JPH08296037A - 蒸着装置 - Google Patents

蒸着装置

Info

Publication number
JPH08296037A
JPH08296037A JP9875495A JP9875495A JPH08296037A JP H08296037 A JPH08296037 A JP H08296037A JP 9875495 A JP9875495 A JP 9875495A JP 9875495 A JP9875495 A JP 9875495A JP H08296037 A JPH08296037 A JP H08296037A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electron beam
vapor deposition
magnetic
film
gun
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP9875495A
Other languages
English (en)
Inventor
Hidetoshi Honda
秀利 本多
Taizo Suzuki
耐三 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
Priority to JP9875495A priority Critical patent/JPH08296037A/ja
Publication of JPH08296037A publication Critical patent/JPH08296037A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Physical Vapour Deposition (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 蒸着装置において、電子ビーム銃12を10
0mm当たりに10台以上配し、各電子ビーム銃12の
照射位置を機械的に固定する。 【効果】 1台の電子ビーム銃にブレークダウンが生じ
ても蒸着が中断することがなく蒸着の中断による膜厚ム
ラが抑えられる。また、電子ビーム銃の照射位置をスキ
ャニング装置によって制御しないので、スキャニング装
置の制御異常による異常放射によって蒸着膜に不純物が
混入するのが回避される。したがって、このような蒸着
装置で磁気記録媒体の磁性層を蒸着形成すると、ドロッ
プアウト数が少なく、特性の均一な磁気記録媒体が製造
されることになる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、蒸着装置に関し、特に
蒸着源に電子ビームを照射する電子ビーム照射手段の改
良に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、ビデオテープレコーダ等の分野
においては、高画質化を図るために、高密度記録化が一
層強く要求されており、これに対応する磁気記録媒体と
して、金属、或いはCo−Ni合金、Co−Cr合金、
Co−O等の合金材料からなる強磁性材料をメッキや真
空薄膜形成手段(真空蒸着法やスパッタリング法、イオ
ンプレーティング法等)によってポリエステルフィルム
やポリアミド、ポリイミドフィルム等の非磁性支持体上
に直接被着せしめて磁性層を形成する、いわゆる金属薄
膜型の磁気記録媒体が提案され注目を集めている。
【0003】この金属薄膜型の磁気記録媒体は、抗磁力
や角形比等に優れ、磁性層の厚みを極めて薄くできる
為、記録減磁や再生時の厚み損失が著しく小さく短波長
での電磁変換特性に優れるばかりでなく、磁性層中に非
磁性材であるバインダーを混入する必要がないため磁性
材料の充填密度を高めることができる等、数々の利点を
有している。即ち、この金属薄膜型の磁気記録媒体は、
磁気特性的な優位さ故に高密度磁気記録の主流になると
考えられる。
【0004】かかる金属薄膜型の磁気記録媒体におい
て、磁性層となる金属磁性薄膜を形成する手段として
は、例えば蒸着法が挙げられる。この蒸着法は、非磁性
支持体を走行させながら支持する円筒状の冷却キャン
と、ルツボに収容された蒸着源となる強磁性材料、及び
蒸着源を蒸発させる電子ビーム銃とが、それぞれ真空槽
内の所定の位置に配置されて構成される蒸着装置を用い
て行われる。
【0005】この蒸着装置では、電子ビーム銃から放出
される電子ビームが蒸着源となる金属磁性材料に照射さ
れ当該金属磁性材料を蒸発せしめる。そして、蒸発せし
められた金属磁性材料は非磁性支持体上に被着され蒸着
膜として形成される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
蒸着装置では、電子ビーム銃は通常1台のみが用いら
れ、図10に示すように、この電子ビーム銃から放出さ
れる電子ビームXの焦点位置をスキャニング装置41に
よって制御しながら蒸着源36全体に電子ビームXを照
射するようにしている。なお、このスキャニング装置4
1は、例えば電磁石を使用して時間的に磁界を変動させ
ることで電子ビームXの焦点位置を制御するものであ
る。
【0007】しかし、1台のみの電子ビーム銃では、真
空槽内を浮遊する微粒子の影響によって、電子を発生さ
せるフィラメントが瞬間的に接地された状態(いわゆる
ブレークダウン現象)になったときに、蒸着が一時的に
中断されてしまうことになる。蒸着が一次的に中断され
ると、膜厚にムラが生じ、膜厚の不均一な蒸着膜が形成
されてしまう。
【0008】そこで、比較的出力の小さい電子ビーム銃
を2〜9台程度用い、この複数の電子ビーム銃によって
蒸着源を蒸発させるようにした装置構成も提案されてい
る。複数の電子ビーム銃を用いると、1台の電子ビーム
銃にブレークダウン現象が生じても他の電子ビーム銃で
ビーム照射が補われるので、蒸着の中断は回避できるこ
とになる。
【0009】しかし、上述のビームスキャナによる電子
ビームの焦点制御は、電子ビーム数が多くなるとその精
度が非常に低くなる。このため、制御異常が起こって電
子ビームがルツボ等の周辺部材に照射され、異常放射が
生じるといった問題が生じている。例えば、磁気記録媒
体の磁性層を形成するに際して、このような異常放射が
生じると、異常放射によって被着された異物がドロップ
アウトの原因になる。
【0010】そこで、本発明はこのような従来の実情に
鑑みて提案されたものであり、ブレークダウンや異常放
射の影響を受けることなく蒸着が行われ、膜厚の均一な
蒸着膜が形成できる蒸着装置を提供することを目的とす
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに本発明の蒸着装置は、蒸着源と、この蒸着源に電子
ビームを照射する電子ビーム照射手段よりなり、上記電
子ビーム照射手段は、100mm当たりに10台以上の
電子ビーム銃を有し、各電子ビーム銃は照射位置が機械
的に固定されていることを特徴とするものである。
【0012】この蒸着装置では、例えば強磁性材料を蒸
着源に用いることで金属薄膜型の磁気記録媒体の磁性層
が形成される。
【0013】
【作用】本発明の蒸着装置では、電子ビーム銃が100
mm当たり10台以上配置され、それぞれの照射位置が
機械的に固定されている。
【0014】このような蒸着装置では、複数の電子ビー
ム銃を有していることから、1台の電子ビーム銃12に
ブレークダウンが生じた場合でも、他の電子ビーム銃に
よってビーム照射が補われ、全体に与える影響は設置台
数分の一以下である。したがって、それによって蒸着が
中断してしまうことがなく、蒸着の中断による膜厚変動
が抑えられる。
【0015】また、このように電子ビーム銃12が非常
に高密度に配置されていると、電子ビームの焦点位置を
スキャニング装置によって制御しなくとも蒸着源にムラ
なく電子ビームが照射される。このため、スキャニング
装置が不要であり、スキャニング装置の制御異常によっ
てルツボ等に電子ビームが異常放射され、それによって
不純物が蒸着膜に混入するのが回避され、膜質の良好な
蒸着膜が形成される。
【0016】
【実施例】以下、本発明を具体的な実施例により説明す
るが、本発明がこの実施例に限定されるものでないこと
は言うまでもない。
【0017】先ず、本実施例において、磁性層を形成す
る際に使用した真空蒸着装置の構成について説明する。
【0018】この真空蒸着装置は、図1に示すように、
内部が所定の真空度に保たれた真空槽1内において、被
処理体であるテープ状の非磁性支持体8が、図1中の反
時計回り方向に定速回転する送りロール9から反時計回
り方向に定速回転する巻き取りロール10に向かって順
次走行するようになされている。
【0019】これら送りロール9側から巻き取りロール
10側に亘って上記非磁性支持体8が走行する中途部に
は、該非磁性支持体8を図1中左方に引き出すように設
けられるとともに、上記各ロール9,10の径よりも大
径となされたクーリングキャン7が図1中時計回り方向
に定速回転するように設けられている。
【0020】これら送りロール9、巻き取りロール10
及びクーリングキャン7は、それぞれ上記非磁性支持体
8の幅と略同じ長さからなる円筒状をなすものである。
【0021】従って、この真空蒸着装置においては、上
記非磁性支持体8が、上記送りロール9から順次送り出
され、上記クーリングキャン7の外周面に沿って通過
し、更に上記巻き取りロール10に巻き取られていくよ
うになされている。
【0022】また、上記クーリングキャン7の図1中左
下方には、内部に強磁性材料6が充填されたルツボ5が
配設され、さらに上記真空槽1の頭部には、電子ビーム
発生手段2が取り付けられている。
【0023】この真空蒸着装置では、上記電子ビーム発
生手段2から発生された電子ビームXが照射されること
により上記るつぼ5内の強磁性材料6が加熱溶融され
る。そして、このるつぼ5より蒸発せしめられた上記強
磁性材料6の蒸気流Yは、上記クーリングキャン7の外
周面に沿って走行する非磁性支持体8上に蒸着され、磁
性層として形成されることになる。
【0024】ここで、上記電子ビーム発生手段2は、例
えば図2に示すように、電子ビーム銃12が100mm
長当たり10台以上配置されて構成されている。この電
子ビーム発生手段2の各電子ビーム銃12は、図3に示
すように電子ビーム発生部13と電子ビーム発生部13
から放出された電子ビームを磁界によって集束するフォ
ーカス装置3とを有してなる。
【0025】このような電子ビーム発生手段2では、複
数の電子ビーム銃12よりなることから、1台の電子ビ
ーム銃12にブレークダウンが生じた場合でも他の電子
ビーム銃によってビーム照射が補われ、全体に与える影
響は設置台数分の一以下である。したがって、それによ
って蒸着が中断してしまうことがなく、蒸着の中断によ
る膜厚変動が抑えられる。
【0026】また、電子ビーム銃12が100mm長当
たり10台以上というように、非常に高密度に配置され
ていることから、電子ビームの焦点位置をスキャニング
装置によって制御しなくとも蒸着源にムラなく電子ビー
ムが照射される。このため、スキャニング装置の制御異
常によってルツボ等に電子銃が照射され、不純物が蒸着
膜に混入するといった不都合が回避され、膜質の良好な
金属磁性薄膜が形成されることになる。
【0027】なお、この場合、多数の電子ビーム銃12
を用いて電子ビームを照射することから、各電子ビーム
銃12の出力は1台の電子ビーム銃を用いる場合の10
分の1以下とするのが適当である。例えば、電子ビーム
銃を30台配置した場合には、各電子ビーム銃の出力は
0.5kW程度である。
【0028】また、電子ビーム銃12には、磁界を利用
したフォーカス装置3が内臓されるが、このフォーカス
装置3の磁界発生手段は電磁石、永久磁石のいずれでも
良い。電磁石としては銅線を使用したものが一般的であ
るが、He等で冷却することが可能であればNb−Ti
等のNb系の超伝導材料やその他の超伝導材料等を線材
とする電磁石を用いるようにしても良い。
【0029】なお、以上が蒸着装置の基本的な構成であ
るが、この蒸着装置には、さらに、真空槽1を貫通して
酸素ガス導入管を設け、外部から酸素ガスを供給しなが
ら成膜を行うようにしても良い。これにより、得られる
金属磁性薄膜の粒子の微細化が図られ、当該金属磁性薄
膜の磁気特性が制御される。
【0030】磁性層は、以上のような蒸着装置によって
金属磁性薄膜として成膜される。
【0031】金属磁性薄膜が成膜される非磁性支持体と
しては、ポリエステル類、ポリオレフィン類、セルロー
ス誘導体、ビニル系樹脂、ポリイミド類、ポリアミド
類、ポリカーボネート等に代表されるような高分子材料
により形成される高分子支持体等が挙げられる。例えば
2μm以上の厚みを有するポリイミド製のもの、厚さ3
μm以上のポリエチレンナフタレート(PEN)製のも
の、或いは厚さ3μm以上のポリエチレンテレフタレー
ト(PET)製のもの等がいずれも使用可能である。
【0032】成膜される金属磁性薄膜は、Fe,Co,
Ni等の強磁性金属やCo−Ni系合金、Co−Ni−
Pt系合金、Fe−Co−Ni系合金、Fe−Ni−B
系合金、Fe−Co−B系合金、Fe−Co−Ni−B
系合金等からなる面内磁化記録金属磁性膜や、Co−C
r系合金薄膜、Co−O系薄膜等の垂直磁化記録金属磁
性膜等が挙げられる。
【0033】特に、面内磁化記録金属磁性膜の場合、予
め被磁性支持体上にBi,Sb,Pb,Sn,Ga,I
n,Si,Ti等の低融点非磁性材料の下地膜を形成し
ておき、強磁性金属材料を垂直方向から蒸着し、得られ
る金属磁性薄膜中にこれら低融点非磁性材料を拡散せし
め、配向性を解消して面内等方性を確保するとともに、
抗磁力を向上させるようにしても良い。
【0034】磁性層としては、これら金属磁性薄膜の単
層膜であっても良いし、多層膜であっても良い。
【0035】また、磁気記録媒体には、さらに必要に応
じて磁性層上にトップコート層を設けたり、非磁性支持
体の磁性層を形成した側とは反対側に面にバックコート
層を設けるようにしても良い。トップコート層は防錆
剤、潤滑剤を磁性層上に塗布することで形成される。ま
た、バックコート層は帯電防止剤と結合剤とを有機溶媒
とともに分散混練させて調製されたバックコート塗料を
非磁性支持対上に塗布乾燥することで形成される。これ
らの材料は従来公知のものがいずれも使用可能である。
【0036】次に、実際に上記蒸着装置を用いて磁気記
録媒体を作製し、電子ビーム銃の配置数を規制する効果
について検討した。
【0037】本実施例で作製した磁気テープを図4に示
す。このような構成の磁気テープを以下のようにして作
製した。
【0038】まず、厚さ7.2μmのポリエチレンテレ
フタレート(PET)フィルムを用意した。なお、この
非磁性支持体21の表面には、比較的大きな径を有する
第1の表面突起25と比較的小さな径を有する第2の表
面突起26が形成されている。
【0039】上記第1の表面突起25は、粒径が95n
m±15nmの第1の粒子が非磁性支持体21内に内添
されることで形成されたものである。ここでは、この第
1の粒子としてSiO2 粒子を使用し、その密度は2.
0×104 個/mm2 とした。
【0040】一方、上記第2の表面突起26は、粒径2
8nm±5nmなる第2の粒子を、上記非磁性支持体2
1上に分散させ、バインダー樹脂等により定着させるこ
とで形成されたものである。ここでは、この第2の粒子
としてSiO2 粒子を使用し、その密度は900×10
4 個/mm2 とした。
【0041】次に、このPETフィルム上に上記蒸着装
置によってCo−Ni合金磁性材料を0.5μm以下の
膜厚で蒸着形成した。この蒸着装置の電子ビーム照射手
段は、銅線よりなる電磁石をフォーカス装置とする電子
ビーム銃が30台配置されてなるものである。各電子ビ
ーム銃の出力は0.5kW、フォーカス装置の電磁石の
中心における発生磁界は0.25Tである。その結果、
金属磁性薄膜が、非磁性支持体の表面突起25,26に
よる凹凸が表面形状に反映され、適当な粗度が付与され
たかたちで形成される。
【0042】以上のようにして作製されたサンプルテー
プ(実施例テープ)について、先ず金属磁性薄膜の膜厚
の評価を行った。膜厚の評価は、テープの長手方向を1
000mずつ区切り各区画における金属磁性薄膜の最大
厚み、最小厚みを調べるとともに、テープ10ロールに
ついてそれぞれ最大厚み、最小厚みを調べることで行っ
た。その結果を、表1,表2に示す。
【0043】また、比較として、電子ビーム銃を1台の
み用い、この電子ビームの焦点位置をスキャニング装置
で制御する蒸着装置によって金属磁性薄膜を形成したサ
ンプルテープ(比較例テープ1)についても同様にして
金属磁性薄膜の膜厚の評価を行った。その結果を実施例
テープの結果と併せて表1,表2に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】表1に示すように、100mm長当たりに
10台以上の電子ビーム銃が配置された蒸着装置によっ
て金属磁性薄膜が成膜された実施例テープは、比較例テ
ープ1に比べて、金属磁性薄膜の最大厚みと最小厚みの
差が長手方向の全域に亘って小さい。また、比較例テー
プ1では、5000m〜6000mにかけてブレークダ
ウンによる膜厚異常が見受けられるが、実施例テープで
はこのような膜厚異常が見られない。
【0047】また、表2に示すように、ロール全体とし
ても見ても、実施例テープは比較例テープ1に比べて最
大厚みと最小厚みの差が小さい。比較例テープ1では不
良レベルとなるのが4ロールもあるのに対して、実施例
テープでは全て規格レベル内である。
【0048】このことから、蒸着装置において、電子ビ
ーム銃を100mm長当たり10台以上配置するように
すると、電子ビーム銃のブレークダウンの影響が緩和さ
れ、蒸着膜を均一な膜厚で形成できるようになることが
わかった。
【0049】次に、上記実施例テープについて、ドロッ
プアウト特性を調べた。
【0050】ドロップアウトは、Hi8ビデオデッキ
(ソニー社製,商品名EV−S900)を用いて、白5
0%信号(7MHz:λ=0.52μm相当)を記録再
生し、その際のRF波形からドロップアウトカウンタ
(Shibasoku社製,商品名VH−O1CZ)を
用いて計測した。なお、ドロップアウトの計測に際し
て、検出スレショルドは−18dB、15μsとした。
また、データは1分毎に計測されたカウント数を10分
毎にまとめて記録した。その結果を表3に示す。
【0051】なお、比較として、電子ビーム銃が5台配
置され、それぞれの電子ビームの焦点をスキャニング装
置で制御する蒸着装置で金属磁性薄膜を形成したサンプ
ルテープ(比較例テープ2)についても、同様にしてド
ロップアウト特性を調べた。その結果を、実施例テープ
の結果と併せて表3に示す。
【0052】
【表3】
【0053】表3に示すように、比較例テープ2では、
数十分〜百数十分の範囲でドロップアウトが多発する。
これに対して、実施例テープでは、ドロップアウトが平
均して少ない。
【0054】さらに、比較例テープ2上のドロップアウ
トが発生した箇所を顕微鏡写真で観察したところ、ドロ
ップアウトの原因物が存在していることが確認された。
そして、さらに金属磁性薄膜の成分分析を行った結果、
金属磁性薄膜の構成成分であるCo−Ni以外にFeが
検出され、これがドロップアウトに原因物となっている
ものと推定された。
【0055】一方、実施例テープについて同様の調査を
行ったところ、顕微鏡写真上にドロップアウトの原因物
は観察されない。また成分分析を行った結果、大気中に
浮遊する塵の成分であるSiが不純物として検出される
が、Fe等の異常放射が原因であると考えられる不純物
は検出されなかった。
【0056】この結果から、電子ビームの焦点をスキャ
ニング装置で制御することはドロップアウトの原因物の
形成に繋がり、このような制御をせず、電子ビームの焦
点を固定している本実施例の蒸着装置によればドロップ
アウトの少ない特性の良好な磁気テープが製造できるこ
とがわかった。
【0057】以上のように電子ビームの焦点を制御しな
い方が、ドロップアウトの原因物の形成を抑える上では
有利である。しかし、電子ビームの焦点位置が固定され
ていると、テープ幅方向での膜厚ムラが発生することが
懸念される。そこで、ここでは電子ビーム銃の必要設置
台数を、テープ幅方向での膜厚ムラに着目して検討し
た。
【0058】調査は、100mm長当たりの電子ビーム
銃の配置数を3台、5台、7台、10台及び15台と変
化させ、それぞれの場合で形成された金属磁性薄膜の幅
方向での膜厚分布を調べることで行った。
【0059】膜厚変化については、照射パワーも影響し
ており、一般的傾向としては、照射パワーが小さい方が
厚みムラが発生しにくい傾向がある。但し、極端に該照
射パワーを落とすことは、蒸着レートの低下につなが
る。したがって、照射パワーは1μm・m2 /分以上の
蒸着レートが得られ、且つ最もムラが少なくなるような
値に設定した。この結果を図5〜図9に示す。
【0060】図5〜図9に示すように、100mm当た
りの電子ビーム銃の設置台数を10台以上としないと、
実用的に平坦な膜にならないことが判った。
【0061】なお、上記電子ビーム銃の設置台数は、理
論的には10台以上であれば何台あってもよいと考えら
れ、取り付けるスペースの許す限り多数使用されること
が望ましい。
【0062】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明の蒸着装置では、100mm当たりに10台以上の電
子ビーム銃を有し、各電子ビーム銃の照射位置が機械的
に固定されているので、1台の電子ビーム銃にブレーク
ダウンが生じても蒸着が中断することがなく蒸着の中断
による膜厚ムラが抑えられる。また、電子ビーム銃の照
射位置をスキャニング装置によって制御しないので、ス
キャニング装置の制御異常による異常放射によって蒸着
膜に不純物が混入するのが回避される。したがって、こ
のような蒸着装置で磁気記録媒体の磁性層を蒸着形成す
ると、ドロップアウト数が少なく、特性の均一な磁気記
録媒体が製造されることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した蒸着装置の一構成例を示す模
式図である。
【図2】電子ビーム発生手段の1構成例を示す斜視図で
ある。
【図3】電子ビーム発生手段に内蔵された電子ビーム銃
を示す模式図である。
【図4】上記蒸着装置によって磁性層が形成された磁気
記録媒体を示す断面図である。
【図5】電子ビーム銃を3台設置した場合の磁性層の膜
厚分布を示す特性図である。
【図6】電子ビーム銃を5台設置した場合の磁性層の膜
厚分布を示す特性図である。
【図7】電子ビーム銃を7台設置した場合の磁性層の膜
厚分布を示す特性図である。
【図8】電子ビーム銃を10台設置した場合の磁性層の
膜厚分布を示す特性図である。
【図9】電子ビーム銃を15台設置した場合の磁性層の
膜厚分布を示す特性図である。
【図10】電子ビームのスキャニングの様子を示す斜視
図である。
【符号の説明】
1 真空槽 2 電子ビーム発生装置 3 フォーカス装置 4 スキャンニング装置 5 るつぼ 6 強磁性材料 7 クーリングキャン 8 被磁性支持体 9 送りロール 10 巻き取りロール

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 蒸着源と、この蒸着源に電子ビームを照
    射する電子ビーム照射手段を有してなる蒸着装置におい
    て、 上記電子ビーム照射手段は、100mm当たりに10台
    以上の電子ビーム銃を有し、各電子ビーム銃は照射位置
    が機械的に固定されていることを特徴とする蒸着装置。
  2. 【請求項2】 蒸着源が強磁性材料であり、金属薄膜型
    の磁気記録媒体の磁性層が蒸着形成される請求項1記載
    の蒸着装置。
JP9875495A 1995-04-24 1995-04-24 蒸着装置 Withdrawn JPH08296037A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9875495A JPH08296037A (ja) 1995-04-24 1995-04-24 蒸着装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9875495A JPH08296037A (ja) 1995-04-24 1995-04-24 蒸着装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08296037A true JPH08296037A (ja) 1996-11-12

Family

ID=14228238

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9875495A Withdrawn JPH08296037A (ja) 1995-04-24 1995-04-24 蒸着装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08296037A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016122654A (ja) * 2010-05-14 2016-07-07 アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドApplied Materials,Incorporated Bフィールド集中装置を使用する金属シャワーヘッドを備える誘導性プラズマ源

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016122654A (ja) * 2010-05-14 2016-07-07 アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドApplied Materials,Incorporated Bフィールド集中装置を使用する金属シャワーヘッドを備える誘導性プラズマ源

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5370928A (en) Magnetic recording medium
JPH08296037A (ja) 蒸着装置
JPH0721560A (ja) 磁気記録媒体の製造方法
JPH06150289A (ja) 磁気記録媒体及びその製造方法
US5914180A (en) Magnetic recording medium
US20080026259A1 (en) Magnetic recording medium and method of fabricating the same
JP3707114B2 (ja) 真空蒸着装置
JPH10134306A (ja) テープ状磁気記録媒体及びこれを用いた信号再生方法
JP3139181B2 (ja) 磁気記録媒体の製造方法
JPH09128751A (ja) 磁気記録媒体の製造方法
JP2006048840A (ja) 磁気記録媒体およびその製造方法、ならびに磁気記録媒体の記録再生方法
JPH07192259A (ja) 磁気記録媒体の製造方法
JPH1180954A (ja) 薄膜形成方法および薄膜形成装置
JP2004039195A (ja) 磁気記録媒体
JPH04109429A (ja) 磁気記録媒体の製造方法
JPH0562186A (ja) 磁気記録媒体の製造方法
JPH0969438A (ja) 磁気記録媒体
JPH0512657A (ja) 薄膜磁気テープ、その製造方法および製造装置
JPH07220274A (ja) 磁気記録媒体の製造方法
JP2004039078A (ja) 磁気記録媒体
JPH05182191A (ja) 磁気記録媒体の製造方法
JPH0991659A (ja) 磁気記録媒体及びその製造方法
JPH06111310A (ja) 磁気記録媒体の蒸着装置
JPH09153215A (ja) 磁気記録媒体の製造方法及び製造装置
JPH07243032A (ja) 薄膜形成装置

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20020702