JPH08298995A - 光学活性体の製造法 - Google Patents

光学活性体の製造法

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JPH08298995A
JPH08298995A JP4735696A JP4735696A JPH08298995A JP H08298995 A JPH08298995 A JP H08298995A JP 4735696 A JP4735696 A JP 4735696A JP 4735696 A JP4735696 A JP 4735696A JP H08298995 A JPH08298995 A JP H08298995A
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ring
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salt
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JP4735696A
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English (en)
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Kazuo Nakahama
一雄 中濱
Seiji Matsumoto
清治 松本
Masaki Kori
郡  正城
Tsuneo Kanamaru
恒雄 金丸
Toshiaki Osada
敏明 長田
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Chemical Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】光学活性体の効率的製造法を提供する。 【解決手段】式(XII) 【化1】 〔式中、環Dは置換されていてもよいアミノ基を2位に
有するベンゼン環を、環Eは、環Dと異なって、置換さ
れていてもよい芳香環を示す。C*は不斉炭素原子を示
す〕で表わされるラセミ化合物のO−アシル化合物又は
その塩を酵素的不斉加水分解反応に付すことを特徴とす
る、式(XII)で表わされる化合物の光学的活性体およ
びその対掌体のO−アシル化合物又はその塩の製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学活性中間体の
製造法及びその用途に関する。
【0002】
【従来の技術】ベンズヒドロール誘導体の光学活性体
は、医薬、農薬などの合成中間体として有用であるた
め、その安価な製造法の開発が望まれている。ベンズヒ
ドロール誘導体の光学活性体の製造法としては、L−酒
石酸を用いる光学分割法、微生物を用いるベンゾフェノ
ンの不斉還元〔特開平3−22992号,ケミカル・ア
ンド・ファーマシューティカル・ブルティン(Chem. Ph
arm. Bull.)第39巻,2498頁(1991)〕法な
どが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、新規でかつ
工業的に有用なベンズヒドロール誘導体の光学活性体お
よびその製造法並びにその用途を提供しようとするもの
である。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、微生物を
用いてベンズヒドロール誘導体のO−アシル体のエステ
ル部分を不斉加水分解し、ベンズヒドロール誘導体の光
学活性体を効率的に製造できるのではないかと考え、鋭
意努力した結果、光学活性なベンズヒドロール誘導体の
効率的製造法を確立することができた。
【0005】すなわち、本発明は、式(XII)
【化8】 〔式中、環Dは置換されていてもよいアミノ基を2位に
有するフェニル基を、環Eは、環Dと異なって、置換さ
れていてもよい芳香環基を示す。C*は不斉炭素原子を
示す〕で表わされるラセミ化合物又はその塩のO−アシ
ル化合物を酵素的不斉加水分解反応に付すことを特徴と
する、式(XII)で表わされる化合物の光学的活性体お
よびその対掌体のO−アシル化合物又はその塩の製造法
である。
【0006】本発明は、式(XII)で表されるラセミ化
合物のO−アシル体〔以後、ラセミ化合物(XII)のO
−アシル体と称することがある〕を酵素的不斉加水分解
反応に付し、該O−アシル体を光学分割し、式(XII)
で表される化合物の光学的活性体およびその対掌体のO
−アシル化合物を製造するものである。式(XII)で表
わされるラセミ化合物は、式(XIIa)
【化9】 〔式中、各記号は前記と同意義である〕で表わされる化
合物〔以後、化合物(XIIa)と称することがある〕、お
よび式(XIIb)
【化10】 〔式中、各記号は前記と同意義である〕で表わされる化
合物〔以後、化合物(XIIb)と称することがある〕とか
らなる等量混合物である。化合物(XIIa)および化合物
(XIIb)はいずれも光学活性体であり、(S)または
(R)表示は不斉炭素上の絶体配置を示し、それぞれS
−配置,R−配置を示す。
【0007】式(XII)で表わされるラセミ化合物のO
−アシル体は、式(XI)
【化11】 〔式中、R12はアシル基を示す。その他の記号は前記と
同意義である〕で表されるラセミ化合物である。式(X
I)で表わされるラセミ化合物〔以後、ラセミ化合物(X
I)と称することがある〕は、式(XIa)
【化12】 〔式中、各記号は前記と同意義である〕で表わされる化
合物〔以後、化合物(XIa)と称することがある〕、お
よび式(XIb)
【化13】 〔式中、各記号は前記と同意義である〕で表わされる化
合物〔以後、化合物(XIb)と称することがある〕とか
らなる等量混合物である。化合物(XIa)および化合物
(XIb)はいずれも光学活性体であり、(S)または
(R)表示は不斉炭素上の絶体配置を示し、(R)はR−
配置を、(S)はS−配置を示す。
【0008】本発明において、ラセミ化合物(XII)の
O−アシル体は、式(XII)で表される化合物の光学的
活性体とその対掌体のO−アシル化合物とに光学分割さ
れる。すなわち、ラセミ化合物(XII)のO−アシル体
〔ラセミ化合物(XI)〕は、光学分割され、化合物(XI
Ia)および化合物(XIb)、または化合物(XIIb)およ
び化合物(XIa)とに分割される。
【0009】上記式(XI),(XIa),(XIb),(XI
I),(XIIa),(XIIb)において、環Dで示される
「置換されていてもよいアミノ基を2位に有するフェニ
ル基」のアミノ基は、同一または異なって置換基を1ま
たは2個有していてもよく、該置換基としては、例え
ば、アシル基,ハロゲン(塩素,臭素,フッ素など)1
〜5個で置換されていてもよい低級(C1-6)アルキル
(例、メチル,エチル,プロピル,イソプロビル,イソ
プロピル,ブチル,イソブチル,sec−ブチル,tert−
ブチル,ペンチル,イソペンチル,ネオペンチル,ヘキ
シル,イソヘキシルなど)、ハロゲン(塩素,臭素,フ
ッ素など)1〜5個で置換されていてもよいC3-6シク
ロアルキル基(例、シクロプロピル,シクロブチル,シ
クロペンチル,シクロヘキシルなど)、ハロゲン(塩
素,臭素,フッ素など)、C1-4アルキル基及びC1-4
ルコキシ基等で1〜4個置換されていてもよいC6-14
リール基(例、フェニル,1−ナフチル,2−ナフチル
など)、ハロゲン(塩素,臭素,フッ素など)、C1-4
アルキル基及びC1-4アルコキシ等で1〜4個置換され
ていてもよいC7-20アラルキル基(例、ベンジル,フェ
ネチルなど)などが挙げられるが、好ましくはアシル基
が挙げられる。該アシル基としては、アルカノイル基
(例、アセチル基,プロピオニル基,ブチリル基,イソ
ブチリル基,バレリル基,イソバレリル基,ピバロイル
基,ヘキサノイル基などの低級(C1-6)アルキルカル
ボニル基)などが挙げられるが、好ましくは、アセチル
基,ピバロイル基が挙げられる。
【0010】環Dは、2位の「置換されていてもよいア
ミノ基(以後、置換基R11と称することがある)」の他
に、さらに置換基を置換可能な位置に、同一または異な
って、1ないし2個有していてもよい。該置換基として
は、ハロゲン(例、フッ素,塩素,臭素,ヨウ素)、ハ
ロゲン(塩素,臭素,フッ素など)置換されていてもよ
い低級(C1-4)アルキル基(例、メチル,エチル,プ
ロピル,ブチル,tert-ブチルなど)、ハロゲン(塩
素,臭素,フッ素など)で置換されていてもよい低級
(C1-4)アルコキシ基(例、メトキシ,エトキシ,プ
ロポキシ,ブトキシ,tert-ブトキシなど)、水酸基、
ニトロ基、シアノなどが挙げられるが、好ましくは、ハ
ロゲン、低級アルコキシなどが挙げられ、さらに好まし
くは、ハロゲン(特に塩素)などが挙げられる。
【0011】上記式(XI),(XIa),(XIb),(XI
I),(XIIa),(XIIb)において、環Eで示される
「置換されていてもよい芳香環基」の芳香環基として
は、芳香族炭化水素基,芳香族複素環基が挙げられる
が、好ましくは芳香族炭化水素基である。該芳香族炭化
水素基としては、単環式または縮合多環式の炭素数6〜
14の芳香族炭化水素環基などが挙げられる。例えば、
フェニル、トリル、キシリル、ビフェニル、1−または
2−ナフチル、1−、2−または9−アントリル、1
−、2−、3−、4−または9−フェナントリル、1
−、2−、4−、5−または6−アズレニル、アセナフ
チレニルなどが挙げられるが、フェニル、1-ナフチル、
2-ナフチルなどが好ましく、さらに好ましくはフェニル
である。
【0012】該芳香族複素環基としてはO,S,Nから
選ばれるヘテロ原子を1〜4個含有する5〜10員(好
ましくは5〜6員)芳香族単環式複素環基(例、フリ
ル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾ
リル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピ
ラゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オ
キサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、フラザ
ニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジア
ゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,3−トリア
ゾリル、1,2,4−トリアゾリル、テトラゾリル、ピリ
ジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリ
アジニル等)及び上記芳香族炭素環基及び芳香族単環式
複素環基が2〜3個縮合したような芳香族縮合複素環基
(例:ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾ
〕チエニル、インドリル、イソインドリル、1H−
インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリ
ル、1,2−ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリ
ル、1,2−ベンゾイソチアゾリル、1H−ベンゾトリ
アゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キ
ナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリ
ジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、α−
カルボリニル、β−カルボリニル、γ−カルボリニル、
アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、
フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、
フェナトリジニル、フェナトロリニル、インドリジニ
ル、ピロロ〔1,2−〕ピリダジニル、ピラゾロ〔1,
5−〕ピリジル、イミダゾ〔1,2−〕ピリジル、
イミダゾ〔1,5−〕ピリジル、イミダゾ〔1,2−
〕ピリダジニル、イミダゾ〔1,2−〕ピリミジニ
ル、1,2,4−トリアゾロ〔4,3−〕ピリジル、1,
2,4−トリアゾロ〔4,3−〕ピリダジニル等)が挙
げられるが、なかでもフリル、チエニル、インドリル、
イソインドリル、ピラジニル、ピリジル、ピリミジニル
などが好ましい。
【0013】環Eの「芳香環基」は、置換基を置換可能
な位置に、同一または異なって、1ないし3個(好まし
くは1ないし2個)有していてもよい。該置換基として
は、ハロゲン(例、フッ素,塩素,臭素,ヨウ素)、1
〜5個の前記ハロゲンで置換されていてもよい低級(C
1-4)アルキル基(例、メチル,エチル,プロピル,ブ
チル,tert-ブチルなど)、1〜5個の前記ハロゲンで
置換されていてもよい低級(C1-4)アルコキシ基
(例、メトキシ,エトキシ,プロポキシ,ブトキシ,te
rt-ブトキシなど)、水酸基、ニトロ基、シアノなどが
挙げられるが、好ましくは、ハロゲン(特に塩素)、低
級(C1-4)アルコキシ(特にメトキシ,エトキシ),
水酸基などが挙げられる。
【0014】上記式(XI),(XIa),(XIb)におい
て、R12で示される「アシル基」としては、アルカノイ
ル基(例、アセチル基,プロピオニル基,ブチリル基,
イソブチリル基,バレリル基,イソバレリル基,ピバロ
イル基,ヘキサノイル基などの低級(C1-6)アルキル
カルボニル基)などが挙げられるが、好ましくは、アセ
チル基などが挙げられる。
【0015】上記式(XI)および(XII)としては、そ
れぞれ式(XI′)
【化14】 〔式中、R13はアシル基を、環E′はEの置換基として
述べたようなハロゲン,低級アルコキシもしくは水酸基
で置換されていてもよいベンゼン環を示す。環D′はさ
らにハロゲンで置換されていてもよいベンゼン環を示
す。その他の記号は前記と同意義である〕および式(XI
I′)
【化15】 〔式中、各記号は前記と同意義である〕で表されるもの
が好ましい。
【0016】上記式(XI′)および(XII′)におい
て、R13で示される「アシル基」としては、アルカノイ
ル基(例、アセチル基,プロピオニル基,ブチリル基,
イソブチリル基,バレリル基,イソバレリル基,ピバロ
イル基,ヘキサノイル基などの低級(C1-6)アルキル
カルボニル基)などが挙げられるが、好ましくは、アセ
チル基,ピバロイル基が挙げられる。上記式(XI′)お
よび(XII′)において、環E′で示される「ハロゲ
ン,低級アルコキシもしくは水酸基で置換されていても
よいベンゼン環」におけるベンゼン環は、置換基とし
て、ハロゲン,低級アルコキシもしくは水酸基(好まし
くは、低級アルコキシ)を置換可能な位置に、同一また
は異なって、1ないし3個(好ましくは1ないし2個)
有していてもよい。該ハロゲンとしては、フッ素,塩
素,臭素,ヨウ素が挙げられる。該低級(C1-4)アル
コキシ基としては、メトキシ,エトキシ,プロポキシ,
ブトキシ,tert-ブトキシなど(好ましくは、メトキ
シ,エトキシ)が挙げられる。上記式(XI′)および
(XII′)において、環D′で表されるベンゼン環は、
−NHR13で表される基の他に、さらに置換基としてハ
ロゲンを、置換可能な位置に、同一または異なって、1
ないし2個有していてもよい。該ハロゲンとしては、フ
ッ素,塩素,臭素,ヨウ素が挙げられるが、好ましくは
塩素である。
【0017】化合物(XI)としては、例えば、次のよう
なものが挙げられる。酢酸 α−(2,3−ジメトキシ
フェニル)−2−ピバロイルアミノ−5−クロロベンジ
ルエステル、酢酸 α−(2,4−ジメトキシフェニ
ル)−2−ピバロイルアミノ−5−クロロベンジルエス
テル、酢酸 α−(4−エトキシ−2−メトキシフェニ
ル)−2−ピバロイルアミノ−5−クロロベンジルエス
テル、酢酸 α−(2,3−ジメトキシフェニル)−2
−アセチルアミノ−5−クロロベンジルエステル、酢酸
α−(2,4−ジメトキシフェニル)−2−アセチル
アミノ−5−クロロベンジルエステル、酢酸 α−(4
−エトキシ−2−メトキシフェニル)−2−アセチルア
ミノ−5−クロロベンジルエステルなど。式(IV)及び
式(III)における、環B、環Cが、さらに有していて
もよい置換基としては、それぞれ上記環D,環Eの置換
基として挙げた置換基があげられる。又、環Bはそれら
の置換基を1ないし2個有していてもよい。環Cは、前
記置換基を1ないし3個(好ましくは1ないし2個)有
していてもよい。式(IV)、(IV′)及び式(III)に
おける、R1て表される置換されていてもよい炭化水素
基の炭化水素基としては、脂肪族鎖式(非環状)炭化水
素基、脂環式炭化水素基およびアリール基などが挙げら
れるが、なかでも脂肪族鎖式炭化水素基が好ましい。
【0018】該炭化水素基の脂肪族鎖式(非環式)炭化
水素基としては、直鎖状または分枝鎖状の脂肪族炭化水
素基、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル
基などが挙げられる。なかでも分枝状アルキル基が好ま
しい。該アルキルとしては、例えばメチル,エチル,n
−プロピル,イソプロピル,n−ブチル,イソブチル,
sec−ブチル,tert−ブチル,n−ペンチル,イソペン
チル,ネオペンチル,1−メチルプロピル,n−ヘキシ
ル,イソヘキシル,1,1−ジメチルブチル,2,2−ジ
メチルブチル,3,3−ジメチルブチル,3,3−ジメチ
ルプロピル,2−エチルブチル,n−ヘプチルなどのC
1-7アルキルが挙げられ、なかでも、n−プロピル,イ
ソプロピル,イソブチル,ネオペンチルなどのC3-5
ルキルが好ましく、特にイソブチル,ネオペンチルなど
が好ましい。該アルケニル基としては、例えば、ビニ
ル、アリル、イソプロペニル、2−メチルアリル、1−
プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、2−メチル
−2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−
ブテニル、2−エチル−1−ブテニル、2−メチル−2
−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ペンテニ
ル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニ
ル、4−メチル−3−ペンテニル、1−ヘキセニル、2
−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、5−
ヘキセニル等のC2-6アルケニルが挙げられ、なかで
も、ビニル、アリル、イソプロペニル、2−メチルアリ
ル、2−メチル−1−プロペニル、2−メチル−2−プ
ロペニル、3−メチル−2−ブテニル等が特に好まし
い。該アルキニル基としては、例えば、エチニル、1−
プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチ
ニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニ
ル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−ヘキシニ
ル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニ
ル、5−ヘキシニル等のC2-6アルキニルが挙げられ、
中でもエチニル、1−プロピニル、2−プロピニル等が
特に好ましい。
【0019】該炭化水素基の脂環式炭化水素基として
は、飽和または不飽和の脂環式炭化水素基、例えば、シ
クロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルカジ
エニル基等が挙げられる。該シクロアルキル基としては
炭素数3〜9個のシクロアルキル基が好ましく、例え
ば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、
シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シ
クロノニル等が挙げられ、中でも、シクロプロピル、シ
クロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等のC
3-6シクロアルキル基が好ましい。該シクロアルケニル
基としては、例えば、2−シクロペンテン−1−イル、
3−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−
1−イル、3−シクロヘキセン−1−イル、1−シクロ
ブテン−1−イル、1−シクロペンテン−1−イル等の
3-6シクロアルケニルが挙げられる。該シクロアルカ
ジエニル基としては、例えば、2,4−シクロペンタジ
エン−1−イル、2,4−シクロヘキサジエン−1−イ
ル、2,5−シクロヘキサジエン−1−イルなどのC
3-6シクロアルカジエニルが挙げられる。該炭化水素基
のアリール基としては、炭素数6〜16の単環式または
縮合多環式芳香族炭化水素基が挙げられ、例えば、フェ
ニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、アセナ
フチレニル等が挙げられ、なかでもフェニル、1−ナフ
チル、2−ナフチル等のC6-10のアリール基が特に好ま
しい。
【0020】R1で示される「置換されていてもよい炭
化水素基」の置換基としては、置換されていてもよいア
リール基、置換されていてもよいシクロアルキル基もし
くはシクロアルケニル基、置換されていてもよい複素環
基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていても
よい水酸基、置換されていてもよいチオール基、ハロゲ
ン(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、オキソ等が挙
げられ、該炭化水素基はこれらの任意の置換基で置換可
能な位置に1〜5個(好ましくは1〜3個)置換されて
いてもよい。該置換されていてもよいアリール基のアリ
ール基としては、フェニル、ナフチル、アントリル、フ
ェナントリル、アセナフチレニル等のC6-16アリール基
が挙げられ、なかでもフェニル、1−ナフチル、2−ナ
フチル等のC6-10のアリール基が好ましい。該置換され
ていてもよいアリールの置換基としては、炭素数1〜3
個のアルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、プロポキ
シ等)、ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ
素)、炭素数1〜3個のアルキル基(例、メチル、エチ
ル、プロピル等)等が挙げられ、該アリール基はこれら
の任意の置換基で1〜2個置換されていてもよい。該置
換されていてもよいシクロアルキル基のシクロアルキル
基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペ
ンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等のC3-7
クロアルキル基等が挙げられる。該置換されていてもよ
いシクロアルキル基の置換基とその置換数としては、前
記置換されていてもよいアリール基における置換基と同
様な種類と個数が挙げられる。該置換されていてもよい
シクロアルケニル基のシクロアルケニル基としては、シ
クロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、
シクロヘキセニル等のC3-6シクロアルケニル基等が挙
げられる。該置換されていてもよいシクロアルケニル基
の置換基とその置換数としては、前記置換されていても
よいアリール基における置換基と同様な種類と個数が挙
げられる。該置換されていてもよい複素環基の複素環基
としては、ともに環系を構成する原子(環原子)とし
て、酸素、硫黄、窒素のうち少なくとも1個,好ましく
は1〜4個のヘテロ原子をもつ芳香族複素環基及び、飽
和あるいは不飽和の非芳香族複素環基(脂肪族複素環
基)が挙げられるが、好ましくは芳香族複素環基であ
る。該芳香族複素環基としては、芳香族単環式複素環基
(例、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イ
ソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダ
ゾリル、ピラゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、
1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾ
リル、フラザニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,
4−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,
2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、テト
ラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピ
ラジニル、トリアジニル等)及び5〜8員環が2〜3個
縮合した芳香族縮合複素環基(例:ベンゾフラニル、イ
ソベンゾフラニル、ベンゾ〔〕チエニル、インドリ
ル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンズイミ
ダゾリル、ベンゾオキサゾリル、1,2−ベンゾイソオ
キサゾリル、ベンゾチアゾリル、1,2−ベンゾイソチ
アゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソ
キノリル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニ
ル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリ
ジニル、カルバゾリル、α−カルボリニル、β−カルボ
リニル、γ−カルボリニル、アクリジニル、フェノキサ
ジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサ
チイニル、チアントレニル、フェナトリジニル、フェナ
トロリニル、インドリジニル、ピロロ〔1,2−〕ピ
リダジニル、ピラゾロ〔1,5−〕ピリジル、イミダ
ゾ〔1,2−〕ピリジル、イミダゾ〔1,5−〕ピリ
ジル、イミダゾ〔1,2−〕ピリダジニル、イミダゾ
〔1,2−〕ピリミジニル、1,2,4−トリアゾロ
〔4,3−〕ピリジル、1,2,4−トリアゾロ〔4,3
〕ピリダジニル等)が挙げられるが、なかでもフリ
ル、チエニル、インドリル、イソインドリル、ピラジニ
ル、ピリジル、ピリミジニルなどの5〜6員芳香族単環
式複素環基が好ましい。該非芳香族複素環基としては、
例えば、オキシラニル、アゼチジニル、オキセタニル、
チエタニル、ピロリジニル、テトラヒドロフリル、チオ
ラニル、ピペリジル、テトラヒドロピラニル、モルホリ
ニル、チオモルホリニル、ピペラジニル等4〜8員非芳
香族複素環基が挙げられる。該置換されていてもよい複
素環基は1〜4個、好ましくは1〜2個の置換基を有し
ていてもよく、このような置換基としては、炭素数1〜
3個のアルキル基(例:メチル、エチル、プロピル等)
等が挙げられる。該置換されていてもよいアミノ基(ア
ミノ基、モノ−又はジ−置換アミノ基が含まれる)、置
換されていてもよい水酸基、及び置換されていてもよい
チオール基における置換基としては、例えば低級(C
1-3)アルキル(例、メチル、エチル、プロピル等)等
が挙げられる。また、R1で表わされる置換されていて
もよい炭化水素基における炭化水素基が脂環式炭化水素
基又はアリール基である場合、置換基としては、さらに
炭素数1〜3個のアルキル基(例、メチル,エチル,プ
ロピルなど)でもよい。さらに、上述のように、R1
オキソ基を置換基として有していてもよく、このような
オキソ基で置換された炭化水素基であるカルボン酸アシ
ル基もR1に含まれる。このような例としては例えば置
換基を有していてもよい炭素数1〜6のカルボン酸アシ
ル基(例、フォルミル,アセチル,プロピオニル,ブチ
リル,イソブチリル,バレリル,イソバレリル,ピバロ
イル,ヘキサノイル,ジメチルアセチル,トリメチルア
セチルなど)が挙げられる。また該アシル基は、置換可
能な位置に1〜5個の置換基を有していてもよく、該置
換基としては、ハロゲン(例、フッ素,塩素,臭素)が
挙げられる。
【0021】式(III),式(IV′)等における、Y1
示される「エステル化されたカルボキシル基」として
は、C2-7アルコキシカルボニル(例、メトキシカルボ
ニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イ
ソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブ
トキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、sec−
ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、イソ
ペンチルオキシカルボニル、sec−ペンチルオキシカル
ボニル、ネオペンチルオキシカルボニル、tert−ペンチ
ルオキシカルボニルなどの(低級(C1-6)アルコキシ)
カルボニルなど)、C7-14アリールオキシカルボニル
(例、フェノキシカルボニル、1−ナフトキシカルボニ
ル)、C8-12アラルキルオキシカルボニル(例、ベンジ
ルオキシカルボニルなど)などが挙げられる。なかでも
低級アルコキシカルボニル(好ましくはメトキシカルボ
ニル、エトキシカルボニルなど)、フェノキシカルボニ
ル、ベンジルオキシカルボニルが好ましい。上記式(X
I),(XII),(XI′),(XII′),(IV)及び(V)
の塩としては、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、臭素酸塩、ヨ
ウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、過塩素酸塩等の無機塩
及び酢酸塩、ギ酸塩、トリフルオロ酢酸塩、メタンスル
ホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホ
ン酸塩、酒石酸塩等の有機酸塩などが挙げられる。又、
式(III)で表わされる化合物の塩としては、例えば塩
酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無
機塩、例えば酢酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、フマール
酸塩、マレイン酸塩、トルエンスルホン酸塩、メタンス
ルホン酸塩等の有機酸塩、例えばナトリウム塩、カリウ
ム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩等の金属塩、例え
ばトリエチルアミン塩、グアニジン塩、アンモニウム
塩、ヒドラジン塩、キニーネ塩、シンコニン塩等の塩基
の塩等の薬理学的に許容されうる塩が挙げられる。とり
わけナトリウム塩が好ましい。
【0022】本発明において、化合物(XII)から化合
物(XI)への反応は、自体公知のアシル化反応を利用し
て行うことができる。
【化16】 〔式中、各記号は前記と同意義である〕。例えば、アシ
ル化反応は、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、
ジオキサン等のエーテル系溶媒、ジクロロメタン、ジク
ロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン系
溶媒、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン等の炭
化水素系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホ
キシド等の溶媒中、適当なアシル化剤(例、酸クロリ
ド,酸無水物など)を用いて、必要により水及び塩基
(例えば、4−ジメチルアミノピリジン、トリエチルア
ミン、トリエチレンジアミン、テトラメチルエチレンジ
アミン等の有機塩基や、例えば炭酸水素ナトリウム、炭
酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基、水素化ナ
トリウム、水素化カリウム)等の存在下に行なうことが
できる。式(XII)で表わされる化合物1モルに対し
て、アシル化剤および塩基は約1〜10モル量、好まし
くは1〜3モル量程度用いられる。また反応時間は、通
常約10分〜24時間、好ましくは約0.5〜3時間で
ある。反応温度は約0〜100℃、好ましくは約20〜
80℃程度である。化合物(XII)は、EP56702
6号、特開平6−239843号、D.A.Walsh,シ
ンセシス(Synthesis),677(1980)などに記載
の方法、または該文献に引用された方法、またはそれに
準じる方法で、合成することができる。その代表例は参
考例1に記載される。
【0023】本発明においては、ラセミ化合物(XII)
のO−アシル体〔ラセミ化合物(XI)〕を、酵素的不斉
加水分解反応に付すことにより、一般式(XII)で表さ
れる化合物の光学的活性体およびその対掌体のO−アシ
ル化合物を製造する。具体的には、化合物(XIa)と化
合物(XIb)からなる等量混合物(ラセミ体)のいずれ
か一方の化合物を酵素的に不斉加水分解することによ
る。つまり、化合物(XIa)は化合物(XIIa)に、また化
合物(XIb)は化合物(XIIb)に不斉加水分解すること
からなる。上記の反応によって得られた反応混合物か
ら、公知の方法、例えば蒸留,溶媒抽出,転溶,晶出,
再結晶,クロマトグラフィー(例、カラムクロマトグラ
フィー)などによって精製することによって、化合物
(XIa),(XIb),(XIIa),(XIIb)のうちの目的と
する光学的活性体を得ることができる。また得られた化
合物(XIa)または化合物(XIb)は、化学的方法または
酵素を用いて加水分解し、それぞれ化合物(XIIa)また
は化合物(XIIb)を得ることができる。本発明におい
て、酵素的不斉加水分解反応は、例えば、不斉加水分解
する能力を有する微生物の培養物またはその処理物、動
物由来の酵素(例、ブタ肝エステラーゼ,ウサギ肝エス
テラーゼなど)、植物由来の酵素(例、wheat germ リ
パーゼなど)などを利用して行われる。
【0024】該不斉加水分解する能力を有する微生物と
しては、ラセミ化合物(XI)を不斉加水分解する能力を
有するものであればいずれでも良く、例えば、細菌,放
線菌,糸状菌などから選ぶことができる。細菌として
は、シュードモナス(Pseudomonas)属、バチルス(Bac
illus)属に属する微生物などが挙げられる。シュード
モナス属に属する微生物としては、例えば、シュードモ
ナス・エスピー(Pseudomonas sp.)S−6,シュード
モナス・エスピー S−11,シュードモナス・エスピ
ー S−13などが挙げられる。シュードモナス・エス
ピー S−6,シュードモナス・エスピー S−11お
よびシュードモナス・エスピー S−13は1994年
12月23日に財団法人発酵研究所(IFO)(大阪市
淀川区)にそれぞれ受託番号IFO15786,IFO
15787およびIFO15788として寄託されてい
る。又、これらは、その後、通産省工業技術院生命工学
工業技術研究所にそれぞれ受託番号FERMP BP−
5205,FERM BP−5206およびFERM
BP−5207として1995年8月24日国際寄託さ
れている。バチルス属に属する微生物としては、バチル
ス・サチルス(Bacillus subtilis)などが挙げられ、
具体的にはバチルス・サチルスIFO14117などが
挙げられる。バチルス・サチルスIFO14117は、
リスト・オブ・カルチャーズ(LIST OF CULTURES)第9
版,1992年(財団法人発酵研究所)に記載されてお
り、該研究所から入手することができる。放線菌として
は、ストレプトミセス(Streptomyces)属に属する微生
物などが挙げられ、具体的にはストレプトミセス・エス
ピー(Streptomyces sp.)121−39などが挙げられ
る。ストレプトミセス・エスピー121−39は、19
94年12月23日に財団法人発酵研究所に受託番号I
FO15789として寄託され、さらに通産省工業技術
院生命工学工業技術研究所に寄託番号FERM BP−
5298として国際寄託されている。糸状菌としては、
アスペルギルス(Aspergillus)属に属する微生物など
が挙げられる。アスペルギルス属に属する微生物の培養
物から得られるリパーゼ(リパーゼAP6)は天野製薬
株式会社のカタログ「リパーゼAP」(脂肪消化酵素)
に記載されており、同社から購入できる。上記に記載し
た微生物は、そのまま用いても良いが、反応の変換率ま
たは基質に対する立体特異性を向上させる目的で、変異
処理したものを用いても良い。
【0025】以下に、シュードモナス・エスピーS−6
(単にS−6株と称する),シュードモナス・エスピー
S−11(単にS−11株と称する),シュードモナス
・エスピーS−13(単にS−13株と称する)および
ストレプトミセス・エスピー121−39の菌学的性状
を示す。いずれも山形県土壌から分離されたシュードモ
ナス・エスピー S−6,シュードモナス・エスピー
S−11およびシュードモナス・エスピー S−13に
ついて、特許庁編、産業別審査基準「応用微生物工業
(改訂2版)」(1993年)の特許出願に必要な記載
方法及び、長谷川武治編著「微生物の分類と同定」(学
会出版センター,1990)に記載の実験方法に準じて
検討した。結果は下記の通りである。
【0026】S−6株の菌学的性状 a)形態的性質 肉汁寒天斜面上で24℃、3日間培養後の観察では、細
胞は0.6〜0.8×1.1〜2.7μm の桿状で、単独、
稀に二細胞の連鎖が認められ、両端は丸味を呈する。運
動性は認められる。胞子を形成しない。 b)培養的性質 24℃で培養し、1ないし14日間にわたって観察し
た。 a. 肉汁寒天平板培養:コロニーは黄灰色〜黄褐色で、
円形を示し、隆起状及び凸円状を呈する。表面は光沢を
示さない。周縁は全縁である。拡散性色素は生成しな
い。 b. 肉汁寒天斜面培養:旺盛な光沢のない拡布状の生育
を示し、淡黄褐色を呈す。 c. 肉汁液体培養:上部に生育し、被膜を形成する。沈
澱が認められる。 d. 肉汁ゼラチン穿刺培養:主として上部でよく生育す
る。液化し、液化活性は強い。 e. リトマス・ミルク:リトマスの還元性は認められ
る。ペプトン化活性は認められるが凝固は認められな
い。
【0027】c)生理学的性質 a. グラム染色性: − b. 硝酸塩の還元: + c. 脱窒反応: − d. MR(メチルレッド)テスト: − e. VP(フォーゲス・プロスカウエル)テスト: − f. インドールの生成: − g. 硫化水素の生成(酢酸鉛紙): − h. デンプンの加水分解: − i. クエン酸の利用(コーゼル、クリステンセン及びシ
モンズの各培地): + j. 無機窒素源の利用 I)硝酸カリウム: − II)硫酸アンモニウム: − k. 色素の生成(キングA,B及びマンニット酵母エキ
ス寒天の各培地):キングB、マンニット酵母エキス培
地において黄色色素の生成が認められた。 キングA培地:グリセリン10g、ペプトン20g、塩
化マグネシウム1.4g、硫酸アンモニウム10g、寒
天15g、蒸留水1000ml、pH7.2 キングB培地:グリセリン10g、ペプトン20g、リ
ン酸−水素カリウム1.5g、硫酸マグネシウム1.5
g、寒天15g、水1000ml、pH7.2 マンニット酵母エキス培地:ペプトン2.5g、食塩2.
5g、マンニット5.0g、酵母エキス2.5g、寒天2
0g、水1000ml、pH7.0 l. ウレアーゼ: − m. オキシダーゼ: − n. カタラーゼ: + o. 生育の範囲 I)pH:pH5.0〜8.5で生育するが、最適pHは6.
0〜7.5 II)温度:5〜36℃で生育するが最適温度は20〜3
0℃ p. 酸素に対する態度: 好気的 q. O−F(オキシダテイブーファーメンタティブ)テス
ト〔ヒュー・レイフソン(Hugh Leifson)法〕: 酸化
【0028】r. 糖からの酸及びガスの生成:
【表1】 s. 抗酸性: − d)化学分類学的性質 a. DNAのG+C(グアニン+シトシン)含量:66.
3モル% b. 菌体内脂肪酸の分析: non−polar, 2−Hydroxy,
3−Hydroxy 脂肪酸が認められた。
【0029】以上の菌学的諸性状を有するS−6株を、
バージーズ・マニュアル・オブ・デターミネイティブ・
バクテリオロジー(Bergey's Mannual of Determinativ
e Bacteriology)第8版およびバージーズ・マニュアル
・オブ・システマティック・バクテリオロジー第1巻
(Bergey's Mannual of Systematic Bacteriology Volu
me 1.1984)に記載の菌株と照合すると、S−6
株は、運動性のあるグラム陰性桿菌で、好気性で、生育
温度は5℃〜36℃、カタラーゼ陽性、オキシダーゼ陰
性であり、糖を酸化的に分解すること、DNAのG+C
含量が66.3モル%であり、菌体内脂肪酸に2−Hydro
xy,3−Hydroxy 脂肪酸が認められることによりシュー
ドモナス属に属すると判断された。従って、S−6株を
シュードモナス・エスピー S−6(Pseudomonas sp.
S−6)と同定した。
【0030】S−11株の菌学的性状 a)形態的性質 肉汁寒天斜面上で24℃、3日間培養後の観察では、細
胞は0.9〜1.2×1.4〜2.8μm の桿状で、単独、
稀に二細胞の連鎖が認められ、両端は丸味を呈する。運
動性は認められる。胞子を形成しない。 b)培養的性質 24℃で培養し、1ないし14日間にわたって観察し
た。 a. 肉汁寒天平板培養:コロニーは淡黄灰色〜淡灰白色
で、円形を示し、隆起状又は凸円状を呈する。表面は光
沢を示さない。周縁は全縁である。拡散性色素は生成し
ない。 b. 肉汁寒天斜面培養:旺盛な光沢のない拡布状の生育
を示し、淡黄灰色〜淡灰白色を呈す。 c. 肉汁液体培養:上部に生育し、被膜を形成する。沈
澱が認められる。 d. 肉汁ゼラチン穿刺培養:主として上部でよく生育す
る。液化し、液化活性は強い。 e. リトマス・ミルク:リトマスの還元性は認められ
る。ペプトン化活性は認められるが凝固は認められな
い。
【0031】c)生理学的性質 a. グラム染色性: − b. 硝酸塩の還元: + c. 脱窒反応: − d. MR(メチルレッド)テスト: − e. VP(フォーゲス・プロスカウエル)テスト: − f. インドールの生成: − g. 硫化水素の生成(酢酸鉛紙): − h. デンプンの加水分解: − i. クエン酸の利用(コーゼル、クリステンセン及びシ
モンズの各培地): + j. 無機窒素源の利用 I)硝酸カリウム: − II)硫酸アンモニウム: − k. 色素の生成(キングA,B及びマンニット酵母エキ
ス寒天の各培地):どの培地においても色素の生成は認
められなかった。 キングA培地:グリセリン10g、ペプトン20g、塩
化マグネシウム1.4g、硫酸アンモニウム10g、寒
天15g、蒸留水1000ml、pH7.2 キングB培地:グリセリン10g、ペプトン20g、リ
ン酸−水素カリウム1.5g、硫酸マグネシウム1.5
g、寒天15g、水1000ml、pH7.2 マンニット酵母エキス培地:ペプトン2.5g、食塩2.
5g、マンニット5.0g、酵母エキス2.5g、寒天2
0g、水1000ml、pH7.0 l. ウレアーゼ: − m. オキシダーゼ: + n. カタラーゼ: + o. 生育の範囲 I)pH:pH4.2〜8.5で生育するが、最適pHは6.
0〜7.5 II)温度:10〜33℃で生育するが最適温度は15〜
28℃ p. 酸素に対する態度: 好気的 q. O−F(オキシダテイブーファーメンタティブ)テス
ト〔ヒュー・レイフソン(Hugh Leifson)法〕: 酸化
【0032】r. 糖からの酸及びガスの生成:
【表2】 s. 抗酸性: − d)化学分類学的性質 a. DNAのG+C(グアニン+シトシン)含量:65.
0モル% b. 菌体内脂肪酸の分析: non−polar, 2−Hydroxy,
3−Hydroxy 脂肪酸が認められた。
【0033】以上の菌学的諸性状を有するS−11株
を、バージーズ・マニュアル・オブ・デターミネイティ
ブ・バクテリオロジー(Bergey's Mannual of Determin
ativeBacteriology)第8版およびバージーズ・マニュ
アル・オブ・システマティック・バクテリオロジー第1
巻(Bergey's Mannual of Systematic Bacteriology Vo
lume 1.1984)に記載の菌株と照合すると、3−
11株は、運動性のあるグラム陰性桿菌で、好気性で、
生育温度は10℃〜33℃、カタラーゼ陽性、オキシダ
ーゼ陽性であり、糖を酸化的に分解すること、DNAの
G+C含量が65.0モル%であり、菌体内脂肪酸に2
−Hydroxy,3−Hydroxy 脂肪酸が認められることによ
りシュードモナス属に属すると判断された。従って、S
−11株をシュードモナス・エスピー S−11(Pseu
domonas sp. S−11)と同定した。
【0034】S−13株の菌学的性状 a)形態的性質 肉汁寒天斜面上で24℃、3日間培養後の観察では、細
胞は0.9〜1.4×1.4〜2.1μm の桿状で、単独、
稀に二細胞の連鎖が認められ、両端は丸味を呈する。運
動性が認められ極鞭毛を有する。胞子を形成しない。 b)培養的性質 24℃で培養し、1ないし14日間にわたって観察し
た。 a. 肉汁寒天平板培養:コロニーは淡黄灰色〜灰白色
で、円形を示し、隆起状または凸円状を呈する。表面は
光沢を示す。周縁は全縁である。拡散性色素は生成しな
い。 b. 肉汁寒天斜面培養:旺盛な光沢のない拡布状の生育
を示し、淡灰白色を呈す。 c. 肉汁液体培養:上部に生育し、被膜を形成する。沈
澱が認められる。 d. 肉汁ゼラチン穿刺培養:主として上部でよく生育す
る。液化し、液化活性は強い。 e. リトマス・ミルク:リトマスの還元性は認められ
る。ペプトン化活性は認められるが凝固は認められな
い。
【0035】c)生理学的性質 a. グラム染色性: − b. 硝酸塩の還元: + c. 脱窒反応: − d. MR(メチルレッド)テスト: − e. VP(フォーゲス・プロスカウエル)テスト: − f. インドールの生成: − g. 硫化水素の生成(酢酸鉛紙): − h. デンプンの加水分解: − i. クエン酸の利用(コーゼル、クリステンセン及びシ
モンズの各培地): + j. 無機窒素源の利用 I)硝酸カリウム: − II)硫酸アンモニウム: − k. 色素の生成(キングA,B及びマンニット酵母エキ
ス寒天の各培地):いずれの培地においても色素の生成
は認められなかった。 キングA培地:グリセリン10g、ペプトン20g、塩
化マグネシウム1.4g、硫酸アンモニウム10g、寒
天15g、蒸留水1000ml、pH7.2 キングB培地:グリセリン10g、ペプトン20g、リ
ン酸−水素カリウム1.5g、硫酸マグネシウム1.5
g、寒天15g、水1000ml、pH7.2 マンニット酵母エキス培地:ペプトン2.5g、食塩2.
5g、マンニット5.0g、酵母エキス2.5g、寒天2
0g、水1000ml、pH7.0 l. ウレアーゼ: − m. オキシダーゼ: − n. カタラーゼ: + o. 生育の範囲 I)pH:pH5.0〜8.5で生育するが、最適pHは6.
0〜7.5 II)温度:10〜35℃で生育するが最適温度は20〜
30℃ p. 酸素に対する態度: 好気的 q. O−F(オキシダテイブーファーメンタティブ)テス
ト〔ヒュー・レイフソン(Hugh Leifson)法〕: 酸化
【0036】r. 糖からの酸及びガスの生成:
【表3】 s. 抗酸性: − d)化学分類学的性質 a. DNAのG+C(グアニン+シトシン)含量:65.
3モル% b. 菌体内脂肪酸の分析: non−polar, 2−Hydroxy,
3−Hydroxy 脂肪酸が認められた。
【0037】以上の菌学的諸性状を有するS−13株
を、バージーズ・マニュアル・オブ・デターミネイティ
ブ・バクテリオロジー(Bergey's Mannual of Determin
ativeBacteriology)第8版およびバージーズ・マニュ
アル・オブ・システマティック・バクテリオロジー第1
巻(Bergey's Mannual of Systematic Bacteriology Vo
lume 1.1984)に記載の菌株と照合すると、3−
13株は、運動性のあるグラム陰性桿菌で、好気性で、
生育温度は10℃〜35℃、カタラーゼ陽性、オキシダ
ーゼ陽性であり、糖を酸化的に分解すること、DNAの
G+C含量が65.3モル%であり、菌体内脂肪酸に2
−Hydroxy,3−Hydroxy 脂肪酸が認められることによ
りシュードモナス属に属すると判断された。従って、S
−13株をシュードモナス・エスピー S−11(Pseu
domonas sp. S−13)と同定した。
【0038】121−39株の菌学的性状 和歌山県土壌から分離されたストレプトミセス・エスピ
ー 121−39について、インターナショナル・ジャ
ーナル・オブ・システマティック・バクテリオロジー
(International Journal of Systematic Bacteriolog
y),16,313−340(1966)記載の方法に
準じて検討した菌学的性状は下記のとおりである。な
お、培地上の所見は特に記載のないかぎり、28℃にお
いて14日間培養し、観察したものである。 (I)形態的性質 気菌糸は、よく伸長分枝した基生菌糸から単純分枝状に
伸長しており、その先端に形成された胞子連鎖(通常1
0〜50個)は直線状又は緩やかな波状を呈する。輪生
糸は認められない。胞子は円筒形(φ0.5〜0.6×
0.8〜1.0μm)を示し、その表面は滑らかである。 (II)培養的性質 各種培地における生育の程度(G)、気菌糸の生育及び
色調(AM)、裏面の色調(R)、可溶性色素の有無及
び色調(SP)などについて以下に列記する。色の記載
について( )で示す標準色調記号は、コンティナー・
コーポレーション・オブ・アメリカ(Container Corpor
ation of America)のザ・カラー・ハーモニー・マニュ
アル(The Color Harmony Mannual)第4版、1958
年によった。
【0039】
【表4】
【0040】 (III)生理学的性質 (a)生育温度範囲 : 11〜41℃ 最適生育温度範囲 : 24〜29℃ (b)硝酸塩の還元 : 陽性 (c)ゼラチンの液化 : 陰性 (グルコース・ペプトン・ゼラチン培地) (d)澱粉の加水分解 : 陽性 (e)脱脂乳の凝固 : 陰性 脱脂乳のペプトン化 : 陽性 (f)メラニン様色素の生成 チロシン寒天培地 : 陽性 ペプトン・酵母エキス・ : 陰性 鉄 寒天培地 (g)炭素源の利用性 (プリードハム・ゴットリープ寒天培地) L−アラビノース : ++ (注)++ :比較的良好な生育 D−キシロース : ++ + :生育を認める D−グルコース : ++ ± :+又は−の判定が困難 D−フラクトース : ++ − :生育せず シュクロース : ± イノシトール : + L−ラムノース : ++ ラフィノース : ++ D−マンニット : ++ 対 照 : −
【0041】(IV)化学分類学的性質 長谷川らの方法(Journal of General Applied Microbi
ology 29,319−322(1983))に準じて分析
したところ、菌体の塩酸加水分解液中のジアミノピメリ
ン酸は、LL−体であった。以上の結果から本菌株は、
気菌糸の色は灰色を呈し、胞子連鎖は直線状又は緩やか
な波状であり、胞子表面は滑らか、メラニン様色素を産
生すること及びジアミノピメリン酸がLL−体であるな
どの諸性質から判断するとストレプトマイセス(Strept
omyces)属に属することが明らかであり、ストレプトマ
イセス エスピー・121−39(Streptomyces sp.
121−39)と称することができる。
【0042】本発明において、不斉加水分解する能力を
有する微生物の培養に用いる培地としては、該微生物が
増殖できるものあればよい。得られた培養物またはその
処理物に、ラセミ化合物(XII)のO−アシル体を接触
させることによって、式(XII)で表される化合物の光
学的活性体およびその対掌体のO−アシル体を生成する
ことができる。培地の炭素源としては、ブドウ糖,ショ
糖,麦芽糖,デキストリン,でん粉,グリセロール,油
脂類(例えば大豆油,オリーブ油など),各種脂肪酸
(例えばパルミチン酸,ステアリン酸,オレイン酸な
ど)などが用いられる。窒素源としては、例えば、肉エ
キス,酵母エキス,ペプトン,乾燥酵母,大豆粉,脱脂
大豆粉,コーンスティープリカー,ペプトン,カゼイ
ン,綿実粉,尿素,アンモニウム塩(例えば、硫酸アン
モニウム,塩化アンモニウム,硝酸アンモニウム,酢酸
アンモニウムなど)が用いられる。無機塩としては、例
えば、りん酸一カリウム,りん酸二カリウム,りん酸一
ナトリウム,りん酸二ナトリウム,硝酸ナトリウム,硫
酸マグネシウム,炭酸カルシウム,塩化ナトリウム,お
よびその他のナトリウム,カリウム,カルシウム,マグ
ネシウム塩などが、さらに鉄,マンガン,亜鉛,コバル
ト,ニッケルなどの塩類が適宜用いられる。その他、ア
ミノ酸(L−システイン,L−グルタミン酸など),ペ
プチド,ビタミン類(パントテン酸,チアミン,リボフ
ラビンなど),核酸類(アデニン,アデノシン,グアノ
シンなど)などを含有させても良い。培地の pHを調節
する目的で無機または有機の酸(塩酸、硫酸など)、ア
ルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニ
ア水など)を加え、消泡の目的で、油脂類(大豆油な
ど),界面活性剤(アクトコールなど)などの適量が培
地に添加される。培地の pHは5〜9、さらに好ましく
は6〜8である。培養は静置培養または通気撹拌培養で
行なわれる。温度は約20から45℃、さらに好ましく
は約28から37℃である。培養時間は約10から96
時間、さらに好ましくは約16から72時間である。
【0043】本発明で用いられる「培養物」とは、上記
の微生物の培養で得られる培養液である。「処理物」と
は、培養物のろ過または遠心分離で得られる菌体あるい
は培養上清、菌体の超音波処理、フレンチプレス処理、
アルミナ磨砕、溶菌酵素処理、界面活性剤、有機溶媒処
理などで得られる菌体破砕物あるいは細胞抽出液、培養
上清あるいは細胞抽出液から硫安分画、イオン交換クロ
マトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、ゲルろ過、
アフィニティクロマトグラフィーなどによって得られる
酵素標品などである。また、菌体あるいは酵素をゼライ
トなどの担体に固定化したものを用いてもよい。本発明
では、基質であるラセミ化合物(XII)のO−アシル体
と上記の培養物またはその処理物とを混合して反応を行
わせることにより、該化合物の光学活性体を得ることが
できる。上記の微生物を培養して得られた培養物が培養
液である場合には、培養液に基質を添加して反応を行わ
せればよい。このとき基質は、微生物を培地に接種する
時またはそれ以前に添加してもよく、また微生物の増殖
と同時に添加してもよい。基質はそのまま反応液に添加
しても良いが、有機溶媒(例えば、N,N−ジメチルホ
ルムアミド,N,N−ジメチルアセトアミド,ジメチル
スルホキシド,エタノール,メタノール,トルエンな
ど)などに適当な濃度になるよう溶解してから添加する
方が良い。また上記微生物の培養物の処理物から得られ
た酵素を基質との反応に用いる場合には、酵素を適当な
溶媒(例、食塩水,リン酸緩衝液,トリス−塩酸緩衝液
など)に溶解してから、基質との反応に供すればよい。
このとき基質は前記したような適当な溶媒に溶解させて
もよい。また基質を適当な溶媒に溶解させておいてか
ら、酵素を添加してもよい。このとき酵素は前記したよ
うな適当な溶媒に溶解させておいてもよい。さらに酵素
および基質の両方を適当な溶媒に同時に溶解させて反応
を行わせてもよい。
【0044】本反応は、水溶液中で行うことができる
が、有機溶媒(例えばトルエン,酢酸エチル,イソプロ
ピルエーテル,ジクロロメタン,イソプロピルエーテル
など)中、あるいは水溶液と有機溶媒との二相系で行っ
ても良い。本反応において、反応液中の原料化合物(基
質)の濃度は約0.1〜100mg/ml、好ましくは約5
〜30mg/mlである。加えられる微生物の培養物または
その処理物の量は菌体またはその相当量の処理物を湿菌
体重量として、反応液1ml当り1〜50mgが適当であ
る。反応温度は約15から80℃、さらに好ましくは約
20から42℃である。pHは約4〜11、さらに好ま
しくは約6〜9である。反応時間は約10分から96時
間、さらに好ましくは約1から48時間である。反応液
中に、所望により、有機溶媒反応促進剤、酵素安定剤な
どを添加してもよい。反応は静置、振とう、撹拌のいず
れの条件でもよい。また必要に応じて菌体または酵素を
適当な担体に固定化し、バイオリアクターで反応させて
もよい。
【0045】本発明の反応において、化合物(XI)から
化合物(XII)への変換率は、以下の方法で求めること
ができる。
【数1】 〔式中、化合物(XIa),化合物(XIb),化合物(XII
a)および化合物(XIIb)はそれぞれの反応後の量を示
す。〕 また生成物(または基質)の光学純度(鏡像体過剰率%
ee)は、例えば、一般式(XIIa)で表される化合物が生
成する場合には、
【数2】 〔式中、化合物(XIa),(XIb),(XIIa),(XIIb)
は前記と同意義である〕とする。化合物(XIa),化合
物(XIb),化合物(XIIa),化合物(XIIb)のそれぞ
れの反応後の量を求めるには、例えば次のようにすれば
よい。反応後の反応液を酢酸などで酸性に調節し、これ
に有機溶媒(例えば酢酸エチル)を適当量(例えば等
量)加えたのち撹拌する。生じた有機溶媒層を適当なキ
ラルカラム(例えば CHIRALCEL OD)を用いる高速液体
クロマトグラフィー(HPLC)にかけることにより、化合
物(XIa),化合物(XIb),化合物(XIIa),化合物
(XIIb)のそれぞれの量を測定することができる。上記
の反応によって得られた反応液から、公知の方法、例え
ば濃縮、溶媒抽出,転溶,晶出,再結晶,クロマトグラ
フィーなどによって化合物(XIa),(XIb),(XII
a),(XIIb)を得ることができる。とりわけ、フラッ
シュクロマトグラフィーにより目的物を含む画分を分取
し、濃縮後、適当な溶媒から再結晶する方法ないしは、
大量生産時には、反応液を濃縮後、活性炭処理し、適当
な溶媒(酢酸エチル、ヘキサンなど)から分別結晶化す
る方法などが好ましい方法としてあげられる。また得ら
れた化合物(XIa)または化合物(XIb)は化学的方法ま
たは酵素を用いて加水分解し、それぞれ化合物(XIIa)
または化合物(XIIb)を得ることができる。
【0046】本発明の、より好ましい具体例としては、
式(XII)で表わされる化合物が、式(IV)
【化17】 〔式中、R1は、水素または置換されていてもよい炭化
水素基を、環Bはさらに置換されていてもよいベンゼン
環を、環Cはさらに置換されていてもよいベンゼン環を
示し、C*は不斉炭素原子を示す〕で表わされる化合物
の製造法があげられる。式(IV)において、R1,環B
及び環Cは、式(III)におけるR1,環B,環Cと同意
義である。本発明の方法で得られた光学活性体は、医
薬、農薬などの合成原料及び/又は合成中間体として有
用であり、例えば、EP567026号,WO95/2
1834(特願平7−18972号に基づく出願),E
PA−645377(特願平6−229159号に基づ
く出願),EPA645378(特願平6−22916
0号に基づく出願),特願平6−244136号などで
開示された、コレステロール低下作用、トリグリセライ
ド低下作用などを有する化合物の光学活性体とりわけ上
記(III)で表わされる化合物の光学活性体を得るため
に有利に使用される。
【0047】式(III)で表わされる光学活性体は、本
発明の方法に従い上記式(IV)で表わされる化合物の光
学活性体を得、これを例えば、次に示すような反応に付
すことにより製造することができる。 (i)式(IV)
【化18】 〔式中、R1は水素または置換されていてもよい炭化水
素基を、環Bは置換されていてもよいベンゼン環を、環
Cはさらに置換されていてもよいベンゼン環を示し、C
*は不斉炭素原子を示す〕で表わされるラセミ化合物又
はその塩のO−アシル化合物を酵素的不斉加水分解反応
に付し、式(IV)で表わされる化合物の光学活性体又は
その塩を得る工程と、 (ii)式(IV)で表わされる化合物の光学活性体又はそ
の塩を、式
【化19】 〔式中、Wは脱離基を、Y1はエステル化されたカルボ
キシル基を示す。〕で表わされる化合物とを反応させ式
(V)
【化20】 〔式中、各記号は前に定義した通り〕で表わされる化合
物又はその塩の光学活性体を得る工程及び
【0048】(iii)式(V)で表わされる化合物又はそ
の塩の光学活性体を塩基の存在下環化反応に付し式(II
I)
【化21】 〔式中、各記号は前に定義した通り〕で表わされる化合
物又はその塩の光学活性体を得る工程を経て、式(II
I)で表わされる化合物又はその塩の光学活性体を製造
することができる。高脂血症治療・予防剤として有用な
化合物である化合物(III)(3位エステル体)の3位
遊離体又はその塩を得る工程は例えば下式で示すことが
できる。
【0049】
【化22】 上式において、R1,環B,環C、及びY1は式(III)
におけるR,環B,環C及びY1と同意義である。又R
12は、式(XI)のR12と同意義である。Wで表わされる
脱離基としては、塩素,臭素,フッ素等のハロゲン原子
があげられる。Wとしては特に塩素原子が好ましい。
【0050】本発明の方法に従って式(IV)の光学活性
体を得た〔工程(i)〕後の、反応は公知方法又はそれ
に準ずる方法で実施することができる。例えば、EPA
567026及び特開昭57−35576に記載の方法
に従って実施することもできる。式(IV)及び(V)で
表わされる化合物のうち、環Cが、少くとも1つ低級ア
ルコキシ基を置換基として有し、さらに置換されていて
もよいベンゼン環である化合物は新規化合物である。す
なわち、式(IV′)
【化23】 環Bはさらに置換されていてもよいベンゼン環を、環
C′は、少くとも1つ低級アルコキシ基を置換基として
有し、さらに置換されていてもよいベンゼン環を示し、
環Bとは異なる〕で表わされる化合物の光学活性体は新
規で、有用な中間体である。式(IV′)において、
1,環B,R0中のY1は上記式(III)の各記号と同意
義である。又、環C′がさらに有していてもよい置換基
は式(III)における環Cが有していてもよい置換基と
同じである。又環C′が有する低級アルコキシ基として
は、メトキシ,エトキシ,プロポキシ,i−プロポキ
シ,ブトキシ,ペンチルオキシ及びヘキシルオキシ等C
1-6アルコキシ基が好ましく、とりわけメトキシ基が好
ましい。環C′としては、2位,3位又は2位,4位に
2つのメトキシ基をもつ環が特に好ましい。さらに具体
的には、これらの中間体を用いて、参考例6に示すよう
に、(3R,5S)−トランス−7−クロロ−5−
(2,3−ジメトキシフェニル)−1−ネオペンチル−
1,2,3,5−テトラヒドロ−2−オキソ−4,1−ベン
ゾオキサゼピン−3−酢酸を合成することができる。
【0051】
【発明の実施の形態】以下に参考例および実施例を挙げ
て本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに
限定されるものではない。以下の参考例、実施例中の
「室温」は、10ないし30℃を示し、シリカゲルカラ
ムクロマトグラフィーにて精製する際の溶媒の比率は体
積比(vol./vol.)であり、その他の定義は、次の意味
を示す。 s : シングレット(singlet) d : ダブレット(doublet) t : トリプレット(triplet) quint : クインテット(quintet) m : マルチプレット(multiplet) br : ブロード(broad) Hz : ヘルツ(Herz) CDCl3 : 重クロロホルム CD3OD : 重メタノール NMR : プロトン核磁器共鳴 Me : メチル基 Et : エチル基 Bu : ブチル基 Piv : ピバロイル基 Ac : アセチル基
【0052】参考例1 酢酸 α−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−ピバ
ロイルアミノ−5−クロロベンジルエステル (i)
【化24】 3L 四ッ口フラスコにパラクロルアニリン225g
(1.764mol)、酢酸エチル450mlを加え30〜3
5℃で溶解させた。つぎに水500ml、NaHCO317
7.7g(2.115mol)を加えよくかき混ぜた。本混
合液に、ピバロイルクロリド225g(1.866mol)
を30±5℃に保ってかき混ぜながら滴下した。同温度
で1時間かき混ぜたのち、n−ヘキサン1.35L を加
え10℃まで冷却した。同温度で30分間かき混ぜたの
ち、析出結晶(目的物)を濾取、酢酸エチル−n−ヘキ
サン(1:4,v/v)混合液500mlで洗浄後、恒量に
なるまで減圧乾燥した。 収量355.4g(95.2%) IR νmax KBr cm-1: 3320, 2980, 1660. NMR(CDCl3, 90MHz)δ:1.3(9H, s), 7.25
(2H, d, J=9Hz), 7.47(2H, d, J=9Hz)
【0053】(ii)
【化25】 10L 四ッ口フラスコ中、上記(i)で得た4−クロロ
−N−ピバロイルアニリン296g(1.40mol)をテ
トラヒドロフラン2.22L に溶解した。反応容器内を
2ガスで置換した後、−35℃まで冷却した。n−ブ
チルリチウム(n-BuLi)の1.6M n−ヘキサン溶液
1.85L (2.96mol)を−25±10℃に保ってか
き混ぜながら滴下した。滴下後かき混ぜながら20℃ま
で昇温し、同温度で2.5時間かき混ぜた。その後0℃
まで冷却し、2,3−ジメトキシベンズアルデヒド22
5.7g(1.54mol)のテトラヒドロフラン(384m
l)溶液をかき混ぜながら0±3℃に保って滴下した。
滴下終了後反応液をかき混ぜながら20℃まで昇温し、
同温度で1時間かき混ぜた。ついで水780mlを20〜
25℃に保ってかき混ぜながら加えた。有機層(上層)
を分取し、10%食塩水780mlで2回洗浄した。有機
層を減圧下で濃縮し、残留物にn−ヘキサン600mlを
加え、室温で30分間かき混ぜた。析出結晶(目的物)
を濾取、n−ヘキサン−酢酸エチル(4:1,v/v)5
00mlで洗浄後恒量になるまで減圧乾燥した。 収量390g(73.8%) IR νmax KBr cm-1: 3400, 3320, 1650. NMR(CDCl3, 90MHz)δ:1.13(9H, s), 3.90
(6H, s), 4.28(1H, d, J=4.5Hz), 6.0(1H, d, J=4.5H
z), 6.4-8.3(7H, m), 9.18(1H, s)
【0054】(iii)
【化26】 2L ナス型フラスコに、上記(ii)で得たα−(2,3
−ジメトキシフェニル)−2−ピバロイルアミノ−5−
クロロベンジルアルコール258g(0.68mol)、無
水酢酸(Ac2O)83.6g(0.82mol),ピリジン(P
y.)81g(1.02mol)を入れ、70℃で3時間かき
混ぜた。冷却後酢酸エチル1.5L 、水500ml、濃塩
酸150mlを加えよくかき混ぜたのち静置した。有機層
を分取し、水500mlで洗浄、無水MgSO4 26g,
活性炭2.6gを加え10分間かき混ぜたのち濾過し
た。残渣を酢酸エチル100mlで洗浄し、濾洗液を減圧
下で濃縮した。濃縮液に加温撹拌下n−ヘキサン750
mlを加えた。室温まで冷却すると目的物の結晶が析出し
た。本析出結晶を濾取、n−ヘキサン500mlで洗浄
し、恒量になるまで減圧下で乾燥した。 収量257.9g(93.2%) IR νmax KBr cm-1: 3400, 1720, 1690. NMR(CDCl3, 90MHz)δ:1.37(9H, s), 2.17
(3H, s), 3.37(3H, s),3.83(3H, s), 6.8-7.9(7H, m),
8.93(1H, s)
【0055】
【実施例】
実施例1 2−アセチルアミノ−5−クロロ−α−(2−クロロフ
ェニル)ベンジルアルコール酢酸エステルのリパーゼA
P6による不斉加水分解 2−アセチルアミノ−5−クロロ−α−(2−クロロフ
ェニル)ベンジルアルコール酢酸エステル(2.0g)
とトルエン(30ml)、0.1Mりん酸二水素カリウム水
溶液(20ml)と0.1Mりん酸水素二カリウム水溶液
(20ml)の混合液にリパーゼAP6(天野製薬)
(0.8g)を加えて、室温で6日間激しく撹拌した。
反応液に1規定 塩酸(50ml)を加えて反応を停止さ
せ、酢酸エチル(50ml)で抽出した。酢酸エチル層を
重層水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、
減圧留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラ
フィー(ヘキサン:塩化メチレン:酢酸エチル=4:
4:1−1:1:1)で精製し、第1流出分から、未反
応の酢酸 2−アセチルアミノ−5−クロロ−α−(2
−クロロフェニル)ベンジルアルコール酢酸エステル
(1.28g)が得られた。第2流出分から、(S)−
2−アセチルアミノ−5−クロロ−α−(2−クロロフ
ェニル)ベンジルアルコール(0.40g)が油状物と
して得られた。本品の光学純度を、光学活性カラム〔U
LTRON ES−OVM(Shinwa ChemicalIndustrie
s. Ltd.)を用いた高速液体カラムクロマトグラフィー
で決定したところ、85%eeであった。本86%eeの
(S)−2−アセチルアミノ−5−クロロ−α−(2−
クロロフェニル)ベンジルアルコールをヘキサン−ジエ
チルエーテルの混合溶媒に溶解し、析出した結晶(47
mg)を除去した後、母液を減圧留去して、より光学純度
の高い(S)−2−アセチルアミノ−5−クロロ−α−
(2−クロロフェニル)ベンジルアルコール(0.31
g)を油状物として得た。光学純度96.4%ee。 〔α〕D 24−65.3゜(c=0.48,メタノール
中)。
【0056】実施例2 ストレプトミセス・エスピー 121−39(FERM
BP−5208)をグルコース0.5%,デキストリ
ン5%,生大豆粉3.5%,炭酸カルシウム0.7%,p
H7.0からなる培地40mlを含む200ml容エーレン
マイヤー(Erlenmeyer)フラスコの4本で28℃で2日
間振とう下で培養した。上記と同じ培地200mlを含む
1L 容エーレンマイヤーフラスコ15本に上記で得られ
た培養液を10mlづつ移し、28℃で2日間振とう下で
培養を行い、3L の培養液を得た。参考例1で得られた
酢酸 α−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−ピバ
ロイルアミノ−5−クロロベンジルエステル(PBH−
OAcと称する)の3gを150mlのジメチルホルムア
ミドに溶解し、得られた溶液を上記の3L の培養液に添
加し、28℃で2日間振とう下で反応を行い、反応液を
得た。この反応液の1mlを取り、これに1mlの酢酸エチ
ルを加えて撹拌し、その上層をHPLC(前出)にかけ
て分析を行った。その結果、加水分解反応の変換率は4
9%であり、(S)−5−クロロ−α−(2,3−ジメ
トキシフェニル)−2−ピバロイルアミノベンジルアル
コール(略して(S)−PBHと称する)の光学純度は
87.7%eeであった。
【0057】参考例2 (X−線結晶構造解析用サンプルの調製とX−線結晶構
造解析結果) 実施例2で得られた反応液を酢酸エチル抽出し、得られ
た抽出液1.96L を減圧下で濃縮した。残留物(6.7
8g)をシリカゲル(ワコーゲルC−300)150g
を用いるフラッシュクロマトグラフィー(溶離液n−ヘ
キサン:塩化メチレン:酢酸エチル=6:3:1)(内
圧 0.2kg/cm2)に付し精製した。目的物含有フラク
ションを分取し、減圧下で濃縮した。残留物に塩化メチ
レン3mlを加え溶解させ、n−ヘキサン15mlを加え、
一夜放置した。目的物が無色針状結晶として析出した。
本析出結晶を濾取、酢酸エチル−n−ヘキサン(5:
1,v/v)混合液10mlで洗浄し、恒量になるまで減圧
下で乾燥した。粗収量0.79g(光学純度91.8%e
e)。本析出結晶0.79gをメタノール14mlに溶解後
活性炭0.4gを加え脱色処理を行った。活性炭を濾去
し、残渣をメタノール10mlで洗浄した。濾洗液を合併
し40℃に加温し、水8mlを少しづつ加えたのち冷蔵庫
で3日間放冷した。析出結晶を濾取、50%含水メタノ
ール10mlで洗浄し、恒量になるまで減圧下で乾燥し
た。収量0.54g(光学純度99.2%)。本結晶をさ
らに2回メタノール−水(3:1)系から再結晶を繰り
返して純品結晶を無色針状晶として得た。収量0.12
4g(光学純度〜100%ee)。
【0058】なお、ここで用いた光学純度は以下の条件
で測定した高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に
おけるエナンチオマー(鏡像体)過剰率(%ee)で示し
た。 《HPLC条件》 ・光学活性カラム:CHIRALCEL OD(Daicel
Chemical Industries, Ltd.) 4.6mm×250mm ・溶 離 液:n−ヘキサン−iso−PrOH(9:1,v
/v) ・検 出:UV254nm ・流出速度:1.0ml/min ・温 度:25℃以上の様にして得た純品結晶をX−
線結晶構造解析に供した。本光学活性体の絶対配置は
(S)と決定された〔第1図〕 NMR(CDCl3,90MHz)δ:1.37(9H, s), 2.17
(3H, s), 3.37(3H, s),3.83(3H, s), 6.8-7.9(7H, m),
8.93(1H, s)
【0059】参考例3 (S)−α−(2,3−ジメトキシフェニル)−4−ク
ロロ−2−(ネオペンチルアミノ)ベンジルアルコール
【化27】 1L 四ツ口フラスコに(S)−α−(2,3−ジメトキ
シフェニル)−4−クロロ−2−(ピバロイルアミノ)
ベンジルアルコール60g(0.159mol),テトラヒ
ドロフラン240ml,塩化メチレン60mlを入れ、フラ
スコ内をN2 ガスで置換しかき混ぜながら10℃に冷却
した。70%NaAlH2(OCH2CH2OCH32 (Re
d-Al)のトルエン溶液144mlを10〜25℃に保って
撹拌下滴下した。滴下終了後一夜室温で放置した。水1
00mlを氷冷下かき混ぜながら滴下し、酢酸エチル92
3mlを加え抽出した。水層を酢酸エチル923mlで再度
抽出し、第一抽出液と合併した。本合併抽出液に無水M
gSO4 100g,脱色用粉末活性炭6gを加え10分
間かき混ぜたのち濾過した。残渣を酢酸エチル462ml
で洗浄した。濾洗液を合併し、減圧下で濃縮した。残留
物として目的物が粘稠油状物として得られた。粗収量6
2.16g(純度92.9% ∴収率99.6%) IR νmax neat cm-1 : 3430, 2960, 1610, 1590.
【0060】参考例4 トランス−3−{N−〔4−クロロ−2−((S)−α−
ヒドロキシ−2,3−ジメトキシフェニルメチル)フェ
ニル〕−N−ネオペンチルカルバモイル}アクリル酸
エチルエステル
【化28】 1L 四ッ口フラスコに、参考例3で得た(S)−α−
(2,3−ジメトキシフェニル)−4−クロロ−2−
(ネオペンチルアミノ)ベンジルアルコール57.56
g(1.58mol),酢酸エチル347ml,1N NaO
H 238mlを入れ、フマール酸モノエチルエステルク
ロリド28.4g(0.175mol)を10〜15℃に保
って撹拌下滴下した。滴下終了後20℃に昇温し、15
分間かき混ぜた。有機層を分取し、水400mlで洗浄
し、減圧下で濃縮した。残留物として目的物が粘稠油状
物として得られた。 粗収量85.65g(純度90.4% ∴収率99.9
%)
【0061】参考例5 (3R,5S)−トランス−7−クロロ−5−(2,3
−ジメトキシフェニル)−1−ネオペンチル−1,2,
3,5−テトラヒドロ−2−オキソ−4,1−ベンゾオキ
サゼピン−3−酢酸 エチルエステル
【化29】 1L ナス型フラスコに、参考例4で得たトランス−3−
{N−〔4−クロロ−2−((S)−α−ヒドロキシ−
2,3−ジメトキシフェニルメチル)フェニル〕−N−
ネオペンチルカルバモイル}アクリル酸 エチルエステ
ル77.43g(0.158mol),エタノール570ml
を入れ、加熱溶解させた。ついでDBU(1,8−ジア
ザビシクロ〔5,4,0〕−7−ウンデセン)29.8g
(0.196mol)を加え2.5時間還流下加熱した。反
応液を10℃まで徐冷すると目的物の無色結晶が析出し
てきた。本析出結晶を濾取、冷エタノール180mlで洗
浄し、恒量になるまで減圧下で乾燥した。 収量72.91g(94.2%),mp 158−159
℃. IR νmax KBr cm-1 : 1730, 1680.
【0062】参考例6 (3R,5S)−トランス−7−クロロ−5−(2′,
3′−ジメトキシフェニル)−1−ネオペンチル−1,
2,3,5−テトラヒドロ−2−オキソ−4,1−ベンゾ
オキサゼピン−3−酢酸
【化30】 (i)アルカリ加水分解 2L 四ッ口フラスコに参考例5で得た(3R,5S)−
トランス−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェ
ニル)−1−ネオペンチル−1,2,3,5−テトラヒド
ロ−2−オキソ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢
酸 エチルエステル70.0g(0.143mol),テト
ラヒドロフラン350mlを入れ溶解させた。50℃まで
加温した後エタノール700mlを加え、同温度で85%
KOH 14.15g(0.214mol)の水70.7ml溶
液を撹拌下滴下した。滴下後同温度で1時間かき混ぜ
た。冷却後1N−HCl 約85mlを加えて中和(pH
7)した。内温を40−50℃に保って減圧下で濃縮し
た。濃縮液に水700mlを加え再度有機溶媒を留去する
ために減圧下で濃縮した。濃縮液にアセトン700mlを
加え、1N−HCl 160mlで pH3に調整した。10
℃まで冷却し、目的物の結晶を析出させた。本析出結晶
を濾取,50%(v/v)含水アセトン200ml,ついで
水200mlで洗浄し、恒量になるまで減圧下で乾燥し
た。本乾燥結晶をアセトン−水(700ml:700ml)
系で再結晶すると目的物が無色針状晶として得られた。
収量56.1g(85.0%)(光学純度〜100%e
e),mp 231−232℃. 元素分析値 C2428NO6Cl(461.94216)として 計算値: C,62.40; H,6.11; N,3.03; Cl,7.67 実測値: C,62.32; H,6.09; N,2.85; Cl,7.74 IR νmax KBr cm-1 : 3650−3350, 3350−3000, 175
0, 1660. 〔α〕D 20:−268゛(c=0.25,CHCl3
【0063】(ii)酸加水分解 50ml ナス型フラスコに上記基質エチルエステル体2.
0g(4mmol),ジメトキシエタン20ml,1N−HC
l 10mlを加え、48時間還流下加熱した。室温で一日
放冷すると目的物の結晶が析出してきた。本析出結晶を
濾取、50%(v/v)含水ジメトキシエタン20mlで洗
浄し、恒量になるまで減圧下で乾燥した。収量1.3g
(68.9%)(光学純度〜100%ee)。なお、ここ
で用いた光学純度は以下の条件で測定した高速液体クロ
マトグラフィー(HPLC)におけるエナンチオマー
(鏡像体)過剰率(%ee)で示した。 《HPLC条件》 ・光学活性カラム:ULTRON ES−OVM(SH
INWA ChemicalIndustries, Ltd.) 4.6mm×2
50mm ・溶 離 液:20mmol KH2PO4 水溶液:CH3CN
=2000:750(v/v)(pH 3.5) ・検 出:UV254nm ・流出速度:1.0ml/min ・温 度:25℃
【0064】実施例3 バチリス・サチリスIFO 14117をシュークロー
ス2%,コーンスティープ・リカー2.5%,KH2PO
4 0.1%,硫安0.05%,硫酸マグネシウム0.5
%,pH7.0からなる培地40ml(200ml容エーレン
マイヤーフラスコ中)に接種し、28℃で1日間振とう
下で培養した。それぞれ300mlの同じ培地を含む1L
容エーレンマイヤーフラスコの7本に上記で得られた培
養液を3mlづつ移し、28℃で2日間振とう下で培養し
た。得られた培養液(2.1L)を遠心分解し、菌体を
0.1M Tris−HCl 緩衝液 pH7.5で洗浄し、同じ
緩衝液で懸濁し、菌体懸濁液(2.1L)を得た。4.2
gのPBH−OAcを105mlのジメチルホルムアミド
に溶解し、この溶液を上記の菌体懸濁液(2.1L)に添
加して、28℃で1日間振とう下で反応を行い、反応液
を得た。この反応液を1mlとり、これに1mlの酢酸エチ
ルを加えて撹拌し、上層をHPCLで分析したところ、
加水分解反応の変換率は49%であり、(R)−5−ク
ロロ−α−(2,3−ジメトキシフエニル)−2−ピバ
ロイルアミノベンジルアルコール(略して、(R)−P
BHと称する)の光学純度は99%ee以上であった。
【0065】参考例7 (X−線結晶構造解析用サンプルの調製とX−線結晶構
造解析結果) 実施例3で得られた反応液を酢酸エチル抽出し、得られ
た抽出液2L を減圧下で濃縮した。残留物に水を加え、
水溶性物質が含まれる上澄水溶液を捨てた。残留物に酢
酸エチル100mlと水を加え、酢酸エチル層を分取し
た。本酢酸エチル層を減圧下で濃縮した。残留物(3.
1g)をシリカゲル(ワコーゲルC−300)60gを
用いるフラッシュクロマトグラフィー(溶離液n−ヘキ
サン:イソプロピルエーテル:酢酸エチル=7:2:
1,v/v)に付し精製した。目的物含有フラクションを
分取し、減圧下で濃縮すると目的物の粗結晶が得られ
た。収量1.5g(光学純度99.3%ee)。本粗結晶
1.5gをメタノール30mlに溶かし、活性炭0.6gを
加え脱色処理を行った。活性炭を濾去し、残渣をメタノ
ール15mlで洗浄した。濾洗液を合併し、水30mlを加
えて一夜冷蔵庫で放冷した。析出結晶を濾取、50%含
水メタノール15mlで洗浄し、恒量になるまで減圧下で
乾燥した。収量0.85g(光学純度〜100%ee)。
なお、光学純度については上述と同様にして決定し、エ
ナンチオマー(鏡像体)過剰率(%ee)で示した。以上
の様にして得た純品結晶をX−線結晶構造解析に供し
た。本光学活性体の絶対配置は(R)と決定された〔第
2図〕
【0066】実施例4 シュードモナス・エスピー S−13(FERM BP
−5207)を、500mlのトリプチケース・ソイ・ブ
ロス(Trypticase Soy Broth)〔ベクトン・ディツキン
ソン(BECTON DICKINSON)(米国)を含む2L 容口フラ
スコで28℃で1日間振とう培養を行った。得られた培
養液を綿実粉2%,K2HPO4 0.25%,食塩0.5
%,グルコース0.25%,pH7.0からなる培地12
0L を含む200L 容培養タンクに移し、28℃で2日
間通気撹拌培養を行った。得られた培養液の24L 遠心
分離機を用いて濃縮し、3L の菌体懸濁液を得た。30
gのPBH−OAc(実施例2)を300mlのメタノー
ルに溶解した。この溶液を上記の菌体懸濁液(3L)に
添加し、28℃で20時間、撹拌しながら反応を行っ
た。反応後の反応液の1部を取り、その酢酸エチル抽出
液をHPCLで分析したところ、加水分解反応の変換率
は35%であり、(S)−PBHの光学純度は98%ee
以上であった。上記で得られた反応液(3L)に等量の
酢酸エチルを加えて撹拌し、酢酸エチル層を得た。酢酸
エチル層を分取し、減圧下で濃縮した。残留物21g
〔(S)−PBH含量7.03g(33.45%)〕をn−
ヘキサン/イソプロピルエーテル/酢酸エチル(6:
3:1,v/v)の混合溶媒210mlに溶かし、フラッシ
ュクロマトグラフィー〔ワコーゲルC−300,211
g;溶媒:上記混合溶媒系(溶媒比;n−ヘキサン/イ
ソプロピルエーテル/酢酸エチル=16:3:1,v/
v)〕に付した。(S)−PBH含有画分を分取し、減
圧下で濃縮した。残留物に加温(50〜60℃)下n−
ヘキサン140mlを加え、一夜冷蔵庫内で放冷した。析
出結晶を濾取、n−ヘキサン50mlで洗浄し、恒量にな
るまで減圧下で乾燥した。また、濾洗液については減圧
下で濃縮した。濃縮液にn−ヘキサン30mlを加え、放
冷した。析出結晶を濾取、n−ヘキサンで洗浄後乾燥し
た。収量6.73g
【0067】参考例8 α−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−ピバロイル
アミノ−5−クロロベンジルアルコールの合成 参考例1(ii)で得られたα−(2,3−ジメトキシフ
ェニル)−2−ピバロイルアミノ−5−クロロベンジル
アルコールは次のようにしても合成できる。(i)N−
モルホリノ−2,3−ジメトキシベンズアミドの合成
【化31】 200mlナス型コルベンに2,3−ジメトキシ安息香
酸10gと塩化チオニル10mlを入れ、80℃で2時
間加熱還流した。反応液を減圧留去し、得られた残渣に
塩化メチレン20mlを加え、再度減圧留去した。得ら
れた残渣に塩化メチレン50mlを加え溶解した後、氷
冷した。1N−水酸化ナトリウム60mlを加え、次い
でモルホリン5.7mlを加えた。氷冷下10分、室温
で1時間かき混ぜた。有機層を分液して取り、1N−水
酸化ナトリウム30ml、1N−塩酸30ml、水40
mlで洗浄した。有機層を減圧留去し、塩化メチレン1
0mlを加えて溶解した。n−ヘキサン50mlを滴下
し、析出した結晶を濾過して取得した。n−ヘキサン5
mlで洗浄し、減圧下乾燥するとN−スルホリノ−2,
3−ジメトキシベンズアミド10.2gが得られた。収
率74% IRνmax KBrcm-1;1632 NMR(CDCl3,300MHz)δ:3.18-3.32(2H,m), 3.58-3.
66(6H,m),3.87(3H,s),3.88(3H,s),6.83(1H,d lik
e),6.95(1H,d like),7.15(1H,t like).
【0068】(ii)5−クロロ−2−ピバロイルアミノ−
2′,3′−ジメトキシベンゾフェノンの合成
【化32】 50mL4頸フラスコにN−ピバロイル−p−クロロア
ニリン2.0gを入れ、テトラヒドロフラン10mlに
溶解し、N2ガスで置換した後、−40℃に冷却した。
n−ブチルリチウムの1.6M n−ヘキサン溶液12.
4mlを滴下した。内温を25±5℃に保ち、かき混ぜ
ながら2.5時間反応させた。内温を−35℃に冷却
し、N−モルホリノ−2,3−ジメトキシベンズアミド
2.61gとテトラヒドロフラン15mlの溶液をかき
混ぜながら−30±5℃を保って滴下した。内温を25
±5℃まで昇温し、同温度で1.5時間かき混ぜながら
反応させた。水5mlを加え、20分間かき混ぜて反応
させた。減圧下、溶媒を留去した。残渣に塩化メチレン
40mlを加えて溶解させた。水30mlで2回洗浄し
た。減圧下、溶媒を留去した。残渣に酢酸エチル2ml
を加えて溶解し、n−ヘキサン15mlを加えて、析出
結晶を濾取して、n−ヘキサン5mlで洗浄した後、恒
量になるまで減圧乾燥すると5−クロロ−2−ピバロイ
ルアミノ−2′,3′−ジメトキシベンゾフェノン1.6
1gが得られた。収率45% IRνmax KBrcm-1:3248, 1684, 1642 NMR(CDCl3,300MHz)δ:1.39(9H,s), 3.76(3H,s),
3.93(3H,s), 6.84-7.52(1H,d), 8.74-8.82(5H,m), 11.
74(1H,brs).
【0069】(iii)α−(2′,3′−ジメトキシフェ
ニル)−2−ピバロイルアミノ−5−クロロベンジルア
ルコールの合成
【化33】 5−クロロ−2−ピバロイルアミノ−2,3−ジメトキ
シベンゾフェノン100mgにエタノール2mlとテトラ
ヒドロフラン0.1mlを加えて、約40℃に加温して溶
解後、25℃に冷却した。水素化ホウ素ナトリウム29
mgを加えて25〜33℃で5時間かき混ぜて反応させ
た。反応液に水0.1mlを加え、減圧留去した。残渣に
塩化メチレン1mLを加えて溶解し、水1Lで洗浄した
後、減圧留去した。残渣を塩化メチレン0.2 Lで溶解
し、n−ヘキサン2mLを加えると白色結晶が析出し
た。結晶を濾過して取り、n−ヘキサン0.5mLで洗
浄した後、減圧乾燥すると5−クロロ−2−ピバロイル
アミノ−α−(2′,3′−ジメトキシフェニル)ベン
ジルアルコール90.4mgを得た。収率90% IRνmax KBrcm-1:3404, 3308, 1648 NMR(CDCl3, 90MHz)δ:1.13(9H,s), 3.86(3H,s), 3.
88(3H,s), 4.36(1H,d),6.00(1H,d), 6.51-6.61(1H,m),
6.92-7.42(4H,m), 8.14(1H,d), 9.19(1H,b).
【0070】実施例5 シュードモナス・エスピー S−13を60mlのトリプ
チケース・ソイ・ブロス(Trypticase Soy Broth)〔ベ
クトン・ディツキンソン(BECTON DICKINSON)(米
国)〕を入れた500ml容エーレンマイヤー(Erlenmey
er)フラスコ中で28℃で24時間振とう下で培養し
た。2%コーン・スティープ・リカー,0.25%リン
酸水素二カリウム,0.5%塩化ナトリウム,1%シュ
クロース,および適当量の消泡剤を含む120L の培地
(pH 7.4)を入れた200L 容発酵槽(fermentor)
中に上記の培養液を移し、28℃で24時間、通気、撹
拌をしながら培養を行い、種培養液(seed culture)を
得た。2%コーン・スティープ・リカー,0.25%リ
ン酸水素二カリウム,0.5%塩化ナトリウム,1%シ
ュクロース,3%硫酸アンモニウムおよび適当量の消泡
剤を含む1500L の培地(pH 7.5)を入れた20
00L 容発酵槽(fermentor)中に上記の種培養液の1
5L を移し、28℃で通気、撹拌をしながら培養を行
い、主培養液を得た。15kgのPBH−OAc(実施例
に記載)を150L のメタノールに溶解した。この溶液
と上記の主培養液とを混合し、混合液を28℃で14時
間撹拌しながら反応を行った。反応終了後、HPCLで
分析したところ、加水分解反応の変換率は44.1%で
あり、(S)−PBHおよび(R)−PBH−OAcの光学
純度はそれぞれ99%および96%であった。反応終了
後の混合液を反応タンクから別のタンクに移し、水で洗
浄して1700L の反応液を得た。
【0071】実施例6 実施例5で得られた反応液(1700L)を硫酸で pH
5.0に調整した後、細孔径0.2μm のセラミック膜
(東芝セラミックス社、日本)で濃縮し濃縮液360L
を得た。濃縮液にエタノール540L を加え50℃に加
温し1時間撹拌して(S)−PBHを溶解させた後50℃
に保って細孔径0.2μm のセラミック膜(東芝セラミ
ックス社,日本)でろ過する。さらに60%エタノール
水1800L を定容加水し、得られたろ液2370L を
160L まで濃縮後カチオンPB−40(日本油脂、日
本)6.4L を添加し、酢酸エチル300L で抽出し酢
酸エチル相を得た。酢酸エチル相を0.1N硫酸,3%
炭酸ナトリウム,水で順次洗浄した後63L まで濃縮
し、活性炭(白鷺A,武田薬品工業、日本)1.2kgを
加えて1時間撹拌した。ろ過によって活性炭を除いたろ
液を濃縮し、得られた残渣に酢酸エチル3L を加えて溶
かした後ヘキサン103L を添加して分別結晶化すると
(S)−PBHの結晶が5.6kgが得られた。 実施例7 実施例6の分別結晶化で得られた母液に水酸化カリウム
221gを12.3Lのメタノールに溶かした液を加えて
30分加水分解する。加水分解液に水24.6L を加え
ることにより結晶化すると(R)−PBHを主成分とする
結晶6.3kgが得られた。
【0072】
【発明の効果】本発明の製造法によると、医薬、動物
薬、農薬などの合成原料/合成中間体などとして有用な
光学活性体を効率的に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、X−線結晶構造解析の結果を示す。
【図2】は、X−線結晶構造解析の結果を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12P 41/00 C12R 1:38) (72)発明者 長田 敏明 大阪府吹田市山田南50番1号 武田薬品吹 田寮内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式(XII) 【化1】 〔式中、環Dは置換されていてもよいアミノ基を2位に
    有するフェニル基を、環Eは、環Dと異なって、置換さ
    れていてもよい芳香環基を示す。C*は不斉炭素原子を
    示す〕で表わされるラセミ化合物のO−アシル化合物又
    はその塩を酵素的不斉加水分解反応に付すことを特徴と
    する、式(XII)で表わされる化合物の光学的活性体お
    よびその対掌体のO−アシル化合物又はその塩の製造
    法。
  2. 【請求項2】式(XII)で表わされる化合物の光学的活
    性体を分離することを特徴とする請求項1記載の製造
    法。
  3. 【請求項3】酵素的不斉加水分解反応が微生物の培養物
    またはその処理物に基づくものである請求項1記載の製
    造法。
  4. 【請求項4】微生物が細菌、放線菌または糸状菌である
    請求項3記載の製造法。
  5. 【請求項5】細菌がシュードモナス(Pseudomonas)属
    またはバチルス(Bacillus)属に属する微生物である請
    求項4記載の製造法。
  6. 【請求項6】放線菌がストレプトミセス(Streptomyce
    s)属に属する微生物である請求項4記載の製造法。
  7. 【請求項7】糸状菌がアスペルギルス(Aspergillus)
    属に属する微生物である請求項4記載の製造法。
  8. 【請求項8】式(XII)で表わされる化合物が、式(I
    V) 【化2】 〔式中、R1は、水素または置換されていてもよい炭化
    水素基を、環Bはさらに置換されていてもよいベンゼン
    環を、環Cはさらに置換されていてもよいベンゼン環を
    示す。C*は不斉炭素原子を示す〕で表わされる化合物
    である請求項1記載の製造法。
  9. 【請求項9】(i)式(IV) 【化3】 〔式中、R1は水素または置換されていてもよい炭化水
    素基を、環Bはさらに置換されていてもよいベンゼン環
    を、環Cは置換されていてもよいベンゼン環を示す。C
    *は不斉炭素原子を示す〕で表わされるラセミ化合物又
    はその塩のO−アシル化合物を酵素的不斉加水分解反応
    に付し、式(IV)で表わされる化合物の光学活性体又は
    その塩を得る工程と、(ii)式(IV)で表わされる化合
    物の光学活性体又はその塩を、式 【化4】 〔式中、Wは脱離基を、Y1はエステル化されたカルボ
    キシル基を示す。〕で表わされる化合物とを反応させ式
    (V) 【化5】 〔式中、各記号は前に定義した通り〕で表わされる化合
    物又はその塩の光学活性体を得る工程及び(iii)式
    (V)で表わされる化合物又はその塩の光学活性体を塩
    基の存在下環化反応に付し式(III) 【化6】 〔式中、各記号は前に定義した通り〕で表わされる化合
    物又はその塩の光学活性体を得る工程を含む式(III)
    で表わされる化合物又はその塩の光学活性体の製造法。
  10. 【請求項10】式(IV′) 【化7】
  11. 【請求項11】シュードモナス・エスピーS−6(FE
    RM BP−5205),シュードモナスS−11(F
    ERM BP−5206)またはシュードモナス・エス
    ピーS−13(FERM BP−5207)。
  12. 【請求項12】ストレプトミセス・エスピー121−3
    9(FERM BP−5208)。
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