JPH08302349A - ネマチック液晶組成物及びこれを用いた液晶表示装置 - Google Patents

ネマチック液晶組成物及びこれを用いた液晶表示装置

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JPH08302349A
JPH08302349A JP7106244A JP10624495A JPH08302349A JP H08302349 A JPH08302349 A JP H08302349A JP 7106244 A JP7106244 A JP 7106244A JP 10624495 A JP10624495 A JP 10624495A JP H08302349 A JPH08302349 A JP H08302349A
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安男 梅津
Kiyobumi Takeuchi
清文 竹内
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晴義 高津
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 シアノ基を有しない液晶化合物からなる液晶
組成物であって、複屈折率Δnが0.235以上であ
り、誘電率異方性Δεが3以上であり、6成分以上の化
合物を含有し、固体相又はスメクチック相−ネマチック
相転移温度が−10℃以下であり、ネマチック相−等方
性液体相転移温度が65℃以上であることを特徴とする
ネマチック液晶組成物及びこれを用いた液晶表示装置。 【効果】 本発明は、複屈折率(Δn)が0.235以
上と大きく、広い温度範囲でネマチック相を示す。ま
た、電圧保持率が高く、化学的安定性が高い。従って、
これを用いることにより、表示画面のちらつき、クロス
トーク現象の改善された液晶表示装置を得ることがで
き、大きな複屈折率により液晶層の厚みdの低減、応答
特性の改善ができ、特に情報量の多いTN-LCD、STN-LCD
あるいはアクティブ・マトリクス形液晶表示装置用液晶
材料として非常に有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気光学的表示材料と
して有用なネマチック液晶組成物及びこれを用いた液晶
表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示素子の代表的なものにTN-LCD
(ツイスティッド・ネマチック液晶表示素子)があり、
時計、電卓、電子手帳、ポケットコンピュータ、ワード
プロセッサ、パーソナルコンピュータなどに使用されて
いる。一方、OA機器の処理情報の増加に伴い、一画面
に表示される情報量が増大しており、シェファー(Sche
ffer)等[SID '85 Digest, 120頁(1985年)]、あるい
は衣川等[SID '86 Digest,122頁(1986年)]によって、
STN(スーパー・ツイスティッド・ネマチック)−LCDが
開発され、ワードプロセッサ、パーソナルコンピュータ
などの高情報処理用の表示に広く普及しはじめている。
【0003】最近、STN-LCDでの応答特性を改善する目
的でアクティブアドレッシング駆動方式が提案されてい
る。(Proc.12th International Display Research Con
ference p.503 1992年)この様な液晶材料として、弾性
定数比K33/K11が1.5前後、誘電率異方性△ε
や粘性が比較的小さいことと併せて、特に複屈折率△n
が大きいものが要求されている。また、カラーフィルタ
ー層を用いないでカラー表示ができる方法として、液晶
と位相差板の複屈折性を利用した新規反射型カラー液晶
表示方式が提案されている。(テレビジョン学会技術報
告 vol.14 No10.p.51 1990年)この様な液晶材料とし
て、光の波長の違いによってより大きな位相差が現れる
ものがよいことから、特に複屈折率Δnが大きいものが
要求されている。
【0004】また、その表示品質が優れていることか
ら、アクティブ・マトリクス形液晶表示装置が液晶テレ
ビ、プロジェクター表示、コンピューター等のディスプ
レイの応用分野に有力なものとして市場に出されてい
る。アクティブ・マトリクス表示方式は、画素毎にTFT
(薄膜トランジスタ)あるいはMIM(メタル・インシュ
レータ・メタル)等のスイッチング素子が使われてお
り、この方式には漏れ電流の小さな高電圧保持率が重要
視されている。
【0005】更に、ワードプロセッサ、パーソナルコン
ピューター等の情報量の多いSTN-LCDに用いられる従来
の液晶材料の場合、一般的に、調製された初期あるいは
促進テスト後の抵抗値が低いことが知られている。この
ために、暗い画質を補う目的で補助光源が付加されたバ
ックライト方式のSTN-LCDには、耐熱性等の化学的安定
性に優れている液晶材料が新たに必要とされている。
【0006】上述のようなTN-LCDやSTN-LCDの電気光学
特性を改善するために、複屈折率(Δn)の大きい液晶
材料としては、例えば、以下のような化合物を挙げるこ
とができる。
【0007】
【化5】
【0008】(式中、R及びR’はそれぞれアルキル
基、アルコキシル基等を表わす。)しかしながら、これ
らの化合物を用いて液晶材料の複屈折率(Δn)を大き
くすることにより、電気光学特性を改善することができ
ても、液晶材料のより高い化学的安定性、液晶表示の高
速応答性及び駆動温度範囲等の特性については、依然と
して問題が残されたままである。例えば、上記一般式
(a)〜(c)の化合物のうちの任意成分と一般式
(d)で表わされる化合物を混合した場合、得られる液
晶組成物の複屈折率(△n)は大きくなるものの、スメ
クチック相が出現しやすい傾向を有するため、このよう
な化合物を用いても電気光学特性に優れ、且つ広い温度
範囲で駆動可能な液晶表示装置を作製することは非常に
困難である。
【0009】また、例えば、TFT-LCDにおいては、複屈
折率(Δn)の大きい液晶材料として、シアノ基を有す
る液晶材料が用いられていた。しかしながら、このよう
な液晶材料では、均一で高いコントラストを得るために
必要な高い電圧保持率や高い比抵抗値を得ることを困難
にさせる傾向を有していた。そこで、例えば、下記のよ
うな化合物が用いられてきた。
【0010】
【化6】
【0011】(式中、Rは前述と同じ意味を表わす。) しかしながら、このような化合物を主成分として構成し
た液晶材料は、高い電圧保持率は得られるものの、液晶
材料の複屈折率(Δn)もシアノ基を有する化合物の場
合と比較するとかなり小さく、しきい値電圧を充分に低
減させることも非常に困難であった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、シアノ基を有しない液晶化合物からなる液
晶組成物であって、複屈折率(Δn)が大きく、しかも
駆動可能な温度範囲が広く、化学的安定性にすぐれ、低
電圧駆動が可能なネマチック液晶組成物を提供すること
にある。更に、本発明の液晶組成物を構成材料として用
いた、電気光学特性の改善された液晶表示装置を提供す
ることにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために、シアノ基を有しない液晶化合物からなる液
晶組成物において、6成分以上の化合物を含有し、複屈
折率Δnが0.235以上であり、誘電率異方性Δεが
3以上であり、固体相又はスメクチック相−ネマチック
相転移温度が0℃以下であり、ネマチック相−等方性液
体相転移温度が65℃以上であることを特徴とするネマ
チック液晶組成物を提供する。
【0014】本発明の液晶組成物は、詳しくは、高い電
圧保持率あるいは大きい複屈折率(Δn)を得ることが
できるものとして、シアノ基を有さない液晶化合物を用
いることが好ましい。使用する液晶化合物としてはトラ
ン系化合物、より好ましくはフルオロトラン系化合物で
あり、更に好ましくは3つの環を有するフルオロトラン
系化合物を主構成成分として使用することである。特に
フルオロトラン系化合物は大きな正の誘電率異方性(Δ
ε)を有しており、低しきい値電圧特性を得るのに好ま
しい。この様な化合物を少なくとも6成分以上混合する
ことによって得た液晶組成物は広い温度範囲でネマチッ
ク液晶相を示すものであり、この液晶組成物を液晶表示
装置として用いる場合、より広い温度範囲で表示を可能
とする。高い電圧保持率を得るためには、より高い比抵
抗の液晶組成物が好ましく、比抵抗としては1011Ω・
cm以上が好ましく、1012Ω・cm以上がより好まし
く、1013Ω・cm以上が最も好ましい。
【0015】また、本発明の液晶組成物は、0.235
以上の高い複屈折率(Δn)を特徴としており、このネ
マチック液晶組成物をツイスティッド・ネマチックある
いはスーパー・ツイスティッド・ネマチック液晶表示装
置に用いた場合、大きな複屈折率により液晶層の厚みd
を低減でき、応答速度やしきい値電圧を改善できる。ま
た、先にも述べたようにΔnの大きい本発明の液晶組成
物は、カラーフィルター層を用いないでカラー表示を行
う、液晶と位相差板の複屈折性を利用した新規反射型カ
ラー液晶表示方式用の液晶材料としても有用なものであ
る。
【0016】更に詳しくは、この様なネマチック液晶組
成物を得るに、例えば、(1)一般式(I-1)〜(I-3)
【0017】
【化7】
【0018】(式中、R11はそれぞれ独立的に炭素原子
数2〜7の直鎖状アルキル基又はアルコキシ基を表わ
し、X11はそれぞれ独立的にフッ素原子、塩素原子、−
OCF3、−CF3、−OCH3又は−CH3を表わす。)
で表わされる化合物からなる第1群から選ばれる化合物
を含有する液晶組成物が好ましい。
【0019】また、本発明は上記ネマチック液晶組成物
に加える成分として、(2)一般式(II-1)〜(II-5)
【0020】
【化8】
【0021】(式中、R21はそれぞれ独立的に炭素原子
数2〜7の直鎖状アルキル基、アルケニル基又はCp
2p+1-O-Cq2qを表わし、p及びqはそれぞれ独立的
に1〜5の整数を表わし、R22はそれぞれ独立的に炭素
原子数2〜7の直鎖状アルキル基、アルコキシ基を表わ
し、X21はそれぞれ独立的にフッ素原子、塩素原子、−
OCF3又は−CF3を表わし、Y1〜Y3はそれぞれ独立
的に水素原子又はフッ素原子を表わす。)で表わされる
化合物からなる第2群から選ばれる化合物を含有するこ
とが好ましい。
【0022】更に、(3)一般式(III-1)、(III-2)
【0023】
【化9】
【0024】(式中、R31はそれぞれ独立的に炭素原子
数2〜7の直鎖状アルキル基、アルケニル基又はCr
2r+1-O-Cs2sを表わし、r及びsはそれぞれ独立的
に1〜5の整数を表わし、X31はそれぞれ独立的にフッ
素原子、塩素原子、−OCF3又は−CF3を表わし、Y
4はそれぞれ独立的に水素原子又はフッ素原子を表わ
し、Z1はそれぞれ独立的に単結合、−COO−、−C2
4−又は−C48−を表わし、環A1は1,4−シクロ
ヘキシレン基又は1,4−フェニレン基を表わす。)で
表わされる化合物からなる第3群から選ばれる化合物及
び/又は(4)一般式(IV-1)〜(IV-4)
【0025】
【化10】
【0026】(式中、R41はそれぞれ独立的に炭素原子
数2〜7の直鎖状アルキル基又はアルケニル基を表わ
し、R42はそれぞれ独立的に炭素原子数2〜7の直鎖状
アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基又はアルケニ
ルオキシ基を表わし、Y5は水素原子、フッ素原子又は
−CH3を表わし、Y6はそれぞれ独立的に水素原子又は
フッ素原子を表わし、Z2はそれぞれ独立的に単結合、
−COO−、−C24−又は−C48−を表わし、環A
2は1,4−シクロヘキシレン基又は1,4−フェニレ
ン基を表わし、nは0又は1の整数を表わす。)で表わ
される化合物からなる第4群から選ばれる化合物を含有
することが好ましい。
【0027】本発明に係わる(1)一般式(I-1)〜(I
-3)で表わされる化合物の代表的なものの例(No.1
〜9)とその相転移温度を下記第1表に示す。尚、下記
表中、m.p.は結晶相から液晶相又は等方性液体相に相
転移する温度を、c.p.は液晶相から等方性液体相に相
転移する温度をそれぞれ表わす。また、各化合物は、蒸
留、カラム精製、再結晶等の方法を用いて不純物を除去
し、充分精製したものを使用した。
【0028】
【表1】
【0029】本発明の液晶組成物は(1)一般式(I-
1)〜(I-3)の第1群から選ばれる化合物を含有するこ
とが好ましい。この(1)一般式(I-1)〜(I-3)の第
1群の化合物は、シアノ基を含有していないにもかかわ
らず、複屈折率(Δn)が従来になく非常に大きいとい
う特徴を有しており、これら化合物を使用することによ
って得られる液晶組成物の複屈折率は非常に大きいもの
となる。また、誘電率異方性(Δε)が大きく、電圧保
持率が高いという特徴も有している。更に、(1)一般
式(I-1)〜(I-3)の第1群の化合物は、これらの化合
物と類似構造を有する下記化合物
【0030】
【化11】
【0031】(式中、Rはそれぞれアルキル基、アルコ
キシル基等を表わす。)と比較して、特段に高い相溶性
を示している。また、(1)一般式(I-1)〜(I-3)の
第1群から選ばれる化合物を含有する液晶組成物加える
成分として、(2)一般式(II-1)〜(II-5)で表わさ
れる化合物からなる第2群から選ばれる化合物を含有す
ることが好ましい。一般式(II-1)〜(II-5)で表わさ
れる化合物の代表的なものの例及び第4群の代表的な化
合物の例、その相転移温度を下記第2表に示す。尚、下
記表中、m.p.は結晶相から液晶相又は等方性液体相に
相転移する温度を、c.p.は液晶相から等方性液体相に
相転移する温度をそれぞれ表わす。
【0032】
【表2】
【0033】本発明のネマチック液晶組成物は、(1)
一般式(I-1)〜(I-3)の第1群から選ばれる化合物を
含有する液晶組成物に、(2)一般式(II-1)〜(II-
5)の第2群から選ばれる化合物を含有することが好ま
しく、複屈折率(Δn)が大きい液晶組成物を得ること
ができる。また、同時にネマチック相の温度範囲もより
広くさせる改善効果を示し、更には、駆動電圧を上昇さ
せにくい傾向を有している。このような効果は(2)一
般式(II-1)〜(II-5)の第2群の化合物がフルオロト
ラン構造を有し、化合物の弾性定数が小さいことによる
ものと考えられる。また、(1)一般式(I-1)〜(I-
3)の第1群の化合物との相溶性にも優れているので、
第1群の化合物の優れた特性をほとんど低減させること
なく、良好なネマチック液晶組成物を得ることができ
る。
【0034】更に、本発明のネマチック液晶組成物は
(3)一般式(III-1)、(III-2)の第3群から選ばれ
る化合物及び/又は(4)一般式(IV-1)〜(IV-4)の
第4群から選ばれる化合物を上記の液晶組成物に加える
ことが好ましいが、これにより液晶組成物の複屈折率
(Δn)を用途に応じて容易に最適化することができ、
これにより液晶表示装置の色むらの低減、視角特性の向
上、コントラスト比の増加を容易に達成することができ
る。この一般式(IV-4)の化合物は、前述の一般式
(d)の化合物を包含するものである。一般式(d)の
化合物は、他の化合物との相溶性があまりよくないため
結晶相又はスメクチック相を示し易い傾向を有する。し
かしながら、一般式(d)の化合物及び本発明の(1)
一般式(I-1)〜(I-3)の第1群から選ばれる化合物を
含有する本発明の液晶組成物との相溶性は良好であり、
結晶相又はスメクチック相とネマチック相との相転移温
度を低温側に拡大し易い傾向を示す。従って、第4群の
化合物を加えることにより、優れた特性をほとんど低減
させることなく、Δnの調製も容易に行えるため良好な
ネマチック液晶組成物を得ることができるのである。
【0035】また、(3)一般式(III-1)及び(III-
2)の第3群の化合物及び/又は(4)一般式(IV-1)
〜(IV-4)の第4群の化合物を添加することにより大き
なプレチルト角を形成できる液晶表示装置を提供するこ
とができる。または、(2)一般式(II-1)〜(II-5)
の第2群の化合物において、側鎖基R1及びR2がアルコ
キシアルキル基を有している化合物、又は(3)一般式
(III-1)及び(III-2)の第3群の化合物において、側
鎖基がアルコキシアルキル基である化合物を含有するこ
とによっても、このプレチルト角を維持あるいは改善す
ることができる。このようなプレチルト角が改善された
本発明のネマチック液晶組成物は、TFT-LCDにおけるバ
ックライトの放熱によるリバースチルトの発生、あるい
はSTN-LCDにおけるストライプ・ドメインの発生を顕著
に抑えることができ、歩留まりを向上させることができ
る。
【0036】本発明のネマチック液晶組成物における各
化合物の含有量は、第1群の一般式(I-1)で表わされ
る化合物1種につき、それぞれ30重量%以下で含有す
ることが好ましく、液晶組成物における総含有量は、少
なくとも5重量%以上の範囲が好ましく、10〜80重
量%の範囲がより好ましく、15〜50重量%の範囲が
特により好ましい。一般式(I-2)及び(I-3)について
も同様である。
【0037】また、第2群の一般式(II-1)で表わされ
る化合物1種につき、それぞれ0〜30重量%の範囲で
含有することが好ましく、液晶組成物における総含有量
は、少なくとも90重量%以下の範囲が好ましく、0〜
80重量%の範囲がより好ましく、10〜60重量%の
範囲が特により好ましい。一般式(II-2)〜(II-5)に
ついても同様である。
【0038】更に、第3群の一般式(III-1)で表わさ
れる化合物1種につき、それぞれ0〜20重量%の範囲
で含有することが好ましく、液晶組成物中における総含
有量は、少なくとも50重量%以下の範囲が好ましく、
0〜40重量%の範囲がより好ましく、5〜30重量%
の範囲が特により好ましい。一般式(III-2)について
も同様である。
【0039】一般式(IV-1)で表わされる化合物1種に
つき、それぞれ0〜30重量%の範囲で含有することが
好ましく、液晶組成物中における総含有量は、少なくと
も70重量%以下の範囲が好ましく、0〜60重量%の
範囲がより好ましく、5〜50重量%の範囲が特により
好ましい。一般式(IV-2)〜(IV-4)についても同様で
ある。
【0040】本発明の液晶組成物は、上記一般式(I-
1)〜(I-3)、(II-1)〜(II-5)、(III-1)、(III
-2)、(IV-1)〜(IV-4)で表わされる化合物以外に
も、液晶組成物の特性を改善するために、液晶化合物と
して認識される通常のネマチック液晶、スメクチック液
晶、コレステリック液晶などを含有していてもよい。し
かしながら、これらの化合物を多量に用いることはネマ
チック液晶組成物の特性が低減することになるので、添
加量は得られるネマチック液晶組成物の要求特性に応じ
て制限されるものである。
【0041】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳述する
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。また、以下の実施例及び比較例の組成物における
「%」は「重量%」を意味する。
【0042】組成物の化学的安定性は、液晶組成物2g
をアンプル管に入れ、真空脱気後窒素置換の処理をして
封入し、150℃、1時間の加熱促進テストを行い、こ
の液晶組成物の電圧保持率を測定した。実施例中、測定
した特性は以下の通りである。
【0043】 TN-I : ネマチック相−等方性液体相転移温度(℃) T→N : 固体相又はスメクチック相−ネマチック相転
移温度(℃) Vth : セル厚8μmのTN-LCDを構成した時のしきい
値電圧(V) Δε : 誘電異方性 Δn : 複屈折率
【0044】(実施例1)
【0045】
【化12】
【0046】からなるネマチック液晶組成物No.18
を調製し、この組成物の諸特性を測定した。結果は以下
の通りであった。 TN-I : 113.4 ℃ T→N : −2.0 ℃ Vth : 1.41 V Δε : 17.3 Δn : 0.238 比抵抗 : 1.0×1013 Ω・cm テスト前の電圧保持率 : 99.2% 加熱促進テスト後電圧保持率 : 98.5% このネマチック液晶組成物は加熱促進テスト後の電圧保
持率が高いことから、熱に安定であることが理解でき
る。またこの組成物を構成材料とするアクティブ・マト
リクス液晶表示装置を作製したところ、漏れ電流が小さ
くフリッカの発生しない優れたものであることが確認で
きた。
【0047】また、同様にしてセル厚2.1μmのTN-L
CD表示用セルの応答速度を測定したところ、立ち上が
り、立ち下がりともに7ミリ秒であった。更にこのネマ
チック液晶組成物にカイラル物質「S−811」(メル
ク社製)を添加して混合液晶を調製した。一方、対向す
る平面透明電極上に「サンエバー150」(日産化学社
製)の有機膜をラビングして配向膜を形成し、ツイスト
角220度のSTN-LCD表示用セルを作製した。上記の混合液
晶をこのセルに注入して液晶表示装置を構成し、表示特
性を測定した。その結果、応答速度は19ミリ秒と非常
に速く、しきい値電圧が低く、高時分割特性に優れ、表
示画面のちらつきやクロストーク現象が改善されたSTN-
LCD表示特性を示す液晶表示装置が得られた。
【0048】なお、カイラル物質はカイラル物質の添加
による混合液晶の固有らせんピッチPと表示用セルのセ
ル厚dが、Δn・d=0.85、d/P=0.53とな
るように添加した。 (実施例2)
【0049】
【化13】
【0050】からなるネマチック液晶組成物No.19
を調製し、この組成物の諸特性を測定した。結果は以下
の通りであった。 TN-I : 110.2 ℃ T→N : −10.0 ℃ Vth : 1.42 V Δε : 17.0 Δn : 0.236 比抵抗 : 1.4×1013 Ω・cm テスト前の電圧保持率 : 99.1% 加熱促進テスト後電圧保持率 : 98.5% このネマチック液晶組成物は加熱促進テスト後の電圧保
持率が高いことから、熱に安定であることが理解でき
る。またこの組成物を構成材料とするアクティブ・マト
リクス液晶表示装置を作製したところ、漏れ電流が小さ
くフリッカの発生しない優れたものであることが確認で
きた。
【0051】更にこのネマチック液晶組成物にカイラル
物質「S−811」(メルク社製)を添加して混合液晶
を調製した。一方、対向する平面透明電極上に「サンエ
バー150」(日産化学社製)の有機膜をラビングして配
向膜を形成し、ツイスト角220度のSTN-LCD表示用セルを
作製した。上記の混合液晶をこのセルに注入して液晶表
示装置を構成し、表示特性を測定した。その結果、応答
速度が速く、しきい値電圧が低く、高時分割特性に優
れ、表示画面のちらつきやクロストーク現象が改善され
たSTN-LCD表示特性を示す液晶表示装置が得られた。
【0052】なお、カイラル物質はカイラル物質の添加
による混合液晶の固有らせんピッチPと表示用セルのセ
ル厚dが、Δn・d=0.85、d/P=0.53とな
るように添加した。 (実施例3)
【0053】
【化14】
【0054】からなるネマチック液晶組成物No.20
を調製し、この組成物の諸特性を測定した。結果は以下
の通りであった。 TN-I : 90.3 ℃ T→N : −35.0 ℃ Vth : 2.07 V Δε : 7.0 Δn : 0.242 比抵抗 : 1.2×1013 Ω・cm テスト前の電圧保持率 : 99.3% 加熱促進テスト後電圧保持率 : 98.7% このネマチック液晶組成物は加熱促進テスト後の電圧保
持率が高いことから、熱に安定であることが理解でき
る。またこの組成物を構成材料とするアクティブ・マト
リクス液晶表示装置を作製したところ、漏れ電流が小さ
くフリッカの発生しない優れたものであることが確認で
きた。
【0055】また、このネマチック液晶組成物の複屈折
率の波長分散を測定したところ、光の波長650nmに
対する400nmでの比が1.15以上であった。この
液晶材料は、光の波長の違いによってより大きな位相差
が現れていることから、カラーフィルター層を用いない
でカラー表示を行う、液晶と位相差板の複屈折性を利用
した新規反射型カラー液晶表示方式に有用なものであ
る。 (実施例4)
【0056】
【化15】
【0057】からなるネマチック液晶組成物No.21
を調製し、この組成物の諸特性を測定した。結果は以下
の通りであった。 TN-I : 94.5 ℃ T→N : −31.0 ℃ Vth : 2.14 V Δε : 6.9 Δn : 0.247 比抵抗 : 1.8×1013 Ω・cm テスト前の電圧保持率 : 99.3% 加熱促進テスト後電圧保持率 : 98.6 このネマチック液晶組成物は加熱促進テスト後の電圧保
持率が高いことから、熱に安定であることが理解でき
る。またこの組成物を構成材料とするアクティブ・マト
リクス液晶表示装置を作製したところ、漏れ電流が小さ
くフリッカの発生しない優れたものであることが確認で
きた。
【0058】また、このネマチック液晶組成物の複屈折
率の波長分散を測定したところ、光の波長650nmに
対する400nmでの比が1.15以上であった。この
液晶材料は、光の波長の違いによってより大きな位相差
が現れていることから、カラーフィルター層を用いない
でカラー表示を行う、液晶と位相差板の複屈折性を利用
した新規反射型カラー液晶表示方式に有用なものであ
る。 (実施例5)
【0059】
【化16】
【0060】からなるネマチック液晶組成物No.22
を調製し、この組成物の諸特性を測定した。結果は以下
の通りであった。 TN-I : 96.3 ℃ T→N : −2.0 ℃ Vth : 1.80 V Δε : 10.2 Δn : 0.250 比抵抗 : 1.2×1013 Ω・cm テスト前の電圧保持率 : 99.0% 加熱促進テスト後電圧保持率 : 98.5% このネマチック液晶組成物は加熱促進テスト後の電圧保
持率が高いことから、熱に安定であることが理解でき
る。またこの組成物を構成材料とするアクティブ・マト
リクス液晶表示装置を作製したところ、漏れ電流が小さ
くフリッカの発生しない優れたものであることが確認で
きた。
【0061】また、このネマチック液晶組成物の複屈折
率の波長分散を測定したところ、光の波長650nmに
対する400nmでの比が1.15以上であった。この
液晶材料は、光の波長の違いによってより大きな位相差
が現れていることから、カラーフィルター層を用いない
でカラー表示を行う、液晶と位相差板の複屈折性を利用
した新規反射型カラー液晶表示方式に有用なものであ
る。 (実施例6〜9)下記第3表に示すネマチック液晶組成
物No.23〜No.26を調製した。
【0062】
【表3】
【0063】(表中、数字は重量%を表わす。) この組成物の諸特性を測定したところ、アクティブ・マ
トリクス液晶表示方式や新規反射型カラー液晶表示方式
に有用なものであった。
【0064】
【発明の効果】本発明のネマチック液晶組成物は、0.
235以上と複屈折率(Δn)が大きく、広い温度範囲
でネマチック相を示す。また、電圧保持率が高く、化学
的安定性が高いことが明らかである。従って、本発明の
液晶組成物を用いることにより、表示画面のちらつき、
クロストーク現象の改善された液晶表示装置を得ること
ができ、大きな複屈折率により液晶層の厚みdを低減で
き応答特性を改善でき、特に情報量の多いTN-LCD、STN-
LCDあるいはアクティブ・マトリクス形液晶表示装置に
おいて良好な駆動特性及び表示特性が得られる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シアノ基を有しない液晶化合物からなる
    液晶組成物において、6成分以上の化合物を含有し、複
    屈折率Δnが0.235以上であり、誘電率異方性Δε
    が3以上であり、固体相又はスメクチック相−ネマチッ
    ク相転移温度が0℃以下であり、ネマチック相−等方性
    液体相転移温度が65℃以上であることを特徴とするネ
    マチック液晶組成物。
  2. 【請求項2】 (1)一般式(I-1)〜(I-3) 【化1】 (式中、R11はそれぞれ独立的に炭素原子数2〜7の直
    鎖状アルキル基又はアルコキシ基を表わし、X11はそれ
    ぞれ独立的にフッ素原子、塩素原子、−OCF3、−C
    3、−OCH3又は−CH3を表わす。)で表わされる
    化合物からなる第1群から選ばれる化合物を含有するこ
    とを特徴とする請求項1記載のネマチック液晶組成物。
  3. 【請求項3】 (2)一般式(II-1)〜(II-5) 【化2】 (式中、R21はそれぞれ独立的に炭素原子数2〜7の直
    鎖状アルキル基、アルケニル基又はCp2p+1-O-Cq
    2qを表わし、p及びqはそれぞれ独立的に1〜5の整数
    を表わし、R22はそれぞれ独立的に炭素原子数2〜7の
    直鎖状アルキル基、アルコキシ基を表わし、X21はそれ
    ぞれ独立的にフッ素原子、塩素原子、−OCF3又は−
    CF3を表わし、Y1〜Y3はそれぞれ独立的に水素原子
    又はフッ素原子を表わす。)で表わされる化合物からな
    る第2群から選ばれる化合物を含有することを特徴とす
    る請求項1又は2記載のネマチック液晶組成物。
  4. 【請求項4】 (3)一般式(III-1)、(III-2) 【化3】 (式中、R31はそれぞれ独立的に炭素原子数2〜7の直
    鎖状アルキル基、アルケニル基又はCr2r+1-O-Cs
    2sを表わし、r及びsはそれぞれ独立的に1〜5の整数
    を表わし、X31はそれぞれ独立的にフッ素原子、塩素原
    子、−OCF3又は−CF3を表わし、Y4はそれぞれ独
    立的に水素原子又はフッ素原子を表わし、Z1はそれぞ
    れ独立的に単結合、−COO−、−C24−又は−C4
    8−を表わし、環A1は1,4−シクロヘキシレン基又
    は1,4−フェニレン基を表わす。)で表わされる化合
    物からなる第3群から選ばれる化合物及び/又は(4)
    一般式(IV-1)〜(IV-4) 【化4】 (式中、R41はそれぞれ独立的に炭素原子数2〜7の直
    鎖状アルキル基又はアルケニル基を表わし、R42はそれ
    ぞれ独立的に炭素原子数2〜7の直鎖状アルキル基、ア
    ルコキシ基、アルケニル基又はアルケニルオキシ基を表
    わし、Y5は水素原子、フッ素原子又は−CH3を表わ
    し、Y6はそれぞれ独立的に水素原子又はフッ素原子を
    表わし、Z2はそれぞれ独立的に単結合、−COO−、
    −C24−又は−C48−を表わし、環A2は1,4−
    シクロヘキシレン基又は1,4−フェニレン基を表わ
    し、nは0又は1の整数を表わす。)で表わされる化合
    物からなる第4群から選ばれる化合物を含有することを
    特徴とする請求項1、2又は3記載のネマチック液晶組
    成物。
  5. 【請求項5】 請求項1、2、3又は4記載のネマチッ
    ク液晶組成物を用いたアクティブ・マトリクス形液晶表
    示装置。
  6. 【請求項6】 請求項1、2、3又は4記載のネマチッ
    ク液晶組成物を用いたツイスティッド・ネマチックもし
    くはスーパー・ツイスティッド・ネマチック液晶表示装
    置。
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