JPH08296179A - ポリペプチド繊維の迅速染色法 - Google Patents

ポリペプチド繊維の迅速染色法

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JPH08296179A
JPH08296179A JP7099086A JP9908695A JPH08296179A JP H08296179 A JPH08296179 A JP H08296179A JP 7099086 A JP7099086 A JP 7099086A JP 9908695 A JP9908695 A JP 9908695A JP H08296179 A JPH08296179 A JP H08296179A
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dyeing
dye
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Kimito Hirayama
公人 平山
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 操作が簡便であり、緩染剤を用いて緩染する
のではなく促染であり、かつ均染を行い得るポリペプチ
ド繊維の迅速染色方法を提供する。 【構成】 染料と助剤とを含む染浴に染色すべきポリペ
プチド繊維を浸漬して染色を行なうポリペプチド繊維の
染色法。前記助剤として、環式ホスホン酸エステルオリ
ゴマー(ECCO PE−100)および水分散可能な
ポリエステル樹脂(AQ−55)のうちの少なくとも1
種を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリペプチド繊維の迅
速染色法に関し、より詳しくは、緩染ではなく促染であ
り、かつ均染を行い得るポリペプチド繊維の迅速染色法
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年は、多様化および高級化指向が高ま
り、羊毛の製品のより高級な風合、高堅ろう度性および
同色性が求められている。
【0003】羊毛等のポリペプチド繊維の浸染染色にお
いて、均染効果をあげるために、染浴の温度調整、pH
制御を行ない、また芒硝等の緩染剤を使用することによ
り、染料の吸収速度を緩染的に調整する方法を採用する
ことが多い。この方法の場合、染色時間も一般に2時間
以上要する。すなわち、従来法では、まず染浴を硫酸、
酢酸、蟻酸または酢酸アンモニウム等でpHを調製し、
また多量の芒硝などの緩染剤で調整し、その後、被染物
を投入して充分湿潤および浸透させて後、染料を注入
し、徐々に昇温する必要があった。そのため、操作に手
間が掛かると同時に時間も必要であった。
【0004】また現在、均染型染料を使って染色すると
均染染色できるが、湿潤堅ろう度が悪いことが知られて
いる。一方、不均染型染料による染色物は堅ろう性は優
れているが、均染しにくい欠点がある。従って、均染型
染料による染色で湿潤堅ろう度を良くするか、不均染型
染料による染色で、布、糸およびばら毛などを促染かつ
均染できれば、高堅ろう性のものが得られるので、低コ
ストで高品質の製品を得ることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来技術の問題点を解決し、操作が簡便であり、緩染剤
を用いて緩染するのではなく促染であり、かつ均染を行
い得るポリペプチド繊維の迅速染色方法を提供すること
にある。
【0006】本発明者は、羊毛等のポリペプチド繊維を
促染かつ均染できる染色方法を、布、糸およびばら毛を
問わず、種々検討した結果、均染型染料または1:1型
金属錯塩染料による場合には、助剤としてECCO P
E−100のみの使用により、また、半均染または不均
染型染料による染色の場合には、助剤としてECCOP
E−100とAQ−55の併用により、また、1:2型
金属錯塩染料または反応染料による場合には、助剤とし
てAQ−55のみの使用により、促染かつ染むらなく均
染でき、諸堅ろう度が良好で、被染物も鮮明色に変わる
ことを見出し本発明に至った。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のポリペプチド繊
維の迅速染色法は、染料と助剤とを含む染浴に染色すべ
きポリペプチド繊維を浸漬して染色を行なうポリペプチ
ド繊維の染色法において、前記助剤として、環式ホスホ
ン酸エステルオリゴマーおよび水分散可能なポリエステ
ル樹脂のうちの少なくとも1種を用いることを特徴とす
るものである。
【0008】以下、本発明について詳しく説明する。本
発明で用いる環式ホスホン酸エステルオリゴマーは、イ
ースタン アンドカラー社製のECCO PE−100
(商品名)、また、アルブライト アンドウィルソン社
製のアンチブレーブ19(商品名)等として入手できる
ものである。ECCO PE−100は、水に可溶な非
イオン性のものであり、主成分が環式ホスホン酸エステ
ルオリゴマーの少なくとも2種の混合物であり、pH
3.0の酸性物質である。ECCO PE−100は、
染料の溶解性に優れ、繊維内への浸透および湿潤性も併
せ有する化合物で、染色時のpH調整に有効に働き促染
および均染剤として作用する。よって、ECCO PE
−100は、従来の硫酸、酢酸および蟻酸などの酸とし
ての働き、浸透剤、湿潤剤等の界面活性剤の役割、芒硝
等の緩染剤および均染剤の作用をすべて有するため、均
染型染料や1:1型金属錯塩染料を用いた染色では、助
剤としてECCO PE−100のみで染色が充分可能
である。
【0009】一方、水分散可能なポリエステル樹脂は、
イーストマン ケミカル社製のAQ−ポリマー(商品
名)として入手できるものである。AQ−ポリマーは、
エチレンジグリコール/シクロヘキサンジメタノール/
イソフタレート/スルホイソフタレートをモノマー成分
とするポリマーである。AQ−ポリマーには、ガラス転
移点29℃のもの(AQ−29)、ガラス転移点38℃
のもの(AQ−38)、およびガラス転移点55℃のも
の(AQ−55)があるが、これらのうち、AQ−55
が最も好ましい。本発明においては、AQ−55を固形
分30%、pH5、粘度(20℃)100cpで水に分
散した水分散液を使用することが好ましい。
【0010】AQ−55の水分散液は、羊毛等のポリペ
プチド繊維の染色時に均染と緩染の両作用を有し、EC
CO PE−100との相溶性が特に優れ、このECC
OPE−100とAQ−55水分散液の混合物は促染と
均染作用を同時に速やかに行なうものと考えられる。本
発明においては、ECCO PE−100等およびAQ
−55水分散液等が上述の作用を有するため、従来法の
ように、まず染浴を硫酸等でpH調整すること、芒硝な
どの緩染剤を投与すること、被染物を染浴に投入して充
分湿潤および浸透させた後、染料を注入し、徐々に昇温
することの必要性がなく、染料、ECCO PE−10
0およびAQ−55水分散液を入れた染浴に無造作に被
染物を投入して、昇温についても室温から例えば1〜2
分間で急昇温させ沸騰させる。沸騰は例えば13分間行
い、その後温水洗する。
【0011】染浴のpH調整は、ECCO PE−10
0単独、またはECCO PE−100とAQ−55水
分散液の各々の適量を用いるだけで容易にpH3〜5
(好ましくはpH3.5〜3.7)に制御することがで
きる。加えて、これら両助剤による染浴は緩衝性があ
り、pH3〜5に安定しており、等電点染色にも好都合
である。
【0012】本発明において、染料は公知の均染型酸性
染料、半均染型酸性染料、不均染型酸性染料、1:1型
金属錯塩染料、1:2型金属錯塩染料、および反応性染
料等のいずれでも用いることができる。このような染料
の具体例としては、Orange19(C.I.N
o.)、Red42(C.I.No.)、Blue18
2(C.I.No.)等の均染型酸性染料、Yello
w61(C.I.No.)、Red118(C.I.N
o.)、Blue220(C.I.No.)等の半均染
型酸性染料、Orange149(C.I.No.)、
Red138(C.I.No.)、Blue138
(C.I.No.)等の不均染型酸性染料、Yello
w104(C.I.No.)、Blue158(C.
I.No.)等の1:1型金属錯塩染料、Red277
(C.I.No.)、Blue193(C.I.N
o.)等の1:2型金属錯塩染料、Red84(C.
I.No.)、Blue50(C.I.No.)等の反
応性染料を挙げることができる。
【0013】上記染料のうち、均染型酸性染料または
1:1型金属染料を使用する染色の際には、助剤として
ECCO PE−100のみを用いることにより染色が
可能である。また、反応性染料または1:2型金属染料
を使用する染色の際には、助剤としてAQ−55水分散
液のみを用いることにより染色が可能である。その他の
上記染料による染色には、助剤としてECCO PE−
100およびAQ−55水分散液の両者を、例えばEC
CO PE−100:AQ−55水分散液(重量比)が
2:1〜4:1程度となるような組合わせ比で使用する
ことができる。
【0014】本発明においては、上述のように、硫酸等
の酸を用いないで染浴のpH調整を行なうことができ
る。ただ、染料が吸尽の悪いものの場合は、最終浴にE
CCOPE−100を追加するか、硫酸、酢酸、蟻酸、
酢酸アンモニウム等を追加すると吸尽がさらに速くな
る。ここで注意しなければならないのは、AQ−55水
分散液を使った染浴にこれらの酸や塩を加えると凝固す
ることがあるので、慎重に取扱う必要があることであ
る。
【0015】本発明の方法によれば、均染型染料はもち
ろん、不均染型染料を使った染色は、特に15分間とい
う短時間で行うことができ、しかもpH調整も容易で、
複雑な工程も難しい技術も要せず、既存の機械設備を用
いて低コストで促染かつ均染染色を行うことができる。
羊毛製品を製造する際の全工程中で最も羊毛を傷める工
程は染色工程といわれているが、本発明は短時間染色の
ため、羊毛の高級な風合を保つことができる。堅ろう性
については、高堅ろう度の不均染型染料を用いて短時間
染色できるため、染色工程全体として低コストになるの
で比較的高価な良い染料が使用でき、高堅ろう性の高付
加価値製品を製造することができる。また本発明の方法
によれば、染色後の繊維の洗浄性および再現性が良い。
さらに、本発明の方法は均染性が良いので、各種混紡
品、種々の獣毛、種々羊毛の同色染色に応用できる。ま
た、従来法のように使用済みの染浴をロットごとに河川
に排出する必要がなく、ECCO PE−100および
AQ−55水分散液を、それぞれ単独または両者を適当
量染浴に追加するだけで良く、閉鎖系で染色ができる環
境にやさしい方法である。従って、排水処理が簡素化さ
れ、環境保全上好ましいばかりでなく、コストダウン効
果もある。
【0016】
【実施例】次に、実施例により、本発明の方法によって
染色した羊毛布の諸染色堅ろう度について説明する。試
験方法および試験条件は次のとおりである。羊毛布はJ
IS染色堅ろう度試験布(JIS L0803準拠)
(目付100g/m2 )を用い、糸およびばら毛は、一
般に市販されているものを使用した。吸尽率は分光光度
計日立607型Color Analyzerを用いて
吸光度を測定して求めた。K/S値は(1−R)2 /2
R(Rは最大吸収波長の反射率)によって得た。耐光試
験はJIS L0842−1988カーボンアーク灯光
に対する染色堅ろう度試験方法、摩擦試験はJIS L
0849−1971摩擦に対する染色堅ろう度試験方法
II形法、および洗濯試験はJIS L0844−198
6洗濯に対する染色堅ろう度試験方法A−2法に各々準
拠して行なった。
【0017】[実施例1]3gの均染型酸性染料Ora
nge19を必要最少量の水で粘り、ECCOPE−1
00を3gを加えて攪拌溶解して、浴比1:20になる
ように水を加えて調製して染浴とする。これに、100
gの羊毛布を無造作に投入して1〜2分間で沸騰させ、
そのまま10分間煮沸を行なった後、1〜3%(ow
f)の蟻酸を2〜3回に分けて滴下して、さらに3分間
煮沸して完全に染着させる。
【0018】[実施例2]均染型染料をRed42に代
え、100gの羊毛ばら毛の染色を行なった以外は、実
施例1と同様の操作を行なった。
【0019】[実施例3]均染型染料をBlue182
に代え、100gの羊毛糸の染色を行なった以外は、実
施例1と同様の操作を行なった。
【0020】[実施例4]3gの1:1型金属錯塩染料
Yellow104を必要最少量の水で粘り、ECCO
PE−100を3gを加えて攪拌溶解して、浴比1:
20になるように全容を調製して染浴とする。これに、
100gの羊毛布を無造作に投入して1〜2分間で沸騰
させ、そのまま10分間煮沸を行なった後、適量の蟻酸
を2〜3回に分けて滴下して、さらに3分間煮沸して完
全に染着させる。
【0021】[実施例5]1:1型金属錯塩染料をBl
ue158に代えた以外は、実施例4と同様の操作を行
なった。
【0022】[実施例6]3gの半均染型酸性染料Ye
llow61を必要最少量の水で粘り、ECCOPE−
100を3g加え、100mlの水を追加し溶解する。
次いで、AQ−55水分散液を1g加えて良く攪拌しな
がら溶解して、浴比1:20になるように水を追加して
染浴とする。これに、100gの羊毛布を無造作に投入
し、1〜2分間で沸騰させ13分間そのまま煮沸を継続
して徐冷後、温水洗する。なお、必要に応じて最終浴に
ECCO PE−100を1〜3%(owf)滴下した
り、従来法で使用する酸を適量滴下して完全に染料を吸
尽させることもできる。
【0023】[実施例7]半均染型染料をRed118
に代え、100gの羊毛糸の染色を行なった以外は、実
施例6と同様の操作を行なった。
【0024】[実施例8]半均染型染料をBlue22
0に代えた以外は、実施例6と同様の操作を行なった。
【0025】[実施例9]3gの不均染型酸性染料Or
ange149を必要最少量の水で粘り、ECCO P
E−100を3g加え、100mlの水を追加し溶解す
る。次いで、AQ−55水分散液を1g加えて良く攪拌
しながら溶解して、浴比1:20になるように水を追加
して染浴とする。これに、100gの羊毛ばら毛を無造
作に投入し、1〜2分間で沸騰させ13分間そのまま煮
沸を継続して徐冷後、温水洗する。なお、必要に応じて
最終浴にECCO PE−100を1〜3%(owf)
滴下したり、従来法で使用する酸を適量滴下して完全に
染料を吸尽させることもできる。
【0026】[実施例10]不均染型染料をRed13
8に代え、100gの羊毛布の染色を行なった以外は、
実施例9と同様の操作を行なった。
【0027】[実施例11]不均染型染料をBlue1
38に代え、100gの羊毛布の染色を行なった以外
は、実施例9と同様の操作を行なった。
【0028】[実施例12]AQ−55水分散液の5g
を浴比1:20に相当する水で攪拌溶解する。この浴中
に100gの羊毛布を投入し浸漬した後に、別途必要最
少量の水で粘った3gの1:2型金属錯塩染料Red2
27を滴下し、実施例1と同様に煮沸して、最終浴に1
〜3%(owf)の蟻酸を数回に分けて滴下して、完全
に染料を羊毛に吸尽させる。
【0029】[実施例13]1:2型金属錯塩染料をB
lue193に代えた以外は、実施例12と同様の操作
を行なった。
【0030】[実施例14]AQ−55水分散液の5g
を浴比1:20に相当する水で攪拌溶解する。この浴中
に100gの羊毛布を投入し浸漬した後に、別途必要最
少量の水で粘った3gの反応染料Red84を滴下し、
実施例1と同様に煮沸して、最終浴に1〜3%(ow
f)の蟻酸を数回に分けて滴下して、完全に染料を羊毛
に吸尽させる。この場合は、最終浴にアンモニアを用い
て固着を行なうと諸堅ろう度が良くなる。
【0031】[実施例15]反応染料をBlue50に
代えた以外は、実施例14と同様の操作を行なった。
【0032】以上の結果を表1に示す。表1より明らか
なように、全染色時間が15分間という短時間であるに
もに拘らず、染色堅ろう度は、実施例で用いた全ての染
料について4級または4級以上となり良好であり、実用
上問題がないと考えられる。
【0033】
【表1】
【0034】
【発明の効果】本発明の方法は、上述のように構成され
ているので、従来法のような酸による染浴のpH調整の
必要がなく、簡便な工程で短時間で、ポリペプチド繊維
の促染かつ均染染色を行うことができる。このように、
本発明の方法によれば、短時間で染色を行い得るので、
羊毛の高級な風合を保つことができるとともに、既存の
機械設備を用いて、低コストで染色を行うことができ
る。さらに本発明によれば、使用済みの染浴を再利用で
きるため、排水処理が簡素化され、環境保全の上でも従
来法に比べ格段に優れている。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 染料と助剤とを含む染浴に染色すべきポ
    リペプチド繊維を浸漬して染色を行なうポリペプチド繊
    維の染色法において、前記助剤として、環式ホスホン酸
    エステルオリゴマーおよび水分散可能なポリエステル樹
    脂のうちの少なくとも1種を用いることを特徴とする、
    ポリペプチド繊維の迅速染色方法。
JP7099086A 1995-04-25 1995-04-25 ポリペプチド繊維の迅速染色法 Withdrawn JPH08296179A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009108469A (ja) * 2006-03-31 2009-05-21 Kaneka Corp 染色された再生コラーゲン繊維、人工毛髪、染色された再生コラーゲン繊維の染料定着処理方法

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JP2009108469A (ja) * 2006-03-31 2009-05-21 Kaneka Corp 染色された再生コラーゲン繊維、人工毛髪、染色された再生コラーゲン繊維の染料定着処理方法
JPWO2007114422A1 (ja) * 2006-03-31 2009-08-20 株式会社カネカ 染色された再生コラーゲン繊維、人工毛髪、染色された再生コラーゲン繊維の染料定着処理方法、及び染色された再生コラーゲン繊維の製造方法
US9565882B2 (en) 2006-03-31 2017-02-14 Kaneka Corporation Dyed regenerated collagen fiber, artificial hair, and method for dye-fixing treatment of dyed regenerated collagen fiber

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