェニルαナ
フチルアミン、ジフェニルアミン、フェニレンジアミ
ン、オレイルアミドアミン、フェノチアジンなどがあ
る。フェノール系酸化防止剤としては、p−tert−
ブチル−フェニルサリシレート、2,6−ジ−tert
−ブチル−p−フェニルフェノール、2,2′−メチレ
ンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノー
ル)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−te
rt−オクチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビ
ス−6−tert−ブチル−m−クレゾール)、テトラ
キス〔メチレン−3−(3′,5′−ジ−tert−ブ
チル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メ
タン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス
(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベン
ジル)ベンゼン、n−オクタデシル−β−(4′−ヒド
ロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)
プロピオネート、2−n−オクチル・チオ−4,6−ジ
(4′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチ
ル)フェノキシ−1,3,5−トリアジン、4,4′−
チオビス−〔6−tert−ブチル−m−クレゾー
ル〕、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチ
ル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリア
ゾールなどのヒンダードフェノールがある。これら酸化
防止剤の含有率は、潤滑剤組成物全量に対して0.05
重量%以上であることが好ましい。この含有率が0.0
5重量%未満の場合には、潤滑油の酸化防止効果を低下
させ十分な潤滑性を維持できない。また、10重量%以
上添加しても、添加量の増大に応じた潤滑剤の酸化防止
効果が期待できずコストアップの要因にもつながる。従
って、音響特性やコストなどを考慮した場合、酸化防止
剤の含有率は0.05〜10重量%が好ましい。更に、
0.1〜10重量%が好ましい。更に、含窒素化合物系
酸化防止剤とフェノール系酸化防止剤との混合比は、
1:9〜9:1であることが好ましく、この範囲とする
ことで潤滑剤の酸化防止効果が上り、高温・高速回転に
よる音響特性を向上させることができる。尚、含窒素化
合物系酸化防止剤またはフェノール系酸化防止剤のどち
らか一方のみでは、音響特性の向上は得られない。
【0017】以上に加えて、潤滑剤組成物に極圧剤や粘
度指数向上剤、摩耗防止剤等を含有してもよい。これら
は、何れも公知のもので構わない。
【0018】更に、本発明の転がり軸受には、保持器の
適所に下記の如く構成される潤滑油保持体が付加され
る。この潤滑油保持体は潤滑油を含有するゲル状物また
は半固体状物であり、軸受の回転に伴って潤滑油が徐々
に滲み出ることで、潤滑剤膜単独の場合に比較して、回
転初期の潤滑不良が改善されるとともに、潤滑剤膜によ
る潤滑作用との相乗効果により潤滑性そのものを向上さ
せ、更に長期に亘る潤滑作用の維持を図ることができ
る。特に、潤滑油保持体に使用する潤滑油を潤滑剤組成
物に使用する基油と相溶性のある潤滑油とすることで、
潤滑油と基油との分離が無くなり、より円滑な潤滑が得
られる。また、添加剤も同一とするが好ましい。
【0019】潤滑油保持体は母材となるバリウム、リチ
ウム、アルミニウム等の金属石ケン類、ジウレアや親油
性ベントナイト等の非石ケン類を潤滑油に添加して加熱
溶解し、冷却することで得られる。生成物はゲル状で、
保持器の適所に直接設けることができる。また、母材と
してポリオレフィン等の吸油性樹脂やポリウレタン等の
吸油性エラストマーを用い、潤滑油を含浸させることで
も得られる。ポリオレフィンの中ではポリエチレンが好
ましく、特に高分子量体と低分子量体とを混合して使用
することが好ましい。潤滑油の含浸方法は、潤滑油に粉
末状とした前記樹脂を加え、樹脂の融点以上に加熱して
溶融し、更に攪拌して均一化することで得られる。保持
器への付加方法は、溶融物の状態で保持器に付着して冷
却することで、前記溶融物が半固体状に固着する。
【0020】潤滑油の含有量は、潤滑油保持体全重量の
10重量%以上であることが好ましく、30重量%以上
であることが特に好ましい。含有量が10重量%未満で
は、潤滑油の補給が十分ではなく、音響耐久性の向上に
寄与しない。また、上限は特に規定されないが、潤滑油
含有量が多くなると潤滑油保持体が軟化する傾向にあ
り、後述される所望のちょう度が得られないことがあ
る。従って、ちょう度との兼ね合いで上限値は適宜設定
される。
【0021】潤滑油保持体は保持器の適用箇所に留まっ
て存在する必要があるために、ある程度の形状保持性を
備える必要があり、JIS K2220で規定されるち
ょう度No.3より大きいちょう度を有することが好ま
しく、No.4以上であることが特に好ましい。JIS
K2220で規定されるちょう度No.3より小さい
場合には、潤滑剤保持体が柔らか過ぎて、軸受回転中に
流動してその一部が軌道面に付着してトルク変動の原因
となる。また、上限は特に規定されない。
【0022】潤滑油保持体は、軸受空間を容積比で1〜
10%を占め、かつ内・外輪の軌道面及び転動体表面と
接触しないように前記保持器の適所に配置される。ここ
で、軸受空間とは、外輪と内輪とで区画されるリング状
空間の容積から転動体と保持器(場合によっては更にシ
ール部材)の容積を差し引いた容積である。潤滑油保持
体の量が軸受空間の1%未満では、その絶対量が少なす
ぎて、潤滑油の補給効果が得られない。一方10%以上
では、保持器の形状にもよるが、潤滑油保持体が内・外
輪の軌道面及び転動体表面と接触するおそれがあり、そ
れによるトルク変動や発塵特性が低下する可能性が高く
なる。
【0023】図1は、潤滑油保持器の配置状態を示す一
例である。図示される保持器1は所謂冠型保持器であ
り、転動体(図示省略)は所定間隔を置いて凹状に欠設
された保持部2に保持される。このような保持器1にお
いて、潤滑油保持体3は軸受空間の1〜10%を占める
量を秤量されて、保持部2と保持部2との間の弾性片4
上に分割して載置される。また、図示は省略するが、保
持器1の弾性片4の適所に孔を設け、前記孔を閉塞する
ように潤滑油保持体3を埋設してもよい。潤滑油保持体
1はこれらに限定されることなく、保持器1の形状に合
わせて適宜設けることができる。しかし、何れの場合で
も、潤滑油保持体3と内・外輪の軌道面や転動体表面と
の接触がないように、潤滑油保持体3は保持器1の全幅
Wからはみ出ないように設けられることが望ましい。
【0024】
〔実施例1〜7及び比較例1〜6〕
○用いた軸受の種類 単列深みぞ玉軸受、非接触ゴムシール(V形)、呼び番
号695、寸法は内径5mm×外径13mm×幅4mm ○軸受への潤滑剤膜の成膜方法及び膜厚調整方法 上記軸受を第1表(実施例)及び第2表(比較例)に示
す潤滑剤組成物に浸漬し、その後引き上げてエアーを吹
き付けて液切して余分な潤滑剤組成物を除去した。更
に、遠心分離機により軸受に残留している潤滑剤組成物
を除去した。膜厚の調整は、遠心分離機が発生する遠心
力の大きさ並びに回転継続時間を調整することで行っ
た。各被験体の潤滑剤膜の膜厚を、表中に示す。尚、各
潤滑剤組成物には、さび止め剤としてカルシウムスルホ
ネート4.45重量%、酸化防止剤としてフェニレンジ
アミン0.03重量%とヒンダードフェノール0.02
重量%とからなる混合物、油性向上剤としてリン酸トリ
クレジル0.5重量%をそれぞれ添加した。 ○潤滑油保持体 第1表及び第2表に示す如く、潤滑油及び保持体母材の
種類を変えて潤滑油保持体を作製した。表中、保持体母
材の割合が括弧内に数値で示しており、従って潤滑油の
含有量は括弧内の数値を100から差し引いた値とな
る。また、潤滑油保持体のちょう度を、JIS K22
20に準拠して表中に示す。 ○保持器及び潤滑油保持体付加方法 ポリアミド製で図1に示される形状の冠型保持器を用
い、同図の如く潤滑油保持体を付加した。その際、潤滑
油保持体の占有容積率を表中に示すように変えて付加し
た。潤滑油保持体の付加方法は、母材として金属石ケン
を用いた場合は、潤滑油を母材に添加して加熱溶解し、
冷却して得られたゲル状物を直接保持器に付着した。ま
た、ポリエチレンを母材とした場合は、高分子量体と低
分子量体とを混合してなる粉末を潤滑油に加えて樹脂の
融点以上に加熱して溶融させ、溶融物の状態で保持器に
付着して放置した。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】上記の如く潤滑剤膜を成膜し、更に潤滑油
保持器を付加してなる保持器を組み込んた試験軸受を、
以下の回転試験に供した。 <試験内容> (1)軸受音響試験 軸受回転数:7,200rpm(外輪回転) アキシャル荷重:2kgf 雰囲気温度:70℃ (判定基準)軸受の音響測定はアンデロンメータを用い
て行い、潤滑剤組成物を塗布した直後の軸受アンデロン
値(初期アンデロン値)と、5000時間回転後の軸受
アンデロン値とを比較して音響特性の判定を行った。初
期アンデロン値からの上昇値を表中に下記の記号で表記
し、1.0以下を合格とした。 ◎:0.5以下 合格 ○:0.6〜1.0 合格 −−−−−−−−−−−−−−−− △:1.1〜2.5 不合格 ×:2.6以上 不合格
【0028】(2)トルク変動試験 軸受回転数:9,000rpm(外輪回転) アキシャル荷重:2kgf 雰囲気温度:室温 (判定基準)試験軸受を9000rpmで外輪回転さ
せ、ストレインゲージを用いてトルクを経時的に測定、
記録し、トルクが安定したのを確認した後、その後の5
分間の振れ幅をチャートから読み取り判定した。振れ幅
を表中に下記の記号で表記し、0.5以下を合格とし
た。 ◎:振れ幅0.2kgf・cm 未満 合格 ○:振れ幅0.2〜0.5kgf・cm 合格 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− △:振れ幅0.6〜1.0kgf・cm 不合格 ×:振れ幅1.1kgf・cm以上 不合格
【0029】(3)発塵量の測定 密封された容器中で軸受を7,200rpmで回転(外
輪回転)させ、その際発生する塵の数をアウトパーティ
クルカウンターで測定して発塵量とした。発塵量は、
0.1cf(立方フィート)中に存在する、粒径0.1
μm以上の塵の数をカウントすることで行い、1時間経
過した時点での発塵量が150個以下を合格とした。測
定結果を、数値で表中に示す。
【0030】以上の試験結果から、実施例に示す転がり
軸受は、音響特性、トルク変動及び発塵量の全てにおい
て優れた特性を有することが確認された。これに対し、
比較例のように、潤滑油保持体もしくは潤滑剤膜が本発
明で規定した値を満足しないものは、音響特性、トルク
変動、発塵量の各特性の何れかの特性に劣る。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の転がり軸
受によれば、本発明に係る転がり軸受は、グリースに代
えて潤滑剤膜を成膜したためにグリース潤滑に関連する
トルク変動や多発塵等の問題を解消できるとともに、高
温・高速回転の使用条件においても良好に機能する。更
に、潤滑油保持体を付加したことで、潤滑油保持体から
潤滑油が徐々に滲み出し、従来のように単に潤滑剤を塗
油しただけの軸受に比べて、回転初期の潤滑不良が改善
され、更に潤滑剤膜による潤滑作用との相乗効果により
潤滑性そのものを向上させ、しかも長期に亘り安定した
潤滑作用を維持できる。このように、本発明によれば、
高温・高速回転化でも軸受音響性能を十分に確保しつ
つ、低発塵化、低発塵化、長寿命化等が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る転がり軸受に組み込まれる保持器
の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 保持器 2 保持部 3 潤滑油保持体 4 弾性片
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中 道治 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内・外輪の間に保持器を介して複数個の
    転動体を保持して構成され、更に少なくとも前記内・外
    輪の軌道面及び転動体の表面に0.03〜20μmの膜
    厚で潤滑剤膜を成膜してなる転がり軸受であって、 前記潤滑剤膜を構成する基油と相溶性のある潤滑油をそ
    の全重量の10重量%以上含有し、かつJIS K22
    20で規定されるちょう度No.3より大きいちょう度
    を有する潤滑油保持体を、容積比で軸受空間の1〜10
    %を占め、かつ前記内・外輪の軌道面及び転動体表面と
    接触しないように前記保持器の適所に配置してなること
    を特徴とする転がり軸受。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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