JPH08296417A - エンジン用シリンダヘッド - Google Patents

エンジン用シリンダヘッド

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JPH08296417A
JPH08296417A JP7102004A JP10200495A JPH08296417A JP H08296417 A JPH08296417 A JP H08296417A JP 7102004 A JP7102004 A JP 7102004A JP 10200495 A JP10200495 A JP 10200495A JP H08296417 A JPH08296417 A JP H08296417A
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JP
Japan
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valve seat
cylinder head
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seat base
head body
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Application number
JP7102004A
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English (en)
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Shuhei Adachi
修平 安達
Junichi Inami
純一 稲波
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Yamaha Motor Co Ltd
Original Assignee
Yamaha Motor Co Ltd
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Publication date
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Priority to DE1996618841 priority patent/DE69618841T2/de
Priority to EP96106651A priority patent/EP0740054B1/en
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    • F01MACHINES OR ENGINES IN GENERAL; ENGINE PLANTS IN GENERAL; STEAM ENGINES
    • F01LCYCLICALLY OPERATING VALVES FOR MACHINES OR ENGINES
    • F01L3/00Lift-valve, i.e. cut-off apparatus with closure members having at least a component of their opening and closing motion perpendicular to the closing faces; Parts or accessories thereof
    • F01L3/22Valve-seats not provided for in preceding subgroups of this group; Fixing of valve-seats
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02FCYLINDERS, PISTONS OR CASINGS, FOR COMBUSTION ENGINES; ARRANGEMENTS OF SEALINGS IN COMBUSTION ENGINES
    • F02F1/00Cylinders; Cylinder heads 
    • F02F1/24Cylinder heads
    • F02F1/26Cylinder heads having cooling means
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
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    • F02FCYLINDERS, PISTONS OR CASINGS, FOR COMBUSTION ENGINES; ARRANGEMENTS OF SEALINGS IN COMBUSTION ENGINES
    • F02F1/00Cylinders; Cylinder heads 
    • F02F1/24Cylinder heads
    • F02F2001/241Cylinder heads specially adapted to pent roof shape of the combustion chamber
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
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    • F02FCYLINDERS, PISTONS OR CASINGS, FOR COMBUSTION ENGINES; ARRANGEMENTS OF SEALINGS IN COMBUSTION ENGINES
    • F02F1/00Cylinders; Cylinder heads 
    • F02F1/24Cylinder heads
    • F02F2001/244Arrangement of valve stems in cylinder heads
    • F02F2001/245Arrangement of valve stems in cylinder heads the valve stems being orientated at an angle with the cylinder axis

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ポートの設計上の自由度が高く、しかも、バ
ルブシートの熱抵抗が小さくかつバルブシートが強固に
接合されたシリンダヘッドを得る。 【構成】 Al−Si−Mg系アルミニウム合金によっ
てシリンダヘッド本体11を形成する。鉄系焼結合金製
円環体21を銅皮膜22で覆うことによりバルブシート
母材20を形成する。燃焼室側ポート開口部13a,1
4aにバルブシート母材20を圧接させるとともに通電
により生じる抵抗熱で加熱することによって接合した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、シリンダヘッド本体に
吸気弁や排気弁のバルブシートを接合したエンジン用シ
リンダヘッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、エンジンのシリンダヘッド本体は
主にアルミニウム合金によって形成されており、このシ
リンダヘッド本体における吸気弁や排気弁のバルブフェ
ース面が当接する部位にはバルブシートが装着されてい
た。このバルブシートは、吸・排気弁が繰り返し当接す
るとともに高熱に晒されるために、耐摩耗性および高温
強度に優れた鉄系焼結合金などによって形成されてお
り、図17に示すように、シリンダヘッドの吸気ポー
ト、排気ポートの燃焼室側開口部に形成した凹部に圧入
し、仕上げ研削加工を行うことによってシリンダヘッド
本体に一体的に固定されていた。
【0003】図17はバルブシートが圧入された従来の
シリンダヘッドのバルブシート圧入部を拡大して示す断
面図で、同図において1はシリンダヘッド本体、2は圧
入型バルブシート、3はバルブシート圧入用凹部を示
す。
【0004】ところが、このようにシリンダヘッド本体
1に異種材料のバルブシート2が圧入されているシリン
ダヘッドでは、運転時にシリンダヘッドが高温になって
も圧入されたバルブシート2が脱落しないように、バル
ブシート2の圧入代をある程度以上とらなければならな
い。このため、隣接する各ポート間の壁の厚さがある程
度以上必要となって各ポート間の寸法を狭めることがで
きなくなってしまう。すなわち、圧入型のバルブシート
2ではその断面積の大きさがシリンダヘッドのポート周
りを設計する上で大きな制約になっていた。
【0005】また、バルブシート2の材料となる鉄系焼
結材の熱伝導率はシリンダヘッド本体1の材料となるア
ルミニウム合金に較べて低く、しかも、バルブシート2
は圧入時に変形するのを防ぐためにある程度の厚みがあ
ることと、このバルブシート2とシリンダヘッド本体1
との間の界面には微小隙間があることから、吸・排気弁
のバルブフェースや排気からシリンダヘッド本体1へ熱
が伝達されるときの熱抵抗が大きくなってしまう。この
ため、シリンダヘッドの冷却性能が充分ではなくなって
異常燃焼を引き起こしたり、バルブの温度が過度に上昇
してしまうということにもなりかねない。
【0006】さらに、バルブシート2の材料の熱膨張係
数はシリンダヘッド本体1の材料であるアルミニウム合
金より大きいため、ある程度以上の温度に達するとシリ
ンダヘッド本体1とバルブシート2との間の微小隙間が
拡がり、それによってシリンダヘッド本体1への熱の伝
達がさらに阻害されることになる。その結果、バルブシ
ート2自体が過度に加熱されて耐摩耗性などが低下し易
くなってしまう。
【0007】上述したようなバルブシート2を圧入する
ことによる不具合を解消するため、シリンダヘッド本体
1のバルブシート装着部分に、耐熱性、耐摩耗性、耐食
性に優れたバルブシート材料をレーザーを熱源として加
熱溶融させて肉盛り(クラッド)し、その肉盛層を機械
加工することによってバルブシートを形成する手法が提
案されている(例えば、特開昭62−150014号公
報参照)。このレーザークラッド法によって形成された
バルブシートを図18に示す。
【0008】図18はレーザークラッド法によりバルブ
シートが形成されたシリンダヘッドのバルブシート部を
拡大して示す断面図で、4はバルブシート部、5は前記
バルブシート部4との接合界面、6,7は前記接合界面
5の近傍に形成された溶融反応層である。
【0009】さらに、このようなレーザークラッド法に
よってバルブシートを形成するシリンダヘッドにおい
て、肉盛り層とシリンダヘッド本体との溶着率を高める
ために、シリンダヘッド本体の溶着面に圧延ロールなど
によって予め塑性変形層を形成してからレーザークラッ
ドを行うということが提案されている(例えば、特開平
2−196117号公報参照)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、このように
レーザークラッド法によってバルブシートを形成したと
しても、バルブシート材料を溶融して肉盛りする関係か
ら接合強度に問題があった。これは、バルブシート材料
を加熱、溶融させるときにシリンダヘッド本体1におけ
る接合界面5付近の部位が溶融するからであった。
【0011】すなわち、シリンダヘッド本体1の前記一
部が一旦溶融した後に凝固するため、ガスが生成されて
それが接合界面近傍の溶融反応層7中にブローホールと
して残存したり、溶融したアルミニウム合金が凝固する
ときに凝固収縮を起こすことによって前記溶融反応層7
中に引け巣が生じることがある。さらに、このレーザー
クラッド法はアルミニウム合金材中の鋳巣や介在物の影
響を受け易いという不具合があった。また、材料が溶融
・凝固してなる接合部分は、バルブシート部が高温とな
るような運転条件でエンジンを長時間運転すると接合強
度が低下し易い。
【0012】本発明はこのような問題点を解消するため
になされたもので、バルブシート部の断面積および熱抵
抗が小さくなり、しかも、バルブシート部が高温になる
運転条件下で長時間エンジンを運転しても、接合部分の
強度が著しく低下することがないシリンダヘッドを得る
ことを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明に係るエンジン用
シリンダヘッドは、シリンダヘッド本体の燃焼室側ポー
ト開口部に、バルブシート母材を圧接させるとともに通
電により生じる抵抗熱で加熱することによって接合して
なり、前記シリンダヘッド本体をAl−Si−Mg系ア
ルミニウム合金によって形成し、前記バルブシート母材
を、表面に金属材からなる皮膜を設けた鉄系焼結合金製
円環体によって形成したものである。
【0014】
【作用】シリンダヘッド本体のポート開口部にバルブシ
ート母材を圧接させるとともに加熱することにより、圧
接部の界面の原子が相互に拡散し、前記界面付近に、バ
ルブシート母材の皮膜の材料金属とシリンダヘッド本体
の材料金属との共晶合金からなる層が生成される。この
共晶合金層は液相への変態温度が低いことから加熱状況
の下で液相へ変わり、バルブシート母材が押し付けられ
かつ加熱されることにより塑性流動を起こしたシリンダ
ヘッド本体の材料金属とともに接合部から排出される。
これにより、バルブシート母材の鉄系焼結合金がシリン
ダヘッド本体の材料金属に触れて両者の原子が相互に拡
散することになり、この状態でバルブシート母材がポー
ト開口部内に埋没することになる。
【0015】また、シリンダヘッド本体の材料として使
用するAl−Si−Mg系アルミニウム合金は、エンジ
ン用シリンダヘッド本体材料として採用される他のアル
ミニウム合金に較べると、電気抵抗率が小さい関係から
通電により効率よく発熱し、熱伝導度が高い関係から抵
抗熱が接合界面の全域に伝わり易く、固相線温度が高い
関係から溶融層が形成され難く、400℃における0.
2%耐力が小さい関係から塑性流動が起こり易い。
【0016】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図1ないし図15
によって詳細に説明する。図1は本発明に係るシリンダ
ヘッドのバルブシート部の断面図、図2はバルブシート
母材をポート開口部に重ねた状態を示す断面図で、同図
はシリンダヘッド本体およびバルブシート母材の一部の
みを拡大して描いてある。
【0017】図3はバルブシート母材をシリンダヘッド
本体に接合させるために用いるプレス装置の正面図、図
4は同じく側面図、図5はバルブシート母材に電極を当
接させた状態を示す断面図である。図6は加圧力パター
ン、電流値パターンおよび沈み量を示すグラフ、図7は
バルブシート母材の皮膜の材料金属とシリンダヘッド本
体の材料金属からなる合金層が生成されている状態を示
す断面図、図8はシリンダヘッド本体の材料金属が塑性
流動を起こしている状態を示す断面図、図9はバルブシ
ート母材がシリンダヘッド本体に埋没した状態を示す断
面図、図10はバルブシート部を仕上げ加工した状態を
示す断面図である。図11は通電時にシールドを使用す
る場合の平面図である。
【0018】図12はシリンダヘッド本体の材料である
アルミニウム合金の電気抵抗率とバルブシート母材の剥
離荷重との関係を示すグラフ、図13はシリンダヘッド
本体の材料であるアルミニウム合金の熱伝導度とバルブ
シート母材の剥離荷重との関係を示すグラフである。図
14はシリンダヘッド本体の材料であるアルミニウム合
金の固相線温度とバルブシート母材の剥離荷重との関係
を示すグラフ、図15はシリンダヘッド本体の材料であ
るアルミニウム合金の400℃における0.2%耐力と
バルブシート母材の剥離荷重との関係を示すグラフであ
る。
【0019】これらの図において、11は4サイクルエ
ンジンのシリンダヘッド本体で、このシリンダヘッド本
体11は、アルミニウム合金を材料として鋳造すること
によって形成しており、ドーム状の燃焼室形成用凹部1
2を下面に開口するように形成するとともに、この凹部
12に一端が開口する吸気ポート13および排気ポート
14を形成している。
【0020】このシリンダヘッド本体11を形成するア
ルミニウム合金は、JISにAC4Cとして規定される
Al−Si−Mg系アルミニウム合金を採用した。この
材料を選択した理由は、他のアルミニウム合金を使用し
たときに較べて後述するバルブシートを最も強固に接合
できたからである。
【0021】前記吸気ポート13および排気ポート14
の上壁部分にバルブガイド15,16を介して吸気弁1
7および排気弁18をそれぞれ装着し、両ポート13,
14の開口部に後述するバルブシート19をそれぞれ接
合している。なお、前記バルブガイド15,16は、シ
リンダヘッド本体11に穿設したバルブガイド穴11a
に圧入し固定している。このバルブガイド穴11aはそ
の軸線Cが吸気ポート13および排気ポート14の開口
部13a,14aの軸線と一致するように形成してい
る。
【0022】図1に示したバルブシート19は、円環状
に形成したバルブシート母材を前記ポート開口部13
a,14aに加熱状況下において圧接させることによっ
て接合し、仕上げ加工を施した後のものである。前記バ
ルブシート母材を図2中に符号20によって示す。バル
ブシート母材20は、鉄系焼結合金製円環体21の表面
を銅皮膜22によって覆うことによって形成している。
【0023】前記円環体21の材料としては、本実施例
では、鉄系焼結合金材料に後述する通電時に内部で抵抗
熱が生じ難いようにする観点から銅を溶浸させたものを
採用している。また、前記銅皮膜22は、膜厚が0.1
μm〜30μmとなるように円環体21に電気めっきを
施すことによって形成している。
【0024】このバルブシート母材20は、図2に示す
ように、吸気ポート13や排気ポート14の開口部13
a,14aに重ねた状態で外周面の一部がこの開口部1
3a,14a内に臨む形状に形成している。なお、図2
ではシリンダヘッド本体11の下面(燃焼室形成用凹部
12が開口する面)を上方に向けている。詳述すると、
バルブシート母材20の外周面をシリンダヘッド本体1
1側に向かうにしたがって次第にこのバルブシート母材
20の外径が細くなるように傾斜させ、かつ底面20b
をこのバルブシート部材10の軸心へ向かうにしたがっ
て次第にシリンダヘッド本体11側に偏在するように傾
斜させ、これら外周面20aと底面20bとが互いに連
なる外面を凸曲面となるように形成している。図2にお
いてはこの凸曲面に符号20cを付した。一方、前記開
口部13a,14aにおける前記凸曲面20cと対向す
る部位には、吸・排気ポート13,14の内径が部分的
に細くなるように凸状部23を形成している。
【0025】すなわち、このバルブシート母材20を前
記開口部13a,14aに図2に示したように重ねるこ
とによって、その凸曲面20cがシリンダヘッド本体1
1の凸状部23に当接するように構成している。なお、
バルブシート母材20の内周面は、シリンダヘッド本体
11側に向かうにしたがってこのバルブシート母材20
の内径が小さくなるように傾斜した傾斜面20dと、こ
の傾斜面20dの内周側端部から軸方向と平行に延在す
る軸方向延在面20eとから形成している。
【0026】このように構成したバルブシート母材20
をシリンダヘッド本体11の前記開口部13a,14a
に接合するには、図3および図4に示すプレス装置24
を使用して行う。このプレス装置24は、基台25の下
部に下部プラテン26を固定し、この下部プラテン26
の上方に、この下部プラテン26に対して接離するよう
に上部プラテン27を昇降自在に配設している。この上
部プラテン27は、基台上部に軸線が上下方向を向くよ
う取付けたシリンダ装置28の作用端となるロッド28
aの下端に固定している。
【0027】前記下部プラテン26および上部プラテン
27はそれぞれ導電部材26a,27aを介して図示し
ていない給電装置から給電される構造になっている。な
お、上部プラテン27に接続した導電部材27aは、上
部プラテン27の昇降動作に合わせて変形あるいは昇降
するように構成している。また、本実施例では、上部プ
ラテン27が陽極となり下部プラテン26が陰極となる
ように構成している。
【0028】前記シリンダ装置28を支持する基台上部
には、上部プラテン27の前部に固定した反射部材29
にレーザー光を反射させてこの反射部材29との距離か
ら上部プラテン27の変位量を測定するレーザー変位計
30が取り付けてある。
【0029】このプレス装置24を使用してバルブシー
ト母材20を接合するには、先ず、前記下部プラテン2
6上に下側電極31を固定し、この下側電極31上にシ
リンダヘッド本体11を載置固定して行う。このとき、
シリンダヘッド本体11は、燃焼室形成用凹部12側を
上方に向け、かつバルブシート母材20を接合するポー
トの開口部での軸線が前記シリンダ装置28のロッド2
8aの軸線と一致するように位置決めしておく。
【0030】次に、図5に示すように、バルブシート母
材20を接合するポートのバルブガイド穴11aにガイ
ド棒32を燃焼室形成用凹部12側から嵌挿する。この
ガイド棒32は、金属製丸棒32aの外周面にアルミナ
などの絶縁材32bを被覆させて形成しており、バルブ
ガイド穴11aに嵌合させストッパー32cによって位
置決め保持させた状態で、シリンダヘッド本体11の燃
焼室側端面より上方に突出する長さに形成している。前
記絶縁材32bの形成方法は、本実施例ではアルミナな
どのセラミック材を丸棒32aに溶射し、その後、研磨
仕上げする手法を採っている。
【0031】その後、バルブシート母材20をポート開
口部に重ね、このバルブシート母材20に上側電極33
を載せる。この上側電極33は、金属製円柱体の軸心部
に前記ガイド棒32が嵌合する透孔33aを穿設してお
り、その下端部に、バルブシート母材20の前記傾斜面
20d(図2)に密接するテーパー面33bと、軸方向
延在面20eに全周にわたり密接する位置決め用周面3
3cとを形成している。また、この上側電極33の下端
部には、バルブシート母材20を磁気吸着させるための
磁性体33dが固着させてある。
【0032】すなわち、前記透孔33aに前記ガイド棒
32を嵌合させることにより、この上側電極33がシリ
ンダヘッド本体11のポート開口部と同軸上に位置づけ
られ、前記テーパー面33bおよび周面33cをバルブ
シート母材20に密接させることにより、このバルブシ
ート母材20が嵌合によってポート開口部と同軸となる
ように位置決めされる。
【0033】このようにバルブシート母材20に上側電
極33を載せた後、上側電極33を回転させてバルブシ
ート母材20が確実に嵌合しているか否かを検査する。
しかる後、シリンダ装置28を駆動して上部プラテン2
7を下降させ、前記上側電極33に密着させる。このと
き、上部プラテン27の下面と上側電極33の上面とが
互いに平行になるようにする。
【0034】次に、前記シリンダ装置28を駆動して上
部プラテン27を下降させ、上側電極33を介して前記
バルブシート母材20を一定な押圧力をもってシリンダ
ヘッド本体11に押し付ける。このときにバルブシート
母材20に加えられる押圧力の方向は、上側電極33が
ガイド棒32によって移動方向が規制されている関係か
ら、ポート開口部13a,14aの軸線方向と一致す
る。このため、バルブシート母材20はポート開口部1
3a,14aに軸線を一致させた状態でこの軸線に沿っ
て押し付けられることになる。この押圧力は、図6中に
実線で示す押圧力パターンに基づいて変化させる。すな
わち、相対的に低い一定の第1押圧力P1を接合工程初
期に加え、その後は下降終了まで相対的に高い一定の第
2押圧力P2を加える。
【0035】第1押圧力P1による加圧を開始した後、
上部プラテン27が安定したときに、前記レーザー変位
計30によりこれと反射部材29までの距離を測定し、
この距離を上部プラテン27の下降開始位置として記録
する。また、第1押圧力P1による加圧開始から図6に
示すように時間T1が経過した後、前記上部プラテン2
7および下部プラテン26に電圧を印加し、これら両プ
ラテンの間、すなわち上側電極33、バルブシート母材
20、シリンダヘッド本体11および下側電極31に電
流を流す。このとき、電流は上側電極33からシリンダ
ヘッド本体11へ向けて流れる。このときの電流値も図
6中に波線で示す電流値パターンに基づいて変化させ
る。すなわち、電流値が増大した後に一度電流値を0付
近まで低下させ、その後さらに電流値を増大させて接合
終期において前記押圧力を加えている途中で電流値を0
とする。
【0036】このとき、バルブシート母材20は図2に
示すように凸曲面20cがシリンダヘッド本体11の凸
状部23に当接しており、これら両者どうしが接触する
部分の面積がきわめて小さいことから、上述したように
通電されると電気抵抗が大きくなってこの接触部が発熱
するようになる。この熱はバルブシート母材20とシリ
ンダヘッド本体11との接触界面の全体に伝導する。
【0037】このようにバルブシート母材20とシリン
ダヘッド本体11との接触界面の温度が上昇すると、固
相状態で互いに圧接し合う材料金属(銅皮膜22の銅お
よびシリンダヘッド本体11のアルミニウム合金)の原
子が活発に運動するようになり、これらの原子どうしが
相互に拡散するようになる。なお、シリンダヘッド本体
11の表面に生成されているアルミニウムの酸化皮膜が
この原子拡散に対してどの程度拡散を阻止するかは不明
である。
【0038】上述したように原子の相互拡散が起こるこ
とにより、界面付近の組成は、銅皮膜22を構成する銅
と、シリンダヘッド本体11のアルミニウム合金との共
晶合金になり、純銅より低い温度で固相から液層に変わ
ることができる状態になる。このときの界面付近の状態
を図7に模式的に示す。図7においては、原子の相互拡
散が起こり前記共晶合金層が生成されている部位を符号
Aで示す。
【0039】前記界面付近の温度がさらに上昇し、前記
共晶合金層の一部が液相に変化するようになると原子の
拡散現象は一層活発となり、この共晶合金層が成長して
これに伴なって固相と液相との界面が拡大する。この共
晶合金層の液相化が進行する一方、共晶合金層に隣接す
るシリンダヘッド本体11のアルミニウム合金は、バル
ブシート母材20が押し付けられていることと前記抵抗
熱により昇温されていることとによって、塑性流動(塑
性変形)を起こす。
【0040】この塑性流動は最初の接触部を中心にして
図7において上下方向に略対称となるように生じるた
め、液相化した前記共晶合金は前記塑性流動に乗じて図
8に示すように接触部の外に排除される。図8において
共晶合金の排除された部分を符号Bで示す。また、この
ときには、バルブシート母材20の銅皮膜22の一部が
共晶合金化されて接触部から排除されることにより、円
環体21の一部がアルミニウム合金に触れるようになっ
てこれらの間でも原子の拡散現象が起こる。この拡散現
象が生じている部位を図8中に符号Cで示す。
【0041】このように共晶合金層の一部が接触部から
排除されることと、アルミニウム合金が塑性流動を起こ
すこととにより、図6中にT2で示すときにバルブシー
ト母材20がシリンダヘッド本体11内に沈み込み始め
ることになる。このようにバルブシート母材20が沈み
込み始めてから図6中に示す時間T3に達したときに押
圧力を増大させて前記第2押圧力P2とする。
【0042】押圧力が増大することによりアルミニウム
合金の塑性流動量が増大し、これに伴って共晶合金の排
除量が増量される。この結果、接触部の未反応部分にお
いて新たに銅−アルミニウム合金からなる共晶合金が生
成され、上述した現象が繰り返されてこの共晶合金層が
液相化しさらに排除される。これとともに、円環体21
の材料である鉄系焼結合金とアルミニウム合金との界面
で原子が相互に拡散する領域も拡がる。
【0043】第2押圧力P2による押圧を開始してから
図6に示す時間T4に達したときに、電流値を一度0付
近まで低下させ、さらに元の値まで上昇させる。電流値
を低下させることにより発熱が一時抑えられることにな
り、共晶合金の排除並びに塑性流動が抑えられて図6に
示すようにバルブシート母材20の沈み込み量の増加割
合が一時低下する。このように電流値を一時的に低下さ
せるのは、アルミニウム合金が熱により溶融してしまう
のを防ぐためである。
【0044】電流値を上述したように元の値まで上昇さ
せた後、時間T5に達してから時間T6に達するまでの
間に徐々に低下させて0とする。電流が流れている間は
勿論、通電が断たれた後も反応不能温度まで温度が低下
するまでは前記反応が進行し、共晶合金層の生成→液層
化→塑性流動に伴なう排除、という現象と、鉄系焼結合
金とアルミニウム合金との原子相互拡散という現象が同
時に起こりながらバルブシート母材20が沈み込み続
け、図9に示すようにその外周面の略全域がシリンダヘ
ッド本体11内に埋没するようになる。
【0045】この沈み込み量が図6に示すように略増加
しなくなったとき(時間T7で示すとき)にシリンダ装
置28による押圧を停止し、レーザー変位計30によっ
てこれと反射部材29との距離から上部プラテン27の
最終位置を求めた後に上部プラテン27を上昇させ、シ
リンダヘッド本体11をプレス装置24から取外す。な
お、平均電流値や総通電時間も全工程が終了するまでの
間に求めておく。
【0046】次に、上部プラテン27の下降開始位置か
ら最終位置までの高低差を算出することによりバルブシ
ート母材20の総沈み量を求める。この値が予め定めた
許容値D(図6参照)の範囲内でないときには接合不良
とみなす。前記許容値Dとしては、本実施例では約0.
5mm〜約2mmとした。なお、許容値Dはシリンダヘッド
本体11の材料によっても異なるが、約1mm〜1.5mm
とすることが好ましい。
【0047】上記沈み量判定に合格したシリンダヘッド
は、前記平均電流値や総通電時間が許容値の範囲内であ
るか否かによっても良否を判定し、この判定結果が良好
であると判定されたときであって後述する抜き取り検査
に合格したロットのものであるときに限り最終仕上げ加
工を施す。
【0048】シリンダヘッドの最終仕上げ加工は、図9
に示すようにバルブシート母材20が接合されたシリン
ダヘッド本体11から不要部分を図10に示すように例
えば研削によって除去することによって行う。この最終
仕上げ加工を行うことにより円環体21の不要部および
銅皮膜22が除去され、図10中に符号Cで示す原子の
拡散領域を介してシリンダヘッド本体11に接合された
バルブシート19が得られる。
【0049】前記抜き取り検査は、例えばバルブシート
母材20の製造ロット毎に行い、接合終了後の図9に示
した状態にあるバルブシート母材20にシリンダヘッド
本体11から離間する方向に沿って引張り力を加えるこ
とによって行う。詳述すると、バルブシート母材20の
底面20b(図2)の内周側縁部に治具を掛止させ、こ
の治具に引張り試験機(図示せず)によって前記方向に
沿う張力を付与し、バルブシート母材20がシリンダヘ
ッド本体11から剥離するときの荷重が予め定めた使用
限界剥離荷重を上回っているときに良品であると判定す
る。
【0050】また、単にバルブシート母材20を上述し
たように引っ張る剥離試験を行うだけでなく、加熱保持
試験やヒートショック試験を行ってもよい。加熱保持試
験は、図9の状態のシリンダヘッド本体11を大気雰囲
気の300℃加熱炉中に24〜200時間放置し、空冷
した後に前記剥離試験を行う。ヒートショック試験は、
図9の状態のシリンダヘッド本体11を大気雰囲気の3
00℃加熱炉中で300℃まで昇温させ、炉から取出し
て直ちに0℃の氷水に浸漬する。これを10回繰り返
し、氷水に浸漬させて冷却した度毎にバルブシート母材
20の剥離、割れなどの有無を確認し最後に前記剥離試
験を行う。
【0051】なお、上述した抜き取り検査を行う際に
は、接合部から排除される共晶合金が接合部の略全周に
延在しているか否かを目視にて判定する。このとき、共
晶合金の排除方向が特定の方向に偏る傾向があると判定
されたときには、図11に示すようにシールド34を上
側電極33の近傍に配置し、通電時に生じる地場の影響
を接合部が受けないようにすることが好ましい。
【0052】図11はシールドを使用する場合の平面図
で、同図は上側電極33をバルブシート母材20ととも
にシリンダヘッド本体11に装着した状態を示してい
る。同図において前記図1ないし図10で説明したもの
と同一もしくは同等部材については、同一符号を付し詳
細な説明は省略する。シールド34は、本実施例では鉄
系強磁性体によって縦割り円筒状に形成し、外周面の頂
部がプレス装置24の基台25を指向するように配設し
ている。基台25が位置している方向を同図においては
矢印で示している。このようにシールド34を使用する
ことによって、通電時に磁場が生じたときにその磁力線
の方向および量を制御することができ、その結果、共晶
合金が接合部から排除される方向を制御することができ
る。
【0053】発明者は、本発明を創造するに当たり、シ
リンダヘッド本体11の材料であるアルミニウム合金の
種類を変えてバルブシート母材20を接合し、前記種類
毎に剥離試験を実施することによって、エンジン用バル
ブシートとして使用に耐え得るような剥離荷重が得られ
るアルミニウム合金を見出した。この剥離試験の結果を
図12〜図15に示す。
【0054】図12〜図15において、○および●は本
実施例で使用したAC4C材、◇および◆はAC4B
材、□および■はAC2B材で、これらの材料は何れも
JISによって規定されたものであり、エンジン用シリ
ンダヘッド本体材料として最も多く採択されているもの
である。なお、AC4B材はAl−Si−Cu系アルミ
ニウム合金であり、AC2B材はAl−Cu−Si系ア
ルミニウム合金である。
【0055】また、記号○,◇,□は何れもバルブシー
ト母材20をシリンダヘッド本体11に接合したままの
状態で剥離試験を行ったときの結果を示し、記号●,
◆,■はバルブシート母材20を接合したシリンダヘッ
ド本体11を大気雰囲気の300℃加熱炉中に24時間
放置し、空冷した後に前記剥離試験を行ったときの結果
を示している。これらの剥離試験を行って剥離荷重が2
0KN以上であれば、そのアルミニウム合金材料は合格
であるとみなした。
【0056】図12に示したように、電気抵抗率が7〜
7.5×10-2μΩ・mの範囲にあり、他のアルミニウ
ム合金材より相対的に小さいAC4C材が前記2種類の
剥離試験でともに合格になった。これは、他の材料に較
べて通電時に効率よく発熱するからであると考えられ
る。図13に示したように、熱伝導度が150〜160
W/m・℃の範囲にあり、他のアルミニウム合金材より
相対的に大きいAC4C材が前記2種類の剥離試験でと
もに合格になった。これは、他の材料に較べて抵抗熱が
接合界面の全域に伝わり易いからであると考えられる。
【0057】図14に示したように、固相線温度が55
0〜560℃の範囲にあり、他のアルミニウム合金材よ
り相対的に高いAC4C材が前記2種類の剥離試験でと
もに合格になった。固相線温度とは、アルミニウム合金
が固相状態から液相状態へ変移するときの温度、言い換
えれば溶融するときの温度である。固相線温度が相対的
に高いAC4C材が合格したのは、他の材料に較べて溶
融層が形成され難いからであると考えられる。
【0058】図15に示したように、400℃における
0.2%耐力が30〜35MPaの範囲にあり、AC4
B材より相対的に小さいAC4C材が前記2種類の剥離
試験でともに合格になった。前記400℃における0.
2%耐力とは、400℃のアルミニウム合金材を引張り
試験を行ったときに0.2%の塑性歪みが残留するよう
な応力のことである。この耐力が相対的に小さいAC4
C材が合格したのは、塑性流動がAC4B材に較べて起
こり易いからであると考えられる。
【0059】上述したように形成したシリンダヘッドに
おけるシリンダヘッド本体11のアルミニウム合金とバ
ルブシート19の鉄系焼結合金との間の金属学的接合
は、原子の拡散を伴わず材料としては不連続な状態とな
っている機械的接合とは本質的に異なるものである。し
かも、界面での電気抵抗による発熱を利用して双方の材
料を局部的に溶融させ合金溶液とした後、通電を中止す
ることで冷却凝固させる抵抗熱溶着のような金属学的接
合とも異なるものである。
【0060】すなわち、本実施例のシリンダヘッドにお
ける金属学的接合は、異種材料の間に溶融反応層を残存
させることなく行われるものであり、双方の材料の界面
での原子の相互拡散を通じて連続的な構造を創成すると
いうものである。
【0061】なお、本実施例ではバルブシート母材20
とシリンダヘッド本体11のポート開口部13a,14
aの両者に凸部(凸曲面20c、凸状部23)を形成
し、これらの凸部どうしを圧接させた例を示したが、凸
部は必ずしも前記両者に形成する必要はなく、何れか一
方のみに形成すればよい。この実施例を図16(a)〜
(c)に示す。
【0062】図16は圧接部分の形状を変えた他の実施
例を示す断面図で、同図(a),(b)はバルブシート
母材のみに凸部を形成した例を示し、同図(c)はシリ
ンダヘッド本体のみに凸部を形成した例を示している。
これらの図において、前記図1〜図10によって説明し
たものと同一あるいは同等の部材については、同一符号
を付し詳細な説明は省略する。
【0063】図16(a)に示した例では、バルブシー
ト母材20は前記実施例と同等の形状に形成し、ポート
開口部13a,14aにおけるバルブシート母材20が
接触する部位を平坦な傾斜面としている。同図(b)に
示した例では、バルブシート母材20の外周面がポート
開口部13a,14aに嵌合するように構成している。
また、バルブシート母材20の内周面が上述した実施例
とは異なり、バルブシート母材20の厚み方向全域にわ
たって軸方向延在面20eを形成している。同図(c)
に示した例では、バルブシート母材20におけるシリン
ダヘッド本体11の凸状部23に接触する部位を平坦な
傾斜面としている。図16(a)〜(c)に示したよう
に凸部をバルブシート母材20とシリンダヘッド本体1
1のうち何れか一方に形成しても前記実施例と同等の効
果が得られる。なお、本実施例で示したように前記両者
の両方に凸部を形成すると、シリンダヘッド本体11の
材料金属が塑性流動を起こし易く、しかもその量も相対
的に多くなるので、バルブシート母材20が接合する部
分(接触界面)の面積を拡げることができ高い接合強度
が得られる。
【0064】また、上述した実施例ではバルブシート母
材20の円環体21の材料として鉄系焼結合金に銅を溶
浸させたものを用い、円環体21の皮膜を銅としこれを
電気めっきにより設けた例を示したが、これらの材質お
よび皮膜の形成方法は本実施例に限定されるものではな
い。すなわち、円環体21の材料は鉄系焼結合金であれ
ばどのようなものでもよく、これに溶浸させる金属も電
気電導率が銅と大差のないものであればよい。また、円
環体21の皮膜となる金属も、シリンダヘッド本体11
の材料金属と共晶合金が生成されるものであればどのよ
うなものでもよい。これらの材料、皮膜の形成方法を選
択するに当たっては、本実施例では、シリンダヘッドを
工業製品として生産する関係から最もコストが低くなる
ように行った。
【0065】さらに、図1〜図10に示した実施例で
は、バルブシート母材20の沈み量を接合工程の最後に
検出する例を示したが、この沈み量を押圧開始から常に
測定し、この値がそのときどきでの許容範囲に入ってい
るかを検出してもよい。このようにすると、接合不良を
起こしていることを接合途中で判定することができるか
ら、不良品に対しても良品と同等の接合時間をかけると
いう無駄がなくなる。
【0066】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係るエンジ
ン用シリンダヘッドは、シリンダヘッド本体の燃焼室側
ポート開口部に、バルブシート母材を圧接させるととも
に通電により生じる抵抗熱で加熱することによって接合
してなり、前記シリンダヘッド本体をAl−Si−Mg
系アルミニウム合金によって形成し、前記バルブシート
母材を、表面に金属材からなる皮膜を設けた鉄系焼結合
金製円環体によって形成したため、シリンダヘッド本体
のポート開口部にバルブシート母材を圧接させるととも
に加熱することにより、圧接部の界面の原子が相互に拡
散し、前記界面付近に、バルブシート母材の皮膜の材料
金属とシリンダヘッド本体の材料金属との共晶合金から
なる層が生成される。この共晶合金層は液相への変態温
度が低いことから加熱状況の下で液相へ変わり、バルブ
シート母材が押し付けられかつ加熱されることにより塑
性流動を起こしたシリンダヘッド本体の材料金属ととも
に接合部から排出される。
【0067】これにより、バルブシート母材の鉄系焼結
合金がシリンダヘッド本体の材料金属に触れて両者の原
子が相互に拡散することになり、この状態でバルブシー
ト母材がポート開口部内に埋没することになる。このた
め、バルブシートをシリンダヘッド本体に圧入ではなく
原子の相互拡散現象によって接合でき、しかも、前記相
互拡散現象は接合時の押圧方向に起因してバルブシート
の全周にわたり略均等に生じるから高い接合強度をもっ
て接合することができる。
【0068】したがって、バルブシートをシリンダヘッ
ド本体に圧入する場合に較べて圧入代を設ける必要がな
いから、バルブシート部の断面積を小さくすることがで
きる。この結果、シリンダヘッドのポート周りの設計の
自由度が大きくなる。これとともに、バルブシートを介
して熱が伝達されるときの伝熱抵抗も小さいから、エン
ジンが異常燃焼を起こしたり、バルブシートが熱劣化す
ることに起因して摩耗したり損傷されたりするのを防止
できる。
【0069】また、シリンダヘッド本体とバルブシート
との間に溶融層が形成されないので、従来のレーザーク
ラッド法によりバルブシートを形成する場合に較べて前
記両者の接合界面の近傍での欠陥がきわめて少なくな
り、高い接合強度をもってバルブシートをシリンダヘッ
ド本体に接合できる。その上、バルブシート部が高温に
なる運転条件下でエンジンを長時間運転したとしても、
接合部分の強度が著しく低下することもない。
【0070】加えて、本発明においてシリンダヘッド本
体の材料として使用したAl−Si−Mg系アルミニウ
ム合金は、エンジン用シリンダヘッド本体材料として採
用される他のアルミニウム合金に較べると、熱伝導度お
よび固相線温度が相対的に高くかつ電気抵抗率および4
00℃における0.2%耐力が相対的に小さいから、バ
ルブシート母材を強固にシリンダヘッド本体に接合させ
ることができる。その上、Al−Si−Mg系アルミニ
ウム合金は一般に広く使用されており特別な材料ではな
いので、本発明に係るシリンダヘッドを製造するに当た
りきわめて容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る接合方法によりバルブシートが
接合されたシリンダヘッドのバルブシート部の断面図で
ある。
【図2】 バルブシート母材をポート開口部に重ねた状
態を示す断面図で、同図はシリンダヘッド本体およびバ
ルブシート母材の一部のみを拡大して描いてある。
【図3】 本発明に係るバルブシートの接合方法を実施
するために用いるプレス装置の正面図である。
【図4】 本発明に係るバルブシートの接合方法を実施
するために用いるプレス装置の側面図である。
【図5】 バルブシート母材に電極を当接させた状態を
示す断面図である。
【図6】 加圧力パターン、電流値パターンおよび沈み
量を示すグラフである。
【図7】 バルブシート母材の皮膜の材料金属とシリン
ダヘッド本体の材料金属からなる合金層が生成されてい
る状態を示す断面図である。
【図8】 シリンダヘッド本体の材料金属が塑性流動を
起こしている状態を示す断面図である。
【図9】 バルブシート母材がシリンダヘッド本体に埋
没した状態を示す断面図である。
【図10】 バルブシート部を仕上げ加工した状態を示
す断面図である。
【図11】 シールドを使用する場合の平面図である。
【図12】 シリンダヘッド本体の材料であるアルミニ
ウム合金の電気抵抗率とバルブシート母材の剥離荷重と
の関係を示すグラフである。
【図13】 シリンダヘッド本体の材料であるアルミニ
ウム合金の熱伝導度とバルブシート母材の剥離荷重との
関係を示すグラフである。
【図14】 シリンダヘッド本体の材料であるアルミニ
ウム合金の固相線温度とバルブシート母材の剥離荷重と
の関係を示すグラフである。
【図15】 シリンダヘッド本体の材料であるアルミニ
ウム合金の400℃における0.2%耐力とバルブシー
ト母材の剥離荷重との関係を示すグラフである。
【図16】 圧接部分の形状を変えた他の実施例を示す
断面図で、同図(a),(b)はバルブシート母材のみ
に凸部を形成した例を示し、同図(c)はシリンダヘッ
ド本体のみに凸部を形成した例を示している。
【図17】 バルブシートが圧入された従来のシリンダ
ヘッドのバルブシート圧入部を拡大して示す断面図であ
る。
【図18】 レーザークラッド法によりバルブシートが
形成されたシリンダヘッドのバルブシート部を拡大して
示す断面図である。
【符号の説明】
11…シリンダヘッド本体、13…吸気ポート、13a
…開口部、14…排気ポート、14a…開口部、17…
吸気弁、18…排気弁、19…バルブシート、20…バ
ルブシート母材、21…円環体、22…銅皮膜、31…
下側電極、33…上側電極。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリンダヘッド本体とバルブシートとが
    異種材料によって形成されたエンジン用シリンダヘッド
    において、前記シリンダヘッド本体の燃焼室側ポート開
    口部に、バルブシート母材を圧接させるとともに通電に
    より生じる抵抗熱で加熱することによって接合してな
    り、前記シリンダヘッド本体をAl−Si−Mg系アル
    ミニウム合金によって形成し、前記バルブシート母材
    を、表面に金属材からなる皮膜を設けた鉄系焼結合金製
    円環体によって形成したことを特徴とするエンジン用シ
    リンダヘッド。
JP7102004A 1995-04-26 1995-04-26 エンジン用シリンダヘッド Pending JPH08296417A (ja)

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