JPH08297830A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH08297830A
JPH08297830A JP12714695A JP12714695A JPH08297830A JP H08297830 A JPH08297830 A JP H08297830A JP 12714695 A JP12714695 A JP 12714695A JP 12714695 A JP12714695 A JP 12714695A JP H08297830 A JPH08297830 A JP H08297830A
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JP
Japan
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magnetic
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resin
layer
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JP12714695A
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Takahiro Hayashi
隆博 林
Koji Matsuno
浩司 松野
Yutaka Takahashi
豊 高橋
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Original Assignee
TDK Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 走行性に優れ、高温高湿の環境下に保存して
も媒体の表面に析出する金属塩の量が極めて少なく、そ
の結果として、ドロップアウトの発生が少なく、電磁変
換特性に優れ、保存後のC/Nにも優れる磁気記録媒体
を提供する。 【構成】 非磁性支持体の上に、強磁性粉末と結合剤を
含む2層の磁性層を有し、かつ、これらの2層の磁性層
のうち少なくとも1層の磁性層には脂肪酸が含有されて
いる磁気記録媒体において、前記2層の磁性層のうち、
上層に位置する第2の磁性層に含有される強磁性粉末の
pH値(この値をpH2 とする)は、8〜11の範囲に
あり、前記2層の磁性層のうち、前記第2の磁性層の下
に接して形成される第1の磁性層に含有される強磁性粉
末のpH値(この値をpH1 とする)は、5〜9の範囲
にあり、かつ、これらのpH値の差であるpH2 −pH
1 の値が、0〜4の範囲にあるように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、いわゆる塗布型の磁気
記録媒体に関し、特に2層の磁性層を有する磁気記録媒
体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の磁気記録媒体の開発動向として、
高周波数領域および低周波数領域の記録信号の電磁変換
特性をバランス良く向上させるために、例えば、磁性層
を上下2層に塗設した積層構造とし、高周波数領域での
出力を得るために上層の磁性層に高保磁力、高飽和磁化
量σS を有する微細な磁性材料を用い、この一方で低周
波数領域での出力を得るために比較的、低保磁力、高飽
和磁化量σs を有する磁性材料を下層の磁性層に用いる
ことが行われている。
【0003】このような2層の磁性層を有する磁気記録
媒体(磁気テープ)に限らず、一般に塗布型の磁気記録
媒体と呼ばれているものは、その磁性層中に磁性粉末が
必須成分として含有されている。そして、この強磁性粉
末は、磁性粉末の製造法上、微量の金属イオンを含んで
いる。また、磁気テープの良好な走行性を確保するため
に脂肪酸を磁性層中に添加することは現在の技術では必
須ともいえる。従って、高温高湿の環境下に磁気テープ
を保存した場合には、磁性粉末に含まれる金属イオンと
磁性層に含有される脂肪酸が反応し、金属塩が磁気テー
プの表面に析出してくる。この析出物は、媒体のドロッ
プアウトを急増させたり、ヘッドとのスペーシングロス
による電磁変換特性の低下を生じさせてしまう。このよ
うな問題は特に、2層以上の磁性層を有する磁気記録媒
体において顕著に現れる傾向があることが、本願発明者
らによって確認されており、早急の改善策が望まれてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような実状のもと
に本発明は創案されたものであって、その目的は、走行
性に優れ、高温高湿の環境下に保存しても媒体の表面に
析出する金属塩の量が極めて少なく、その結果として、
ドロップアウトの発生が少なく、電磁変換特性に優れ、
保存後のC/Nにも優れる磁気記録媒体を提供すること
にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
るために本出願に係る発明者らが、2層以上の磁性層を
有する磁気記録媒体について、最上層およびその下の磁
性層の仕様について鋭意研究した結果、これらの磁性層
に用いられる磁性粉末のpHの設定の仕方によって、高
温高湿の環境下における保存後の金属塩の析出の仕方が
著しく異なることを見いだし本発明に至ったのである。
【0006】すなわち、本発明は、非磁性支持体の上
に、強磁性粉末と結合剤を含む2層の磁性層を有し、か
つ、これらの2層の磁性層のうち少なくとも1層の磁性
層には脂肪酸が含有されている磁気記録媒体において、
前記2層の磁性層のうち、上層に位置する第2の磁性層
に含有される強磁性粉末のpH値(この値をpH2 とす
る)は、8〜11の範囲にあり、前記2層の磁性層のう
ち、前記第2の磁性層の下に接して形成される第1の磁
性層に含有される強磁性粉末のpH値(この値をpH1
とする)は、5〜9の範囲にあり、かつ、これらのpH
値の差であるpH2 −pH1 の値が、0〜4の範囲にあ
るように構成される。
【0007】また、本発明の好ましい態様として、前記
第2の磁性層に含有される強磁性粉末の結晶子径D110
の値は、90〜170Åであるように構成される。
【0008】また、本発明の好ましい態様として、前記
第1の磁性層には脂肪酸が含有されており、その含有量
は、第1の磁性層中の樹脂成分量に対して1〜10wt
%であるように構成される。
【0009】
【作用】本発明は、非磁性支持体の上に、強磁性粉末と
結合剤を含む2層の磁性層を有し、かつ、これらの2層
の磁性層のうち少なくとも1層の磁性層には脂肪酸が含
有されている磁気記録媒体において、前記2層の磁性層
のうち、最上層に位置する第2の磁性層に含有される強
磁性粉末のpH値と、前記2層の磁性層のうち、前記第
2の磁性層の下に接して形成される第1の磁性層に含有
される強磁性粉末のpH値と、これらのpH値の差であ
るpH2 −pH1 の値を所定の範囲に定めているので、
磁性層中に含有される脂肪酸の滲出がうまくコントロー
ルされて、高温高湿の環境下に保存しても媒体の表面に
析出する金属塩の量が極めて少ない。また、摩擦係数が
上昇することもない。
【0010】
【実施例】本発明は、非磁性支持体の上に強磁性粉末と
結合剤を含む2層の磁性層を有し、かつ、これらの2層
の磁性層のうち少なくとも1層の磁性層には脂肪酸が含
有されている磁気記録媒体を対象としている。
【0011】図1には2層の磁性層を有する磁気記録媒
体の好適な一実施例の断面図が示されている。この図に
よれば、本発明の磁気記録媒体1は、非磁性支持体10
と、上層に位置する第2の磁性層22と、この第2の磁
性層22の下に接して形成される(下層に位置する)第
1の磁性層11を備えている。
【0012】上層に位置する第2の磁性層22は、強磁
性粉末と結合剤を有し、この強磁性粉末のpH値(この
値をpH2 とする)は、8〜11の範囲とされる。この
値が、8未満となると高温高湿下での保存中に磁性層中
に含有されている脂肪酸がでやすくなり金属塩の析出が
顕著となる。その結果、保存後のC/N比も大きく劣化
してしまう。また、この値が11を超えると、金属塩の
析出は見られなくなるものの、脂肪酸が磁性層表面にで
にくくなるためか摩擦係数が大きなってしまい、満足の
いく走行性は得られない。
【0013】このような前記第2の磁性層22の下に接
して形成される第1の磁性層11もやはり強磁性粉末と
結合剤を有し、この強磁性粉末のpH値(この値をpH
1 とする)は、5〜9の範囲とされる。この値が5未満
となると、高温高湿下での保存中に磁性層中に含有され
ている脂肪酸がでやすくなり金属塩の析出が顕著とな
る。その結果、保存後のC/N比も大きく劣化してしま
う。また、この値が9を超えると、脂肪酸が磁性層表面
にでにくくなるためか摩擦係数が大きなってしまい、満
足のいく走行性は得られない。
【0014】さらに上記のpH条件に加えて、本発明で
はこれらのpH値の差であるpH2−pH1 の値の設定
が重要な荷重要件となり、本発明におけるpH2 −pH
1 の値は、0〜4の範囲に設定されることが重要であ
る。仮に、このようなpH2 −pH1 の値の設定を行う
ことなく、単に上記のpH2 とpH1 とを上記範囲内に
おいて組み合わせただけであるならば、pH2 −pH1
=6(pH2 =11,pH1 =5の時)の状態や、pH
2 −pH1 =−1(pH2 =8,pH1 =9の時)の状
態が存在する。前者の状態の場合には、高温高湿下での
保存特性が悪くなるという問題が発生しやすく、また、
後者の状態の場合には、摩擦係数が大きくなり走行性が
悪くなるという問題が発生しやすくなる。このような問
題の発生を回避するには、第1の磁性層11や第2の磁
性層22に含有させる脂肪酸量を極めて厳密に計算して
添加しなければならず、添加量の許容範囲が極めて狭く
実用的でない。従って、通常、pH2 −pH1 の値が0
未満となると、摩擦係数が大きくなってしまい、満足の
いく走行性は得られないという不都合が生じ、この値が
4を超えると、高温高湿下での保存中に磁性層中に含有
されている脂肪酸がでやすくなり金属塩の析出が顕著と
なり、保存後のC/N比が大きく劣化してしまうという
不都合が生じてしまうのである。
【0015】これに対して上記のごとくpH2 −pH1
の値を0〜4の範囲に設定すれば、脂肪酸含有量を厳密
に狭い範囲に設定しなくとも、走行性に優れ、高温高湿
の環境下に保存しても媒体の表面に析出する金属塩の量
が極めて少なく、その結果として、ドロップアウトの発
生が少なく、電磁変換特性に優れ、保存後のC/Nにも
優れる磁気記録媒体が得られる。
【0016】本発明における強磁性粉末のpH値は、以
下のような手順で測定して求められる。すなわち、ビー
カーに強磁性粉末5gと、純水100ccを入れ、10
分間沸騰させ、その後常温になるまで放置する。しかる
後、この濾別した上澄み液の中にpH測定機(SIBA
TA社製、PH=810)の電極棒を入れ、pHを測定
する。
【0017】また、本発明の磁気記録媒体を8ミリビデ
オ用のテープに用いる場合には、前記第2の磁性層22
に含有される強磁性粉末の結晶子径D110 の値は、90
〜170Å、より好ましくは、110〜150Åとされ
る。この値が170Åを超えると、C/N比があまり高
くとれず、8ミリビデオ用のテープとして十分な機能を
発揮することができなくなってしまう。また、この値が
90Å未満となると、強磁性粉末が常磁性材となってし
まうという不都合が生じる。
【0018】本発明における強磁性粉末の結晶子径D
110 の値は、以下のような手順で測定して求められる。
すなわち、X線法により強磁性金属粉末の(110)方
向のプロファイルを得る。この時用いる銅(Cu)の波
長(λ)は、1.5418407Åである。得られたプ
ロファイルより、(110)のピークについて、Kα1
線のピークとKα2 線のピークとを分離し、Kα1 線の
ピーク位置と積分幅を求める。得られた積分幅から自然
幅(測定装置によるプロファイルの広がり)を除くた
め、補正を行う。Kα1 線のピーク位置(θ)と補正後
の積分幅(β)から以下のシェラーの計算式を用いて結
晶子径D110 を求める。
【0019】 D110 =1.0×λ/(βcosθ) …シェラーの式 また、第1の磁性層11に含有される強磁性粉末は、そ
の比表面積BET値が30〜50m2 /g、好ましく
は、35〜45m2 /gのものを用いるのがよい。この
値が30m2 /g未満となると、磁性層の表面平滑性が
損なわれるという不都合が生じ、また、この値が50m
2 /gを超えると、塗料中での分散が困難となるという
不都合が生じる。
【0020】本発明における前記第2の磁性層22の厚
さは、0.1〜0.5μm、好ましくは、0.2〜0.
4μmとされ、前記第1の磁性層11の厚さは、1.5
〜2.5μmとされる。前記第2の磁性層22の厚さ
が、0.1μm未満となると、磁性層の表面平滑性が極
端に悪化してしまう。また、この値が0.5μmを超え
ると、低域の出力が低下してしまうばかりか経済的効果
にも乏しい。また、前記第1の磁性層11の厚さが、
1.5μm未満となると、支持体表面の突起などの影響
を受けやすくなり磁性層表面の表面平滑性が損なわれる
ことがある。また、この値が2.5μmを超えると、接
着強度が低下してしまい粉落ちなどにより目詰まり、ド
ロップアウトの発生等が生じることがあるばかりか経済
的効果にも乏しい。
【0021】また、本発明においては、これらの2層の
磁性層11,22のうち、少なくとも1層の磁性層中に
は脂肪酸が含有されている。通常は、2層の磁性層1
1,22の両方に、脂肪酸を含有させることが好ましい
が、前述したように前記第1の磁性層11の厚さの方が
第2の磁性層22の厚さよりも厚いため、第1の磁性層
11に含有させることのできる脂肪酸絶対量は第2の磁
性層22よりも格段と多い。そのため、媒体の走行性を
良好にするためには、第1の磁性層11に含有される脂
肪酸含有量が特に重要であることがさらに本発明で実験
的に確認されており、その含有量は、第1の磁性層11
中の樹脂成分量に対して1〜10wt%、好ましくは、
2〜7wt%とされる。この値が10wt%を超える
と、金属塩の析出が多大となり、保存後のC/N比が劣
化するという不都合が生じる。また、この値が1wt%
未満となると、磁性層表面の摩擦係数が大きくなり走行
性に悪影響を及ぼす。なお、第2の磁性層22の脂肪酸
含有率は、第2の磁性層中の樹脂成分量に対して、通
常、1〜10wt%程度とされる。ただし、厚さが薄い
ために絶対含有量が少ないことは、前述したとおりであ
る。
【0022】次に、第1の磁性層11および第2の磁性
層22を形成するための磁性塗料(磁性層構成成分)に
ついて説明する。
【0023】まず最初に、前記第2の磁性層22の下に
接して形成される第1の磁性層11について説明する。
【0024】本発明の磁気記録媒体の第1の磁性層11
を形成するために用いられる磁性塗料には、主成分とし
て強磁性粉末、結合剤(バインダ)および溶剤が含有さ
れている。
【0025】使用される強磁性粉末としては、前述した
ようにpH値(pH1 )が5〜9の範囲のものであり、
より具体的には酸化鉄磁性粉末、特に、Co化合物が被
着またはドープされた酸化鉄磁性粉末を用いるのが好ま
しい。ここで、Co化合物とは、Coの磁気異方性を保
磁力向上に活用する化合物を示す。Co化合物が被着ま
たはドープされたγ−Fe23 を用いる場合におけ
る、2価の鉄の3価の鉄に対する比は、好ましくは0〜
20%であり、さらに好ましくは2〜10%である。
【0026】なお、上記の強磁性粉末には、Al、S
i、Cr、Mn、Co、Ni、Zn、Cu、Zr、T
i、Bi、Pt、B、C、P、N、S、Sc、V、M
o、Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、Te、Ba、C
a、Ta、W、Re、Au、Hg、Pb、Sr、希土類
等の元素を少量添加したものであってもよく、これらの
元素の中でもとくに、Al、Si、P、希土類元素を添
加することによって粒度分布を向上させ、焼結を防止す
る等の効果がある。
【0027】またこれらの強磁性粉末には、Al、S
i、Pまたはこれらの酸化物膜で覆ったものでも、S
i、Al、Ti等のカップリング剤や各種の界面活性剤
等で表面処理したものでもよい。
【0028】これらの強磁性粉末にはあとで述べる分散
剤、潤滑剤、界面活性剤、帯電防止剤等で分散前にあら
かじめ処理を行ってもかまわない。
【0029】強磁性粉末の含水率は0.1〜2%であれ
ばよいが、結合剤の種類によって最適化することが好ま
しい。
【0030】このような強磁性粉末は、通常、結合剤
(バインダ)100wt%に対し100〜2000wt
%程度含有され、磁性層中の強磁性粉末の含有量は、全
体の50〜95wt%、好ましくは55〜90wt%と
し、強磁性粉末の含有量が多すぎると磁性層中の樹脂を
始めとする添加物の量が相対的に減少するため、磁性層
の耐久性が低下する等の欠点が生じやすくなり、少なす
ぎると高い再生出力を得られない。
【0031】これらの強磁性粉末は、それぞれ単独で使
用してもよいし、同種の2種以上を混合して用いてもよ
い。混合して用いる場合には、混合物のpHが本願の範
囲となるように配合設定される。
【0032】磁性塗料に使用される結合剤としては、熱
可塑性樹脂、熱硬化性ないし反応型樹脂、電子線感応型
変性樹脂等が用いられ、その組み合わせは媒体の特性、
工程条件に合わせて適宜選択使用される。
【0033】熱可塑性樹脂としては、軟化温度が150
℃以下、平均分子量5000〜200000、重合度5
0〜2000程度のものが用いられる。熱硬化性樹脂、
反応型樹脂または電子線官能型変性樹脂も熱可塑性樹脂
同様の平均分子量、重合度のものであって、塗布、乾
燥、カレンダー加工後に加熱、および/または電子線照
射することにより、縮合、付加等の反応により分子量は
無限大のものとなるものである。
【0034】これらのうちで、好ましく用いられるもの
としては、以下に示すような塩化ビニル系共重合体およ
びポリウレタン樹脂の組み合わせである。
【0035】塩化ビニル系共重合体は、塩化ビニル含有
量60〜95wt%、とくに60〜90wt%のものが
好ましく、その平均重合度は100〜500程度である
ことが好ましい。
【0036】このような塩化ビニル系樹脂と併用するポ
リウレタン樹脂は、耐摩耗性および支持体への接着性が
良い点でとくに有効であり、これらには、側鎖に極性
基、水酸基等を有するものであっても良く、とくに硫黄
または燐を含有する極性基を含有しているものが好まし
い。
【0037】これらポリウレタン樹脂とは、ポリエステ
ルポリオールおよび/またはポリエーテルポリオール等
のヒドロキシ基含有樹脂とポリイソシアネート含有化合
物との反応により得られる樹脂の総称であって、合成原
料を数平均分子量で500〜200000程度に重合し
たもので、そのQ値(重量平均分子量/数平均分子量)
は1.5〜4程度である。
【0038】また、これらのウレタン樹脂は、用いる結
合剤中において、ガラス転移温度Tgが−20℃≦Tg
≦80℃の範囲で異なるものを少なくとも2種類以上、
さらにその合計量が全結合剤の10〜90wt%であ
り、これら複数のポリウレタン樹脂を含有することで、
高温度環境下での走行安定性とカレンダ加工性、電磁変
換特性のバランスが得られる点で好ましい。
【0039】さらに、これら塩化ビニル系共重合体と、
ポリウレタン樹脂とは、その重量混合比が10:90〜
90:10となるように混合して用いることが好まし
い。
【0040】なお、これらの樹脂に加えて、全体の20
wt%以下の範囲で、公知の各種樹脂が含有されていて
もよい。
【0041】ポリウレタン樹脂中に含まれる極性基とし
て、S含有基としては−SO3 M(スルホン酸基)、−
SO4 M(硫酸基);リン酸含有極性基としては、ホス
ホン酸基−PO32 、ホスフィン酸基−PO22
亜ホスフィン酸基−POM2、−P=O(OM1 )(O
M2 )、−OP=O(OM1 )(OM2 );−COO
M、−NR4 X(ここで、M、M1 、M2 は、H、L
i、Na、K、−NR4 、−NHR3 を示し、Rはアル
キル基もしくはHを示し、Xはハロゲン原子を示す)−
OH、−NR2 、−N+3 (Rは炭化水素基)、エポ
キシ基、−SH、−CN等から選ばれる少なくとも一つ
以上のの極性基を共重合または付加反応で導入したもの
を用いることが好ましく、このうちMとしてはとくにN
aが好ましく、これら極性基は、原子として分子中に
0.01〜10wt%、とくに0.02〜3wt%含ま
れていることが好ましく、これら極性基は骨格樹脂の主
鎖中に存在しても、分枝中に存在してもよい。
【0042】このようなウレタン樹脂は公知の方法によ
り、特定の極性基含有化合物および/または特定の極性
基含有化合物と反応させた原料樹脂等を含む原料とを溶
剤中、または無溶剤中で反応させることにより得られ
る。
【0043】これら以外の熱可塑性樹脂としては、例え
ば(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリロ
ニトリル−ブタジエン系共重合体、ポリアミド樹脂、ポ
リビニルブチラール、ニトロセルロース、スチレン−ブ
タジエン系共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、アセ
タール樹脂、エポキシ系樹脂、フェノキシ系樹脂、ポリ
エーテル樹脂、ポリカプロラクトン等の多官能性ポリエ
ーテル類、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、フェノー
ル樹脂、ポリブタジエンエラストマー、塩化ゴム、アク
リルゴム、イソプレンゴム、エポキシ変性ゴム等をあげ
ることができる。
【0044】また熱硬化性樹脂としては、縮重合するフ
ェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹
脂、尿素樹脂、ブチラール樹脂、ホルマール樹脂、メラ
ミン樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、アクリル
系反応樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ−ポリアミド樹
脂、飽和ポリエステル樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂
等が挙げられる。
【0045】上記共重合体の中でも、末端およびまたは
側鎖に水酸基を有するものが反応型樹脂として、イソシ
アナートを使用した架橋や電子線架橋変性等が容易に利
用できるため好適であり、さらに末端や側鎖に極性基と
して−COOH、−SO3 M、−OSO3 M、−OPO
3 M、−PO3 M、−PO2 M、−N+3 Cl- 、−
NR2 等をはじめとする酸性極性基、塩基性極性基等を
含有していてもよく、これらの含有は分散性の向上に好
適である。ここで、Mの定義は上述したとおりであり、
Rはアルキル基またはHを示す。、これらは一種単独で
使用しても、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0046】バインダー樹脂を硬化する架橋剤として
は、各種ポリイソシアナートを用いることができ、トリ
レンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナー
ト、メチレンジイソシアナート等の1種以上を、トリメ
チロールプロパン等の水酸基を複数有するものに変性し
た架橋剤、またはジイソシアネート化合物3分子が結合
したイソシアヌレート型の架橋剤を用いることが好まし
く、架橋剤の含有量は樹脂100wt%に対し、1〜5
0wt%とすることが好ましく、この架橋剤によりバイ
ンダー樹脂に含有される水酸基等と三次元的に結合して
塗膜層の耐久性が向上できる。
【0047】具体的には日本ポリウレタン株式会社製の
コロネートL、HL、3041、旭化成株式会社製の2
4A−100、TPI−100、BFGoodrich
社製のデスモジュールL、N等が挙げられる。
【0048】一般に、このような反応性または熱硬化性
樹脂を硬化するには、加熱による熱硬化処理を行えばよ
い。
【0049】さらに上記共重合体に公知の手法により、
(メタ)アクリル系二重結合を導入して電子線感応変性
を行ったものを使用することも可能である。
【0050】この電子線感応変性を行うには、トリレン
ジイソシアネート(TDI)と2−ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート(2−HEMA)との反応物(ア
ダクト)とを反応させるウレタン変性、エチレン性不飽
和二重結合を1個以上およびイソシアネート基1個を1
分子中に有し、かつウレタン結合を分子中に持たないモ
ノマー(2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレー
ト等)を用いる改良型ウレタン変性、水酸基やカルボン
酸基を有する樹脂に対し(メタ)アクリル基とカルボン
酸無水物あるいはジカルボン酸を有する化合物を反応さ
せてエステル変性する方法とがよく知られているが、こ
れらの中でも改良型ウレタン変性が、塩化ビニル系樹脂
の含有比率を上げても脆くならず、しかも分散性、表面
性にすぐれた塗膜を得ることができるため好ましい。
【0051】またその電子線官能基含有量は、製造時の
安定性、電子線硬化性等から水酸基成分中1〜40モル
%、好ましくは10〜30モル%であり、とくに塩化ビ
ニル系共重合体の場合1分子あたり1〜20個、好まし
くは2〜10個の官能基となるようにモノマーを反応さ
せると分散性、硬化性ともに優れた電子線硬化性樹脂を
得ることができる。
【0052】ここにいうアクリル系二重結合とは、(メ
タ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メ
タ)アクリル酸アミドの残基である(メタ)アクリロイ
ル基をいう。
【0053】これら電子線感応変性樹脂を用いる場合、
架橋率を向上させるために従来公知の多官能アクリレー
トを1〜50wt%混合して使用してもよい。
【0054】電子線感応性変性樹脂をバインダーとして
用いた場合の硬化に際しては、前述したような電子線を
使用する方法や紫外線を使用する方法を採用すればよ
い。紫外線を用いる場合には、電子線硬化性樹脂を含有
するバインダーの中に、従来公知の光重合増感剤が加え
られる。
【0055】さらに磁性塗料に含有される溶剤として
は、とくに制限はないが、結合剤(バインダ)の溶解
性、相溶性および乾燥効率等を考慮して適宜選択され、
例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、
シクロヘキサノン等のケトン類、トルエン、キシレン等
の芳香族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエス
テル類、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール
類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルム
アミド、ヘキサン、塩素置換炭化水素類等の希釈剤ない
し溶剤を単一溶剤またはこれらの任意比率の混合溶剤と
して用いる。
【0056】磁性塗料中には、通常、潤滑剤が含有され
る。用いる潤滑剤としては、公知の種々の潤滑剤の中
で、とくに脂肪酸および/または脂肪酸エステルを用い
るのが好ましく、炭素数12〜24(不飽和結合を含ん
でも、また分枝していてもかまわない)の一塩基性脂肪
酸、炭素数10〜24(不飽和結合を含んでも、また分
枝していてもかまわない)の一塩基性脂肪酸と炭素数2
〜22(不飽和結合を含んでも、また分枝していてもか
まわない)の一価、二価、三価、四価、五価、六価アル
コール、ソルビタン、ソルビトール等の環状もしくは多
糖類還元アルコール等のいずれか一つとからなるモノ脂
肪酸エステル、ジ脂肪酸エステル、トリ脂肪酸エステ
ル、これらの混合物、または2種類以上を併用してもよ
い。
【0057】これらの具体例として一塩基性脂肪酸につ
いては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ス
テアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ベ
ヘン酸、エルカ酸、エライジン酸等を挙げることがで
き、脂肪酸エステルについては、ブチルミリステート、
ブチルパルミテート、ブチルステアレート、ネオペンチ
ルグリコールジオレエート、ソルビタンモノステアレー
ト、ソルビタンジステアレート、ソルビタントリステア
レート、オレイルオレエート、イソセチルステアレー
ト、イソトリデシルステアレート、オクチルステアレー
ト、イソオクチルステアレート、アミルステアレート、
ブトキシエチルステアレート等が挙げられる。潤滑剤と
しての脂肪酸含有率については、前述の所定範囲内で用
いることが好ましい。
【0058】磁性塗料中には、通常、潤滑効果、帯電防
止効果、分散効果、可塑効果等を発現させるための添加
剤が含有される。例えば、シリコーンオイル類、フッ素
オイル、フッ素置換炭化水素基含有のアルコール、脂肪
酸、エステル、エーテル類、パラフィン類、前記脂肪酸
エステル製造用アルコール類、アルコキシアルコール
類、ポリエチレンオキシド付加モノアルキルエーテルの
脂肪酸エステル類、脂肪族または環状アミン類、脂肪酸
アミド類、第四級アンモニウム塩類、ポリオレフィン
類、ポリグリコール、ポリフェニルエーテル、アルキレ
ンオキサイド系、グリセリン系、グリシドール系、アル
キルフェノールエチレンオキサイド付加体等のノニオン
界面活性剤、ホスホニウムまたはスルホニウム等のカチ
オン系界面活性剤、カルボン酸、スルホン酸、燐酸、硫
酸エステル基、燐酸エステル基等の酸性基を含むアニオ
ン界面活性剤、アミノ酸類、アミノスルホン酸類、アミ
ノアルコールの硫酸または燐酸エステル類、アルキルベ
タイン型等の両性界面活性剤等も使用できる。
【0059】これらの界面活性剤については、「界面活
性剤便覧」(産業図書株式会社発行)に詳細に記載され
ている。
【0060】これらの添加剤量は、強磁性粉末に対して
総計10wt%以下、とくに0.01〜5wt%の範囲
で用いれば良い。
【0061】さらに、磁性塗料中には無機化合物を含有
させてもよい。使用できる無機質粉末としては、例え
ば、金属、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属
窒化物、金属炭化物、金属硫化物等の無機質粉末が挙げ
られる。
【0062】具体的には、α−アルミナ、β−アルミ
ナ、γ−アルミナ、θ−アルミナ、δーアルミナ、三酸
化二クロム、α−酸化鉄、SiO2 、ZnO、TiO
2 、ZrO2 、SnO2 、窒化珪素、窒化硼素、炭化珪
素、炭化チタン、炭化モリブデン、炭化ホウ素、炭化タ
ングステン、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸スト
ロンチウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫化亜
鉛、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、人造ダイ
アモンド等が単独または組み合わせて使用される。
【0063】これらの無機化合物は、強磁性粉末に対し
て、重量比率で0.1〜20wt%の範囲で用いられ
る。
【0064】これらの無機化合物は磁性層の要求特性に
合わせて適宜組み合わせて用いればよい。
【0065】これら無機質粉末の粒子の形状、サイズ等
は任意に設定すれば良いが、粒子形状は球状、粒状また
は多面体が好ましく、粒子サイズは好ましくは0.01
〜0.7μmであり、これらは必要に応じて、媒体に要
求される耐久性とヘッド摩耗および最短記録波長におけ
る出力のバランスから適宜選択すれば良く、単一系でも
混合系でも良く、単独で粒度分布等を選択することもで
きる。
【0066】さらに、磁性塗料中には、カーボンブラッ
クを含有させてもよい。カーボンブラックとしてはファ
ーネスカーボンブラック、サーマルカーボンブラック、
アセチレンブラック等を用いることができる。これらの
カーボンブラックの粒子サイズ等は任意に設定すれば良
いが、媒体に要求される電気抵抗と摩擦特性および最短
記録波長における出力のバランス(表面粗さ)から適宜
選択すれば良く、単一系でも混合系でも良く、単独で粒
度分布等を選択することもできる。これらカーボンブラ
ックの平均粒径は10nm〜400nm、好ましくは2
0〜350nmであり、さらに詳細には、電磁変換特性
を優先的に考慮すると20〜40nmが好ましく、摩擦
特性を重視する場合は40〜350nmの範囲で電磁変
換特性において許容される可能な限り大きな粒径を用い
ることが好ましい。また、カーボンブラックの選定にお
いては、粒子サイズのみならず、BET値、DBP値を
考慮する必要があるが、カーボンブラックの粒子サイ
ズ、BET値およびDBP値は密接に関係するため、単
独でかけ離れた数値とすることは実現不可能であるた
め、これらの三要素は媒体の要求特性と塗料における分
散特性、流動特性とにより実験的に選定することが必要
である。
【0067】これらのカーボンブラックは、結合剤に対
して、重量比率で10〜500wt%、あるいは磁性粉
末に対して、0.1〜20wt%の範囲で用いられる
が、媒体の要求特性と塗料における分散特性、流動特性
とにより実験的に選定することが必要である。さらに、
これらのカーボンブラックは、磁性粉との混練時または
分散時に同時に添加しても良いし、あらかじめ結合剤で
分散しておいて、磁性塗料の分散時に添加してもかまわ
ない。
【0068】また、これらのカーボンブラックを潤滑
剤、分散剤等で表面処理したり、表面の一部をグラファ
イト化したもの等を使用しても構わない。
【0069】本発明で使用できるカーボンブラックは、
例えば「カーボンブラック便覧」、カーボンブラック協
会編を参考にすることができる。
【0070】さらに磁性塗料中には、非強磁性有機質粉
末を含有させてもよい。用いられる非強磁性有機質粉末
としては、アクリルスチレン系樹脂粉末、ベンゾグアナ
ミン樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、フタロシアニン系
顔料、アゾ系顔料、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエ
ステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド
系樹脂粉末、フッ化炭化水素樹脂粉末、ジビニルベンゼ
ン系樹脂粉末等が挙げられる。このような非強磁性有機
質粉末は、結合剤に対して、重量比率で0.1〜20w
t%の範囲で用いられる。
【0071】このような磁性塗料が塗設される非磁性支
持体10としては、ポリエチレンテレフタレート(PE
T)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエ
ステル類、ポリオレフイン類、ポリアミド、ポリイミ
ド、ポリアミドイミド、ポリスルホンセルローストリア
セテート、ポリカーボネート等の公知のフイルムを使用
することができる。
【0072】次いで、このような第1の磁性層11の上
に形成される、上層としての第2の磁性層22を形成す
るための磁性塗料について説明する。
【0073】第2の磁性層22を形成するために用いら
れる磁性塗料には、主成分として強磁性粉末、結合剤
(バインダ)および溶剤が含有されている。
【0074】使用される強磁性粉末としては、前述した
ようにpH値(pH2 )が8〜11の範囲のものであ
り、具体的には、強磁性金属粉末を用いるのがよい。
【0075】強磁性金属粉末としては、Fe、Ni、C
oおよびこれらの合金が例示され、α−Fe、Fe−C
o、Fe−Ni、Fe−Co−Ni、Co、Co−Ni
等の強磁性金属元素を主成分とするものを用いる場合、
金属(Fe、Co、Ni等)または合金を70wt%以
上含むことが好ましく、さらには75wt%以上含むこ
とが好ましい。また、Feを主成分とし、さらに少なく
ともCoを含有する強磁性金属磁性粉末においては、そ
のFe原子に対するCo原子の量は5〜40wt%、好
ましくは6〜35wt%である。また、Feおよび/ま
たはCoを主成分とする強磁性金属粉末においては、さ
らにYを含む希土類元素を含有するものが好ましい。さ
らにこれら強磁性金属粉末は、粒子表面に酸化被膜ある
いは、一部炭化ないし窒化された強磁性金属粉末、また
は表面に炭素質被膜がなされた強磁性金属粉末であって
もよい。上記強磁性金属粉末については、少量の水酸化
物または酸化物を含んでもよい。
【0076】また、上記の強磁性粉末には、Al、S
i、Cr、Mn、Co、Ni、Zn、Cu、Zr、T
i、Bi、Pt、B、C、P、N、S、Sc、V、M
o、Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、Te、Ba、C
a、Ta、W、Re、Au、Hg、Pb、Sr、希土類
等の元素を少量添加したものであってもよく、これらの
元素の中でもとくに、Al、Si、P、希土類元素を添
加することによって粒度分布を向上させ、焼結を防止す
る等の効果がある。
【0077】また、これらの強磁性粉末には、Al、S
i、Pまたはこれらの酸化物膜で覆ったものでも、S
i、Al、Ti等のカップリング剤や各種の界面活性剤
等で表面処理したものでもよい。
【0078】結合剤および溶剤については、前記第1の
磁性層11のところで説明したものから適宜選択されて
用いられる。その他、潤滑剤、カーボンブラック、無機
化合物、各種添加剤等も、前記第1の磁性層11のとこ
ろで説明したものから適宜選定して添加することができ
る。
【0079】本発明において、前記第1の磁性層11お
よび第2の磁性層22は、いわゆるウエット・オン・ウ
エット方式で塗設してもよいし、ウエット・オン・ドラ
イ方式により塗設してもよい。ウエット・オン・ウエッ
ト方式は、非磁性支持体10の上に第1の磁性層11を
塗設して、この層が未乾燥の内に次層である第2の磁性
層22を塗設する方法である。これに対して、ウエット
・オン・ドライ方式は、第1の磁性層11を塗設、乾燥
した後に第2の磁性層22を塗設する方法である。ウエ
ット・オン・ウエット方式は、例えば、生産性の向上、
配向磁場の最適化容易となる等のメリットがある。
【0080】ウエット・オン・ウエット方式において、
第1の磁性層11を塗設してから第2の磁性層を塗設す
るものとしてもよく、また、両層を同時に設けてもよ
い。このような塗布方式に用いるコータには特に制限は
ないが、例えば塗布口が複数あるものを用いてもよい
し、複数のコータヘッドを用いてもよい。
【0081】また、このような磁性塗料が塗設される非
磁性支持体の反対面側には、バックコート層が形成され
てもよいし、第1の磁性層11の下に下地層が形成され
てもよい。以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明
をさらに詳細に説明する。
【0082】(実施例1)下記に示されるような第2の
磁性層(上層)形成のための磁性塗料、および第2の磁
性層の下に接して設けられる第1の磁性層(下層と称す
る)形成のための磁性塗料を、それぞれ準備した。
【0083】 第2の磁性層(上層)形成のための磁性塗料組成物 強磁性金属磁性粉末(pH(pH2 )=10,D110 =118, Fe/ Co/ Al/ Y = 100 /20/4.2 /5.3(重量比), Hc=1600 Oe, σs =125 emu/g , 比表面積BET 値=60 m2/g, 平均長軸長=0.08μm,平均軸比=5) …100重量部 塩化ビニル系共重合体(日本ゼオン(株)製,MR−110, 重合度300,極性基−SO3 K) … 10重量部 ポリエステルポリウレタン樹脂(東洋紡績(株)製,UR−8700) … 5重量部 ポリエステルポリウレタン樹脂(東洋紡績(株)製,UR−8300) … 2重量部 α−Al23 (住友化学工業(株)製,HIT50A, 平均粒径0.20μm)… 6重量部 Cr23 (日本化学工業(株)製,クロメックスU1, 平均粒径0.20μm)… 8重量部 ステアリン酸 … 1重量部 ステアリン酸ブチル …0.3重量部 メチルエチルケトン …122重量部 トルエン …106重量部 シクロヘキサノン … 76重量部 この組成物をニーダにて十分に混練混合した後、サンド
グラインドミルにて分散を行った。このようにして得ら
れた磁性塗料に硬化剤(日本ポリウレタン工業(株)
製,コロネートL)を3重量部添加混合し、第2の磁性
層(上層)形成用の磁性塗料を作成した。
【0084】 第1の磁性層形成のための磁性塗料組成物 Co含有γ−Fe23 ( pH(pH1 )=8, Hc=700 Oe, σs =80 emu/g , 比表面積 BET値=42 m2/g , 平均長軸長=0.25μm,平均軸比=9) …100重量部 塩化ビニル系共重合体(日本ゼオン(株)製,MR−110, 重合度300,極性基−SO3 K) … 10重量部 ポリエステルポリウレタン樹脂(東洋紡績(株)製,UR−8200) … 7重量部 Cr23 (日本化学工業(株)製,クロメックスU1, 平均粒径0.20μm)… 5重量部 ステアリン酸 …0.7重量部 ステアリン酸ブチル …0.3重量部 メチルエチルケトン … 97重量部 トルエン … 85重量部 シクロヘキサノン … 60重量部 この組成物をニーダにて十分に混練混合した後、サンド
グラインドミルにて分散を行った。このようにして得ら
れた磁性塗料に硬化剤(日本ポリウレタン工業(株)
製,コロネートL)を3重量部添加混合し、第1の磁性
層形成用の磁性塗料を作成した。
【0085】次に、上記の2種の磁性塗料を、ギャップ
幅の異なる2つのスリットを持つコーターを用いて、厚
さ9μmのポリエチレンテレフタレート(PET)から
なる非磁性支持体の上に、同時重層塗布(第1の磁性層
に第2の磁性層が重なるように)し、7000ガウスの
配向磁石で配向し、カレンダ加工後、熱硬化を行った。
第1の磁性層の厚さは、1.7μm、第2の磁性層の厚
さは、0.3μmとした。これをスリッタにより8mm
幅に切断して、磁気テープサンプルを作成した(実施例
サンプル1)。
【0086】(実施例2〜4)第2の磁性層(上層)お
よび第1の磁性層(下層)形成のための磁性塗料組成物
に含有される強磁性粉末の種類を変えて、下記表1に示
されるようにpH2 、D110 、およびpH1 の値を変え
た。それ以外は、上記実施例1と同様にして実施例2〜
4のサンプルをそれぞれ作製した。
【0087】(比較例1〜4)第2の磁性層(上層)お
よび第1の磁性層(下層)形成のための磁性塗料組成物
に含有される強磁性粉末の種類を変えて、下記表1に示
されるようにpH2 、D110 、およびpH1 の値を変え
た。それ以外は、上記実施例1と同様にして比較例1〜
4のサンプルをそれぞれ作製した。
【0088】ちなみに、比較例1はpH2 が本発明の下
限値未満のもの、比較例2は、pH2 が本発明の上限値
を超えるもの、比較例3はpH1 が本発明の下限値未満
のもの、比較例4は、pH1 が本発明の上限値を超える
ものである。
【0089】(実施例5〜7)上記実施例1において、
下記表1に示されるようにD110 の値を変えた。それ以
外は、上記実施例1と同様にして実施例5〜7のサンプ
ルをそれぞれ作製した。
【0090】(比較例5)上記実施例1において、下記
表1に示されるようにD110 の値を変えた。それ以外
は、上記実施例1と同様にして比較例5のサンプルを作
製した。
【0091】(比較例6,7)第2の磁性層(上層)お
よび第1の磁性層(下層)形成のための磁性塗料組成物
に含有される強磁性粉末の種類を変えて、下記表1に示
されるようにpH2 、D110 、およびpH1 の値を変え
た。それ以外は、上記実施例1と同様にして比較例6,
7のサンプルをそれぞれ作製した。
【0092】ちなみに、比較例6はpH2 −pH2 の値
が本発明の下限値未満のもの、比較例7は、pH2 −p
1 の値が本発明の上限値を超えるものである。
【0093】(実施例8)上記実施例1において、第2
の磁性層(上層)の厚さを0.1μmに変えた。それ以
外は、上記実施例1と同様にして実施例8のサンプルを
作製した。
【0094】このように作成した実施例サンプル1〜
8、および比較例サンプル1〜7について、下記の要領
で(1)磁性層表面への金属塩の析出、(2)摩擦係
数、および(3)保存前および保存後におけるC/N比
をそれぞれ測定して媒体の評価を行った。
【0095】(1)磁性層表面への金属塩の析出 50℃−90%RHの環境下で48時間サンプルを保存
した後、磁性層表面の状態を顕微鏡にて観察して金属塩
の析出状態を確認した。
【0096】評価基準は以下の通り。
【0097】◎…ほとんど金属塩の析出は認められない 〇…金属塩の析出が若干認められるもののドロップアウ
トや電磁変換特性に及ぼす影響が少ない ×…金属塩の析出が認められ、ドロップアウトや電磁変
換特性に及ぼす影響が大きい (2)摩擦係数 保存前の磁性層表面の摩擦係数を下記の要領で求めた。
すなわち、4mmΦのステンレスピンに抱き角180
度、テンション20g、速度1m/分で走行させ、ピン
前後のテンション比を求め、オイラーの式により摩擦係
数を算出した。
【0098】(3)保存前および保存後におけるC/N
50℃−90%RHの環境下で48時間サンプルを保存
する前、および保存後のC/N比を求めた。C/N比の
測定は、以下の要領で行った。すなわち、周波数7MH
zの単一信号をリファレンステープに記録再生したとき
の最大出力を得る記録レベルを7MHzの最適記録とし
た。そして、7MHzの単一信号を最適記録電流にて、
記録再生したときの7MHzの信号出力と、6MHzの
ノイズレベルの比をC/Nとして、リファレンステープ
に対する相対値(dB)で表した。
【0099】これらの結果を下記表1に示した。
【0100】
【表1】 表1に示される結果より、本発明による実施例1〜8の
ものは、高温高湿環境下における保存を行っても、テー
プ表面(磁性層表面)にドロップアウトの発生や電磁変
換特性を低下させるレベルの金属塩の生成は見られな
い。保存前の摩擦係数も小さくて良好な走行性が確保で
きる。また、保存前および保存後のC/N比も極めて良
好である。実施例8は、最上層の第2の磁性層22の膜
厚を0.1μmにしたサンプルであるが、磁性層を薄膜
化しても金属塩の析出という悪影響は生じていないこと
がわかる。
【0101】比較例5のサンプルは、高温高湿環境下に
おける保存を行っても、テープ表面(磁性層表面)にド
ロップアウトの発生や電磁変換特性を低下させるレベル
の金属塩の生成は見られない。また、保存前の摩擦係数
も小さくて良好な走行性が確保できる。しかしながら、
評価対象システムが8mmビデオテープのものであるた
めに、D110 値が170を超えるとC/N比の値が保存
前ですでにマイナスのレベルとなり、8mmビデオテー
プとしては適さなくなってしまうが、高密度が要求され
ないものには、適用可能である。
【0102】次に、上記実施例1において、第1の磁性
層11形成のための磁性塗料組成物に含有される脂肪酸
の含有量を下記表2示されるように種々変えて、脂肪酸
の含有量が磁気テープの摩擦係数および保存後のC/N
比にいかなる影響を及ぼすかを調べる実験を行った。
【0103】結果を下記表2に示す。
【0104】
【表2】 表2に示される結果より、第1の磁性層11に含有され
る脂肪酸含有量(樹脂分に対して)が10wt%を超え
ると金属塩の析出が多大となり、保存後のC/N比が低
下するという不都合が生じる。また、この値が、1wt
%未満となるとテープ表面の摩擦係数が上がってしまう
という不都合が生じる。
【0105】なお、表2に示される第2の磁性層22に
含有される脂肪酸含有量は、樹脂分に対して6wt%で
ある。そして、この第2の磁性層22に含有される樹脂
分に対する脂肪酸含有量を、1wt%、3wt%、9w
t%に変えたものそれぞれに対して、上記表2示される
ように、第1の磁性層11中に含有される脂肪酸の含有
量が磁気テープの摩擦係数および保存後のC/N比にい
かなる影響を及ぼすかを調べる実験を行った。その結果
もやはり、上記の表2に示される結果と同様に第1の磁
性層11に含有される脂肪酸含有量(樹脂分に対して)
1〜10wt%の範囲が良いことが確認された。
【0106】
【発明の効果】上記の結果より本発明の効果は明らかで
ある。すなわち、本発明は、非磁性支持体の上に、強磁
性粉末と結合剤を含む2層の磁性層を有し、かつ、これ
らの2層の磁性層のうち少なくとも1層の磁性層には脂
肪酸が含有されている磁気記録媒体において、前記2層
の磁性層のうち、上層に位置する第2の磁性層に含有さ
れる強磁性粉末のpH値と、前記2層の磁性層のうち、
前記第2の磁性層の下に接して形成される第1の磁性層
に含有される強磁性粉末のpH値と、これらのpH値の
差であるpH2 −pH1 の値を所定の範囲に定めている
ので、磁性層中に含有される脂肪酸の滲出がうまくコン
トロールされて、高温高湿の環境下に保存しても媒体の
表面に析出する金属塩の量が極めて少ない。また、摩擦
係数が上昇することもない。その結果、保存後における
ドロップアウトの発生が極めて少なく、またスペーシン
グロスによる電磁変換特性の低下も生じることのない極
めて保存性に優れる磁気記録媒体が得られる。走行性も
よい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の断面の積層構造を示す
図である。
【符号の説明】
10…非磁性支持体 11…第1の磁性層 22…第2の磁性層

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体の上に、強磁性粉末と結合
    剤を含む2層の磁性層を有し、かつ、これらの2層の磁
    性層のうち少なくとも1層の磁性層には脂肪酸が含有さ
    れている磁気記録媒体において、 前記2層の磁性層のうち、上層に位置する第2の磁性層
    に含有される強磁性粉末のpH値(この値をpH2 とす
    る)は、8〜11の範囲にあり、 前記2層の磁性層のうち、前記第2の磁性層の下に接し
    て形成される第1の磁性層に含有される強磁性粉末のp
    H値(この値をpH1 とする)は、5〜9の範囲にあ
    り、かつ、これらのpH値の差であるpH2 −pH1
    値が、0〜4の範囲にあることを特徴とする磁気記録媒
    体。
  2. 【請求項2】 前記第2の磁性層に含有される強磁性粉
    末の結晶子径D110の値は、90〜170Åである請求
    項1記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記第1の磁性層には脂肪酸が含有され
    ており、その含有量は、第1の磁性層中の樹脂成分量に
    対して1〜10wt%である請求項1または請求項2に
    記載の磁気記録媒体。
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