JPH08303296A - シリンダヘッドの製造方法 - Google Patents

シリンダヘッドの製造方法

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JPH08303296A
JPH08303296A JP7109727A JP10972795A JPH08303296A JP H08303296 A JPH08303296 A JP H08303296A JP 7109727 A JP7109727 A JP 7109727A JP 10972795 A JP10972795 A JP 10972795A JP H08303296 A JPH08303296 A JP H08303296A
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JP
Japan
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valve seat
cylinder head
base material
seat base
head body
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Application number
JP7109727A
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English (en)
Inventor
Shuhei Adachi
修平 安達
Junkichi Amano
順吉 天野
Hiroyuki Sakai
浩之 酒井
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Yamaha Motor Co Ltd
Original Assignee
Yamaha Motor Co Ltd
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Publication date
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    • F01L3/00Lift-valve, i.e. cut-off apparatus with closure members having at least a component of their opening and closing motion perpendicular to the closing faces; Parts or accessories thereof
    • F01L3/22Valve-seats not provided for in preceding subgroups of this group; Fixing of valve-seats
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02FCYLINDERS, PISTONS OR CASINGS, FOR COMBUSTION ENGINES; ARRANGEMENTS OF SEALINGS IN COMBUSTION ENGINES
    • F02F1/00Cylinders; Cylinder heads 
    • F02F1/24Cylinder heads
    • F02F1/26Cylinder heads having cooling means
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
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    • F02FCYLINDERS, PISTONS OR CASINGS, FOR COMBUSTION ENGINES; ARRANGEMENTS OF SEALINGS IN COMBUSTION ENGINES
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 下穴を形成せず加熱炉を用いた加熱工程を経
ずに製造工程の簡素化および製造時間の短縮を図る。 【構成】 シリンダヘッド本体11を鋳造するときに、
加工基準面と、バルブシート母材が接合される接合口を
成形する。鋳造後、前記接合口に表面が金属皮膜によっ
て覆われた焼結合金製円環体からなるバルブシート母材
20を前記加工基準面に基づいて位置決めして重ねる。
その後、バルブシート母材20を、前記加工基準面に基
づいて求めた吸・排気弁の弁軸の軸線方向と加圧方向と
を一致させて前記接合口に圧接させる。次に、シリンダ
ヘッド本体11とバルブシート母材20との接触部を電
気抵抗により発熱させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、4サイクルエンジンに
用いるシリンダヘッドの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、エンジンのシリンダヘッド本体は
主にアルミニウム合金を材料として鋳造によって形成し
ており、このシリンダヘッド本体における吸気弁や排気
弁のバルブフェース面が当接する部位にはバルブシート
を装着していた。このバルブシートは、吸・排気弁が繰
り返し当接するとともに高熱に晒されるために、耐摩耗
性および高温強度に優れた鉄系焼結合金などによって形
成しており、図18に示すように、シリンダヘッド本体
の吸気ポート、排気ポートの燃焼室側開口部に形成した
下穴に圧入することによって、シリンダヘッド本体に一
体的に固定している。
【0003】図18はバルブシートが圧入された従来の
シリンダヘッドのバルブシート圧入部を拡大して示す断
面図で、同図において1はシリンダヘッド本体、2は圧
入型バルブシート、3はバルブシート圧入用下穴を示
す。このバルブシート圧入用下穴3は、シリンダヘッド
本体1のポート開口部に研削加工を施すことによって形
成している。
【0004】従来の圧入型バルブシート2は、上述した
ようにシリンダヘッド本体1に下穴3を形成した後、シ
リンダヘッド本体1を加熱炉にて加熱し、熱膨張により
下穴3の穴径が拡張した状態でこの下穴3に圧入してい
る。すなわち、このバルブシート2は焼き嵌めによりシ
リンダヘッド本体1に固定している。
【0005】なお、このようにバルブシート2を高温状
態のシリンダヘッド本体1に圧入するときには、吸・排
気弁の弁軸を支持するバルブガイド(図示せず)もバル
ブガイド下穴に圧入している。このバルブガイド下穴
は、バルブシート用下穴3を機械加工する工程で下穴3
とともに穿設している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、圧入型バル
ブシートを採用したのでは、製造工程の簡素化および製
造時間の短縮を図ることができないという問題があっ
た。これは、第1に、圧入用下穴3はバルブシート2の
接合位置を決定する関係からこれを高精度に形成しなけ
ればならず、機械加工工程に時間がかかり過ぎるからで
ある。第2に、バルブシート2をシリンダヘッド本体1
に固定するに当たって加熱炉を用いた加熱工程が必要に
なるからである。第3に、機械加工後に生じる切粉が前
記加熱炉に入るのを防ぐために、加熱工程以前に例えば
水洗装置を用いた洗浄工程が必要になるからである。
【0007】本発明はこのような問題点を解消するため
になされたもので、下穴を形成することなく、しかも、
加熱炉を用いた加熱工程を経ることなくバルブシートを
シリンダヘッド本体に接合し、製造工程の簡素化および
製造時間の短縮を図ることができるようにすることを第
1の目的とする。また、下穴を使用せずにバルブシート
をシリンダヘッド本体に接合するに当たり、ポート開口
部に正確に位置決めできるようにすることを第2の目的
とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】第1の発明に係るシリン
ダヘッドの製造方法は、シリンダヘッド本体を鋳造する
ときに、互いに直交する3方向を規定する加工基準面を
成形するとともに、ポート開口部をバルブシート母材が
接合される接合口の形状に成形し、鋳造後、前記ポート
開口部に、表面が金属皮膜によって覆われた焼結合金製
円環体からなるバルブシート母材を前記加工基準面に基
づいて位置決めして重ね、しかる後、このバルブシート
母材を、前記加工基準面に基づいて求めた吸・排気弁の
弁軸の軸線方向と加圧方向とを一致させて前記ポート開
口部に圧接させ、次いで、シリンダヘッド本体とバルブ
シート母材との接触部を電気抵抗により発熱させるもの
である。
【0009】第2の発明に係るシリンダヘッドの製造方
法は、シリンダヘッド本体を鋳造するときに、互いに直
交する3方向を規定する加工基準面を成形するととも
に、ポート開口部をバルブシート母材が接合される接合
口の形状に成形し、鋳造後、前記加工基準面に基づいて
決定した加工位置においてシリンダヘッド本体の各種の
構成部材用孔を穿設し、次いで、前記ポート開口部に、
表面が金属皮膜によって覆われた焼結合金製円環体から
なるバルブシート母材を前記孔を利用して位置決めして
重ね、しかる後、このバルブシート母材を、前記孔を利
用して吸・排気弁の弁軸の軸線方向と加圧方向とを一致
させて前記ポート開口部に圧接させ、次いで、シリンダ
ヘッド本体とバルブシート母材との接触部を電気抵抗に
より発熱させるものである。
【0010】第3の発明に係るシリンダヘッドの製造方
法は、シリンダヘッド本体を鋳造するときに、互いに直
交する3方向を規定する加工基準面を成形し、鋳造後、
前記加工基準面に基づいてポート開口部と各種の構成部
材用孔の加工位置を決定し、ポート開口部をバルブシー
ト母材が接合される接合口の形状に形成するとともに前
記構成部材用孔を穿設し、次いで、前記ポート開口部
に、表面が金属皮膜によって覆われた焼結合金製円環体
からなるバルブシート母材を前記孔を利用して位置決め
して重ね、しかる後、このバルブシート母材を、前記孔
を利用して吸・排気弁の弁軸の軸線方向と加圧方向とを
一致させて前記ポート開口部に圧接させ、次いで、シリ
ンダヘッド本体とバルブシート母材との接触部を電気抵
抗により発熱させるものである。
【0011】
【作用】第1の発明ないし第3の発明によれば、バルブ
シート母材をポート開口部に圧接させて両者の接触部を
電気抵抗により発熱させると、前記両者が互いに圧接さ
れる接触部の界面の温度が上昇してこの界面の原子が相
互に拡散するようになる。この結果、前記界面付近に、
バルブシート母材の皮膜の材料金属とシリンダヘッド本
体の材料金属との共晶合金からなる層が生成される。
【0012】この共晶合金層は液相への変態温度が低い
ことから前記抵抗熱によって液相へ変わり、バルブシー
ト母材が押し付けられかつ加熱されることにより塑性流
動を起こしたシリンダヘッド本体の材料金属とともに接
合部から排出される。これにより、バルブシート母材の
焼結合金がシリンダヘッド本体の材料金属に触れて両者
の原子が相互に拡散することになり、この状態でバルブ
シート母材がポート開口部内に埋没しシリンダヘッド本
体に接合する。
【0013】第1の発明によれば、バルブシート母材を
シリンダヘッド本体に接合するに当たり、バルブシート
を圧入する場合に較べてバルブシート接合以前にシリン
ダヘッド本体に機械加工を施す工程が不要になるととも
に、バルブシートを接合することを目的として加熱炉に
よりシリンダヘッド本体を加熱する加熱工程が不要にな
る。その上、前記両工程が不要になることにより洗浄工
程も不要になる。
【0014】圧入型バルブシートでは高精度に形成され
た下穴がガイドになるのでバルブシートを圧入するとき
の位置決めや圧入方向の規制を行うための特別なガイド
孔が不要である。しかし、圧入構造を採らない本発明の
接合方法では、ポート開口部の位置にバルブシート母材
を位置決めするとともにバルブシート母材を弁軸の方向
に加圧するために何らかのガイドが必要になる。第2の
発明によれば、バルブシート母材をシリンダヘッド本体
に接合するに当たり、バルブシートを圧入する場合に較
べてバルブシート接合以前にバルブシート専用のガイド
孔を穿設する工程が不要になる。これとともに、バルブ
シートを接合することを目的として加熱炉によりシリン
ダヘッド本体を加熱する加熱工程と、加熱炉にシリンダ
ヘッド本体を装填する際に異物を除去することを目的と
した洗浄工程も不要になる。
【0015】第3の発明によれば、バルブシート母材を
シリンダヘッド本体に接合するに当たり、バルブシート
接合以前にバルブシート専用のガイド孔を穿設する工程
が不要になる。これとともに、バルブシートを接合させ
ることを目的として加熱炉によりシリンダヘッド本体を
加熱する加熱工程と、加熱炉にシリンダヘッド本体を装
填する際に異物を除去することを目的とした洗浄工程も
不要になる。これに加え、シリンダヘッド本体における
バルブシート母材が接合される接合口と前記構成部材用
孔とは、共通の加工基準面に対して位置決めされて加工
されており、両者の位置関係は鋳造時の公差の影響を受
けることがない。
【0016】
【実施例】
実施例1 本発明の実施例を説明するに当たり、工程数が最も多く
なる第3の発明に係るシリンダヘッドの製造方法を最初
に図1ないし図12を用いて説明する。図1は本発明に
係る製造方法によりバルブシートが接合されたシリンダ
ヘッドのバルブシート部の断面図、図2はバルブシート
母材をポート開口部に重ねた状態を示す断面図で、同図
はシリンダヘッド本体およびバルブシート母材の一部の
みを拡大して描いてある。
【0017】図3は本発明に係るシリンダヘッドの製造
方法を実施するために用いるプレス装置の正面図、図4
は同じく側面図、図5はバルブシート母材に電極を当接
させた状態を示す断面図である。図6は加圧力パター
ン、電流値パターンおよび沈み量を示すグラフ、図7は
バルブシート母材の皮膜の材料金属とシリンダヘッド本
体の材料金属からなる合金層が生成されている状態を示
す断面図、図8はシリンダヘッド本体の材料金属が塑性
流動を起こしている状態を示す断面図、図9はバルブシ
ート母材がシリンダヘッド本体に埋没した状態を示す断
面図、図10はバルブシート部を仕上げ加工した状態を
示す断面図である。図11はシールドを使用する場合の
例を示す平面図、図12は第3の発明に係るシリンダヘ
ッドの製造方法を説明するための工程図である。
【0018】これらの図において、11は4サイクルエ
ンジンのシリンダヘッド本体で、このシリンダヘッド本
体11は、アルミニウム合金を材料として鋳造すること
によって形成しており、ドーム状の燃焼室形成用凹部1
2を下面に開口するように形成するとともに、この凹部
12に一端が開口する吸気ポート13および排気ポート
14を形成している。また、このシリンダヘッド本体1
1を鋳造するときには、シリンダボディ側端面と平行な
方向を含み互いに直交する3方向を規定する加工基準面
を成形している。
【0019】この加工基準面は、例えば前記燃焼室形成
用凹部12と、図示していないカムチェーン室の内壁面
などとに形成する。前記凹部12に設ける加工基準面
は、凹部12の点火プラグ穴(図示せず)を開口させる
部位をシリンダヘッドの上方へ向けて部分的に凹陥させ
るようにして形成する。なお、チェーン室の内壁面など
に設ける加工基準面も前記凹部12に設ける場合と同様
にチェーン室内壁面を部分的に凹陥させることによって
形成する。
【0020】前記吸気ポート13および排気ポート14
の上壁部分にバルブガイド15,16を介して吸気弁1
7および排気弁18をそれぞれ装着し、両ポート13,
14の開口部に後述するバルブシート19をそれぞれ接
合している。なお、前記バルブガイド15,16は、シ
リンダヘッド本体11に機械加工により穿設したバルブ
ガイド下穴11aに圧入し固定している。このバルブガ
イド下穴11aはその軸線Cが吸気ポート13および排
気ポート14の開口部13a,14aの軸線と一致する
ように形成している。バルブガイド下穴用加工機を前記
開口部13a,14aに対して位置決めするに当たって
は、シリンダヘッド本体11に鋳造時に設けた前記加工
基準面に基づいて行っている。
【0021】図1に示したバルブシート19は、円環状
に形成したバルブシート母材を本発明のシリンダヘッド
の製造方法によってシリンダヘッド11に接合させ、仕
上げ加工を施した後のものである。前記バルブシート母
材を図2中に符号20によって示す。バルブシート母材
20は、鉄系焼結合金製円環体21の表面を銅皮膜22
によって覆うことによって形成している。
【0022】前記円環体21の材料としては、本実施例
では鉄系焼結合金材料に、後述する通電時に内部で抵抗
熱が生じ難いようにする観点から銅を溶浸させたものを
採用している。また、前記銅皮膜22は、膜厚が0.1
μm〜30μmとなるように円環体21に電気めっきを
施すことによって形成している。なお、シリンダヘッド
本体11を形成するアルミニウム合金は、本実施例では
JISにAC4Cとして規定される材料を用いた。
【0023】このバルブシート母材20は、図2に示す
ように、吸気ポート13や排気ポート14の開口部13
a,14aに重ねた状態で外周面の一部がこの開口部1
3a,14a内に臨む形状に形成している。なお、図2
ではシリンダヘッド本体11の下面(燃焼室形成用凹部
12が開口する面)を上方に向けている。詳述すると、
バルブシート母材20の外周面をシリンダヘッド本体1
1側に向かうにしたがって次第にこのバルブシート母材
20の外径が細くなるように傾斜させ、かつ底面20b
をこのバルブシート部材10の軸心へ向かうにしたがっ
て次第にシリンダヘッド本体11側に偏在するように傾
斜させ、これら外周面20aと底面20bとが互いに連
なる外面を凸曲面となるように形成している。図2にお
いてはこの凸曲面に符号20cを付した。
【0024】一方、前記開口部13a,14aにおける
前記凸曲面20cと対向する部位には、吸・排気ポート
13,14の内径が部分的に細くなるように凸状部23
を形成している。この凸状部23は鋳造後のシリンダヘ
ッド本体1に機械加工を施すことによって形成してい
る。なお、この凸状部23が本発明に係る接合口を構成
している。
【0025】すなわち、このバルブシート母材20を前
記開口部13a,14aに図2に示したように重ねるこ
とによって、その凸曲面20cがシリンダヘッド本体1
1の凸状部23に当接するように構成している。なお、
バルブシート母材20の内周面は、シリンダヘッド本体
11側に向かうにしたがってこのバルブシート母材20
の内径が小さくなるように傾斜した傾斜面20dと、こ
の傾斜面20dの内周側端部から軸方向と平行に延在す
る軸方向延在面20eとから形成している。
【0026】このように構成したバルブシート母材20
をシリンダヘッド本体11の前記開口部13a,14a
に接合するには、図3および図4に示すプレス装置24
を使用して行う。このプレス装置24は、基台25の下
部に下部プラテン26を固定し、この下部プラテン26
の上方に、この下部プラテン26に対して接離するよう
に上部プラテン27を昇降自在に配設している。この上
部プラテン27は、基台上部に軸線が上下方向を向くよ
う取付けたシリンダ装置28の作用端となるロッド28
aの下端に固定している。
【0027】前記下部プラテン26および上部プラテン
27はそれぞれ導電部材26a,27aを介して図示し
ていない給電装置から給電される構造になっている。な
お、上部プラテン27に接続した導電部材27aは、上
部プラテン27の昇降動作に合わせて変形あるいは昇降
するように構成している。また、本実施例では、上部プ
ラテン27が陽極となり下部プラテン26が陰極となる
ように構成している。
【0028】また、前記シリンダ装置28を支持する基
台上部には、上部プラテン27の前部に固定した反射部
材29にレーザー光を反射させてこの反射部材29との
距離から上部プラテン27の変位量を測定するレーザー
変位計30が取り付けてある。
【0029】このプレス装置24を使用してバルブシー
ト母材20を接合するには、先ず、前記下部プラテン2
6上に下側電極31を固定し、この下側電極31上にシ
リンダヘッド本体11を載置固定して行う。このとき、
シリンダヘッド本体11は、燃焼室形成用凹部12側を
上方に向け、かつバルブシート母材20を接合するポー
トの開口部での軸線が前記シリンダ装置28のロッド2
8aの軸線と一致するように位置決めしておく。
【0030】次に、図5に示すように、バルブシート母
材20を接合するポートのバルブガイド下穴11aにガ
イド棒32を燃焼室形成用凹部12側から嵌挿する。こ
のガイド棒32は、金属製丸棒32aの外周面にアルミ
ナなどの絶縁材32bを被覆させて形成しており、バル
ブガイド下穴11aに嵌合させストッパー32cによっ
て位置決め保持させた状態で、シリンダヘッド本体11
の燃焼室側端面より上方に突出する長さに形成してい
る。前記絶縁材32bの形成方法は、本実施例ではアル
ミナなどのセラミック材を丸棒32aに溶射し、その
後、研磨仕上げする手法を採っている。
【0031】その後、バルブシート母材20をポート開
口部に重ね、このバルブシート母材20に上側電極33
を載せる。この上側電極33は、金属製円柱体の軸心部
に前記ガイド棒32が嵌合する透孔33aを穿設してお
り、その下端部に、バルブシート母材20の前記傾斜面
20d(図2)に密接するテーパー面33bと、軸方向
延在面20eに全周にわたり密接する位置決め用周面3
3cとを形成している。また、この上側電極33の下端
部には、バルブシート母材20を磁気吸着させるための
磁性体33dが固着させてある。
【0032】すなわち、前記透孔33aに前記ガイド棒
32を嵌合させることにより、この上側電極33がシリ
ンダヘッド本体11のポート開口部と同軸上に位置づけ
られ、前記テーパー面33bおよび周面33cをバルブ
シート母材20に密接させることにより、このバルブシ
ート母材20が嵌合によってポート開口部と同軸となる
ように位置決めされる。
【0033】このようにバルブシート母材20に上側電
極33を載せた後、上側電極33を回転させてバルブシ
ート母材20が確実に嵌合しているか否かを検査する。
しかる後、シリンダ装置28を駆動して上部プラテン2
7を下降させ、前記上側電極33に密着させる。このと
き、上部プラテン27の下面と上側電極33の上面とが
互いに平行になるようにする。
【0034】次に、前記シリンダ装置28を駆動して上
部プラテン27を下降させ、上側電極33を介して前記
バルブシート母材20を一定な押圧力をもってシリンダ
ヘッド本体11に押し付ける。このときにバルブシート
母材20に加えられる押圧力の方向は、上側電極33が
ガイド棒32によって移動方向が規制されている関係か
ら、ポート開口部13a,14aの軸線方向と一致す
る。このため、バルブシート母材20はポート開口部1
3a,14aに軸線を一致させた状態でこの軸線に沿っ
て押し付けられることになる。この押圧力は、図6中に
実線で示す押圧力パターンに基づいて変化させる。すな
わち、相対的に低い一定の第1押圧力P1を接合工程初
期に加え、その後は下降終了まで相対的に高い一定の第
2押圧力P2を加える。
【0035】第1押圧力P1による加圧を開始した後、
上部プラテン27が安定したときに、前記レーザー変位
計30によりこれと反射部材29までの距離を測定し、
この距離を上部プラテン27の下降開始位置として記録
する。また、第1押圧力P1による加圧開始から図6に
示すように時間T1が経過した後、前記上部プラテン2
7および下部プラテン26に電圧を印加し、これら両プ
ラテンの間、すなわち上側電極33、バルブシート母材
20、シリンダヘッド本体11および下側電極31に電
流を流す。このとき、電流は上側電極33からシリンダ
ヘッド本体11へ向けて流れる。このときの電流値も図
6中に波線で示す電流値パターンに基づいて変化させ
る。すなわち、電流値が増大した後に一度電流値を0付
近まで低下させ、その後さらに電流値を増大させて接合
終期において前記押圧力を加えている途中で電流値を0
とする。
【0036】このとき、バルブシート母材20は図2に
示すように凸曲面20cがシリンダヘッド本体11の凸
状部23に当接しており、これら両者どうしが接触する
部分の面積がきわめて小さいことから、上述したように
通電されると電気抵抗が大きくなってこの接触部が発熱
するようになる。この熱はバルブシート母材20とシリ
ンダヘッド本体11との接触界面の全体に伝導する。
【0037】このようにバルブシート母材20とシリン
ダヘッド本体11との接触界面の温度が上昇すると、固
相状態で互いに圧接し合う材料金属(銅皮膜22の銅お
よびシリンダヘッド本体11のアルミニウム合金)の原
子が活発に運動するようになり、これらの原子どうしが
相互に拡散するようになる。なお、シリンダヘッド本体
11の表面に生成されているアルミニウムの酸化皮膜が
この原子拡散に対してどの程度拡散を阻止するかは不明
である。
【0038】上述したように原子の相互拡散が起こるこ
とにより、界面付近の組成は、銅皮膜22を構成する銅
と、シリンダヘッド本体11のアルミニウム合金との共
晶合金になり、純銅より低い温度で固相から液層に変わ
ることができる状態になる。このときの界面付近の状態
を図7に模式的に示す。図7においては、原子の相互拡
散が起こり前記共晶合金層が生成されている部位を符号
Aで示す。
【0039】前記界面付近の温度がさらに上昇し、前記
共晶合金層の一部が液相に変化するようになると原子の
拡散現象は一層活発となり、この共晶合金層が成長して
これに伴なって固相と液相との界面が拡大する。この共
晶合金層の液相化が進行する一方、共晶合金層に隣接す
るシリンダヘッド本体11のアルミニウム合金は、バル
ブシート母材20が押し付けられていることと前記抵抗
熱により昇温されていることとによって、塑性流動(塑
性変形)を起こす。
【0040】この塑性流動は最初の接触部を中心にして
図7において上下方向に略対称となるように生じるた
め、液相化した前記共晶合金は前記塑性流動に乗じて図
8に示すように接触部の外に排除される。図8において
共晶合金の排除された部分を符号Bで示す。また、この
ときには、バルブシート母材20の銅皮膜22の一部が
共晶合金化されて接触部から排除されることにより、円
環体21の一部がアルミニウム合金に触れるようになっ
てこれらの間でも原子の拡散現象が起こる。この拡散現
象が生じている部位を図8中に符号Cで示す。
【0041】このように共晶合金層の一部が接触部から
排除されることと、アルミニウム合金が塑性流動を起こ
すこととにより、図6中にT2で示すときにバルブシー
ト母材20がシリンダヘッド本体11内に沈み込み始め
ることになる。このようにバルブシート母材20が沈み
込み始めてから図6中に示す時間T3に達したときに押
圧力を増大させて前記第2押圧力P2とする。
【0042】押圧力が増大することによりアルミニウム
合金の塑性流動量が増大し、これに伴って共晶合金の排
除量が増量される。この結果、接触部の未反応部分にお
いて新たに銅−アルミニウム合金からなる共晶合金が生
成され、上述した現象が繰り返されてこの共晶合金層が
液相化しさらに排除される。これとともに、円環体21
の材料である鉄系焼結合金とアルミニウム合金との界面
で原子が相互に拡散する領域も拡がる。
【0043】第2押圧力P2による押圧を開始してから
図6に示す時間T4に達したときに、電流値を一度0付
近まで低下させ、さらに元の値まで上昇させる。電流値
を低下させることにより発熱が一時抑えられることにな
り、塑性流動が抑えられて図6に示すようにバルブシー
ト母材20の沈み込み量の増加割合が一時低下する。こ
のように電流値を一時的に低下させるのは、アルミニウ
ム合金が熱により溶融してしまうのを防ぐためである。
【0044】電流値を上述したように元の値まで上昇さ
せた後、時間T5に達してから時間T6に達するまでの
間に徐々に低下させて0とする。電流が流れている間は
勿論、通電が断たれた後も反応不能温度まで温度が低下
するまでは前記反応が進行し、共晶合金層の生成→液層
化→塑性流動に伴なう排除、という現象と、鉄系焼結合
金とアルミニウム合金との原子相互拡散という現象が同
時に起こりながらバルブシート母材20が沈み込み続
け、図9に示すようにその外周面の略全域がシリンダヘ
ッド本体11内に埋没するようになる。
【0045】この沈み込み量が図6に示すように略増加
しなくなったとき(時間T7で示すとき)にシリンダ装
置28による押圧を停止し、レーザー変位計30によっ
てこれと反射部材29との距離から上部プラテン27の
最終位置を求めた後に上部プラテン27を上昇させ、シ
リンダヘッド本体11をプレス装置24から取外す。な
お、平均電流値や総通電時間も全工程が終了するまでの
間に求めておく。
【0046】次に、上部プラテン27の下降開始位置か
ら最終位置までの高低差を算出することによりバルブシ
ート母材20の総沈み量を求める。この値が予め定めた
許容値D(図6参照)の範囲内でないときには接合不良
とみなす。前記許容値Dとしては、本実施例では約0.
5mm〜約2mmとした。なお、許容値Dはシリンダヘッド
本体11の材料によっても異なるが、約1mm〜1.5mm
とすることが好ましい。
【0047】上記沈み量判定に合格したシリンダヘッド
は、前記平均電流値や総通電時間が許容値の範囲内であ
るか否かによっても良否を判定し、この判定結果が良好
であると判定されたときであって後述する抜き取り検査
に合格したロットのものであるときに限りバルブシート
母材20の最終仕上げ加工を施す。
【0048】前記抜き取り検査は、例えばバルブシート
母材20の製造ロット毎に行い、接合終了後の図9に示
した状態にあるバルブシート母材20にシリンダヘッド
本体11から離間する方向に沿って引張り力を加えるこ
とによって行う。詳述すると、バルブシート母材20の
底面20b(図2)の内周側縁部に治具を掛止させ、こ
の治具に引張り試験機(図示せず)によって前記方向に
沿う張力を付与し、バルブシート母材20がシリンダヘ
ッド本体11から剥離するときの荷重が予め定めた使用
限界剥離荷重を上回っているときに良品であると判定す
る。
【0049】また、単にバルブシート母材20を上述し
たように引っ張る剥離試験を行うだけでなく、加熱保持
試験やヒートショック試験を行ってもよい。加熱保持試
験は、図9の状態のシリンダヘッド本体11を大気雰囲
気の300℃加熱炉中に24〜200時間放置し、空冷
した後に前記剥離試験を行う。ヒートショック試験は、
図9の状態のシリンダヘッド本体11を大気雰囲気の3
00℃加熱炉中で300℃まで昇温させ、炉から取出し
て直ちに0℃の氷水に浸漬する。これを10回繰り返
し、氷水に浸漬させて冷却した度毎にバルブシート母材
20の剥離、割れなどの有無を確認し最後に前記剥離試
験を行う。
【0050】シリンダヘッドの最終仕上げ加工は、図9
に示すようにバルブシート母材20が接合されたシリン
ダヘッド本体11から不要部分を図10に示すように例
えば研削によって除去することによって行う。この最終
仕上げ加工を行うことにより円環体21の不要部および
銅皮膜22が除去され、図10中に符号Cで示す原子の
拡散領域を介してシリンダヘッド本体11に接合された
バルブシート19が得られる。
【0051】上述したように形成したシリンダヘッドに
おけるシリンダヘッド本体11のアルミニウム合金とバ
ルブシート19の鉄系焼結合金との間の金属学的接合
は、原子の拡散を伴わず材料としては不連続な状態とな
っている機械的接合とは本質的に異なるものである。し
かも、界面での電気抵抗による発熱を利用して双方の材
料を局部的に溶融させ合金溶液とした後、通電を中止す
ることで冷却凝固させる抵抗熱溶着のような金属学的接
合とも異なるものである。
【0052】すなわち、本実施例のシリンダヘッドにお
ける金属学的接合は、異種材料の間に溶融反応層を残存
させることなく行われるものであり、双方の材料の界面
での原子の相互拡散を通じて連続的な構造を創成すると
いうものである。
【0053】なお、上述したようにバルブシート母材2
0をシリンダヘッド本体11に接合させるに当たって、
通電により生じる磁場の影響を受けて接合部から共晶合
金が特定の方向に排除される場合には、図11に示すよ
うにシールド34を上側電極33の近傍に配置すること
が好ましい。
【0054】図11はシールドを使用する場合の例を示
す平面図で、同図は上側電極33をバルブシート母材2
0とともにシリンダヘッド本体11に装着した状態を示
している。同図において前記図1ないし図10で説明し
たものと同一もしくは同等部材については、同一符号を
付し詳細な説明は省略する。シールド34は、本実施例
では鉄系強磁性体によって縦割り円筒状に形成し、外周
面の頂部がプレス装置24の基台25を指向するように
配設している。基台25が位置している方向を同図にお
いては矢印で示している。このようにシールド34を使
用することによって、通電時に磁場が生じたときにその
磁力線の方向および量を制御することができ、その結
果、共晶合金が接合部から排除される方向を制御するこ
とができる。
【0055】ここで、上述した手法によりバルブシート
母材20をシリンダヘッド本体11に接合するときのシ
リンダヘッドの製造手順を図12によって説明する。先
ず、図12中にステップ101で示すように、シリンダ
ヘッド本体11の鋳造時に加工基準面を成形する。その
後、ステップ102でポート開口部13a,14aに接
合口としての凸状部23を形成し、ステップ103にて
バルブガイド下穴11aを形成する。これらの機械加工
を行うときの位置決めは前記加工基準面を利用する。
【0056】次に、ステップ104にてバルブシート母
材20を位置決めする。このときには、機械加工後のシ
リンダヘッド本体11を前記プレス装置24に装着し、
上述したようにガイド棒32および上側電極33を使用
してバルブシート母材20をポート開口部13a,14
aに位置決めする。なお、この位置決め工程の直前にス
テップ105で示すように、機械加工時に生じる切粉を
除去することを目的として洗浄工程を加えてもよい。こ
の洗浄工程では、シリンダヘッド本体11を水洗した
り、圧縮空気を機械加工部に吹き付けて気吹き清掃を行
なう。
【0057】その後、ステップ106にてバルブシート
母材20をプレス装置24によってシリンダヘッド本体
11に押し付け、バルブシート母材20とシリンダヘッ
ド本体11との間に通電する。この工程によりバルブシ
ート母材20がシリンダヘッド本体11に接合される。
【0058】上述したようにバルブシート母材20を接
合した後、ステップ107にてシリンダヘッド本体11
のバルブガイド下穴11aにバルブガイド15,16を
圧入する。本実施例では、冷間でバルブガイド15,1
6を圧入している。なお、従来のように焼き嵌め構造を
とる場合には、このバルブガイド圧入工程107の直前
に熱工程108を加える。この熱工程108では、シリ
ンダヘッド本体11を加熱炉によって昇温させる場合
と、シリンダヘッド本体11には熱を加えずにバルブガ
イド15,16を冷却し収縮させる場合とがある。
【0059】バルブガイド15,16を圧入した後、ス
テップ109にてバルブシート母材20を粗加工し、次
いでステップ110にてバルブシート19およびバルブ
ガイド15,16を仕上げ加工し、後工程へ進む。この
後工程では、バルブシート19に吸・排気弁17,18
を着座させてシール検査を行う検査工程や、カム軸用軸
受部の加工を行う。この軸受部を加工する工程は、本実
施例に示したようにバルブシート19やバルブガイド1
15,16を仕上げた後に行う他に、加工装置の配置如
何によっては前記バルブガイド下穴加工工程103やバ
ルブガイド圧入工程107の前後に位置づけてもよい。
【0060】なお、バルブシート母材20の接合工程と
バルブガイド15,16の圧入工程の順序は前後逆とす
ることもできる。この場合には、図12中のバルブガイ
ド下穴加工工程103の次にバルブガイド15,16を
圧入し(ステップ107)、その後、バルブシート母材
20の位置決め(ステップ104)、バルブシート母材
20の加圧・通電(ステップ106)を順次行う。な
お、バルブガイド15,16を圧入する以前には、洗浄
工程105や、シリンダヘッド本体11の加熱やバルブ
ガイド15,16の冷却を行う熱工程108を加えるこ
ともできる。
【0061】このような手順によりシリンダヘッドを製
造すると、バルブガイド下穴11aを利用してバルブシ
ート母材20を接合口に位置決めするから、バルブシー
トを圧入する場合に較べてバルブシート接合以前にバル
ブシート専用のガイド孔を穿設する工程が不要になる。
これとともに、バルブシートを接合することを目的とし
て加熱炉によりシリンダヘッド本体11を加熱する加熱
工程と、加熱炉にシリンダヘッド本体11を装填する際
に異物を除去することを目的とした洗浄工程も不要にな
る。
【0062】また、シリンダヘッド本体11におけるバ
ルブシート母材20が接合される接合口とバルブガイド
下穴11aとは、共通の加工基準面に対して位置決めし
た状態で加工しており、両者の位置関係は鋳造時の公差
の影響を受けることがない。
【0063】実施例2 上述した実施例ではバルブシート母材20をポート開口
部13a,14aに位置決めするに当たりバルブガイド
下穴11aを使用したが、この位置決めをするときの基
準としては、シリンダヘッドの構成部材を組み付ける孔
であればどのような孔でも利用することができる。例え
ば、シリンダヘッド本体11をシリンダボディ(図示せ
ず)に位置決めするためのノックピン(図示せず)を嵌
入させるノックピン孔(図示せず)を利用することもで
きる。このノックピン孔を利用してバルブシート母材2
0を位置決めし加圧するときのシリンダヘッドの製造手
順を図13によって説明する。
【0064】図13はノックピン孔を利用してバルブシ
ート母材を機械加工後の接合口に位置決めするときのシ
リンダヘッドの製造手順を示す工程図である。同図にお
いて前記図1ないし図12で説明したものと同一もしく
は同等部材については、同一符号を付し詳細な説明は省
略する。ノックピン孔を利用して位置決めする場合に
は、ステップ102にてバルブシート母材接合口を加工
した後、ステップ120で示すようにノックピン孔加工
を行い、その後、ステップ104,106にてバルブシ
ート母材20の位置決め、バルブシート母材20の加圧
・通電を行う。このとき、ノックピン孔を利用してバル
ブシート母材20を接合口に位置決めし、加圧方向を規
定する。
【0065】このようにバルブシート母材20をシリン
ダヘッド11に接合した後、ステップ103にてバルブ
ガイド下穴11aを加工する。この加工を行うときに
も、前記ノックピン孔を利用して位置決めする。その後
は、ステップ107で示すバルブガイド圧入工程、ステ
ップ109で示すバルブシート母材粗加工工程、ステッ
プ110で示すバルブシート母材・バルブガイド仕上げ
加工工程を経て後工程に至る。
【0066】なお、上述したようにノックピン孔を利用
して位置決めを行う場合であってもバルブシート接合工
程とバルブガイド圧入工程とは前後逆にすることができ
る。すなわち、この場合には、図13中にステップ12
0で示すノックピン孔加工工程が終了した後、ステップ
103で示すバルブガイド下穴加工工程→ステップ10
7で示すバルブガイド圧入工程→ステップ104で示す
バルブシート母材位置決め工程→ステップ106で示す
バルブシート母材加圧・通電工程→ステップ109で示
すバルブシート母材粗加工工程→ステップ110で示す
バルブシート母材・バルブガイド仕上げ加工工程という
工程を経て後工程に至る。このように構成しても前記実
施例1と同等の効果が得られる。
【0067】実施例3 以下、第1の発明に係るシリンダヘッドの製造方法を図
14によって詳細に説明する。図14は第1の発明に係
るシリンダヘッドの製造方法を説明するための工程図
で、同図において前記図1ないし図13で説明したもの
と同一もしくは同等部材については、同一符号を付し詳
細な説明は省略する。
【0068】第1の発明に係るシリンダヘッドの製造方
法では、図14のステップ201に示すように、シリン
ダヘッド本体11を鋳造するときに加工基準面と、バル
ブシート母材20を接合する接合口とを成形する。鋳造
後、ステップ202にて前記加工基準面に基づいてバル
ブシート母材20を接合口に位置決めする。次いで、ス
テップ203にてバルブシート母材20の加圧・通電を
行う。この工程では、前記加工基準面に基づいて求めた
吸・排気弁17,18の弁軸の軸線方向にバルブシート
母材20の加圧方向を一致させて行う。
【0069】このようにバルブシート母材20をシリン
ダヘッド本体11に接合した後は、ステップ103で示
すバルブガイド下穴加工工程→ステップ107で示すバ
ルブガイド圧入工程→ステップ109で示すバルブシー
ト母材粗加工工程→ステップ110で示すバルブシート
母材・バルブガイド仕上げ加工工程という工程を経て後
工程に至る。
【0070】このような手順によりシリンダヘッドを製
造すると、バルブシート母材20を接合する接合口を鋳
造により成形し、鋳造時に成形した加工基準面を利用し
てバルブシート母材20を前記接合口に位置決めするか
ら、バルブシートを圧入する場合に較べてバルブシート
接合以前にシリンダヘッド本体11に機械加工を施す工
程が不要になる。これとともに、バルブシートを接合す
ることを目的として加熱炉によりシリンダヘッド本体を
加熱する加熱工程が不要になる。その上、前記両工程が
不要になることにより洗浄工程も不要になる。なお、バ
ルブガイド圧入工程の直前には、前記実施例と同様に熱
工程115を加えることもできる。
【0071】実施例4 以下、第2の発明に係るシリンダヘッドの製造方法を図
15によって詳細に説明する。図15は第2の発明に係
るシリンダヘッドの製造方法を説明するための工程図
で、同図において前記図1ないし図14で説明したもの
と同一もしくは同等部材については、同一符号を付し詳
細な説明は省略する。
【0072】第2の発明に係るシリンダヘッドの製造方
法では、先ず、図15中のステップ201で示すよう
に、シリンダヘッド本体11を鋳造するときに加工基準
面と、バルブシート母材20を接合する接合口とを成形
する。鋳造後、先ず第1にバルブガイド下穴11aを加
工する(ステップ103)。その後は図12で示した前
記実施例1と同じである。また、バルブシート母材接合
工程とバルブガイド圧入工程は前後逆とすることができ
るという点も同じである。
【0073】このような手順によりシリンダヘッドを製
造すると、バルブシート母材20が接合される接合口を
鋳造により成形し、バルブガイド下穴11aを利用して
バルブシート母材20を前記接合口に位置決めすること
から、バルブシートを圧入する場合に較べてバルブシー
ト接合以前にバルブシート専用のガイド孔を穿設する工
程が不要になる。これとともに、バルブシートを接合す
ることを目的として加熱炉によりシリンダヘッド本体を
加熱する加熱工程と、加熱炉にシリンダヘッド本体を装
填する際に異物を除去することを目的とした洗浄工程も
不要になる。
【0074】実施例5 実施例4ではバルブシート母材20を接合口に位置決め
するに当たりバルブガイド下穴11aを使用したが、こ
の位置決めをするときの基準としては、シリンダヘッド
の構成部材を組み付ける孔であればどのような孔でも利
用することができる。例えば、シリンダヘッド本体11
をシリンダボディ(図示せず)に位置決めするためのノ
ックピン(図示せず)を嵌入させるノックピン孔(図示
せず)を利用することもできる。このノックピン孔を利
用してバルブシート母材20を位置決めし加圧するとき
のシリンダヘッドの製造手順を図16によって説明す
る。
【0075】図16はノックピン孔を利用してバルブシ
ート母材を鋳造による接合口に位置決めするときのシリ
ンダヘッドの製造手順を示す工程図である。同図におい
て前記図1ないし図15で説明したものと同一もしくは
同等部材については、同一符号を付し詳細な説明は省略
する。ノックピン孔を利用して位置決めする場合には、
シリンダヘッド本体11を鋳造するときに図16中のス
テップ201で示すように、加工基準面と、バルブシー
ト母材20を接合する接合口とを成形する。鋳造後、先
ず第1にノックピン孔を加工する(ステップ120)。
その後は、図13で示した前記実施例2と同じである。
また、バルブシート母材接合工程とバルブガイド圧入工
程は前後逆とすることができるという点も同じである。
このように構成しても図15で示した実施例と同等の効
果が得られる。
【0076】実施例6 なお、上述した各実施例ではバルブシート母材20とシ
リンダヘッド本体11のポート開口部13a,14aの
両者に凸部(凸曲面20c、凸状部23)を形成し、こ
れらの凸部どうしを圧接させた例を示したが、凸部は必
ずしも前記両者に形成する必要はなく、何れか一方のみ
に形成すればよい。この実施例を図17(a)〜(c)
に示す。なお、バルブシート母材20を接合する接合口
を鋳造により成形する場合、機械加工により形成する場
合の何れであっても下記のように形状を変更することが
できる。
【0077】図17は圧接部分の形状を変えた他の実施
例を示す断面図で、同図(a),(b)はバルブシート
母材のみに凸部を形成した例を示し、同図(c)はシリ
ンダヘッド本体のみに凸部を形成した例を示している。
これらの図において、前記図1〜図10によって説明し
たものと同一あるいは同等の部材については、同一符号
を付し詳細な説明は省略する。
【0078】図17(a)に示した例では、バルブシー
ト母材20は前記実施例と同等の形状に形成し、ポート
開口部13a,14aにおけるバルブシート母材20が
接触する部位を平坦な傾斜面としている。同図(b)に
示した例では、バルブシート母材20の外周面がポート
開口部13a,14aに嵌合するように構成している。
また、バルブシート母材20の内周面が上述した実施例
とは異なり、バルブシート母材20の厚み方向全域にわ
たって軸方向延在面20eを形成している。同図(c)
に示した例では、バルブシート母材20におけるシリン
ダヘッド本体11の凸状部23に接触する部位を平坦な
傾斜面としている。図17(a)〜(c)に示したよう
に凸部をバルブシート母材20とシリンダヘッド本体1
1のうち何れか一方に形成しても前記実施例と同等の効
果が得られる。なお、本実施例で示したように前記両者
の両方に凸部を形成すると、シリンダヘッド本体11の
材料金属が塑性流動を起こし易く、しかもその量も相対
的に多くなるので、バルブシート母材20が接合する部
分(接触界面)の面積を拡げることができ高い接合強度
が得られる。
【0079】また、上述した各実施例ではシリンダヘッ
ド本体11の材料としてAC4C材を用い、バルブシー
ト母材20の円環体21の材料として鉄系焼結合金に銅
を溶浸させたものを用い、円環体21の皮膜を銅としこ
れを電気めっきにより設けた例を示したが、これらの材
質および皮膜の形成方法は本実施例に限定されるもので
はない。すなわち、シリンダヘッド本体11の材料とし
ては、エンジン用シリンダヘッドの材料として一般に用
いられている材料、例えばAC4B材、AC2B材など
を採用することができる。円環体21の材料は鉄系焼結
合金であればどのようなものでもよく、これに溶浸させ
る金属も電気電導率が銅と大差のないものであればよ
い。また、円環体21の皮膜となる金属も、シリンダヘ
ッド本体11の材料金属と共晶合金が生成されるもので
あればどのようなものでもよい。これらの材料、皮膜の
形成方法を選択するに当たっては、実施例では、シリン
ダヘッドを工業製品として生産する関係から最もコスト
が低くなるように行った。
【0080】さらに、上述した実施例では、バルブシー
ト母材20の沈み量を接合工程の最後に検出する例を示
したが、この沈み量を押圧開始から常に測定し、この値
がそのときどきでの許容範囲に入っているかを検出して
もよい。このようにすると、接合不良を起こしているこ
とを接合途中で判定することができるから、不良品に対
しても良品と同等の接合時間をかけるという無駄がなく
なる。
【0081】
【発明の効果】以上説明したように第1の発明に係るシ
リンダヘッドの製造方法は、シリンダヘッド本体を鋳造
するときに、互いに直交する3方向を規定する加工基準
面を成形するとともに、ポート開口部をバルブシート母
材が接合される接合口の形状に成形し、鋳造後、前記ポ
ート開口部に、表面が金属皮膜によって覆われた焼結合
金製円環体からなるバルブシート母材を前記加工基準面
に基づいて位置決めして重ね、しかる後、このバルブシ
ート母材を、前記加工基準面に基づいて求めた吸・排気
弁の弁軸の軸線方向と加圧方向とを一致させて前記ポー
ト開口部に圧接させ、次いで、シリンダヘッド本体とバ
ルブシート母材との接触部を電気抵抗により発熱させる
ため、前記両者が互いに圧接される接触部の界面の温度
が上昇してこの界面の原子が相互に拡散するようにな
る。この結果、前記界面付近に、バルブシート母材の皮
膜の材料金属とシリンダヘッド本体の材料金属との共晶
合金からなる層が生成される。
【0082】この共晶合金層は液相への変態温度が低い
ことから前記抵抗熱によって液相へ変わり、バルブシー
ト母材が押し付けられかつ加熱されることにより塑性流
動を起こしたシリンダヘッド本体の材料金属とともに接
合部から排出される。これにより、バルブシート母材の
焼結合金がシリンダヘッド本体の材料金属に触れて両者
の原子が相互に拡散することになり、この状態でバルブ
シート母材がポート開口部内に埋没しシリンダヘッド本
体に接合する。
【0083】この第1の発明によれば、バルブシート母
材をシリンダヘッド本体に接合するに当たり、バルブシ
ートを圧入する場合に較べてバルブシート接合以前にシ
リンダヘッド本体に機械加工を施す工程が不要になると
ともに、バルブシートを接合することを目的として加熱
炉によりシリンダヘッド本体を加熱する加熱工程が不要
になる。その上、前記両工程が不要になることにより洗
浄工程も不要になる。
【0084】このため、バルブシートをシリンダヘッド
本体に圧入する場合に較べ、前記3工程分だけ製造工程
の簡素化および製造時間の短縮を図ることができる。特
に、従来行っていた加熱工程では昇温および冷却を行っ
ている間はシリンダヘッド本体を加工することができな
いので、この加熱工程を行わないことにより著しく製造
工程の簡素化および製造時間の短縮を図ることができ
る。その上、従来用いていた加熱炉は、シリンダヘッド
本体を複数収容してこれらを一括して加熱する構造であ
るため設置スペースが広く必要であったが、これを廃止
できることにより工場内の有効スペースを広くとること
ができる。また、加熱炉が存在しないことにより、従来
に較べてシリンダヘッド本体の搬送経路を短縮すること
ができ、機械加工装置間での搬送時間を短縮できる。
【0085】第2の発明に係るシリンダヘッドの製造方
法は、シリンダヘッド本体を鋳造するときに、互いに直
交する3方向を規定する加工基準面を成形するととも
に、ポート開口部をバルブシート母材が接合される接合
口の形状に成形し、鋳造後、前記加工基準面に基づいて
決定した加工位置においてシリンダヘッド本体の各種の
構成部材用孔を穿設し、次いで、前記ポート開口部に、
表面が金属皮膜によって覆われた焼結合金製円環体から
なるバルブシート母材を前記孔を利用して位置決めして
重ね、しかる後、このバルブシート母材を、前記孔を利
用して吸・排気弁の弁軸の軸線方向と加圧方向とを一致
させて前記ポート開口部に圧接させ、次いで、シリンダ
ヘッド本体とバルブシート母材との接触部を電気抵抗に
より発熱させるため、前記両者が互いに圧接される接触
部の界面の温度が上昇してこの界面の原子が相互に拡散
するようになる。この結果、前記界面付近に、バルブシ
ート母材の皮膜の材料金属とシリンダヘッド本体の材料
金属との共晶合金からなる層が生成される。
【0086】この共晶合金層は液相への変態温度が低い
ことから前記抵抗熱によって液相へ変わり、バルブシー
ト母材が押し付けられかつ加熱されることにより塑性流
動を起こしたシリンダヘッド本体の材料金属とともに接
合部から排出される。これにより、バルブシート母材の
焼結合金がシリンダヘッド本体の材料金属に触れて両者
の原子が相互に拡散することになり、この状態でバルブ
シート母材がポート開口部内に埋没しシリンダヘッド本
体に接合する。
【0087】圧入型バルブシートでは高精度に形成され
た下穴がガイドになるのでバルブシートを圧入するとき
の位置決めや圧入方向の規制を行うための特別なガイド
孔が不要である。しかし、圧入構造を採らない本発明の
接合方法では、ポート開口部の位置にバルブシート母材
を位置決めするとともにバルブシート母材を弁軸の方向
に加圧するために何らかのガイドが必要になる。第2の
発明によれば、バルブシート母材をシリンダヘッド本体
に接合するに当たり、バルブシートを圧入する場合に較
べてバルブシート接合以前にバルブシート専用のガイド
孔を穿設する工程が不要になる。これとともに、バルブ
シートを接合することを目的として加熱炉によりシリン
ダヘッド本体を加熱する加熱工程と、加熱炉にシリンダ
ヘッド本体を装填する際に異物を除去することを目的と
した洗浄工程も不要になる。
【0088】このため、バルブシートをシリンダヘッド
本体に圧入する場合に較べ、製造工程の簡素化および製
造時間の短縮を図ることができる。特に、従来行ってい
た加熱工程では昇温および冷却を行っている間はシリン
ダヘッド本体を加工することができないので、この加熱
工程を行わないことにより著しく製造工程の簡素化およ
び製造時間の短縮を図ることができる。その上、従来用
いていた加熱炉は、シリンダヘッド本体を複数収容して
これらを一括して加熱する構造であるため設置スペース
が広く必要であったが、これを廃止できることにより工
場内の有効スペースを広くとることができる。また、加
熱炉が存在しないことにより、従来に較べてシリンダヘ
ッド本体の搬送経路を短縮することができ、機械加工装
置間での搬送時間を短縮できる。
【0089】加えて、シリンダヘッドを形成する上で必
ず形成する構成部材用孔を、バルブシートを位置決めし
たり加圧方向を規制するためのガイドとして利用するの
で、1つの孔を多目的に使用できコストの観点からも有
利である。
【0090】第3の発明に係るシリンダヘッドの製造方
法は、シリンダヘッド本体を鋳造するときに、互いに直
交する3方向を規定する加工基準面を成形し、鋳造後、
前記加工基準面に基づいてポート開口部と各種の構成部
材用孔の加工位置を決定し、ポート開口部をバルブシー
ト母材が接合される接合口の形状に形成するとともに前
記構成部材用孔を穿設し、次いで、前記ポート開口部
に、表面が金属皮膜によって覆われた焼結合金製円環体
からなるバルブシート母材を前記孔を利用して位置決め
して重ね、しかる後、このバルブシート母材を、前記孔
を利用して吸・排気弁の弁軸の軸線方向と加圧方向とを
一致させて前記ポート開口部に圧接させ、次いで、シリ
ンダヘッド本体とバルブシート母材との接触部を電気抵
抗により発熱させるため、前記両者が互いに圧接される
接触部の界面の温度が上昇してこの界面の原子が相互に
拡散するようになる。この結果、前記界面付近に、バル
ブシート母材の皮膜の材料金属とシリンダヘッド本体の
材料金属との共晶合金からなる層が生成される。
【0091】この共晶合金層は液相への変態温度が低い
ことから前記抵抗熱によって液相へ変わり、バルブシー
ト母材が押し付けられかつ加熱されることにより塑性流
動を起こしたシリンダヘッド本体の材料金属とともに接
合部から排出される。これにより、バルブシート母材の
焼結合金がシリンダヘッド本体の材料金属に触れて両者
の原子が相互に拡散することになり、この状態でバルブ
シート母材がポート開口部内に埋没しシリンダヘッド本
体に接合する。
【0092】この第3の発明によれば、バルブシート母
材をシリンダヘッド本体に接合するに当たり、バルブシ
ート接合以前にバルブシート専用のガイド孔を穿設する
工程が不要になる。これとともに、バルブシートを接合
させることを目的として加熱炉によりシリンダヘッド本
体を加熱する加熱工程と、加熱炉にシリンダヘッド本体
を装填する際に異物を除去することを目的とした洗浄工
程も不要になる。
【0093】このため、バルブシートをシリンダヘッド
本体に圧入する場合に較べ、製造工程の簡素化および製
造時間の短縮を図ることができる。特に、従来行ってい
た加熱工程では昇温および冷却を行っている間はシリン
ダヘッド本体を加工することができないので、この加熱
工程を行わないことにより著しく製造工程の簡素化およ
び製造時間の短縮を図ることができる。その上、従来用
いていた加熱炉は、シリンダヘッド本体を複数収容して
これらを一括して加熱する構造であるため設置スペース
が広く必要であったが、これを廃止できることにより工
場内の有効スペースを広くとることができる。また、加
熱炉が存在しないことにより、従来に較べてシリンダヘ
ッド本体の搬送経路を短縮することができ、機械加工装
置間での搬送時間を短縮できる。
【0094】これに加え、シリンダヘッド本体における
バルブシート母材が接合される接合口と前記構成部材用
孔とは、共通の加工基準面に対して位置決めされて加工
されており、両者の位置関係は鋳造時の公差の影響を受
けることがない。このため、バルブシート母材をシリン
ダヘッド本体の接続口に位置決めするに当たり、構成部
材用孔を基準にすることにより接続口に正確に位置決め
することができるから、高精度にバルブシート母材を接
合できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る製造方法によりバルブシートが
接合されたシリンダヘッドのバルブシート部の断面図で
ある。
【図2】 バルブシート母材をポート開口部に重ねた状
態を示す断面図で、同図はシリンダヘッド本体およびバ
ルブシート母材の一部のみを拡大して描いてある。
【図3】 本発明に係るシリンダヘッドの製造方法を実
施するために用いるプレス装置の正面図である。
【図4】 本発明に係るシリンダヘッドの製造方法を実
施するために用いるプレス装置の側面図である。
【図5】 バルブシート母材に電極を当接させた状態を
示す断面図である。
【図6】 加圧力パターン、電流値パターンおよび沈み
量を示すグラフである。
【図7】 バルブシート母材の皮膜の材料金属とシリン
ダヘッド本体の材料金属からなる合金層が生成されてい
る状態を示す断面図である。
【図8】 シリンダヘッド本体の材料金属が塑性流動を
起こしている状態を示す断面図である。
【図9】 バルブシート母材がシリンダヘッド本体に埋
没した状態を示す断面図である。
【図10】 バルブシート部を仕上げ加工した状態を示
す断面図である。
【図11】 シールドを使用する場合の例を示す平面図
である。
【図12】 第3の発明に係るシリンダヘッドの製造方
法を説明するための工程図である。
【図13】 ノックピン孔を利用してバルブシート母材
を機械加工後の接合口に位置決めするときのシリンダヘ
ッドの製造手順を示す工程図である。
【図14】 第1の発明に係るシリンダヘッドの製造方
法を説明するための工程図である。
【図15】 第2の発明に係るシリンダヘッドの製造方
法を説明するための工程図である。
【図16】 ノックピン孔を利用してバルブシート母材
を鋳造による接合口に位置決めするときのシリンダヘッ
ドの製造手順を示す工程図である。
【図17】 圧接部分の形状を変えた他の実施例を示す
断面図で、同図(a),(b)はバルブシート母材のみ
に凸部を形成した例を示し、同図(c)はシリンダヘッ
ド本体のみに凸部を形成した例を示している。
【図18】 バルブシートが圧入された従来のシリンダ
ヘッドのバルブシート圧入部を拡大して示す断面図であ
る。
【符号の説明】
11…シリンダヘッド本体、11a…バルブガイド下
穴、13…吸気ポート、13a…開口部、14…排気ポ
ート、14a…開口部、17…吸気弁、18…排気弁、
19…バルブシート、20…バルブシート母材、21…
円環体、22…銅皮膜、23…凸状部、31…下側電
極、32…ガイド棒、33…上側電極。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリンダヘッド本体を鋳造するときに、
    シリンダボディ側端面と平行な方向を含み互いに直交す
    る3方向を規定する加工基準面を成形するとともに、吸
    ・排気ポートの燃焼室側開口部をバルブシート母材が接
    合される接合口の形状に成形し、鋳造後、前記ポート開
    口部に、表面が金属皮膜によって覆われた焼結合金製円
    環体からなるバルブシート母材をこの開口部に対し同軸
    状となるように前記加工基準面に基づいて位置決めして
    重ね、しかる後、このバルブシート母材を、前記加工基
    準面に基づいて求めた吸・排気弁の弁軸の軸線方向と加
    圧方向とを一致させて前記ポート開口部に圧接させ、次
    いで、シリンダヘッド本体とバルブシート母材との接触
    部を電気抵抗により発熱させることを特徴とするシリン
    ダヘッドの製造方法。
  2. 【請求項2】 シリンダヘッド本体を鋳造するときに、
    シリンダボディ側端面と平行な方向を含み互いに直交す
    る3方向を規定する加工基準面を成形するとともに、吸
    ・排気ポートの燃焼室側開口部をバルブシート母材が接
    合される接合口の形状に成形し、鋳造後、前記加工基準
    面に基づいて決定した加工位置においてシリンダヘッド
    本体の各種の構成部材用孔を穿設し、次いで、前記ポー
    ト開口部に、表面が金属皮膜によって覆われた焼結合金
    製円環体からなるバルブシート母材をこの開口部に対し
    同軸状となるように前記孔を利用して位置決めして重
    ね、しかる後、このバルブシート母材を、前記孔を利用
    して吸・排気弁の弁軸の軸線方向と加圧方向とを一致さ
    せて前記ポート開口部に圧接させ、次いで、シリンダヘ
    ッド本体とバルブシート母材との接触部を電気抵抗によ
    り発熱させることを特徴とするシリンダヘッドの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 シリンダヘッド本体を鋳造するときに、
    シリンダボディ側端面と平行な方向を含み互いに直交す
    る3方向を規定する加工基準面を成形し、鋳造後、前記
    加工基準面に基づいてポート開口部と各種の構成部材用
    孔の加工位置を決定し、ポート開口部をバルブシート母
    材が接合される接合口の形状に形成するとともに前記構
    成部材用孔を穿設し、次いで、前記ポート開口部に、表
    面が金属皮膜によって覆われた焼結合金製円環体からな
    るバルブシート母材をこの開口部に対し同軸状となるよ
    うに前記孔を利用して位置決めして重ね、しかる後、こ
    のバルブシート母材を、前記孔を利用して吸・排気弁の
    弁軸の軸線方向と加圧方向とを一致させて前記ポート開
    口部に圧接させ、次いで、シリンダヘッド本体とバルブ
    シート母材との接触部を電気抵抗により発熱させること
    を特徴とするシリンダヘッドの製造方法。
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