JPH08299267A - 可動顎台 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】被検眼にアライメント指標光を投影して被検眼
と器械光学系とのＸ・Ｙ方向の位置合せを行うアライメ
ント装置を備えた眼科器械でアライメントを行う場合、
顎台上の被検者頭部の被検眼の位置差（奥目か否か）に
より、眼科器械の本来必要な距離合せの為の光学系の前
進量が不足してアライメント指標光の像が認識できなく
なることを防止し、前記前進量を増やすことによる器械
自体の大きくなることや撮影時間の長くなることを防止
する。 【構成】アライメント装置を備えた眼科器械の顎台とし
て、眼科器械の基台２上にＸ・Ｙ・Ｚ方向に移動可能に
設けられた器械本体１に対向して、顎台５にＺ方向に移
動可能な額当て部材８を設けること等により、顎台５上
の被検者頭部の被検眼を、器械本体１内の前眼部観察光
学系の光軸方向に位置調節できるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、被検眼にアライメン
ト光を投影してアライメント調整を行うようにした眼科
器械に使用する可動顎台に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、眼科器械で被検眼に対する器械の
光軸合わせ調整いわゆるアライメント調整を容易且つ正
確に行うため、被検眼にアライメント指標を投影し、前
眼部観察光学系で観察したアライメント指標の角膜など
の反射像位置に基づいて眼科器械の位置調整を行うもの
が、例えば特開平２−２８３３５２号公報に記載されて
いるように、検眼ユニットを搭載した架台上のジョイス
ティックを動かして検眼ユニットをＸ・Ｙ方向に動かし
てアライメント調節するようにしたものがあり、又、本
出願人が先に提案した特開平７−３６２号公報に示され
ているように、撮影系を搭載した架台を自動的にＸ・Ｙ
方向に動かしてアライメント調節するようにしたものな
ど、多数提案されている。之等眼科器械を使用する場
合、被検眼を眼科器械の観察乃至撮影光学系の対物レン
ズに対面せしめるべく、該光学系に対向して被検者の頭
部を安定させるために顎のせ台すなわち顎台と額受け
（額当て）が設けられている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】多く提案されている眼
科器械のアライメント装置は、「前眼部を観察し」、
「瞳又は角膜に写ったアライメント指標光の像を観察画
面の中央部へ移動させる」という方式をとっており、該
像は、ある程度のボケ範囲内で観察出来なければ位置確
認の面で動作に支障を生じる。そして、眼科器械作動の
初期位置における前眼部観察光学系による観察画面の指
標光の像は、被検者の顎台当接部と被検眼の位置差すな
わち奥目又は出目の違いから生じる焦点誤差があり、特
に欧米人の場合これが顕著で該像が認識できないことが
起る。このため、次のような動作順序をとることにな
る。すなわち「光学系をアライメント指標光の像が認識
できるまで前進せしめる」、「Ｘ・Ｙ方向を合致させ
る」、「ＸＹ方向のトラッキングをやりつつ前進（距離
合せ・本来必要な前進）をさせる」という動作順序をと
ることになる。前記で、最初の前進は奥目・出目の差よ
り生じる焦点誤差を解消するのに必要な前進量である。
このために眼科器械として次の不都合が生じる。すなわ
ち、 被検眼の位置差（奥眼又は出目による位置の違い）
により、本来必要な距離合わせのための前進量が不足
し、撮影できない場合が起きる。 このため、前進可能量を大きくとる必要がある。 従って、余分な移動量が必要で、器械本体が大きく
なる。また、初期位置より移動して撮影が行われるため
撮影時間が長くなる。 という問題が起る。

【０００４】本発明は、このような実情を考慮してなさ
れたものであって、被検眼の位置差により本来必要な距
離合わせのための光学系の前進量が不足してアライメン
ト指標像の認識出来なくなるようなことを無くし、余分
な光学系の移動量を不要として器械本体が大きくなるこ
とを防止し、撮影時間が長くなることのないアライメン
ト装置付き眼科器械を構成することのできる可動顎台を
提供することを目的としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明においては、被検眼にアライメント指標を投
影し前眼部観察光学系で観察したアライメント指標の被
検眼からの反射像を用いてアライメントを行うアライメ
ント装置を備えた眼科器械に用いる可動顎台として、被
検眼に対し上下・左右・前後の各方向の移動手段を備え
た前眼部観察光学系に対向して配置されたもので、前眼
部観察光軸方向の位置調節手段を具備して顎台を構成し
たものである。

【０００６】前記前眼部観察光軸方向の位置調節手段と
しては、顎台に対し相対的に前眼部観察光軸方向に移動
調節可能に軸支した額当て部材を用いるのが有利であ
る。

【０００７】

【作用】本発明の可動顎台は、被検眼にアライメント指
標を投影して、前眼部観察光学系により前眼部を観察
し、被検眼の角膜又は虹彩に写った指標光像を観察画面
の中央へ移動させてアライメントを行う場合、顎台や眼
科器械本体部の上下方向位置調節手段により、前眼部観
察光学系光軸と被検眼との上下方向の位置合わせをする
とともに、被検眼が左眼か右眼かに対応して、器械の光
学系本体部の左右方向の移動手段、又は顎台の左右方向
の移動手段により、前眼部観察光学系で被検眼の前眼部
が観察できるようにした後、アライメント指標を点灯・
投影してアライメントを行うが、このとき、前眼部観察
光学系乃至撮影光学系を含む光学系本体部を被検眼方向
に移動せしめることなく、顎台に設けた前眼部観察光軸
方向の位置調節手段により，顎台又は顎台に設けられ顎
台と一体的に被検者頭部を支持する部材を前眼部観察光
学系の方（対物レンズ側）に前進せしめて、アライメン
ト指標の被検眼からの反射光像を、被検者の顎台当接部
と被検眼の位置差（奥目か出目かの違い）に拘らず、確
実に前眼部観察光学系の観察画面上に認識できるように
することが出来る。従って被検眼が奥目の場合でも、前
眼部観察光学系乃至撮影光学系の前進量が不足して、ア
ライメント指標像を認識乃至被検部の撮影ができなくな
るのを防止することができる。さらに前眼部観察光学系
乃至撮影光学系の前進可能量を大きくとる必要がなく器
械本体寸法を小さくすることができ、初期位置より観察
乃至撮影位置までの光学系の移動量を少なくすることが
できるため、観察乃至撮影に要する時間を短かくするこ
とができる。

【０００８】前記前眼部観察光軸方向の位置調節手段と
して、顎台に対し相対的に前眼部観察光軸方向に移動調
節可能に軸支した額当て部材を用いると、軸支点を中心
に揺動する額当て部材の使用により極めて簡単な構成で
被検眼を前眼部観察光軸方向に移動せしめることができ
る。

【０００９】

【実施例】本発明の実施例を、添付の図面に基づいて説
明する。図１は、本発明を角膜内皮撮影装置に実施した
場合の斜視図で、図２，図３は該装置による角膜内皮撮
影の手順を示すフローチャートである。

【００１０】図１において、光学系全体を内蔵した角膜
内皮撮影装置本体である撮影系１は、基台２上に上下・
左右・前後方向（Ｘ・Ｙ・Ｚ方向）に移動自在に設けら
れており、基台２の前部には、該基台２に対し左右方向
に移動自在に顎台ベース３が配設されている。該顎台ベ
ース３の上面前部中央の所定位置に上下方向に昇降自在
に設けられた支持軸４上部に、所定形状の顎台５が取付
けられている。顎台ベース３には、左右一対の額当て支
持杆７，７が所定間隔をおいて、それぞれの下端を支軸
６に回動自在に軸支されると共に、各支持杆７，７の上
端部を連結して額当ての凹面を有する所定形状の額当て
部材８が取付けられて、該支持杆７，７を前後方向に揺
動せしめることにより、額当て部材８を前記撮影系１に
対し前後方向に移動せしめるようになっている。

【００１１】顎台ベース３の左右方向の移動、顎台５の
上下方向の移動、及び額当て部材８の前後方向すなわち
前眼部観察光軸方向への各移動を操作するため、顎台ベ
ース３に内蔵した顎台５の昇降機構、額当て部材８の前
後方向の移動機構及び基台２に内蔵した顎台ベース３の
左右方向の移動機構の各機構（図示せず）が、基台２に
内蔵された該機構の制御回路と基台２からのフレキシブ
ルコード９を介して接続されたコントロールボックス10
の操作釦11, 12，13の操作により、それぞれの移動を調
節出来るようになっている。すなわち、操作釦11の左右
切替により顎台５は左又は右の被検眼側へ移動し（被検
眼側にあるときは移動せず）、操作釦12の操作により顎
台５の高さを調節して撮影系１のハウジング前部の防塵
窓1aを通して観察光学系の対物レンズの高さに被検眼が
来るように調節し、操作釦13の操作により額当て部材８
の前進（乃至前後動）を調節せしめて、撮影系１内のア
ライメント指標の点灯時に於て、前眼部観察光学系によ
る観察画面（テレビ画面）上でアライメント指標光の被
検眼角膜からの反射像（光点）を認識できるようになっ
いる。

【００１２】撮影系１のハウジング内には、撮影系とし
て角膜内皮撮影装置の本体部分が内蔵されている。該角
膜内皮撮影装置は、例えば本出願人が先に特開平７−３
６２号（特願平５−１６６１３２）公報に於て提案した
ごとく、被検眼の眼軸方向に光軸が配置された前眼部観
察光学系光軸に斜方向から眼球面をスリット照明して、
該照明光に基づき被検部の拡大像を、拡大撮影光学系で
前眼部観察光学系のテレビカメラの撮像画面上に結像さ
せるようにする一方、前眼部観察光学系と同軸で眼球面
に投影するアライメント光の角膜反射像を該テレビカメ
ラで撮像して、アライメント光の角膜反射像の撮像画面
上の位置に応じて、撮影系１を前眼部観察光学系光軸に
対し、Ｘ・Ｙ方向に自動的に移動させて反射光による光
点を画面の所定位置に来るようにし、該光点を所定領域
内で追尾させつつＺ方向に前進せしめ、テレビカメラと
別光路を介した合焦検知用受光素子でスリット光により
角膜上皮と角膜内皮の合焦を順次検知して、テレビカメ
ラで被検部の角膜内皮を拡大撮影するようになってい
る。

【００１３】次に本発明の可動顎台を備えた角膜内皮撮
影装置を用いて、被検者の被検眼の角膜内皮を撮影する
ときの手順を、図２，図３に示すフローチャートに基づ
いて説明する。先ず電源が入れられて待機状態にある角
膜内皮撮影装置の図示しない撮影ボタンを押すと、撮影
系１を内蔵したハウジング背面に設けられたモニタ画面
1bに前眼部観察光学系による外部像が映し出される。被
検者は顎を顎台５に載せ、額を額当て部材８に当接せし
めて頭部を顎台５に固定し、ドクターの指示に従ってハ
ウジングの窓1a内の対物レンズ（図示せず）を通して固
視標を見る。次いでドクターはコントロールボックス10
の水平方向，垂直方向の各操作釦11，12を操作して顎台
５の位置を操作して、前記モニタ画面1bに被検者の被検
眼前眼部が写るように調節して前記撮影ボタンを再度押
す。

【００１４】この２回目のボタン押圧操作により、アラ
イメント指標として撮影系１内のアライメント指標用赤
外線発光ダイオードが点灯するとともに、フォーカシン
グ用として合焦用の照明ランプが点灯し前記窓1aを通し
て眼球面を赤外光によりスリット照明する。次いで、モ
ニタ1bに写された前眼部像にアライメント指標光の角膜
からの反射光によるアライメント指標光の像（光点）が
認識できるまで、ドクターはコントロールボックス10上
の操作釦13を操作し、顎台上方の額当て部材８をＺ方向
に対物レンズ側に前進せしめる。これにより被検眼が奥
目の場合でも支障なくアライメント指標光の像を認識す
ることができる。

【００１５】アライメント指標光の像（光点）が認識さ
れると、該光点の位置に応じて自動的に撮像画面中央の
Ｘ・Ｙアライメントの所定範囲に入るまでＸ軸・Ｙ軸が
駆動されて被検眼に対し撮影系１は移動させられ、この
状態はモニタ画面1bに表示される。

【００１６】このようにしてアライメント指標光の光点
が撮像画面中央の所定範囲内にくると、その所定範囲内
で該光点を追尾してアライメントを行いつつ、Ｚ軸を駆
動して撮影系１をＺ方向に、前記合焦検知用受光素子が
スリット光上皮反射を検出し続いて内皮反射を検出する
まで前進せしめる。

【００１７】内皮反射が検出されたときは、該内皮反射
検出の信号で、Ｘ軸・Ｙ軸・Ｚ軸の駆動を停止して撮影
系１の移動を停止させ前記合焦用照明ランプを消灯せし
めると同時に、ストロボを発光せしめてテレビカメラで
撮影を行い、撮影された角膜内皮拡大像はフレームメモ
リに記録され、且つモニタ画面1bに表示された後、撮影
系１は初期の待機位置に戻りスタンバイ状態となる。

【００１８】前記実施例では、眼科器械が角膜内皮撮影
装置の場合につき説明したが、被検眼にアライメント指
標を投影してアライメントを行う眼科器械に用いる顎台
であれば、眼底カメラに用いても良く、また非接触型眼
圧計でも良く、被検眼の位置差に関係なく、不都合が生
じることなく、被検部の観察乃至撮影を行うことができ
る。

【００１９】

【発明の効果】請求項１記載の本発明の可動顎台によれ
ば、被検眼にアライメント指標光を投影してアライメン
トを行う眼科器械に用いて、被検者の被検眼の位置差
（奥目かどうか）に関係なく安定してアライメント指標
像を前眼部観察画面上で認識してアライメントを行うこ
とができると共に、眼科器械の光学系の前進可能量を大
きくとる必要が無く器械本体寸法を小さくすることがで
き、初期位置より観察乃至撮影位置までの光学系の移動
量を少くして観察乃至撮影に要する時間を短かくするこ
とができる。

【００２０】請求項２記載の発明によれば、極めて簡単
な構成で被検眼を前眼部観察光学系の対物レンズ方向に
移動せしめることのできる可動顎台を提供することがで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の可動顎台を用いた眼科器械の斜視図で
ある。

【図２】図１の眼科器械による角膜内皮撮影の操作手順
を示すフローチャートである。

【図３】角膜内皮撮影の図２に続く手順を示すフローチ
ャートである。

【符号の説明】

１…撮影系、 ２…基台、 ５…顎台、 ８…額当て
部材。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】被検眼にアライメント指標を投影し、前眼
   部観察光学系で観察したアライメント指標の被検眼から
   の反射像を用いてアライメントを行うアライメント装置
   を備えた眼科器械に用いる可動顎台であって、被検眼に
   対し上下・左右・前後方向の移動手段を備えた前眼部観
   察光学系に対向して配置され、前眼部観察光軸方向の位
   置調節手段を備えたことを特徴とする可動顎台。
2. 【請求項２】前記前眼部観察光軸方向の位置調節手段
   は、顎台に対し相対的に前眼部観察光軸方向に移動調節
   可能に軸支した額当て部材であることを特徴とする請求
   項１記載の可動顎台。